特許第6125055号(P6125055)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6125055
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】燃焼処理設備
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20170424BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B01D53/86 222
   F23J15/00 A
   F23J15/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-5902(P2016-5902)
(22)【出願日】2016年1月15日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川端 健介
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−114115(JP,A)
【文献】 特開2012−007830(JP,A)
【文献】 特開2009−197761(JP,A)
【文献】 特開昭50−073241(JP,A)
【文献】 特開2001−227702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34−53/96
F23J 13/00−99/00
F27B 1/00−21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気比が1より小さい非酸化状態で第1の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第1の燃焼加熱部と、空気比が1より大きい状態で第2の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第2の燃焼加熱部とを有する燃焼処理設備において、第1の燃焼装置による燃焼によって第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼装置による燃焼によって第2の燃焼加熱部において生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部に導いて、これらの燃焼排ガスを前記の排ガス処理部において処理することを特徴とする燃焼処理設備。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼処理設備において、前記の第2の燃焼加熱部における第2の燃焼装置にラジアントチューブバーナーを用い、ラジアントチューブバーナーの燃焼によってラジアントチューブ内に生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスを、前記の第1の燃焼装置による燃焼によって第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと一緒にして、三元触媒を収容させた前記の排ガス処理部に導くことを特徴とする燃焼処理設備。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の燃焼処理設備において、前記の第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部との間にシール部を設けるようにして、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを連続して設け、連続するストリップからなる被処理物を前記のシール部を通して一方の燃焼加熱部から他方の燃焼加熱部に導いて、前記の被処理物を連続して加熱処理することを特徴とする燃焼処理設備。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の燃焼処理設備において、三元触媒を収容させた前記の排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出された燃焼排ガスに残留する未燃成分を酸化させる酸化処理装置を設けたことを特徴とする燃焼処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼処理設備に関するものである。特に、空気比(実際の空気量/理論空気量)が1より小さい非酸化状態で第1の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第1の燃焼加熱部と、空気比が1より大きい状態で第2の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第2の燃焼加熱部とを有する燃焼処理設備において、第1の燃焼加熱部において発生した未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼加熱部において発生したNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを、環境を害さない安全な状態に効率よく処理して排出できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼処理設備としては、燃焼装置によって燃料を燃焼させるにあたり、空気比を1より小さくして非酸化状態で燃焼を行うようにしたものや、空気比を1より大きくして酸化状態で燃焼を行うようにしたものが用いられている。
