特許第6125306号(P6125306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125306
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】ダイアフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/053 20060101AFI20170424BHJP
   F04B 45/04 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   F04B45/053 B
   F04B45/04 F
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-90296(P2013-90296)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-214629(P2014-214629A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】593145179
【氏名又は名称】株式会社ワイ・テイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】村田 茂
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−131384(JP,A)
【文献】 実開昭51−151101(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/053
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ本体の内部における線対称位置に、対称軸から近い順に作動流体室、及び、該作動流体室とダイアフラムで仕切られたポンプ室が一対配され、
前記一対のダイアフラムに両端が連結したセンターロッドが、前記対称軸と直交する方向を軸として当該軸方向に移動自在に前記作動流体室を貫通して支持され、
前記一対の作動流体室に流体を交互に供給乃至排出することで、前記一対の作動流体室の容積を交互に増加乃至減少させ、以って、前記一対のダイアフラムを変動させると共に、これに連動する前記センターロッドをその軸方向に往復動させるダイアフラムポンプにおいて、
前記一対の作動流体室の一方から前記流体を排出する際に、前記一対の作動流体室を連通させる連通手段を備え
前記連通手段が、前記一対の作動流体室を連通させるための連通路と、前記一対の作動流体室の一方から前記流体を排出する際に、電気的または機械的に動作して前記連通路を一時的に開とする弁と、からなり、
前記ダイアフラムポンプが、ダイアフラムの移動を検出するパイロットバルブを有し、
前記連通手段が、前記一対の作動流体室を連通させるための連通路と、前記パイロットバルブのダイアフラム検出子と連動して前記連通路を一時的に開とする弁と、からなり、
前記ダイアフラム検出子の後端に弁軸が延設されるとともに、該弁軸の先端に前記弁体が設けられ、
前記作動流体室には、開口縁部が弁座として働くとともに前記弁軸をスライド可能に収容する穴が形成され、
前記連通路は、前記穴の底部に連通するとともに、該底部から反対側の前記作動流体室まで延びて前記パイロットバルブを収容する部分とは、独立に形成されていることを特徴とするダイアフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のダイアフラムポンプの構成を示す断面図である。ダイアフラムポンプは、ポンプ本体1の両側部に、センターロッド4により相互に連結されたディスク部材2,3により中央部を挟持されたダイアフラム5,6の外周部が挟着固定されている。また、ダイアフラム5,6を介して内側の作動流体室7,8と外側のポンプ室9,10と、が区画され、それぞれ形成されている。
【0003】
両側のポンプ室9,10には、吸込用逆止弁11,12を介して吸込口13が接続されると共に、吐出用逆止弁14,15を介して吐出口16が接続される。また、両側の作動流体室7,8には、切替弁17によって作動流体、例えば空気を交互に給排する作動流体孔18,19が連通している。なお、切替弁17は、例えば、ポンプ本体1の中央部に埋め込まれるようにして設置されるが、図面では説明の便宜上、外部に出してあり、その構造及び作用についての説明は後述する。
【0004】
