(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動可能であるキャリッジと、前記キャリッジに搭載されてインクを吐出する記録ヘッドと、前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに前記インクを供給するためのキャリッジ搭載型インク供給装置と、前記インクの補充のタイミングを通知するインク補充タイミング通知装置とを備えており、
前記キャリッジ搭載型インク供給装置は、前記インクを貯留する容器であって交換可能である交換インク容器と、前記インクの流路において前記記録ヘッドおよび前記交換インク容器の中間に配置される中間装置とを備えており、
前記中間装置は、前記インクを貯留する容器である中間インク容器と、前記中間インク容器内の前記インクの量が所定の量になったことを検出するインク量検出装置とを備えており、
前記中間インク容器は、貯留している前記インクの量に応じて容量が可変であり、
前記インク補充タイミング通知装置は、前記中間インク容器内の前記インクの量が所定の量になったことが前記インク量検出装置によって検出された場合に、前記インクの補充のタイミングを通知することを特徴とするインクジェットプリンター。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャリッジ搭載型インク供給装置が交換インク容器を備えている従来のインクジェットプリンターにおいては、インクの消費量が比較的多いインクジェットプリンター、すなわち、印刷可能な画像のサイズが比較的大きいワイドフォーマットのインクジェットプリンター、または、印刷の速度が比較的速いインクジェットプリンターとして採用される場合、交換インク容器が小型であるために、交換インク容器の交換のために印刷が頻繁に中断される必要があるので、相応しくないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、インクの粒子の沈殿による不具合の発生と、交換インク容器の交換による印刷の中断の発生とを抑えることができるインクジェットプリンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェットプリンターは、移動可能であるキャリッジと、前記キャリッジに搭載されてインクを吐出する記録ヘッドと、前記キャリッジに搭載されて前記記録ヘッドに前記インクを供給するためのキャリッジ搭載型インク供給装置と、前記インクの補充のタイミングを通知するインク補充タイミング通知装置とを備えており、前記キャリッジ搭載型インク供給装置は、前記インクを貯留する容器であって交換可能である交換インク容器と、前記インクの流路において前記記録ヘッドおよび前記交換インク容器の中間に配置される中間装置とを備えており、前記中間装置は、前記インクを貯留する容器である中間インク容器と、前記中間インク容器内の前記インクの量が所定の量になったことを検出するインク量検出装置とを備えており、前記インク補充タイミング通知装置は、前記中間インク容器内の前記インクの量が所定の量になったことが前記インク量検出装置によって検出された場合に、前記インクの補充のタイミングを通知することを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、キャリッジ搭載型インク供給装置が交換インク容器を備えているので、交換インク容器から記録ヘッドまでのインクの流路がキャリッジの移動に伴って全て移動する。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器から記録ヘッドまでのインクの流路の移動による流路内のインクの粒子の攪拌によって、インクの粒子の沈殿による不具合の発生を抑えることができる。また、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器内のインクが無くなった場合であっても中間インク容器内にインクを貯留しているとともに、中間インク容器内のインクの量が所定の量になった場合にインクの補充のタイミングを通知するので、交換インク容器内のインクが無くなって交換インク容器が交換される必要が生じた場合であっても、暫くは中間インク容器に貯留されているインクが記録ヘッドに供給されることによって、記録ヘッドに供給されるインクが直ちに途切れることがない。すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器の交換による印刷の中断の発生を抑えることができる。
【0010】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間インク容器は、貯留している前記インクの量に応じて容量が可変であっても良い。
【0011】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、中間インク容器内のインクの量の減少によるインクの圧力の低下を抑えることができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、中間インク容器に貯留されているインクが円滑に記録ヘッドに供給されることができる。
【0012】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間インク容器は、前記中間インク容器自身の容量の変化に伴って移動する移動部を備えており、前記インク量検出装置は、前記中間インク容器内の前記インクの量が所定の量になったことを前記移動部の位置によって検出しても良い。
【0013】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、中間インク容器内のインクの量が所定の量になったことを簡単な構成で検出することができる。
【0014】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間インク容器は、容量が縮小する方向に自重による力が加わっていても良い。
【0015】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、中間インク容器の容量が縮小する場合に中間インク容器の変形を補助する付勢部材が不要であるので、この付勢部材を備えている構成と比較して、この付勢部材を備えていない分だけ中間インク容器の最大容量を大きくすることができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器内のインクが無くなって交換インク容器が交換される必要が生じてから、記録ヘッドに供給されるインクが途切れるまでの時間を延長することができる。すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器が交換される必要が生じた後、交換インク容器が交換されれば良い期間を延長することができる。
【0016】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記交換インク容器は、前記中間装置に装着されることが可能であり、前記中間装置は、前記インクの流路において前記交換インク容器および前記中間インク容器を連通させる連通弁を備えており、前記連通弁は、前記交換インク容器が前記中間装置に装着されることによって開く弁であっても良い。
【0017】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器が中間装置から取り外される場合に、連通弁が自動的に閉じて交換インク容器および中間インク容器の連通を遮断するので、中間装置のインクの流路において中間インク容器より上流のインクが下流に流れず、結果として、中間装置のインクの流路のうち中間インク容器より上流の部分に外部から空気が流入することを防止することができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器の交換の度に中間装置のインクの流路に空気が流入する構成と比較して、流路に流入した空気を排出する作業の発生を抑えることができる。本発明のインクジェットプリンターは、流路に流入した空気を排出する作業の発生を抑えることができる場合、例えば、この作業に伴うインクの消費を防ぐことができるし、この作業によって印刷が中断することを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記交換インク容器は、前記キャリッジの移動に伴う慣性力によって前記インクを攪拌する部材である交換容器用攪拌部材を内蔵していても良い。
【0019】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、印刷の実行によってキャリッジが移動する場合に、交換容器用攪拌部材がキャリッジに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けて交換インク容器内のインクを自動的に攪拌するので、粒子が沈殿し易いインクを使用した印刷が実行されるときであっても、交換インク容器内においてインクの粒子が沈殿することを防止することができる。
