特許第6125354号(P6125354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125354
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20170424BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   F25D17/08 307
   F25D23/06 W
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-136406(P2013-136406)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-10768(P2015-10768A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 揚
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−220950(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1443289(EP,A1)
【文献】 特開2013−119976(JP,A)
【文献】 特開2003−90664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁体からほぼ箱状に構成され、下部に前記断熱壁体における連結部が存在し内部に貯蔵室を形成した断熱キャビネットと、
底部が前記貯蔵室の底部に接近する形態で前記貯蔵室に設けられ上面が開口する貯蔵容器と、
蒸発器及びファンを備えて冷気を生成し、当該冷気を冷気吹出口から吹出し及び冷気吸込口から吸い込む冷気生成部とを備え、
前記冷気吹出口を、前記貯蔵容器内に前記冷気が吹出されるように設け、且つ前記冷気吸込口を前記冷気吹出口のおける最下端部よりも上方に設けた冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱キャビネットの下部に屈曲部が設けられ、当該屈曲部に断熱壁体の連結部がある請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記断熱キャビネットは、真空断熱パネルを備えた複数の断熱壁体から構成されており、当該断熱キャビネットの下部における前記断熱壁体の連結部で前記真空断熱パネルが分割されている請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵容器は上面が開口する以外は無孔状をなす請求項1から3のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵容器の上方に、上面が開口する別の貯蔵容器が設けられ、
前記別の貯蔵容器が底部に通気部を備える構成、及び/又は、前記別の貯蔵容器と前記貯蔵容器との間に隙間を持たせた構成を備えた請求項1から4のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷気生成部は、前記蒸発器に対して前記ファンを上方に配置した構成であり、前記冷気吸込口から吸い込んだ冷気をファンからこれの下方の蒸発器を通し、前に出した後上方へ流して前記冷気吹出口から吹出す構成である請求項1から5のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷気が吹出される貯蔵容器の上部の開口から前記貯蔵室の下部への冷気が流通することを阻止する阻止部を備えた請求項1から6のいずれか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、断熱壁体から断熱キャビネットを構成しており、この断熱キャビネットの内部に貯蔵室を形成している。この貯蔵室に、貯蔵容器を、その底部が当該貯蔵室の底部に接近する形態で設けるようにしたものもある。
前記断熱キャビネットを構成する断熱壁体は、一般的に外板部と内板部との間に断熱材を配置した構成であるが、一つの断熱壁体で断熱キャビネットを構成することは製造上困難であるため、断熱壁体の外板や内板或いは断熱材を分割して適宜連結することにより断熱キャビネットが構成される。この場合、その連結部が断熱キャビネットの下部に位置する構造となることもある。この連結部の内部にはスポンジなどの断熱材が埋設されたりするが、完全に気密性を保持することは困難であり、微小隙間が生じることがある。
【0003】
