【実施例】
【0028】
本実施例の発電システムは、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと称する。)とガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたトリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)である。このトリプルコンバインドサイクルは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の上流側にSOFCを設置することにより、SOFC、ガスタービン、蒸気タービンの3段階で発電することができるため、極めて高い発電効率を実現することができる。なお、以下の説明では、本発明の燃料電池として固体酸化物形燃料電池を適用して説明するが、この形式の燃料電池に限定されるものではない。
【0029】
図1は、本実施例の発電システムを表す概略構成図である。
図2は、本実施例に係る発電システムにおける流体供給部の一部を示す構成図である。
図3は、本実施例に係る発電システムにおける流体供給部の一部を示す構成図である。
【0030】
本実施例において、
図1に示すように、発電システム10は、ガスタービン11及び発電機12と、SOFC13と、蒸気タービン14及び発電機15とを有している。この発電システム10は、ガスタービン11による発電と、SOFC13による発電と、蒸気タービン14による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成したものである。
【0031】
ガスタービン11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から第1圧縮空気供給ライン26を通して供給された圧縮空気A1と、第1燃料ガス供給ライン27から供給された燃料ガスL1とを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から排ガス供給ライン28を通して供給された排ガス(燃焼ガス)Gにより回転する。なお、図示しないが、タービン23は、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1が車室を通して供給され、この圧縮空気A1を冷却空気として翼などを冷却する。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転することで発電することができる。なお、ここでは、燃焼器22に供給する燃料ガスL1及び後述する燃料ガスL2の各燃料ガスは、例えば、液化天然ガス(LNG)、水素(H
2)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)などの炭化水素ガス、石炭など炭素質原料のガス化設備により製造したガスを用いることが可能である。
【0032】
SOFC13は、還元剤としての高温の燃料ガスと、酸化剤としての高温の空気(酸化性ガス)とが供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行うものである。このSOFC13は、圧力容器内に空気極と固体電解質と燃料極が収容されて構成される。空気極に圧縮機21で圧縮された一部の圧縮空気(圧縮酸化性ガス)A2が供給され、燃料極に燃料ガスL2が供給されることで発電を行う。また、SOFC13に供給される酸化性ガスは、酸素を略15%〜30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である(以下、SOFC13に供給される酸化性ガスを空気という)。
【0033】
このSOFC13は、第1圧縮空気供給ライン26から分岐した第2圧縮空気供給ライン(圧縮酸化性ガス供給ライン)31が連結され、圧縮機21が圧縮した一部の圧縮空気(圧縮酸化性ガス)A2を空気極の導入部に供給することができる。この第2圧縮空気供給ライン31は、供給する空気量を調整可能な制御弁32と、圧縮空気A2を昇圧可能なブロワ(昇圧機)33とが圧縮空気A2の流れ方向に沿って設けられている。制御弁32は、第2圧縮空気供給ライン31における圧縮空気A2の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ33は、制御弁32の下流側に設けられている。なお、制御弁32とブロワ(昇圧機)33の配置は
図1の配置に限定されることはなく、ブロワ(昇圧機)や制御弁の形式によって順序を逆にして配置してもよい。SOFC13は、空気極で用いられた排空気(排酸化性ガス)A3を排出する排空気ライン34が連結されている。この排空気ライン34は、空気極で用いられた排空気A3を外部に排出する排出ライン35と、燃焼器22に連結される排空気供給ライン(排酸化性ガス供給ライン)36とに分岐される。つまり、排空気ライン34と排空気供給ライン36とは、SOFC13の空気極で用いられた排空気A3を、燃焼器22に供給する排空気供給ラインとして機能する。排出ライン35は、排出する空気量を調整可能な制御弁37が設けられ、排空気供給ライン36は、SOFCとガスタービン間の系統を切り離すための遮断弁38が設けられている。
【0034】
