【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、新規な界面活性剤に関し、特に洗浄用に使用される、特に濃アルカリ性媒体中で安定な水性組成物中において低発泡性の非イオン活性界面活性剤を可溶性とするための、ハイドロトロープ剤(hydrotropic agent)としてのその使用に関する。
【0002】
ハイドロトロープ剤は、低溶解性を有するまたは不溶である化合物を、水中に、またはその化合物を含む組成物の水相中に可溶性とするために使用される化学物質である。「水中に、または水相中に低溶解性を有するまたは不溶である化合物」の表現は、所望の温度で所望の期間について、主としてまたは完全に水で構成される相中に添加されると、溶液または全体的に明澄な、透明な、等方性の、均質かつ安定な組成物を得ることを可能とすることのない化合物を示す。この溶解性の欠如は、とりわけ、問題の化合物の化学構造、および/または前記化合物を可溶性とすることが求められる水相中におけるアルカリ性作用物質および/または電解質および/または中性塩の存在のためである。
【0003】
水中において低溶解性を有するまたは不溶である化合物の中で、疎水性化合物、例えば、油、精油、芳香剤、顔料、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を挙げてもよい。
【0004】
ハイドロトロープ剤は、特に、化粧用組成物、医薬組成物、家庭もしくは工業的用途のため硬質な表面を洗浄する意図の洗浄組成物、または塩水を含有する油作業のために使用される組成物を製造するのに使用される。
【0005】
ハイドロトロープ剤の使用を要する化粧用組成物は、一般に、それにより製剤業者が、大量の中性塩および/または電解質の存在において、可溶性の油および/または精油および/または芳香剤および/または界面活性剤を製造することを望む組成物である。
【0006】
家庭用または工業的用途のため硬質な表面を洗浄する、例えば、脂肪で汚れたビンを洗浄する、床を洗う、または金属表面を清浄にする意図の洗浄組成物は、洗剤用界面活性剤を含み、かつ前記組成物の洗浄効果を増大させるように、高濃度のアルカリ性作用物質をも含む。これらの組成物は、処理しようとする汚れが存在する状態での洗浄作業中にかなりの泡の形成を生じてはならず、そしてアルカリ性媒体中で良好な濡れ性と、良好な洗浄能力をも示さなければならない。
【0007】
それらの両親媒性構造のため、家庭または工業的用途のため硬質な表面を洗浄する意図の洗浄組成物中に使用される洗剤用界面活性剤は、前記組成物に、硬質な表面に存在する汚れを除去し、その汚れを懸濁物として保持し、そのため次いですすぎ工程の間にそれを除去することができる能力をもたらす。これらの洗剤用界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性もしくは非イオン性のものとしてもよい。硬質な表面ともに改良された環境特性をも与えられた非イオン性界面活性剤が、特に使用される。これらの洗浄組成物は、アルカリ性作用物質により、かつ水軟化剤をも介して、例えば、金属イオン封鎖剤および/またはイオン交換剤および/または沈殿剤により持ち込まれる大量の電解質を含むので、貯蔵堆積物を呈しない安定な組成物を得るように、大量の洗剤用界面活性剤を溶解することは困難である。
【0008】
水中で、または水相中で低溶解性を有するまたは不溶である化合物の溶解性を向上させるために、ハイドロトロープ剤、例えば、有機溶媒、例えばエタノール、キシレンスルホン酸塩およびクメンスルホン酸塩などを使用することが当業者に知られている。エタノールは、効果的なハイドロトロープ剤であるが、爆発性の危険を招く欠点を有する。キシレンスルホン酸塩およびクメンスルホン酸塩は、大量の界面活性剤にはあまり有効ではなく、そして新たな環境規制基準に適合させるための生分解性も示さない。
【0009】
アルキルポリグリコシドも、脱泡性非イオン性界面活性剤を可溶性とする作用物質として記述される。
【0010】
国際公開WO96/33255A1は、消泡組成物であって、そのアルキル鎖が2−エチルヘキシルラジカルによって構成される、特定のアルキルポリグルコシドと、モノエトキシ化もしくはポリエトキシ化基およびモノプロポキシ化もしくはポリプロポキシ化基から選択される1つ以上の基を含むものから選択される脱泡性非イオン性界面活性剤とを含む消泡組成物を記述している。その中では、2−エチルヘキシル鎖を含むアルキルポリグルコシドが、ヘキシル鎖を含むアルキルポリグリコシドよりも、脱泡性非イオン性界面活性剤を可溶性とするのに有効であることが教示されている。
【0011】
国際公開WO99/21948A1は、高アルカリ濃度で清澄および安定である組成物であって、その発泡能力が制御され、大量のアルキレンオキシド系非イオン性界面活性剤およびハイドロトロープ剤としてヘキシルグリコシドを含有する組成物を開示している。これらの組成物は、良好な湿潤能力および硬質な表面向けの良好な洗剤特性によって特徴付けられる。その中で教示されることは、ヘキシルグリコシド、そしてより詳細にはn−ヘキシルポリグルコシドが、強アルカリ性媒体中で非イオン性界面活性剤を可溶性とすることが可能であること、および、非イオン性界面活性剤であって、その構造が、直鎖アルコールの含有量約80%の、炭素原子9〜11個を含む直鎖および分枝アルコールの混合物の、4モルのエチレンオキシドによるエトキシ化によってもたらされる、非イオン性界面活性剤について、10%〜40%の量の水酸化ナトリウムの存在において、n−ヘキシルグルコシドが、2−エチルヘキシルグルコシドよりも、そしてExxal 7グルコシドよりも高い可溶化能力によって特徴付けられることである。しかし、2−エチルヘキシルグルコシドも、またはn−ヘキシルグルコシドも、大量のアルカリ性作用物質、および水軟化剤により持ち込まれる大量の電解質の両方を可溶性にすることを可能にする特性を特徴とするものではない。
【0012】
したがって、本出願人は、新たなハイドロトロープ剤からなる新規な技術的溶液であって、そのハイドロトロープ剤が、より詳細には、非イオン性洗剤界面活性剤を含む、生態毒性がなく(nonecotoxic)、生分解性および不燃性である特性を有する組成物を製造することを可能にする技術的溶液の開発に努めており、その溶液は、水中において低溶解性を有する、または不溶である化合物を可溶性にすることを可能とし、そしてより詳細には、非イオン性界面活性剤を、高含有量のアルカリ性作用物質および/または電解質および/または中性塩の存在において、水性媒体中に可溶性にすることを可能とするものである。したがって、第1の態様によれば、本発明の主題は、式(I)の化合物:
nC
7H
15−O−(G)
p−H (I)
(式中、Gは、還元糖の残基を表し、そしてpは1.05以上かつ5以下の小数を表す)または前記式(I)の化合物の混合物である。
【0013】
前記において定義した式(I)の化合物の定義において、pは、残基Gの平均重合度を表す小数である。pが整数である場合、(G)
pは、G残基の階数pのポリマー残基である。pが小数である場合、式(I)は、
【数1】
【0014】
となるような、モル比a
1、a
2、a
3、...a
qの化合物の混合物
a
1nC
7H
15−O−(G)
1−H+a
2nC
7H
15−O−(G)
2−H+a
3nC
7H
15−O−(G)
3−H+...+a
qnC
7H
15−O−(G)
q−H
(qは、1〜5の整数を表す)を示す。
【0015】
用語「還元糖」は、式(I)において、それらの構造中に、アノマー炭素とアセタール基の酸素との間のグリコシド結合を有しない糖誘導体を示し、参考書:「Biochemistry」、Daniel Voet/Judith G.Voet、250頁、John Wyley & Sons、1990年においてそれらが定義される通りである。オリゴマー構造(G)
pは、これが光学異性、幾何異性、または位置異性であろうとなかろうと、任意の異性体形態にあるものとすることができる;それらは異性体の混合物を呈することもできる。
【0016】
上記で定義した式(I)において、nC
7H
15−O基は、アセタール官能基を形成するように、糖残基のアノマー炭素を介してGに結合される。
【0017】
本発明の特定の態様によれば、式(I)の化合物の定義において、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストランまたはタロースから選択される還元糖の残基を表す。
【0018】
本発明の特定の態様によれば、式(I)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロースおよびアラビノース残基から選択される還元糖の残基を表し、そしてpは、1.05以上かつ2.5以下の小数を表す。
【0019】
本発明のより一層特定の態様によれば、式(I)の化合物の定義において、Gは、グルコース、キシロースおよびアラビノース残基から選択される還元糖の残基を表し、そしてpは、1.05以上かつ2.0以下、そしてより一層詳細には1.25以上かつ2.0以下の小数を表す。
【0020】
第2の態様によれば、本発明の主題は、前記において定義した式(I)の化合物、または前記式(I)の化合物の混合物の製造方法であり、以下の連続した工程
− 式(III)の還元糖を、過剰モルの、式nC
7H
15−OHのn−ヘプタノールと反応させて、前記において定義した式(I)の化合物とn−ヘプタノールとの混合物を生成する工程A)と、
HO−(G)
p−H (III)
