(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0015】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
図1〜
図3は、本実施の形態の半導体装置PKGの平面図であり、
図4は、半導体装置のPKGの断面図であり、
図5は、半導体装置のPKGの部分拡大断面図であり、
図6は、半導体装置のPKGの部分拡大平面図であり、
図7は、半導体装置のPKGの部分拡大断面図である。
【0016】
図1〜
図3のうち、
図1は、半導体装置PKGの上面側の平面図(すなわち上面図)が示され、
図2は、半導体装置PKGの下面側の平面図(すなわち下面図)が示されている。
図3は、半導体装置PKGの上面側の平面図(すなわち上面図)であるが、封止体MRを透視した平面透視図が示されている。なお、
図3では、各部材の平面的な位置関係を分かりやすくするために、封止体MRの外形位置を二点鎖線で示し、また、基板CBの下面CBbに形成された端子TEの外形位置を点線で示してある。また、
図4は、
図2のA1−A1線における断面図にほぼ対応している。
図5は、
図4において、点線で囲まれた領域RG1の拡大図が示されている。
図6は、
図3において、一点鎖線で囲まれた領域RG3の拡大図が示されており、
図3と同様に封止体MRを透視した平面透視図である。
図7は、
図4において、点線で囲まれた領域RG2の拡大図が示されている。
【0017】
図1〜
図7に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体パッケージ形態の半導体装置である。
【0018】
図1〜
図7に示すように、本実施の形態の半導体装置PKGは、基板CBと、基板CBの上面CBa上に搭載(配置)された半導体チップCPと、基板CBの下面CBbに形成された端子TEと、半導体チップCPのパッドPDと端子TEとの間を電気的に接続する導電性部材(導電性接続部材、ここではワイヤBW)と、半導体チップCPおよびワイヤBWを封止する封止体MRと、を有している。
【0019】
まず、半導体装置PKGの半導体チップCPについて、具体的に説明する。
【0020】
半導体チップCPは、その厚さと交差する平面形状が略矩形(四角形)であり、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路などを形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。半導体チップCPの平面形状は、略矩形であるが、矩形の角部を落とした形状または矩形の角部に丸みを持たせた形状とすることもできる。
【0021】
半導体チップCPは、半導体素子形成側の主面である表面(主面)CPaと、表面CPaとは反対側の主面である裏面CPbとを有しており、半導体チップCPの表面CPaには、複数のパッド(ボンディングパッド、パッド電極、電極パッド、端子)PDが形成されている(
図3および
図4参照)。従って、半導体チップCPにおいて、パッドPDが形成された側の主面が、半導体チップCPの表面CPaとなり、それとは反対側の主面が、半導体チップCPの裏面CPbとなる。
【0022】
半導体チップCPの各パッドPDは、半導体チップCPの内部または表層部分に形成された半導体素子または半導体集積回路に、半導体チップCPの内部配線(図示せず)などを介して電気的に接続されている。半導体チップCP内に形成された回路(半導体集積回路)としては、例えば、データを記憶するメモリ回路や、データを演算処理する演算回路などを例示できる。パッドPDは、半導体チップCPの表面CPaの周辺部(周縁部)に設けられている。
【0023】
また、半導体チップCPの表面CPa側の最表面(最上層)には、表面保護用の絶縁膜(保護絶縁膜)としてパッシベーション膜PV(
図7参照)が形成されているが、複数のパッドPDのそれぞれの表面は、このパッシベーション膜PVに形成された開口部において、パッシベーション膜から露出している。このため、半導体チップCPの表面CPaのパッドPDに対して、導電性接続部材(パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性部材、ここではワイヤBW)を接続することができる。パッシベーション膜PVは、その形成を省略する場合もあり得る。パッドPDは、例えばアルミニウム(Al)膜などの金属膜からなるが、このアルミニウム膜上にめっき膜PD1(
図7参照)を形成してパッドPDの最表面をこのめっき膜PD1で形成することもできる。このめっき膜PD1は、パッドPDの一部とみなすこともできる。めっき膜PD1は、例えば、ニッケル(Ni)膜と、該ニッケル膜上の金(Au)膜との積層膜とすることができ、この場合、金膜(金めっき膜)がパッドPDの最表面を形成する。なお、本実施の形態では、半導体チップCPの表面CPaは、半導体チップCPにおいて、パッドPDが形成された面(主面)であり、パッドPDが形成される下地の絶縁膜の上面に対応している。
【0024】
基板CBは、半導体チップCPが搭載される側の主面である上面CBaと、上面CBaとは反対側の主面である下面CBbとを有しており、半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPは、基板CBの上面CBaに搭載されている(
図4参照)。すなわち、半導体チップCPは、半導体チップCPの裏面CPbが基板CBの上面CBaに対向する向きで、接合材(ダイボンド材、接着材、接着層)DBを介して、基板CBの上面CBaに搭載(実装)されている。従って、半導体チップCPは基板CBの上面CBaにフェイスアップボンディングされている。
【0025】
半導体チップCPは、ダイボンド材である接合材DBを介して基板CBの上面CBa(具体的には基材BSの上面BSa)に搭載されて固定されている。この接合材DBは、基板CBの上面CBaに半導体チップCPをしっかりと固定できるものであれば、特に限定されないが、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂などを用いることができる。
【0026】
また、半導体チップCPは、半導体チップCPの平面形状の各辺が、基板CB(基材BS)の平面形状の各辺に沿うように、基板CBの上面CBa上(すなわち基材BSの上面BSa上)に接合材DBを介して搭載されている(
図3および
図4参照)。半導体チップCPの表面CPaには複数のパッドPDが形成されているが、これら複数のパッドPDは、半導体チップCPの表面CPaにおいて、辺に沿って周縁部側に配置されている。
【0027】
次に、半導体装置PKGの基板CBについて、具体的に説明する。
【0028】
基板CBは、基板CBのベースとなる絶縁層である絶縁性の基材(基材層、ベースフィルム、基板)BSと、基材BSの下面BSbにそれぞれ接着層(接着材層)SEを介して接着(接合)されて固定された複数の端子(電極、外部端子、金属パターン)TEとを有している(
図4および
図5参照)。端子TEは、半導体装置PKGの外部端子(外部接続用端子)として機能するものである。端子TEは、導電性を有しており、好ましくは金属材料からなる。基材BSは、絶縁性を有しており、例えばガラスエポキシ系の樹脂基板である。例えば、ガラス繊維にエポキシ系の樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板を、基材BSとして用いることができる。
【0029】
基材BSの厚さは薄く、例えば半導体チップCPの厚さよりも薄くなっている。基材BSのように薄く形成された基材は、半導体装置PKGの組み立て工程において、テープ状に形成した状態で取り扱うので、テープ基材と呼ばれる。また、テープ基材である基材BS上に半導体チップCPを搭載した半導体装置PKGのような半導体パッケージは、COT(Chip on Tape)パッケージと呼ばれる。但し、
図1〜
図7の半導体装置PKGにおいては、基材BSは、テープ状の基材を切断した後の状態となっている。
【0030】
基材BSは、互いに反対側に位置する2つの主面である上面(チップ搭載面)BSaと下面(端子面、端子形成面)BSbとを有している。基材BSの上面BSaが基板CBの上面CBaを形成している。すなわち、基材BSは、基板CBにおいて、上側に配置される部材なので、基材BSの上面BSaは基板CBの上面CBaと同一面である。半導体チップCPの裏面CPbが基材BSの上面BSaに対向する向きで、基材BSの上面BSa上に(接合材DBを介して)半導体チップCPが搭載されている。また、基材BSの下面BSbに複数の端子TEが接着層SEを介して接着されている。このため、基材BSの下面BSbと、基材BSの下面BSbに接着された複数の端子TEとが、基板CBの下面CBbを形成している。基材BSの下面BSbに複数の端子TEが接着層SEを介して接着されることで、基板CBの下面CBb側に複数の端子TEが設けられている。
【0031】
基材BSは(従って基板CBも)、その厚さと交差する平面形状は、例えば略矩形(四角形)であるが、矩形の角部を落とした形状または矩形の角部に丸みを持たせた形状とすることもできる。
図1〜
図3では、基材BSの平面形状は(従って基板CBの平面形状も)、矩形(四角形)の角部に丸みを持たせた形状(すなわち角部を円弧状とした形状)としている。すなわち、後述のコーナ部CN1,CN2,CN3,CN4は、それぞれ円弧状となっている。
【0032】
基材BSには、複数の貫通孔(開口部、ボンディングホール、接続用孔、スルーホール)SHが形成されており、各貫通孔SHは、基材BSの上面BSaおよび下面BSbの一方から他方まで貫通している(
図3〜
図6参照)。
【0033】
貫通孔SHは、端子TEと導電性接続部材(パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性部材、ここではワイヤBW)とを接合するために端子TEの一部(すなわち露出面EX)を基材BSから露出させるための孔である。このため、貫通孔SHは、複数の端子TEのそれぞれに対して形成されている(
図3参照)。すなわち、基板CBは複数の端子TEを有しているが、各端子TEに対して、その端子TEの一部(露出面EX)を露出する貫通孔SHが形成されている。
【0034】
各貫通孔SHは、各端子TEと平面視で(すなわち基材BSの上面BSaに略平行な平面で見たときに)重なる位置に形成されている。すなわち、基材BSにおいて、基材BSの下面BSbに接着された複数の端子TEのそれぞれに対して、その端子TEと平面視で重なる位置に、貫通孔SHが形成されている。貫通孔SHの平面寸法(平面積)は、端子の平面寸法(平面積)よりも小さく、平面視において、各貫通孔SHは、各端子TEに内包されている。貫通孔SHの平面形状は、例えば円形状とすることができ、その場合の貫通孔SHの形状は、略円柱状となる。貫通孔SHの直径は、例えば0.7mm程度を例示できる。
【0035】
但し、貫通孔SHは、基材BSを貫通しているが、端子TEは貫通していない。このため、封止体MRを透視して基板CBを上面CBa側から見ると、各端子TEは、一部が貫通孔SHから露出されている。つまり、端子TEは、基材BSの下面BSb側に形成されるが、基材BSには、基材BSの上面BSaおよび下面BSbの一方から他方まで貫通する貫通孔SHが形成されており、端子TEの一部(すなわち露出面EX)は、基材BSに形成された貫通孔SHから露出されているのである。ここで、端子TEのうち、貫通孔SHから露出する部分(面)を、露出面(露出部、表面、ボンディング面)EXと称することとする。
【0036】
なお、端子TEの露出面EXは、基材BSに形成された貫通孔SHから露出されているが、これは、基材BSで覆われずに基材BSから露出していることを意味している。実際には、貫通孔SH内は封止体MRで封止されており、貫通孔SHは封止体MRを構成する材料で満たされているため、貫通孔SHから露出された部分の端子TE(すなわち露出面EX)は、封止体MRで覆われた状態になっている。このため、貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXは、端子TEの基材BSに対向する側の面(基材対向面TEa)のうち、基材BSで覆われずに貫通孔SHで基材BSから露出された部分(面)に対応している。
【0037】
半導体チップCPの表面CPaの複数のパッドPDと基板CBの複数の端子TEとは、複数の導電性部材(例えば複数のワイヤBW)を介して、それぞれ電気的に接続されている(
図3〜
図7参照)。ワイヤBWは、半導体チップCPのパッドPDと基板CBの端子TEとの間を電気的に接続する導電性部材(導電性接続部材)として機能することができる。
【0038】
なお、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性部材を、以下では導電性接続部材と称することとする。導電性接続部材(すなわちパッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性部材)としては、例えばワイヤBWを好適に用いることができ、
図3〜
図7では、導電性接続部材としてワイヤBWを用いた場合が示されている。
【0039】
ワイヤ(ボンディングワイヤ)BWは、金属線からなり、例えば、金(Au)線からなる金ワイヤを好適に用いることができる。他の形態として、ワイヤBWの材料として、銅(Cu)を主成分とする材料(金属材料)を用いることもでき、銅(Cu)線からなる銅ワイヤをワイヤBWとして用いることもできる。
【0040】
ワイヤBWは、一方の端部が、半導体チップCPの表面CPaのパッドPDに接続され、他方の端部が、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXに接続されている。すなわち、半導体チップCPの表面CPaの複数のパッドPDと基板CBの複数の端子TEとが複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されているが、各端子TEにおいて、ワイヤBWが接続されるのは、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXである。つまり、貫通孔SHにワイヤBWを通し、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXにワイヤBWを接合することにより、端子TEとワイヤBWを電気的に接続している。基材BSに貫通孔SHを設けて貫通孔SHから端子TEの露出面EXを露出させることにより、基板CBの上面CBa(すなわち基材BSの上面BSa)上に搭載された半導体チップCPのパッドPDと、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXとを、基板CBの上面CBa側においてワイヤBWなどの導電性接続部材で繋いで電気的に接続することができる。
【0041】
端子TEは、基材BSの下面BSbに形成されているが、この端子TEは、基材BSの下面BSbと対向する側の主面である基材対向面(上面)TEaと、基材対向面TEaとは反対側の主面である端子面(下面)TEbとを有している。そして、この端子TEの基材対向面(上面)TEaは、貫通孔SH以外の基材BSの下面BSbに対向して接着層SEを介して基材BSの下面BSbに接着された接合面(面)BDと、基材BSの貫通孔SHから露出する露出面EXとを有している。
【0042】
基材BSの下面BSbに形成された複数の端子TEのそれぞれについて、端子TEの基材対向面TEaのうちの接合面BDが、接着層SEを介して基材BSの下面BSbに接着されて固定されるとともに、端子TEの基材対向面TEaのうちの露出面EXが、基材BSの貫通孔SHから露出されている。これにより、端子TEにおける導電性接続部材(ここではワイヤBW)の接続領域として、露出面EXを確保し、端子TEの露出面EXにワイヤBWなどの導電性接続部材を接続することができるようになっている。
【0043】
端子TEの端子面TEbは、後述するめっき層TE2の表面からなる。めっき層TE2が、ニッケル層TE21と該ニッケル層TE21上の金層TE22との積層膜からなる場合は、端子TEの端子面TEbは、めっき層TE2の最表面を構成する金層TE22(金めっき層)により形成される。半導体装置PKGの端子TEの端子面TEbは、外部接続端子として機能することができる。
【0044】
貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXは、後述するめっき層TE3の表面からなる。めっき層TE3が、ニッケル層TE31と該ニッケル層TE31上の金層TE32との積層膜からなる場合は、貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXは、めっき層TE3の最表面を構成する金層TE32(金めっき層)により形成される。端子TEの接合面BDは、後述する銅層TE1の上面TE1aからなる。
【0045】
端子TEの露出面EXには、導電性接続部材、ここではワイヤBWが接続(接合)されているが、それ以外に、スタッドバンプ(バンプ電極)SBが形成されている(
図4〜
図6参照)。
【0046】
端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBが形成されているが、このスタッドバンプSBには、ワイヤ(BW)は接続されていない。すなわち、スタッドバンプSBは、導電性接続部材(ここではワイヤBW)を端子TEに接続するために形成したものではない。つまり、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBは、半導体チップCPのパッドPDと基板CBの端子TEとの間を電気的に接続するために形成したものではない。スタッドバンプSBは、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を高めるためのアンカー手段として形成したものである。端子TEの露出面EXに形成されたスタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXから突出しているため、端子TEの露出面EXに形成された凸部(突起部)とみなすこともできる。
【0047】
スタッドバンプSBは、例えば金(Au)からなる。スタッドバンプSBが金(Au)からなる場合は、スタッドバンプSBは金バンプ(金バンプ電極)である。スタッドバンプSBが金からなる場合は、端子TEの露出面EXは、金(Au)層(後述の金層TE32に対応)により形成されていることが好ましく、これにより、スタッドバンプSBと端子TEの露出面EXとをAu−Au接合により強固に接合することができる。
【0048】
また、スタッドバンプSBとワイヤBWとが同じ材料により形成されていれば、より好ましい。これにより、スタッドバンプSBとワイヤBWとを同じ装置で形成することができるようになる。また、スタッドバンプSBとワイヤBWとを、同じワイヤボンディング工程で形成することができるようになる。従って、スタッドバンプSBを形成したことに伴う製造工程数の増加や製造時間の増加を、抑制または防止することができる。
【0049】
また、スタッドバンプSBとワイヤBWとが同じ材料により形成されていれば、端子TEの露出面EXを構成する材料としてワイヤBWを接続するのに適した材料を選択することは、必然的に、端子TEの露出面EXを構成する材料としてスタッドバンプSBを接続するのに適した材料を選択することにつながる。このため、端子TEの露出面EXを構成する材料として、スタッドバンプSBとワイヤBWの両方に適した材料を選択することができる。従って、スタッドバンプSBと端子TEの露出面EXとの接合強度と、ワイヤBWと端子TEの露出面EXとの接合強度の両方を、向上させることができる。
【0050】
詳細は後述するが、スタッドバンプSBは、電気トーチにより、例えば金からなるワイヤの先端(端部)にボール部(ボール状の電極)を形成し、このボール部をキャピラリ(図示省略)で端子TEの露出面EXに押し付けて接合することにより、形成したものであり、扁平形状に押しつぶされたボール部(ボール状の電極)により形成されている。また、スタッドバンプSBの平面形状は、例えば略円形状であるが、その直径は、例えば0.1mm程度を例示できる。また、スタッドバンプSBの高さ(露出面EXに略垂直な方向の寸法)は、例えば8μm以上とすることができる。