一方、この冷蔵庫では、冷気を生成するための冷気生成部の冷気吹出口を前記貯蔵容器の上方に設け、貯蔵室内を冷却した冷気を戻すための冷気吸込口を、貯蔵室奥部に設けている。この場合、冷気吹出口から吹出された冷気は、貯蔵容器に入った後、当該貯蔵容器から出て、該貯蔵容器の外側を下方へと流れ、貯蔵容器の外側底面と貯蔵室底面との間の隙間を通り、貯蔵室奥部の前記冷気吸込口から冷気生成部に戻る。
【0004】
しかしながら、冷気が前述したように、容器の外側底面と貯蔵室底面との間の狭い隙間を通って冷気吸込口に流入する場合、その流速が比較的速く、このため冷気の流れにより連結部庫内側が庫外に対して相対的に負圧となり、前記断熱キャビネット下部の前記連結部から外部空気が僅かながら吸い込まれ、貯蔵室内や断熱キャビネット内への外気が侵入し、庫内や連結部内での結露の発生が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−314951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、断熱キャビネットの下部に断熱壁体の連結部が存在する冷蔵庫において当該連結部からの外部空気の侵入を抑えることが期待できる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による冷蔵庫は、断熱壁体からほぼ箱状に構成され、下部に前記断熱壁体における連結部が存在し内部に貯蔵室を形成した断熱キャビネットと、底部が前記貯蔵室の底部に接近する形態で前記貯蔵室に設けられ上面が開口する貯蔵容器と、蒸発器及びファンを備えて冷気を生成し、当該冷気を冷気吹出口から吹出し及び冷気吸込口から吸い込む冷気生成部とを備え、前記冷気吹出口を、前記貯蔵容器内に前記冷気が吹出されるように設け、且つ前記冷気吸込口を前記冷気吹出口のおける最下端部よりも上方に設けた。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の冷蔵庫の正面図
図2】冷蔵庫下部の縦断側面図
図3】屈曲部部分の縦断側面図
図4】冷気生成部のケースを示す斜視図
図5】参考例を示す連結部部分の縦断側面図
図6】異なる連結部部分の縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態による冷蔵庫1について説明する。図1に示すように、冷蔵庫1は断熱キャビネット2を備えている。この断熱キャビネット2の内部には、上から順に冷蔵室3、野菜室4が設けられ、この野菜室4の下方に製氷室5と小冷凍室6が左右に並べて設けられ、最下部に主冷凍室7が設けられている。この主冷凍室7が貯蔵室に相当する。
前記冷蔵室3と野菜室4とは仕切り壁8によって区画され、野菜室4と製氷室5及び小冷凍室6とは断熱仕切壁9によって区画されている。又製氷室5及び小冷凍室6と主冷凍室7とは前仕切部10によって前面が区画されている。又、製氷室5と小冷凍室6とは縦梁11によって前面が区画されている。
【0010】
前記冷蔵室3と野菜室4とは冷蔵温度帯で冷却されるものであり、製氷室5及び小冷凍室6と主冷凍室7は冷凍温度帯で冷却されるものである。
前記断熱キャビネット2の前面部には、冷蔵室3を開閉する回転式の扉(観音式扉)12、13、野菜室4を開閉する引き出し式の扉14、製氷室5を開閉する引き出し式の扉15、小冷凍室6を開閉する引き出し式の扉16、主冷凍室7を開閉する引き出し式の扉17が夫々設けられている。
【0011】
前記野菜室4用の扉14の裏面には図示しないが野菜収納容器が設けられている。又、製氷室5内には図示しないが製氷皿が配置されている。
図2に示すように、小冷凍室6用の扉16の裏側には、当該扉16と一体的に移動する小冷凍室用容器18が設けられている。この小冷凍室用容器18の前板部には複数の通気口18aが形成されている。
【0012】
又、主冷凍室7用の扉17の裏側には、該扉17と一体的に移動する貯蔵容器としての下側冷凍容器19が設けられている。この場合、この下側冷凍容器19の底部は主冷凍室7の底部に接近する形態となっており、隙間Sが存在する。下側冷凍容器19は上面が開口する以外は無孔状をなす。下側冷凍容器19の後部上端の一部は、若干低く形成されている。この低い部分に符号19sを付している。そして、この下側冷凍容器19の上端部(低い部分19s上端部も含む)には外側へ張り出すひれ部19aが形成されている。
【0013】
この下側冷凍容器19の上方には別の貯蔵容器としての上側冷凍容器20が着脱可能に配置されている。
前記上側冷凍容器20は、一部(下部)が下側冷凍容器19内に位置するが、前方部において下側冷凍容器19とは隙間Gが形成されている。つまり、上側冷凍容器20と下側冷凍容器19との間に隙間Gを持たせた構成である
さて、前記断熱キャビネット2は、複数の断熱壁体を連結して構成されており、図2において、断熱キャビネット2の背壁部は断熱壁体21にて構成され、断熱キャビネット2の底部は、断熱壁体22、23、24にて構成されている。なお、当該断熱キャビネット2において、左右壁部、上壁部も断熱壁体にて構成されている。