(式中、Gは、還元糖の残基を表す)
− 工程A)で得られた前記混合物からn−ヘプタノールを除去する工程B)と
を含む方法である。
【0021】
工程A)は、一般に、反応器内で、酸性触媒系の存在において2つの試薬間の化学量論的比率を調節することによって、そしてより詳細には、過剰モルのn−ヘプタノールを導入し、所定の温度および部分真空条件下で、例えば、70℃〜130℃の温度および300ミリバール(3×10
4Pa)〜20ミリバール(2×10
3Pa)の部分真空条件下で機械的に撹拌することによって行われる。用語「酸性触媒系」は、強酸、例えば硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、(パラ−トルエン)スルホン酸もしくは(トリフルオロメタン)スルホン酸など、またはイオン交換樹脂を示す。
【0022】
工程A)の終わりに得られた前記混合物からn−ヘプタノールを除去する工程B)は、一般に、当業者に知られている方法、例えば、蒸留、薄膜蒸留、分子蒸留または溶媒抽出により行われる。
【0023】
このような製造方法は、必要な場合または所望される場合、中和、濾過または変色(discoloration)操作によって、完了することができる。
【0024】
他の態様によれば、本発明の主題は、ハイドロトロープ界面活性剤としての、前記において定義した式(I)の化合物、または前記式(I)の化合物の混合物の使用である。
【0025】
表現「ハイドロトロープ界面活性剤」は、前記ハイドロトロープ界面活性剤と、ある組成物の水相中に可溶にしようとする化合物とを混合することによって、ある組成物の水相中に低い溶解性を有するまたは不溶である化合物を、可溶にすることを可能にする界面活性剤を表す。
【0026】
表現「水中に低い溶解性を有するまたは不溶である化合物」は、主としてまたは完全に水で構成される相に、アルカリ性作用物質および/または電解質および/または中性塩の存在において添加される場合、所望の温度で、明澄な、透明な、等方性の、均質かつ安定な溶液または組成物を得ることが可能とならない化合物を表す。水中で低溶解性を有するまたは不溶であるこれらの化合物の中で、例えば、油、精油、芳香剤、顔料、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を挙げてもよい。中性塩の中では、塩化アンモニウム、アルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムならびに硝酸ナトリウム、およびアルカリ土類金属塩、例えば、塩化カルシウムを挙げてもよい。
【0027】
本発明の主題であるハイドロトロープ界面活性剤として使用され、前記において定義された、式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物は、化粧品、皮膚化粧品(dermocosmetic)、皮膚医薬(dermopharmaceutical)もしくは医薬組成物、または工業的もしくは家庭用の洗剤組成物中に取り入れることができる。
【0028】
他の態様によれば、本発明の主題は、前記において定義した式(I)の化合物の使用であって、水性アルカリ性組成物中において、式(II)の、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤:
R−(O−CH(R’)−CH
2)
n−(O−CH
2−CH
2)
m−O−H (II)
(式中、Rは、炭素原子8〜14個を含む、直鎖または分枝の飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカルを表し、R’はメチルまたはエチルラジカルを表し、nは0以上かつ15以下の整数を表し、mは0以上かつ15以下の整数を表し、和n+mはゼロを超えると理解される)を可溶性とする作用物質としての使用である。
【0029】
表現「水性アルカリ性組成物」は、7を超えるpH値を有する任意の水性組成物を表している。
【0030】
表現「任意に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子8〜14個を含む直鎖または分枝の飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカル」は、式(II)中のRラジカルが、
− 式(1)のイソアルカノールに由来するラジカル
(CH
3)(CH
3)CH−(CH
2)
r−CH
2−OH (1)
(式中rは、4〜10の整数を表す)、例えば、イソオクチルラジカル、イソノニルラジカル、イソデシルラジカル、イソウンデシルラジカル、イソドデシルラジカル、イソトリデシルラジカルまたはイソテトラデシルラジカル、
− 2−エチルヘキシルラジカルまたは、式(2)のゲルベ(Guerbet)アルコールに由来する分枝アルキルラジカル
CH(C
sH
2s+1)(C
tH
2t+1)−CH
2−OH (2)
(式中tは4〜10の整数であり、sは2〜10の整数であり、和s+tは6以上かつ12以下である)、例えば、2−エチルデシルラジカル、2−ブチルオクチルラジカル、2−エチルドデシルラジカル、2−ブチルデシルラジカル、2−ヘキシルオクチルラジカル、2−ブチルデシルラジカルもしくは2−ヘキシルオクチルラジカル、またはゲルベアルコールの同族体に由来するラジカル、例えば2−プロピルヘプチルラジカル、
− 式(3)の分枝アルコールに由来するラジカル
CH
3−[CH(R”)]
z−CH
2−OH (3)
(式中R”は、水素原子またはメチルラジカルを表し、そしてzは、3以上かつ15以下の整数を表す)、
− 不飽和直鎖ラジカル、例えばウンデセニルラジカル、ドデセニルラジカルまたはテトラデセニルラジカルなど、例えば、10−ウンデセニル不飽和ラジカル、4−ドデセニル不飽和ラジカルまたは5−ドデセニル不飽和ラジカル、
− 炭素原子8〜14個を含む、直鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪族ラジカルであり、1つもしくは2つのヒドロキシル基、例えばヒドロキシオクチル、ヒドロキシデシルもしくはドロキシドデシルラジカルなどで置換されているラジカル、例えば8−ヒドロキシオクチル、10−ヒドロキシデシル、または12−ヒドロキシドデシルラジカル
と定義されることを示している。
【0031】
本発明の特定の態様によれば、その主題は、式(I)の化合物の使用であって、アルカリ性組成物中において、前記において定義した式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(式中、Rラジカルは、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−エチルヘキシル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、イソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシルまたは2−プロピルヘプチルラジカルから選択されるラジカルを表す)を可溶性とするための使用である。
【0032】
本発明のより特定の態様によれば、その主題は、式(I)の化合物の使用であって、アルカリ性組成物中において、前記において定義した式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(式中、nは0以上かつ6以下であり、より詳細には0以上かつ3以下であり、そしてより一層詳細には0以上かつ2以下である整数を表す)を可溶性とするための使用である。
【0033】
本発明のより特定の態様によれば、その主題は、式(I)の化合物の使用であって、アルカリ性組成物中において、前記において定義した式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(式中、mは、1以上かつ9以下であり、より詳細には2以上かつ4以下である整数を表す)を可溶性とするための使用である。
【0034】
式(II)の化合物(式中、R’はメチルまたはエチルラジカルを表し、そしてnは、1以上の整数を表す)は、必要な場合、工程a)のアルコキシル化を含む方法であり、アルコキシル化が、nモル当量のアルキレンオキシドまたはアルキレンカルボナートを、1モル当量の式(IV)のアルコール
R−OH (IV)
(式中、Rラジカルは、上記において定義した、任意に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子8〜14個を含む直鎖または分枝の、飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカルを表す)
と反応させて、式(V)のアルコキシル化アルコール
R−(O−CH(R’)−CH
2)
n−O−H (V)
(式中、R’はメチルまたはエチルラジカルを表す)
を得ることによる方法、および/または、必要な場合、工程b)のエトキシル化を含む方法であり、エトキシル化が、工程a)の終わりに得られる式(V)のアルコキシル化アルコール1モル当量を、mモル当量のエチレンオキシドまたはエチレンカルボナートと反応させることによる方法により製造される。
【0035】
上述の式(II)の化合物を製造する方法の工程a)において、アルキレンオキシドは、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから構成される群の要素から選択され、そしてアルキレンカーボネートは、プロピレンカーボネートおよびブチレンカーボネートから構成される群の要素から選択される。