【0051】
また、半導体チップCPの複数のパッドPDと複数の端子TEとを、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続しているが、本実施の形態では、逆ボンディング方式でワイヤBWを接続している。
【0052】
ここで、半導体チップのパッドと、その半導体チップを搭載する基板の端子との間を、ワイヤで接続するワイヤボンディングを行う際に、先に半導体チップのパッドにワイヤを接続(第1ボンド)してから、そのワイヤを基板の端子に接続(第2ボンド)する場合が、所謂、正ボンディング方式である。また、先に基板の端子にワイヤを接続(第1ボンド)してから、そのワイヤを半導体チップのパッドに接続(第2ボンド)する場合が、所謂、逆ボンディング方式である。
【0053】
詳細は後述するが、ワイヤボンディング工程では、まず、電気トーチにより、例えば金からなるワイヤの先端(端部)にボール部(ボール状の電極)を形成し、このボール部をキャピラリ(図示省略)で第1接続側のボンディング領域(ここでは端子TEの露出面EX)に押し付けて接合する。このため、端子TEとの接合部を第1ボンド側とする逆ボンディング方式をワイヤBWの形成に採用した場合には、
図5に示されるように、ワイヤBWと一体的に形成されたボール部BL(キャピラリを押しつけて形成した扁平形状のボール部)を介してワイヤBWと端子TEの露出面EXとが接合されている。つまり、ワイヤBWの先端(端部)にワイヤBWと一体的に形成されたボール部(ボール状の電極)BLが、端子TEの露出面EXに接合されている。ボール部BLは、ワイヤBWと同じ材料により、ワイヤBWと一体的に形成されている。ボール部BLは、ワイヤBWの一部とみなすこともできる。
【0054】
一方、ワイヤBWの第2ボンド側(すなわちワイヤBWとパッドPDの接続部側)では、ワイヤBWの他方の端部(端子TEの露出面EXに接続された側とは反対側の端部)は、パッドPDに直接的に接合されていてもよいが、パッドPD上に形成されているスタッドバンプ(バンプ電極)BPに接合し、このスタッドバンプBPを介してパッドPDに電気的に接続されていれば、より好ましい。このスタッドバンプBPは、ワイヤBWとは別体でパッドPD上に形成されたものである。すなわち、半導体チップCPのパッドPD上にスタッドバンプBPを形成しておき、このパッドPD上のスタッドバンプBPに、逆ボンディング方式の第2ボンドでワイヤBWを接合する。
【0055】
スタッドバンプBPが金からなる場合は、パッドPDの最表面(上記めっき膜PD1の表面)は、金(Au)膜により形成されていることが好ましく、これにより、スタッドバンプBPとパッドPDの最表面の金膜とをAu−Au接合により強固に接合することができる。
【0056】
ワイヤBWの端部(端子TEの露出面EXに接続された側とは反対側の端部)を、パッドPD上に形成されているスタッドバンプBPに接合し、このスタッドバンプBPを介してパッドPDと電気的に接続することで、半導体チップCPのパッドPD側が第2ボンド側となる逆ボンディングにおいても、ワイヤBWを半導体チップCPのパッドPDにより的確に接続しやすくなる。
【0057】
図7に示されるように、半導体チップCPの最表面にはパッシベーション膜(絶縁膜)PVが形成され、パッドPDの表面は、このパッシベーション膜PVに形成された開口部において、パッシベーション膜PVから露出している。このため、パッドPDの表面は、パッシベーション膜PVの表面よりも低い位置にある。ワイヤボンディングの第2ボンド側では、ワイヤを接合対象部材(ここではパッドPD)に擦り付けるように接合するが、その際、ワイヤボンディング装置のキャピラリ(図示せず)がパッシベーション膜PVを傷付ける虞がある。そこで、逆ボンディング方式においては、パッドPD上に予めスタッドバンプBPを形成(接合)し、ワイヤBWをパッドPD上のスタッドバンプBPに接合することで、ワイヤBWをスタッドバンプBPを介してパッドPDと電気的に接続することが、より好ましい。これにより、ワイヤボンディングの際のパッシベーション膜PVの損傷などを防止することができる。
【0058】
なお、端子TEの露出面EXに形成されたスタッドバンプSBは、ワイヤ(BW)を接続するために設けたものではなく、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を高めるためのアンカー手段として形成したものである。それに対して、半導体チップCPのパッドPD上に形成されたスタッドバンプBPは、ワイヤBWを接続するために設けたものである。つまり、端子TEの露出面EXに形成されたスタッドバンプSBは、半導体チップCPのパッドPDと基板CBの端子TEとの間を電気的に接続するために形成したものではなく、一方、パッドPD上に形成されたスタッドバンプBPは、半導体チップCPのパッドPDと基板CBの端子TEとの間を電気的に接続するために形成したものである。
【0059】
次に、
図5を参照して、端子TEの層構造について説明する。
【0060】
端子TEは、主体となる導電層(コア金属層)として、銅箔からなる銅(Cu)層TE1を有している。銅層TE1の上面TE1aは、接着層SEを介して、基材BSの下面BSbに接着されている。また、銅層TE1の下面TE1bには、めっき層(めっき膜)TE2が形成されている。ここで、銅層TEの上面TE1aと下面TE1bとは、互いに反対側の主面であり、基材BSに対向する側(すなわち基材BSに接着された側)の主面が、上面TE1aであり、上面TE1aとは反対側の主面が下面TE1bである。銅層TE1の厚みは、例えば30μm程度とすることができる。
【0061】
めっき層TE2は、例えば、銅層TE1の下面TE1b上に形成されたニッケル(Ni)層TE21(すなわちニッケルめっき層)と該ニッケル層TE21上の金(Au)層TE22(すなわち金めっき層)との積層膜からなる。この場合、めっき層TE2の最表面は、金層TE22になる。また、本実施の形態1では、めっき層TE2を構成するニッケル層TE21は、めっき層TE2を構成する金層TE22よりも厚く、例えば、ニッケル層TE21の厚さは4μm程度、金層TE22の厚さは0.1μm程度である。
【0062】
基材BSの貫通孔SHから露出する部分の銅層TE1の上面TE1aには、めっき層(めっき膜)TE3が形成されている。めっき層TE3は、例えば、銅層TE1の上面TE1a上に形成されたニッケル(Ni)層TE31(すなわちニッケルめっき層)と該ニッケル層TE31上の金(Au)層TE32(すなわち金めっき層)との積層膜からなる。この場合、めっき層TE3の最表面は、金層TE32になる。また、本実施の形態1では、めっき層TE3を構成するニッケル層TE31は、めっき層TE3を構成する金層TE32よりも厚く、例えば、ニッケル層TE31の厚さは6μm程度、金層TE32の厚さは0.3μm程度である。
【0063】
めっき層TE2とめっき層TE3とは、同工程で形成すれは、基板CBを製造しやすくなり、その場合、めっき層TE2とめっき層TE3とは、同じ膜構成となる。
【0064】
めっき層TE2は、銅層TE1の下面TE1b全体に形成されている。すなわち、銅層TE1の下面TE1b全体が、めっき層TE2で覆われている。一方、めっき層TE3は、銅層TE1の上面TE1a全体に形成されているのではなく、銅層TE1の上面TE1aのうち、貫通孔SH内の銅層TE1の上面TE1aに形成されている。すなわち、銅層TE1の上面TE1aのうち、基材BSの貫通孔SHに平面視で重なる領域に、めっき層TE3が形成されており、基材BSの貫通孔SHに平面視で重なる部分以外(すなわち接着層SEを介して基材BSの下面BSbに接着された領域)には、めっき層TE3は形成されていない。つまり、めっき層TE3は、銅層TE1の上面TE1aにおいて、貫通孔SHと平面視で重なる領域に選択的に形成されている。このため、めっき層TE3が形成されていない領域の銅層TE1の上面TE1aが、接着層SEに接しており、その接着層SEを介して基材BSの下面BS1bに接着されている。つまり、銅層TE1の上面TE1aは、貫通孔SH以外では、接着層SEを介して基材BSの下面BS1bに接着されており、貫通孔SH内では、めっき層TE3で覆われている。
【0065】
このように、銅層TE1の表面を銅(Cu)よりも酸化しにくい金属からなるめっき層TE2,TE3で覆うことにより、端子TEの露出面の酸化を防止することができる。
【0066】
また、めっき層TE3の最表面を金(Au)層TE32とすることにより、ワイヤBWなどの導電性接続部材を端子TEの露出面EXに的確に接続しやすくなる。また、めっき層TE2の最表面を金(Au)層TE22とすることにより、半導体装置PKGの端子TEを図示しない外部機器と接触する際の電気的特性を向上させることができる。
【0067】
このように、端子TEは、銅層TE1と、銅層TE1の下面TE1bに形成されためっき層TE2と、貫通孔SH内の銅層TE1の上面TE1aに形成されためっき層TE3とにより形成されている。
【0068】
次に、基板CBの下面CBbにおける複数の端子TEの配置例について説明する。
【0069】
すなわち、基材BS(基板CB)は、互いに対向する辺SD1および辺SD2と、辺SD1,SD2と交差し、かつ互いに対向する辺SD3および辺SD4とを有している。
図2には、基板CBの下面CBbにおいて、複数の端子TEとして、8個の端子(VCC,NC1,GND,NC2,RST,CLK,I/O,NC3)が形成された場合が示されている。具体的には、辺SD1と辺SD3とで規定されるコーナ部CN1には、複数の端子TEのうち、電源電位を供給する電源電位端子VCCが形成されている。また、辺SD1と辺SD4とで規定されるコーナ部CN2には、複数の端子TEのうち、予備端子NC1が形成されている。また、辺SD2と辺SD3とで規定されるコーナ部CN3には、複数の端子TEのうち、基準電位を供給する基準電位端子GNDが形成されている。また、辺SD2と辺SD4とで規定されるコーナ部CN4には、複数の端子TEのうち、予備端子NC2が形成されている。また、電源電位端子VCCと予備端子NC1との間には、複数の端子TEのうち、リセット信号(電流)を供給するリセット端子RSTと、クロック信号(電流)を供給するクロック端子CLKとが形成されている。なお、電源電位端子VCCと予備端子NC1との間において、コーナ部CN1に近い側(すなわち電源電位端子VCCに近い側)にリセット端子RSTが形成され、コーナ部CN2に近い側(すなわちリセット端子RSTと予備端子NC1との間)にクロック端子CLKが形成されている。また、基準電位端子GNDと予備端子NC2との間には、複数の端子TEのうち、データ信号(電流)を入出力するデータ端子I/Oと、予備端子NC3とが形成されている。なお、基準電位端子GNDと予備端子NC2との間において、コーナ部CN4に近い側(すなわち予備端子NC2に近い側)にデータ端子I/Oが形成され、コーナ部CN3に近い側(すなわち基準電位端子GNDとデータ端子I/Oとの間)に予備端子NC3が形成されている。
【0070】
また、複数の端子TE(基準電位端子GNDを除く)のそれぞれの平面形状は、例えば略矩形(四角形)とすることができるが、基材BSのコーナ部CN1,CN2,CN3,CN4が丸みを持っている(円弧状となっている)ことに対応して、端子TEの平面形状を構成する矩形(四角形)も、コーナ部CN1,CN2,CN3,CN4の位置で丸みを持たせる(円弧状とする)ことができる。
【0071】
また、基材BSの4つの辺SD1,SD2,SD3,SD4のうちの対向する2つの辺SD1,SD2に沿って複数の端子TEが配置されており、
図2の場合は、辺SD1に沿って4つの端子(VCC,RST,CLK,NC1)が配置され、辺SD2に沿って4つの端子(GND,NC3,I/O,NC2)が配置されている。このように、4つの辺SD1,SD2,SD3,SD4対向する2つの辺に沿って複数の端子TEをそれぞれ配置することにより、端子TEのレイアウトを変更することなく、半導体チップCPの平面寸法の変更(例えば大型化)に対応することができる。
【0072】
なお、
図2では、基材BSの下面BSbにおいて、コーナ部CN3に配置された基準電位端子GNDが、端子VCC,RST,CLK,NC1と端子NC3,I/O,NC2との間を辺SD1(または辺SD2)に沿って延在する延在部と一体に形成された形状となっている。しかしながら、端子形状はこれに限定されず、例えば、基準電位端子GNDの平面形状を、電源電位端子VCCと対称な形状とすることも可能である。
【0073】
次に、半導体装置PKGの封止体MRについて、具体的に説明する。
【0074】
半導体装置PKGにおいて、基板CBの上面CBa上に、半導体チップCPおよび複数のワイヤBWを封止する封止体(封止樹脂、封止部、封止樹脂部)MRが形成されている(
図3〜
図5参照)。封止体MRは、基板CBの上面CBa上に、半導体チップCPおよび複数のワイヤBWを覆うように、形成されている。封止体MRにより、半導体チップCPと、その半導体チップCPの複数のパッドPDと複数の端子TEとを電気的に接続する導電性接続部材(ここでは複数のワイヤBW)とを、封止し、保護することができる。封止体MRは、例えばエポキシ樹脂などの樹脂材料(例えば熱硬化型樹脂材料)からなり、フィラー(シリカなど)を含有することもできる。
【0075】
封止体MRは、貫通孔SH内にも形成されている。すなわち、平面視で、封止体MRは貫通孔SHを内包するように形成されており、貫通孔SHは、封止体MRの一部により充填されている。このため、貫通孔SHにおいて、基材BSから露出する端子TEの露出面EXは、封止体MRで覆われて封止されている。これにより、ワイヤBWなどの導電性接続部材と端子TEの露出面EXとの接合部は、封止体MRで封止される。
【0076】
このように、封止体MRは、基材BSの貫通孔SHの内部(従って端子TEの露出面EX)、半導体チップCP、および、複数のパッドPDと複数の端子TEとを電気的に接続する導電性接続部材(ここでは複数のワイヤBW)を、封止している。
【0077】
また、封止体MRは基板CBの上面CBa全体を覆うのではなく、基板CBの上面CBaの周縁部は封止体MRで覆われずに露出している。これにより、基板CBの上面CBaの周縁部を、後述のカード本体2の凹部3aの底面3cに接着することができる。
【0078】
また、半導体装置PKGを後述のカード本体2の凹部3内に収容させる場合は、封止体MRの厚さは、その凹部3内への半導体装置PKGの収容が可能となる厚さにする必要がある。
【0079】
<ICカードの構造について>
次に、上記半導体装置PKGを組み込んだIC(Integrated Circuit)カードについて説明する。
【0080】
図8および
図9は、本実施の形態のICカード1の平面図であり、
図8には、ICカード1の表面側の平面図が示され、
図9は、ICカード1の裏面側の平面図が示されている。また、
図10は、ICカード1の部分拡大断面図であり、
図8のA2−A2線における断面図にほぼ対応している。
【0081】
図8〜
図10に示されるICカード1は、カード本体2に上記半導体装置PKGを組み込んだカードである。すなわち、ICカード1は上記半導体装置PKGを内蔵するICカードである。カード本体2内に、半導体装置PKGを組み込むことにより、例えば、ICカード1の半導体装置PKG(の半導体チップCP)に情報を記憶することができ、従って、ICカード1に情報を記憶することができる。ICカードにおける半導体装置PKGの上記端子TEを、ICカード1の外部端子(外部接続用端子)として用いることができ、この端子TEを図示しない外部機器のインターフェース(例えば外部機器の外部端子)に接触させることで、ICカード1(の半導体装置PKG)と外部との間でデータ通信を行うことができる。
【0082】
図8および
図9に示されるように、カード本体2の平面形状は、例えば、略矩形(四角形)であるが、矩形の角部を落とした形状または矩形の角部に丸みを持たせた(角部を円弧状にした)形状とすることもできる。矩形の角部に丸みを持たせた形状とすることにより、ICカード1を取り扱いやすくすることができる。
【0083】
カード本体2が、ICカード1の外形を成すため、ICカード1の平面形状は、カード本体2の平面形状と同様である。カード本体2は、例えばプラスチックなどの樹脂からなる。カード本体2をプラスチックなどの樹脂で形成すれば、ICカード1を取り扱いやすくなり、また、カード本体2を作製する際の加工も容易になる。カード本体2の寸法の一例をあげれば、平面形状は、長辺の長さが約84.6mmで短辺の長さが約54mmの略長方形(4つの角部が円弧形状を成す長方形)で、厚さが約750μmである。
【0084】
図8〜
図10に示されるように、カード本体2は、互いに反対側に位置する2つの主面である表面2aと裏面2bとを有しており、カード本体2の表面2a側には、半導体装置PKGを収容するための凹部(窪み部)3が形成されている。凹部3は、カード本体2の表面2a側に形成されているが、カード本体2を貫通していない。半導体装置PKGは、カード本体2の表面2a側に形成された凹部3内に、接着材(接着層、接着シート)4を介して接着されて固定されている。
【0085】
凹部3は、半導体装置PKGをちょうど収容できるように、半導体装置PKGの平面形状とほぼ同じか、若干大きな平面形状および寸法を有している。このため、半導体装置PKGの平面形状(基板CBの平面形状にほぼ対応)が矩形の角部に丸みを持たせた形状であれば、凹部3の平面形状も、矩形の角部に丸みを持たせた形状とすることができる。
【0086】
具体的には、カード本体2の表面2aには、平面視(カード本体2の表面2aに略平行な平面で見た場合)において、略四辺形を成す凹部(窪み部)3aと、凹部3a内に形成され、かつ、凹部3aよりも深く形成された凹部(窪み部)3bとが形成されており、これら凹部3aと凹部3bとにより凹部3が構成されている。すなわち、平面視(カード本体2の表面2aに略平行な平面で見た場合)において、凹部3bは凹部3aに内包されている。また、凹部3bの深さは、凹部3aの深さよりも深い。このため、凹部3bの底面3dよりも浅い位置に凹部3aの底面3cがあり、凹部3bの底面3dと凹部3aの底面3cとの間には、凹部3bの側壁3fが介在しており、凹部3aの底面3cとカード本体2の表面2aとの間には、凹部3aの側壁3eが介在している。
【0087】
半導体装置PKGを収容するための凹部3を、凹部3aと凹部3aよりも深い凹部3bとにより形成しているのは、基板CBの上面CBa上に形成されている封止体MRを凹部3bに収容し、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaのうち、封止体MRが形成されていない領域(すなわち基板CBの上面CBaのうちの外周領域)を凹部3aの底面3cに接着できるようにするためである。
【0088】
そして、シート状に形成された接着材4は、一方の面が半導体装置PKGの基板CBの上面CBaと接着し、他方の面が、凹部3aの底面3cと接着している。すなわち、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaのうち、凹部3aの底面3cと平面視で重なる部分が、接着材4を介して、凹部3aの底面3cと接着されている。これにより、半導体装置PKGを凹部3に収容してカード本体2に固定することができる。
【0089】
一方、凹部3bの底面3dと半導体装置PKGの上面(すなわち封止体MRの上面MRa)とは接着材などで接着されておらず、凹部3bの底面3dと半導体装置PKGの上面(すなわち封止体MRの上面MRa)との間には、中空空間5が形成されている。すなわち、凹部3に収容された半導体装置PKGにおいて、封止体MRは凹部3a内に収容されているが、半導体装置PKGの封止体MRと凹部3bの底面3dとは、接着されておらず、間に中空空間5が形成されている。このように、凹部3bの底面3dと半導体装置PKGとの間に中空空間5を設けることにより、カード本体2が外力などにより変形した場合であっても、変形により発生する応力が、直接、半導体装置PKGの封止体MRに伝わることを抑制または防止することができる。このため、外力などに起因する応力による封止体MRの破損を抑制または防止することができる。
【0090】