また、SOFC13は、燃料ガスL2を燃料極の導入部に供給する第2燃料ガス供給ライン41が設けられている。第2燃料ガス供給ライン41は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁42が設けられている。SOFC13は、燃料極で用いられた排燃料ガスL3を排出する排燃料ライン43が連結されている。この排燃料ライン43は、外部に排出する排出ライン44と、燃焼器22に連結される排燃料ガス供給ライン45とに分岐される。排出ライン44は、排出する燃料ガス量を調整可能な制御弁46が設けられ、排燃料ガス供給ライン45は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁47と、排燃料ガスL3を昇圧可能なブロワ48が排燃料ガスL3の流れ方向に沿って設けられている。制御弁47は、排燃料ガス供給ライン45における排燃料ガスL3の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ48は、制御弁47の排燃料ガスL3の流れ方向の下流側に設けられている。なお、制御弁47とブロワ(昇圧機)48の配置は
図1の配置に限定されることはなく、ブロワ(昇圧機)や制御弁の形式によっては順序を逆にして配置してもよい。
【0035】
また、SOFC13は、排燃料ライン43と第2燃料ガス供給ライン41とを連結する燃料ガス再循環ライン49が設けられている。燃料ガス再循環ライン49には、排燃料ライン43の排燃料ガスL3を第2燃料ガス供給ライン41に再循環させる再循環ブロワ50が設けられている。
【0036】
蒸気タービン14は、排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気Sによりタービン52が回転するものである。この排熱回収ボイラ51は、ガスタービン11(タービン23)からの燃焼排ガスライン53が連結されており、空気と高温の排ガスGとの間で熱交換を行うことで、蒸気Sを生成する。蒸気タービン14(タービン52)は、排熱回収ボイラ51との間に、蒸気供給ライン54と給水ライン55とが設けられている。そして、給水ライン55は、復水器56と給水ポンプ57とが設けられている。発電機15は、タービン52と同軸上に設けられており、タービン52が回転することで発電することができる。なお、排熱回収ボイラ51で熱が回収された排ガスGは、大気へ放出される。なお、本実施例においては排ガスGをHRSG51の熱源として利用しているが、排ガスGはHRSG以外の各種機器の熱源として利用することも可能である。
【0037】
ここで、本実施例の発電システム10の作動について説明する。発電システム10を起動する場合、ガスタービン11が起動した後に蒸気タービン14、SOFC13が起動する。
【0038】
まず、ガスタービン11にて、圧縮機21が空気Aを圧縮し、燃焼器22が圧縮空気A1と燃料ガスL1とを混合して燃焼し、タービン23が排ガスGにより回転することで、発電機12が発電を開始する。次に、蒸気タービン14にて、排熱回収ボイラ51により生成された蒸気Sによりタービン52が回転し、これにより発電機15が発電を開始する。
【0039】
SOFC13を起動させるために、圧縮機21から圧縮空気A2を供給してSOFC13の加圧を開始し、加熱を開始する。排出ライン35の制御弁37と排空気供給ライン36の遮断弁38を閉止し、第2圧縮空気供給ライン31のブロワ33を停止した状態もしくはブロワ33を運転した状態で、制御弁32を所定開度だけ開放する。発電システム10は、SOFC13の加圧専用の制御弁を設け、当該制御弁を所定開度だけ開放してもよい。なお、ここで昇圧速度を制御するための開度調整を行う。すると、圧縮機21で圧縮した一部の圧縮空気A2が第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13側へ供給される。これにより、SOFC13側は、圧縮空気A2が供給されることで圧力が上昇する。
【0040】
一方、SOFC13では、燃料極側に燃料ガスL2、図示されていない圧縮空気ラインの分岐から圧縮空気(酸化性ガス)を供給して昇圧を開始する。発電システム10は、燃料極にのパージガスを供給するパージガス供給手段を設け、燃料極にパージガスを供給することで、SOFC13の燃料極側を昇圧させるようにしてもよい。ここで、パージガスとしては、窒素等の不活性ガスを用いることができる。排出ライン44の制御弁46と排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉止し、ブロワ48を停止した状態で、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放すると共に、燃料ガス再循環ライン49の再循環ブロワ50を駆動する。なお、再循環ブロワ50は燃料極側の加圧前に起動していてもよい。すると、燃料ガスL2が第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13側へ供給されると共に、排燃料ガスL3が燃料ガス再循環ライン49により再循環される。これにより、SOFC13の燃料極側は、燃料ガスL2、空気、不活性ガス等が供給されることで圧力が上昇する。
【0041】
そして、SOFC13の空気極側の圧力が圧縮機21の出口圧力になると、制御弁32にてSOFC13への供給空気流量を制御すると共に、ブロワ33が起動していなければブロワ33を駆動する。それと同時に遮断弁38を開放してSOFC13からの排空気A3を排空気供給ライン36から燃焼器22に供給する。すると、圧縮空気A2がブロワ33によりSOFC13側へ供給される。それと同時に制御弁46を開放してSOFC13からの排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する。そして、SOFC13における空気極側の圧力と燃料極側の圧力とが目標圧力に到達すると、SOFC13の加圧が完了する。