【0036】
nが0に等しい式(II)の化合物は、工程a’)のエトキシ化を実行する方法であり、mモル当量のエチレンオキシドまたはエチレンカーボネートを、上記において定義した式(IV)のアルコールと反応させることによる方法によって、製造される。
【0037】
上述の方法において、nおよびmは、式(II)の化合物の定義において上記において記述した整数を表す。
【0038】
上記において定義した、工程a)のアルコキシ化反応、および工程a’)ならびにb)のエトキシ化反応は、一般に反応器内で、塩基性触媒、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドもしくはカリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブチラートもしくはカリウムtert−ブチラート、ルイス塩基、例えばトリフェニルホスフィン、または配位触媒、例えばコバルト−および/もしくは亜鉛系有機金属錯体などの存在において、あるいは、酸性触媒、例えばルイス酸、例えば三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウムまたは四塩化スズなどの存在において実施される。
【0039】
このような式(II)の化合物の製造方法は、必要な場合もしくは所望される場合、中和、脱塩、濾過または退色操作により、完了することができる。
【0040】
本発明の他の特定の態様により、その主題は、上記において定義した式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を、水性アルカリ性組成物中において可溶性とするための、式(I)の化合物の使用であり、この際、式(I)の化合物と式(II)の化合物との間の重量比は9/1以下かつ1/4以上である。
【0041】
本発明の他のより特定の態様により、その主題は、上記において定義した式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を、水性アルカリ性組成物中において可溶性とするための、式(I)の化合物の使用であり、この際、式(I)の化合物と式(II)の化合物との間の重量比は4/1以下かつ1/4以上であり、より詳細には3/1以下かつ1/3以上であり、そしてより一層詳細には2/1以下かつ1/2以上である。
【0042】
他の態様により、本発明の主題は、組成物(C
1)であって、その重量100%に対して、
a)重量で0.5%〜20%の、より詳細には重量で0.5%〜15%の、そしてより一層詳細には重量で0.5%〜10%の、上で定義した少なくとも1種の式(I)の化合物と、
b)重量で0.5%〜80%の、より詳細には重量で0.5%〜50%の、そしてより一層詳細には重量で0.5%〜35%の、少なくとも1種の式(II)の非イオン性界面活性剤
R−(O−CH(R’)−CH
2)
n−(O−CH
2−CH
2)
m−O−H (II)
(式中、Rは、炭素原子8〜14個を含む、直鎖または分枝の飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカルを表し、R’はメチルまたはプロピルラジカルを表し、nは0以上かつ15以下の整数を表し、mは0以上かつ15以下の整数を表し、和n+mはゼロを超えると理解される)
と、
c)重量で10%〜50%の、より詳細には重量で20%〜50%の、そしてより一層詳細には重量で20%〜50%の、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物で構成される群の要素から選択される少なくとも1種のアルカリ性作用物質と、
d)重量で15%〜89%の、より詳細には重量で15%〜50%の、そしてより一層詳細には重量で20%〜50%の水と、そして任意に、
e)重量で10%〜50%の、より詳細には重量で20%〜50%の、そしてより一層詳細には重量で30%〜50%の、少なくとも1種の水軟化剤と
を含む組成物(C
1)である。
【0043】
本発明の主題である組成物(C
1)において、アルカリ性作用物質は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムで構成される群の要素から選択される。
【0044】
より一層特定的な態様により、本発明の主題である組成物(C
1)において、アルカリ性作用物質は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群の要素から選択される。
【0045】
本発明の主題である組成物(C
1)において、任意の水軟化剤は、金属イオン封鎖剤、例えば、トリポリリン酸ナトリウム(TPP)、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、グリシン二酢酸メチル(MGDA)、ニトリロトリ酢酸ナトリウム(Na
3NTA)、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウム、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸カリウムおよびクエン酸ナトリウムから、イオン交換剤、例えば、ナトリウムゼオライトもしくはアルミノケイ酸塩、または層状ケイ酸ナトリウム、沈殿剤、例えば、炭酸カルシウムおよびメタケイ酸ナトリウムから構成される群の要素から選択される。
【0046】
金属イオン封鎖剤、より詳細には上述の金属イオン封鎖剤は、水溶性錯体を形成するように、カルシウムおよびマグネシウムイオンの錯体を形成する効果を有し、水溶性錯体はその後、すすぎの間に除去される。
【0047】
イオン交換剤、より詳細には上述のイオン交換剤は、それらのナトリウムイオンを、カルシウムおよびマグネシウムイオンと交換する効果を有する。
【0048】
沈殿剤、より詳細には上述の金属イオン封鎖剤は、不溶性カルシウム化合物を生成させることによって、水の硬度の原因であるイオンを除去する効果を有し、不溶性カルシウム化合物はその後、洗浄した表面上の汚れと一緒に除去される。
【0049】
より特定的な態様により、本発明の主題である組成物(C
1)において、任意の水軟化剤は、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム(TPP)、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、グリシン二酢酸メチル(MGDA)、ニトリロ三酢酸ナトリウム(Na
3NTA)、グルコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムからなる群の要素から選択される。
【0050】
特定的な一態様により、本発明の主題である組成物(C
1)において、式(II)の化合物と式(I)の化合物との間の重量比は9/1以下かつ1/4以上であり、より詳細には4/1以下かつ1/4以上であり、より詳細には3/1以下かつ1/3以上であり、そしてより一層詳細には2/1以下かつ1/2以上である。
【0051】
他の態様により、本発明の主題は、硬質な表面を洗浄するための、上記において定義した組成物(C
1)の使用である。
【0052】
表現「硬質な表面を洗浄する」は、種々の材料からなる表面上に存在する汚れを除去することを可能にする意図の任意の作用を表している。洗浄しようとする表面は、硬質な表面または布地表面とすることができる。用語「硬質な表面」は、例えば、床、壁、窓ガラス、タイル、家庭電気器具、陶磁器、ワークトップ、蛇口、流し;薬品、食物または農産物貯蔵槽;車両(自動車、オートバイ、トラックなど)を示す。
【0053】
これらの硬質な表面を構成する材料は、例えば、ガラス(ソーダ石灰ガラス、フッ化カルシウムガラス、ホウケイ酸ガラス、クリスタル)、磁器、陶器、セラミック、ポリカーボネートプラスチック、ポリプロピレン、ステンレス鋼、銀、銅、アルミニウム、木材、合成樹脂、ガラス質セラミックおよびリノリウムであり、ペイントまたはワニスで被覆することができる。
【0054】
これらの硬質な表面上に存在し、洗浄によって除去しようとする汚れの一例として、例えば、食物残渣、脂肪、重質および軽質炭化水素、燃えがら、粉じん、汚泥、指紋、石鹸残留物、ならびに微生物を挙げてもよい。
【0055】
本発明の主題である組成物(C
1)は、詳細には、溶液、水性連続相を含むエマルジョンもしくはマイクロエマルジョン、油性連続相を含むエマルジョンもしくはマイクロエマルジョン、ゲル、泡の形態にあり、さもなければエアロゾルの形態にある。
【0056】
本発明の主題である組成物(C
1)は、洗浄しようとする表面に直接振りかけることまたは吹き付けることによって、さもなければ、洗浄しようとする硬質な表面に接触させることを意図した、前記組成物(C
1)を含む、任意の種類の支持物(紙、ワイプ、布地)によって塗布することができる。
【0057】
硬質な表面を洗浄するために使用される、本発明の主題である組成物(C
1)は、一般に9を超える、好ましくは11を超える、そしてより詳細には13を超えるpHを有する。
【0058】
一般に、本発明の主題である組成物(C
1)は、硬質な表面の洗浄の分野で通常使用される成分、例えば、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、カチオンポリマー、増粘剤、酵素、漂白剤、腐食防止剤、保存剤、芳香剤、染料または防虫剤をも含む。