凹部3bの底面3dからカード本体2の裏面2bまでの距離(すなわち凹部3bの底面3dにおけるカード本体2の厚み)は、例えば100μm程度とすることができ、中空空間5の厚さ(すなわち封止体MRの上面MRaから凹部3bの底面3dまでの距離)は、例えば50μm程度とすることができる。
【0091】
また、カード本体2における凹部3の位置、すなわち、ICカード1内での半導体装置PKGの配置は、
図8に示されるように、対向する長辺(カード本体2の長辺)の中心を結ぶ中心線よりも一方の短辺(カード本体2の短辺)に寄せて配置されている。なお、ICカード1内における半導体装置PKGの配置は、例えば、ISO(International Organization for Standardization)などにより、外部端子の位置として標準化されている。
【0092】
このように、ICカード1は、カード本体2の表面2aに形成された凹部3内に半導体装置PKGを埋め込んで固定する構造であり、
図8に示されるように、半導体装置PKGに形成された複数の端子TEは、カード本体2の表面2aにおいて、カード本体2から露出している。このため、この複数の端子TEを、図示しない外部機器の端子などに接触させることにより、外部機器とデータ通信を行うことができる。すなわち、ICカード1は、端子TEを接触させる接触方式により、外部とのデータ通信を行うことができる。
【0093】
カードに情報を記憶させて、外部機器で情報を読み取る技術としては、カードに磁性体の帯を設け、該磁性体に情報を記憶させる、磁気ストライプカード技術もある。しかしながら、ICカード技術は、磁気ストライプカード技術と比較して、記憶容量が大きい。また、データを暗号化することで、偽造を抑制することができるので、例えば、キャッシュカードやクレジットカードなど、幅広い用途にICカード技術を適用することができる。
【0094】
なお、ICカードのデータ通信方式は、本実施の形態のように、半導体装置PKGの外部端子を外部機器と接触させて通信する接触型の他、半導体装置内にアンテナ端子を形成し、該アンテナ端子を介して通信する非接触型、これらを併用する複合型がある。本実施の形態では、これらの代表例として、
図8に示されるようにカード本体2の表面2aにおいて、半導体装置PKGの複数の端子TEが露出する接触型のICカード1を例に挙げて説明している。
【0095】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程について説明する。
【0096】
図11および
図12は、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程を示す製造プロセスフロー図である。
図12には、
図11のプロセスフローのうち、ステップS1を詳細化したプロセスフローが示されている。すなわち、
図11のステップS1は、
図12のステップS1a〜S1iにより構成されている。
【0098】
半導体装置PKGを製造するには、まず、基板10を準備(製造)する(
図11のステップS1)。また、半導体チップCPを準備(製造)する(
図11のステップS2)。
【0099】
先にステップS1で基板10を準備してからステップS2で半導体チップCPを準備しても、あるいは、先にステップS2で半導体チップCPを準備してからステップS1で基板10を準備してもよい。あるいは、ステップS1の基板10の準備とステップS2の半導体チップCPの準備とを同時に行ってもよい。
【0100】
基板10は、上記基板CBの母体となるものであり、基板10が後述のステップS6の個片化工程で切断されて上記基板CBになる。
【0101】
ステップS1の基板10の準備工程は、
図12のステップS1a〜S1iにより構成されている。以下、
図12のステップS1a〜S1iについて、
図13〜
図25を参照しながら具体的に説明する。
図13〜
図25は、基板10の製造工程を示す断面図である。
【0102】
まず、
図13に示されるように、絶縁性の基材(基材層、基板、ベースフィルム、テープ基材)11を準備(用意)する(
図12のステップS1a)。
【0103】
基材11は、上記基材BSに相当するものである。基材11は、互いに反対側に位置する2つの主面である主面11aと主面11bとを有している。基材11の主面11aは、後で上記基材BSの下面BSbとなり、基材11の主面11bは、後で上記基材BSの上面BSaとなる。
【0104】
基材11は、基板10のベースとなる絶縁層であり、例えばガラスエポキシ系の樹脂基板(樹脂基材)である。例えば、ガラス繊維にエポキシ系の樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板(ガラスエポキシ基材)を、基材11として用いることができる。また、基材BSの厚さは薄く、基材11は可撓性を有している。基材11の厚さは、例えば、110μm程度とすることができる。
【0105】
次に、
図14に示されるように、基材11の一方の主面11aに接着材層12を形成する(
図12のステップS1b)。接着材層12は、上記接着層SEに相当するものである。接着材層12は、例えば変性エポキシ樹脂などからなる。また、接着材層12の厚さは、例えば、20μm程度とすることができる。
【0106】
次に、
図15に示されるように、基材11に貫通孔SHを形成する(
図12のステップS1c)。
【0107】
貫通孔SHは、基材11の一方の主面(主面11a,11bの一方)から他方の主面(主面11a,11bの他方)に貫通している。貫通孔SHは、基材11とともに接着材層12も貫通している。貫通孔SHは、例えばパンチ加工(パンチング)により形成することができるが、他の形成法を適用することもできる。また、ステップS1cにおいて、基材11に貫通孔SHだけでなく、後述のスプロケットホール20cを形成することもできる。
【0108】
次に、
図16に示されるように、基材11の主面11aに接着材層12を介して銅箔(銅層)13を貼り付ける(
図12のステップS1d)。
【0109】
銅箔13は、薄いシート状に形成されており、その厚さは、例えば30μm程度とすることができる。
【0110】
銅箔13は、上記銅層TE1に相当するものである。銅箔13は、基材11に接着される側の主面である主面13aと、主面13aとは反対側の主面である主面13bとを有しており、銅箔13の主面13aが、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着される。銅箔13の主面13aは、後で上記銅層TE1の上面TE1aとなり、銅箔13の主面13bは、後で上記銅層TE1の下面TE1bとなる。
【0111】
基材11の主面11b側から見ると、銅箔13は、貫通孔SHから露出されている。すなわち、銅箔13の主面13aのうち、貫通孔SHと平面視で重なる領域は、銅箔13で覆われずに銅箔13から露出され、銅箔13の主面13aのうち、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着された領域は、接着材層12および基材11で覆われているため、露出していない状態になる。
【0112】
銅箔13の主面13aは、基材11との密着性を高めるために、所定の表面粗さに粗面化されており、この粗面化された主面13aが、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着される。銅箔13の主面13bは、粗面化されていてもよく、あるいは粗面化されていなくてもよい。銅箔13の主面13bと銅箔13の主面13aとが同様に粗面化されている場合は、銅箔13を粗面化しやすくなる。
【0113】
次に、
図17に示されるように、銅箔13の主面13b上に、フォトレジスト層(フォトレジスト膜)14を形成する(
図12のステップS1e)。
【0114】
ステップS1eでは、例えば、シート状のフォトレジスト膜を銅箔13の主面13bに貼り付けることにより、貼り付けられたフォトレジスト膜からなるフォトレジスト層14を形成することができる。貼り付けるフォトレジスト膜としては、例えばフォトレジストドライフィルムを用いることができる。
【0115】
ステップS1eまで行うと、基材11の主面11a上に、基材11に近い順に、接着材層12と銅箔13とフォトレジスト層とが積層された状態になる。
【0116】
次に、フォトレジスト層14に対して露光処理と現像処理を行うことにより、フォトレジスト層14をパターニングする(
図12のステップS1f)。
【0117】
このステップS1fは、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、まず、
図18に示されるように、フォトレジスト層14上に露光用のマスク15を形成または配置してから、そのマスク15を遮光マスクとして用いてフォトレジスト層14を露光する。それから、フォトレジスト層14上からマスク15を取り除き、その後、フォトレジスト層14を現像処理する。これにより、
図19に示されるように、フォトレジスト層14をパターン化することができる。なお、
図18の場合は、フォトレジスト層14としてネガ型のフォトレジスト(露光部分が残るフォトレジスト)を用いた場合のマスク15を図示しているが、フォトレジスト層14として、ポジ型のフォトレジスト(露光部分が除去されるフォトレジスト)を用いることもできる。
【0118】
次に、
図20に示されるように、フォトレジスト層14をエッチングマスクとして銅箔13をエッチングしてパターニングする(
図12のステップS1g)。これにより、銅箔13は、所定のパターン(平面形状)にパターニングされる。パターニングされた銅箔13が、上記端子TEの銅層TE1となる。ステップS1gのエッチングの後、
図21に示されるように、フォトレジスト層14を除去する。
【0119】
ステップS1gでは、銅箔13は、エッチングにより、端子TE1のパターン(平面形状)となるように、パターニングされる。ステップS1fでフォトレジスト層14を上記端子TEのパターンにパターニングしておけば、ステップS1gでは、銅箔13は、エッチングマスクとして機能するフォトレジスト層14と同じパターンにパターニングされるため、銅箔13を上記端子TEのパターンにパターニングすることができる。
【0120】
また、ステップS1gでは、銅箔13の主面13b上に形成されたフォトレジスト層14をエッチングマスクとして用いて銅箔13をエッチングするため、貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aがエッチングされないようにする。
【0121】
また、ステップS1gでは、エッチングにより銅箔13が除去された領域では、銅箔13を接着固定する接着材層12も除去され、基材11の主面11aが露出される。なお、場合によっては、銅箔13が除去された領域で、接着材層12が残存する場合もあり得る。
【0122】
次に、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aを、エッチングする(
図12のステップS1h)。
【0123】
図22および
図23は、
図21において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示されているが、
図22は、ステップS1hのエッチングを行う直前の状態を示し、
図23は、ステップS1hのエッチングを行った後の状態を示している。
【0124】
ステップS1hのエッチングは、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aを平坦化するために行う平坦化処理である。この平坦化処理は、後で上記端子TEの露出面EXに導電性接続部材(例えばワイヤ)を接続する際の接続性を向上するために行われる。
【0125】
ステップS1hでは、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13が過剰にエッチングされて貫通孔SHの底部で銅箔13に孔があいてしまわないようにする。従って、ステップS1hのエッチングは、ソフトエッチング(軽いエッチング処理)とすることが好ましい。これにより、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aの表層部のみをエッチングして、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aの平坦性を高めることができる。また、ステップS1hのエッチングは、ウェットエッチングが好ましく、これにより、平坦化処理としてのエッチングを、より的確に行うことができる。
【0126】
ステップS1hでウェットエッチングを行うと、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aがエッチングされて平坦性が高められるが、銅箔13の主面13bもエッチングされて平坦性が高められることになる。しかしながら、ステップS1hでウェットエッチングを行っても、銅箔13の主面13aのうち、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域(すなわち貫通孔SHから露出する部分以外の銅箔13の主面13a)は、エッチング液にさらされないため、エッチングされず、平坦性も変化しない。
【0127】
つまり、銅箔13のうちの露出している領域(すなわち銅箔13の主面13aのうちの貫通孔SHから露出する領域と銅箔13の主面13b全体)は、ステップS1hのウェットエッチングでエッチングされて平坦性が高められる(すなわち表面粗さが小さくなる)。一方、銅箔13のうちの露出していない領域(すなわち銅箔13の主面13aのうち接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域)は、ステップS1hではエッチングされずに、平坦性は変わらない(すなわち表面粗さは変わらない)。
【0128】
図22に示されるように、ステップS1hのエッチングを行う前は、銅箔13の主面13aの平坦性は、貫通孔SHから露出する領域も、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域も、ほぼ同様の平坦性を有していた。すなわち、ステップS1hのエッチングを行う前の段階では、銅箔13の主面13aの表面粗さは、貫通孔SHから露出する領域と、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着された領域とで、ほぼ同じであった。しかしながら、ステップS1hのエッチングを行うと、
図23に示されるように、銅箔13の主面13aの平坦性は、貫通孔SHから露出する領域の平坦性が、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域の平坦性よりも高くなる。すなわち、ステップS1hのエッチングを行うと、銅箔13の主面13aの表面粗さは、貫通孔SHから露出する領域の方が、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着された領域よりも、小さくなる。つまり、ステップS1hのエッチングを行うと、銅箔13の主面13aのうちの、貫通孔SHから露出する領域の表面粗さは、銅箔13の主面13aのうちの、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着された領域の表面粗さよりも小さくなる。
【0129】
次に、
図24および
図25に示されるように、銅箔13の露出面にめっき膜16,17を形成する(
図12のステップS1i)。なお、
図25は、
図24において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示されている。従って、
図22と
図23と
図25とは、同じ領域RG4の異なる工程段階が示されている。
【0130】
めっき膜16は、上記めっき層TE2に相当するものであり、めっき膜17は、上記めっき層TE3に相当するものである。めっき膜16(上記めっき層TE2に対応)は、銅箔13(上記銅層TE1に対応)の主面13b(上記下面TE1bに対応)全体に形成され、めっき膜17(上記めっき層TE3に対応)は、貫通孔SHから露出する銅箔13(上記銅層TE1に対応)の主面13a(上記上面TE1aに対応)に形成される。めっき膜16,17のそれぞれは、例えば、ニッケルめっき膜17aと該ニッケルめっき膜17a上の金めっき膜17bとの積層膜とすることができ、その場合、金めっき膜が最表面膜となる。
【0131】
めっき膜16とめっき膜17とは、同工程(同じめっき工程)で形成すれば、より好ましく、これにより、基板10を製造しやすくなる。めっき膜16とめっき膜17とを同工程(同じめっき工程)で形成した場合は、めっき膜16とめっき膜17とは、同じ膜構成となる。
【0132】
ステップS1iでは、めっき膜16,17は、例えば電解めっき法により形成することができる。なお、電解めっきを行う場合、電気を供給する給電線が必要となるが、めっき膜16を形成した後で給電線を切断することで、それぞれ独立して形成された複数の端子TEを形成することができる。
【0133】
ステップS1gでパターニングされた銅箔13と、ステップS1iで形成されためっき膜16,17とにより、上記端子TEが形成される。すなわち、ステップS1gでパターニングされた銅箔13により銅層TE1が形成され、ステップS1iで形成されためっき膜16,17によりめっき層TE2,TE3が形成されることで、端子TEが形成される。つまり、パターニングされた銅箔13からなる銅層TE1と、めっき膜16からなるめっき層TE2と、めっき膜17からなるめっき層TE3とにより、端子TEが形成される。
【0134】
このようにして(ステップS1a〜S1iにより)、基板10を製造することができる。
【0135】
ステップS1a〜S1iにより製造された基板10(すなわちステップS1で準備された基板10)が、
図26〜
図29に示されている。
【0136】
図26は、基板10の上面10a側を示す平面図であり、
図27は、基板10の下面10b側を示す平面図であり、
図28は、
図26の一部を拡大した部分拡大平面図であり、
図29は、基板10の断面図である。
図28は、
図26に示される基板10が備える複数のデバイス領域20aのうちの1つのデバイス領域20aを拡大して示したものである。なお、
図28では、各部材の平面的な位置関係を分かりやすくするために基板10の下面10bに形成された端子TEの外形位置を点線で示してある。また、
図29は、
図28のA3−A3線における断面図にほぼ対応している。
【0137】
ステップS1で準備された基板10は、
図26〜
図29に示されるように、主面(下面、裏面)11aおよび主面11aとは反対側の主面(上面、表面)14bを有する基材(テープ基材)11と、基材11の主面11aに上記接着材層12(
図29では図示省略)を介して接着されて固定された複数の端子TEと、基材11に形成された貫通孔SHとを有している。貫通孔SHは、各端子TEに対して形成されており、各端子TEにおいて、その端子に平面視で重なる位置に貫通孔SHが形成されている。
【0138】
貫通孔SHは、基材11の一方の主面(主面11a,11bの一方)から他方の主面(主面11a,11bの他方)に基材11を貫通するように形成されているが、端子TEは貫通しておらず、基材11の主面11bを見ると、貫通孔SHから端子TEの一部(すなわち露出面EX)が露出している。すなわち、各貫通孔SHにおいては、端子TEの一部(すなわち露出面EX)が基材11で覆われずに基材11から露出されている。上述のように、端子TEのうち、貫通孔SHから露出する部分(面)を、露出面EXと称する。露出面EXは、上記めっき層TE3(めっき膜17)の表面により形成されている。
【0139】
また、基板10は、
図26および
図27に示されるように、平面視において、枠部(フレーム部)20bの内側に、複数のデバイス領域20aを備えている。具体的には、基板10においては、複数のデバイス領域20aがアレイ状(行列状)に配置されている。
図26および
図27では、一例として、基板10において、2行×6列に配置された12個のデバイス領域20aが示されているが、デバイス領域20aの配列は、これに限定されず、種々変更可能である。つまり、基板10は、複数のデバイス領域20aを有する、所謂、多数個取り基板である。
【0140】
