(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
歴史的には、電車の制動は、それについての制動システムで、熱として電車の運動エネルギーの散逸により、実行された。したがって、散逸運動エネルギーの全てが失われた。
【0005】
輸送の分野においてエネルギー消費を削減するという現在の背景において、いくつかの列車は、今後、電気エネルギーの形態で、制動の間に放散される運動エネルギーの一部を貯蔵するように特に意図されている、内部エネルギー貯蔵システムを備えている。貯蔵されている電気エネルギーは、その後、その推進のためにまたはその電気機器に補給するために同一の列車で再利用されるか、あるいは他の運転かつ充電の列車に向けて、それらの列車を運転するために、ネットワークエネルギー供給装置に送り返される。
【0006】
知られているように、鉄道ネットワークの列車の内部エネルギー貯蔵システムを介するエネルギー交換のこのプロセスは、いくつかの欠点を有している。
【0007】
具体的には、列車が備えているエネルギー貯蔵源は、限られた貯蔵容量を有する。
【0008】
その上、鉄道ネットワーク供給システムは、例えばネットワーク供給装置に接続されていない列車がエネルギーを必要とする場合に、列車の制動によって生じる電気エネルギーを必ずしも吸収できるとは限らない。
【0009】
したがって、列車のエネルギー貯蔵源がいっぱいになって、供給装置が生成された電気エネルギーを吸収できない場合、この列車の制動の間に生成された電気エネルギーの全てが、例えば発電制動装置を介して、熱の形態で放散されなければならず、全体として失われる。
【0010】
これらの問題に対応するために、当業者に知られている解決策は、ネットワークエネルギー貯蔵容量を増大させることである。
【0011】
この目的のために、処置の1つの方法は、運転列車によって生成されている電気エネルギーの一部を、元に戻すためにおよび/または貯蔵することができるように、鉄道ネットワーク供給装置に接続されている変電所を改造することである。
【0012】
処置の別の方法は、ネットワーク供給装置に、付加的な固定可逆電気エネルギー貯蔵システムを追加することである。これらは、例えば線路に沿って配置される。
【0013】
しかし、これらの解決策は、全く満足できるというわけではない。
【0014】
具体的には、ネットワーク供給システムの変電所に対して、それらを可逆にするためになされるべき改造は、高いコストがかかる。ネットワークへの新たな貯蔵源の追加も、非常に高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的の1つは、著しい低コストに向けて、運転列車によって生成される電気エネルギーのための貯蔵容量を改善した鉄道ネットワークを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明は、列車の少なくとも1つが待機かつ充電の状態に同時にあり、その内部電気エネルギー貯蔵システムがネットワークエネルギー供給装置に接続されている、上述の種類のネットワークに関する。
【0017】
本発明に係るネットワークは、単独のまたはいくつかの技術的に実現可能な組み合わせであると考えられ、以下の特徴の1つ以上を備えることができる。
【0018】
一旦、鉄道ネットワークの複数の列車が運転状態になると、待機かつ充電の状態に同時にある鉄道ネットワークの列車の割合は、1%から10%の間であり、特に10%である。
【0019】
鉄道ネットワークのピーク時の間、待機かつ充電の状態に同時にある鉄道ネットワークの列車の割合は、1%から10%の間であり、特に5%である。
【0020】
ネットワークのオフピーク時の間、待機かつ充電の状態に同時にある鉄道ネットワークの列車の割合は、5%から10%の間であり、特に10%である。
【0021】
ネットワークは、次の群:店(shop)、メンテナンス場所、駐車場、ガレージ、停車場、駅から選択される少なくとも1つの長期駐車位置を備えており、待機かつ充電の状態に同時にある列車または各列車は、前記少なくとも1つの長期駐車位置に位置している。
【0022】
