特許第6125514号(P6125514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6125514蛇行した撓み部を備えた可変静電容量加速度計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125514
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】蛇行した撓み部を備えた可変静電容量加速度計
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/125 20060101AFI20170424BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20170424BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20170424BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G01P15/125 Z
   G01P15/08 101A
   G01P15/08 101D
   G01P15/18
   H01L29/84 Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-533982(P2014-533982)
(86)(22)【出願日】2012年10月2日
(65)【公表番号】特表2014-534419(P2014-534419A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】GB2012052436
(87)【国際公開番号】WO2013050752
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】1117164.2
(32)【優先日】2011年10月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508296554
【氏名又は名称】アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Atlantic Inertial Systems Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】マルバーン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】スネール、ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウエストバリー、スティーブン
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−23015(JP,A)
【文献】 特開2001−066321(JP,A)
【文献】 米国特許第7013730(US,B1)
【文献】 特開2010−89254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
複数の装着脚によって、前記支持体に対して移動するように支持されたプルーフマスと、
前記支持体と連結された複数の固定容量フィンガと、
前記プルーフマスと連結された複数の可動容量フィンガとを具備し、
前記固定容量フィンガは、前記可動容量フィンガと互いに噛合されており、
前記装着脚は、屈曲した形状であり、各装着脚は、少なくとも、第1のほぼ直線セクションと、第2のほぼ直線セクションと、前記第1及び第2のほぼ直線セクションを互いに接続しているほぼU字形の端部セクションとを有し、前記端部セクションの厚さは、前記第1及び第2のほぼ直線セクションの両方の中央部分の厚さよりも厚く、前記各直線セクションは、その両端部にテーパ部分を有する、加速度計。
【請求項2】
前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの少なくとも2倍である請求項1の加速度計。
【請求項3】
前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの少なくとも2.5倍である請求項2の加速度計。
【請求項4】
前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの4倍未満である請求項2又は3の加速度計。
【請求項5】
前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの約3倍である請求項4の加速度計。
【請求項6】
前記テーパ部分は、前記ほぼ直線セクションの厚さと前記端部セクションの厚さとの間に滑らかな移行部を与える請求項の加速度計。
【請求項7】
前記端部セクションは、滑らかに曲がった形態である請求項1ないしのいずれか1の加速度計。
【請求項8】
前記第1のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは、前記第2のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さとは異なる請求項1ないしのいずれか1の加速度計。
【請求項9】
各脚は、5つのほぼ直線セクションを有する請求項1ないしのいずれか1の加速度計。
【請求項10】
各ほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは均一である請求項1ないしのいずれか1の加速度計。
【請求項11】
