特許第6125393号(P6125393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6125393端末向け情報配信装置、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125393
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】端末向け情報配信装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20170424BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20170424BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20170424BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G06F17/30 340A
   G06F17/30 110G
   G06F17/30 310Z
   H04W4/06 170
   G06F13/00 510G
   G06F13/00 540P
   H04M11/00 302
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-202777(P2013-202777)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-69392(P2015-69392A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】黒川 茂莉
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 孝文
(72)【発明者】
【氏名】村松 茂樹
【審査官】 樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−098991(JP,A)
【文献】 再公表特許第2010/084610(JP,A1)
【文献】 黒川 茂莉,他3名,携帯電話通信時に得られる疎な位置情報履歴を用いた有意位置検出,電子情報通信学会論文誌,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2012年 4月 1日,第J95-D巻,第4号,p.722-733
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06F 13/00
H04M 11/00
H04W 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に端末向け情報を配信する装置であって、
携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した位置情報履歴蓄積手段と、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶するエリア内基地局管理手段と、
当該基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する端末向け情報管理手段と、
当該通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる端末向け情報通信手段と、
配信された当該端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する選択率算出手段と、
算出された選択率の高さに基づいて、当該端末向け情報を当該携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、当該携帯端末毎、当該基地局毎又は当該基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する配信管理手段と
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
当該基準エリア内に位置する情報媒体毎に、当該基準エリアを対応付けて記憶する情報媒体管理手段と、
当該情報媒体に表示される媒体情報毎に、当該情報媒体を対応付けて記憶する媒体情報管理手段とを更に有し、
前記端末向け情報管理手段は、当該基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報毎に、当該端末向け情報を対応付けて記憶し、
前記端末向け情報通信手段は、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報に対応付けられた端末向け情報を、当該携帯端末宛てに配信する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記媒体情報管理手段は、当該情報媒体に表示される媒体情報毎に、当該情報媒体と、表示に係る日時刻とを対応付けて記憶し、
前記端末向け情報通信手段は、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報に対応付けられた端末向け情報を、当該媒体情報に対応付けられた表示に係る日時刻を含む所定の表示時間区間と重畳する接続時間区間を有する携帯端末宛てに配信する
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
当該媒体情報毎に、該媒体情報に対応付けられた表示に係る日時刻を含む所定の表示時間区間と重畳する接続時間区間を有する携帯端末を対応付けたユーザ一覧を作成するユーザ一覧作成手段を更に有し、
前記選択率算出手段は、当該ユーザ一覧に記録されている携帯端末群及び当該ユーザ一覧に記録されていない携帯端末群の各々における選択率を算出し、
前記配信管理手段は、算出された当該選択率に基づいて、当該媒体情報に係る当該携帯端末向け情報を配信することによるユーザによる選択効果を評価する