少なくとも1つの列車を接続するための手段は、前記列車が充電されかつ待機状態にある場合に、推進手段を、ネットワークエネルギー供給装置およびその内部電気エネルギー貯蔵システムから分離することが可能である制御可能スイッチを備えている。
【0023】
各列車の一組の補助装置は、一方で、前記一組の補助装置をネットワークエネルギー供給装置および/または内部電気エネルギー貯蔵システムに接続すること、および、他方で、前記一組の補助装置をネットワークエネルギー供給装置および内部電気エネルギー貯蔵システムから分離することが可能である補助制御可能スイッチを備えている。
【0024】
本発明のさらなる主題は、上記で定義される鉄道ネットワーク内でのエネルギー交換プロセスである。
【0025】
ここで、ネットワークの各列車は、
・接続手段を介してネットワークエネルギー供給装置に接続されており、その内部電気エネルギー貯蔵システムが前記供給装置に接続されている場合に、充電され、
・接続手段を介してネットワークエネルギー供給装置に接続されておらず、その内部電気エネルギー貯蔵システムが前記供給装置に接続されていない場合に、電源が切られ、
・その一組の補助装置がネットワークエネルギー供給装置またはその内部電気エネルギー貯蔵システムに接続されており、かつ列車が線路に沿って移動可能であり、その推進手段が制動により電気エネルギーを生成することができる場合に、運転状態にあり、
・その一組の補助装置がネットワークエネルギー供給装置およびその内部電気エネルギー貯蔵システムから分離されており、列車が線路に沿って移動できない場合に、待機状態にある。
【0026】
そしてエネルギー交換プロセスは、
・運転かつ充電の状態にある列車の制動の工程と、
・前記列車の制動から生じる電気エネルギーの全部または一部を、待機かつ充電の状態にある1つ以上の列車の内部電気エネルギー貯蔵システムに貯蔵する工程と、
ネットワークエネルギー供給装置を介して、待機かつ充電の状態に同時にある列車または各列車の内部電気エネルギー貯蔵システムに貯蔵されているエネルギーの全部または一部を、運転状態にある鉄道ネットワークの1つ以上の他の列車に供給する工程と、を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、単に例として与えられ、添付の図面を参照してなされる、以下の説明を読むことから、より理解されるだろう。
【0029】
次の文章全体を通して、用語「列車」は、列車、路面電車、地下鉄、または任意の他の電気自走式要素のいずれかを指定するように、使用されている。また、用語「右」および「左」は、図面を参照して使用されているが、限定するものではない。
【0030】
図1を参照すると、本発明に係る鉄道ネットワーク10は、線路12、ネットワークエネルギー供給装置14および複数の列車16を備えている。
【0031】
線路12は、列車16が移動するための平行な一対で配置されているレール17を備えている。
【0032】
以下の文章で「供給装置14」と呼ばれるネットワークエネルギー供給装置14は、鉄道ネットワーク10の列車16に、例えば、それらの推進のため、または搭載機器(照明、空調など)に補給するため、それらを運転するのに必要な電気エネルギーを供給することができる。
【0033】
供給装置14は、(図示しない)エネルギー源、1つ以上の架空線18および固定可逆エネルギー貯蔵システム19を備えている。
【0034】
架空線18は、列車16の各々の電気接続を、互いの間でかつ供給装置14のエネルギー源に対して、可能とすることができる。
【0035】
この目的のために、架空線18は、線路12の上方に配置されている。
【0036】
固定可逆電気エネルギー貯蔵システム19は、線路に沿って配置されている。それらは、架空線18に接続されており、供給装置14から生じる電気エネルギーを貯蔵し、かつ供給装置14に貯蔵電気エネルギーを戻すことができる。このような固定可逆電気エネルギー貯蔵システム19は、当業者に知られている。
【0037】
その上、
図1を参照すると、各列車16は、供給装置14に接続するための手段20、推進手段22および内部電力貯蔵システム24を有している。さらに、各列車16は、以下でそれぞれ「補助システム25」および「低電圧システム27」と呼ばれており、以下で詳細に説明される一組の補助装置25および一組の低電圧補助装置27も備えている。
【0038】