前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも50%に形成されている請求項1の加速度計。
【請求項12】
前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも65%に形成されている請求項1の加速度計。
【請求項13】
前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの85%未満を形成している請求項10又は11の加速度計。
【請求項14】
前記プルーフマスは、第1のプルーフマス要素と、第2のプルーフマス要素とを有し、
前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素とは、接続部材によって緊密に互いに接続され、
前記固定容量フィンガは、前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素との間に位置されている請求項1ないし1のいずれか1の加速度計。
【請求項15】
感知方向への前記プルーフマスの移動を制限するためのバンプストップ手段をさらに具備する請求項1ないし1のいずれか1の加速度計。
【請求項16】
各バンプストップ手段は、1対のバンプストップを有する請求項1の加速度計。
【請求項17】
前記1対のバンプストップは、前記支持体に設けられている請求項1の加速度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度計に、特に、比較的寸法が小さく低コストの微小電気機械(MEMS)加速度計に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS加速度計は、例えば、自動車及び他の用途で広く使用されている。これらが使用される1つの領域は、衛星通信のリンクが一時的に中断される短いインターバル間に使用される、乗物の移動を示すバックアップ情報を提供するための全地球位置把握用途である。しかしながら、これは、MEMS加速度計が使用されることができる単なる1つの可能な用途にすぎず、本発明はこれに限定されるものではないことが理解される。
【0003】
米国特許第7047808号は、このような用途での使用に適したMEMS加速度計を開示している。加速度計は、リング状の支持部材で囲まれたプレート状の形態のプルーフマスを有する。支持部材及びプルーフマスは、ほぼ同一平面上にあり、プルーフマスは、プルーフマス及び支持部材と一体的に形成された一連の直線状の装着脚によって支持部材に接続されている。各脚は、加速度計が加速を感知する方向にほぼ垂直な方向に延びている。使用の際、加速度計が対象物に装着され、その対象物の運動がモニタされ、加速度計は、支持部材が対象物に緊密に固定される(剛結される)ようにして装着され、加速度計は、装着脚の各々が感知方向にほぼ垂直な方向に延びているように、正確に方向決めして配置されている。対象物が感知方向に加速されると、プルーフマスの慣性が支持部材に対してプルーフマスを移動させて、装着脚が撓み、その静止位置に向かってプルーフマスを戻すように付勢する復元力を加えることが理解される。
【0004】
プルーフマスと支持部材との間の相対移動が感知され、これによって、加速を示す電気出力の生成を可能にするために、プルーフマスには、容量フィンガのいくつかのグループが設けられており、これらの各々が、装着脚にほぼ平行に延びている。同様に、支持部材にも、容量フィンガのいくつかのグループが設けられており、各グループのフィンガが、プルーフマスと連結された対応するグループの容量フィンガと(両手の指を組み合わせたように)互いに噛合されている。支持部材に対するプルーフマスの移動は、互いに噛合されたフィンガの隣接しているフィンガの相対移動をもたらす。適切な静電容量測定をすることによって、支持部材に対するプルーフマスの位置又は移動が測定されることができる。支持部材に対するプルーフマスの移動は、使用の際、加速度計が装着されて加速を受ける対象物から生じるので、移動の出力もまた、受けた加速を示すことが理解される。
【0005】
その他、同様の装置が、例えば、米国特許第7562573号並びに米国特許第7267006号に開示されている。
【0006】
この一般的なタイプの装置を限られたスペースに収容するために、装着脚は、代表的には、比較的短い形態であり、従って、所定の厚さに関して、比較的堅く、また、プルーフマスがそれを通って移動する距離は短い。装着脚の短さは、代表的には高い共振周波数である装置をもたらす。いくつかの用途では、比較的高い共振周波数が許容可能であるが、装置の全体の寸法を著しく増大させることなく低い共振周波数の加速度計装置を提供することが望まれる。装置が加速を感知する平面での共振周波数(面内共振周波数)を低減させることによって、装置の感度が高められることができ、雑音が低減されることができる。装置が加速を感知する平面に垂直な方向での共振周波数(面外共振周波数)を低減させることによって、バンプストップとしてプルーフマスの両側にガラス基板を使用することが可能となり、大きな面外加速が加えられた場合の装置へのダメージのリスクを低減させる。
【0007】
脚の長さを長くすることによって共振周波数が低減されることができるが、これは、装置の寸法の増大をもたらしうる。多くの用途では、サイズの増大は容認しがたい。
【0008】
装着脚の長さが装置の全体の寸法を著しく増大させることなく増大されることができる1つの方法は、例えば、屈曲した形態の装着脚を組み込むことである。米国特許第7013730号は、屈曲した形態の装着脚が設けられた加速度計装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7047808号公報