することを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記ユーザ一覧作成手段は、当該ユーザ一覧に含まれる携帯端末数を所定の端末数上限値以下に制限し、または、当該媒体情報に係る基地局との接続回数が所定の接続回数下限値以上の携帯端末のみを当該ユーザ一覧に含め、または、当該基地局との接続時間区間が所定の時間区間下限値以上の携帯端末のみを当該ユーザ一覧に含めることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記通信履歴に基づいて、当該基準エリア毎に、当該基準エリアに対応付けられた少なくとも1つの基地局との通信に係る日時刻に基づいて、当該携帯端末の当該基準エリアに係る接続時間区間を算出する接続時間区間算出手段を更に有することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記情報媒体管理手段は、当該情報媒体の位置を中心とした所定の半径を有する円領域を、又は該円領域とボロノイ分割によって決定された当該情報媒体の勢力圏との重畳領域を、当該情報媒体に対応付けられる基準エリアに設定することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記情報媒体は電子看板であって該電子看板はキーを表示し、該電子看板に対応付けられた媒体情報に対応付けられた配信された端末向け情報は、当該キーを入力することによって有効化し、有効化されて初めて選択可能となることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記選択率算出手段は、評価対象の基準エリアに対応付けられた基地局毎に選択率を算出し、
前記配信管理手段は、算出された選択率が所定閾値以上の基地局、又は算出された選択率における上位所定数の基地局と接続した携帯端末にのみ当該端末向け情報を配信することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
広域無線通信網に接続された請求項1から9のいずれか1項に記載の装置である通信設備装置であって、
基地局識別子及び基地局位置情報を対応付けて記憶する基地局位置情報管理手段と、
携帯端末を配下に接続させる基地局から、携帯端末毎に通信に係る日時刻と当該基地局の基地局識別子とを対応付けた通信記録を収集する通信履歴収集手段とを更に有し、
前記位置情報履歴蓄積手段は、当該通信記録について、携帯端末毎に基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付けて当該通信履歴を生成する
ことを特徴とする通信設備装置。
【請求項11】
装置に搭載されたコンピュータを、携帯端末に端末向け情報を配信するように機能させるプログラムであって、
携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した位置情報履歴蓄積手段と、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶するエリア内基地局管理手段と、
当該基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する端末向け情報管理手段と、
当該通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる端末向け情報通信手段と、
配信された当該端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する選択率算出手段と、
算出された選択率の高さに基づいて、当該端末向け情報を当該携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、当該携帯端末毎、当該基地局毎又は当該基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する配信管理手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
装置を用いて、携帯端末に端末向け情報を配信する方法であって、
前記装置は、携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段を有し、前記方法は、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶する第1のステップと、
当該基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する第2のステップと、
当該通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる第3のステップと、
配信された当該端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する第4のステップと、
算出された選択率の高さに基づいて、当該端末向け情報を当該携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、当該携帯端末毎、当該基地局毎又は当該基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する第5のステップと
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に向けてオンライン広告等の情報を配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される携帯端末の多くは種々多様な機能を備え、この機能を作動させて得た結果に応じたサービス情報を受信することができる。例えば、特許文献1には、GPS(Global Positioning System)によって取得された携帯端末の行動履歴から算出した行動クラスタ情報と、指定日時と、同じくGPSで取得された現在位置情報とを用いて情報提供する最小エリアを算出する技術が開示されている。ここで、算出された最小エリアに対応する情報が携帯端末に送信される。
【0003】
また、特許文献2には、透過型HMD(Head Mounted Display)といった携帯端末に搭載されたカメラを作動させ、カメラを向けた先にある対象物の撮影画像から対象物を認識し、対象物に関連する情報を取得する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、携帯端末に搭載されたICタグリーダによるICタグ情報の読み込みをトリガとして、広告等の情報を取得する携帯端末を含む広告媒体管理システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、ユーザの行動に伴う履歴情報を分類し、分類された情報に関連した情報を配信する技術が開示されている。また、特許文献5には、ユーザから閲覧のために送信された検索クエリ等に基づいてユーザを分類し、分類カテゴリと類似する広告を配信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−49295号公報