【0020】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間装置は、前記交換インク容器が装着されることが可能であり、前記交換インク容器は、前記中間装置に装着されていない状態のときに前記交換容器用攪拌部材が自重によって嵌合する嵌合部を備えており、前記嵌合部は、鉛直方向における位置が、前記交換インク容器における前記インクの取り出し口より上に形成されており、前記交換容器用攪拌部材は、前記嵌合部に嵌合している場合に前記取り出し口の栓となっても良い。
【0021】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器が中間装置から取り外される場合に、交換インク容器において交換容器用攪拌部材が自重によって自動的にインクの取り出し口の栓となるので、交換インク容器内のインクが取り出し口から流出することを防止することができる。
【0022】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記交換インク容器は、貯留している前記インクの量の減少に応じて空気を導入する空気孔が形成されており、前記交換インク容器は、前記インクの表面に浮かべられた浮き部材を内蔵していても良い。
【0023】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクの量の減少に応じて空気を導入する空気孔が交換インク容器からのインクの取り出しのために交換インク容器に必要である場合であっても、交換インク容器内のインクの表面に浮かべられた浮き部材によって、交換インク容器内に導入された空気が交換インク容器内のインクに触れる面積を抑えることができるので、交換インク容器内のインクの溶存空気量の上昇を抑えることができる。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、記録ヘッドによるインクの吐出の安定性がインクの溶存空気量の上昇によって低下することを防止することができる。すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、記録ヘッドによるインクの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッドによる印刷の質を維持することができる。
【0024】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記交換インク容器は、貯留している前記インクの量に応じて容量が可変であるインク袋と、前記インク袋を支持している支持部材とを備えていても良い。
【0025】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器のインク袋の容量がインクの量に応じて可変であるので、インクの量の減少に応じて空気を導入する空気孔がインク袋に形成される必要が無い。したがって、本発明のインクジェットプリンターは、記録ヘッドによるインクの吐出の安定性がインクの溶存空気量の上昇によって低下することを防止することができる。すなわち、本発明のインクジェットプリンターは、記録ヘッドによるインクの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッドによる印刷の質を維持することができる。
【0026】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記支持部材は、前記インク袋を吊り下げて支持し、前記インク袋における前記インクの取り出し口は、前記インク袋の下部に配置されていても良い。
【0027】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器のインク袋内のインクが自重によってインク袋の下部に自動的に集まるので、交換インク容器のインク袋内のインクを最後まで容易に取り出すことができる。
【0028】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記支持部材は、前記インク袋の下部を挟み込んで支持する2つの下部支持部を備えており、前記2つの下部支持部の間の幅は、下方ほど狭くなっており、前記インク袋における前記インクの取り出し口は、前記インク袋の下部に配置されていても良い。
【0029】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、交換インク容器のインク袋内のインクが自重によってインク袋の下部に自動的に集まるので、交換インク容器のインク袋内のインクを最後まで容易に取り出すことができる。
【0030】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間装置は、前記インクの流路において前記記録ヘッドに供給される前記インクの圧力を所定の範囲の負圧に維持する負圧維持装置を備えていても良い。
【0031】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、インクの流路において負圧維持装置より上流に存在するインクがキャリッジに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けたとしても、記録ヘッドに供給されるインクの圧力が負圧維持装置によって常に所定の範囲の負圧に維持されるので、記録ヘッドによるインクの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッドによる印刷の質を維持することができる。
【0032】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記負圧維持装置は、貯留している前記インクの量に応じて容量が可変である容量可変インク貯留部と、前記容量可変インク貯留部の容量の変化に伴って移動するとともに一面側に大気圧を受ける受圧板と、前記受圧板に押されることによって前記容量可変インク貯留部内に前記インクを導入する受圧弁とを備えており、前記中間インク容器は、前記容量可変インク貯留部を備えていても良い。
【0033】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、中間インク容器と、負圧維持装置の容量可変インク貯留部とを共通の構成によって実現しているので、中間インク容器と、負圧維持装置の容量可変インク貯留部とを別々の構成によって実現する構成と比較して、小型化することができる。
【0034】
また、本発明のインクジェットプリンターにおいて、前記中間装置は、前記インクの流路において前記負圧維持装置の下流に配置されて前記インクを貯留する負圧インク容器を備えており、前記負圧インク容器は、前記キャリッジの移動に伴う慣性力によって前記インクを攪拌する部材である負圧容器用攪拌部材を内蔵していても良い。
【0035】
この構成により、本発明のインクジェットプリンターは、印刷の実行によってキャリッジが移動する場合に、負圧容器用攪拌部材がキャリッジに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けて負圧インク容器内のインクを自動的に攪拌するので、粒子が沈殿し易いインクを使用した印刷が実行されるときであっても、負圧インク容器内においてインクの粒子が沈殿することを防止することができる。なお、本発明のインクジェットプリンターは、インクの流路において交換インク容器よりも記録ヘッドに近い負圧インク容器内においてインクの粒子が沈殿することを防止することができるので、交換インク容器内においてインクの粒子が沈殿することを防止する構成と比較して、記録ヘッドによって吐出されるインクにおける粒子の濃度の均一性を向上することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明のインクジェットプリンターは、インクの粒子の沈殿による不具合の発生と、交換インク容器の交換による印刷の中断の発生とを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0039】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の斜視図である。
【0041】
図1に示すように、インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向に延在する本体11と、用紙などの記録媒体90を搬送する媒体搬送装置12とを備えている。
【0042】