【0059】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する非イオン性界面活性剤の例として、下記を挙げることができる。
【0060】
− エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、そして最も詳細には、BASF社により商標名Pluronic(商標)のもとに販売されているエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、例えば、Pluronic(商標)PE6100およびPluronic(商標)PE6200、
− 式(A
1)の脱泡性非イオン性界面活性剤
R
1−X−[(CH
2−CH(CH
3)−O)u−(CH
2−CH
2−O)v−Y]w (A1)
(式中、
− R
1は、炭素原子6〜18個を含む、直鎖または分枝の飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカルを表し、
− Xは、窒素原子または酸素原子を表し、
− vは、整数1〜50を表し、
− uは、整数1〜50を表し、
− wは、Xが酸素原子を表す場合は1に等しい整数を表し、そしてXが窒素原子を表す場合には1または2に等しい整数を表し、
− Yは、炭素原子4〜8個を含む直鎖アルキルラジカルで構成される群の要素から選択されるブロック用官能基、例えばブチルラジカル、ベンジルラジカルまたはブチレンオキシド基を表す)。
【0061】
式(A
1)の脱泡性非イオン性界面活性剤の中で、Dow Chemical社により商標名Tergitol(商標)のもとに販売されている製品、例えば、Tergitol(商標)L61EおよびTergitol(商標)L64Eを挙げることができる。
【0062】
− 式(A
2)の低発泡性非イオン性界面活性剤
R
2−O−(S)
q−H (A
2)
(式中、
− Sは、グルコース、キシロースおよびアラビノースで構成される群の要素から選択される還元糖の残基を表し、
− R
2は、炭素原子6〜10個を含む、直鎖または分枝した飽和炭化水素系ラジカルを表し、
− qは、1.05以上かつ5以下の小数を表す)。
【0063】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する式(A
2)の低発泡性非イオン性界面活性剤の例として、ヘキシルポリグルコシドおよび2−エチルポリグルコシドを挙げることができる。
【0064】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する増粘剤の例として、ポリマー質増粘剤、例えば分子量1モル当り500000〜4000000グラム、より詳細には1モル当り1000000〜4000000グラムを有し、架橋度0.5モル%〜4モル%のポリカルボキシレートであり、商標名Carbopol(商標)、Acrysol(商標)ICS−1およびSokalan(商標)のもとに販売されているものなどを挙げることができる。好ましいポリカルボキシレートは、アクリル酸のエチレンとの、プロピレンもしくはマレイン酸とのコポリマーであるポリアクリレートである。
【0065】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する増粘剤の例として、ポリマー質増粘剤、例えばアクリルアミドホモポリマー、またはアクリルアミドと、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩とのコポリマーなど、例えば、商標名Solagum(商標)のもとにSEPPIC社によって販売されている増粘剤を挙げることができる。
【0066】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する増粘剤の例として、無機増粘剤、例えば、粘土、モンモリロナイト(またはベントナイト)、ボルコンスコアイト(volkonskoite)、スメクタイト、ノントロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイトまたはバーミキュライトを挙げることができる。
【0067】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する増粘剤は、重量で0.1%〜10%の量で使用される。
【0068】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する研磨剤の例として、天然由来の材料、例えば、木材もしくは堅果削り屑、無機研磨材料、例えば酸化物、炭酸塩、石英、珪藻土もしくはコロイドシリカ二酸化物など、有機研磨材料、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなど、ポリエステル、ポリスチレン、アセトニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、メラミン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂ならびにポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0069】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する研磨剤は、重量で5.0%〜30%の量で使用される。
【0070】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する酵素の例として、プロテアーゼ、リパーゼおよびアミラーゼを挙げることができる。
【0071】
本発明の主題である組成物(C
1)中に存在する漂白剤の例として、次亜塩素酸ナトリウム、過酸素化化合物、例えば、過炭酸ナトリウム、および過ホウ酸塩を挙げてもよい。
【0072】
他の態様により、本発明の主題は、硬質な表面の洗浄方法であって、上記において定義した組成物(C
1)を、前記硬質な表面に塗布する少なくとも1つの工程a
1)と、それに続く、前記硬質な表面をすすぐ少なくとも1つの工程b
1)とを含む方法である。
【0073】
本発明の主題である洗浄方法の工程a
1)において、組成物(C
1)は、洗浄しようとする汚れを含む表面に、任意の手段によって、例えば、開放浴(open bath)中において、振りかけることによって、あるいは前記組成物(C
1)を予め含浸させた合成もしくは天然の、織布もしくは不織布繊維または紙からなる支持物を介した塗布によって、洗浄しようとする、汚れを含む表面に塗布される。
【0074】
本発明の主題である洗浄方法の工程b
1)において、工程a
1)の間に組成物(C
1)が塗布された硬質な表面のすすぎは、開放浴中において、または散水することによって行われる。
【0075】
本発明の主題である洗浄方法の工程b
1)は、周囲温度で、または温度30℃〜80℃で、より詳細には温度30℃〜65℃で行うことができる。
【0076】
下記の例は、本発明を例示するが、本発明を制約するものではない。
【0077】
1)本発明の主題である式(I)の化合物の製造、およびそれらの界面活性剤特性の評価
1.1)n−ヘプチルポリグルコシドの製造
2.7モル当量のn−ヘプタノールを、二重ジャケット付きガラス反応器に導入し、その中では40℃において伝熱流体が循環し、そして反応器には有効な撹拌機が取り付けられている。次いで、1モル当量の無水グルコースを反応媒体に徐々に添加して均質に分散させ、次いで、グルコースの重量およびn−ヘプタノールの重量の合計により構成される重量100%に対して、0.15質量%の98%硫酸および0.15質量%の50%次亜リン酸を、前記において製造した均質な分散液中に混和する。反応媒体を約180ミリバールの部分真空下に置き、温度100℃〜105℃で4時間保持し、蒸留装置によって生成した水を除去している。次いで反応媒体を85℃〜90℃に冷却し、40%水酸化ナトリウムを添加して、この混合物の5%溶液のpHを約7.0の値にすることによって中和する。得られた反応媒体は、次いで、反応していないグルコース粒を除去するため、温度70℃で全部排出し、濾過する。次いで濾液を、二重ジャケット付きガラス反応器に導入し、その中では伝熱流体が循環し、効率的な撹拌機および蒸留装置が取り付けられている。次いで、約100ミリバール〜50ミリバールの部分真空下において温度120℃で蒸留することによって、過剰のヘプタノールを除去する。こうして蒸留した反応媒体は、反応媒体の濃度が約60%に達するような水量を添加して、直ちに希釈する。温度50℃で30分間均質にした後、得られた組成物(X
0)を全部取り出す。
【0078】
n−ヘプチルポリグルコシドを含む、得られた組成物(X
0)の分析特性を、以下の表1にまとめる。
【表1】
【0079】
1.2)n−ヘプチルポリグルコシドの発泡性の評価
前述の方法により得られたn−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)の発泡性を、窒素バブリングによる静的方法により評価し、従来技術の可溶化組成物、すなわち:
− Akzo Nobel社により商標名AG 6206のもとに販売されているn−ヘキシルポリグルコシドの組成物(組成物X
1)、
− Akzo Nobel社により商標名AG 6202のもとに販売されている2−エチルヘキシルポリグルコシドの組成物(組成物X
2)、
− SEPPIC社により商標名Simulsol(商標)SL8のもとに販売されているn−オクチルポリグルコシド/n−デシルポリグルコシドの組成物(組成物X
3)、