【特許文献2】米国特許第7562573号公報
【特許文献3】米国特許第7267006号公報
【発明の概要】
【0010】
屈曲した形状の脚の使用によって装着脚の長さを増大させることにより、共振周波数の所望の低減を達成することができるが、装置が大きな面外加速を受けたとき、装着脚がダメージの影響を受けやすいことが分かった。本発明は、少なくとも既に概説された欠点のうちの少なくともいくつかが克服されるか、その影響が低減される加速度計を提供することを目的とする。
【0011】
本発明によれば、支持体と、複数の装着脚によって、前記支持体に対して移動するように支持されたプルーフマスと、前記支持体と連結された複数の固定容量フィンガと、前記プルーフマスと連結された複数の可動容量フィンガとを具備し、前記固定容量フィンガは、前記可動容量フィンガと互いに噛合されており、前記装着脚は、屈曲した形状であり、各装着脚は、少なくとも、第1のほぼ直線セクションと、第2のほぼ直線セクションと、前記第1及び第2のほぼ直線セクションを互いに接続しているほぼU字形の端部セクションとを有し、前記端部セクションの厚さは、前記第1及び第2のほぼ直線セクションの両方の中央部分の厚さよりも厚い加速度計が提供される。
【0012】
加速度計が屈曲した形態の装着脚を有する場合、かなりの面外加速がそれに加えられたとき、装着脚のうち著しく高い応力が加えられる部分は端部セクションであることが分かった。装着脚の他の部分の厚さに対してこのようなセクションの厚さを増大させることによって、その故障のリスクは、装置の感度を容認できないほど低減させることなく低減させることができる。
【0013】
前記端部セクションの最大の厚さは、好ましくは、前記中央部分の厚さの少なくとも2倍である。より好ましくは、前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの少なくとも2.5倍であり、好ましくは、4倍未満である。便宜的には、前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの約3倍である。このような厚さは、故障のリスクを減らすために厚さを増大させることと、感度及びサイズが望ましくなく影響されるようなかなりの厚さの使用を回避することとの間のよいトレードオフを提供すると考えられる。
【0014】
便宜的には、各直線セクションは、その両端部にテーパ部分を有する。結果として、前記ほぼ直線セクションの厚さと前記端部セクションの厚さとの間に滑らかな移行部が達成されることができる。このような滑らかな移行部は、応力集中の形成を低減させ、従って、装着脚の故障のリスクを低減させる。
【0015】
前記第1のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは、便宜的には、前記第2のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さとは異なる。直線セクションが、使用の際、同じレベルの応力を受けず、従って、使用の際にこれらが受ける応力にほぼ直線セクションの厚さを合わせることによって、動作のさらなる増強及び故障のリスクの低減がなされることができる。
【0016】
便宜的には、各脚は、5つのほぼ直線セクションを有する。これは、必ずしもそうである必要はなく、例えば、それより多い(7など)又は少ないほぼ直線セクションを有する構成体が可能であることが理解される。装置の寸法を増大させることなく、屈曲した形態の装着脚を収容するために、より代表的な直線の装着脚を有する構成体と比較して、容量フィンガの数を減らすことが必要でありうる。装置が使用されることになっている用途に応じて、より多くの直線セクションを有する屈曲した脚を収容するために容量フィンガを減少させることが許容可能であることができる。他の用途では、容量フィンガの数を著しく減らすことは許容可能でないこともあり、従って、装置の寸法を増大させることが回避されるべきであれば、少数のほぼ直線セクションのみを備えた装着脚が必要とされることができる。
【0017】
好ましくは、各ほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは、均一である。前記中央部分は、便宜的には、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも50%を形成している。より好ましくは、前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも65%を形成し、好ましくは、85%未満を形成している。
【0018】
前記プルーフマスは、第1のプルーフマス要素と、第2のプルーフマス要素とを有し、前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素とは、接続部材によって緊密に互いに接続され、前記固定容量フィンガは、前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素との間に位置されている。このような構成体は、なされなければならない電気接続の数が、従って、電気接続の用意によって取られるスペースが減少されることができるという点で効果的である。
【0019】
本発明が、添付図面を参照して、例によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施の形態による加速度計の一部を示す平面図である。
図1a図1aは、拡大スケールでの図1の実施の形態の一部を示す平面図である。