各列車16の接続手段20は、供給装置14と列車16のさまざまな要素との間のエネルギーの双方向転送を可能にすることができる。
【0039】
この目的のために、既知の方法で、これらの接続手段20は、導電性ケーブル28、列車16の屋根に固定されている少なくとも1つのパンタグラフ29、およびパンタグラフ29または各パンタグラフ29を作動するための手段29Aを備えている。
【0040】
パンタグラフ29または各パンタグラフ29は、作動手段29Aを介して、列車16上で折り畳まれかつ架空線18から間隔を空けられている位置と、架空線18と接触している配備位置と、の間で配備可能である。
【0041】
ケーブル28は、
図1に示されるように、推進手段22、内部エネルギー貯蔵システム24、補助システム25、低電圧システム27、パンタグラフ29または各パンタグラフ29、および作動手段29Aを一緒に接続し、かつ供給装置14に対して接続することができる。
【0042】
各列車16は、このようになっている。
・列車が供給装置14に接続されており、そのパンタグラフまたはパンタグラフ群29が配備位置にあり、その結果、内部電気エネルギー貯蔵システム24が接続手段20を介して供給装置14に少なくとも接続される場合に、充電される。または、
・列車が供給装置14に接続されておらず、パンタグラフ29が折り畳み位置にあり、その結果、推進手段22および内部電力貯蔵システム24が供給装置14に接続されていない場合、電源が切られる。
【0043】
作動手段29Aは、バッテリおよびエアシリンダ(これらは図示していない)によって補給される圧縮機を備えている。
【0044】
代替的には、作動手段29Aは、バッテリにより補給される電気モータ、または列車16の空気供給装置により補給されるエアシリンダを備えている。
【0045】
作動手段29Aは、例えば、列車16の長期駐車の後に、パンタグラフ29の配備を確実にすることができ、一旦、パンタグラフ29または各パンタグラフ29が配備位置になると、列車16の他の構成要素から独立したやり方で、それらが備えているバッテリが供給装置14を介して電気エネルギーで充電されることが可能である。
【0046】
列車16の推進手段22は、加速段階の間、推進手段22が受け取る電気エネルギーを運動エネルギーに変換すること、および、制動段階の間、列車16の運動エネルギーを電気エネルギーに変換すること、が可能である。推進手段22によって受け取られる電気エネルギーは、以下で示されるように、供給装置14または列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24から生じる。
【0047】
この目的のために、推進手段22は、線路12と係合する車輪30と、車輪30に接続されている可逆モータユニット32も備えている。
【0048】
可逆モータユニット32は、電気エネルギーで補給されている場合に車輪30を作動させること、あるいは、車輪30に加えられている制動トルクを生成することによっておよび電気エネルギーを供給することによって、車輪30を制動することができる。その結果、この電気エネルギーの全部または一部は、列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24に送られるか、あるいは接続手段20を介して供給装置14に送られる。
【0049】
列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24は、推進手段22から生じるまたは供給装置14から生じる電気エネルギーを、受け取ることおよび貯蔵することができる。さらに、内部電力貯蔵システム24は、貯蔵エネルギーを、推進手段22、供給装置14、および補助システム25と低電圧システム27とに、戻すことができる。
【0050】
この目的のために、内部電気エネルギー貯蔵システム24は、推進手段22と、補助システム25および低電圧システム27とに、接続されており、供給装置14および接続手段20を介して他の列車16に接続可能である。
【0051】
既知の方法で、内部電気エネルギー貯蔵システム24は、例えば1つ以上のフライホイール、1つ以上の電源バッテリ、および/または1つ以上のスーパーキャパシタアセンブリ(これらは示されていない)を備えている。
【0052】