− IMCD France社により商標名Eltesol(商標)SC Pelletsのもとに販売されているクメンスルホン酸ナトリウム(組成物X
4)
と比較した。
【0080】
1.2.1)発泡力を評価するための窒素バブリングによる静的方法の原理
特定の温度で、一定濃度の界面活性剤の溶液中に、一定量の水酸化ナトリウムの存在において、所定体積の窒素を導入することによって、泡を形成する。その体積の窒素を導入することによって発生する泡の体積を、前記体積の窒素を導入した完了時に測定し、次いで、その体積の窒素を導入した完了時に続く30秒の時点で、次いで120秒の時点で測定する。
【0081】
1.2.2)実験プロトコル
試験される組成物の、乾燥抽出物に関して、5g/lの溶液5cm
3を、12.5グラムの量の水酸化ナトリウムと一緒に、定温制御された250cm
3目盛付き測定シリンダーに投入する。測定は、20℃および60℃で行った。ガス計量分配用フィンガー(気孔率3を有する(Corning Pyrex(登録商標)853−1参照))を、その焼結ノズルの端部が、測定シリンダーの底部から1センチメートルであるような形で位置決めする。次いで、窒素流速50 l/hに正確に調整し、15秒間スパージする。この期間の後、窒素の供給を止め、実験者は、最初の泡体積を記録し、そして30秒後および120秒後にも泡体積を記録する。1つの同一の界面活性剤溶液について、異なる測定シリンダーで少なくとも2回の試験を行って、同等の結果が得られた。
【0082】
1.2.3)結果の表示
目盛付き測定シリンダーにおいて、最初に観察した、次いで30秒および120秒において観察した泡体積の結果を、cm
3で表している。
【0083】
1.2.4)従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の発泡力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の発泡力の特性評価
1.2.4.1)得られた結果
本出願の1.2.2節において記述した実験プロトコルを、本出願の1.1節において記述した方法により得られたn−ヘプチルポリグルコシドの組成物(組成物X
0)について、そして前述の組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について実行した。
【0084】
実験的測定は、それぞれの上述の化合物について、2つの異なる温度:20℃および60℃で実行した。
【0085】
所定体積の窒素の導入完了時(t=0)、その体積の窒素の導入完了の30秒後(t=30s)およびその体積の窒素の導入完了の120秒後(t=120s)それぞれの組成物およびそれぞれの温度について実験測定値を記録し、それぞれ20℃および60℃で実施した測定値を、以下の表2および3中に記載した。
【表2】
【表3】
【0086】
1.2.4.2.結果の解析
本発明の主題である組成物(X
0)は、20℃において非常に不安定である泡の発生によって特徴付けられ、それは泡体積が、30秒で、組成物(X
1)についての92.3%、組成物(X
2)についての25%、そして組成物(X
3)についての12%と比較すると、その最初の値の95%だけ減少するからである。
【0087】
60℃において、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)は、非常に不安定である泡の発生によって特徴付けられ、それは泡体積が、30秒で、組成物(X
2)についての57.1%、そして組成物(X
3)についての14%と比較すると、その最初の値の100%だけ減少するからである。60℃において、組成物(X
0)は、従来技術の組成物によって発生される泡体積よりも少ない泡体積の発生による。
【0088】
1.3)n−ヘプチルポリグルコシドの濡れ性の評価
前述の方法により得られた、n−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)の濡れ性を、規格ISO 8022、1990年版およびNFT 73420に適合した、綿ディスク(cotton disk)についての評価方法により評価した。
【0089】
1.3.1)湿潤力を評価するための綿ディスクによる方法の原理
この方法の目的は、この場合原綿(raw cotton)である布製支持物で比較して、界面活性剤の濡れ性を測定することである。湿潤力は、限定された量の水酸化ナトリウムの存在において、規定された濃度の界面活性剤の溶液中に置いた原綿のディスクの濡れの持続時間の測定によって査定される。
【0090】
1.3.2)実験プロトコル
蒸留水中における試験される化合物の、乾燥抽出物に関して、5g/lの溶液700cm
3を、35グラムの水酸化ナトリウムの存在において、所望の温度に定温制御されているビーカー内に入れる。規格NFT 73−406に対応する(直径30mm)、Mortelecque社によって提供された、原綿のディスクを、この試験専用の浸漬用トングを使用して、前記で製造した溶液内に持ち込む。ディスクの下部が溶液に接触した瞬間にスタートし、ディスクが自力で溶液中に沈む瞬間にストップさせるストップウオッチを使用して、濡れの持続時間を実験的に測定して、濡れの持続時間を求める。それぞれの組成物について、同一の溶液で10回連続の濡れ継続時間測定を行ったが、それぞれの測定後、使用済みの綿ディスクを捨てるように注意した。
【0091】
1.3.3−結果の表示
湿潤力を、試験したそれぞれの組成物について行った10回測定の平均に対応する持続時間t
m(秒における)によって表している。
【0092】
1.3.4)従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の湿潤力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の湿潤力の特性評価
1.3.4.1.)得られた結果
本出願の1.3.2節において記述した実験プロトコルを、本出願の1.1節において記述した方法により得られたn−ヘプチルポリグルコシドの組成物(組成物X
0)について、そして前述の組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について実行した。
【0093】
実験的測定は、それぞれの上述の組成物について、2つの異なる温度:20℃および60℃で実行した。
【0094】
20℃および60℃でそれぞれの組成物について測定した濡れ持続時間t
mの実験的測定値を記録し、表4中に記載した。
【表4】
【0095】
1.3.4.2)結果の解析
20℃において、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)は、組成物(X
1)および組成物(X
4)の湿潤力と同等であるが、組成物(X
2)および の湿潤力よりも低い、低湿潤力によって特徴付けられる。
【0096】
60℃において、組成物(X
0)の湿潤力は良好であり、一方、組成物(X
1)および(X
4)の湿潤力は低いままであり、そして組成物(X
2)および(X
3)の湿潤力は低くなる。
【0097】
1.4)ナトリウム媒体中におけるn−ヘプチルポリグルコシドの可溶化特性の評価
前述の方法により得られた、n−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)の、ナトリウム媒体中における可溶化特性を、前述の従来技術組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)と比較して、種々の非イオン性界面活性剤について、そして水酸化ナトリウムの種々の濃度で、以下に記述される評価方法により評価した。
【0098】
1.4.1−可溶性にしようとする界面活性剤/可溶化用組成物のいくつかの重量比についての、ナトリウム媒体中における可溶化能力の評価
1.4.1.1−方法の原理
この方法の目的は、従来技術の界面活性剤組成物と比較して、一定としているナトリウム媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤についての、ナトリウム媒体中におけるある界面活性剤組成物の可溶化能力を測定することである。
【0099】
1.4.1.2−実験プロトコル
1グラムの量の、可溶性にしようとする非イオン性界面活性剤(Ti)と、x
1グラムの量の、試験される可溶化用界面活性剤組成物(Xi)と、y
1グラムの量の水酸化ナトリウムと、100cm
3の溶液を得る体積を構成する蒸留水量とを、120cm
3ガラスフラスコ中に投入する。磁化した磁気棒をガラスフラスコに入れ、次いでこれを、温度20℃において1時間、100回転/分の速度で磁気撹拌する。
【0100】
1.4.1.3−結果の表示
実験者は、本出願の1.4.1.2節のプロトコルにより得られた溶液の目視による外観を記録し、「清澄(clear)」または「曇っている(cloudy)」が適正であるとして評価している。
【0101】
1.4.1.4−従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の可溶化能力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の、ナトリウム媒体中における可溶化能力の特性評価
得られた結果
本出願の1.4.1.2節において記述した実験プロトコルを、本発明による組成物(X
0)について、そして可溶化用の従来技術の界面活性剤組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について実行した。
