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特許6125095通信が簡略化されたマルチデバイスシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125095
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】通信が簡略化されたマルチデバイスシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   G06F13/00 351A
   G06F13/00 357A
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-508194(P2016-508194)
(86)(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公表番号】特表2016-522479(P2016-522479A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014058278
(87)【国際公開番号】WO2014173977
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】13165189.5
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ロタ,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ランジェロヴィック,ゾラン
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−244516(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/093848(WO,A2)
【文献】 特開2007−208810(JP,A)
【文献】 特開2009−060163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス(10)及び少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイス(20)を含む、システム(1)であって、
前記少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び前記少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスはそれぞれ、制御ユニット(11、21)及び短距離無線通信ユニット(12、22)を含み、
前記システムは、第1の機能(FCT1)の実行を可能とする少なくとも1つの第1の機能プロファイル(PRO1)を使用するよう適合され、
前記第1のプロファイルにより、前記第1のデバイスは第1の符号化されたメッセージ(MOT1)を生成でき、
前記第2のデバイスが前記第1の符号化されたメッセージを受信すると、前記第1の機能が前記少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスによって実行される、システムにおいて、
前記システムは、前記システムが、前記第2のコマンド受信デバイスが前記第1の符号化されたメッセージ(MOT1)の受信に応答して、前記第1のプロファイル(PRO1)を用いて前記第1の機能(FCT1)とは異なり、前記第1のプロファイル(PRO1)にリンクされていない第2の機能(FCT2)を実行できるよう構成されることを特徴とする、システム(1)。
【請求項2】
前記第1のプロファイル(PRO1)により、前記第1のデバイスは、第1の機能(FCT1)及び第2の機能(FCT2)の実行をそれぞれ可能とする第1の符号化されたメッセージ(MOT1)及び第2の符号化されたメッセージ(MOT2)を生成できることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の機能(FCT1)はキー検索機能であり、前記第2の機能(FCT2)は写真機能であり、前記キー検索機能が起動されると、前記第2のコマンド受信デバイス(20)は、前記第1のコマンド発行デバイス(10)と前記第2のコマンド受信デバイス(20)との間の距離が予めプログラムされた値を超えた場合、信号を発することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のデバイス(10)は腕時計であり、前記第2のデバイス(20)はタッチタブレットであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のデバイス(10)はタッチタブレットであり、前記第2のデバイス(20)は腕時計であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス(10)及び前記少なくとも2つの第2のコマンド受信デバイス(20)を含み、
前記少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び前記少なくとも2つの第2のコマンド受信デバイスはそれぞれ、前記第1の符号化されたメッセージの受信に応答して機能を実行でき、
前記第1のデバイス(10)は、前記第2のコマンド受信デバイス(20)のうちの1つだけに限定して、前記第1の符号化されたメッセージを送信するよう配設される
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスを含むシステムに関し、上記少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスはそれぞれ、制御ユニット及び短距離無線通信ユニットを含み、上記システムは第1の機能の実行を可能とする少なくとも1つの第1の機能プロファイルを使用するよう適合され、上記第1のプロファイルにより上記第1のデバイスは第1の符号化されたメッセージを生成でき、上記第2のデバイスが第1の符号化されたメッセージを受信すると、上記第1の機能が上記少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスによって実行される。