【0042】
その後、SOFC13の圧力制御が安定したら、制御弁37が開となっている場合は閉止する一方、遮断弁38の開放を維持する。このため、SOFC13からの排空気A3が排空気供給ライン36から燃焼器22に供給され続ける。また、排燃料ガスL3の成分が燃焼器へ投入可能な成分となったら、制御弁46を閉止する一方、制御弁47を開放してブロワ48を駆動する。すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。このとき、第1燃料ガス供給ライン27から燃焼器22に供給される燃料ガスL1を減量する。
【0043】
ここで、ガスタービン11の駆動による発電機12での発電、SOFC13での発電、蒸気タービン14の駆動による発電機15での発電が全て行われることとなり、発電システム10が定常運転となる。
【0044】
ところで、SOFC13から排出される排気(排空気A3または排燃料ガスL3)は高温であり、定格運転時では、例えば排空気A3は550〜650℃に達する。
【0045】
そこで、本実施例の発電システム10では、
図1に示すように、排空気A3の温度を下げるため、SOFC13から排出される排空気A3を送る排空気ライン34に流体供給部(排気冷却部)61を設ける。制御装置(制御部)62は、SOFC13から排出される排空気A3の温度に基づいて、流体供給部61に流体Cを供給するようにしている。ここで、流体とは、加熱により容易に気体に蒸発する液状、ミスト状もしくは液滴等これに類する状態のものであり、例えば水に代表される液体が好適である。
【0046】
排空気ライン34に設けられる流体供給部61は、排空気ライン34のSOFC13直近に設けられており、流体貯蔵部63と、流体供給ライン64と、流体制御弁65と、流体圧送機66と、温度検出部68と、NOx検出部69と、を有している。
【0047】
流体貯蔵部63は、流体Cを貯蔵する容器である。なお、ここでの流体Cは、例えば水が適用され、この水が流体貯蔵部63に貯蔵される。
【0048】
流体供給ライン64は、排空気ライン34と流体貯蔵部63とを接続する。この流体供給ライン64は、
図2に示すように、排空気ライン34の内部に流体噴射ノズル(流体を排空気ライン34に供給するノズル)64aが設けられている。流体噴射ノズル64aは、排空気ライン34の流れ方向に沿った方向が、流体Cの噴射方向となる向きで配置されている。つまり、流体噴射ノズル64aは、流体を噴射する開口近傍の部分、排空気ライン34に沿った向きに配置されている。流体噴射ノズル64aは、流体Cを排空気ライン34に沿った方向に噴射させることで、噴射した流体Cが排空気ライン34の壁面に衝突すること抑制することができる。なお、流体供給部61は、排空気ライン34の内部の流体噴射ノズル64aの噴射口の下流側に噴射した流体Cを案内する保護管を設けてもよい。保護管を設けることでも噴射した流体Cが排空気ライン34の壁面に衝突すること抑制することができる。
図2に示す流体噴射ノズル64aは、単一で示されているが、これに限らない。例えば、
図3に示すように、排空気ライン34の外側を囲む環状ライン64bに流体供給ライン64が接続され、環状ライン64bから排空気ライン34に接続された複数の枝ライン64cに、排空気ライン34の内部に設けられた複数の流体噴射ノズル64aが接続されていてもよい。
図3に示すように、流体噴射ノズル64aを複数備えることで、流体を複数個所から分散して供給することができ、排空気ライン34に均一に流体を供給することができる。なお、流体は必ずしも液状で排空気ライン34に供給する必要はなく、たとえばミスト状で噴霧して、より均一に、より蒸発しやすい状態で流体噴射ノズル64aから供給してもよい。また同様な理由から液滴として供給してもよい。
【0049】
流体制御弁65は、流体供給ライン64に設けられ、流体供給ライン64の開閉及び開度を切り換える。なお、流体制御弁65は、開度を調整できることが好ましいが、少なくとも開閉を調整できればよい。
【0050】
流体圧送機66は、流体供給ライン64上の流体貯蔵部63と流体制御弁65の間に設けられ、流体貯蔵部63から排空気ライン34に流体Cを送り出す。
【0051】
温度検出部68は、SOFC13から排出される排空気A3の温度を検出する。この温度検出部68は、排空気ライン34のSOFC13直近に設けられて、排空気ライン34に送られる排空気A3の温度を検出してもよい。また、温度検出部68は、排空気ライン34のSOFC13直近に設けられて、排空気ライン34の温度を検出してもよい。
【0052】
NOx検出部69は、ガスタービン11から排出される排ガスGの窒素酸化物濃度を検出する。このNOx検出部69は、燃焼排ガスライン53に設けられている。具体的には、燃焼排ガスライン53の排ガス処理機構よりも上流側に配置されている。
【0053】
図4は、本実施例に係る発電システムにおける流体供給部の他の例の一部を示す構成図である。上記実施例の流体供給部61は、1つまたは排空気ライン34の円周方向に複数のノズルを設けたがこれに限定されない。
図4に示す流体供給部161は、流体圧送機66の下流側が複数のユニット171に分岐されている。ユニット171は、分岐管172と、流体制御弁174とを、有する。分岐管172は、