基板10の枠部20bには、半導体装置PKGを組み立てる工程において、テープ状に形成された基板10(基材11)に対して、連続的に加工を施すための複数のスプロケットホール(送り孔、貫通孔)20cが、基板10の長辺方向(延在方向)に沿って、例えば一定間隔で形成されている。スプロケットホール20cは、基材11の対向する2つの長辺の近傍にその長辺に沿って、基材11を貫通するように形成されている。
【0141】
各デバイス領域20aは、上記基板CBに相当するものであり、基板10が後述のステップS6の個片化工程で切断されることにより、各デバイス領域20aが上記基板CBとなる。
【0142】
また、基板10の下面10b側には、複数のデバイス領域20aのそれぞれに、複数の端子TEが形成されている。各デバイス領域20aにおける端子TEの配置については、上述した基板CBにおける端子TEの配置と同様であるため、ここではその繰り返しの説明は省略する。なお、基板10は、上記基板CBの上面CBaに対応する主面である上面(チップ搭載面)10aと、上記基板CBの下面CBbに対応する主面である下面(端子面、端子形成面)10bとを有しており、上面10aと下面10bとは、互いに反対側の主面である。基板10の上面10aは、基材11の主面11bと同一面である。
【0143】
また、ステップS2で半導体チップCPを準備するが、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路などを形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造することができる。なお、上記スタッドバンプBPは、半導体基板(半導体ウエハ)をダイシングする前に予め形成しておくこともできるが、ワイヤボンディング工程と同じ装置を用いて形成できるため、本実施の形態では、後述するワイヤボンディング工程において形成する場合について説明する。
【0144】
また、ここでは、上記ステップS1a〜S1iによって基板10を製造することにより、ステップS1で基板10を準備する場合について説明した。他の形態として、既に製造された基板10(
図26〜
図29に示される基板10)をステップS1で準備することもできる。
【0145】
ステップS1,S2で基板10と半導体チップCPとを準備した後、
図30〜
図32に示されるように、ダイボンディング工程を行って、基板CBの上面10aの複数のデバイス領域20aのそれぞれに半導体チップCPを搭載する(
図11のステップS3)。
【0146】
図30〜
図32は、上記
図26、
図28および
図29にそれぞれ対応するものである。
図30には、基板10の上面10a側を示す平面図が示され、
図31には、
図30の一部(1つのデバイス領域20a)を拡大した部分拡大平面図が示され、
図32は、
図31のA3−A3線の位置での断面図(上記
図29と同じ位置での断面図)であり、いずれもステップS3のダイボンディング工程を行った後の状態が示されている。なお、上記
図28と同様に、
図31でも、基板10の下面10bに形成された端子TEの外形位置を点線で示してある。
【0147】
ステップS3では、半導体チップCPの裏面CPbが、基板10の上面10a(基材11の主面11b)と対向するように、ダイボンド材である接合材DBを介して、基板10における各デバイス領域20aの上面10a上に搭載する(フェイスアップ実装)。また、
図31に示されるように、半導体チップCPはデバイス領域20aの中央部に、半導体チップCPの平面形状の各辺が、デバイス領域20aの各辺に沿って配置されるように配置する。
【0148】
ステップS3では、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂などの接合材DBを介して基板CB上に半導体チップCPを搭載する。流動性を有するペースト材を接合材DBとして用いる場合には、まず、基板CBの上面CBaにおける半導体チップCPを搭載する予定領域にペースト状の接合材DBを塗布してから、半導体チップCPの裏面CPbを基板10の上面10aに接合材DBを介して搭載し、その後、接合材DBを硬化させる(例えば熱処理により硬化させる)。これにより、ペースト状の接合材DBは硬化され、半導体チップCPは、硬化された接合材DBにより、基板CBに接合されて固定される。
【0149】
なお、ここでは、接合材DBとして、熱硬化性樹脂からなるペースト材を用いる場合について説明したが、種々の変形例を適用することができる。例えば、ペースト材ではなく、両面に接着層を備えるテープ材(フィルム材)を接合材DBとして、予め半導体チップCPの裏面CPbに貼り付けておき、このテープ材(接合材DB)を介して半導体チップCPを基板10のデバイス領域20aの上面10a上に搭載することもできる。
【0150】
次に、
図33〜
図35に示されるように、ワイヤボンディング工程を行って、基板CBの複数のデバイス領域20aのそれぞれにおいて、そのデバイス領域20aに搭載された半導体チップCPの複数のパッドPDと、その半導体チップCPが搭載されているデバイス領域20aの複数の端子TEの露出面EXとを、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続する(
図11のステップS4)。
【0151】
図33〜
図35は、上記
図30〜
図32にそれぞれ対応するものである。
図33には、基板10の上面10a側を示す平面図が示され、
図34には、
図33の一部(1つのデバイス領域20a)を拡大した部分拡大平面図が示され、
図35は、
図34のA3−A3線の位置での断面図(上記
図32と同じ位置での断面図)であり、いずれもステップS4のワイヤボンディング工程を行った後の状態が示されている。なお、上記
図31と同様に、
図34でも、基板10の下面10bに形成された端子TEの外形位置を点線で示してある。
【0152】
以下、このステップS4のワイヤボンディング工程について具体的に説明する。
【0153】
ステップS4では、基板10におけるあるデバイス領域20aに搭載された半導体チップCPの複数のパッドPDと、そのデバイス領域20aの複数の端子TEの露出面EXとをワイヤBWで接続するのに先立ち、その半導体チップCPのパッドPDの表面にスタッドバンプBPを形成し、そのデバイス領域20aの複数の端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成する。スタッドバンプBP,SBは、ワイヤボンディング技術を応用して形成することができる。
【0154】
スタッドバンプSBは、例えば次のようにして形成することができる。
図36〜
図38は、スタッドバンプSBを形成する手法を説明する説明図である。
【0155】
まず、
図36に示されるように、ワイヤボンディング装置のキャピラリ25の先端から突出したワイヤ26の一部を放電する。これにより、ワイヤ26の先端(端部)にボール部(ボール状の電極)26aが形成される。つまり、電気トーチにより、ワイヤ26の先端(端部)にボール部26aを形成する。それから、
図37に示されるように、ワイヤ26の先端(端部)に形成されたボール部26aを、基板10の貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXに接続(接合)する。この際、キャピラリ25の上方に配置されたクランパ25aでワイヤ26を挟んで固定した状態で、キャピラリ25の先端でボール部26aに荷重を加えている。つまり、ボール部26aを、キャピラリ25で端子TEの露出面EXに押し付けて接合する。さらに、キャピラリ25に超音波を印加することにより、さらにボール部26aと端子TE(の露出面EX)を強固に接合することができる。ここまでは、所謂、逆ボンディング方式によりワイヤボンディングを行う場合の第1ボンド側(端子TE側)に対する工程と同様である。スタッドバンプSBを形成する場合には、次に、
図38に示されるボール部26aの上端をキャピラリ25の先端で切断し、
図38に示されるスタッドバンプ(バンプ電極)SBが得られる。このスタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXに形成される。スタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXに接合して残存するボール部26aからなり、ワイヤは接続されていない。
【0156】
スタッドバンプBPも、スタッドバンプSBと同様にして形成することができるが、スタッドバンプSBは貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXに形成されたのに対して、スタッドバンプBPは、パッドPDの表面に形成される。すなわち、スタッドバンプSBとスタッドバンプBPとは、形成される下地が相違しているが、形成法自体は同様であるため、ここでは、スタッドバンプBPの形成法についての詳しい説明は省略する。
【0157】
また、スタッドバンプSB,BPを形成する際には、図示しないヒートステージなどを用いて基板10(端子TEを含む)と半導体チップCP(パッドPDを含む)を加熱することにより、スタッドバンプSB,BP2と下地の接合強度を向上させることもできる。
【0158】
ワイヤボンディング工程の対象となるデバイス領域20aにおいて、そのデバイス領域20aに搭載された半導体チップCPの複数のパッドPDのそれぞれに対してスタッドバンプBPを形成し、そのデバイス領域20aに形成された複数の端子TEのそれぞれに対してスタッドバンプSBを形成する。この際、スタッドバンプSBを先に形成してからスタッドバンプBPを形成しても、あるいは、スタッドバンプBPを先に形成してからスタッドバンプSBを形成してもよく、あるいは、スタッドバンプSBの形成とスタッドバンプBPの形成とを交互に行うこともできる。
【0159】
このようにして、スタッドバンプSB,BPを形成することができる。
【0160】
スタッドバンプSB,BPを形成した後、
図34および
図35に示されるように半導体チップCPの複数のパッドPDと複数の端子TEとを、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続する。本実施の形態では、逆ボンディング方式でワイヤBWを接続する。
【0161】
ワイヤBWを逆ボンディング方式で形成する手法について、
図39および
図40を参照して説明する。
図39および
図40は、逆ボンディングの手法を説明する説明図である。なお、逆ボンディング方式でワイヤBWを形成する場合にも、
図36に示すように、ワイヤ26の先端(端部)にボール部26aを形成する点は、スタッドバンプSBを形成する場合と同様である。
【0162】
まず、上記
図36に示されるようにワイヤ26の先端(端部)にボール部26aを形成してから、上記
図37に示されるように、ワイヤ26の先端(端部)に形成されたボール部26aを、基板10の貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXに接続(接合)する。この際、キャピラリ25の上方に配置されたクランパ25aでワイヤ26を挟んで固定した状態で、キャピラリ25の先端でボール部26aに荷重を加えている。つまり、ボール部26aを、キャピラリ25で端子TEの露出面EXに押し付けて接合する。さらに、キャピラリ25に超音波を印加することにより、さらにボール部26aと端子TE(の露出面EX)を強固に接合することができる。ここまでは、スタッドバンプSBを形成する工程と同様である。この後、スタッドバンプSBを形成する場合は、ボール部26aの上端をキャピラリ25の先端で切断するが、ワイヤBWを形成する場合は、ボール部26aの上端は切断せずに、次のような工程を続けて行う。
【0163】
すなわち、
図39に示されるように、クランパ25aを緩め(すなわちクランパ25aを開放してワイヤ26をクランプしない状態にし)、ワイヤ26を送り出しながらキャピラリ25を端子TEの上方に向かって移動させる。そして、ある程度(例えば、半導体チップCPの最表面のパッシベーション膜PVの上面よりも高い位置)、キャピラリ25を上方に移動させた後、
図40に示される第2ボンド側となるパッドPD上に形成されたスタッドバンプBPに向かって移動させる。そして、ワイヤ26の一部がパッドPD上に形成されているスタッドバンプBPに到達した後、クランパ25aでワイヤ26を再度クランプし、キャピラリ25の先端でワイヤ26の一部(ボール部26aが形成された端部とは異なる一部)を第2ボンド側となるスタッドバンプBPの表面に擦り付ける(潰しながら引きちぎる)。これにより、パッドPDにスタッドバンプBPを介して接続されたワイヤBWが形成される。ワイヤBWの一方の端部は、ボール部26a(このボール部26aが上記ボール部BLに対応している)であり、ワイヤBWの他方の端部は、スタッドバンプBPに接合され、そのスタッドバンプBPを介してパッドPDに接続されている。つまり、ワイヤBWは、ワイヤBWと別体で形成されたスタッドバンプBPを介して、パッドPDと電気的に接続する。
【0164】
また、ワイヤBWを形成する際には、図示しないヒートステージなどを用いて基板10(端子TEを含む)と半導体チップCP(パッドPDを含む)を加熱することにより、ワイヤBWの接合強度を向上させることもできる。
【0165】
また、ワイヤBWを形成する際には、ワイヤ26の先端(端部)に形成されたボール部26aを、端子TEの露出面EXに接合するが、スタッドバンプSBを避けて端子TEの露出面EXに接合する。このため、ワイヤBWの一方の端部は、パッドPD上のスタッドバンプBPに接合されるが、ワイヤBWの他方の端部は、端子TEの露出面EX上のスタッドバンプSBには接合されない。パッドPDの表面に形成したスタッドバンプBPは、ワイヤBWをパッドPDに接続するために形成したものであるが、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBは、ワイヤBWを端子TEに接続するために形成したものではない。スタッドバンプSBは、後で形成される封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を高めるためのアンカー手段として形成したものである。
【0166】
このようにして、ステップS4のワイヤボンディング工程が行われる。ステップS4のワイヤボンディング工程を行うことにより、基板10の各デバイス領域20aに搭載された半導体チップCPの複数のパッドPDと、そのデバイス領域20aに形成された複数の端子TEとが、複数のワイヤBWを介してそれぞれ電気的に接続されるとともに、各端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBが形成された状態が得られる。
【0167】
なお、ある端子TEの露出面に対して、スタッドバンプSBの形成とワイヤBWの接続とを行う場合、どちらを先に行うこともできるが、ワイヤBWの接続よりも先にスタッドバンプSBの形成を行う方が、より好ましい。これは、ある端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成する際に、その端子TEの露出面EXに接続されているワイヤBWを損傷させてしまうのを確実に防止するためである。
【0168】
ステップS4のワイヤボンディング工程の後、樹脂封止工程を行って、
図41〜
図43に示されるように、封止体MRを形成する(
図11のステップS5)。
【0169】
図41〜
図43は、上記
図33〜
図35にそれぞれ対応するものである。
図41には、基板10の上面10a側を示す平面図が示され、
図42には、
図41の一部(1つのデバイス領域20a)を拡大した部分拡大平面図が示され、
図43は、
図42のA3−A3線の位置での断面図(上記
図35と同じ位置での断面図)であり、いずれもステップS5の樹脂封止工程を行った後の状態が示されている。なお、上記
図34と同様に、
図42でも、基板10の下面10bに形成された端子TEの外形位置を点線で示すとともに、封止体MR内に封止された部材も点線で示してある。
【0170】
ステップS5では、
図41〜
図43に示されるように、半導体チップCP、複数のワイヤBW、および複数の端子TE(具体的には端子TEの露出面EX)を封止体(封止樹脂)MRで封止する。
【0171】
以下、このステップS5の樹脂封止工程(封止体MR形成工程)について、説明する。
【0172】
一般に、半導体チップ等を封止する方法としては、熱硬化性樹脂を加熱室(ポット部)で軟化(可塑化)させ、加熱した成形金型のキャビティ内に圧入して成形し、その後加熱硬化させる、所謂トランスファモールド方式がある。また、別の方法として、液状の樹脂を封止する領域に滴下した後、加熱硬化させて封止樹脂を形成する、所謂、ポッティング方式がある。トランスファモールド方式により形成した樹脂は、ポッティング方式により形成された樹脂よりも硬く、外力(特に点荷重)が加わった時に、半導体チップCPを外力による破壊から保護する観点からは、トランスファモールド方式の方が好ましい。このため、本実施の形態では、トランスファモールド方式を採用することが、より好ましい。
【0173】
トランスファモールド方式を採用したステップS5の樹脂封止工程では、まず、
図44に示される成形金型30を準備する(金型準備工程)。
図44は、トランスファモールド方式を採用した樹脂封止工程の説明図である。
【0174】
成形金型30は、下面(金型面)31a、および下面31aに形成されたキャビティ(凹部、窪み部)31bを有する上金型(金型)31と、この上金型31の下面(金型面)31aと対向する上面(金型面)32aを有する下金型(金型)32とを備えている。
図44は、拡大断面図なので、1個のキャビティ31bを示しているが、実際には、上金型31のキャビティ31bは基板10のデバイス領域20a毎に形成されている。各キャビティ31bは、例えば、4つの角部が面取りされた略矩形(四角形)の平面形状を有している。
【0175】
また、図示は省略するが、上金型31には、キャビティ31bへの封止用樹脂の供給口であるゲート部およびゲート部とは異なる位置に配置されるエアベント部が、それぞれ形成されている。封止用樹脂の供給方式は、例えば、キャビティ31bの側面から封止用樹脂を供給するサイドゲート方式を適用することができるが、他の形態として、キャビティ31bの天面側から封止用樹脂を供給するトップゲート方式を採用することもできる。
【0176】
次に、成形金型30の下金型32上に基板10を配置する(基板配置工程)。ここで、下金型32と組み合わせる上金型31に形成されたキャビティ31bの面積(平面寸法)は、基板10の各デバイス領域20aの面積(平面寸法)よりも小さく、デバイス領域20aの周縁部は、平面視において、キャビティ31bよりも外側に位置する。
【0177】
次に、上金型31と下金型32の距離を近づけて、
図44に示されるように、基板10を上金型31と下金型32とで挟んでクランプする(クランプ工程)。これにより、封止体MRが形成される予定の領域の周囲では、上金型31(上金型31の下面31a)と、基板10の上面10aとが密着する。また、下金型32(下金型32の上面32a)と、基板10の下面10bとが密着する。キャビティ31bは、基板10の各デバイス領域20aよりも面積(平面寸法)が小さいので、デバイス領域20aにおける上面の一部(キャビティ31bよりも外側の領域)は、上金型31の下面31aと密着する。
【0178】
次に、キャビティ31b内に封止用樹脂(硬化前の封止樹脂)を供給し、これを硬化させることにより封止体MRを形成する(封止体形成工程)。この工程では、図示しないポット部に配置された樹脂タブレットを加熱軟化させて、成形金型30のゲート部(図示せず)からキャビティ31b内に封止用樹脂を供給する。樹脂タブレットは、例えば熱硬化性樹脂であるエポキシ系の樹脂からなり、硬化温度よりも低い温度では、加熱することにより軟化して、流動性が向上する特性を有している。従って、例えば、図示しないプランジャで軟化した樹脂タブレットを押しこむと、封止用樹脂が成形金型30に形成されたゲート部(図示せず)からキャビティ31b内に流れ込む。キャビティ31b内の気体は、封止用樹脂が流入する圧力により成形金型30のエアベント部(図示せず)から排出され、キャビティ31b内は、封止用樹脂で満たされる。この結果、基板10の上面10a側に搭載された半導体チップCPおよび複数のワイヤBWは、封止用樹脂で覆われる。またこの際、貫通孔SH内にも封止用樹脂が充填されるため、基板10の端子TE(具体的には貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EX)も封止用樹脂で覆われる。その後、成形金型30を加熱することにより、キャビティ31b内の封止用樹脂を加熱して硬化させて、硬化した封止用樹脂からなる封止体MRを形成する。