【0014】
各断熱壁体21〜24の構成は基本的に同じであるので、断熱壁体24を代表して構成を説明する。図3に示すように、断熱壁体24は、外箱用の金属板製の外板24aと、内箱用の合成樹脂製の例えばシート部材からなる内板24bと、これら外板24aと内板24bとの間に挟まれた状態で配置される(介在する)断熱材としてパネル状の真空断熱パネル24cとを備え、これらを相互に接着して構成されている。
【0015】
真空断熱パネル24cは、ガラスウールなどのコア材24c1と、ガスバリア性を有する包装材24c2とから構成されている。真空断熱パネル24cは、コア材24c1を包装材24c2内に収容し、この状態で包装材24c2内を真空引きすることによってパネル状(板状)に製造されている。なお、各断熱壁体21〜23において、断熱壁体24と同一材料部分には同一の添え字を付している。
【0016】
前記断熱壁体22と断熱壁体23とは、その外板22aと外板23aの端部同士が例えばねじなどにより連結されている。又、断熱壁体22の内板22bの端部と、断熱壁体23の内板23bの端部とは、断面ほぼ三角形状のコーナー部材25により連結されている。コーナー部材25は、内板22bと内板23bとを連結する連結板25aと例えば発泡スチロールなどの断熱材25bとから構成されている。この場合、断熱壁体23はほぼ水平をなす断熱壁体22の後端部から斜め後方へ立ち上がる形態に連結されている。前記断熱壁体22と断熱壁体23との連結部に符号R1を付している。
【0017】
又、断熱壁体23と断熱壁体24とは、その外板23aと外板24aの端部同士が、断面ほぼ三角形状のコーナー部材26により連結されている。コーナー部材26は外板23aと外板24aとを連結する連結板26aと例えば発泡スチロールなどの断熱材26bとから構成されている。又、断熱壁体23の内板23bの端部と、断熱壁体24の内板24bの端部とは例えばねじ止めされて連結されている。この場合断熱壁体24は、断熱壁体23の上端部からほぼ水平に連結されている。この断熱壁体23と断熱壁体24との連結部に符号R2を付している。
【0018】
前記断熱壁体24と垂直状の断熱壁体21とは、その外板24aと外板21aの端部同士が例えばねじなどにより連結されている。又、断熱壁体24の内板24bの端部と、断熱壁体21の内板21bの端部とは、断面ほぼ三角形状のコーナー部材27により連結されている。断熱壁体24と断熱壁体21との連結部に符号R3を付している。なお、上記コーナー部材27は前記コーナー部材25と大きさは異なるが、基本的に同じ構成である。
【0019】
上述から判るように、断熱キャビネット2の下部には、主冷蔵室7奥部が手前側へ膨出される形態の屈曲部Kが構成されており、この部分に屈曲部Kに連結部R1〜R3が存在する。又、これら連結部R1〜R3部分で真空断熱パネルが21c〜24cが相互に分割された形態となっている。なお、この連結部R1〜R3の空間部には、スポンジなどの柔軟な断熱材を充填してもよい。
上記屈曲部Kによって、断熱キャビネット2の外側下部に機械室28が形成されている。この機械室28にはコンプレッサ29等が設けられている。
前記主冷凍室7及び小冷凍室6並びに製氷室5は連通状態であり、これら室の奥部には、冷気生成部30が設けられている。
【0020】
この冷気生成部30は、ケース31(図4にも図示)と、蒸発器32と、ファン33とを備えている。ケース31にはケース内部を前後に仕切る仕切り板部34が形成されており、奥側の空間部を機器配置室35とし、手前側の空間部を供給ダクト部36としている。この機器配置室35と、供給ダクト部36とは下部の開口34aにより連通している。
前記機器配置室35の上方部には、ベルマウス35aが形成されており、このベルマウス35a内にファン33が配設されている。このファン33の下方に位置して蒸発器32が配設されている。
【0021】
図2及び図4に示すように、前記供給ダクト部36に冷気吹出口としての下側冷凍容器用冷気吹出口37、上側冷凍容器用冷気吹出口38、製氷室用冷気吹出口39、小冷凍室用冷気吹出口40が形成されている。下側冷凍容器用冷気吹出口37は下側冷凍容器19内に冷気が吹出されるように、当該下側冷凍容器19の上部となる部位(この場合前記低い部分19s上部)に、下側冷凍容器19の内部へ指向して形成されている。又、上側冷凍容器用冷気吹出口38は、上側冷凍容器20内に冷気が吹出されるように、上側冷凍容器20の上部となる部位に、前方へ指向して形成されている。又、製氷室用冷気吹出口39は、製氷室5内に冷気を吹出すように、製氷室5に臨む部位に、前方へ指向して形成されている。又、小冷凍室用冷気吹出口40は、小冷凍室用容器18内に冷気を吹出すように、小冷凍室6内に臨む部位に前方へ指向して形成されている。