図4に示すように、排空気ライン34の内部に流体噴射ノズル172aが設けられている。流体制御弁174は、開閉に加え、開度も調整可能な弁である。ユニット171は、排空気ライン34の排空気A3の流れ方向に所定の間隔で配置されている。これにより、流体供給部161は、排空気ライン34の排空気A3の流れ方向において、流体噴射ノズル172aが異なる位置に複数配置される。
【0054】
流体供給部161は、
図4に示すように、流体噴射ノズル172aを排空気A3の流れ方向に複数備えることで、流体を複数個所から分散して供給することができ、排空気ライン34に均一に流体を供給することができる。このように、流体供給部は、流体噴射ノズルを複数備えていることで、より分散して流体を供給することが可能となり、排空気ライン34により均一に流体を供給することが可能となる。これにより、排酸化性ガスライン内での温度をより均一化することができ、かつ、供給した流体をより確実に蒸発させることができる。
【0055】
また、流体供給部161は、分岐管172に流体制御弁174を設けることで、分岐管172の開閉に加え、開度も調整することができる。このように、流体供給部161は、開度が調整できる弁を設けることで各流体噴射ノズル172aから供給する流体の量を開度で制御することが可能となる。なお、流体供給部161は、流体制御弁174の開閉を制御し、開の時間と閉の時間とのバランスで流体の供給量を調整することもできる。また、流体圧送機66により流体を供給する圧力によっても供給量を調整することができる。以上より、流体供給部は、流体を供給する配管に少なくとも開閉を切り換えることができる流体制御弁を設けることが好ましく、開閉に加え開度も調整できる流体制御弁を設けることが好ましい。
【0056】
制御装置62は、排空気A3の上限温度、下限温度が予め記憶されている。上限温度、下限温度は、設計により任意に設定することができる。例えば、上限温度は、排空気ライン34を構成する部材や機器から決定される上限温度である。下限温度は、排空気A3の温度低下によりガスタービン11の燃焼器22で燃焼に影響を与える温度であり、ガスタービン11の駆動による発電機12での発電効率の低下が生じる温度である。そして、制御装置62は、温度検出部68で検出した排空気A3の温度に基づいて、流体供給部61の駆動を制御する。
【0057】
図5は、本実施例の発電システムの動作の一例を示すフローチャートである。制御装置62は、
図5に示す処理を繰り返し実行する。制御装置62は、温度検出部68により温度を検出し(ステップS12)、排空気温度>制御目標温度であるかを判定する(ステップS14)。ここで、制御目標温度は、設定された上限温度と下限温度の間の温度である。また、制御目標温度は、基準温度に許容偏差を設定してもよい。つまり、制御目標温度として数値に幅のある温度範囲を用いてもよい。この場合、制御装置62は、排空気温度>基準温度+許容偏差であるかを判定する。
【0058】
制御装置62は、温度検出部68で検出した排空気温度が制御目標温度を超えた(排空気温度>制御目標温度である)と判定した場合(ステップS14でYes)、流体制御弁65の開度を増大させ(ステップS16)、本処理を終了する。なお、制御装置62は、流体制御弁65の制御とともに、流体圧送機66の駆動も制御する。すると、流体貯蔵部63から排空気ライン34に送り出される流体Cが増加し、流体噴射ノズル64aから排空気ライン34の内部に噴射される流体Cの量が増加する。
【0059】
制御装置62は、温度検出部68で検出した排空気温度が制御目標温度を超えていない(排空気温度≦制御目標温度である)と判定した場合(ステップS14でNo)、排空気温度<制御目標温度であるかを判定する(ステップS18)。また、制御装置62は、制御目標温度として基準温度と許容偏差を設定している場合、排空気温度<基準温度−許容偏差であるかを判定する。制御装置62は、温度検出部68で検出した排空気温度が制御目標温度未満である(排空気温度<制御目標温度である)と判定した場合(ステップS18でYes)、流体制御弁65の開度を減少させ(ステップS20)、本処理を終了する。なお、制御装置62は、流体制御弁65の制御とともに、流体圧送機66の駆動も制御する。すると、流体貯蔵部63から排空気ライン34に送り出される流体Cが減少し、流体噴射ノズル64aから排空気ライン34の内部に噴射される流体Cの量が減少する。制御装置62は、温度検出部68で検出した排空気温度が制御目標温度未満ではない(排空気温度≧制御目標温度である)と判定した場合(ステップS18でNo)、本処理を終了する。
【0060】
このように本実施例の発電システム10にあっては、SOFC13と、SOFC13から排出される排空気A3を送る排空気ライン34と、SOFC13から排出される排空気A3の温度、あるいは排空気ライン34の温度を検出する温度検出部68と、排空気ライン34の排空気A3に流体Cを供給する流体供給部61と、温度検出部68により検出された温度に基づいて流体供給部61の駆動を制御する制御装置62と、を有する。
【0061】