図2図2は、拡大スケールでの図1の加速度計の一部の側面図である。
図3図3は、図1の加速度計の一部を示す、拡大スケールでの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、図2を参照すると、加速度計10が示され、加速度計10は、支持体12を有し、支持体12には、一連の装着脚16によってプルーフマス14が移動可能であるように装着されている(図1図1a並びに図3参照)。プルーフマス14、脚16及び支持体12は、互いと一体的に形成され、ほぼ同一平面上にあり、シリコンウェーハの適切なエッチング又は他の処理によって製造されている。支持体12及びプルーフマス14は、ガラス又は他の適切な材料の対の基板8の間に位置されているか、挟まれている。浅いキャビティ9が、プルーフマス14に隣接している位置で基板8に形成され、これにより、通常の使用では、プルーフマス14は基板8に係合せず、従って、自由に移動することができる。
【0022】
プルーフマス14は、対の装着脚16によって支持体12に接続された第1のマス要素18と、他の対の装着脚16によって支持体12に接続された第2のマス要素20とにより構成されている。クロスブレース22の形態である接続要素は、使用の際、第1及び第2のマス要素が同調して一緒に移動し、単一の質量体として振る舞うのを確実にするようにして、第1のマス要素18と第2のマス要素20とを互いに接続している。
【0023】
装着脚16は、全て実質的に同じ形態であり、図3は、装着脚16のうちの1つをより詳しく示している。装着脚16は、プルーフマス14にバイアス荷重を加えて、中央の静止位置に向かってプルーフマス14を付勢する。使用の際、加速度計10が感知方向(図3に示されるような方向A)への加速を受けると、プルーフマス14の慣性が、プルーフマス14を支持体12に対して移動させ、このような移動は、装着脚16の撓みによって受けられ、その中央位置に向かって戻るようにプルーフマス14を付勢する装着脚16の弾性によって加えられた回復荷重の作用に対して起こる。プルーフマス14が移動する距離は、加速度計が受ける加速の大きさに関連している。
【0024】
図3に示されるように、装着脚16の各々は、実質的に屈曲した形状であり、複数の細長い、ほぼ直線セクション16aと、曲がった端部セクション16bとを有し、直線セクションは、ほぼU字形のこれらの端部で互いに接続されている。端部セクション16bでは、ほぼ直線セクション16aと比較して、厚みが増している。図示される構成体では、各脚16は、5つのほぼ直線セクション16aを有する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、幅広い他の設計が可能なことが理解される。
【0025】
屈曲した形態の装着脚16を設けることによって、各装着脚16の全長及び可撓性が増大されるので、装置の共振周波数は、直線状の装着脚を有する代表的な構成体と比較して低減されることができる。図示される構成体では、面外共振周波数は、30〜40kHzの範囲にある。面外加速が加えられた場合には、プルーフマス14によって移動される距離は、1〜2nm/gの範囲にある。加えられる加速が、例えば、10000gを著しく超えていれば、このオーダの共振周波数を有する構成体のプルーフマスによって移動される約20μmの距離は、プルーフマス14を隣接している基板8の1つと係合させるのに十分であり、基板8とプルーフマス14との間の協働が、プルーフマス14のさらなる移動を制限する役割を果たし、従って、それへのダメージの可能性を低減させる。基板8がプルーフマス14の面外移動を制限するバンプストップとして機能するが、本発明によれば、面外応力から生じるそれへのダメージを回避するか制限するようにして、装着脚16を設計する必要がある。
【0026】
各ほぼ直線セクション16aは、ほぼ均一な厚さの中央部分16cを有する。図示される構成体では、中央部分16cは、ほぼ直線セクション16aの全長の約75%を占める。しかしながら、これは、必ずしもそうである必要はなく、他の構成が可能であり、例えば、中央部分16cは、直線セクションの全長から、例えば50%以上を占める。同様に、中央部分16cがほぼ直線セクション16aの全長のより大きな割合を占める構成体が可能である。
【0027】
中央部分16cの両端部にテーパ状領域16dが形成され、脚16の材料の厚さは、徐々に増大し、ほぼ直線セクション16aの中央部分16cから端部セクション16bまで滑らかな厚さの移行部を形成している。図示されるように、端部セクション16bは、中央部分16cの厚さよりもかなり大きな厚さである。例えば、端部セクション16bの最大の厚さTeは、中央部分16cの厚さTcの少なくとも2倍であることができる。実際、便宜的には、端部セクションの最大の厚さは、これよりも大きく、2.5〜4倍の範囲の厚さTc内にある。図示される構成体では、端部セクションの最大の厚さは、厚さTcの3倍の範囲にある。
【0028】
図面から明白でないが、ほぼ直線セクション16aの中央部分16cは、便宜的には、全て同じ厚さではない。
【0029】
既に述べられたように、プルーフマスが屈曲した形状の脚及び装置に支持され、装置が大きな加速を受けたとき、脚の所定の部分がその他の部分よりも大きな応力を受けることが分かった。特に、端部セクション16bは、ほぼ直線セクション16aよりも大きな応力荷重を受ける。ほぼ直線セクション16aの厚さに対して端部セクション16bの厚さを増大させることによって、脚16のより均一な応力が達成されることができ、故障の可能性を減少させる。厚さに関して鋭い伝達部ではなくテーパ状領域16dを設けることによって、応力分布の均一性のさらなる増強が達成されることができる。同様に、中央部分16cの各ほぼ直線セクション16aの厚さを加えられる応力に合わせることによって、より均一な応力分布が達成されることができる。