【0179】
次に、成形金型30から複数の封止体MRが形成された基板10を取り出す(基板取り出し工程)。この工程では、成形金型30のゲート部(図示せず)内の封止用樹脂が硬化したゲートレジン(ゲート内樹脂)をキャビティ31b内の封止体MRと分割(ゲートブレイク)した後、上金型31と下金型32を引き離して、基板10を取り出す。
【0180】
また、成形金型30から基板10を取り出した後に、封止体MRを再度加熱することもできる。この場合、例えば、成形金型30から取り出した基板10をベーク炉(図示せず)に搬送し、ベーク炉内で基板10(封止体MRが形成された基板10)を熱処理することにより、封止体MRを再度熱処理する。これにより、成形金型30内で加熱された封止用樹脂(封止体MR)を、樹脂中の硬化成分の半分以上(例えば約70%程度)が硬化した状態(仮硬化と呼ばれる状態)としておき、仮硬化した封止体MRをベーク炉で再度加熱することにより、硬化成分の全てを硬化させる本硬化処理を行うことができる。仮硬化の状態では、樹脂中の全ての硬化成分が硬化している訳ではないが、半分以上の硬化成分が硬化しており、この時点で半導体チップCPやワイヤBWは封止されているが、封止体MRの強度の安定性などの観点からは全ての硬化成分を完全に硬化させることが好ましいので、本硬化処理を行う。このように、封止用樹脂を硬化させる工程を2回に分けることにより、次に成形金型30に搬送される次の基板10に対して、いち早く封止工程を施すことができるため、製造効率を向上させることができる。
【0181】
成形金型30から基板10を取り出した後に、封止体MRの本硬化処理を行わない場合は、成形金型30内で封止用樹脂を十分に硬化させる(本硬化と同程度まで硬化させる)ことにより、封止体MRを形成すればよい。
【0182】
このようにして、ステップS5の樹脂封止工程(封止体MR形成工程)が行われる。
【0183】
ステップS5の樹脂封止工程を行うと、
図41〜
図43に示されるように、基板10の複数のデバイス領域20aのそれぞれにおける表面の一部(すなわち基板10の上面10aにおけるデバイス領域20aの周縁部)が露出するように、半導体チップCPおよび複数のワイヤBWを封止する封止体(封止樹脂)MRが、基板10の各デバイス領域20aに形成される。
【0184】
ステップS5の樹脂封止工程の後、個片化工程を行う(
図11のステップS6)。
【0185】
ステップS6の個片化工程では、上記
図41に示される基板10をデバイス領域20aに沿って切断し、複数のデバイス領域20aを分割する。これにより、半導体装置PKGが得られる。個片化された個々のデバイス領域20aが半導体装置PKGとなる。また、個片化された個々のデバイス領域20aの基板10が、半導体装置PKGを構成する基板CBとなる。基板10の切断方法は、特に限定されないが、例えば、図示しないパンチ(切断刃)とダイ(支持部材)を用いて、プレス加工により切断することができる。
【0186】
このように、ステップS1〜S6により、半導体装置PKGが製造される。
【0187】
<ICカードの製造工程について>
次に、本実施の形態のICカード1の製造工程について説明する。
図45〜
図48は、ICカード1の製造工程を示す断面図である。
【0188】
ICカード1を製造するには、まず、カード本体2と半導体装置PKGとを準備(用意)する。
【0189】
先にカード本体2を準備してから半導体装置PKGを準備しても、あるいは、先に半導体装置PKGを準備してからカード本体2を準備してもよい。あるいは、カード本体2の準備と半導体装置PKGの準備とを同時に行ってもよい。
【0190】
次に、
図45に示されるように、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部に、シート状の接着用フィルム(接着用テープ、接着シート)4aを貼り付ける。接着用フィルム4aは、上記接着材4に相当するものである。接着用フィルム4aは、例えば熱硬化型の接着フィルム(接着シート)などを用いることができる。
【0191】
なお、ここでは、個片化された半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部に、接着用フィルム4aを貼り付ける場合について説明した。他の形態として、上記ステップS5の樹脂封止工程を行って封止体MRを形成した後で、上記ステップS6の個片化工程を行う前に、基板CBの上面CBaに接着用フィルム4aを貼り付けてから、上記ステップS6の個片化工程を行うこともできる。いずれの場合でも、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部に、接着用フィルム4aが貼り付けられた状態を得ることができる。
【0192】
接着用フィルム4aは、封止体MR上には貼り付けられず、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部(すなわち封止体MRが形成されていない領域の基板CBの上面CBa)に貼り付けられている。
【0193】
次に、
図46に示されるように、カード本体2の凹部3内に、半導体装置PKGを配置(収容)する。
【0194】
上述のように、カード本体2の表面2aには凹部3が形成されているが、この凹部3は、凹部3aと、凹部3a内に凹部3aよりも深く形成された凹部3bとにより形成されている。
【0195】
カード本体2の凹部3内に半導体装置PKGを配置する際には、基板CBの上面がカード本体2の表面2aに対向する向きで、カード本体2の凹部3内に半導体装置PKGを配置する。これにより、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部に貼り付けられた接着用フィルム4aが、凹部3aの底面3c上に配置され、半導体装置PKGの封止体MRが凹部3b内に配置される。この際、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部に貼り付けられた接着用フィルム4aは、凹部3aの底面3cに接するが、半導体装置PKGの封止体MRは、凹部3bの底面3dに接しておらず、凹部3bの底面3dと封止体MRの上面MRaとの間には、中空空間5aが形成される。
【0196】
次に、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周部を、接着用フィルム4aを介して、凹部3aの底面3cに熱圧着する。
【0197】
この際、例えば、
図47に示されるように、半導体装置PKGの基板CBの下面CBbの外周部を加熱ツール(加熱用治具)TL1などで押圧することにより、基板10を、接着用フィルム4aを介して凹部3aの底面3cに押し付けるとともに、加熱ツールTL1により基板10を介して接着用フィルム4aを加熱する。これにより、接着用フィルム4aが軟化してから硬化し、半導体装置PKGの基板CBの上面CBaの外周が、接着用フィルム4aを介して、凹部3aの底面3cと接着されて固定される。その後、加熱ツールTL1を半導体装置PKGから離れさせる。このようにして、
図48に示されるように、半導体装置PKGを凹部3に収容してカード本体2に固定することができる。硬化した接着用フィルム4aが、上記接着材4となる。また、凹部3bの底面3dと封止体MRの上面MRaとの間の中空空間5aが、上記中空空間5となる。
【0198】
このようにして、ICカード1を製造することができる。
【0199】
<検討>
次に、本発明者の検討について説明する。
【0200】
例えば上記特許文献1のように、テープから成る基材上に半導体チップを搭載した半導体装置、所謂COTパッケージでは、基材に形成された貫通孔を介して、基材の裏面に形成された端子の表面(基材の貫通孔から露出する面)に導電性部材(例えばワイヤ)を接続し、この導電性部材を介して端子と半導体チップとを電気的に接続し、さらに、半導体チップと導電性部材を樹脂で封止している。
【0201】
ここで、端子の面(基材と対向する面)のうち、基材と接触する部分は、基材との密着性を向上するために、粗面化処理が施されている。一方、導電性部材が接続される端子の表面は、導電性部材との接続性を向上するために、平坦化処理が施されている。
【0202】
また、端子は導電性部材(金属)から成るのに対し、樹脂(封止体)は絶縁性部材から成り、それぞれの熱膨張係数には差が生じている。
【0203】
そのため、端子の表面と樹脂(封止体)の密着性は低く、端子の表面と樹脂(封止体)との間で剥離が発生する虞がある。端子の表面と樹脂(封止体)との間で剥離が発生すると、端子の表面における導電性部材の接合部に大きな負荷(応力、ダメージ)が加わってしまい、この接合部において電気特性が変化してしまう(断線に至る場合もある)。これは、半導体装置の信頼性の低下につながってしまう。
【0204】
なお、接合部にダメージを与えるタイミングとしては、主に、半導体装置(COTパッケージ)をカード本体に収納する際(すなわちICカードの組み立て工程)と、完成した製品(ICカード)を使用中との、2つがある。
【0205】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGは、貫通孔SHを有する絶縁性の基材BSと、基材BSの一方の主面(下面BSb)に形成され、一部が貫通孔SHから露出される端子TE(外部端子)と、基材BSの他方の主面(上面BSa)上に搭載された半導体チップCPとを有している。半導体チップCPは、パッドPDが形成された側とは反対側の裏面CPbが、基材BSの他方の主面(上面BSa)と対向するように、基材BSの他方の主面(上面BSa)上に搭載されている。更に、半導体装置PKGは、端子TEのうちの基材BSの貫通孔SHから露出する露出面EXと半導体チップCPのパッドPDとを電気的に接続する導電性部材(すなわち導電性接続部材、ここではワイヤBW)と、封止体MRとを有しており、封止体MRは、基材BSの貫通孔SHの内部、半導体チップCP、および導電性接続部材(ワイヤBW)を封止している。そして、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部(ボンディング領域)以外の領域(非接合部)に、アンカー手段が設けられている。
【0206】
このアンカー手段は、封止体MRと端子TE(外部端子)との密着性を向上させるように機能するものである。すなわち、端子TEの露出面EXにアンカー手段が設けられていない場合に比べて、端子TEの露出面EXにアンカー手段が設けられている場合には、端子TEの露出面EXと封止体MRとの密着性を向上させることができる。
【0207】
もしも封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性が低いと、封止体MRが端子TEの露出面EXから剥離する虞があり、封止体MRが端子TEの露出面EXから剥離すると、端子TEの露出面EXにおける導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部に大きな負荷(応力、ダメージ)が加わってしまう。この負荷は、この接合部において、電気特性が変化してしまうことに繋がり、また、断線(パッドPDと端子TEとの間の電気的接続が切れてしまう現象)に至る場合もある。断線はもちろん、電気的特性の変化の場合であっても、パッドPDと端子TEとの間の電気的接続の信頼性の低下、ひいては半導体装置の信頼性の低下につながってしまう。このため、パッドPDと端子TEとの間の電気的接続の信頼性を向上させ、半導体装置の信頼性を向上させるためには、封止体MRが端子TEの露出面EXからできるだけ剥離しないようにすることが重要である。
【0208】
そこで、本実施の形態では、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段を設けており、このアンカー手段により、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を向上させることができる。これにより、封止体MRが端子TEの露出面EXから剥離するのを抑制または防止することができるため、封止体MRの剥離に起因して端子TEの露出面EXにおける導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部に負荷(応力、ダメージ)が加わるのを抑制または防止することができる。このため、端子TEの露出面EXにおける導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部の電気的特性が変化したり、あるいは断線してしまうことを、抑制または防止することができる。従って、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができる。このため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0209】
このように、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXにアンカー手段を設けることを、主要な特徴のうちの一つとしているが、本実施の形態では、このアンカー手段として、スタッドバンプSBを用いている。なお、後述の実施の形態2では、このアンカー手段として、凹部81を用いており、後述の実施の形態3では、このアンカー手段として、粗面化された領域71を用いている。すなわち、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段を設けることは、本実施の形態1と後述の実施の形態2,3とで共通であるが、アンカー手段の具体的構成が、本実施の形態1と後述の実施の形態2と後述の実施の形態3とで相違している。
【0210】
このため、本実施の形態1と後述の実施の形態2,3とで共通な技術思想は、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段を設けることである。そして、このアンカー手段を具体化したものが、本実施の形態1と後述の実施の形態2,3である。
【0211】
アンカー手段は、封止体MRと端子TEとの密着性を向上させるように機能するものであるため、少なくとも、封止体MRを形成する前に(すなわち端子TEの露出面EXが封止体MRで封止される前に)、端子TEの露出面EXに形成しておく必要がある。
【0212】
なお、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段を設けることは、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部にはアンカー手段を設けないことを意味している。こうするのは、端子TEの露出面EXに対する導電性接続部材(例えばワイヤBW)の的確な接続(接合)が、アンカー手段により阻害されてしまうのを防止するためである。すなわち、端子TEの露出面EXには、アンカー手段を設けた領域とアンカー手段を設けていない領域とがあり、導電性接続部材(例えばワイヤBW)は、端子TEの露出面EXのうちのアンカー手段を設けていない領域に接続(接合)する。端子TEの露出面EXのうち、アンカー手段を設けていない領域に導電性接続部材(例えばワイヤBW)を接続(接合)したことで、端子TEの露出面EXに対する導電性接続部材の的確な接続(接合)を確保できるとともに、端子TEの露出面EXにアンカー手段を設けたことで、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を向上させることができる。
【0213】
このため、本実施の形態1では、端子TEの露出面EXにおいて、アンカー手段としてのスタッドバンプSBが形成されていない位置に(すなわちスタッドバンプSBに接しない位置に)、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合されている。また、後述の実施の形態2では、端子TEの露出面EXにおいて、アンカー手段としての凹部81が形成されていない位置に(すなわち凹部81とは重ならない位置に)、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合されている。また、後述の実施の形態3では、端子TEの露出面EXにおいて、アンカー手段としての粗面化された領域71に重ならない位置に、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合されている。これにより、端子TEの露出面EXに対する導電性接続部材(例えばワイヤBW)の的確な接続(接合)を確保できるとともに、アンカー手段を設けたことで、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を向上させることができる。
【0214】
なお、逆ボンディングでワイヤBWを端子TEの露出面EXに接続した場合は、ワイヤBWの端部にボール部BLが一体的に形成されているため、端子TEの露出面EXにおける導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部は、端子TEの露出面EXにおいてボール部BLが接合される部分に対応することになる。
【0215】
また、端子TEの基材BSと対向する側の面である基材対向面TEaは、基材BSの一方の面(下面BSb)と対向する接合面BDと、基材BSの貫通孔SHから露出する露出面EXと、を有している。そして、端子TEの接合面BDの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きいことが好ましい。これも、本実施の形態1と後述の実施の形態2,3,4とで共通である。
【0216】
すなわち、半導体装置PKGの信頼性向上のためには、端子TEと基材BSの接着強度が高いことが好ましい。これにより、端子TEが基材BSから剥離するのを防止することができる。端子TEと基材BSの接着強度を高くするには、端子TEの接合面BDの表面粗さを大きくすることが有効である。このため、端子TEの接合面BDの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、ある程度大きくすることが好ましい。すなわち、端子TEの接合面BDは、粗面化されていることが好ましい。
【0217】
一方、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合された接合部は、ある程度平坦であることが好ましい。すなわち、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される領域は、粗面化されておらず、ある程度平坦であることが好ましい。これは、ワイヤBWなどの導電性接続部材を接合するには、接合対象の面が平坦な方が、ワイヤBWなどの導電性接続部材の的確な接合を確保しやすいためである。従って、端子TEの接合面BDよりも表面粗さ(算術平均粗さRa)が小さな領域で、かつ、アンカー手段を設けていない領域を、端子TEの露出面EXに確保し、そこに、ワイヤBWなどの導電性接続部材を接合することが好ましい。
【0218】
このため、端子TEの接合面BD(接着層SEを介して基材BSに接着された面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きいことが好ましい。換言すれば、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの接合面BD(接着層SEを介して基材BSに接着された面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも小さいことが好ましい。これにより、端子TEと基材BSの接着強度を高くできるとともに、端子TEの露出面EXに対する導電性接続部材(例えばワイヤBW)の的確な接続(接合)を確保することができる。
【0219】