発電システム10は、温度検出部68で排空気A3の温度を検出し、検出した排空気A3の温度に基づいて、制御装置62で流体の供給量を制御しつつ、流体供給部61から排空気ライン34に流体を供給する。これにより、SOFC13から排出される排空気A3の温度を減温することができ、排空気A3を所定の温度範囲とすることができ、排空気ライン34及び排空気供給ライン36の構成部材や構成機器を耐熱温度以上となることから保護することができる。その結果、排空気A3を送るための排空気ライン34の構成部材や構成機器が高温の排空気により影響を受けることを防ぐことができる。また、排空気ライン34及び排空気供給ライン36の構成部材や構成機器として想定温度を低くすることができ、安全で製造コストが嵩むことのない設計を行うことができる。
【0062】
また、発電システム10は、流体供給部61で排空気ライン34に流体を供給することで、排空気の温度を低下させることができるため、配管系統を簡単にすることができ、装置構成を簡単にすることができる。
【0063】
また、発電システム10は、流体供給部61で排空気ライン34に流体を供給し、供給した流体を蒸発させることで、排空気の温度を低下させるとともに排空気の流量を増加させることができる。ガスタービン11で発電量を向上させることができる。これにより、排空気(排酸化性ガス)を送る排空気ライン(排酸化性ガスライン(構成部材や構成機器))34を保護することができ、かつ、排空気(排酸化性ガス)の顕熱を有効に活用することができる。具体的には、ガスタービン11に供給される排空気内に流体を供給することで、ガスタービン11を通過した後、排熱回収ボイラ51を通過する排空気の全体のエネルギを維持しつつ、温度を低減することができる。つまり、発電システム10は、排空気の温度を下げつつ、全体の流量を増加させることで、排空気の全体のエネルギを維持している。ここで、排空気は、燃焼器22に供給され、排燃料ガス及び燃料ガスと混合されて、燃焼により加熱された後、その燃焼排ガスはタービン23を通過し、さらに排熱回収ボイラ51を通過し熱回収させる。したがって、燃焼排ガスは、ガスタービン11と蒸気タービン14での2箇所の発電でエネルギを取り出すことができる。したがって、排空気のエネルギをより高く維持することで、より効率よくエネルギを取り出すことができる。つまり、熱交換器で燃焼排ガスの温度を低下させ、当該熱交換器で取得した熱を蒸気ボイラ等に用いるよりも効率を高くすることができる。
【0064】
また、本実施例の発電システム10の運転方法にあっては、SOFC13から排出される排空気を排空気ライン34で送る工程と、SOFC13から排出される排空気の温度を検出する工程と、検出した排空気の温度に基づいて、流体の供給量を決定し、決定した供給量の流体を排空気ライン34に供給する工程と、を有する。
【0065】
従って、排空気A3の温度を検出し、検出した排空気A3の温度に基づいて、流体の供給量を制御しつつ、排空気ライン34に流体を供給する。これにより、SOFC13から排出される排空気A3の温度を減温することができ、排空気A3を所定の温度範囲とすることができ、排空気A3を送る排空気ライン34及び排空気供給ライン36を保護することができる。また、排空気ライン34を流れる排空気の流量を増加させることができるため、排酸化性ガスの熱を有効に活用することができる。
【0066】
また、本実施例の発電システム10は、流体供給部61が、流体Cを貯蔵する流体貯蔵部63と、排空気ライン34と流体貯蔵部63とを接続する流体供給ライン64と、流体供給ライン64に設けられた流体制御弁65と、流体供給ライン64に設けられて流体貯蔵部63から排空気ライン34に流体Cを送り出す流体圧送機66と、を備え、制御装置62は、温度検出部68により検出された温度に基づいて、流体制御弁65の開閉と流体圧送機66の駆動を制御する。
【0067】
従って、流体制御弁65の開閉と、流体圧送機66の駆動を制御し、排空気ライン34に流体を供給することで、排空気を所定の温度以下に減温することができ、かつ、排酸化性ガスの流量を増加させることができる。
【0068】
また、本実施例の発電システム10は、流体貯蔵部63に流体Cが貯蔵され、流体供給部61から流体Cとして水を排空気ライン34に供給する。このため、水は高温の排空気A3または排燃料ガスL3に触れて気化し、これにより排空気A3の温度を下げることができる。なお、水は、純水や精製水等純度の高い水を用いることが好ましい。これにより、排空気ライン34等に不純物が析出することを抑制することができる。
【0069】
なお、流体供給部61は、流体Cとして水の他、エチルアルコールまたはメチルアルコールが流体貯蔵部63に貯蔵されてもよい。この場合、エチルアルコールまたはメチルアルコールが高温の排空気A3により気化されるため、排空気A3の温度を下げることができる。気化されたエチルアルコールまたはメチルアルコールは、燃焼器22で燃焼される。
【0070】
ここで、制御装置62は、排空気の上限温度として配管(排空気ライン34)を構成する構成部材や構成機器の耐熱温度等に基づいて決定することが好ましく、例えば、低合金鋼を使用出来る550℃未満で設計されることが好ましい。制御装置62は、上限温度を550℃として配管の耐熱温度として設定し、上限温度に対して5%程度低温側を管理値として設置する。よって、排空気の温度を520℃以下として運用することで、構成部材や構成機器にかかる負荷を少なくすることができ、それらの損傷を抑制することができる。
【0071】
また、制御装置62は、排空気の下限温度としてガスタービン11の燃焼器22が要求する温度範囲に基づいて決定することが好ましい。制御装置62は、燃焼器22の要求温度以下に冷却しないように制御を行い、たとえば250℃をその下限温度と設定することが好ましい。ここで下限温度は燃焼器の要求温度範囲であり、燃焼に影響を与えない温度範囲で決定され、発電システム10のガスタービン11に採用される燃焼器に依存して温度範囲が変化する。