【0030】
装着脚16又はそれの部分の厚さを増大させることにより、装着脚16の硬さを増大させ、従って、面内加速への装置の感度を望ましくないように低減させてしまいうることが理解される。屈曲した形状の脚の使用は、感度を増大させることを意図しているので、その厚さを増大させる脚の部分を決定する際、及び、その厚さをどの程度増大させるかを決定する際、感度と強度とのよいバランスを達成するように注意がなされなければならない。
【0031】
図示されるように、第1のマス要素18と第2のマス要素20とは、互いに間隔を空けられており、支持体12は、その間のスペースに延びている。ブレース22はまた、このスペースを横切って延びている。また、支持体12は、ブレークを含むように形成されており、ブレース22がこのブレークを通って延びており、これにより、プルーフマス14が支持体12に対して自由に移動することができる。従って、支持体12は、上述のブレークによって分離された上側支持部分12aと下側支持部分12bとの形態を取る。
【0032】
図1並びに図1aに示されるように、第1のマス要素18は、可動容量フィンガの上側グループ24と下側グループ26とを保持しており、各フィンガが、装着脚16の直線セクション16aにほぼ平行に、従って、プルーフマス14が移動することができる方向Aにほぼ垂直に延びている。「移動可能(可動)」との用語は、個々のフィンガがプルーフマス14に対して移動することができることを示唆するのではなく、フィンガが、それ自体、支持体12に対して移動可能であるプルーフマスに設けられているという事実によって支持体12に対して移動することができることを表すために使用される。支持体12は、固定容量フィンガの第1の対の上側グループ28と下側グループ30と連結されている。上側グループ28のフィンガは、上側グループ24のフィンガと互いに噛合されており、また、下側グループ30のフィンガは、下側グループ26のフィンガと互いに噛合されている。同様に、第2のマス要素20には、可動容量フィンガの上側グループ32と下側グループ34とが設けられ、支持体12と連結された固定容量フィンガの第2の対の上側グループ36と下側グループ38と互いに噛合されている。第1の上側グループ28と第2の上側グループ36とは、支持体12の上側部分12aと連結され、また、第1の下側グループ30と第2の下側グループ38とは、支持体12の下側部分12bと連結されている。図1に示されるように、各々が互いに噛合された対のグループの各々のフィンガは、等間隔に間隔を空けられていない。各場合において、支持体12と連結されたグループ28、30、36、38の各々の固定フィンガは、プルーフマス14がその中心の静止位置を占めているとき、ブレース22からより離れた隣接している可動フィンガによりもブレース22に最も近い隣接している可動フィンガの近くに位置している。しかし、これが逆にされた構成も可能でありうる。
【0033】
使用の際、加速度計10は、図1に示される方向付けで、支持体12に対するプルーフマス14の上方移動をもたらす方向Aへの加速を受ける。これは、上側グループ24、28、32、36の最も接近しているものの間の間隔を減少させ、一方、下側グループ26、30、34、38のフィンガの中で最も接近しているものの間の間隔が、等量だけ増大する。フィンガの間隔の変化は、これらの間の静電容量の変化をもたらし、また、微分容量の適切なモニタリングによって、支持体12に対するプルーフマス14の位置の表示を与える出力が達成されることができる。プルーフマス14によって占められる位置が加えられた加速の大きさと関連しているので、静電容量のモニタリングによって、加えられた加速の大きさの表示が出力されることができることが理解される。
【0034】
静電容量がモニタされる方法は、便宜的には、米国特許第7047808号に実質的に記載されており、即ち、例えば、方形波駆動電圧が、好ましくは、接続部44に、従って、支持体12と連結された固定フィンガの第1の上側グループ28及び第2の上側グループ36に印加され、一方、同様の、しかし、反位相の、方形波駆動信号が、接続部46に、従って、固定フィンガの第1の下側グループ30及び第2の下側グループ38に印加される。接続部48によってプルーフマス14に装着された可動フィンガのグループから得られた信号の適切なモニタリング及び処理によって、加えられた加速を示す出力が達成されることができる。開ループタイプの配置の使用、又は閉ループ方法で出力が引き出されてもよい。例えば、米国特許第7047808号に記載されているように、静電容量がモニタされる方法は、大部分は既知の技術に従うので、ここではさらなる詳細は述べない。本発明の範囲から逸脱することなく、装置の出力をモニタするための他の技術が使用されてもよいことが言及されるべきである。
【0035】
図1に示されるように、加速度計10は、便宜的には、互いに隣接して位置され、これらの感知方向Aが互いに垂直であるように2つの加速度計10により構成されたより大きな加速度装置52の一部を形成している。所望であれば、基板40、42は、両加速度計10に共通であることができる。この形態の加速度装置52は、2つの垂直方向、即ち2軸での加速がモニタされることを可能にする。
【0036】