【0003】
ここで、前記のような燃焼処理設備において、空気比を1より小さくして非酸化状態で燃焼を行うようにした場合には、被処理物が酸化されず、NOxの発生も抑制されるが、燃焼排ガス中にCOや炭化水素(HC)等の未燃成分が残るという問題があった。一方、空気比を1より大きくして酸化状態で燃焼を行うようにした場合には、燃焼時にNOxが発生して、燃焼排ガス中におけるNOxの量が多くなるという問題があった。
【0004】
そして、前記のように燃焼排ガス中に残ったCOや炭化水素等の未燃成分が残った場合、従来においては、一般に、前記の燃焼排ガスを燃焼させて、燃焼排ガス中に残ったCOや炭化水素等の未燃成分をCO2やH2Oに酸化させ、燃焼排ガスを安全な状態にして排出させるようにしていた。
【0005】
一方、前記のように燃焼排ガス中に含まれるNOxの量が多くなった場合、従来においては、例えば、特許文献1に示されるように、ラジアントチューブバーナーの燃焼によって生じたNOxが多く含まれる燃焼排ガスを窒素酸化物還元触媒により浄化させた後、得られたNOx浄化ガスに空気を添加し、更に酸化触媒を用いて未燃成分を酸化除去するようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、従来においては、各燃焼処理設備において、燃焼によって発生したCOや炭化水素等の未燃成分が残った燃焼排ガスと、NOxが多く含まれるようになった燃焼排ガスとを、前記のようにそれぞれ別々に処理して排出させるようにしており、各燃焼処理設備においてそれぞれ異なる処理設備が必要になり、設備スペースや設備コストが高く付くと共に、燃焼排ガスを処理するランニングコストも高く付くという問題があった。
【0007】
また、従来においては、特許文献2に示されるように、ラジアントチューブの両端部に蓄熱式バーナーを設けたラジアントチューブバーナーにおいて、各蓄熱式バーナーにおいて燃焼を行うにあたり、燃焼排ガスや燃焼用空気の流れを制御すると共に、燃料に対する燃焼用空気の空気比を制御させて、燃焼排ガス中におけるCOやNOxの量を少なくするようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、特許文献2に示されるものも、1つのラジアントチューブバーナーにおいて、燃焼排ガス中におけるCOやNOxの量を少なくするものであり、前記のようにした場合においても、燃焼排ガス中におけるCOとNOxの量を、それぞれ十分に減少させることは困難であった。特に、近年においては、燃焼排ガス中におけるNOxの量をさらに減少させることが要望されており、このような要望に対応させるためには、燃焼排ガス中におけるCOの量が増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−241619号公報
【特許文献2】特開平11−223316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、空気比を1より小さくして非酸化状態で燃焼を行うようにした燃焼処理設備において発生したCOや炭化水素等の未燃成分が残った燃焼排ガスと、空気比を1より大きくして酸化状態で燃焼を行うようにした燃焼処理設備において発生した燃焼排ガス中に含まれるNOxの量が多くなった燃焼排ガスとを処理して排出させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、COや炭化水素等の未燃成分が残った燃焼排ガスと、燃焼排ガス中に含まれるNOxの量が多くなった燃焼排ガスとをまとめて効率よく処理し、環境を害さない安全な状態にして、これらの燃焼排ガスを適切に排出できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る燃焼処理設備においては、前記のような課題を解決するため、空気比が1より小さい非酸化状態で第1の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第1の燃焼加熱部と、空気比が1より大きい状態で第2の燃焼装置によって燃焼を行い、被処理物を加熱処理する第2の燃焼加熱部とを有する燃焼処理設備において、第1の燃焼装置による燃焼によって第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼装置による燃焼によって第2の燃焼加熱部において生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部に導いて、これらの燃焼排ガスを前記の排ガス処理部において処理するようにした。
【0013】
このように、第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼加熱部において生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部に導いて処理すると、前記の三元触媒の作用により、前記の第1の燃焼排ガスに含まれる未燃成分となるCOや炭化水素がCO2やH2Oに酸化される一方、前記の第2の燃焼排ガスに含まれるNOx成分がN2に還元されるようになる。