例えば、端子TEの接合面BDの表面粗さ(算術平均粗さRa)は6μm以上とすることができる。一方、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(ワイヤBW)が接合される接合部の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、4μm以下とすることができる。
【0220】
以下に、本実施の形態1のアンカー手段であるスタッドバンプSBを中心に、本実施の形態1の主要な特徴について、更に具体的に説明する。
【0221】
本実施の形態1では、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、スタッドバンプSBを用いている。すなわち、本実施の形態1では、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXに、アンカー手段としてスタッドバンプSBを形成している。端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成したことにより、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を向上させることができる。このため、上述のように、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0222】
端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成したことにより、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を向上させることができる理由は、例えば次のようなものである。
【0223】
金属材料からなる端子TEの露出面EXと金属材料からなるスタッドバンプSBとの間の接着強度(接着力)は、金属材料からなる端子TEの露出面EXと樹脂(封止体MR)との間の接着強度(接着力)よりも大きくすることができる。このため、スタッドバンプSBを形成しなかった場合に比べて、スタッドバンプSBを形成した場合は、端子TEの露出面EXが接触する樹脂面積(封止体MRの面積)の一部を、端子TEの露出面EXに対する接着強度が樹脂(封止体MR)よりも高いスタッドバンプSBに置き換えることになる。そして、スタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXに形成された凸部(突起部)であるため、スタッドバンプSBと端子TEの露出面EXとの接触面積に比べて、スタッドバンプSBと封止体MRの接触面積は大きくなる。このため、スタッドバンプSBを形成しなかった場合の封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性に比べて、スタッドバンプSBを形成した場合の封止体MRと端子TEの露出面EXおよびスタッドバンプSBの表面との密着性を高くすることができる。従って、スタッドバンプSBを形成しなかった場合に比べて、スタッドバンプSBを形成した場合の方が、端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離しにくくなる。
【0224】
また、スタッドバンプSBは、例えば金からなるワイヤの先端(端部)にボール部(ボール状の電極)を形成し、このボール部をキャピラリ(図示省略)で端子TEの露出面EXに押し付けて接合することにより、形成したものであり、扁平形状に押しつぶされたボール部(ボール状の電極)により形成されている。このため、
図49に示されるように、端子TEの露出面EXに略垂直な断面でのスタッドバンプSBの断面形状は、略楕円形状(露出面EXに略垂直な方向での寸法が露出面EXに略平行な方向での寸法よりも小さいような楕円状)となっている。ここで、
図49は、端子TEの露出面EXに形成されたスタッドバンプSBを模式的に示す断面図である。
【0225】
スタッドバンプSBにおける、端子TEの露出面EXに略平行な平面での断面積は、スタッドバンプSBの高さ方向の下部(スタッドバンプSBと露出面EXとの接合面)よりも、スタッドバンプSBの高さ方向の中間部の方が大きくなっている。すなわち、
図49において、寸法L3が寸法L4よりも大きくなっている(すなわちL3>L4)。ここで、
図49における寸法L3および寸法L4は、端子TEの露出面EXに略平行な平面でのスタッドバンプSBの断面の径に相当し、このうち寸法L3は、スタッドバンプSBの高さ方向の下部(スタッドバンプSBと露出面EXとの接合面)での径であり、寸法L4は、スタッドバンプSBの高さ方向の中間部での径である。
【0226】
なお、スタッドバンプSBの高さ方向とは、端子TEの露出面EXを基準にして、スタッドバンプSBが接合された露出面EXからのスタッドバンプSBの突出方向であり、端子TEの露出面EXに略垂直な方向に対応している。スタッドバンプSBと露出面EXとの接合面を基準にし、その接合面からスタッドバンプSBの突出方向に離れる方向が、高い側または上側である。従って、スタッドバンプSBの高さ方向の中間部は、スタッドバンプSBと露出面EXとの接合面よりも高い位置にあり、かつ、スタッドバンプSBの最頂部(スタッドバンプSBと露出面EXとの接合面から最も離れた部分)よりも低い位置にある。
【0227】
つまり、スタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXに略平行な平面でのスタッドバンプSBの断面がスタッドバンプSBと露出面EXとの接合面よりも大きくなる部分を、該接合面よりも高い位置(スタッドバンプSBの高さ方向の中間部)に有している。これにより、スタッドバンプSBの高さ方向に見たときに、スタッドバンプSBの一部と端子TEの露出面EXとの間に、封止体MRの一部(
図49で符号YGを付した矢印で示した部分)が挟まれた状態が得られる。このような状態であれば、封止体MRがスタッドバンプSBから剥離し難くなるため、スタッドバンプSBがアンカー手段として機能する上で、好適である。
【0228】
すなわち、スタッドバンプSBの高さ方向に見たときに、スタッドバンプSBの一部と端子TEの露出面EXとの間に、封止体MRの一部(
図49で符号YGを付した矢印で示した部分)が挟まれていれば、より好ましい。換言すれば、スタッドバンプSBの高さ方向に見たときに、スタッドバンプSBの一部の直下に封止体MRの一部(
図49で符号YGを付した矢印で示した部分)が存在していれば、より好ましい。これにより、封止体MRがスタッドバンプSBから剥離し難くなるため、封止体MRとスタッドバンプSBとの密着性を更に向上させることができる。このため、封止体MRの剥離をより的確に抑制または防止することができる。従って、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を、より的確に向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を、より的確に向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを、より的確に向上させることができる。
【0229】
また、本実施の形態では、端子TEの露出面EXにアンカー手段としてスタッドバンプSBを形成するが、上記
図6には、例として、端子TEの露出面EXにおいて、3箇所にスタッドバンプSBを形成した場合(すなわち合計3つのスタッドバンプSBを形成した場合)が示されている。しかしながら、端子TEの露出面EXに形成するスタッドバンプSBの数は、これに限定されず、種々変更可能である。端子TEの露出面EXにおいて、1箇所にスタッドバンプSBを形成した場合(すなわち合計1つのスタッドバンプSBを形成した場合)であっても、スタッドバンプSBを形成しない場合に比べれば、形成したスタッドバンプSBがアンカー手段として機能することで、封止体MRの剥離を抑制または防止することができる。従って、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0230】
しかしながら、端子TEの露出面EXにおいて、複数箇所にスタッドバンプSBを形成すれば(すなわち複数のスタッドバンプSBを形成すれば)、より好ましい。これにより、封止体MRと端子TEの露出面EXおよびスタッドバンプSBの表面との密着性を、より高くすることができ、端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離するのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0231】
また、端子TEの露出面EXにおいて、いずれの位置にスタッドバンプSBを形成した場合であっても、端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成しない場合に比べれば、封止体MRの剥離を抑制または防止する効果を得ることができる。但し、スタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に形成される。
【0232】
しかしながら、端子TEの露出面EXにおいて、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域にスタッドバンプSBを形成しておけば、封止体MRの剥離を抑制または防止する効果を、より高めることができる。この観点で、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部よりも、貫通孔SHの内壁に近い位置に、スタッドバンプSBを形成しておけば、より好ましい(
図6参照)。これは、端子TEの露出面EXにおいて、封止体MRの剥離の起点になりやすいのは、端子TEの露出面EXにおける周縁部(
図50においてドットのハッチングを付した領域51に対応)だからである。
【0233】
ここで、
図50は、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXを示す平面図である。
図50は、平面図であるが、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域51(すなわち封止体MRの剥離が最初に発生しやすい領域)にドットのハッチングを付してある。
【0234】
図50に示されるように、端子TEの露出面EXにおいて、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域51は、端子TEの露出面EXにおける周縁部(貫通孔SHの内壁に近い領域)である。この領域51で封止体MRの剥離が発生すると、そこを起点として封止体MRの剥離が進行し、端子TEの露出面EXにおいて導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合された接合部に負荷が加わってしまう。
【0235】
このため、アンカー手段(ここではスタッドバンプSB)は、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域51またはそれに近い位置に形成することが好ましく、従って、端子TEの露出面EXにおける周縁部またはそれに近い位置(すなわち貫通孔SHの内壁にある程度近い位置)に形成することが好ましい。そうすることで、封止体MRの剥離の発生を抑制または防止しやすくなる。
【0236】
一方、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)は、端子TEの露出面EXにおいて、貫通孔SHの内壁からある程度離れた位置に接合した方が、その導電性接続部材(例えばワイヤBW)を形成しやすい。これは、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)は、端子TEの露出面EXからパッドPDまで延在しているため、端子TEの露出面EXにおいて貫通孔SHの内壁に近い位置には形成しにくいためである。一方、スタッドバンプSBは、パッドPDまで延在させる必要が無いため、ワイヤBWに比べて、そのような形成上の制約は小さい。
【0237】
従って、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部よりも、貫通孔SHの内壁に近い位置に、スタッドバンプSBを形成しておけば、より好ましい。すなわち、
図6に示されるように、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部と貫通孔SHの内壁との間の距離(間隔)L1よりも、スタッドバンプSBと貫通孔SHの内壁との間の距離(間隔)L2の方が小さくなる(すなわちL2<L1)ようにすれば、より好ましい。これにより、封止体MRの剥離の発生をより的確に抑制または防止できるとともに、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)を容易かつ的確に形成することができる。従って、半導体装置の信頼性を、より的確に向上させることができるとともに、半導体装置を製造しやすくなる。
【0238】
なお、スタッドバンプSBと貫通孔SHの内壁との間の距離(間隔)L2は、スタッドバンプSBを形成するのに用いた上記キャピラリ25が貫通孔SHの内壁に接触しない程度の距離は確保することが好ましい。
【0239】
また、
図5および
図6にも示されるように、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部は、端子TEの露出面EXの中心とは重ならない位置にあることが好ましい。これは、端子TEの露出面EXは、中心が周縁部よりも撓みやすいためである。
【0240】
なお、
図6では、端子TEの露出面EXの中心を符号CTを付して示し、また、
図5では、端子TEの露出面EXの中心CTを通りかつ端子TEの露出面EXに略垂直な中心線を、符号CLを付して示してある。
図5および
図6に示されるように、端子TEの露出面EXにおいて、ワイヤBWが接合される接合部は、端子TEの露出面EXの中心CTおよび中心線CLとは重ならない位置にあり、すなわち、端子TEの露出面EXの中心CTおよび中心線CLから、ずれた位置にある。
【0241】
端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)を、端子TEの露出面EXの中心CTとは重ならない位置に接合することにより、端子TEの露出面EXの撓みにより導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部に負荷(応力、ダメージ)が加わるのを抑制しやすくなる。これにより、半導体装置の信頼性を、より的確に向上させることができる。
【0242】
また、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部は、端子TEの露出面EXの中心CTからずれているが、半導体装置PKGの中心から遠ざかる(離れる)方向にずれていることが好ましい。これは、半導体装置PKGをカード本体2に組み込んだ場合、半導体装置PKGの周縁部(基板CBの周縁部)のみがカード本体2に支持される(具体的には上記凹部3aの底面3cに接着材4を介して固定される)ため、半導体装置PKGの中心は半導体装置の周縁部よりも撓みやすいためである。
【0243】
このため、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部の位置を、端子TEの露出面EXの中心CTから第1の方向にずらすことにより、半導体装置PKGの撓みにより導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部に負荷(応力、ダメージ)が加わるのを抑制しやすくなる。これにより、半導体装置の信頼性を、更に的確に向上させることができる。ここで、前記第1の方向は、半導体装置PKGの中心から遠ざかる方向である。この第1の方向を、より詳細に述べると、平面視(基板CBの上面CBaに略平行な平面で見た場合)において、端子TEの露出面EXの中心と半導体装置PKGの中心(基板CBの中心にほぼ対応している)とを結ぶ直線上の方向で、かつ、半導体装置PKGの中心から遠ざかる(離れる)方向であれば、より好ましい。
【0244】
また、端子TEの露出面EXにおいて、導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部が、平面視で複数のスタッドバンプSBで囲まれるようにすれば、より好ましい。これにより、封止体MRの剥離に起因した負荷が導電性接続部材(例えばワイヤBW)の接合部に加わるのを、より的確に抑制または防止できるようになる。これにより、半導体装置の信頼性を、更に向上させることができる。
【0245】
また、基材BSの下面BSbに端子TEが複数形成されている場合、それら複数の端子TEのうちの少なくとも1つの端子TEの露出面EXに対して、アンカー手段を設ければ、そのアンカー手段を設けた端子TEの露出面EXでは封止体MRの剥離を抑制または防止することができる。これにより、アンカー手段を全く設けなかった場合に比べて、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0246】
しかしながら、基材BSの下面BSbに端子TEが複数形成されている場合は、それら複数の端子TEのそれぞれの露出面EXに対してアンカー手段を設けることが、より好ましく、これにより、アンカー手段を設けた複数の端子TEの各露出面EXで封止体MRの剥離を抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0247】
但し、基材BSの下面BSbに端子TEが複数形成されるとともに、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される端子TEと、導電性接続部材が接合されない端子TEとが混在している場合もある。この場合は、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合された端子TEについては、その端子TEの露出面EXに対してアンカー手段を設けることが好ましいが、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合されない端子TEの露出面EXについては、アンカー手段を設けても設けなくともよい。これは、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接続されていない端子TEの露出面EXについては、たとえその端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離したとしても、その端子TEとパッドPDとの間の電気的接続への影響を考慮する必要がないためである。
【0248】
なお、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合されない端子TEの露出面EXについては、アンカー手段を設けなければ、半導体装置の製造時間を短縮でき、また、スループットを向上できるという利点を得られる。
【0249】
このため、上記
図2および
図3の場合は、端子TEが8個形成され、そのうち端子GND,I/O,VCC,RST,CLKの各露出面EXにそれぞれワイヤBWが接続され、端子NC1,NC2,NC3の各露出面EXにそれぞれワイヤBWが接続されていないが、この場合は、次のようにすることができる。
【0250】
すなわち、ワイヤBWが接続された端子GND,I/O,VCC,RST,CLKのうち、少なくとも1つの端子の露出面EXにアンカー手段を設け、より好ましくは、ワイヤBWが接続された端子GND,I/O,VCC,RST,CLKの全てについて、各露出面EXにアンカー手段を設ける。一方、ワイヤBWが接続されない端子NC1,NC2,NC3については、各露出面EXにアンカー手段を設けても、設けなくともよく、あるいはアンカー手段を設けたものと設けないものとを混在させてもよいが、設けない場合は、半導体装置の製造時間を短縮でき、また、スループットを向上できるという利点を得られる。
【0251】
<実施の形態1の第1変形例>
次に、本実施の形態1の第1変形例について説明する。
【0252】
図51および
図52は、本実施の形態1の半導体装置PKGの第1変形例を示す断面図であり、それぞれ上記
図4および
図5に対応するものである。
図52は、
図51において、点線で囲まれた領域RG1の拡大図が示されている。
【0253】