【背景技術】
【0002】
Bluetooth(登録商標)プロトコルは、遠距離通信産業の仕様である。Bluetoothプロトコルは、電子デバイス間の接続を簡略化するよう設計された短距離無線技術を用いる。これはコンピュータとプリンタとの間のケーブルに取って代わるよう設計された。このプロトコルは、携帯型音楽プレーヤ及び携帯電話といった携帯型電子デバイスまで拡張されてきた。
【0003】
この仕様により、デバイスは短距離通信によってデータ又はコマンドを交換できる。Bluetoothプロトコルは例えば、コンピュータをマウスにワイヤレスで接続できる。Bluetoothプロトコルは、Bluetoothプロトコルに関わる又はBluetoothプロトコルを使用する様々なブランド間で、相互運用を達成するための規格である。
【0004】
様々なプロファイルがBluetoothプロトコルにおいて作成される。プロファイルは、特定の用途の機能的仕様、即ち機能である。プロファイルはまた、様々なタイプの周辺機器に対応する。プロファイルの目的は、全てのBluetoothデバイス間の相互運用を保証することである。
【0005】
従って、機能に関するプロファイルは、その機能を使用する全てのデバイスにおいて使用され、これにより製品のブランドにかかわらず、上記機能を常に起動できる。このようなプロファイルは:
‐所定の用途を実装する方法;
‐使用することになる特定のプロトコル;並びに
‐これらプロトコルの制約及び値の範囲
を定義する。
【0006】
このシステムの1つの欠点は、新たな機能の作成には新たなプロファイルの作成が必要であり、これにはたいへんな作業を伴うことである。実際、プロファイルを作成するための作業は、上記機能を使用する全てのBluetoothデバイス間の相互運用等の制約を考慮しなければならない。従ってプロファイルの作成は、資金及び時間に関する相当なコストにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、新たな機能をより簡単に動作させ統合する、Bluetooth技術を用いるシステムを提供することにより、従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスを含むシステムに関し、上記少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスはそれぞれ、制御ユニット及び短距離無線通信ユニットを含む。上記システムは、第1の機能の実行を可能とする少なくとも1つの第1の機能プロファイルを使用するよう適合される。上記第1のプロファイルにより、上記第1のデバイスは第1の符号化されたメッセージを生成でき、上記第2のデバイスが第1の符号化されたメッセージを受信すると、上記第1の機能が上記少なくとも1つの第2のコマンド受信デバイスによって実行される。このシステムは、このシステムが、第2のコマンド受信デバイスが第1の符号化されたメッセージの受信に応答して第2の機能を実行できるよう、構成されることを特徴とする。
【0009】
第1の有利な実施形態では、第1のプロファイルにより、上記第1のデバイスは、第1の機能及び第2の機能の実行をそれぞれ可能とする第1の符号化されたメッセージ及び第2の符号化されたメッセージを生成できる。
【0010】
第2の有利な実施形態では、第1の機能はオブジェクト検索機能であり、第2の機能は写真機能である。
【0011】
第3の有利な実施形態では、第1のデバイスは腕時計であり、第2のデバイスはタッチタブレットである。
【0012】
別の有利な実施形態では、第1のデバイスはタッチタブレットであり、第2のデバイスは腕時計である。
【0013】
別の有利な実施形態では、システムは、少なくとも1つの第1のコマンド発行デバイス及び少なくとも2つの第2のコマンド受信デバイスを含み、これらはそれぞれ第1の符号化されたメッセージの受信に応答して機能を実行でき、上記第1のデバイスは、第2のコマンド受信デバイスのうちの1つだけに限定して、上記第1の符号化されたメッセージを送信するよう配設される。
【0014】
本発明によるシステムの目的、利点、特徴は、非限定的な例としてのみ与えられ、添付の図面に例示された、本発明の少なくとも1つの実施形態の以下の詳細な説明において、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明によるデバイスのシステムの概略図である。
図2図2は、本発明によるデバイスのシステムの動作の概略図である。
図3図3は、本発明によるデバイスの代替的な動作モードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明によるシステムを示す。このシステム1は、携帯電話又はコンピュータ又はタッチタブレット又は腕時計といった、少なくとも2つのデバイス10、20を含む。このシステムは、第1のデバイス10及び第2のデバイス20を含むことが理解される。
【0017】
これらのデバイスはそれぞれ、上記デバイスを制御するための中央ユニット11、21、データ及びコマンドの記憶のためのメモリ領域12、23、並びにデータ又はコマンドを受信及び伝送できる通信回路12、22を備える。この通信回路12、22は、短距離のために使用されかつ2.4GHzの周波数を用いるBluetoothプロトコル等の特定の通信プロトコルに従って動作するよう配設される。各デバイス10、20は更に、表示手段14、24を含む。システム1は、第1のデバイス10となるコマンド発行デバイスと、第2のデバイス20となるコマンド受信デバイスとを含むことが想定される。
【0018】