【特許文献2】特開2010−205030号公報
【特許文献3】特開2012−145986号公報
【特許文献4】特開2010−72727号公報
【特許文献5】特開2010−176675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたような従来技術では、携帯端末が情報を取得するために、位置情報の取得、カメラの起動及び対象への方向付け、タグの読み込みといった端末側でのユーザの操作・動作が必要となる。また、それ故に、システム側で多数の携帯端末を同時に対象とすることが困難となる。さらに、これらの操作の受け付けや対象物の認識等、携帯端末において相当に計算負荷の高い処理を実行しなければならない。
【0007】
また、上述した特許文献4に記載の従来技術では、履歴取得のために、ウェブ閲覧情報や機械操作情報や位置情報の取得が必要になる。実空間における位置情報の履歴の類似度に基づき情報を分類し、分類された情報に関連した情報を配信することは可能であるが、ユーザの状況に関連した情報、例えばユーザを実空間で視認した事物と関連付けし関連した広告を配信することは困難となる。さらに、上述した特許文献5に記載の従来技術でも、情報取得のために、ユーザによる検索・閲覧に係る操作が必要となる。ここで、特許文献5の技術では、ウェブ上で閲覧したコンテンツに関連した広告情報を配信することはできるが、ユーザの状況に関連した情報、例えば実空間で視認した事物に関連した広告を配信することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザの操作・動作や携帯端末の高い計算負荷に頼ることなく、携帯端末に対して携帯端末のユーザの状況に関連した情報を配信することができる装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、携帯端末に端末向け情報を配信する装置であって、
携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した位置情報履歴蓄積手段と、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶するエリア内基地局管理手段と、
基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する端末向け情報管理手段と、
通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる端末向け情報通信手段と、
配信された端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する選択率算出手段と、
算出された選択率の高さに基づいて、端末向け情報を携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、携帯端末毎、基地局毎又は基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する配信管理手段と
を有する装置が提供される。
【0010】
この本発明による装置の一実施形態によれば、本装置は、
基準エリア内に位置する情報媒体毎に、当該基準エリアを対応付けて記憶する情報媒体管理手段と、
情報媒体に表示される媒体情報毎に、当該情報媒体を対応付けて記憶する媒体情報管理手段とを更に有し、
端末向け情報管理手段は、基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報毎に、端末向け情報を対応付けて記憶し、
端末向け情報通信手段は、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報に対応付けられた端末向け情報を、携帯端末宛てに配信することも好ましい。
【0011】
また、この情報媒体を利用する実施形態において、媒体情報管理手段は、情報媒体に表示される媒体情報毎に、当該情報媒体と、表示に係る日時刻とを対応付けて記憶し、
端末向け情報通信手段は、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応する情報媒体に対応する媒体情報に対応付けられた端末向け情報を、媒体情報に対応付けられた表示に係る日時刻を含む所定の表示時間区間と重畳する接続時間区間を有する携帯端末宛てに配信することも好ましい。
【0012】
さらに、この情報媒体を利用する実施形態において、本装置は、媒体情報毎に、当該媒体情報に対応付けられた表示に係る日時刻を含む所定の表示時間区間と重畳する接続時間区間を有する携帯端末を対応付けたユーザ一覧を作成するユーザ一覧作成手段を更に有し、
選択率算出手段は、ユーザ一覧に記録されている携帯端末群及びユーザ一覧に記録されていない携帯端末群の各々における選択率を算出し、
配信管理手段は、算出された選択率に基づいて、媒体情報に係る携帯端末向け情報を配信することによるユーザによる選択効果を評価することも好ましい。
【0013】
また、このユーザ一覧を利用する実施形態において、ユーザ一覧作成手段は、ユーザ一覧に含まれる携帯端末数を所定の端末数上限値以下に制限し、または、媒体情報に係る基地局との接続回数が所定の接続回数下限値以上の携帯端末のみをユーザ一覧に含め、または、基地局との接続時間区間が所定の時間区間下限値以上の携帯端末のみを当ーザ一覧に含めることも好ましい。
【0014】
さらに、通信履歴に基づいて、基準エリア毎に、当該基準エリアに対応付けられた少なくとも1つの基地局との通信に係る日時刻に基づいて、携帯端末の当該基準エリアに係る接続時間区間を算出する接続時間区間算出手段を更に有することも好ましい。
【0015】
また、情報媒体を利用する実施形態において、情報媒体管理手段は、情報媒体の位置を中心とした所定の半径を有する円領域を、又はこの円領域とボロノイ分割によって決定された情報媒体の勢力圏との重畳領域を、情報媒体に対応付けられる基準エリアに設定することも好ましい。