【0014】
ここで、前記の燃焼処理設備においては、前記の第2の燃焼加熱部における第2の燃焼装置としてラジアントチューブバーナーを用い、ラジアントチューブバーナーの燃焼によってラジアントチューブ内に生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスを、前記の第1の燃焼装置による燃焼によって第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部に導くようにすることができる。
【0015】
また、前記の燃焼処理設備において、前記の第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを設けるにあたっては、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを離れるようにして分離させて設ける他、前記の第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部との間にシール部を設けるようにして、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを連続して設け、連続するストリップからなる被処理物を前記のシール部を通して一方の燃焼加熱部から他方の燃焼加熱部に導いて、前記の被処理物を連続して加熱処理させるようにすることもできる。
【0016】
また、前記の燃焼処理設備においては、三元触媒を収容させた前記の排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出された燃焼排ガスに残留する未燃成分を酸化させる酸化処理装置を設けることが好ましい。このようにすると、三元触媒を収容させた排ガス処理部において、未燃成分となるCOや炭化水素が十分に酸化されずに残った場合においても、このような未燃成分が前記の酸化処理装置によって適切に酸化され、未燃成分を含む燃焼排ガスが外部に排出されるのが確実に防止されて、より安全性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る燃焼処理設備においては、前記のように第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼加熱部において生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部に導くようにしたため、前記の三元触媒の作用により、前記の第1の燃焼排ガスに含まれる未燃成分となるCOや炭化水素がCO2やH2Oに酸化される一方、前記の第2の燃焼排ガスに含まれるNOx成分がN2に還元されるようになる。
【0018】
この結果、本発明に係る燃焼処理設備においては、三元触媒を収容させた排ガス処理部において、COや炭化水素等の未燃成分が残った燃焼排ガスと、NOxが含まれる燃焼排ガスとをまとめて効率よく処理し、環境を害さない安全な状態にして、これらの燃焼排ガスを適切に排出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る燃焼処理設備において、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを連続して設け、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部との間におけるシール部を通して、連続するストリップからなる被処理物を一方の燃焼加熱部から他方の燃焼加熱部に導いて加熱処理させるにあたり、第1の燃焼加熱部において発生した第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼加熱部において発生した第2の燃焼排ガスとを、三元触媒を収容させた排ガス処理部に導いて処理する状態を示した概略説明図である。
図2】前記の実施形態に係る燃焼処理設備において、三元触媒を収容させた排ガス処理部よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部から排出された燃焼排ガスに残留する未燃成分を酸化させる酸化処理装置を設けた状態を示した概略説明図である。
図3】前記の実施形態に係る燃焼処理設備において、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを分離させて設けた第1の変更例を示した概略説明図である。
図4】前記の実施形態に係る燃焼処理設備において、第1の燃焼加熱部と第2の燃焼加熱部とを分離させて設けた第2の変更例を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る燃焼処理設備を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る燃焼処理設備は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