【0102】
本出願の1.4.2節において記述した実験プロトコルを、下記の非イオン性界面活性剤(Ti)について実行した:
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T1)であり、SEPPIC社により商標名Simulsol(商標)OX1004Lのもとに販売され、1モル当量の、Exxonmobil社により商標名Exxal(商標)10(CAS番号:68526−85−2)のもとに販売され、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、イソノナノール、イソデカノールおよびイソウンデカノールの混合物を含むアルコールの、4モル当量のエチレンオキシドとの反応から得られる組成物(T1)、
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T2)であり、SEPPIC社により商標名Simulsol(商標)OX1006Lのもとに販売され、1モル当量の、Exxonmobil社により商標名Exxal(商標)10(CAS番号:68526−85−2)のもとに販売され、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、イソノナノール、イソデカノールおよびイソウンデカノールの混合物を含むアルコールの、6モル当量のエチレンオキシドとの反応から得られる組成物(T2)、
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T3)であり、SEPPIC社により商標名Simulsol(商標)OX1309Lのもとに販売され、1モル当量の、Exxonmobil社により商標名Exxal(商標)13(CAS番号:68256−86−3)のもとに販売され、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノールおよびイソトリデカノールの混合物を含むアルコールの、9モル当量のエチレンオキシドとの反応から得られる組成物(T3)、
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T4)であり、塩基性触媒として水酸化カリウムの存在において、1モル当量のn−デカノールと、4モル当量のエチレンオキシドとの間の反応により製造される組成物(T4)。
【0103】
実験的測定は、種々の量y
1の水酸化ナトリウムの存在において、重量含量10%、20%、30%および48%を得るように、それぞれの量x
1の、試験した種々の可溶化用組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について、ならびにそれぞれの非イオン性界面活性剤(T1)、(T2)、(T3)および(T4)について上述のように実行した。試験される種々の可溶化用組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の量x
1は、1/1、1/2および1/5に等しい組成物(Ti)/組成物(Xi)(Ti/Xi)の重量比が達成されるように測定している。
【0104】
それぞれの組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について、組成物(T1)、(T2)、(T3)および(T4)を可溶性にするため使用された操作プロトコルを実行することによって、製造した溶液の外観を、実験者は記録し、以下の表5、6、7および8中にそれぞれ記載した。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0105】
結果の解析
低い発泡力によって特徴付けられる組成物、すなわち組成物(X
0)、組成物(X
1)および組成物(X
4)について観察される可溶化性能レベル間の比較では、製造したアルカリ性洗浄剤溶液中に存在する水酸化ナトリウムの量にかかわらず、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドを含む組成物(X
0)が、組成物(X
1)で観察される可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示される。組成物(X
0)と、組成物(X
2)との間について観察される、可溶化性能レベル間の比較では、組成物(X
0)が、組成物(X
2)の可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示される。
【0106】
1.4.2−可溶にしようとする界面活性剤の一定量を可溶性にする、可溶化用組成物の最小量を測定することによる、ナトリウム媒体中における可溶化能力の評価
1.4.2.1−方法の原理
この方法の目的は、従来技術の界面活性剤組成物と比較して、一定としているナトリウム媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤についての、ナトリウム媒体中におけるある界面活性剤組成物の可溶化能力を測定することである。
【0107】
この方法において、ナトリウム媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤の量は、選択されたそれぞれの水性ナトリウム媒体の重量100%当り5%に固定され、実験者は、可溶化用界面活性剤組成物を徐々に添加することによって、明澄なナトリウム溶液を得るためのその組成物の最小量を測定する。この方法は、本発明による組成物について、そして従来技術の界面活性剤組成物について行われる。
【0108】
1.4.2.2−実験プロトコル
5グラムの量の、可溶性にしようとする非イオン性界面活性剤(Ti)と、95グラムの量の、蒸留水およびy
1グラムの水酸化ナトリウムからなる混合物とを、120cm
3ガラスフラスコ中に投入する。
【0109】
磁化した磁気棒をそのガラスフラスコ中に入れ、次いでこれを、温度20℃において1時間、100回転/分の速度で磁気撹拌する。
【0110】
次いで、試験される可溶化用界面活性剤組成物(Xi)を徐々に投入し、実験者は、清澄なナトリウム水溶液を得るために必要な前記可溶化用界面活性剤組成物(Xi)の最小量x
1グラムを測定する。
【0111】
1.4.2.3−結果の表示
本出願の1.4.2.2節のプロトコルにより得られた溶液の目視による外観が明澄である場合、実験者は、この清澄な外観を達成するために、添加された可溶化用界面活性剤組成物(Xi)の量x
1を記録する。
【0112】
1.4.2.4−従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)および(X
3)の可溶化能力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の、ナトリウム媒体中における可溶化能力の特性評価
得られた結果
本出願の1.4.2.2節において記述した実験プロトコルを、可溶化用界面活性剤組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)ならびに(X
3)について、および以下において記述される非イオン性界面活性剤組成物(T5)ならびに(T6)について実行した:
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T5)であり、塩基性触媒として水酸化カリウムの存在において、1モル当量の、その重量100%に対して50重量%のn−オクタノールおよび50重量%のn−デカノールを含む混合物と、4モル当量のエチレンオキシドとの間の反応により製造される組成物(T5)、
− ポリエトキシ化アルコールの組成物(T6)であり、塩基性触媒として水酸化カリウムの存在において、1モル当量の、その重量100%に対して85重量%のn−デカノールおよび15重量%のn−ドデカノールを含む混合物と、4モル当量のエチレンオキシドとの間の反応により製造される組成物(T6)。
【0113】
実験的測定は、種々の量y
1の水酸化ナトリウムの存在において、1.4.2.2節において記述される実験プロトコルにより実行して、それぞれの組成物(T5)および(T6)について水酸化ナトリウム含有量10重量%および40%を得た。
【0114】
実験者は、明澄な溶液を得るために必要とされる組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)および(X
3)の最小量を記録し、以下の表9中に記載した。
【表9】
【0115】
結果の解析
低い発泡力によって特徴付けられる組成物、すなわち組成物(X
0)および組成物(X
1)について観察される可溶化性能レベル間の比較は、製造したアルカリ性洗剤溶液中に存在する水酸化ナトリウムの量が何であっても、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドを含む組成物(X
0)が、組成物(X
1)で観察される可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示される。組成物(X
0)および組成物(X
2)について観察される、可溶化性能レベル間の比較では、組成物(X
0)が、組成物(X
2)の可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示される。
【0116】
1.5)電解質媒体中におけるn−ヘプチルポリグルコシドの可溶化特性の評価