【0016】
さらに、情報媒体は電子看板であってこの電子看板はキーを表示し、電子看板に対応付けられた媒体情報に対応付けられた配信された端末向け情報は、キーを入力することによって有効化し、有効化されて初めて選択可能となることも好ましい。
【0017】
また、本発明の一実施形態として、選択率算出手段は、評価対象の基準エリアに対応付けられた基地局毎に選択率を算出し、
配信管理手段は、算出された選択率が所定閾値以上の基地局、又は算出された選択率における上位所定数の基地局と接続した携帯端末にのみ端末向け情報を配信することも好ましい。
【0018】
さらに、広域無線通信網に接続された以上に述べた装置である通信設備装置であって、
基地局識別子及び基地局位置情報を対応付けて記憶する基地局位置情報管理手段と、
携帯端末を配下に接続させる基地局から、携帯端末毎に通信に係る日時刻と基地局の基地局識別子とを対応付けた通信記録を収集する通信履歴収集手段とを更に有し、
位置情報履歴蓄積手段は、通信記録について、携帯端末毎に基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付けて通信履歴を生成することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、また、装置に搭載されたコンピュータを、携帯端末に端末向け情報を配信するように機能させるプログラムであって、
携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した位置情報履歴蓄積手段と、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶するエリア内基地局管理手段と、
基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する端末向け情報管理手段と、
通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる端末向け情報通信手段と、
配信された端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する選択率算出手段と、
算出された選択率の高さに基づいて、端末向け情報を携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、携帯端末毎、基地局毎又は基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する配信管理手段と
してコンピュータを機能させるプログラムが提供される。
【0020】
本発明によれば、さらに、装置を用いて携帯端末に端末向け情報を配信する方法であって、
この装置は、携帯端末毎に、通信に係る日時刻及び基地局位置情報を対応付けた複数の通信記録を含む通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段を有し、本方法は、
配信判断の基準となる所定の基準エリア毎に、当該基準エリア内に位置する少なくとも1つの基地局を対応付けて記憶する第1のステップと、
基準エリア毎に、携帯端末での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け情報を対応付けて記憶する第2のステップと、
通信履歴に基づいて、携帯端末毎に、当該携帯端末と接続した基地局の属する基準エリアに対応付けられた端末向け情報を当該携帯端末宛てに配信し、配信された端末向け情報の選択に係る情報を当該携帯端末から受信することができる第3のステップと、
配信された端末向け情報が選択されたか否かを判定し、携帯端末毎、基地局毎及び基準エリア毎のうち少なくとも基地局毎の選択された度合いである選択率を算出する第4のステップと、
算出された選択率の高さに基づいて、端末向け情報を携帯端末に配信する際に使用する1つ又は複数の基地局であって、当該端末向け情報を配信すべき携帯端末と接続している基地局を決定し、さらに、携帯端末毎、基地局毎又は基準エリア毎に、当該端末向け情報を配信する際の優先度を、又は当該端末向け情報を配信するか否かを決定する第5のステップと
を有する方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の装置、プログラム及び方法によれば、通信事業者設備によって取得可能な基地局位置情報を用いて、ユーザの操作・動作や携帯端末の高い計算負荷に頼ることなく、携帯端末に対して携帯端末のユーザの状況に関連した情報を配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実空間での携帯端末と基地局及び情報媒体との位置関係を示す概略図である。
図2】本発明による端末向け広告配信用の装置の機能構成図である。
図3】基地局位置情報の表である。
図4】通信履歴の表である。
図5】通信記録に基地局位置情報を対応付けた通信履歴の表である。
図6】看板広告管理部によって管理される看板広告情報を示す表である。
図7】電子看板管理部によって管理される電子看板情報を示す表である。
図8】エリア内基地局管理部によって管理される「基準エリア」毎の基地局の配置を示す概略図である。
図9】端末向け広告管理部によって管理される端末向け広告を示す表である。
図10】接続時間区間算出部によって作成された、携帯端末00001における通信に係る日時刻と対応する電子看板とを対応付けた表である。
図11】接続時間区間算出部によって算出された電子看板毎(「基準エリア」毎)の「接続時間区間」を示す表である。
図12】ユーザ一覧作成部によって作成されたユーザ一覧を示す表である。
図13】配信管理部によって管理される携帯広告の配信先を示す表である。
図14】端末向け広告通信部で収集した、ユーザによるクリックの有無の履歴を示す表である。
図15】クリック率算出部によって算出された、ユーザ一覧に記録されている/されていない携帯端末群における看板広告毎のクリック率を示す表である。
図16】クリック率算出部によって算出された、基地局毎のクリック率を示す表である。
図17】クリック率に基づいて「基準エリア」を修正する態様を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、実空間での携帯端末と基地局及び情報媒体との位置関係を示す概略図である。