ところで、作動流体室18,19に供給される圧縮空気は、吐出工程から吸込工程に移行した際に排出され、大気に開放される。このとき、大気に開放される圧縮空気は無駄になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−31650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記従来構造における無駄をなくしてエネルギー効率を向上させることができるダイアフラムポンプを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、
ポンプ本体の内部における線対称位置に、対称軸から近い順に作動流体室、及び、該作動流体室とダイアフラムで仕切られたポンプ室が一対配され、
前記一対のダイアフラムに両端が連結したセンターロッドが、前記対称軸と直交する方向を軸として当該軸方向に移動自在に前記作動流体室を貫通して支持され、
前記一対の作動流体室に流体を交互に供給乃至排出することで、前記一対の作動流体室の容積を交互に増加乃至減少させ、以って、前記一対のダイアフラムを変動させると共に、これに連動する前記センターロッドをその軸方向に往復動させるダイアフラムポンプにおいて、
前記一対の作動流体室の一方から前記流体を排出する際に、前記一対の作動流体室を連通させる連通手段を備え、前記連通手段が、前記一対の作動流体室を連通させるための連通路と、前記一対の作動流体室の一方から前記流体を排出する際に、電気的または機械的に動作して前記連通路を一時的に開とする弁と、からなり、前記ダイアフラムポンプが、ダイアフラムの移動を検出するパイロットバルブを有し、前記連通手段が、前記一対の作動流体室を連通させるための連通路と、前記パイロットバルブのダイアフラム検出子と連動して前記連通路を一時的に開とする弁と、からなり、前記ダイアフラム検出子の後端に弁軸が延設されるとともに、該弁軸の先端に前記弁体が設けられ、前記作動流体室には、開口縁部が弁座として働くとともに前記弁軸をスライド可能に収容する穴が形成され、前記連通路は、前記穴の底部に連通するとともに、該底部から反対側の前記作動流体室まで延びて前記パイロットバルブを収容する部分とは、独立に形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するためになされた参考発明は、上記の発明において、前記連通手段が、前記一対の作動流体室間に設けられた連通路と、(パイロットバルブのダイアフラム検出子)からの検出信号で動作し前記連通路を一時的に開とする貫通用電磁弁と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明のダイアフラムポンプによれば、ポンプ本体の内部における線対称位置に、対称軸から近い順に作動流体室、及び、該作動流体室とダイアフラムで仕切られたポンプ室が一対配され、一対のダイアフラムに両端が連結したセンターロッドが、対称軸と直交する方向を軸として当該軸方向に移動自在に作動流体室を貫通して支持され、一対の作動流体室に流体を交互に供給乃至排出することで、一対の作動流体室の容積を交互に増加乃至減少させ、以って、一対のダイアフラムを変動させると共に、これに連動するセンターロッドをその軸方向に往復動させるダイアフラムポンプにおいて、一対の作動流体室の一方から流体を排出する際に、一対の作動流体室を連通させる連通手段を備えているので、一方の作動流体室から排気される流体が他方の作動流体室に供給されるため、流体が排気される無駄がなくなり、従来よりもエネルギー効率が向上する。
【0012】
また、連通手段が、一対の作動流体室を連通させるための連通路と、一対の作動流体室の一方から流体を排出する際に、電気的または機械的に動作して連通路を一時的に開とする弁と、からなるので、電気的または機械的動作により、一方の作動流体室から排気される流体が他方の作動流体室に供給されるため、流体が排気される無駄がなくなり、従来よりもエネルギー効率が向上する。
【0013】
また、ダイアフラムポンプが、ダイアフラムの移動を検出するパイロットバルブを有し、連通手段が、一対の作動流体室を連通させるための連通路と、パイロットバルブのダイアフラム検出子と連動して前記連通路を一時的に開とする弁と、からなるので、機械的動作により、一方の作動流体室から排気される流体が他方の作動流体室に供給されるため、流体が排気される無駄がなくなり、従来よりもエネルギー効率が向上する。
【0014】
上記参考発明によれば、連通手段が、一対の作動流体室間に設けられた連通路と、パイロットバルブのダイアフラム検出子からの検出信号で動作し連通路を一時的に開とする貫通用電磁弁と、からなるので、電気的動作により、一方の作動流体室から排気される流体が他方の作動流体室に供給されるため、流体が排気される無駄がなくなり、従来よりもエネルギー効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るダイアフラムポンプの構造を示す断面図である。