本体11は、矢印10aで示す主走査方向に延在しているガイドレール11aと、矢印10aで示す主走査方向に移動可能にガイドレール11aに支持されているキャリッジ11bとを備えている。キャリッジ11bは、後述の記録ヘッド11cを搭載している。
【0043】
媒体搬送装置12は、本体11の記録ヘッド11cに対して矢印10bで示す副走査方向に記録媒体90を搬送する装置である。
【0044】
図2は、インクジェットプリンター10のキャリッジ搭載型インク供給装置20の模式図である。
【0045】
インクジェットプリンター10は、
図2に示すキャリッジ搭載型インク供給装置20を備えている。キャリッジ搭載型インク供給装置20は、インク10cを吐出する記録ヘッド11cにインク10cを供給するための装置である。なお、インク10cとしては、水性インク、ラテックスインク、捺染染料インク、昇華インク、分散インク、ソルベントインク、UVインクなど、任意のインクが採用されることができる。
【0046】
記録ヘッド11cおよびキャリッジ搭載型インク供給装置20は、キャリッジ11bに搭載されており、キャリッジ11bとともに矢印10aで示す主走査方向に移動するようになっている。
【0047】
キャリッジ搭載型インク供給装置20は、脱気されたインク10cを貯留する容器であって交換可能である交換インク容器30と、インク10cの流路において記録ヘッド11cおよび交換インク容器30の中間に配置されている中間装置40とを備えている。
【0048】
交換インク容器30、中間装置40および記録ヘッド11cは、鉛直方向における位置がこの順で下になっている。
【0049】
交換インク容器30は、中間装置40に着脱されることが可能になっている。
【0050】
図3は、キャリッジ搭載型インク供給装置20の正面断面図である。
図4は、中間装置40の雄コネクター42が挿し込まれていない状態での交換インク容器30の正面断面図である。
【0051】
図3および
図4に示すように、交換インク容器30は、可撓性のないプラスチック製のケース31を備えている。
【0052】
ケース31は、中間装置40の雄コネクター42が挿し込まれる挿込口31aと、貯留しているインク10cの量の減少に応じて空気を導入する空気孔31bとが形成されている。また、ケース31は、交換インク容器30が中間装置40に装着されている場合に中間装置40の連通弁70を押す突起部31cを備えている。
【0053】
挿込口31aは、交換インク容器30内のインク10cがインク10cの自重によって最後まで取り出されることができるように、交換インク容器30の下方に設けられている。
【0054】
空気孔31bは、交換インク容器30においてインク10cを貯留することができる空間の容量が変化しない場合に、交換インク容器30内のインク10cをインク10cの自重で挿込口31aを介して交換インク容器30の外部に取り出すために必要な孔である。空気孔31bは、交換インク容器30の輸送時または保管時に、
図4に示すように栓、シールなどの封止部材39によって封止されている。
【0055】
交換インク容器30は、中間装置40の雄コネクター42が挿込口31aに挿し込まれている場合に雄コネクター42に接触してインク10cの漏れを防止する例えばゴム製の口栓32を備えている。口栓32は、雄コネクター42が最初に挿し込まれる前に、栓、シールなどの図示していない封止部材によって穴が塞がれているか、
図4に示すように穴自体が開いていない。
【0056】
また、交換インク容器30は、キャリッジ11bの移動に伴う慣性力によってインク10cを攪拌する部材である交換容器用攪拌部材としての攪拌球33と、交換インク容器30が中間装置40に装着されていない状態のときに攪拌球33が自重によって嵌合する嵌合部34と、インク10cの表面に浮かべられた浮き部材としての脱気度維持蓋35とを内蔵している。
【0057】
攪拌球33は、嵌合部34に嵌合している場合に、交換インク容器30におけるインク10cの取り出し口、すなわち、挿込口31aの栓となる。攪拌球33は、ステンレス鋼、黄銅などの金属によって形成されていても良い。攪拌球33は、黄銅、鉄などの金属が、ポリエステル、ポリパラキシリレンなど、インク10cに溶けないプラスチックによってコーティングされたものであるコーティング金属によって形成されていても良い。攪拌球33は、プラスチックによって形成されていても良い。攪拌球33は、プラスチックと、無機物とのハイブリッド樹脂によって形成されていても良い。
【0058】
嵌合部34は、鉛直方向における位置が、挿込口31aより上に形成されている。
【0059】
脱気度維持蓋35は、インク10cより比重が軽い多数の球によって構成されている。例えば、脱気度維持蓋35は、ポリエチレン製の多数の球によって構成されている。
【0060】
図3に示すように、中間装置40は、可撓性のないプラスチック製のケース41を備えている。
【0061】
ケース41は、交換インク容器30の突起部31cが挿し込まれる挿込口41aと、空気を流通させるための空気孔41bおよび空気孔41cと、記録ヘッド11c(
図2参照。)に向けてインク10cを排出するためのインク排出口41dとが形成されている。また、ケース41は、交換インク容器30からインク10cを取り出すために交換インク容器30の挿込口31aに挿し込まれる雄コネクター42を備えている。
【0062】
雄コネクター42は、内部に形成されている流路にインク10cを導入するためのインク導入口42aが先端部分に形成されている。雄コネクター42は、交換インク容器30の口栓32に穴が開いていない場合に口栓32に突き刺さって口栓32に穴を開けることができるように、針状に形成されている。
【0063】
中間装置40は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変である中間インク容器50と、インク10cの流路において記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力を所定の範囲の負圧に維持する負圧維持装置60と、インク10cの流路において交換インク容器30および中間インク容器50を連通させる連通弁70と、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことを検出するインク量検出装置80とを備えている。
【0064】
中間インク容器50は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変であるインク貯留部51と、中間インク容器50自身の容量の変化に伴って移動する移動部としてのインクエンド検出用板52と、インク貯留部51の容量が縮小する方向にインクエンド検出用板52を付勢するバネ53とを備えている。
【0065】
インク貯留部51は、蛇腹、風船などの容量が可変である容器である。
【0066】
インクエンド検出用板52は、矢印52aで示す方向に移動可能である。
【0067】
負圧維持装置60は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変である容量可変インク貯留部61と、容量可変インク貯留部61の容量の変化に伴って移動するとともに一面側に大気圧を受ける受圧板62と、受圧板62に押されることによって容量可変インク貯留部61内にインク10cを導入する受圧弁63とを備えている。
【0068】
容量可変インク貯留部61は、蛇腹、風船などの容量が可変である容器である。
【0069】
受圧板62は、矢印62aで示す方向に移動可能である。
【0070】
受圧弁63は、弁体63aと、受圧弁63が閉じる方向に弁体63aを付勢するバネ63bと、受圧弁63が閉じている場合にケース41および弁体63aの間のインク10cの漏れを防止するためのOリング63cとを備えている。
【0071】
受圧板62は、容量可変インク貯留部61内のインク10cの重力と、受圧板62自身の重力とによって、容量可変インク貯留部61の容量が増加する方向に押されている。したがって、受圧弁63が閉じている場合、容量可変インク貯留部61内のインク10cの圧力は負圧である。
【0072】
ここで、記録ヘッド11cによってインク10cが吐出されることによって容量可変インク貯留部61内のインク10cの量が減少すると、容量可変インク貯留部61の容量の減少に伴って受圧板62が上昇する。受圧板62は、上昇すると、弁体63aに接触して、弁体63aを押し上げて受圧弁63を開く。受圧弁63が開くと、受圧弁63を通って容量可変インク貯留部61にインク10cが導入される。容量可変インク貯留部61にインク10cが導入されると、容量可変インク貯留部61の容量が増加して、再び受圧弁63が閉じる。
【0073】
負圧維持装置60は、以上に説明した容量可変インク貯留部61および受圧弁63の働きによって、記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力を所定の範囲の負圧に維持する。
【0074】