前述の方法により得られた、n−ヘプチルポリグルコシドの組成物(X
0)の、電解質媒体中における可溶化特性を、前述の従来技術の組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)と比較して、種々の非イオン性界面活性剤について、そしてメタケイ酸ナトリウムの種々の濃度で、以下に記述される評価方法により評価した。
【0117】
1.5.1)−可溶性にしようとする界面活性剤/可溶化用組成物のいくつかの重量比についての、電解質媒体中における可溶化能力の評価
1.5.1.1−方法の原理
この方法の目的は、従来技術の界面活性剤組成物と比較して、一定としている電解質媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤についての、電解質媒体中におけるある界面活性剤組成物の可溶化能力を測定することである。
【0118】
1.5.1.2−実験プロトコル
1グラムの量の、可溶化にしようとする非イオン性界面活性剤(Ti)と、x
2グラムの量の、試験される可溶化用界面活性剤組成物(Xi)と、y
2グラムの量のメタケイ酸ナトリウムと、100cm
3の溶液を得る体積を構成する量の蒸留水とを、120cm
3ガラスフラスコに投入する。磁化した磁気棒をそのガラスフラスコ中に入れ、次いでこれを、温度20℃において1時間、100回転/分の速度で磁気撹拌する。
【0119】
1.5.2.3−結果の表示
実験者は、本出願の1.5.1.2節のプロトコルにより得られた溶液の目視による外観を記録し、「清澄(clear)」または「曇っている(cloudy)」が適正であるとして記載している。
【0120】
1.5.1.4−従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の可溶化能力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の、電解質媒体中における可溶化能力の特性評価
得られた結果
本出願の1.5.1.2節において記述した実験プロトコルを、可溶化用界面活性剤組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について、そして前述の非イオン性界面活性剤組成物(T1)、(T2)、(T3)および(T4)について実行した。
【0121】
実験的測定は、種々の量y
2のメタケイ酸ナトリウムの存在において、それぞれの量x
2の、試験した種々の可溶化用組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)について、ならびにそれぞれの非イオン性界面活性剤(T1)、(T2)、(T3)および(T4)について実行して、含有量10重量%、20重量%および30重量%を得た。試験される種々の可溶化用組成物(X
1)、(X
2)、(X
3)および(X
4)の量x
2を測定して、1/1、1/2および1/5に等しい組成物(Ti)/組成物(Xi)の重量比を達成した。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0122】
得られた結果の解析
低い発泡力によって特徴付けられる組成物、すなわち組成物(X
0)、組成物(X
1)および組成物(X
4)について観察された可溶化性能レベル間の比較は、他の組成物と異なり、10重量%のケイ酸ナトリウム量で、全ての非イオン性界面活性剤組成物(T1)、(T2)、(T3)および(T4)について明澄なアルカリ性洗浄剤溶液を得るのに、1当量(重量)の組成物(X
0)を要するだけであることを示している。
【0123】
組成物(X
0)および組成物(X
2)について観察された可溶化性能レベル間の比較は、アルカリ性洗剤組成物中に30重量%の割合でケイ酸ナトリウム量が存在する場合、5当量(重量)の組成物(X
2)を使用しても、非イオン性界面活性剤組成物(T1)、(T2)、(T3)および(T4)はうまく可溶化されないが、一方、非イオン性界面活性剤組成物(T1)、(T2)、(T3)および(T4)を可溶性にするのに、1当量(重量)の組成物(X
0)を要するだけであることを示している。
【0124】
1.5.2−可溶にしようとする界面活性剤の一定量を可溶性にする、可溶化用組成物の最小量を測定することによる、電解質媒体中における可溶化能力の評価
1.5.2.1−方法の原理
この方法の目的は、従来技術の界面活性剤組成物と比較して、一定としている電解質媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤についての、電解質媒体中におけるある界面活性剤組成物の可溶化能力を測定することである。
【0125】
この方法において、電解質媒体中に不溶な非イオン性界面活性剤の量は、選択されたそれぞれの水性電解質媒体の重量100%当り5%に固定され、実験者は、可溶化用界面活性剤組成物を徐々に添加することによって、清澄な電解質溶液を得るためのその組成物の最小量を測定する。この方法は、本発明による組成物について、そして従来技術の界面活性剤組成物について行われる。
【0126】
1.5.2.2−実験プロトコル
5グラムの量の、可溶性にしようとする非イオン性界面活性剤(Ti)と、95グラムの量の、蒸留水およびメタケイ酸ナトリウムの量y
2グラムからなる混合物とを、120cm
3ガラスフラスコに投入する。
【0127】
磁化した磁気棒をそのガラスフラスコ中に入れ、次いでこれを、温度20℃において1時間、100回転/分の速度で磁気撹拌する。
【0128】
次いで、試験される可溶化用界面活性剤組成物(Xi)を徐々に投入し、実験者は、明澄な電解質水溶液を得るために必要とされる前記可溶化用界面活性剤組成物(Xi)の最小量x
1グラムを測定する。
【0129】
1.5.2.3−結果の表示
本出願の1.5.2.2節のプロトコルにより得られた溶液の目視による外観が清澄である場合、実験者は、この明澄な外観を達成するために、添加された可溶化用界面活性剤組成物(Xi)の量x
1を記録する。
【0130】
1.5.2.4−従来技術の化合物を含む組成物(X
1)、(X
2)および(X
3)の可溶化能力と比較した、本発明による式(I)の化合物を含む組成物(X
0)の、電解質媒体中における可溶化能力の特性評価
得られた結果
本出願の1.5.2.2節において記述した実験プロトコルを、可溶化用界面活性剤組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)および(X
3)について、そして前述した非イオン性表面組成物(T5)および(T6)について実行した。
【0131】
実験的測定は、種々の量y
2のメタケイ酸ナトリウムの存在において、1.5.2.2節において記述される実験プロトコルにより実行して、それぞれの組成物(T5)および(T6)についてメタケイ酸ナトリウム含量10重量%および20%を得た。
【0132】
実験者は、清澄な溶液を得るために必要とされる組成物(X
0)、(X
1)、(X
2)および(X
3)の最小量を記録し、以下の表14中に記載した。
【表14】
【0133】
得られた結果の解析
低い発泡力によって特徴付けられる組成物、すなわち組成物(X
0)および組成物(X
1)について観察された可溶化性能レベル間の比較は、製造した洗剤溶液中に存在するメタケイ酸ナトリウムの量が何であっても、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドを含む組成物(X
0)が、組成物(X
1)について観察される可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示され、それは、明澄な溶液を得るために要する最小量が、組成物(X
1)についてよりも組成物(X
0)について少ないからである。
【0134】
組成物(X
0)について、および組成物(X
2)ならびに組成物(X
3)について観察された可溶化性能レベル間の比較は、製造した洗浄剤溶液中に存在するメタケイ酸ナトリウムの量が何であっても、本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドを含む組成物(X
0)が、組成物(X
2)および組成物(X
3)について観察される可溶化能力を超える可溶化能力によって特徴付けられることが示され、それは、清澄な溶液を得るために要する最小量が、組成物(X
2)および(X
3)についてよりも組成物(X
0)について少ないからである。
【0135】
1.6)結論
本発明の主題であるn−ヘプチルポリグルコシドを含む組成物(X
0)は、従来技術において知られる可溶化剤に比べて、高い割合におけるアルカリ性および電解質媒体中においても、改良された低発泡性および可溶化性を示す。
【0136】
2)水性アルカリ性洗剤組成物
2.1.床用の産業用洗浄製品
2.1.1床用の産業用洗浄製品の製造
【表15】
【0137】
(1)Simulsol(商標)NW900:SEPPIC社により販売される洗剤界面活性剤組成物であり、1モル当量の商標名Exxal(商標)10のもとに販売されているアルコールの、9モル当量のエチレンオキシドとの反応からもたらされるポリエトキシ化アルコールを含む;
(2)Dowanol(商標)DPM:Dow Chemicals社により販売されるジプロピレングリコールモノメチルエーテル;
(3)Dequest(商標)3000S:Monsanto社により販売されるホスホン酸ナトリウム。
【0138】