【0072】
また、制御装置62は、設定目標温度と計測した排空気温度との偏差に基づいて、流量制御弁の開度の増減量を調整してもよい。例えば、偏差が大きいほど増減量をより多くするようにしてもよい。また、制御装置62は、流量制御弁の実開度または開度指令に基づいて制御を行えばよい。また、制御装置62は、応答遅れ等を考慮してPID制御を行うことも好ましい。
【0073】
また、制御装置62は、流体の供給量の上限を排空気温度が下限温度となる流量、もしくは排空気ライン内で蒸発を完結できる流量に基づいて決定し、上限以下の供給量とすることが好ましい。
【0074】
図6は、本実施例の発電システムの動作の一例を示すフローチャートである。ここで、上記実施例では、温度検出部68で検出した排空気A3の温度に基づいて、流体の供給量を制御したが、排空気の温度に加え、窒素酸化物の濃度に基づいて、流体の供給量を制御してもよい。ここで、制御装置62は、任意に設定することができる窒素酸化物濃度の上限濃度と下限濃度が設定されている。また、制御装置62は、上限濃度と下限濃度の間の値である制御目標濃度も設定されている。制御目標濃度は、制御目標温度と同様に1つの値でも良いし、一定の偏差を持った値でもよい。制御装置62は、NOx検出部69により窒素酸化物濃度(NOx濃度)を検出し(ステップS22)、NOx濃度>制御目標濃度であるかを判定する(ステップS24)。
【0075】
制御装置62は、NOx検出部69で検出したNOx濃度が制御目標濃度を超えた(NOx濃度>制御目標濃度である)と判定した場合(ステップS24でYes)、流体制御弁65の開度を増大させ(ステップS26)、本処理を終了する。なお、制御装置62は、流体制御弁65の制御とともに、流体圧送機66の駆動も制御する。すると、流体貯蔵部63から排空気ライン34に送り出される流体Cが増加し、流体噴射ノズル64aから排空気ライン34の内部に噴射される流体Cの量が増加する。
【0076】
制御装置62は、NOx検出部69で検出したNOx濃度が制御目標濃度を超えていない(NOx濃度≦制御目標濃度である)と判定した場合(ステップS24でNo)、NOx濃度<制御目標濃度であるかを判定する(ステップS28)。制御装置62は、NOx検出部69で検出したNOx濃度が制御目標濃度未満である(NOx濃度<制御目標濃度である)と判定した場合(ステップS28でYes)、流体制御弁65の開度を減少させ(ステップS30)、本処理を終了する。なお、制御装置62は、流体制御弁65の制御とともに、流体圧送機66の駆動も制御する。すると、流体貯蔵部63から排空気ライン34に送り出される流体Cが減少し、流体噴射ノズル64aから排空気ライン34の内部に噴射される流体Cの量が減少する。制御装置62は、NOx検出部69で検出したNOx濃度が制御目標濃度未満ではない(NOx濃度≧制御目標濃度である)と判定した場合(ステップS28でNo)、本処理を終了する。
【0077】
発電システム10は、
図6に示すように、窒素酸化物濃度に基づいて流体の供給を制御することで、排ガス中の窒素酸化物濃度(NOx濃度)の増加を抑制することができる。例えば、排ガス中の窒素酸化物濃度が上昇した場合に流体の供給量を増加させることで、燃焼器で発生する窒素酸化物を低減することができ、排ガス中の窒素酸化物濃度を低減することができる。
【0078】
ここで、発電システム10は、
図6の処理を
図5の処理に組み合わせて実行することが好ましい。具体的には、発電システム10は、排空気温度が下限温度及び上限温度を超えない範囲でNOx濃度に基づいて流体の供給量を制御することが好ましい。また、発電システム10は、排空気温度が上限温度を超えない範囲でNOx濃度に基づいて流体の供給量を低減するようにすることも好ましい。また、排空気温度が下限温度以下の温度で、NOx濃度が制御目標濃度以上の場合は、設定により、流体の供給量を増加させるか、維持するか、減少させるかを決定することも好ましい。また、発電システム10は、予め設定されているデータに基づいて、NOx濃度が高くなる運転条件であると判定した場合、その運転条件にとなる前に流量制御弁の開度を増大させ排空気の流量を増大させるまたは排空気温度の制御目標温度を低い値に変更してもよい。
【0079】
図7は、本実施例の発電システムの動作の一例を示すフローチャートである。また、制御装置62は、排空気の温度に加え、要求出力に基づいて、流体の供給量を制御してもよい。ここで、要求出力とは、ガスタービン11に連結された発電機12で発電させるように要求が入力された発電量である。制御装置62は、入力された情報、検出した情報に基づいて、要求出力を検出することができる。制御装置62は、要求出力を検出し(ステップS40)、出力が増加しているかを判定する(ステップS42)。ここで、制御装置62は、出力(発電量)の増加量が所定のしきい値を超えた場合、要求出力が増大していると判定する。
【0080】
制御装置62は、要求出力が増加していると判定した場合(ステップS42でYes)、流体制御弁65の開度を増大させ(ステップS44)、本処理を終了する。ここで、制御装置62は、必要に応じて流体制御弁65の開度を増大させガスタービン燃料流量を増加させてもよい。なお、制御装置62は、流体制御弁65の制御とともに、流体圧送機66の駆動も制御する。すると、流体貯蔵部63から排空気ライン34に送り出される流体Cが増加し、流体噴射ノズル64aから排空気ライン34の内部に噴射される流体Cの量が増加する。制御装置62は、要求出力が増加していないと判定した場合(ステップS42でNo)、本処理を終了する。