【0025】
図1によれば、携帯端末(例えば携帯電話機やスマートフォン)2を所持したユーザは、情報媒体としての電子看板4の近傍を通過しながら移動している。各電子看板4には、電子看板4の位置を含む「基準エリア」が設定されており、「基準エリア」内に1つ又は複数の基地局3が設置されている。携帯端末2は、これらの基地局3と通信接続可能となっている。
【0026】
設置された基地局3を統合する通信事業者設備は、携帯端末2毎に、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定でない基地局位置情報を常時収集することができる。ここで、「空間的粒度が粗く」とは、位置情報同士の地理的な距離が比較的長いことを意味する。また、「時間間隔が一定でない」とは、位置情報の取得時間間隔が通信タイミングに依存して比較的ばらついていることを意味する。
【0027】
広域無線通信網(携帯電話網)に接続された基地局3は、その配下に位置する携帯端末2と通信した際の日時刻(例えば通信を開始した日時刻)を通信履歴として取得する。通信履歴は、通話、メールの送受信や、Webページの閲覧の際に取得される。さらには、携帯端末2にインストールされたアプリケーションとサーバとの間の通信や、アプリケーション又はコンテンツのダウンロードやアップロード等の際にも取得される。
【0028】
携帯端末2を所持したユーザは、電子看板4の近傍を通過する。この際、ユーザは電子看板4に表示された看板広告を視認し得る状況にある。本発明によれば、上述した取得した通信履歴に基づいて、携帯端末2毎に、携帯端末2と接続した基地局3の属する「基準エリア」に対応付けられた端末向け情報を携帯端末2宛てに配信する。これにより、例えばGPSといったユーザの操作・動作や携帯端末の高い計算負荷を必要とする手段を用いずに、例えば多数の携帯端末2に対して携帯端末2のユーザの状況、即ち看板広告を視認し得る状況に関連した情報を配信可能となる。
【0029】
尚、本発明の情報媒体は、以上に述べた実施形態での電子看板に限定されるものではない。情報媒体は、実空間上でユーザに視認され得る視覚情報を表示し、且つその位置情報が電子的に管理されるものであればよく、例えば、通常の看板とすることもできる。さらに、情報媒体として、ユーザに聴覚で捉えられ得る音声情報を出力する装置を用いる実施形態も可能である。また、本発明の媒体情報及び端末向け情報も広告に限定されるものではなく、例えば各種通知、アラーム又はコンテンツ等とすることも可能である。
【0030】
図2は、本発明による端末向け広告配信用の装置の機能構成図である。
【0031】
図2に示した本発明の一実施形態としての装置1は、予め蓄積された通信履歴を用いて、携帯端末2を所持したユーザが電子看板4に表示された看板広告を視認した可能性が高い状況で、この看板広告に関連した情報を、このユーザの携帯端末2に配信することができる。例えば、携帯端末2を所持したユーザが徒歩で移動中に近隣でのイベント開催中の広告を見た際、イベント会場の近傍で会場の位置やイベントの詳細といったイベント関連情報を受信し、その内容を確認することができる。尚、装置1は、広域無線通信網(携帯電話網)に設置され、基地局3から通信履歴を適宜収集する通信設備装置であってもよい。
【0032】
図2によれば、端末向け広告配信用の装置1は、媒体情報管理部としての看板広告管理部121と、情報媒体管理部としての電子看板管理部122と、エリア内基地局管理部123と、端末向け情報管理部としての端末向け広告管理部124と、接続時間区間算出部125と、ユーザ一覧作成部126と、配信管理部131と、選択率算出部としてのクリック率算出部132と、端末向け情報通信部としての端末向け広告通信部133とを有する。
【0033】
上述した機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、図2によれは、各機能構成部を用いた処理の流れは、端末向け広告を配信する方法としても理解される。
【0034】
さらに、装置1は、広域無線通信網(携帯電話網)に設置された通信設備装置である場合、通信履歴を取得するために、広域通信網に接続する通信インタフェース部10と、基地局位置情報管理部111と、通信履歴収集部112と、位置情報履歴蓄積部113とを更に有する。ここで、通信インタフェース部10は、後述するように、配信した端末向け広告に対する広告クリック情報を受信するインタフェースとしても機能する。以下、装置1は通信設備装置として説明する。
【0035】
[基地局位置情報管理部111]
基地局位置情報管理部111(図2)は、基地局識別子と基地局位置情報とを対応付けて記憶する。
【0036】
図3は、基地局位置情報の表である。基地局識別子毎に、緯度・経度の基地局位置情報が対応付けられている。図3によれば、基地局0001は、緯度が35.825度であって経度が139.510度の位置に設置されていることが理解される。また、基地局0003は、緯度35.825及び経度139.520の位置に設置されていることが理解される。尚、このような基地局位置情報は、基地局位置情報管理部111内に予め蓄積したものであってもよいし、通信インタフェース部10を介して各基地局3から適宜取得するものであってもよい。
【0037】
[通信履歴収集部112]
通信履歴収集部112(図2)は、基地局3から、当該基地局3の配下にある携帯端末2毎に日時刻及び基地局識別子といった通信記録(通信履歴)を収集する。
【0038】
図4は、通信履歴の表である。通信履歴は、基地局3が携帯端末2からの通信を受け付けた際の一連の通信記録(ログ)である。各通信記録では、携帯端末2の「端末識別子」(アドレス、電話番号、識別番号等)毎に、「日時刻」及び「基地局識別子」が対応付けられている。
通信記録(端末識別子、日時刻、基地局識別子)
図4の通信履歴によれば、携帯端末00001は、2010年6月15日17:54:50に基地局0003と通信している。また、携帯端末00001は、2010年6月15日17:57:00には基地局0001と通信している。
【0039】
[位置情報履歴生成部113]
位置情報履歴生成部113(図2)は、基地局位置情報管理部111を用いて、通信記録(ログ)毎に、基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付けた通信履歴を生成し蓄積する。