【0022】
又、前記ケース31には、前記ベルマウス35aの前方部分に連通する吸込みダクト41、42が左右に分岐して形成されており、各ダクト41、42の先端は、冷気吸込口41a、42aとして開口している。
これら吸込みダクト41、42は前仕切部10の後方部分(主冷凍室7と、製氷室5及び小冷凍室6との間の部分)の左右部に位置し、冷気吸込口41a、42aは、冷気吹出口としての下側冷凍容器用冷気吹出口37の最下端部よりも上方に位置する。つまり、最も下側に位置する貯蔵容器である下側冷凍容器19に冷気を吹出す冷気吹出口37の最下端部よりも上方に位置する。又、この冷気吸込口41a、42aは、冷気吹出口37、38、39、40よりも前側に位置する。
【0023】
前記下側冷凍容器19のひれ部19aの全周囲に対応する主冷凍室7内面部分(扉17裏側やケース31の外側前面などを含む)には、当該ひれ部19aと接触可能な弾性変形可能な遮蔽部43が設けられており、この遮蔽部43と前記ひれ部19aとで上側冷凍容器20の上部の開口から上側冷凍容器20外の主冷凍室7の下部への冷気が流通することを阻止する阻止部44が形成されている。
【0024】
前記蒸発器32及びコンプレッサ29などを備えた冷凍サイクルが作動すると共にファン33が駆動されると、ファン33により送出された空気が、図2に実線及び点線で図示する矢印で示すように、下方に流れて、蒸発器32を通過し、ここで空気が冷却されて冷気が生成される。この冷気は開口34aによって前側に流れて、供給ダクト部36内を上方へ流れる。そして、下側冷凍容器用冷気吹出口37、上側冷凍容器用冷気吹出口38、小冷凍室用冷気吹出口40から各容器19、20、18内に吹出される。又、製氷室用冷気吹出口39から製氷室5内に吹出される。
【0025】
下側冷凍容器用冷気吹出口37から下側冷凍容器19内に吹出された冷気は当該下側冷凍容器19内を通って内部(内部の貯蔵物)を冷却した後、前記隙間Gを通り、冷気吸込口41a、42aから吸い込まれ、吸込みダクト41、42を通って前記ファン33により再び送出される。
又、上側冷凍容器用冷気吹出口38から上側冷凍容器20内に吹出された冷気は、当該上側冷凍容器20内を通って内部を冷却した後、上面開口から出て、冷気吸込口41a、42aから吸い込まれ、吸込みダクト41、42を通って前記ファン33により再び送出される。
【0026】
又、小冷凍室用冷気吹出口40から小冷凍室用容器18内に吹出された冷気は、当該小冷凍室用容器18内を通って内部を冷却した後、複数の通気口18aから出て、冷気吸込口41a、42aから吸い込まれ、吸込みダクト41、42を通って前記ファン33により再び送出される。製氷室5内に供給された冷気も製氷に供された後、冷気吸込口41aから吸い込まれて冷気生成部30に戻される。
【0027】
なお、上述の主冷凍室7、製氷室5、小冷凍室6への冷気供給と、冷蔵室3及び野菜室4への冷気の供給とは、冷却状況に応じて制御部(図示せず)から冷却切替指令が出されたときに、図示しない冷気切替えダンパを動作させることにより、切り替えられるようになっている。この場合、冷蔵室3及び野菜室4への冷気の供給は、専用の蒸発器やファンを設けても良い。
上述した実施形態においては、下側冷凍容器用冷気吹出口37を、下側冷凍容器19内に冷気が吹出されるように設け、且つ冷気吸込口41a、42aを下側冷凍容器用冷気吹出口37のおける最下端部よりも上方に設けた。
【0028】
この実施形態によれば、下側冷凍容器用冷気吹出口37から吹出された冷気は、下側冷凍容器19内を冷却した後、当該下側冷凍容器用冷気吹出口37より上方の冷気吸込口41a、42aから吸い込まれて冷気生成部30に戻るから、下側冷凍容器用冷気吹出口37から吹出された冷気が、下側冷凍容器19と主冷凍室7との間を下に流れることがない。つまりに、図2に二点鎖線での矢印Xで示すような冷気の流れは発生しない。この結果、主冷凍室7内又は断熱キャビネット2内部に外気(外部空気)が侵入することがない。
【0029】
すなわち、仮に、上記矢印Xのような冷気の流れが発生すると、このため冷気の流れにより連結部R1やR2の庫内側が庫外に対して相対的に負圧となり、参考例として示す図5図6のように、これら連結部R1やR2の微小隙間から外気が矢印αで示すように断熱キャビネット2内や主冷凍室7内に侵入するおそれがあるが、この実施形態では上述した矢印Xで示す冷気の流れは発生しないから、上述の外気の侵入はない。従って、庫内や連結部R1〜R3に侵入外気による結露が発生することも回避できる。
【0030】