図2図1のダイアフラムポンプにおける切替弁のデテント機構の平面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るダイアフラムポンプの構造を示す断面図である。
図4】従来のダイアフラムポンプの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るダイアフラムポンプの構造を示す断面図、図2は、図1のダイアフラムポンプにおける切替弁のデテント機構の平面図である。ダイアフラムポンプは、ポンプ本体1の内部における線対称位置に、対称軸から近い順に作動流体室7,8、及び、該作動流体室7,8とダイアフラム5,6で仕切られたポンプ室9,10が一対配されている。一対のダイアフラム5,6は、ディスク部材2,3でその中央部が挟持されかつその外周部がポンプ本体1に挟持固定されるとともに、センターロッド4の両端に連結されている。センターロッド4は、対称軸と直交する方向を軸として当該軸方向に移動自在に作動流体室7,8を貫通して支持されている。そして、切替弁17の操作によって、一対の作動流体室7,8に流体,例えば空気を交互に供給乃至排出することで、一対の作動流体室7,8の容積を交互に増加乃至減少させる。それにより、一対のダイアフラム5,6を変動させると共に、これに連動するセンターロッド4をその軸方向に往復動させている。
【0018】
両側のポンプ室9,10には、吸込用逆止弁11A,12Aを介して吸込口13が接続されると共に、吐出用逆止弁14A,15Aを介して吐出口16が接続される。また、両側の作動流体室7,8には、切替弁17によって作動流体を交互に供給乃至排出する作動流体孔18,19が連通されている。切替弁17は、例えば、ポンプ本体1の中央部に埋め込まれて設置されているが、図面では説明の便宜上、外部に出してある。
【0019】
また、一対の作動流体室7,8には、それぞれ切替圧減圧孔21,22が連通され、切替圧減圧孔21,22に、ダイアフラム5,6による作動流体排出動作終了直前の動きに連動して切替圧減圧孔21,22を開くパイロットバルブ23,24が設けられている。パイロットバルブ23,24は、切替圧減圧孔21,22の内部に螺合された弁本体25と、弁本体25に遊嵌されるダイアフラム検出子26と、を有している。また、ダイアフラム検出子26の後部小径部に弁体としてのOリング27が弁座28に対向するように篏着されている。さらに、ダイアフラム検出子26の後端とポンプ本体1の対向面との間に圧縮コイルスプリング29が装着されることにより、ダイアフラム検出子26の先端が作動流体室7,8の室内に突出している。
【0020】
切替弁17は、例えば、特公平6−31650号公報に記載の切換弁とほぼ同じ構成のものである。切替弁17は、スプール31の両端面に両側の切替圧減圧孔21,22と連通する切替圧縮室32,33を望ませ、この両端の切替圧室32,33と切替弁17への作動流体供給口34と、がオリフィス35,36を介して接続されている。
【0021】
上記切替弁17は、作動流体供給口34に直通のポート41,42と、ポンプ本体1の作動流体孔18,19に直通のポート43,44と、作動流体としての空気を大気に放出するポート45と、を備えている。なお、各ポートは、スプール31と嵌合するスリーブ46に形成する。
【0022】
次にダイアフラムポンプの作用を説明する。作動流体供給口34から所定の圧力で切替弁17に空気を入れる。このとき、スプール31の位置は、ポート41が開、ポート42が閉となる状態にあり、空気がポート41を通ってポート43に入り、さらにポンプ本体1の作動流体室7に入る。このとき、反対側の作動流体室8の空気は、作動流体孔19からポート44を通ってポート45から大気に排出される。
【0023】
したがって、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4は左方向に移動し、ダイアフラム5が、左側のポンプ室9内の流動体を吐出口16に押し出すと共に、ダイアフラム6が、吸込口13より右側のポンプ室10内に流動体を吸い込む。
【0024】
この左方向への移動の終了直前にディスク部材3でパイロットバルブ23のダイアフラム検出子26が押され、切換圧室33の空気が、このパイロットバルブ23、作動流体室8、作動流体孔19、ポート44,45を順次経て大気に排気される。
【0025】