【0081】
従って、発電システム10は、供給する流体の量を増加させることで、ガスタービンに供給する排酸化性ガスの流量をガスタービン燃焼器出口のガス温度を著しく低下させない範囲で増加させることができ、かつ、ガスタービンのタービンを回転させる動力をより大きくすることができ、発電機の発電量を増加させることができる。また、必要に応じて、ガスタービンの燃焼器温度が上限とならない範囲でガスタービン燃料流量を増加させることで、ガスタービンのタービンを回転させる動力をより大きくすることができ、発電機の発電量を増加させることができる。これにより、発電システム10は、要求出力が増加した場合に対応することができる。
【0082】
ここで、発電システム10は、
図7の処理を
図5、
図6の処理に組み合わせて実行することが好ましい。これにより、各種条件に対応して適切な処理を実行することができる。例えば、発電システム10は、排空気温度が下限温度及び上限温度を超えない範囲で出力要求に基づいて、流体の供給量を制御することが好ましい。例えば、出力要求に大きく立った場合、排空気温度が下限温度及び上限温度を超えない範囲で、流量制御弁の開度を増大させて、流体の供給量を増加させる。この場合、ガスタービンの燃料ガスの流量も合わせて増大させることで、出力をより増大させることができる。ここで、ガスタービンは、大気温度が上昇した場合、最大出力が低下するため、出力の低下を抑制するために、大気温度の上昇時に流量を増大または排空気温度の制御目標温度を低下させるようにしてもよい。
【0083】
図8は、本実施例の発電システムにおける流体供給部の一部を示す構成図である。ここで、供給する流体(凝縮性流体)として、発電システム10内で発生する水を利用する場合を例に、以下説明する。本実施例の発電システム10は、
図8に示すように、水回収装置(水回収部)71が設けられている。水回収装置71は、システム内に析出する水を抜き出して回収する。
【0084】
この水回収装置71は、例えば、発電システム10の排出ライン35、排燃料ライン43、排出ライン44、排燃料ガス供給ライン45、燃料ガス再循環ライン49に設けることができる。ここで、水回収装置71は、各ライン35,43,44,45,49に設けて水を回収する場合は、ガスタービンに供給する排酸化性ガスA3もしくはガスタービンに供給される排燃料ガスの流量が著しく低下しないよう、また、各ライン43、49から回収する場合は、水蒸気改質に必要な水蒸気量を残した上で回収可能な分だけを回収することが望ましい。また、水回収装置71をガスタービン出口の燃焼排ガスライン53に設ける場合は、水分の回収は多い方が望ましい。
【0085】
図8では、これらのラインを代表して、水回収装置71を排燃料ガス供給ライン45に設けた形態を示す。排燃料ガス供給ライン45は、上述したように、SOFC13から排出される排燃料ガスがガスタービンの燃焼器22に送られる。ここで、排燃料ガスには、水分が一定の割合で混入しているが、排燃料ガス供給ライン45では高温の状態で送られているため蒸気となっている。このため、排燃料ガスL3の温度が低下すると、排燃料ガスL3に含まれる水分が水滴となって排燃料ガス供給ライン45の内部に凝縮する。そして、この水滴が燃焼器22に流入すると、燃焼器22の燃焼に不具合が発生するおそれがある。そこで、水回収装置71によりこの水を抜き出して回収する。
【0086】
水回収装置71は、
図8に示すように、水回収機構72と、水回収容器73と、水回収ライン74と、貯留量検出器75と、水回収開閉弁76とを有している。
【0087】
水回収機構72は、例えば、排燃料ガス供給ライン45の内部の低い位置に設けられ、熱交換器72aと水回収機72bと貯留部72cとを有する。熱交換器72aは、排燃料ガスとの間で熱交換を行い、排燃料ガスの温度を低下させる。排燃料ガスと熱交換する媒体としては、加熱された熱を他の機構で回収できる媒体とすることが好ましく、例えば排熱回収ボイラ51を流れる蒸気・給水やSOFCやガスタービンで使用する燃料を用いることが好ましい。熱交換器72aは、排燃料ガスの温度を低下させることで、排燃料ガスに含まれる水分を回収しやすい状態とする。水回収機72bは、熱交換器72aよりも下流側に配置され、排燃料ガスL3に含まれる水分を分離して回収するものである。水回収機72bは、例えば、排燃料ライン43の内部にメッシュを配置してこのメッシュに水分を付着させて分離するものや、排燃料ガス供給ライン45の内部に隙間を空けて複数の波板を配置してこの波板に水分を付着させて分離するものや、排燃料ガス供給ライン45の内部において旋回流を形成することで遠心力により水分を分離するものや、排燃料ガスを上方に流通させて下方に水分を溜めるものなど様々な形態がある。貯留部72cは、排空気ライン34または排燃料ライン43の内部の低い位置で下方に凹んで形成された凹部である。貯留部72cは、水回収機72bで分離された水分が滴下して溜まる。
【0088】
水回収容器73は、貯留部72cに溜まった水を貯蔵する容器である。この水回収容器73は、排空気ライン34または排燃料ガス供給ライン45の外部であって貯留部72cよりも低い位置に設けられていることが一般的だが、72cの圧力が73よりも十分に高い、もしくは74のラインにポンプを設置すれば、その圧力差もしくはポンプの吐出力により供給可能なため、72cよりも高い場所に設置することが出来る。