既に述べられたように、加速度計10にとって、加速度計へのダメージに屈することなく、かなりの加速に耐えることができることが望ましい。既に述べられた構成では、感知方向Aへのかなり大きな加速により、第1及び第2のマス要素18、20の各々の端部部分が、支持体12の隣接している部分に接触する。このような接触は、互いに噛合されたフィンガのうち隣接しているフィンガの間で接触が生じる前に生じ、従って、ダメージのリスク又は生じているフィンガ間の静止摩擦は、低い。図3に示されるように、このような状況でマス要素18、20と接触することができる支持体12の部分は、マス要素18、20と電気的に接続され、従って、マス要素18、20と同じ電位であり、従って、このような接触により、プルーフマス14を接地電位に対して一時的に短絡させない。図示されるように、1対の固定停止部材54が、便宜的には、マス要素18、20の移動を制限するために支持体12に設けられる。2つのこのような部材54の用意は、必要とされる荷重が、装置のエッチングに不要な複雑さを取り込むことなく与えられることができることを確実にする。
【0037】
バンプストップ54の用意にもかかわらず、フィンガの可撓性がこれらの間に接触をもたらしうる。フィンガが互いに接触する場合、フィンガには、小さい凹部58が設けられることができ、これにより、その表面全体の実質的な接触が回避されることができ、従って、これらの間の固着のリスクが低減される。
【0038】
面外荷重又は加速は、プルーフマス14と隣接している基板8との間の共働の組合せによって耐えられ、この協働はバンプストップとして機能し、また、面外荷重又は加速は、このような係合を可能にするためにプルーフマス14の十分な移動を与える屈曲した形状の脚16の使用によって達成され、また、面外荷重又は加速は、応力の比較的均一な分布により、装着脚へのダメージなく大きな荷重が適用されることができる装着脚16の設計によって達成される。
【0039】
本発明の特定の実施の形態がここに説明されてきたが、広範な変更及び変形が、本発明
の範囲から逸脱することなく、説明され図示された加速度計の設計に加えられることがで
きることが理解される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 支持体と、
複数の装着脚によって、前記支持体に対して移動するように支持されたプルーフマスと、
前記支持体と連結された複数の固定容量フィンガと、
前記プルーフマスと連結された複数の可動容量フィンガとを具備し、
前記固定容量フィンガは、前記可動容量フィンガと互いに噛合されており、
前記装着脚は、屈曲した形状であり、各装着脚は、少なくとも、第1のほぼ直線セクションと、第2のほぼ直線セクションと、前記第1及び第2のほぼ直線セクションを互いに接続しているほぼU字形の端部セクションとを有し、前記端部セクションの厚さは、前記第1及び第2のほぼ直線セクションの両方の中央部分の厚さよりも厚い加速度計。
[2] 前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの少なくとも2倍である[1]の加速度計。
[3] 前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの少なくとも2.5倍である[2]の加速度計。
[4] 前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの4倍未満である[2]又は[3]の加速度計。
[5] 前記端部セクションの最大の厚さは、前記中央部分の厚さの約3倍である[4]の加速度計。
[6] 各直線セクションは、その両端部にテーパ部分を有する[1]ないし[5]のいずれか1の加速度計。
[7] 前記テーパ部分は、前記ほぼ直線セクションの厚さと前記端部セクションの厚さとの間に滑らかな移行部を与える[6]の加速度計。
[8] 前記端部セクションは、滑らかに曲がった形態である[1]ないし[7]のいずれか1の加速度計。
[9] 前記第1のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは、前記第2のほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さとは異なる[1]ないし[8]のいずれか1の加速度計。
[10] 各脚は、5つのほぼ直線セクションを有する[1]ないし[9]のいずれか1の加速度計。
[11] 各ほぼ直線セクションの前記中央部分の厚さは均一である[1]ないし[10]のいずれか1の加速度計。
[12] 前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも50%に形成されている[11]の加速度計。
[13] 前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの少なくとも65%に形成されている[11]の加速度計。
[14] 前記中央部分は、各ほぼ直線セクションの長さの85%未満を形成している[11]の加速度計。
[15] 前記プルーフマスは、第1のプルーフマス要素と、第2のプルーフマス要素とを有し、
前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素とは、接続部材によって緊密に互いに接続され、
前記固定容量フィンガは、前記第1のプルーフマス要素と前記第2のプルーフマス要素との間に位置されている[1]ないし[14]のいずれか1の加速度計。
[16] 感知方向への前記プルーフマスの移動を制限するためのバンプストップ手段をさらに具備する[1]ないし[15]のいずれか1の加速度計。
[17] 各バンプストップ手段は、1対のバンプストップを有する[16]の加速度計。
[18] 前記1対のバンプストップは、前記支持体に設けられている[17]の加速度計。
図1
図1a
図2
図3