このとき、オリフィス36での空気供給流量よりもパイロットバルブ24での空気排出流量の方が大きいので、スプール31の両端の切換圧室32,33に予め等しくかかっていた圧力のバランスがくずれ、切換圧室33の方が低い圧力になる。
【0026】
したがって、スプール31は、切換圧室33の方へ移動し、ポート41が閉、ポート42が開となり、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4は、右方向に移動することになる。
【0027】
この右方向への移動の終了直前においても上記作動流体室の自動切替が同様になされ、ポンプ作用が繰り返し行われる。
【0028】
次に、切替弁17の一端部に設けられたデテント機構51について説明する。このデテント機構51は、スプール31が中立位置で停止する恐れを防止するものである。デテント機構51は、スリーブ46の一端にスプリング受け体53が設けられ、スプリング受け体53の中央の穴を通してスプール31と一体的な軸部54が切換圧室32に突出され、この軸部54にスプール作動体57が軸方向に僅かなクリアランスをもって遊嵌されている。このスプール作動体57の左右両側には断面丸形のワイヤスプリング58が左右対称に篏着され、スプリング受け体53の左右両側部に一体形成された立上部59のV溝60にワイヤスプリング58の反対側部が篏着されている。
【0029】
図2に示すように、ワイヤスプリング58は、中央の直線部分に対し両側部が相互に対向する方向に円弧状に弯曲されてほぼC型に成型され、両側の端部61と、中央の直線状部62とが平行に形成されている。そして、このワイヤスプリング58の両側の端部61が、スプール作動体57の側面に設けられた小孔に回動自在に篏着され、ワイヤスプリング58の直線状部62が、スプリング受け体53に直線状に形成されたV溝60に回動自在に篏着されている。すなわち、このC形ワイヤスプリング58は、その切欠部を介して対向する端部61がスプール作動体57の小孔に篏着され、この小孔内で回動される。さらに、ワイヤスプリング58の直線状部62が、V溝60に篏着され、このV溝60の内部で回動される。
【0030】
図1に示されている上方切替状態からスプール31が下方に移動されると、ワイヤスプリング58がスプリング受け体53のV溝60を中心に下方へ回動され、スプール作動体57との間で収縮される。それにより、スプール31がワイヤスプリング58に抗して中立位置に近づくにしたがって、ワイヤスプリング58は、その端部61が直線状部62に接近するように弾性変形され、内部に復元力を蓄える。そして、スプール31が中立位置を僅かでも過ぎると、ワイヤスプリング58がV溝60を中心に下方に回動する動作が、ワイヤスプリング58に蓄えられた反発力によるスナップアクションで瞬時になされ、スプール31は、瞬時に下限まで強制切替される。この切替動作において、切替前は軸部54に嵌合されたスプール作動体57の下側にクリアランスがあるので、先ずスプール作動体57のみが軽いスプリング力で中立位置よりも下側に反転し、その慣性力がワイヤスプリング58の押圧力と共に軸部54の端面に作用し、スプール34の切替が確実になされる。
【0031】
ところで、パイロットバルブ23のダイアフラム検出子26の後端には、弁74の弁軸70が延設され、弁軸70の先端には弁体71が一体形成されている。弁体71は、作動流体室7内に配置されている。作動流体室7には、開口縁部が弁座として働くと共に弁軸70をスライド可能に収容する穴72が形成されている。穴72の底部は、作動流体室8と連通する連通路80に連通している。
【0032】
同様に、パイロットバルブ24のダイアフラム検出子26の後端には、弁75の弁軸70が延設され、弁軸70の先端には弁体71が一体形成されている。弁体71は、作動流体室8内に配置されている。作動流体室8には、開口縁部が弁座として働くと共に弁軸70をスライド可能に収容する穴72が形成されている。穴72の底部は、作動流体室7と連通する連通路81に連通している。
【0033】
ダイアフラム5,6及びセンターロッド4の左方向への移動の終了直前にディスク部材3でパイロットバルブ23のダイアフラム検出子26が押されると、上記に説明したように切替弁17の切替動作が行われる。それと同時に、パイロットバルブ23のダイアフラム検出子26が押されると弁体71が弁座から離れるため、弁74が開となり、作動流体室7と作動流体室8が穴72及び連通路80を介して連通される。それにより、作動流体室7から排出されようとする空気が穴72及び連通路80を介して作動流体室8に供給される。作動流体室7から作動流体室8に供給される空気は、連通前の作動流体室7内の空気の圧力が0.7MPa(メガパスカル)であれば、両方の作動流体室における空気の圧力がほぼ同圧である0.35MPaになるまで供給される。