上記
図4および
図5の場合は、逆ボンディング方式でワイヤBWを接続していたが、
図51および
図52の第1変形例の場合は、正ボンディング方式でワイヤBWを接続している。
【0254】
すなわち、
図51および
図52の第1変形例の場合は、次のようにして、半導体チップCPのパッドPDと基板CBの端子TEの露出面EXとをワイヤBWを介して電気的に接続する。
【0255】
まず、上記
図36に示されるようにワイヤ26の先端(端部)にボール部26aを形成してから、ワイヤ26の先端(端部)に形成された上記ボール部26aを、半導体チップCPのパッドPDに接続(接合)する。このとき、パッドPD上には上記バンプBPは形成されていない。それから、上記クランパ25aを緩め、上記ワイヤ26を送り出しながら上記キャピラリ25をパッドPDの上方に向かってある程度移動させた後、第2ボンド側となる端子TEの露出面EXに向かって移動させる。そして、上記クランパ25aで上記ワイヤ26を再度クランプし、上記キャピラリ25の先端でワイヤ26の一部(ボール部26aが形成された端部とは異なる一部)を第2ボンド側となる端子TEの露出面EXに擦り付ける(潰しながら引きちぎる)。これにより、
図51および
図52に示されるように、一方の端部がパッドPDに接続され、他方の端部が端子TEの露出面EXに接続されたワイヤBWが形成される。
【0256】
このため、
図51および
図52の第1変形例の場合は、ワイヤBWと一体的に形成された上記ボール部BLが、半導体チップCPのパッドPDに接合され、パッドPD上に上記スタッドバンプBPを設けておく必要はない。また、ワイヤBWは、上記ボール部BLを介さずに、端子TEの露出面EXに接合される。
【0257】
図51および
図52の第1変形例の他の構成および製造工程は、上記実施の形態1で説明した通りであるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0258】
図51および
図52の第1変形例の場合も、実施の形態1で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0259】
また、ワイヤBWを正ボンディング方式で接続した場合には、逆ボンディング方式で接続した場合に比べて、ワイヤBWと端子TEの露出面EXとの接着強度が低くなる。このため、封止体MRの剥離に起因してワイヤBWと端子TEの露出面EXとの接合部に負荷(応力、ダメージ)が加わったときの悪影響(電気特性の変化や断線など)は、ワイヤBWを逆ボンディング方式で接続した場合よりも正ボンディング方式で接続した場合の方が大きくなる。しかしながら、ワイヤBWを正ボンディング方式で接続した場合であっても、端子TEの露出面EXにアンカー手段を設けたことで、封止体MRの剥離を抑制または防止することができるため、封止体MRの剥離に起因してワイヤBWと端子TEの露出面EXとの接合部に負荷(応力、ダメージ)が加わるのを抑制または防止することができる。このため、ワイヤBWを逆ボンディング方式で接続した場合はもちろん、正ボンディング方式で接続した場合であっても、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、ワイヤBWを正ボンディング方式で接続した場合は、パッドPD上に上記スタッドバンプBPを形成する必要が無いため、半導体装置の製造工程(例えばワイヤボンディング工程)を簡略化することができる。
【0260】
なお、この第1変形例は、後述の第2変形例や、後述の実施の形態2,3(変形例を含む)に適用することもできる。
【0261】
<実施の形態1の第2変形例>
次に、本実施の形態1の第2変形例について説明する。
【0262】
図53は、本実施の形態1の半導体装置PKGの第2変形例を示す部分拡大断面図であり、上記
図5に対応するものである。
【0263】
図53に示される第2変形例では、端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成しているが、複数のスタッドバンプSBを積み重ねている。すなわち、複数のスタッドバンプSBが積層されている。これは、上述したワイヤボンディング工程において、端子TEの露出面EXにスタッドバンプSBを形成してから、そのスタッドバンプSB上に更に他のスタッドバンプSBを形成(接合)することにより、実現することができる。
【0264】
なお、
図53では、2つのスタッドバンプSBを積み重ねているが、他の形態として、3つ以上のスタッドバンプSBを積み重ねることもできる。
図53のように2つのスタッドバンプSBを積み重ねた場合、積み重ねられた2つのスタッドバンプSBの全体の高さ(露出面EXに略垂直な方向の寸法)は、例えば10μm以上となる。
【0265】
第2の変形例のように端子TEの露出面EXに複数積み重ねられたスタッドバンプSBを形成することにより、スタッドバンプSBによるアンカー効果(封止体MRの剥離防止効果)を更に向上させることができる。これにより、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を更に向上させることができ、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0266】
なお、端子TEの露出面EXにおいて、1箇所以上、より好ましくは複数箇所に、スタッドバンプSBを形成する。端子TEの露出面EXにおいて複数箇所にスタッドバンプSBを形成する際に第2の変形例を適用する場合は、その複数箇所の全てにおいて複数のスタッドバンプSBを積み重ねて配置するか、あるいは、その複数箇所において、複数のスタッドバンプSBを積み重ねて配置した箇所と積み重ねずに1つのスタッドバンプSBを配置した箇所とを混在させることもできる。
【0267】
(実施の形態2)
図54および
図55は、本実施の形態2の半導体装置の説明図であり、
図54は上記実施の形態1の上記
図6に対応するものである。すなわち、
図54は、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXとそこに接続されたワイヤBWを示す平面図である。
図55は、
図54と同じ領域の平面図に対応しているが、
図55には、ワイヤBWを端子TEの露出面EXに接続する直前の段階が示されている。
【0268】
上記実施の形態1では、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBを用いていた。本実施の形態2では、
図54および
図55に示されるように、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成した凹部(窪み部)81を用いている。凹部81は、端子TEの露出面EXが窪んだ部分である。凹部81内には、封止体MRの材料(封止体MRの一部)が充填されている。凹部81の深さは、例えば4μm以上とすることができる。
【0269】
端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBの代わりに、端子TEの露出面EXに形成した凹部81を用いていること以外は、本実施の形態2の半導体装置も上記実施の形態1の半導体装置PKGと同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0270】
端子TEの露出面EXに凹部81を形成すると、凹部81内に封止体MRの材料が充填されて、凹部81の内面と封止体MRとが接触することになるため、凹部81の内面も含む端子TEの露出面EXと封止体MRとの接触面積を大きくすることができる。すなわち、凹部81を形成しなかった場合に比べて、凹部81を形成した場合の方が、端子TEの露出面EXと封止体MRとの接触面積との接触面積を大きくすることができる。このため、凹部81を形成しなかった場合の封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性に比べて、凹部81を形成した場合の封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を高くすることができる。従って、凹部81を形成しなかった場合に比べて、凹部81を形成した場合の方が、端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離しにくくなる。
【0271】
このように、本実施の形態2では、端子TEの露出面EXに形成した凹部81がアンカー手段として機能することにより、封止体MRが端子TEの露出面EXから剥離するのを抑制または防止することができる。従って、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0272】
上記実施の形態1におけるスタッドバンプSBの形成位置や形成する数などについての記載を、凹部81の形成位置や形成する数などに対しても適用することができる。また、凹部81の平面形状は、種々変更可能である。
【0273】
次に、凹部81の形成法の一例について、
図56〜
図60を参照して説明する。
図56〜
図60は、本実施の形態2における基板10の製造工程を示す断面図である。このうち、
図56および
図58は、上記
図13〜
図21と同じ領域の断面図が示されており、
図57は、
図56において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示され、
図59は、
図58において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示されている。また、
図60は、
図59と同じ領域で異なる工程段階の断面図が示されている。
【0274】
まず、上記実施の形態1と同様に上記ステップS1a〜S1hの工程を行って、
図56および
図57の構造を得る。すなわち、上記ステップS1hのエッチング工程を行って基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aを平坦化するまでは、本実施の形態2における基板10の製造工程も上記実施の形態1における基板10の製造工程と同様である。従って、
図56および
図57の構造は、上記ステップS1hのエッチングを行った後の上記
図21および
図23の構造と同じである。
【0275】
次に、本実施の形態2では、
図58に示されるように、尖った先端部を有するツール(治具)TL2のその先端部を、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aに対して押しつける。これにより、
図59に示されるように、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aに凹部(窪み部)81aを形成することができる。凹部81aは、銅箔13の主面13aが窪んだ部分である。
【0276】
その後、上記実施の形態1と同様に上記ステップS1iを行って、銅箔13の露出面に上記めっき膜16,17を形成する。
図60は、このステップS1iを行ってめっき膜16,17を形成した段階が示され、めっき膜17(上記めっき層TE3に対応)が、貫通孔SHから露出する銅箔13(上記銅層TE1に対応)の主面13a(上記上面TE1aに対応)に形成された状態が示されている。
【0277】
めっき膜17は、下地の面(すなわち基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13a)に対してコンフォーマルに形成される。このため、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aに凹部81aを形成しておけば、めっき膜17の表面には、凹部81aに対応して凹部81が形成されることになる。これにより、めっき膜17の表面、すなわち端子TEの露出面EXに、凹部81を形成することができる。
【0278】
また、ここでは、めっき膜17を形成する前に、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aに凹部81aを形成しておくことで、めっき膜17の成膜時にめっき膜17の表面に凹部81が形成される場合について説明した。他の形態として、上記実施の形態1と同様にステップS1a〜S1iを行ってから、ツールTL2の先端部を、めっき膜17の表面に対して押しつけることにより、めっき膜17の表面(すなわち端子TEの露出面EX)に凹部81を形成することもできる。
【0279】
また、本実施の形態2では、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成した凹部81を用いている。他の形態として、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成した凸部(突起部)を用いることもできる。アンカー手段が凹部81ではなく、凸部であっても、封止体MRと、端子TEの露出面EXとの接触面積を大きくすることができるため、封止体MRと端子TEの露出面EXとの密着性を高めることができ、端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離するのを抑制または防止する効果を得られる。上記実施の形態1のスタッドバンプSBは、端子TEの露出面EXから突出しているため、端子TEの露出面EXに形成した凸部(突起部)とみなすこともできる。
【0280】
(実施の形態3)
図61および
図62は、本実施の形態3の半導体装置の説明図であり、
図61は上記実施の形態1の上記6に対応するものである。すなわち、
図61は、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXとそこに接続されたワイヤBWを示す平面図である。
図62は、
図61と同じ領域の平面図に対応しているが、
図62には、ワイヤBWを端子TEの露出面EXに接続する直前の段階が示されている。なお、
図61および
図62は平面図であるが、端子TEの露出面EXにおける領域71と領域72とを判別しやすいように、領域71と領域72とに互いに異なる向きのハッチングを付してある。
【0281】
上記実施の形態1では、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBを用い、上記実施の形態2では、端子TEの露出面EXに形成した凹部81を用いていた。本実施の形態3では、
図61よび
図62に示されるように、端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXにおける粗面化された領域71を用いている。
【0282】
本実施の形態3では、端子TEの露出面EXは、粗面化された領域71と、その領域71よりも平坦な領域72とを有している。すなわち、端子TEの露出面EXは、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを有している。領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、領域72の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きい。言い換えると、領域72の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも小さい。また、表面粗さが小さいほど平坦性が高いとみなせるため、領域72は、領域71よりも平坦性が高く、領域71は、領域72よりも平坦性が低いと言うこともできる。ここで、領域71,72の表面粗さは、算術平均粗さRaを指すものとする。
【0283】
領域71,72の表面粗さの一例をあげれば、表面粗さが大きい領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、例えば6μm以上とすることができ、表面粗さが小さい領域72の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、例えば4μm以下とすることができる。すなわち、本実施の形態3では、領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの接合面BDの表面粗さ(算術平均粗さRa)と同じであり、
図12に示すステップS1hのエッチングを行っていない状態のままである。
【0284】
なお、端子TEの露出面EXと封止体MRとの密着性を向上させる上では、領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)が端子TEの接合面BDの表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きくなるように、この領域71に対して追加で粗面化処理を施してもよい。
【0285】
本実施の形態2では、
図61および
図62に示されるように、端子TEの露出面EXは、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを有している。端子TEの露出面EXと封止体MRとの間の接着強度と、端子TEの露出面EXの表面粗さとの関係に着目すると、端子TEの露出面EXの表面粗さが大きくなると、端子TEの露出面EXと封止体MRとの接触面積が増大し、端子TEの露出面EXと封止体MRとの間の接着強度が高くなる。このため、本実施の形態2では、端子TEの露出面EXが、表面粗さが大きい領域71を有し、この表面粗さが大きい領域71が封止体MRに接触することにより、端子TEの露出面EXと封止体MRとの間の接着強度を高めて、端子TEの露出面EXと封止体MRとの密着性を向上させている。これにより、端子TEの露出面EXから封止体MRが剥離するのを抑制または防止することができる。
【0286】
しかしながら、本実施の形態3とは異なり、端子TEの露出面EX全体の表面粗さが大きいと、導電性接続部材(例えばワイヤBW)を端子TEの露出面EXに的確に接続(接合)しにくくなる。すなわち、端子TEの露出面EXにおいて、ワイヤBWなどの導電性接続部材を接合する領域は、表面粗さが小さい方が好ましい。
【0287】
そこで、本実施の形態3では、
図61および
図62に示されるように、端子TEの露出面EXは、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを有しており、パッドPDと端子TEとの間を電気的に接続するための導電性接続部材(例えばワイヤBW)は、表面粗さが大きい領域71ではなく、表面粗さが小さい領域72に接続(接合)されている。導電性接続部材(例えばワイヤBW)を、表面粗さが小さい領域72に接続(接合)したことにより、その導電性接続部材(例えばワイヤBW)を端子TEの露出面EXに容易かつ的確に接続(接合)することができるようになる。また、その導電性接続部材(例えばワイヤBW)と端子TEの露出面EXとの間の接着強度を高めることができる。
【0288】
このように、本実施の形態3では、基材BSの貫通孔SHから露出する端子TEの露出面EXのうち、導電性接続部材(例えばワイヤBW)が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段として表面粗さが大きい領域71(粗面化された領域71)を設けている。端子TEの露出面EXにおける表面粗さが大きい領域71(粗面化された領域71)がアンカー手段として機能することにより、封止体MRが端子TEの露出面EXから剥離するのを抑制または防止することができる。従って、パッドPDと端子TEとの電気的接続の信頼性を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0289】
また、端子TEの接合面BD(基材BSに接着されている面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの露出面EXにおける表面粗さが小さい領域72の表面粗さ(算術平均粗さRa)よりも大きいことが好ましい。これにより、端子TEと基材BSの接着強度を高めることができるため、端子TEが基材BSから剥離するのをより的確に防止することができる。このため、半導体装置の信頼性をより向上させることができる。
【0290】
また、後述の
図61〜
図70の工程で基板10を製造した場合には、端子TEの露出面EXにおける表面粗さが大きい領域71の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、端子TEの接合面BD(基材BSに接着されている面)の表面粗さ(算術平均粗さRa)と概ね同程度になる。