アルカリ性洗剤組成物の製造手順:それぞれの成分を混合槽に順次導入し、均質かつ明澄な組成物が得られるまで、大気温度(ambient temperature)で適度に機械的撹拌する。20℃で30分間撹拌を維持し、次いで染料および芳香剤を導入する。得られた組成物は、12.9と測定されるpHを有し、40℃で1か月の期間貯蔵した後、清澄および均質のままであり、5℃で1か月の期間貯蔵した後、明澄かつ均質である。
【0139】
2.1.2 2.1.1において製造した組成物を使用した洗浄方法
2.1.1において製造した組成物の水中10%希釈物を周囲温度で製造し、次いで、床掃除機によって、油およびグリースで構成される汚れにより、汚されたタイル貼り床に塗布する。2.1.1において製造した組成物がこうして含浸された床を次に、ガーデンホースによって加圧下において熱水(60℃)ですすぐ。
【0140】
2.2.車およびトラック用洗浄組成物
2.2.1 車およびトラック用洗浄組成物の製造
【表16】
【0141】
(4)Simulsol(商標)OX1006L:SEPPIC社により販売される洗剤界面活性剤組成物であり、1モル当量の商標名Exxal(商標)10のもとに販売されているアルコールの、6モル当量のエチレンオキシドとの反応からもたらされるポリエトキシ化アルコールを含む。
【0142】
車およびトラック用洗剤組成物の製造手順:それぞれの成分を混合槽に順次導入し、大気温度で、均質かつ清澄な組成物が得られるまで激しく機械的に撹拌する。20℃で30分間撹拌を維持し、次いで染料および芳香剤を導入する。得られた組成物は、12.1と測定されるpHを有し、20℃で1か月の期間貯蔵した後、明澄および均質のままである。
【0143】
2.2.2 2.2.1において製造した組成物を使用した洗浄方法
2.1.1において製造した組成物の水中10%希釈物を大気温度で製造し、次いで、温度60℃で低圧のガーデンホースによって、泥およびグリースで汚されたモータビークルのボディフレームに塗布する。2.2.1において製造した洗浄組成物の希釈物を含浸させた車両を、高圧(100バール)下で60℃の水によりすすぐ。こうして洗浄した車両は、もはやその側面に全く汚れがなく、光沢のある外観を有する。
【0144】
2.2.3 車またはトラックのアルミニウムホイールの洗浄
2.2.2において記述した洗浄方法を使用して、油およびグリースで汚された、車またはトラックのアルミニウムホイールを洗浄するが、2.2.1で製造した組成物の水中15重量%希釈物を使用している。
【0145】
2.3 オーブンおよび調理グリル用洗浄組成物
2.3.1 オーブンおよび調理グリル用洗浄組成物の製造
【表17】
【0146】
(5)Simulsol(商標)OX1309L:SEPPIC社により販売される洗剤界面活性剤組成物であり、1モル当量の商標名Exxal(商標)13のもとに販売されているアルコールの、9モル当量のエチレンオキシドとの反応からもたらされるポリエトキシ化アルコールを含む;
(6)Solagum(商標)SF 306:油中水型エマルジョンの形態で提供される増粘剤組成物であり、アクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩を主成分とする架橋ポリマーを含む。
【0147】
オーブンおよび調理グリル用洗浄組成物の製造手順
a)20℃で、Simulsol(商標)OX1309Lと、次いで本発明による組成物(X
0)とを水に添加することによってプレゲルを製造する。次いで、Solagum(商標)SF 306を、水溶液中に投入し、安定な粘度のゲルが得られるまで混合する。
【0148】
b)次いで水酸化ナトリウムを、温度20℃で機械的に撹拌しながら、均質なゲルが得られるまで徐々に添加する。
【0149】
工程b)の終わりに得られたゲルは、均質かつ清澄な外観を示し、粘度11000mPa.s(6回転/分の速度にあるBrookfield LVT粘度計を使用して測定した)を有する。この手順の工程b)の終わりに得られたゲルは、25℃で6か月の貯蔵期間後、粘度12000mPa.s(6回転/分の速度にある、Brookfield LVT粘度計を使用して測定した)を有し、均質かつ明澄な外観を有している。
【0150】
2.3.2 2.3.1において製造した組成物を使用した洗浄方法
ゲルの形態において提供される2.3.1において製造した組成物を、大気温度で、食物脂肪で汚れたオーブンの壁上に、そして、やはり食物脂肪で汚れた調理グリル上に吹き付ける。10分後、オーブンの壁および調理グリルを、60℃における熱水ですすぐ。こうして洗浄した、オーブンの壁および調理グリルの表面は、もはや全く汚れを示していない。
以下に、本発明の実施態様を付記する。
1. 式(I)の化合物または式(I)の化合物の混合物。
nC7H15−O−(G)p−H (I)
(式中、Gは還元糖の残基を表し、そしてpは1.05以上かつ5以下の小数を表す。)
2. 1に記載の式(I)の化合物または前記式(I)の化合物の混合物であって、前記還元糖の残基Gが、グルコース残基、キシロース残基およびアラビノース残基から選択され、そしてpが、1.05以上かつ2.5以下の小数を表す化合物または混合物。
3. 1および2のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または前記式(I)の化合物の混合物の製造方法であって、以下の連続した工程:
− 式(III)の還元糖を、過剰モルの、式C7H15−OHのn−ヘプタノールと反応させて、式(I)の化合物とn−ヘプタノールとの混合物を生成する工程A)と、
HO−(G)p−H (III)
(式中、Gは、還元糖の残基を表す)
− 工程A)で得られた前記混合物からn−ヘプタノールを除去する工程B)とを含む方法。
4. 1および2のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または前記式(I)の化合物の混合物のハイドロトロープ界面活性剤としての使用。
5. 1および2のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用であって、水性アルカリ性組成物中において、式(II)の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を可溶性とする作用物質としての使用。
R−(O−CH(R’)−CH2)n−(O−CH2−CH2)m−O−H (II)(式中、Rは、炭素原子8〜14個を含む、直鎖または分枝した飽和または不飽和の炭化水素系脂肪族ラジカルを表し、R’はメチルまたはエチルラジカルを表し、nは0以上かつ15以下の整数を表し、mは0以上かつ15以下の整数を表し、和n+mはゼロを超えると理解される。)
6. 5に記載の使用であって、式(II)における前記Rラジカルが、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−エチルヘキシル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、イソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシルまたは2−プロピルヘプチルラジカルから選択されるラジカルを表すことを特徴とする使用。
7. 5および6のいずれか一項に記載の使用であって、式(II)におけるnが、0以上かつ6以下であり、より詳細には0以上かつ3以下であり、そしてより一層詳細には0以上かつ2以下である整数を表すことを特徴とする使用。
8. 5〜7のいずれか一項に記載の使用であって、式(II)におけるmが、1以上かつ9以下であり、より詳細には2以上かつ6以下であり、そしてより一層詳細には2以上かつ4以下である整数を表すことを特徴とする使用。
9. 5〜8のいずれか一項に記載の使用であって、前記式(II)の化合物と前記式(I)の化合物との間の重量比が、9/1以下かつ1/4以上であることを特徴とする使用。
10. 組成物(C1)であって、その重量の100%に対して、
a)重量で0.5%〜20%の、請求項1に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物と、
b)重量で0.5%〜80%の、少なくとも1種の式(II)の非イオン性界面活性剤と、
R−(O−CH(R’)−CH2)n−(O−CH2−CH2)m−O−H (II)(式中、Rは、炭素原子8〜14個を含む、直鎖または分枝の飽和または不飽和炭化水素系脂肪族ラジカルを表し、R’はメチルまたはプロピルラジカルを表し、nは0以上かつ15以下の整数を表し、mは0以上かつ15以下の整数を表し、和n+mはゼロを超えると理解される)
c)重量で10%〜50%の、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物で構成される群の要素から選択される少なくとも1種のアルカリ性作用物質と、
d)重量で15%〜89%の水と、そして
任意に、e)重量で10%〜50%の、少なくとも1種の水軟化剤と
を含む組成物(C1)。
11. 10に記載の組成物(C1)であって、前記式(II)の化合物と前記式(I)の化合物との間の重量比が、9/1以下かつ1/4以上であることを特徴とする組成物(C1)。
12. 10および11のいずれか一項に記載の組成物(C1)の、硬質な表面を洗浄するための使用。
13. 硬質な表面の洗浄方法であって、
10および11のいずれか一項に記載の組成物(C1)を前記硬質な表面に塗布する少なくとも1つの工程a1)と、
それに続く、前記硬質な表面をすすぐ少なくとも1つの工程b1)と
を含むことを特徴とする方法。