【0034】
作動流体室7から作動流体室8に空気が供給されると、その分だけダイアフラム5,6及びセンターロッド4が右方向に移動し、弁74が閉となる。すなわち、弁74は、一時的に開となって、作動流体室7及び8を連通させるのである。
【0035】
切替弁17の切替動作により、作動流体室7に残存する空気は、作動流体孔18、ポート43,45を介して大気に放出されると共に、作動流体室8には、ポート44、作動流体孔19を介して空気が供給されるため、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4は、さらに右方向へ移動する。
【0036】
この右方向への移動の終了直前においても上記作動流体室の自動切替が同様になされ、ポンプ作用が繰り返し行われる。
【0037】
そして、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4の右方向への移動の終了直前にディスク部材3でパイロットバルブ24のダイアフラム検出子26が押されると、上記に説明したように切替弁17の切替動作が行われる。それと同時に、パイロットバルブ24のダイアフラム検出子26が押されると弁体71が弁座から離れるため、弁74が開となり、作動流体室7と作動流体室8が穴72及び連通路80を介して連通される。それにより、作動流体室8から排出されようとする空気が穴72及び連通路80を介して作動流体室7に供給される。作動流体室8から作動流体室7に供給される空気は、連通前の作動流体室8内の空気圧力が例えば0.7MPaであれば、両方の作動流体室における空気の圧力がほぼ同圧である0.35MPaになるまで供給される。
【0038】
作動流体室8から作動流体室7に空気が供給されると、その分だけダイアフラム5,6及びセンターロッド4が左方向に移動し、弁75が閉となる。すなわち、弁75は、一時的に開となって、作動流体室7及び8を連通させるのである。
【0039】
切替弁17の切替動作により、作動流体室8に残存する空気は、作動流体孔18、ポート43,45を介して大気に放出されると共に、作動流体室7には、ポート43、作動流体孔18を介して空気が供給されるため、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4は、さらに左方向へ移動する。
【0040】
上記に説明した第1の実施形態によれば、一方の作動流体室から排出されようとする空気が機械的動作により他方の作動流体室へ供給されるので、空気が無駄に排出されないためエネルギー効率を向上させることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るダイアフラムポンプの構造を示す断面図である。上述の第1の実施形態では、一方の作動流体室から排出されようとする空気が機械的動作により他方の作動流体室へ供給されるように構成されているのに対して、この第2の実施形態では、電気的動作により、一方の作動流体室から排出されようとする空気が他方の作動流体室へ供給されるように構成されているものである。
【0042】
図3において、ダイアフラムポンプは、ポンプ本体1の内部における線対称位置に、対称軸から近い順に作動流体室7,8、及び、該作動流体室7,8とダイアフラム5,6で仕切られたポンプ室9,10が一対配されている。一対のダイアフラム5,6は、ディスク部材2,3でその中央部が挟持されかつその外周部がポンプ本体1に挟持固定されるとともに、センターロッド4の両端に連結されている。センターロッド4は、対称軸と直交する方向を軸として当該軸方向に移動自在に作動流体室7,8を貫通して支持されている。そして、3方向電磁弁94及び95の動作によって、一対の作動流体室7,8に流体,例えば空気を交互に供給乃至排出することで、一対の作動流体室7,8の容積を交互に増加乃至減少させる。それにより、一対のダイアフラム5,6を変動させると共に、これに連動するセンターロッド4をその軸方向に往復動させている。
【0043】
両側のポンプ室9,10には、吸込用逆止弁11A,12Aを介して吸込口13が接続されると共に、吐出用逆止弁14A,15Aを介して吐出口16が接続される。また、両側の作動流体室7,8には、3方向電磁弁94及び95によって作動流体を交互に供給乃至排出する作動流体孔18,19が連通されている。3方向電磁弁94及び95は、例えば、ポンプ本体1の中央部に埋め込まれて設置されているが、図面では説明の便宜上、外部に出してある。
【0044】