インク量検出装置80は、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことをインクエンド検出用板52の位置によって検出する装置であり、例えば光学センサーである。
【0075】
図5(a)は、交換インク容器30が中間装置40に装着されていない場合の連通弁70の断面図である。
図5(b)は、交換インク容器30が中間装置40に装着されている場合の連通弁70の断面図である。
【0076】
図5に示すように、連通弁70は、弁体71と、弁体71を支持するダイヤフラム72と、連通弁70が閉じる方向に弁体71を付勢するバネ73とを備えている。連通弁70は、交換インク容器30が中間装置40に装着されたときに交換インク容器30の突起部31cが弁体71を押すことによって開く弁である。
【0077】
中間装置40は、以上に説明した連通弁70の働きによって、交換インク容器30が取り外された場合に、雄コネクター42(
図3参照。)のインク導入口42a(
図3参照。)からインク10cの流路に空気が引き込まれることを防止することができる。したがって、連通弁70は、インク10cの流路に引き込まれた空気によって記録ヘッド11c(
図2参照。)の吐出が不安定になるという不具合の発生を防止することができる。
【0078】
図6は、インクジェットプリンター10のブロック図である。
【0079】
図6に示すように、インクジェットプリンター10は、記録ヘッド11c(
図2参照。)に対して矢印10b(
図1参照。)で示す副走査方向に記録媒体90(
図1参照。)を搬送する上述の媒体搬送装置12と、記録ヘッド11cを搭載しているキャリッジ11b(
図1参照。)を矢印10a(
図1参照。)で示す主走査方向に移動させるキャリッジ駆動装置13と、記録ヘッド11cにインク10c(
図2参照。)を吐出させるヘッド駆動装置14と、警告音などの音を出力するスピーカー15と、LED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイス16と、外部の装置と通信を行う通信デバイス17と、上述のインク量検出装置80と、インクジェットプリンター10全体を制御する制御部18とを備えている。
【0080】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0081】
なお、制御部18は、インク10cの補充のタイミングをスピーカー15、表示デバイス16および通信デバイス17によって通知するようになっており、本発明のインク補充タイミング通知装置を構成している。
【0082】
次に、インクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0083】
まず、印刷時のインクジェットプリンター10の全体的な動作について説明する。
【0084】
インクジェットプリンター10の制御部18は、PC(Personal Computer)などの外部の装置から通信デバイス17を介して印刷データを受信すると、この印刷データに基づいて媒体搬送装置12、キャリッジ駆動装置13およびヘッド駆動装置14を制御する。そして、媒体搬送装置12は、制御部18の制御に応じて、記録ヘッド11cに対して矢印10bで示す副走査方向に記録媒体90を搬送する。また、キャリッジ駆動装置13は、制御部18の制御に応じて、記録ヘッド11cを搭載しているキャリッジ11bを矢印10aで示す主走査方向に移動させる。また、ヘッド駆動装置14は、制御部18の制御に応じて、記録ヘッド11cにインク10cを吐出させる。したがって、インクジェットプリンター10は、通信デバイス17を介して受信した印刷データに応じた画像を、記録ヘッド11cから吐出されるインク10cによって記録媒体90に印刷する。
【0085】
次に、インク10cの供給時のインクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0086】
記録ヘッド11cがインク10cを吐出すると、負圧維持装置60の容量可変インク貯留部61から記録ヘッド11cにインク10cが供給される。したがって、容量可変インク貯留部61内のインク10cの量は減少する。
【0087】
容量可変インク貯留部61内のインク10cの量が所定の量になると、上述したように受圧弁63が一時的に開くことによって、受圧弁63を通って容量可変インク貯留部61にインク10cが供給される。そして、受圧弁63を通って容量可変インク貯留部61にインク10cが供給されると、容量可変インク貯留部61に供給された量に相当する量のインク10cが中間インク容器50のインク貯留部51から負圧維持装置60に供給される。したがって、インク貯留部51内のインク10cの量は減少する。
【0088】
インク貯留部51内のインク10cの量が減少すると、減少した量に相当する量のインク10cが交換インク容器30から中間装置40に供給される。したがって、交換インク容器30内のインク10cの量は減少する。
【0089】
ここで、インク貯留部51の容量は、インクエンド検出用板52がインク貯留部51内のインク10cの圧力によって受ける力が、インクエンド検出用板52が大気圧によって受ける力と、インクエンド検出用板52がバネ53から受ける力との合計より大きい場合に増加し、等しい場合に変化せず、小さい場合に減少する。そして、インクエンド検出用板52がインク貯留部51内のインク10cの圧力によって受ける力は、交換インク容器30内のインク10cの量の減少に伴って減少する。すなわち、インク貯留部51の容量は、交換インク容器30内のインク10cの量の減少に伴って減少する。
【0090】
そして、インク貯留部51の容量が減少することによって、インク貯留部51の容量の変化に伴って移動するインクエンド検出用板52がインク量検出装置80に検出されると、インク量検出装置80は、インクエンド検出用板52を検出したことを示す信号を制御部18に送信する。
【0091】
制御部18は、インクエンド検出用板52を検出したこと、すなわち、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことがインク量検出装置80によって検出された場合に、インク10cの補充のタイミングをスピーカー15、表示デバイス16および通信デバイス17によって通知する。例えば、制御部18は、スピーカー15による音の出力と、表示デバイス16による表示とによって、交換インク容器30の交換の指示、または、交換インク容器30へのインク10cの補充の指示を利用者に通知することによって、交換インク容器30の交換、または、交換インク容器30へのインク10cの補充を利用者に指示することができる。また、制御部18は、交換インク容器30の交換の指示、または、交換インク容器30へのインク10cの補充の指示を通信デバイス17を介して外部の装置に通知することによって、交換インク容器30の交換、または、交換インク容器30へのインク10cの補充を、外部の装置の利用者に指示することができる。
【0092】
以上に説明したように、インクジェットプリンター10は、キャリッジ搭載型インク供給装置20が交換インク容器30を備えているので、交換インク容器30から記録ヘッド11cまでのインク10cの流路がキャリッジ11bの移動に伴って全て移動する。したがって、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30から記録ヘッド11cまでのインク10cの流路の移動による流路内のインク10cの粒子の攪拌によって、インク10cの粒子の沈殿による不具合の発生を抑えることができる。
【0093】
また、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30内のインク10cが無くなった場合であっても中間インク容器50内にインク10cを貯留しているとともに、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になった場合にインク10cの補充のタイミングを通知するので、交換インク容器30内のインク10cが無くなって交換インク容器30が交換される必要が生じた場合であっても、暫くは中間インク容器50に貯留されているインク10cが記録ヘッド11cに供給されることによって、記録ヘッド11cに供給されるインク10cが直ちに途切れることがない。すなわち、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30の交換による印刷の中断の発生を抑えることができる。
【0094】
したがって、インクジェットプリンター10は、インクの消費量が比較的多いインクジェットプリンター、すなわち、印刷可能な画像のサイズが比較的大きいワイドフォーマットのインクジェットプリンター、または、印刷の速度が比較的速いインクジェットプリンターとして採用されることに適している。
【0095】