【0291】
また、上記
図50を参照して説明したように、端子TEの露出面EXにおいて、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域51は、端子TEの露出面EXにおける周縁部(貫通孔SHの内壁に近い領域)である。このため、アンカー手段(ここでは領域71)は、封止体MRの剥離の起点になりやすい領域51またはそれに近い位置に形成することが好ましく、従って、端子TEの露出面EXにおける周縁部またはそれに近い位置(すなわち貫通孔SHの内壁にある程度近い位置)に形成することが好ましい。そうすることで、封止体MRの剥離の発生を抑制または防止しやすくなる。
【0292】
従って、
図61および
図62に示されるように、端子TEの露出面EXにおいて、周縁部側に(例えば貫通孔SHの内壁に隣接するリング状に)、表面粗さが大きい領域71を設けることが好ましく、その内側(露出面EXの中心側)に、表面粗さが小さい領域72を設けることが好ましい。すなわち、端子TEの露出面EXにおいて、貫通孔SHの内壁に隣接する領域は、表面粗さが大きい領域71とし、表面粗さが小さい領域72は表面粗さが大きい領域71に囲まれ、表面粗さが小さい領域72と貫通孔SHの内壁との間には、表面粗さが大きい領域71が介在していることが好ましい。これにより、封止体MRの剥離の発生を抑制または防止しやすくなるとともに、端子TEの露出面EXにワイヤBWのような導電性接続部材を接続(接合)しやすくなる。
【0293】
端子TEの露出面EXに設けるアンカー手段として、端子TEの露出面EXに形成したスタッドバンプSBの代わりに、端子TEの露出面EXの粗面化された領域71(表面粗さが大きい領域71)を用いていること以外は、本実施の形態3の半導体装置も上記実施の形態1の半導体装置PKGと同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0294】
また、端子TEの露出面EXにおいて、ワイヤBWのような導電性接続部材が接合された接合部の位置を、露出面EXの中心(CT)に重ならない位置にすることや、その接合部を露出面EXの中心(CT)からずらす方向については、上記実施の形態2および本実施の形態3も、上記実施の形態1と同様とすることができる。
【0295】
次に、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを有する端子TEの露出面EXを備えた基板10の製造法の一例について、
図61〜
図70を参照して説明する。
【0296】
図61〜
図70は、本実施の形態2における基板10の製造工程を示す断面図である。このうち、
図63、
図65および
図67は、上記
図13〜
図21と同じ領域の断面図が示されており、
図64は、
図63において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示され、
図66は、
図65において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示され、
図69は、
図68において点線で囲まれた領域RG4の拡大図が示されている。
図67は、
図66と同じ領域で異なる工程段階の断面図が示され、
図70は、
図69と同じ領域で異なる工程段階の断面図が示されている。
【0297】
まず、上記実施の形態1と同様に上記ステップS1a〜S1gの工程を行って、
図63および
図64の構造を得る。すなわち、上記ステップS1gの銅箔13のパターニング工程行うまでは、本実施の形態3における基板10の製造工程も上記実施の形態1における基板10の製造工程と同様である。従って、
図63および
図64の構造は、上記ステップS1hのエッチングを行う前の上記
図21および
図22の構造と同じである。
【0298】
次に、本実施の形態3では、
図65および
図66に示されるように、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13a上に、マスク層73を形成する。このマスク層73は、後で行う上記ステップS1hのエッチングにおいてエッチングマスクとして機能するものである。マスク層73は、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aのうち、全体ではなく一部分上に形成される。マスク層73が形成される平面領域は、上記
図62において、表面粗さが大きい領域71とほぼ一致する領域である。
【0299】
次に、
図67に示されるように、上記ステップS1hのエッチング工程を行って、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aを、エッチングする。
【0300】
上記ステップS1hのエッチング工程について、本実施の形態3が上記実施の形態1と相違しているのは、マスク層73がエッチングマスクとして機能するため、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aのうち、マスク層73で覆われていない部分はエッチングされるが、マスク層73で覆われている部分はエッチングされない点である。
図66は、ステップS1hのエッチングを行う直前の状態が示され、
図67は、ステップS1hのエッチングを行った後の状態が示されている。ステップS1hのエッチングを行った後に、マスク層73を除去し、マスク層73を除去した状態が
図68および
図69に示されている。
【0301】
上記ステップS1hのエッチング工程を行うと、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aのうち、マスク層73で覆われていない部分は、エッチングされて平坦性が高められる。しかしながら、ステップS1hのエッチング工程を行っても、銅箔13の主面13aのうち、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域(すなわち貫通孔SHから露出する部分以外の銅箔13の主面13a)と、マスク層73で覆われた領域とは、エッチングされず、平坦性は変化しない。これ以外は、上記ステップS1hのエッチング工程については、本実施の形態3も上記実施の形態1と基本的には同じである。
【0302】
図66に示されるように、ステップS1hのエッチングを行う前は、銅箔13の主面13aの平坦性は、貫通孔SHから露出する領域も、マスク層73で覆われた領域も、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域も、ほぼ同様の平坦性を有しており、表面粗さはほぼ同じであった。しかしながら、ステップS1hのエッチングを行うと、
図66に示されるように、銅箔13の主面13aの平坦性は、貫通孔SHから露出する領域のうちのマスク層73で覆われない領域の平坦性が、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着されている領域の平坦性やマスク層73で覆われた領域の平坦性よりも高くなる。すなわち、ステップS1hのエッチングを行うと、銅箔13の主面13aの表面粗さは、貫通孔SHから露出する領域のうちのマスク層73で覆われない領域が、接着材層12を介して基材11の主面11aに接着された領域やマスク層73で覆われた領域よりも、小さくなる。
【0303】
その後、上記実施の形態1と同様に上記ステップS1iを行って、銅箔13の露出面に上記めっき膜16,17を形成する。
図70は、このステップS1iを行ってめっき膜16,17を形成した段階が示され、めっき膜17(上記めっき層TE3に対応)が、貫通孔SHから露出する銅箔13(上記銅層TE1に対応)の主面13a(上記上面TE1aに対応)に形成された状態が示されている。
【0304】
めっき膜17は、下地の面(すなわち基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13a)に対してコンフォーマルに形成される。このため、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aに、表面粗さが大きな領域(マスク層73で覆われた領域)と、表面粗さが小さな領域(マスク層73で覆われなかった領域)とを形成しておけば、めっき膜17の表面粗さは、下地の銅箔13の主面13aの表面粗さに対応した大きさになる。すなわち、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aのうち、表面粗さが大きな領域上には、大きな表面粗さのめっき膜17が形成され、表面粗さが小さな領域上には、小さな表面粗さのめっき膜17が形成されることになる。大きな表面粗さのめっき膜17により、上記の表面粗さが大きい領域71が形成され、小さな表面粗さのめっき膜17により、上記の表面粗さが小さい領域72が形成される。
【0305】
このようにして、めっき膜17の表面、すなわち端子TEの露出面EXに、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを設けることができる。
【0306】
また、ここでは、端子TEの露出面EXに、表面粗さが大きい領域71と表面粗さが小さい領域72とを設ける手法の一例を示したが、他の手法を用いることもできる。
【0307】
また、ここでは、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13a全体にめっき膜17を形成する場合について説明した。他の形態として、導電性接続部材(例えばワイヤBW)を接続(接合)する領域以外には、めっき膜17(すなわち上記めっき層TE3)を形成しないこともできる。例えば、上記の表面粗さが小さい領域72にはめっき膜17(すなわち上記めっき層TE3)を形成し、上記の表面粗さが大きい領域71にはめっき膜17(すなわち上記めっき層TE3)を形成しない場合もあり得る。
【0308】
(実施の形態1〜3の変形例)
上記実施の形態1〜3では、基材BSの下面BSbには端子TEが形成されているが、基材BSの上面BSaには、金属パターン(端子または配線など)が形成されていない基板CBを用いていた。上記実施の形態1〜3(変形例を含む)において、基材BSの下面BSbに端子TEが形成され、基材BSのチップ搭載側の主面である上面BSaにも、金属パターン(端子または配線など)が形成された、所謂、デュアル基板を基板CBとしても用いることもできる。
【0309】
本変形例では、デュアル基板を基板CBに適用した場合の例について説明する。
図71は、本変形例の半導体装置PKGの平面図であり、上記実施の形態1の上記
図3に対応するものである。上記
図3と同様に、
図71においても、半導体装置PKGの上面側の平面図(すなわち上面図)が示されているが、封止体MRを透視した平面透視図が示されており、封止体MRの外形位置を二点鎖線で示してある。なお、本変形例においても、上記
図2および
図3に示されるような端子TEが基板CBの下面CBbに形成されているが、
図71では図示されていない。また、
図71は、平面図であるが、図面を見やすくするために、金属パターン91にハッチングを付してある。
【0310】
図71の半導体装置PKGが上記実施の形態1の半導体装置PKGと相違しているのは、基板CBの上面CBa側、すなわち、基材BSの上面BSaに金属パターン91(具体的には金属パターン91aおよび端子91b)が形成されている点と、端子91bと半導体チップCPのパッドPDとの間をワイヤBWなどの導電性部材で電気的に接続している点である。これ以外については、
図71の半導体装置PKGは、上記実施の形態1の半導体装置PKGと同様である。
【0311】
図71の本変形例の半導体装置PKGの場合、基板CBの上面CBa側、すなわち、基材BSの上面BSaには、金属パターン91が形成されており、この金属パターン91は、金属パターン91aと端子91bとを含んでいる。端子91bと半導体チップCPのパッドPDとはワイヤBWを介して電気的に接続されており、端子91bの一部(ワイヤBWと端子91bとの接続部を含む)は、封止体MRで封止され、端子91bの他の一部は、封止体MRで覆われずに露出されている。端子91bのうち、封止体MRから露出されている部分は、
図71の半導体装置PKGの外部端子として機能することができる。このため、
図71の半導体装置PKGは、基板CBの下面CBb側に外部端子として上記端子TEを有し(
図71では図示せず)、基板CBの上面CBa側に、外部端子として端子91bを有している。また、端子91bは、端子と配線を兼ねたものである。このため、
図71の半導体装置PKGの基板CBは、下面CBb側に外部端子として上記端子TEを有し(
図71では図示せず)、基板CBの上面CBa側に、配線または端子用の金属パターンを有している。
【0312】
金属パターン91aは、貫通孔SHの周囲に貫通孔SHを囲むように形成されている。金属パターン91aは、製造工程上、形成されたものであるが、無くてもよい。
【0313】
なお、
図71には、基板CBの上面CBa側、すなわち、基材BSの上面BSaに形成する金属パターン91の一例が示されており、金属パターン91の形状や用途は、種々変更可能である。
【0314】
本変形例は、上記実施の形態1〜3(変形例を含む)のいずれに対しても適用することができる。すなわち、上記実施の形態1〜3(変形例を含む)のいずれにおいても、
図71に示されるような基板CB(デュアル基板)を用いることができる。
【0315】
次に、本変形例で用いたデュアル基板として上記基板10を製造する場合のその製造法の一例について、
図72〜
図81を参照して説明する。
【0316】
図72〜
図81は、本変形例における基板10の製造工程を示す断面図であり、上記
図13〜
図21と同じ領域の断面図が示されている。
【0317】
まず、
図72に示されるように、一方の主面11bに銅箔(銅層)18が貼り付けられた基材(基材層、テープ基材)11を準備する。ここでは、上記ステップS1aで準備した基材11の主面11bに、銅箔18を貼り付けることもできる。銅箔18は、接着材層(図示省略)を介して基材11の主面11bに貼り付けられている。
【0318】
次に、上記ステップS1bで、
図73に示されるように、基材11の主面11aに接着材層12を形成する。
【0319】
次に、上記ステップS1cで、
図74に示されるように、基材11に貫通孔SHを形成する。貫通孔SHは、基材11とともに銅箔18と接着材層12も貫通している。
【0320】
次に、上記ステップS1dで、
図75に示されるように、基材11の主面11aに接着材層12を介して銅箔(銅層)13を貼り付ける。
【0321】
次に、上記ステップS1eで、
図76に示されるように、銅箔13上に、フォトレジスト層(フォトレジスト膜)14を形成し、銅箔18上に、フォトレジスト層(フォトレジスト膜)19を形成する(貼り付ける)。フォトレジスト層14,19としてそれぞれ貼り付けるフォトレジスト膜には、例えばフォトレジストドライフィルムを用いることができる。
【0322】
次に、上記ステップS1fで、フォトレジスト層14,19に対して露光処理と現像処理を行うことにより、フォトレジスト層14,19をそれぞれパターニングする。
【0323】
このフォトレジスト層14,19をそれぞれパターニング工程は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、まず、
図77に示されるように、フォトレジスト層14上に露光用のマスク15を形成または配置してから、そのマスク15を遮光マスクとして用いてフォトレジスト層14を露光する。また、フォトレジスト層19上に露光用のマスク15aを形成または配置してから、そのマスク15aを遮光マスクとして用いてフォトレジスト層19を露光する。そして、フォトレジスト層14,19を現像処理することにより、
図78に示されるように、フォトレジスト層14,19をそれぞれパターン化することができる。フォトレジスト層14とフォトレジスト層19のうちの一方の露光・現像処理を行ってから、他方の露光・現像処理を行ってもよい。
【0324】
露光・現像によりパターン化されたフォトレジスト層14は、上記端子TEが形成される領域に形成され、一方、露光・現像によりパターン化されたフォトレジスト層19は、上記金属パターン91が形成される領域に形成される。
【0325】
但し、後で銅箔18をパターニングするためのエッチング工程で、貫通孔SHを介して銅箔13がエッチングされないようにするために、露光・現像処理後も貫通孔SHがフォトレジスト層19で覆われておくようにする。すなわち、基材11の主面11b側において、貫通孔SHが露出されないように、貫通孔SHに重なる位置に貫通孔SHよりも若干大きなパターンでフォトレジスト層19を残すようにする。この部分のフォトレジスト層19の下で、貫通孔SHの周囲に銅箔18が残存することにより、上記金属パターン91aが形成される。
【0326】
次に、上記ステップS1gで、
図79に示されるように、フォトレジスト層14をエッチングマスクとして銅箔13をエッチングしてパターニングし、また、フォトレジスト層19をエッチングマスクとして銅箔18をエッチングしてパターニングする。これにより、銅箔13と銅箔18とが、所定のパターンにパターニングされる。パターニングされた銅箔13が、上記端子TEの銅層TE1となる。パターニングされた銅箔18が、上記金属パターン91の主体となる銅層になる。エッチングの後、
図80に示されるように、フォトレジスト層14,19を除去する。
【0327】
次に、上記ステップS1hで、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aをエッチングする。このエッチングは、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13の主面13aを平坦化するために行う平坦化処理であるため、基材11の貫通孔SHから露出する銅箔13が過剰にエッチングされて貫通孔SHの底部で銅箔13に孔があいてしまわないようにする。
【0328】
次に、上記ステップS1iで、
図81に示されるように、銅箔13の露出面に上記めっき膜16,17を形成し、銅箔18の露出面にめっき膜17cを形成する。銅箔13とめっき膜16,17とにより、上記端子TEが形成され、銅箔18とめっき膜17cとにより、上記金属パターン91(具体的には金属パターン91aおよび端子91b)が形成される。めっき膜17cは、めっき膜16,17と同様に、例えば、ニッケルめっき膜と該ニッケルめっき膜上の金めっき膜との積層膜とすることができ、その場合、金めっき膜が最表面膜となる。
【0329】
このようにして、基板10をデュアル基板として製造することができる。
【0330】
さらに、上記実施の形態1〜3(変形例も含む)で説明した技術思想の要旨を逸脱しない範囲内において、上記実施の形態1〜3およびその変形例同士を組み合わせて適用することができる。
【0331】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0332】
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
(項1)以下の工程を含む、半導体装置の製造方法:
(a)第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有する絶縁性の基材と、前記基材の前記第2面に形成された外部端子と、前記外部端子の一部を露出するように、前記基材の前記第1面および前記第2面のうちの一方から他方に向かって形成された貫通孔と、を含む基板を準備する工程、
(b)主面、前記主面に形成されたパッド、および前記主面とは反対側の裏面を有する半導体チップを、前記裏面が前記基材の前記第1面と対向するように、前記基材の前記第1面上に搭載する工程、
(c)前記外部端子のうちの前記基材の前記貫通孔から露出する露出面と、前記半導体チップの前記パッドとを、導電性部材を介して電気的に接続する工程と、
(d)前記基材の前記貫通孔の内部、前記半導体チップ、および前記導電性部材を封止する封止体を形成する工程、
ここで、前記露出面のうち、前記導電性部材が接合される接合部以外の領域に、アンカー手段が設けられている。