また、一対の作動流体室7,8には、それぞれ切替圧減圧孔21,22が連通され、切替圧減圧孔21,22に、ダイアフラム5,6による作動流体排出動作終了直前の動きに連動して切替圧減圧孔21,22を開くパイロットバルブ23,24が設けられている。パイロットバルブ23,24は、切替圧減圧孔21,22の内部に螺合された弁本体25と、弁本体25に遊嵌されるダイアフラム検出子26と、を有している。また、ダイアフラム検出子26の後部小径部に弁体としてのOリング27が弁座28に対向するように篏着されている。さらに、ダイアフラム検出子26の後端とポンプ本体1の対向面との間に圧縮コイルスプリング29が装着されることにより、ダイアフラム検出子26の先端が作動流体室7,8の室内に突出している。
【0045】
さらに、作動流体室7と作動流体室8の間には、中間に2方向電磁弁である貫通用電磁弁93を設けた連通管92が連通されている。連通管92及び貫通用電磁弁93は、たとえば、ポンプ本体1の中央部に埋め込まれて設置されているが、図面では説明の便宜上、外部に出してある。
【0046】
次にダイアフラムポンプの作用を説明する。パイロットバルブ23及び24のダイアフラム検出子26により、センターロッド4の左右いっぱいを検出してその検出信号により、3方向電磁弁94及び95を交互にオン/オフすると、作動流体室7及び8に空気の供給または排出が交互に行われ、上記作動流体室の自動切替が同様になされ、ポンプ作用が繰り返し行われる。
【0047】
一方、パイロットバルブ23のダイアフラム検出子26により、センターロッド4の左いっぱいを検出して検出信号が出力された時、その検出信号により貫通用電磁弁93を一時的にオンにして弁を開にし、作動流体室7及び8を連通管92及び貫通用電磁弁93を介して連通させる。それにより、作動流体室7から排出されようとする空気が連通管92及び貫通用電磁弁93を介して作動流体室8に供給される。作動流体室7から作動流体室8に供給される空気は、連通前の作動流体室7内の空気の圧力が0.7MPa(メガパスカル)であれば、両方の作動流体室における空気の圧力がほぼ同圧である0.35MPaになるまで供給される。
【0048】
作動流体室7から作動流体室8に空気が供給されると、その分だけダイアフラム5,6及びセンターロッド4が右方向に移動する。
【0049】
その後、3方向電磁弁94及び95の切替動作により、作動流体室7に残存する空気は、3方向電磁弁94を介して大気に放出されると共に、作動流体室8には、3方向電磁弁95を介して空気が供給されるため、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4は、さらに右方向へ移動する。
【0050】
そして、ダイアフラム5,6及びセンターロッド4の右方向への移動の終了直前にディスク部材3でパイロットバルブ24のダイアフラム検出子26が押されると、上記に説明したように3方向電磁弁94及び95の切替動作が行われる。それと同時に、貫通用電磁弁93が一時的にオンとなる。それにより、作動流体室7及び8は、連通管92及び貫通用電磁弁93を介して連通され、上記と同様に、作動流体室8から排出されようとする空気が作動流体室7に供給される。以下、上記と同様の動作が行われ、作動流体室7及び8に空気の供給または排出が交互に行われ、上記作動流体室の自動切替が同様になされ、ポンプ作用が繰り返し行われる。
【0051】
上記に説明した第2の実施形態によれば、一方の作動流体室から排出されようとする空気が電気的動作により他方の作動流体室へ供給されるので、空気がリサイクルされて無駄に排出されないためエネルギー効率を向上させることができる。
【0052】
以上の通り、本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0053】
たとえば、上述の第2の実施形態では、貫通用電磁弁93と3方向電磁弁94及び95の動作を、パイロットバルブ23,24からの検出信号で制御しているが、これに限らず、パイロットバルブに代えてセンターロッド4の左右いっぱいを検知するセンサ(静電容量型または光ファイバー型)からの検知信号で切り替えたり、パイロットバルブに代わるタイマーからの信号で切り替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ポンプ本体
2,3 ディスク部材
4 センターロッド
5,6 ダイアフラム
7,8 作動流体室
9,10 ポンプ室
11A,12A 吸込用逆止弁
14A,15A 吐出用逆止弁
74,75 弁
80,81 連通路
92 連通管
93 貫通用電磁弁
94,95 3方向電磁弁
図1
図2
図3
図4