また、インクジェットプリンター10は、中間インク容器50に貯留されているインク10cが完全になくなる前に交換インク容器30が交換されることによって、インク10cの補充中も印刷を止めることなく継続することができる。
【0096】
なお、中間インク容器50の容量は、インクジェットプリンター10の印刷速度および印刷面積で決まるインク10cの平均消費量を目安に決定されれば良い。
【0097】
インクジェットプリンター10は、消耗品ではない中間装置40にインク量検出装置80が設けられているので、消耗品である交換インク容器30にインク量検出装置80が設けられている構成と比較して、消耗品のコストを低減することができる。
【0098】
また、インクジェットプリンター10は、貯留しているインク10cの量に応じて中間インク容器50の容量が可変であるので、中間インク容器50内のインク10cの量の減少によるインク10cの圧力の低下を抑えることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、中間インク容器50に貯留されているインク10cが円滑に記録ヘッド11cに供給されることができる。
【0099】
なお、中間インク容器50は、本実施の形態において容量が可変である容器であったが、容量が固定の容器であっても良い。
【0100】
インクジェットプリンター10は、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことをインクエンド検出用板52の位置によってインク量検出装置80が検出するので、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことを簡単な構成で検出することができる。
【0101】
なお、インク量検出装置80は、本実施の形態において光学センサーであったが、中間インク容器50内のインク10cの量が所定の量になったことを、接触式など、光学式以外の方法によって検出するようになっていても良い。
【0102】
インクジェットプリンター10は、インク10cの流路において負圧維持装置60より上流に存在するインク10cがキャリッジ11bに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けたとしても、記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力が負圧維持装置60によって常に所定の範囲の負圧に維持されるので、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッド11cによる印刷の質を維持することができる。
【0103】
また、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30が中間装置40から取り外される場合に、連通弁70が自動的に閉じて交換インク容器30および中間インク容器50の連通を遮断するので、中間装置40のインク10cの流路において中間インク容器50より上流のインク10cが下流に流れず、結果として、中間装置40のインク10cの流路のうち中間インク容器50より上流の部分に外部から空気が流入することを防止することができる。したがって、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30の交換の度に中間装置40のインク10cの流路に空気が流入する構成と比較して、流路に流入した空気を排出する作業の発生を抑えることができる。インクジェットプリンター10は、流路に流入した空気を排出する作業の発生を抑えることができる場合、例えば、この作業に伴うインク10cの消費を防ぐことができるし、この作業によって印刷が中断することを防ぐことができる。
【0104】
また、インクジェットプリンター10は、印刷の実行によってキャリッジ11bが移動する場合に、攪拌球33がキャリッジ11bに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けて交換インク容器30内のインク10cを自動的に攪拌するので、白インク、メタリックインクなど、粒子が沈殿し易いインク10cを使用した印刷が実行されるときであっても、交換インク容器30内においてインク10cの粒子が沈殿することを防止することができる。
【0105】
また、インクジェットプリンター10は、交換インク容器30が中間装置40から取り外される場合に、交換インク容器30において攪拌球33が自重と、インク10cからうける圧力とによって自動的にインク10cの取り出し口、すなわち、挿込口31aの栓となるので、交換インク容器30内のインク10cが挿込口31aから流出することを防止することができる。
【0106】
インク10cに溶けている酸素、窒素などの気体の量である溶存空気量が、一定の限度量を超えると、記録ヘッド11cからのインク10cの吐出の安定性を低下させるということが知られている。交換インク容器30に貯留されているインク10cは、脱気されていたとしても、交換インク容器30に空気孔31bが形成されているので、空気孔31bから導入された空気によって溶存空気量が時間の経過とともに上昇する可能性がある。
【0107】
インクジェットプリンター10は、インク10cの量の減少に応じて空気を導入する空気孔31bが交換インク容器30からのインク10cの取り出しのために交換インク容器30に必要である場合であっても、交換インク容器30内のインク10cの表面に浮かべられた脱気度維持蓋35によって、交換インク容器30内に導入された空気が交換インク容器30内のインク10cに触れる面積を抑えることができるので、交換インク容器30内のインク10cの溶存空気量の上昇を抑えることができる。したがって、インクジェットプリンター10は、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出の安定性がインク10cの溶存空気量の上昇によって低下することを防止することができる。すなわち、インクジェットプリンター10は、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッド11cによる印刷の質を維持することができる。
【0108】
なお、交換インク容器30および中間装置40の連結の方式は、本実施の形態に示した方式に限らず、交換インク容器30の装着によって交換インク容器30内のインク10cが中間装置40に供給されることが可能になる方式であれば、任意の方式が採用されることができる。
【0109】
交換インク容器30は、本実施の形態においてインク10cの表面に浮かべられた浮き部材としての脱気度維持蓋35を内蔵しているが、脱気度維持蓋35に代えて、
図7に示す板状の脱気度維持蓋36を浮き部材として内蔵していても良い。
【0110】
中間インク容器50および負圧維持装置60は、本実施の形態においてケース41によってユニット化されているので、ユニット化されていない構成と比較して、取り扱いの利便性を向上することができる。しかしながら、中間インク容器50および負圧維持装置60は、ユニット化されていなくても良い。
【0111】
インクジェットプリンター10は、交換インク容器30の位置が記録ヘッド11cの位置より低く保てる場合や、キャリッジ11bの加減速時の加速度が1G程度より小さい場合など、記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力が所定の範囲の負圧に維持される場合には、負圧維持装置60を備えていなくても良い。
【0112】
連通弁70は、本実施の形態においてダイヤフラム型の弁であるが、交換インク容器30が中間装置40に装着されたときに開く弁であれば、ダイヤフラム型以外の弁であっても良い。
【0113】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0114】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0115】
図8は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの中間装置140の正面断面図である。
【0116】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、
図8に示す中間装置140を中間装置40(
図3参照。)に代えてインクジェットプリンター10が備えた構成と同様である。
【0117】
中間装置140の構成は、ケース141、中間インク容器150およびインク量検出装置180を、ケース41(
図3参照。)、中間インク容器50(
図3参照。)およびインク量検出装置80(
図3参照。)に代えて中間装置40が備えた構成と同様である。
【0118】
ケース141の構成は、インク10cの流路の形状をケース41が変更した構成と同様である。
【0119】