【0040】
図5は、通信記録に基地局位置情報を対応付けた通信履歴の表である。図5の表は、図4の表の基地局識別子の部分を、図3の基地局の緯度・経度情報で置き換えたものである。図5の通信履歴によれば、携帯端末00001は、2010年6月15日17:54:50に、緯度35.825及び経度139.520の基地局と通信したことが理解される。また、携帯端末00001は、2010年6月15日17:57:00に、緯度35.825及び経度139.510の基地局と通信したことが理解される。
【0041】
[看板広告管理部121]
看板広告管理部121(図2)は、電子看板(情報媒体)4に表示される看板広告(媒体情報)毎に、電子看板4を対応付けて記憶する。さらに、電子看板4とともに、表示に係る日時刻をも対応付けて記憶してもよい。
【0042】
図6は、看板広告管理部121によって管理される看板広告情報を示す表である。図6の表によれば、看板広告2には、電子看板001と「表示時間区間」(2010年6月15日18:30〜19:30)とが対応付けられ、さらに、電子看板002と「表示時間区間」(2010年6月15日17:30〜18:30)とが対応付けられている。
【0043】
[電子看板管理部122]
電子看板管理部122(図2)は、「基準エリア」内に位置する電子看板4毎に、「基準エリア」を対応付けて記憶する。ここで、電子看板管理部122は、電子看板4の位置を中心とした所定の基準半径Rを有する円領域を、又はこの円領域とボロノイ分割によって決定された電子看板4の勢力圏との重畳領域を、電子看板4に対応付けられる「基準エリア」に設定することができる。
【0044】
図7は、電子看板管理部122によって管理される電子看板情報を示す表である。図7によれば、電子看板001には、緯度35.824及び経度139.514の基地局が対応付けられており、例えば、基準半径Rを2kmとしてこの基地局の位置を中心とした半径2kmの円領域が「基準エリア」として対応付けられていることに相当する。
【0045】
[エリア内基地局管理部123]
エリア内基地局管理部123(図2)は、配信判断の基準となる「基準エリア」毎に、「基準エリア」内に位置する少なくとも1つの基地局3を対応付けて記憶する。ここで、エリア内基地局管理部123は、基地局3の位置情報を基地局位置情報管理部111から入力し、「基準エリア」の情報を電子看板管理部122から入力する。
【0046】
図8は、エリア内基地局管理部123によって管理される「基準エリア」毎の基地局の配置を示す概略図である。図8によれば、電子看板001の位置を中心とした基準半径R(=2km)の円領域を「基準エリア」とすると、この電子看板001の「基準エリア」には、その中に位置する基地局0001、基地局0002及び基地局0003が対応付けられる。また、電子看板002の「基準エリア」には、その中に位置する基地局0007、基地局0008及び基地局0010が対応付けられる。
【0047】
[端末向け広告管理部124]
端末向け広告管理部124(図2)は、「基準エリア」毎に、携帯端末2での受信後にユーザによって選択可能となる端末向け広告(端末向け情報)を対応付けて記憶する。さらに、端末向け広告管理部124は、「基準エリア」に対応する電子看板4に対応する看板広告毎に、端末向け広告を対応付けて記憶することも好ましい。
【0048】
ここで、端末向け広告は看板広告と関連したものであることが好ましい。この場合の関連したものとは、例えば広告主が共通している、宣伝される製品名が共通している、互いに同時に使用される、又は一方から他方が強く連想されるものである等とすることができる。また、後に詳述するように、電子看板4がキー(例えば暗証番号又はQRコード(登録商標))を表示し、電子看板4に対応付けられた看板広告に対応する端末向け広告は、このキーを入力することによって有効化し、有効化されて初めて選択可能となることも好ましい。
【0049】
図9は、端末向け広告管理部124によって管理される端末向け広告を示す表である。図9によれば、看板広告001〜003に、端末向け広告としての携帯広告001〜003がそれぞれ対応付けられている。ここで、図9の例では、看板広告と携帯広告とは1対1の対応付けとなっているが、これに限定されるものではなく、1対N、M対1、又はM対N(N,Mは2以上の自然数)の対応付けとなっていてもよい。
【0050】
[接続時間区間算出部125]
接続時間区間算出部125(図2)は、位置情報履歴蓄積部113から入力した通信履歴(図5)と、エリア内基地局管理部123から入力した「基準エリア」毎の基地局情報とに基づいて、「基準エリア」毎に、「基準エリア」に対応付けられた1つ又は複数の基地局3との通信に係る日時刻から、携帯端末2のこの「基準エリア」に係る「接続時間区間」を算出する。
【0051】
図10は、接続時間区間算出部125によって生成された、携帯端末00001における通信に係る日時刻と対応する電子看板4とを対応付けた表である。また、図11は、接続時間区間算出部125によって算出された電子看板毎(「基準エリア」毎)の「接続時間区間」を示す表である。
【0052】
図10によれば、通信に係る日時刻(通信を開始した日時刻)の経過とともに、携帯端末00001は、電子看板001の近傍(電子看板001の「基準エリア」内又は周辺)から、電子看板002の近傍(電子看板002の「基準エリア」内又は周辺)に移動していることが理解される。
【0053】
次いで、図11によれば、この携帯端末00001が、電子看板001(の「基準エリア」)に係る基地局と2010年6月15日17:54:50〜18:20:50の間、通信接続していたことが理解される。また、電子看板002(の「基準エリア」)に係る基地局と2010年6月15日18:37:00〜19:16:30の間、通信接続していたことが理解される。これら通信接続していた時間が、電子看板(「基準エリア」)に係る「接続時間区間」として算出される。この「接続時間区間」は、図10における対応する電子看板が連続して同一であるところの日時刻がなす時間区間の集合となっている。従って、この「接続時間区間」は、携帯端末が電子看板の近傍(電子看板の「基準エリア」内又は周辺)に滞在していた滞在時間区間と考えることもできる。
【0054】
[ユーザ一覧作成部126]