この実施形態における燃焼処理設備においては、図1に示すように、空気比μが1より小さい非酸化状態で第1の燃焼装置11によって燃焼を行う第1の燃焼加熱部10と、空気比μが1より大きい状態で第2の燃焼装置21によって燃焼を行う第2の燃焼加熱部20との間にシール部30を設けるようにして、第1の燃焼加熱部10と第2の燃焼加熱部20とを連続して設け、連続するストリップからなる被処理物Wを前記のシール部30を通して第1の燃焼加熱部10から第2の燃焼加熱部20に導いて、前記の被処理物Wを連続して加熱処理するようにしている。
【0022】
ここで、この燃焼処理設備においては、前記の第1の燃焼加熱部10における第1の燃焼装置11として、燃料供給管11aから供給された燃料ガスと、燃焼用空気供給管11bから供給された燃焼用空気とを混合させて燃焼させる直火バーナー11Aを用い、前記のストリップからなる被処理物Wの表面を酸化させないように、前記の燃料ガスに対する燃焼用空気の空気比μが1.0未満(μ<1.0)になるようにしている。このように、燃料ガスに対する燃焼用空気の空気比μを1.0未満にして直火バーナー11Aにより燃焼させると、この第1の燃焼加熱部10において発生する第1の燃焼排ガス中にCOや炭化水素からなる未燃成分がある程度含まれるようになる。
【0023】
そして、このように未燃成分がある程度含まれる第1の燃焼排ガスを、第1の燃焼加熱部10から排ガス案内管31を通して、三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導くようにしている。
【0024】
一方、前記の第2の燃焼加熱部20においては、第2の燃焼装置21として、ラジアントチューブ21aの一端にバーナー21bが設けられたラジアントチューブバーナー21Aを用い、このラジアントチューブバーナー21Aにおけるラジアントチューブ21aを第2の燃焼加熱部20内に配置させている。
【0025】
そして、燃料供給管21cから供給された燃料ガスと燃焼用空気供給管21dから供給された燃焼用空気とを、空気比μが1.0よりも大きく(μ>1.0)なるように混合させて前記のラジアントチューブ21aの一端に設けられたバーナー21bに導き、このバーナー21bにより燃焼させるようにしている。このように空気比μを1.0よりも大きくして燃焼させると、この第2の燃焼排ガス中に有害なNOx成分がある程度含まれるようになる。
【0026】
そして、このようにNOx成分が含まれる第2の燃焼排ガスを、バーナー21bが設けられていないラジアントチューブ21aの他端側から排ガス案内管31を通して、第1の燃焼排ガスと同じ三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導くようにしている。
【0027】
ここで、前記のように未燃成分が含まれた第1の燃焼排ガスとNOx成分が含まれた第2の燃焼排ガスとを三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導き、これらの燃焼排ガスを排ガス処理部32に収容された三元触媒によって処理させると、第1の燃焼排ガスに含まれた未燃成分のCOや炭化水素がCO2やH2Oに酸化される一方、前記の第2の燃焼排ガスに含まれたNOx成分がN2に還元されて、第1の燃焼排ガスに含まれる未燃成分と第2の燃焼排ガスに含まれるNOx成分とがまとめて効率よく環境を害さない安全な状態となるように処理されるようになる。
【0028】
そして、このように三元触媒を収容させた排ガス処理部32において処理されて、環境を害さない安全な状態になった後の燃焼排ガスを煙突33に導いて排出させるようにしている。
【0029】
また、この実施形態における燃焼処理設備において、未燃成分が含まれる第1の燃焼排ガスとNOx成分が含まれる第2の燃焼排ガスとを三元触媒を収容させた排ガス処理部32において処理した後においても、処理後の燃焼排ガス中に依然として未燃成分が残ることがあり、このように未燃成分が残っ状態で燃焼排ガスを煙突33から排出させる場合に、これらの未燃成分が溜まって爆発したりするおそれがある。
【0030】
このため、図2に示すように、三元触媒を収容させた前記の排ガス処理部32よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部32から排出された燃焼排ガス中に残留する未燃成分を酸化させる酸化処理装置34を設けることが好ましい。ここで、前記の酸化処理装置34としては、例えば、燃焼排ガス中に残留する未燃成分を燃焼させる後燃焼装置や、酸化触媒を収容させた酸化処理部を設けるようにすることができる。
【0031】
また、前記の実施形態における燃焼処理設備においては、空気比μが1より小さい非酸化状態で第1の燃焼装置11によって燃焼を行う第1の燃焼加熱部10と、空気比μが1より大きい状態で第2の燃焼装置21によって燃焼を行う第2の燃焼加熱部20とをシール部30を介して連続するように設け、連続するストリップからなる被処理物Wを前記のシール部30を通して第1の燃焼加熱部10から第2の燃焼加熱部20に導いて、前記の被処理物Wを連続して加熱処理するようにしたが、第1の燃焼加熱部10と第2の燃焼加熱部20とを分離させて設け、第1の燃焼加熱部10と第2の燃焼加熱部20とにおいて、それぞれ別の被処理物Wを加熱処理させるようにすることもできる。