中間インク容器150は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変であるインク貯留部151と、中間インク容器150自身の容量の変化に伴って移動する移動部としてのインクエンド検出用板152とを備えている。
【0120】
インク貯留部151は、蛇腹、風船などの容量が可変である容器である。
【0121】
インクエンド検出用板152は、矢印152aで示す方向に移動可能である。すなわち、中間インク容器150は、容量が縮小する方向に自重による力が加わっている。
【0122】
インク量検出装置180は、ケース141における設置位置をインク量検出装置80が変更した構成と同様である。インク量検出装置180は、中間インク容器150内のインク10cの量が所定の量になったことをインクエンド検出用板152の位置によって検出する装置である。
【0123】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0124】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作は、インクエンド検出用板152の移動方向が第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10のインクエンド検出用板52の移動方向と異なることと、インクエンド検出用板152が付勢部材によって付勢されていないこととを除いて、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10の動作と同様である。
【0125】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、中間インク容器150の容量が縮小する場合に中間インク容器150の変形を補助する付勢部材が不要であるので、この付勢部材を備えている構成と比較して、この付勢部材を備えていない分だけ中間インク容器150の最大容量を大きくすることができる。したがって、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、交換インク容器30(
図2参照。)内のインク10cが無くなって交換インク容器30が交換される必要が生じてから、記録ヘッド11c(
図2参照。)に供給されるインク10cが途切れるまでの時間を延長することができる。すなわち、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、交換インク容器30が交換される必要が生じた後、交換インク容器30が交換されれば良い期間を延長することができる。
【0126】
(第3の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0127】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0128】
図9は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの中間装置240の正面断面図である。
【0129】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、
図9に示す中間装置240を中間装置40(
図3参照。)に代えてインクジェットプリンター10が備えた構成と同様である。
【0130】
中間装置240の構成は、ケース241、負圧維持装置260およびインク量検出装置280を、ケース41(
図3参照。)、負圧維持装置60(
図3参照。)およびインク量検出装置80(
図3参照。)に代えて中間装置40が備えており、更に中間装置40が中間インク容器50(
図3参照。)を備えていない構成と同様である。
【0131】
ケース241の構成は、インク10cの流路の形状をケース41が変更した構成と同様である。
【0132】
負圧維持装置260は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変である容量可変インク貯留部261と、容量可変インク貯留部261の容量の変化に伴って移動するとともに一面側に大気圧を受ける受圧板262と、容量可変インク貯留部261の容量が増加する方向に受圧板262を付勢するバネ263と、受圧板262に押されることによって容量可変インク貯留部261内にインク10cを導入する受圧弁264とを備えている。
【0133】
容量可変インク貯留部261は、蛇腹、風船などの容量が可変である容器である。
【0134】
受圧板262は、矢印262aで示す方向に移動可能である。
【0135】
受圧弁264は、弁体264aと、受圧弁264が閉じる方向に弁体264aを付勢するバネ264bと、受圧弁264が閉じている場合にケース241および弁体264aの間のインク10cの漏れを防止するためのOリング264cとを備えている。
【0136】
受圧板262は、バネ263の付勢力によって、容量可変インク貯留部261の容量が増加する方向に押されている。したがって、受圧弁264が閉じている場合、容量可変インク貯留部261内のインク10cの圧力は負圧である。
【0137】
ここで、記録ヘッド11c(
図2参照。)によってインク10cが吐出されることによって容量可変インク貯留部261内のインク10cの量が減少すると、容量可変インク貯留部261の容量の減少に伴って受圧板262が弁体264a側に移動する。受圧板262は、弁体264a側に移動すると、弁体264aに接触して、弁体264aを押して受圧弁264を開く。受圧弁264が開くと、受圧弁264を通って容量可変インク貯留部261にインク10cが導入される。容量可変インク貯留部261にインク10cが導入されると、容量可変インク貯留部261の容量が増加して、再び受圧弁264が閉じる。
【0138】
負圧維持装置260は、以上に説明した容量可変インク貯留部261および受圧弁264の働きによって、記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力を所定の範囲の負圧に維持する。
【0139】
なお、負圧維持装置260のうち容量可変インク貯留部261、受圧板262およびバネ263は、本発明の中間インク容器を構成している。特に、受圧板262は、容量可変インク貯留部261の容量の変化に伴って移動するようになっており、本発明の移動部を構成している。
【0140】
インク量検出装置280は、ケース241における設置位置をインク量検出装置80が変更した構成と同様である。インク量検出装置280は、容量可変インク貯留部261内のインク10cの量が所定の量になったことを受圧板262の位置によって検出する装置である。
【0141】
次に、インク10cの供給時の本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0142】
記録ヘッド11cがインク10cを吐出すると、負圧維持装置260の容量可変インク貯留部261から記録ヘッド11cにインク10cが供給される。したがって、容量可変インク貯留部261内のインク10cの量は減少する。
【0143】
容量可変インク貯留部261内のインク10cの量が所定の量になると、上述したように受圧弁264が一時的に開くことによって、受圧弁264を通って容量可変インク貯留部261にインク10cが供給される。そして、受圧弁264を通って容量可変インク貯留部261にインク10cが供給されると、容量可変インク貯留部261に供給された量に相当する量のインク10cが交換インク容器30(
図2参照。)から中間装置240に供給される。したがって、交換インク容器30内のインク10cの量は減少する。
【0144】
ここで、容量可変インク貯留部261の容量は、受圧板262が容量可変インク貯留部261内のインク10cの圧力によって受ける力と、受圧板262がバネ263から受ける力との合計が、受圧板262が大気圧によって受ける力より大きい場合に増加し、等しい場合に変化せず、小さい場合に減少する。
【0145】
そして、容量可変インク貯留部261の容量が減少することによって、容量可変インク貯留部261の容量の変化に伴って移動する受圧板262がインク量検出装置280に検出されると、インク量検出装置280は、受圧板262を検出したことを示す信号を制御部18(
図6参照。)に送信する。
【0146】
制御部18は、受圧板262を検出したこと、すなわち、容量可変インク貯留部261内のインク10cの量が所定の量になったことがインク量検出装置280によって所定の時間以上連続して検出された場合に、インク10cの補充のタイミングをスピーカー15(
図6参照。)、表示デバイス16(
図6参照。)および通信デバイス17(
図6参照。)によって通知する。