【0089】
水回収ライン74は、貯留部72cに溜まった水を水回収容器73に送るもので、貯留部72cと水回収容器73との間を接続する。
【0090】
貯留量検出器75は、貯留部72cに設けられており、貯留部72cに溜まる水の貯留量を検出する。貯留量検出器75で検出された貯留量は、制御装置62に入力される。
【0091】
水回収開閉弁76は、水回収ライン74に設けられ、水回収ライン74を開閉する。水回収開閉弁76の開閉は制御装置62により制御される。
【0092】
この水回収装置71は、貯留部72cに溜まり、貯留量検出器75で検出された貯留量が所定の上限量を超えた場合、制御装置62は、水回収開閉弁76を開放制御する。すると、水回収ライン74を介して貯留部72cの水が水回収容器73に送られる。一方、貯留部72cの水が減り、貯留量検出器75で検出された貯留量が所定の下限量を下回った場合(または無くなった場合)、制御装置62は、水回収開閉弁76を閉止制御する。なお、上記では水回収開閉弁76を用いて開閉制御としているが、水回収開閉弁76に換えて制御弁を用いて、水位制御を行ってもよい。
【0093】
この水回収装置71は、水供給装置(水供給部)81を介して流体貯蔵部63に接続されている。水供給装置81は、水回収容器73と流体貯蔵部63との間を接続する水供給ライン82を有している。そして、水供給ライン82に、水供給開閉弁83および水供給圧送機84が設けられている。水供給開閉弁83は、水供給ライン82を開閉する。水供給開閉弁83の開閉は制御装置62により制御される。水供給圧送機84は、水回収容器73から水供給ライン82に水を送り出す。水供給圧送機84の駆動は制御装置62により制御される。また、流体貯蔵部63は、貯蔵される水の貯蔵量を検出する貯蔵量検出器85が設けられている。貯蔵量検出器85で検出された貯蔵量は、制御装置62に入力される。
【0094】
制御装置62は、例えば、流体貯蔵部63に貯蔵される水の貯蔵量における下限量が予め記憶されている。そして、制御装置62は、貯蔵量検出器85で検出した貯蔵量が下限量を下回った場合、水供給装置81を起動する。なお、水回収装置71にて回収した水だけでは、供給する水を賄えない場合には、不足分を外部から供給することもできる。また、水回収部で回収した水が、必要量よりも多い場合は、外部へ排出する、もしくは他の用途に利用することができる。
【0095】
このように本実施例の発電システム10にあっては、システム内に凝縮する水を抜き出して回収する水回収装置71を備え、この水回収装置71で回収される水が流体貯蔵部63に流体Cとして貯蔵される。なお、発電システム10は、水回収容器73を流体貯蔵部63と共用することができる。その場合、水回収容器73、水供給装置81、水供給ライン82、水供給開閉弁83を設けなくてもよくなる。
【0096】
従って、システム内に凝縮する水を抜き出し、この水を流体貯蔵部63に貯蔵することで、システム内で凝縮する水を流体Cとして有効利用することができる。
【0097】
また、本実施例の発電システム10にあっては、システム内に析出する水を抜き出して回収する水回収装置71と、水回収装置71と流体貯蔵部63とを接続する水供給ライン82と、水供給ライン82に設けられた水供給開閉弁83と、水供給ライン82に設けられて水回収装置71から流体貯蔵部63に水を送り出す水供給圧送機84と、流体貯蔵部63における水の貯蔵量を検出する貯蔵量検出器85と、を備え、制御装置62は、貯蔵量検出器85により検出された水の貯蔵量が下限量を下回った場合、水供給開閉弁83を開放制御すると共に水供給圧送機84を駆動する。
【0098】
従って、流体貯蔵部63に貯蔵される水の貯蔵量が減った場合、システム内に凝縮する水を抜き出して回収する水回収装置71から流体貯蔵部63に水を供給する。このため、システム内に凝縮する水を用いて、排空気A3または排燃料ガスL3を冷却することができる。しかも、流体貯蔵部63における水の貯蔵量が減った場合に、水を補充することができる。この結果、水の不足をなくし、排空気ライン34に流体を供給し続けることができる。
【0099】
なお、水回収装置71に回収され貯留部72cに貯留された水は、流体Cとして用いる以外に、蒸気タービンへの補給水等の他の用途に使用することができる。
【0100】
また、水回収装置71は、熱交換器72aを再生熱交換器と組み合わせてもよい。具体的には、水回収装置71は、排燃料ガスの流れ方向の上流側で再熱交換器により排燃料ガスL3の温度を低下させた後に、冷却器72aで冷却し、水蒸気を凝縮させ、水回収機71bよりも下流側で、再生熱交換器により排燃料ガスの温度を上昇させるようにしてもよい。これにより排燃料ガスの熱を有効に活用しつつ、排燃料ガスの水分を回収することができる。
【0101】
また、水回収装置71は、発電システム10の各ラインに設けることができるが、燃焼排ガスライン53に設けてもよい。より具体的には、排燃焼ガスライン53の排熱回収ボイラ51よりも下流側に設けることが好ましい。これにより、排燃焼ガスに含まれる水分を回収することができ、流体供給部61で排空気A3に供給した水分も回収することができる。
【0102】
また、水回収装置71は、回収したドレンを流体貯蔵部63に供給する経路、例えば、水供給ライン82に、水質を向上させる機器、例えば、イオン交換樹脂を配置することが好ましい。これにより、流体供給部61から供給する水の質を高くすることができ、排空気ライン34に不純物が付着することを抑制できる。