【0032】
例えば、図3に示すように、空気比μが1より小さい非酸化状態で燃焼を行う第1の燃焼装置11に、前記の実施形態と同様の直火バーナー11Aを用いた第1の燃焼加熱部10と、空気比μが1より大きい状態で燃焼を行う第2の燃焼装置21に、前記の実施形態と同様のラジアントチューブバーナー21Aを用いた第2の燃焼加熱部20とを分離させて設けるようにすることができる。
【0033】
そして、この場合においても、第1の燃焼加熱部10において発生した未燃成分を含む第1の燃焼排ガスを、第1の燃焼加熱部10から排ガス案内管31を通して、三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導くようにすると共に、第2の燃焼加熱部20において、バーナー21bが設けられていないラジアントチューブ21aの他端側から排出されるNOx成分を含む第2の燃焼排ガスを、排ガス案内管31を通して、第1の燃焼排ガスと同じ三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導き、これらの燃焼排ガスを排ガス処理部32における三元触媒によって処理させるようにする。
【0034】
このようにすると、前記の実施形態の場合と同様に、第1の燃焼排ガスに含まれる未燃成分となるCOや炭化水素がCO2やH2Oに酸化される一方、前記の第2の燃焼排ガスに含まれるNOx成分がN2に還元され、燃焼排ガスが環境を害さない安全な状態になって煙突33に導かれて排出されるようになる。
【0035】
また、第1の燃焼加熱部10と第2の燃焼加熱部20とを分離させて設けるにあたり、図4に示すように、第1の燃焼加熱部10においては、前記の実施形態と同様に、空気比μが1より小さい非酸化状態で燃焼を行う第1の燃焼装置11として、空気比μが1.0未満になるようにして燃焼を行う直火バーナー11Aを設ける一方、第2の燃焼加熱部20において、空気比μが1より大きい状態で燃焼を行う第2の燃焼装置21として、燃料供給管21cから供給された燃料ガスに燃焼用空気供給管21dから供給された燃焼用空気を混合させて燃焼させる直火バーナー21Bを用い、空気比μを1.0よりも大きくして燃焼させるようにすることができる。
【0036】
そして、前記の第1の燃焼加熱部10において発生した未燃成分を含む第1の燃焼排ガスを、第1の燃焼加熱部10から排ガス案内管31を通して、三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導くようにすると共に、前記の第2の燃焼加熱部20において発生したNOx成分を含む第2の燃焼排ガスを、排ガス案内管31を通して、第1の燃焼排ガスと同じ三元触媒を収容させた排ガス処理部32に導き、これらの燃焼排ガスを排ガス処理部32における三元触媒によって処理させるようにする。
【0037】
このようにすると、前記の場合と同様に、第1の燃焼排ガスに含まれる未燃成分となるCOや炭化水素がCO2やH2Oに酸化される一方、前記の第2の燃焼排ガスに含まれるNOx成分がN2に還元され、燃焼排ガスが環境を害さない安全な状態になって煙突33に導かれて排出されるようになる。
【0038】
なお、前記の図3図4に示すように、第1の燃焼加熱部10と第2の燃焼加熱部20とを分離させて設けた場合においても、前記の図2に示すように、三元触媒を収容させた前記の排ガス処理部32よりも燃焼排ガスの排出方向下流側の位置に、排ガス処理部32から排出された燃焼排ガス中に残留する未燃成分を酸化させる酸化処理装置34を設けることが好ましい。
【0039】
なお、図示は省略しているが、燃料供給管11a,21c及び燃焼用空気供給管11b,21dには空気比を調整するための流量調整弁等を備えていることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
10 :第1の燃焼加熱部
11 :第1の燃焼装置
11A :直火バーナー
11a :燃料供給管
11b :燃焼用空気供給管
20 :第2の燃焼加熱部
21 :第2の燃焼装置
21A :ラジアントチューブバーナー
21B :直火バーナー
21a :ラジアントチューブ
21b :バーナー
21c :燃料供給管
21d :燃焼用空気供給管
30 :シール部
31 :排ガス案内管
32 :排ガス処理部
33 :煙突
34 :酸化処理装置
W :被処理物
【要約】
【課題】 COや炭化水素等の未燃成分が含まれる燃焼排ガスと、NOxが含まれる燃焼排ガスとをまとめて効率よく処理し、環境を害さない安全な状態にして、これらの燃焼排ガスを適切に排出できるようにする。
【解決手段】 空気比が1より小さい非酸化状態で燃焼を行う第1の燃焼装置11が設けられた第1の燃焼加熱部10と、空気比が1より大きい状態で燃焼を行う第2の燃焼装置21が設けられた第2の燃焼加熱部20とを有する燃焼処理設備において、第1の燃焼装置による燃焼により第1の燃焼加熱部において生じた未燃成分を含む第1の燃焼排ガスと、第2の燃焼装置による燃焼により第2の燃焼加熱部において生じたNOx成分を含む第2の燃焼排ガスとを一緒にして三元触媒を収容させた排ガス処理部32において処理するようにした。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4