以下の説明は、電子タッチ腕時計及びiPad(登録商標)タイプのタッチタブレットといった、2つのデバイスを有するシステム1の例を挙げる。電子腕時計は、ディスプレイのためのLCDスクリーンと、腕時計を制御するためのタッチ及び/又は従来のキーとを備える。タッチタブレットは、LCDタッチスクリーンと、ビデオ通話又は写真撮影用のカメラとを備える。電子腕時計は、タッチタブレットである第2のデバイスを制御するために使用される第1のデバイスである。
【0019】
これらのデバイス10、20はまた、特定の数の機能を実行できるよう構成される。従って、このような様々な機能のために多数のプロファイルPROが使用されることが理解される。
【0020】
これらプロファイルPROは、ソフトウェアの形態を取り、第1のデバイス10に統合された第1の部分及び第2のデバイス20に統合された第2の部分を有する。第1の部分がコマンド発行デバイス即ち第1のデバイス10に含まれ、第2の部分がコマンド受信デバイス即ち第2のデバイス20に組み込まれることが想定される。その結果として第1及び第2の部分は互いに協働し、第1のデバイス10及び特に使用されるプロファイルの第1の部分が、使用されるプロファイルの第2の部分によって解釈されるコマンドを送信する。
【0021】
本発明によると有利には、第2のデバイス20即ちコマンド受信デバイスは、プロファイルの第2の部分が上記プロファイルにリンクされたもの以外の機能を実行するようにプログラムされる。これは、図2に示すように、2つのデバイス10、20を備えるシステム1が、第1の機能FCT1の動作のために使用される第1のプロファイルPRO1を使用するよう構成されること、及びその一方でコマンド受信デバイスは第2の機能FCT2を起動するためにこの第1のプロファイルPRO1を使用することを意味する。例えば、キー検索機能のために使用されるプロファイルは、写真のために使用される。
【0022】
実際、このようなキー検索機能に関して、動作は以下の通りである。機能が起動されると、コマンド発行デバイスは、機能が起動されることを示す符号化されたメッセージMOT1をコマンド受信デバイスに送信する。その結果として、2つのデバイスはBluetoothプロトコルを用いてこれら2つのデバイス間の距離を決定するため、上記距離が予めプログラムされた値を超えた場合、コマンド受信デバイス20は光又は音声信号を発することができる。このように、符号化されたメッセージMOT1は、プロファイルPRO1のみに関連するメッセージである。
【0023】
従って本発明は、この符号化されたメッセージMOT1を第2の機能のために使用することからなる。
【0024】
その結果として、プロファイルの第2の部分は、第1の機能FCT1の代わりに第2の機能FCT2が実行されるように修正される。例えばこの第2の部分は、無料若しくは有料アプリケーションを介してダウンロードできるか、又はデバイスのオペレーティングソフトウェアに直接組み込むことができる。
【0025】
第1のステップは第2の機能FCT2を起動することである。即ち、対応するアプリケーションは実行中であるが、いかなる動作も実施しない。この第2の機能FCT2は、コマンド受信デバイス20がオンになるとすぐに実行できる。第2のステップは、コマンド受信デバイス20が符号化されたメッセージMOT1を受信した際に起こり、上記コマンド受信デバイス20は続いて機能の動作を実行する。第2の機能FCT2が写真機能である例では、第1のステップは、コマンド受信デバイス20において写真アプリケーションを開くことからなる。第2のステップは、符号化されたメッセージMOT1を受信した後に写真機能を動作させること、即ち上記デバイスのカメラを用いて写真を撮ることからなる。
【0026】
図3において確認できる変形例では、使用されるプロファイルは複数のレベルを有する。複数のレベルを有するプロファイルは、複数の符号化されたメッセージMOT1、MOT2等…と通信できるプロファイルである。
【0027】
よってこの変形例は、同一のプロファイルを異なる機能のために使用できるという利点を有する。実際、コマンド受信デバイス20の異なる機能は、符号化されたプロファイルメッセージのうちの1つのみに応答するようプログラムされる。例えば、第1のプロファイルPRO1は、2つの符号化されたメッセージMOT1、MOT2を有する。第1の符号化されたメッセージMOT1が第1の機能FCT1のために使用されるように、及び第2の符号化されたメッセージMOT2が第2の機能FCT2のために使用されるように、機能をプログラムできる。従って、両方の機能を起動する場合、第1の符号化されたメッセージMOT1又は第2の符号化されたメッセージMOT2の受信は、第1の機能FCT1又は第2の機能FCT2の実行につながる。
【0028】
別の変形例では、システム1は、複数のコマンド受信デバイス20を備えてよい。これらコマンド受信デバイス20はそれぞれ、第1のデバイスの第1のプロファイルPRO1が生成する第1の符号化されたメッセージMOT1に応答して機能を実行できる。これら機能FCTは、コマンド受信デバイス20毎に異なっていてよい。
【0029】
よってコマンド発行デバイス10は、コマンド受信デバイス20のうちの1つのみに、第1の符号化されたメッセージMOT1を送信できるよう構成される。
【0030】
その結果として、ユーザがコマンド発行デバイス10を利用して機能FCTを選択及び起動する場合、コマンド発行デバイス10は適切なコマンド受信デバイス20を予め選択し、上記コマンド受信デバイス20に第1の符号化されたメッセージMOT1を送信し、これによって選択されたコマンド受信デバイス20はその機能を実行できる。第1の符号化されたメッセージMOT1は、適切なコマンド受信デバイス20のみが読み出し及び解釈できるコードを含み得ることが理解されるだろう。
【0031】
添付の請求項によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には明らかな様々な変更及び/又は改良及び/又は組み合わせを、上に示した本発明の実施形態に対して行ってよいことは明らかである。
図1
図2
図3