ユーザ一覧作成部126(図2)は、看板広告毎に、看板広告に対応付けられた表示に係る日時刻を含む(図6に示す)「表示時間区間」と重畳する「接続時間区間」を有する携帯端末2を対応付けたユーザ一覧を作成する。ここで、ユーザ一覧作成部126は、ユーザ一覧に複数のユーザが含まれる場合、
(a)ユーザ一覧に含まれる携帯端末数を所定の端末数上限値以下に制限し、または、
(b)看板広告に係る基地局3との接続回数が所定の接続回数下限値以上の携帯端末2のみをユーザ一覧に含め、または、
(c)基地局3との「接続時間区間」が所定の時間区間下限値以上の携帯端末2のみをユーザ一覧に含める
ことも好ましい。即ち、端末数の上限値または接続回数の下限値を設け、接続回数が多い携帯端末2を優先的にユーザ一覧に追加してもよく、接続時間(滞在時間)の下限値を設け、接続時間が長い携帯端末を優先的にユーザ一覧に追加してもよい。
【0055】
図12は、ユーザ一覧作成部126によって作成されたユーザ一覧を示す表である。
【0056】
図12に示したユーザ一覧によれば、看板広告001及び看板広告003には携帯端末00001が対応付けられ、看板広告002には対応付けられる携帯端末の存在しないことが理解される。これは、看板広告001の「表示時間区間」には、通信接続した携帯端末00001が看板広告001に係る「基準エリア」内又は周辺に存在し、一方、看板広告002の「表示時間区間」には、看板広告002に係る「基準エリア」内又は周辺において通信接続した携帯端末が存在しなかったことを意味する。
【0057】
[配信管理部131]
配信管理部131(図2)は、ユーザ一覧作成部126から入力したユーザ一覧に基づき、端末向け広告管理部124によって管理される携帯広告(図9)を参照して、携帯広告の配信先を決定する。
【0058】
図13は、配信管理部131によって管理される携帯広告の配信先を示す表である。図13によれば、携帯広告001の配信先は、看板広告001に対応付けられた端末向け広告が携帯広告001である(図9)ことから、ユーザ一覧に基づいて携帯端末00001となっている。また、携帯広告003の配信先は、看板広告003に対応付けられた端末向け広告が携帯広告003である(図9)ことから、ユーザ一覧に基づいて携帯端末00001となっている。
【0059】
[端末向け広告通信部133]
端末向け広告通信部133(図2)は、広告配信部と広告クリック履歴収集部とを有する。このうち広告配信部は、通信履歴に基づいて、携帯端末2毎に、携帯端末2と接続した基地局3の属する「基準エリア」(に対応する電子看板に対応する看板広告)に対応付けられた携帯広告を(この携帯広告に対応付けられた「表示時間区間」と重畳する「接続時間区間」を有する)携帯端末2宛てに配信する。端末向け広告通信部133は、本実施形態では具体的に、配信管理部131によって管理される携帯広告の配信先(図13)に携帯広告を配信する。
【0060】
このように、以上に述べた実施形態によれば、携帯端末2の測位機能に頼ることなく、「基準エリア」に属する基地局3の基地局位置情報を利用して、携帯端末2のユーザにおける看板広告を視認し得る状況に関連した広告を配信可能となる。
【0061】
ここで、電子看板4が看板表示部にキーを表示し、この電子看板4(看板広告)に対応付けられた端末向け広告(携帯広告)は、このキーを入力することによって有効化し、有効化されて初めて選択可能となることも好ましい。ここで、キーは、例えば暗証番号又はQRコード(登録商標)とすることができる。また、有効化とは、例えばクーポンを取得可能となることを指す。さらに、端末向け広告は、このキーが所定の電子看板に表示されることを示す内容を含むことも好ましい。これにより、ユーザが電子看板4の看板広告を視認しキーを入手した上で、配信された端末向け広告を選択(例えばクリック又はタップ)したと推認することができ、看板広告と関連した端末向け広告配信の有効性をより確実に評価することができる。
【0062】
また、端末向け広告通信部133の広告クリック履歴収集部は、配信された携帯広告の選択に係る情報(例えばクリック又はタップの有無)を携帯端末2から受信し、配信された携帯広告に対してユーザが選択(例えばクリック又はタップ)したか否かに関する履歴を収集する。
【0063】
図14は、端末向け広告通信部133で収集した、ユーザによるクリックの有無の履歴を示す表である。同表では、携帯端末00001及び00002の各々において配信された携帯広告に対応する看板広告毎に、当該携帯広告におけるクリックの有無が示されている。
【0064】
[クリック率算出部132]
クリック率算出部132(図2)は、配信された携帯広告が選択(例えばクリック又はタップ)されたか否かを判定し、携帯端末2毎、基地局3毎又は「基準エリア」毎の選択された度合いである選択率(本実施形態ではクリック率)を算出する。また、クリック率算出部132は、ユーザ一覧(図12)に記録されている携帯端末群及びユーザ一覧に記録されていない携帯端末群の各々におけるクリック率を算出してもよい。また、評価対象の「基準エリア」に対応付けられた基地局毎にクリック率を算出することも好ましい。
【0065】
ここで、最初に、ユーザ一覧に記録されている/されていない携帯端末群におけるクリック率を算出した実施例を示す。この実施例では、クリック率算出の対象となるページは、携帯広告が有効化されて初めてアクセス可能となるページを指す。尚、携帯広告が有効化されてはじめてアクセス可能となるページとは、例えば、クーポンの表示されるページを指す。また、クリック率は(クリック回数/配信回数)として算出される。
【0066】
図15は、クリック率算出部132によって算出された、ユーザ一覧に記録されている/されていない携帯端末群における看板広告毎のクリック率を示す表である。
【0067】
図15では、ユーザ一覧(図12)に記録された端末を「内」と表記し、記録されていない端末を「外」と表記している。本実施例において「内」に該当するのは携帯端末00001である。従って、例えば看板広告1における「内」のクリック率は、図14のクリック有無の履歴を参照すると3回の配信のうち1回クリックしていることから、約0.333となる。また、本実施例において「外」に該当するのは携帯端末00002である。従って、例えば看板広告1における「外」のクリック率は、図14のクリック有無の履歴を参照すると2回の配信のうちいずれにおいてもクリックされていないことから、0.000となる。