【0147】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、中間インク容器と、負圧維持装置260の容量可変インク貯留部261とを共通の構成によって実現しているので、中間インク容器と、負圧維持装置260の容量可変インク貯留部261とを別々の構成によって実現する構成と比較して、小型化することができる。
【0148】
(第4の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0149】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0150】
図10は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの中間装置340の正面断面図である。
【0151】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、
図10に示す中間装置340を中間装置40(
図3参照。)に代えてインクジェットプリンター10が備えた構成と同様である。
【0152】
中間装置340の構成は、ケース341、負圧維持装置360およびインク量検出装置380を、ケース41(
図3参照。)、負圧維持装置60(
図3参照。)およびインク量検出装置80(
図3参照。)に代えて中間装置40が備えており、インク10cの流路において負圧維持装置360の下流に配置されてインク10cを貯留する負圧インク容器390を更に中間装置40が備えており、更に中間装置40が中間インク容器50(
図3参照。)を備えていない構成と同様である。
【0153】
ケース341の構成は、インク10cの流路の形状をケース41が変更した構成と同様である。
【0154】
負圧維持装置360は、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変である容量可変インク貯留部361と、容量可変インク貯留部361の容量の変化に伴って移動するとともに一面側に大気圧を受ける受圧板362と、容量可変インク貯留部361の容量が増加する方向に受圧板362を付勢するバネ363と、受圧板362に押されることによって容量可変インク貯留部361内にインク10cを導入する受圧弁364とを備えている。
【0155】
容量可変インク貯留部361は、蛇腹、風船などの容量が可変である容器である。
【0156】
受圧板362は、矢印362aで示す方向に移動可能である。
【0157】
受圧弁364は、弁体364aと、受圧弁364が閉じる方向に弁体364aを付勢するバネ364bと、受圧弁364が閉じている場合にケース341および弁体364aの間のインク10cの漏れを防止するためのOリング364cとを備えている。
【0158】
受圧板362は、バネ363の付勢力によって、容量可変インク貯留部361の容量が増加する方向に押されている。したがって、受圧弁364が閉じている場合、容量可変インク貯留部361内のインク10cの圧力は負圧である。
【0159】
ここで、記録ヘッド11c(
図2参照。)によってインク10cが吐出されることによって容量可変インク貯留部361内のインク10cの量が減少すると、容量可変インク貯留部361の容量の減少に伴って受圧板362が弁体364a側に移動する。受圧板362は、弁体364a側に移動すると、弁体364aに接触して、弁体364aを押して受圧弁364を開く。受圧弁364が開くと、受圧弁364を通って容量可変インク貯留部361にインク10cが導入される。容量可変インク貯留部361にインク10cが導入されると、容量可変インク貯留部361の容量が増加して、再び受圧弁364が閉じる。
【0160】
負圧維持装置360は、以上に説明した容量可変インク貯留部361および受圧弁364の働きによって、記録ヘッド11cに供給されるインク10cの圧力を所定の範囲の負圧に維持する。
【0161】
なお、負圧維持装置360のうち容量可変インク貯留部361、受圧板362およびバネ363は、本発明の中間インク容器を構成している。特に、受圧板362は、容量可変インク貯留部361の容量の変化に伴って移動するようになっており、本発明の移動部を構成している。
【0162】
インク量検出装置380は、ケース341における設置位置をインク量検出装置80が変更した構成と同様である。インク量検出装置380は、容量可変インク貯留部361内のインク10cの量が所定の量になったことを受圧板362の位置によって検出する装置である。
【0163】
負圧インク容器390は、キャリッジ11b(
図1参照。)の移動に伴う慣性力によってインク10cを攪拌する部材である負圧容器用攪拌部材としての攪拌球391を内蔵している。
【0164】
攪拌球391は、第1の実施の形態に係る攪拌球33と同様の構成である。
【0165】
次に、インク10cの供給時の本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0166】
記録ヘッド11cがインク10cを吐出すると、負圧維持装置360の容量可変インク貯留部361から負圧インク容器390を介して記録ヘッド11cにインク10cが供給される。したがって、容量可変インク貯留部361内のインク10cの量は減少する。
【0167】
容量可変インク貯留部361内のインク10cの量が所定の量になると、上述したように受圧弁364が一時的に開くことによって、受圧弁364を通って容量可変インク貯留部361にインク10cが供給される。そして、受圧弁364を通って容量可変インク貯留部361にインク10cが供給されると、容量可変インク貯留部361に供給された量に相当する量のインク10cが交換インク容器30(
図2参照。)から中間装置340に供給される。したがって、交換インク容器30内のインク10cの量は減少する。
【0168】
ここで、容量可変インク貯留部361の容量は、受圧板362が容量可変インク貯留部361内のインク10cの圧力によって受ける力と、受圧板362がバネ363から受ける力との合計が、受圧板362が大気圧によって受ける力と、受圧板362が自重によって受ける力との合計より大きい場合に増加し、等しい場合に変化せず、小さい場合に減少する。
【0169】
そして、容量可変インク貯留部361の容量が減少することによって、容量可変インク貯留部361の容量の変化に伴って移動する受圧板362がインク量検出装置380に検出されると、インク量検出装置380は、受圧板362を検出したことを示す信号を制御部18(
図6参照。)に送信する。
【0170】
制御部18は、受圧板362を検出したこと、すなわち、容量可変インク貯留部361内のインク10cの量が所定の量になったことがインク量検出装置380によって所定の時間以上連続して検出された場合に、インク10cの補充のタイミングをスピーカー15(
図6参照。)、表示デバイス16(
図6参照。)および通信デバイス17(
図6参照。)によって通知する。
【0171】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷の実行によってキャリッジ11bが移動する場合に、負圧インク容器390内の攪拌球391がキャリッジ11bに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けて負圧インク容器390内のインク10cを自動的に攪拌するので、白インク、メタリックインクなど、粒子が沈殿し易いインク10cを使用した印刷が実行されるときであっても、負圧インク容器390内においてインク10cの粒子が沈殿することを防止することができる。
【0172】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、インク10cの流路において交換インク容器30よりも記録ヘッド11cに近い負圧インク容器390内においてインク10cの粒子が沈殿することを防止することができるので、交換インク容器30内においてインク10cの粒子が沈殿することを防止する構成と比較して、記録ヘッド11cによって吐出されるインク10cにおける粒子の濃度の均一性を向上することができる。
【0173】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、中間インク容器と、負圧維持装置360の容量可変インク貯留部361とを共通の構成によって実現しているので、中間インク容器と、負圧維持装置360の容量可変インク貯留部361とを別々の構成によって実現する構成と比較して、小型化することができる。
【0174】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10と同様に、中間インク容器と、負圧維持装置の容量可変インク貯留部とが別々の構成によって実現されていても良い。
【0175】
(第5の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0176】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0177】