ここで、断熱壁体に真空断熱パネルを用いると、断熱壁体の薄形化を図り得るなどの利点があるが、真空断熱パネル自体は、パネル状(板状)であるため、屈曲した形状には形成し難い。そこで、真空断熱パネルを用いた断熱壁体により断熱キャビネット2を構成するには、複数の断熱壁体を連結する構成となってしまう。すると、連結部が断熱キャビネットの下部に存在する場合だと、上述した外気の侵入が懸念される。特に、この場合、連結部で真空断熱パネルは分割された形態となるから、真空断熱パネル相互間に隙間ができて外気の侵入がさらに懸念される。
【0031】
これに対して、この実施形態では、断熱壁体が真空断熱パネルを用いる構成であることで外気が侵入しやすい構成でありながらも、冷気の流れを、上側冷凍容器20外の主冷凍室7の下方へ行かないようにすることで外気の侵入を防止できる。
又、本実施形態によれば、下側冷凍容器19を、上面が開口する以外は無孔状をなす構成としたから、下側冷凍容器用冷気吹出口37からこの下側冷凍容器19に吹出された冷気を、当該下側冷凍容器19内を通した後、上面開口からそのまま冷気吸込口41a、42aに向かわせることができて、主冷凍室7下方への冷気の流れの形成を効果的に防止できる。
【0032】
又、この実施形態では、下側冷凍容器19とは別の貯蔵容器として上側冷凍容器20を設け、この上側貯蔵容器20と下側貯蔵容器19との間に隙間Gを持たせたから、下側冷凍容器19の上側に上側冷凍容器20が存在しても、下側冷凍容器19内に供給された冷気をこの隙間Gを通して冷気吸込口41a、42a方向へ向かわせることができる。
【0033】
なお、上記隙間Gを設ける構成に代えて、又はこの構成に加えて、上側冷凍容器20の底部に通気部を形成する構成としても良い。
又、この実施形態によれば、冷気生成部30が、蒸発器32に対してファン33を上方に配置した構成であり、且つ冷気吸込口41a、42aから吸い込んだ冷気をファン33からこれの下方の蒸発器32を通し、さらに一旦前に出した後、供給ダクト部36によって上方へ流して冷気吹出口37、38、39から吹出す構成としたから、冷気生成部30の上下寸法を小さくできる。
【0034】
すなわち、冷気生成部30の蒸発器32の下方部に下方へ指向する供給ダクト部を設け、この供給ダクト部に冷気吸込口を設けた場合、当該冷気吸込口の位置を下側冷凍容器19の上部位置に設定すると、冷気生成部の上下寸法が極めて長くなって冷蔵庫全体が高さ方向に大型化してしまう。これに対して、この実施形態では上述した構成としたから、冷気生成部30の上下寸法を小さくでき、冷蔵庫全体が高さ方向に大型化することを回避できる。
【0035】
又、この実施形態によれば、冷気が吹出される下側冷凍容器19の上部の開口から主冷凍室7の下部への冷気が流通することを阻止する阻止部44を設けたから、結局、下側冷凍容器19内に供給された冷気は上方の冷気吸込口41a、42a方向へ向かうしかなく、前述した矢印X方向の冷気の流れを防止でき、外気侵入防止に一層寄与できる。
なお、断熱キャビネットの断熱壁体としては、発泡ウレタンなどの断熱材を用いる構成としても良い。この場合外板や内板が夫々連結される構成となって、連結部ができる。本実施形態では、この連結部が断熱キャビネットの下部にある場合に外気の侵入を防止できる。
【0036】
又、断熱キャビネット底部の屈曲部は機械室を形成するために有効であるが、屈曲部は必須ではなく、単に連結部が断熱キャビネット底部に存在する構成としても良い。
以上説明した実施形態の冷蔵庫によれば、断熱壁体からほぼ箱状に構成され、下部に前記断熱壁体における連結部が存在し内部に貯蔵室を形成した断熱キャビネットと、底部が前記貯蔵室の底部に接近する形態で前記貯蔵室に設けられ上面が開口する貯蔵容器と、蒸発器及びファンを備えて冷気を生成し、当該冷気を冷気吹出口から吹出し及び冷気吸込口から吸い込む冷気生成部とを備え、前記冷気吹出口を、前記貯蔵容器内に前記冷気が吹出されるように設け、且つ前記冷気吸込口を前記冷気吹出口のおける最下端部よりも上方に設けた。これによれば、断熱キャビネットの下部に断熱壁体の連結部が存在する冷蔵庫において当該連結部からの外部空気の侵入を抑えることが期待できる。
【0037】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は実施形態による冷蔵庫、2は断熱キャビネット、7は主冷凍室(貯蔵室)、19は下側冷凍容器(貯蔵容器)、20は上側冷凍容器(別の貯蔵容器)、30は冷気生成部、32は蒸発器、33はファン、37は小冷凍室用冷気吹出口(冷気吹出口)、38は上側冷凍容器用冷気吹出口(冷気吹出口)、41a、42aは吸込口、44は阻止部、R1〜R3は連結部、Kは屈曲部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6