【0068】
次いで、クリック率算出部132が基地局3毎にクリック率を算出した実施例を示す。図16は、クリック率算出部132によって算出された、基地局3毎のクリック率を示す表である。また、図17は、クリック率に基づいて「基準エリア」を修正する様子を説明する概略図である。
【0069】
図16によれば、電子看板001の「基準エリア」内に存在する基地局0001、基地局0002及び基地局0003の各々について、電子広告001(に対応する携帯広告)についてのクリック率が示されている。クリック率は、基地局0001及び基地局0002では配信回数3回のうちクリックが1回であるから0.333となる。また、携帯端末00002を所持したユーザは基地局0003に接続していたとすると、基地局0003への配信回数は、基地局0001への配信回数及び基地局0002への配信回数の合計(5回)となる。また、基地局0003に係るクリック回数は基地局0001及び基地局0002についての合計1回であるから、結局、基地局0003のクリック率は、0.200となる。
【0070】
[配信管理部131]
配信管理部131(図2)は、算出されたクリック率に基づいて、携帯端末2毎、基地局3毎又は「基準エリア」毎に、(a)携帯広告を配信する際の優先度を、又は(b)携帯広告を配信するか否かを決定する。ここで、算出されたクリック率が所定閾値以上の基地局3、又は算出されたクリック率における上位所定数の基地局3と接続した携帯端末2にのみ当該携帯広告を配信すると決定することもできる。
【0071】
配信管理部131は、また、算出されたクリック率に基づいて、看板広告に関連する携帯広告を配信することによるユーザによる選択効果を評価することも好ましい。ここで、ユーザ一覧に記録された携帯端末群及びそれ以外の携帯端末群に関するクリック率について統計的検定を行い、広告効果を評価してもよい。具体的には、クリック率の差の検定を行うことも好ましい。
【0072】
例えば、有意水準を0.05に設定し、図15に示したクリック率の表において看板広告001についてクリック率の差の検定を行うと、ユーザ一覧「内」とユーザ一覧「外」とでクリック率に閾値(0.05)以上の差が存在することから、有意差有りとの結果が得られる。具体的には、ユーザ一覧「内」の広告配信回数をn1、クリック回数をk1、クリック率をr1(=k1/n1)、ユーザ一覧「外」の広告配信回数をn2、クリック回数をk2、クリック率をr2(=k2/n2)とすると、検定統計量は次式で計算される。
【数1】
ここで、
【数2】
とする。検定統計量Z0が正規分布に従うと仮定してP値を求め、P値が有意水準以下である場合にユーザ一覧「内」とユーザ一覧「外」との間のクリック率の差に有意差があると判定する。従って、看板広告001については、看板広告001の近傍に位置した(看板広告001を視認した可能性の高い)携帯端末00001への配信に効果有りと判定される。
【0073】
配信管理部131は、さらに、電子看板4の「基準エリア」を、この「基準エリア」内で有意にクリック率の高い1つまたは複数の基地局3のみで構成されるエリアに修正する(絞り込む)ことも好ましい。ここで、具体的には、クリック率の差の検定を行ってもよい。例えば、有意水準を0.05に設定し、図16に示したクリック率の表において電子看板001で表示された看板広告001についてのクリック率の差の検定を行う。その結果、基地局0001と基地局0003との間、及び基地局0002と基地局0003との間で有意差有りとなる。従って、電子看板001の「基準エリア」を、図17に示すように、クリック率のより高い基地局0001及び基地局0002のみで構成されるエリアに修正する。この場合、例えば、元の「基準エリア」から基地局0003の設置位置を中心とした所定の半径の円領域を差し引いたエリアを修正後の「基準エリア」としてもよい。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本発明による装置、プログラム及び方法によれば、通信事業者設備によって取得可能な基地局位置情報を用いて、ユーザの操作・動作や携帯端末の高い計算負荷によることなく、携帯端末に対して携帯端末のユーザの状況に関連した情報を配信することができる。
【0075】
ここで、基地局位置情報では一般に、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定ではないが、このような基地局位置情報を使用しても、携帯端末2のユーザの状況(例えば特定の看板広告を視認し得る状況)を推定することができる。その結果、適切な端末向け情報(携帯広告)を配信するために必要なユーザに係る情報を通信事業者側のみで取得することができる。
【0076】
さらに、本発明によれば、配信した端末向け情報(携帯広告)の選択(クリック等)に関する情報を携帯端末2から取得し、選択率(クリック率)を算出する。この算出した選択率を利用することによって、より効果的な端末向け情報(携帯広告)を選定することができる。また、配信した携帯広告の広告効果を評価することも可能となる。特に、オフライン広告を見たタイミングでオンライン広告を配信した際のクリック率向上に貢献することができる。
【0077】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲内での種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例示であって、何ら制約を意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ制約される。
【符号の説明】
【0078】
1 通信設備装置(端末向け広告配信用の装置)
10 通信インタフェース部
111 基地局位置情報管理部
112 通信履歴収集部
113 位置情報履歴蓄積部
121 看板広告管理部(媒体情報管理部)
122 電子看板管理部(情報媒体管理部)
123 エリア内基地局管理部
124 端末向け広告管理部(端末向け情報管理部)
125 接続時間区間算出部
126 ユーザ一覧作成部
131 配信管理部
132 クリック率算出部(選択率算出部)
133 端末向け広告通信部(端末向け情報通信部)
2 携帯端末
3 基地局
4 電子看板(情報媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17