図11は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの交換インク容器430の正面断面図である。
図12は、
図11に示す交換インク容器430の側面断面図である。
【0178】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、
図11および
図12に示す交換インク容器430を交換インク容器30(
図3参照。)に代えてインクジェットプリンター10が備えた構成と同様である。
【0179】
交換インク容器430の構成は、ケース431をケース31(
図3参照。)に代えて交換インク容器30が備えており、貯留しているインク10cの量に応じて容量が可変であるインク袋432を更に交換インク容器30が備えており、更に交換インク容器30が嵌合部34および脱気度維持蓋35を備えていない構成と同様である。
【0180】
ケース431は、インク袋432を支持しており、本発明の支持部材を構成している。ケース431は、インク袋432の下部を挟み込んで支持する2つの下部支持部431aと、インク袋432を吊り下げて支持する紐431bとを備えていることを除いて、ケース31と同様である。
【0181】
2つの下部支持部431aの間の幅は、下方ほど狭くなっている。下部支持部431aの形状は、2つの下部支持部431aの間の幅が下方ほど狭くなっていれば、
図12に示す形状以外の形状であっても良い。例えば、側面断面図における下部支持部431aの表面の形状は、
図12に示す例では直線であるが、曲線であっても良い。
【0182】
インク袋432は、可撓性を有するフィルム部432aと、可撓性を有しておらず攪拌球33を支持している攪拌球レール432bとを備えている。
【0183】
フィルム部432aは、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロンなどのプラスチックフィルムによって形成されている。このプラスチックフィルムは、単一の素材からなる単層のフィルムでも良いし、複数の素材からなる積層フィルムでも良いし、プラスチックに対してインク袋432の内部側にアルミ箔またはアルミ蒸着膜を積層した複合フィルムでも良い。
【0184】
なお、インク10cの取り出し口、すなわち、挿込口31aは、交換インク容器430内のインク10cがインク10cの自重によって最後まで取り出されることができるように、交換インク容器430の下方に配置されている。
【0185】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0186】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作は、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出に伴って交換インク容器430のインク袋432が縮むこと以外、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10の動作と同様である。
【0187】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、交換インク容器430のインク袋432の容量がインク10cの量に応じて可変であるので、インク10cの量の減少に応じて空気を導入する空気孔がインク袋432に形成される必要が無い。したがって、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出の安定性がインク10cの溶存空気量の上昇によって低下することを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、記録ヘッド11cによるインク10cの吐出の安定性を維持することができ、結果として、記録ヘッド11cによる印刷の質を維持することができる。
【0188】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、ケース431の2つの下部支持部431aによってインク袋432の下部を挟み込んで支持している。したがって、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、交換インク容器430のインク袋432内のインク10cが自重によってインク袋432の下部に自動的に集まるので、交換インク容器430のインク袋432内のインク10cを最後まで容易に取り出すことができる。
【0189】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、ケース431がインク袋432を吊り下げて支持している。したがって、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、交換インク容器430のインク袋432内のインク10cが自重によってインク袋432の下部に自動的に集まるので、交換インク容器430のインク袋432内のインク10cを最後まで容易に取り出すことができる。
【0190】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、ケース431の2つの下部支持部431aによるインク袋432の下部の挟み込みと、ケース431によるインク袋432の吊り下げとによって支持しているが、ケース431の2つの下部支持部431aによるインク袋432の下部の挟み込みと、ケース431によるインク袋432の吊り下げとの何れか一方のみによって支持するようになっていても良い。
【0191】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷の実行によってキャリッジ11bが移動する場合に、攪拌球33がキャリッジ11bに伴って加速または減速して移動することによる慣性力を受けてインク袋432内のインク10cを自動的に攪拌するので、白インク、メタリックインクなど、粒子が沈殿し易いインク10cを使用した印刷が実行されるときであっても、交換インク容器30内においてインク10cの粒子が沈殿することを防止することができる。
【0192】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、本実施の形態において、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10の交換インク容器30が交換インク容器430に置き換えられた構成と同様である。しかしながら、交換インク容器430は、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10の交換インク容器30だけでなく、上述の各実施の形態に係るインクジェットプリンターの交換インク容器と置き換えられても良い。
【0193】
上述した各実施の形態におけるインクジェットプリンターは、
図1に示すように、主走査方向に移動しない記録媒体90に対してキャリッジ11bによって主走査方向に記録ヘッド11cを移動させることによって記録ヘッド11cによる主走査方向の印刷を実行させ、副走査方向に移動しない記録ヘッド11cに対して副走査方向に記録媒体90を搬送することによって記録媒体90に対する記録ヘッド11cの副走査方向における位置を主走査方向の印刷の終了の度に変更する方式のプリンターである。しかしながら、インクジェットプリンターは、上述した各実施の形態における方式以外の方式のプリンターであっても良い。例えば、インクジェットプリンターは、テーブルに載置されて移動しない記録媒体90に対してキャリッジ11bによって主走査方向に記録ヘッド11cを移動させることによって記録ヘッド11cによる主走査方向の印刷を実行させ、記録媒体90が載置されているテーブルに対して副走査方向に本体11を移動させることによって記録媒体90に対する記録ヘッド11cの副走査方向における位置を主走査方向の印刷の終了の度に変更する方式のインクジェットプリンターであっても良い。
【0194】
また、上述した各実施の形態に係るインクジェットプリンターにおけるインクの吐出の方式としては、任意の方式が採用されることができる。例えば、上述した各実施の形態に係るインクジェットプリンターにおけるインクの吐出の方式としては、ピエゾ素子の変形によってインクに圧力を加えてインクを吐出するピエゾ方式、インクの加熱によってインクに気泡を発生させることによってインクに圧力を加えてインクを吐出するサーマルジェット(バブルジェット(登録商標))方式、帯電させたインクを静電力によって吸引することによってインクを吐出する静電吸引方式、または、これらの方式のうち複数の方式を組み合わせたハイブリッド方式などが採用されることができる。また、上述した各実施の形態に係るインクジェットプリンターにおけるインクの吐出の方式としては、バルブの開閉でインクの吐出を制御して描画するバルブジェット方式が採用されても良い。