補助システム25は、低電圧システム27と共に、列車16の資機材整備(material preparation)、いわば、以下で示されるように、列車16が線路12に沿って移動しかつ乗客を受け入れることができるようにすること、を可能にするように設計されている。
【0053】
補助システム25は、補助装置33と、電気ケーブル28と補助機器33との間に配置されている補助制御可能スイッチ35と、を備えている。
【0054】
補助装置33は、列車16の移動に必要な資機材または電気系統を備えている。補助装置33は、例えば車輪30に対する制動回路、推進手段22の診断回路、制御回路、推進および安全を制御するための、通信のための、列車の主回路遮断器を制御するための、換気のための、かつ緊急照明のための電子回路を備えている。
【0055】
補助制御可能スイッチ35は、以下のことが可能である。
【0056】
閉位置において、補助装置33を、一方で、内部電気エネルギー貯蔵システム24に接続し、他方で、列車16が充電される場合に供給装置14に接続すること。および、
開位置において、補助装置33を、供給装置14および内部電気エネルギー貯蔵システム24から分離すること。
【0057】
低電圧システム27は、以下で示されるように、補助システム25と共に列車16の資機材整備を可能にすることができる。
【0058】
低電圧システム27は、低電圧機器36と、電気ケーブル28と低電圧機器36との間に配置されている低電圧制御可能スイッチ37を備えている。
【0059】
低電圧機器36は、乗客の存在にとって適した列車を製造するのに必要なシステムを備えている。低電圧機器36は、例えば、列車16のための照明システム、列車のための空調システム、列車16の扉の安全制御のための、換気のための、情報を表示するための、バッテリ充電のための、かつ空気供給のための、システムを備えている。
【0060】
低電圧制御可能スイッチ27は、以下のことが可能である。
【0061】
閉位置において、低電圧機器36を、一方で内部電気エネルギー貯蔵システム24に接続し、他方で列車16が充電される場合に供給装置14に接続すること。および、
開位置において、低電圧機器36を、供給装置14および内部電気エネルギー貯蔵システム24から分離すること。
【0062】
供給装置14および/または内部電気エネルギー貯蔵システム24への補助システム25および低電圧システム27の、それらのそれぞれの制御可能スイッチ35、37を閉位置に設定することによる、接続およびその接続の維持は、列車16を線路に沿って移動させかつ乗客を受け入れることを可能にするために必要である。
【0063】
補助機器33が推進手段22の制御回路を備えているので、補助制御可能スイッチ35を開位置に保つことは、列車が移動できないようにするのに十分であることに、留意すべきである。
【0064】
各列車16は、「待機」状態と「動作」状態との間で切り替えることができ、その逆の場合も同様である。
【0065】
待機状態では、補助システム25および低電圧システム27は、それらのそれぞれの制御可能スイッチ35、37を開位置に設定することにより、供給装置14および内部電気エネルギー貯蔵システム24から分離される。
【0066】
したがって、この待機状態では、列車16は、線路12に沿って移動することができず、乗客を受け入れることができない。
【0067】
対照的に、運転状態では、補助システム25および低電圧システム27は、供給装置14および/または内部電気エネルギー貯蔵システムに接続されたままである。こうして、列車16は、線路12に沿って移動し、かつ乗客を受け入れることができ、その推進手段22は、制動による電気エネルギーを生成することができる。
【0068】
既知の方法では、待機状態から運転状態への列車16の切り替えは、資機材整備の名がついている。
【0069】
この資機材整備の間に、補助システム25および低電圧システム27のそれぞれの制御可能スイッチ35、37は、閉位置に設定されており、その結果、これらのシステム25、27は、一方で、内部電気エネルギー貯蔵システム24に接続され、かつ、他方で、列車16が充電される場合に供給装置14に接続される。
【0070】
したがって、列車16は、資機材整備の間に充電される。
【0071】
この資機材整備は、一般的に数分より長く持続し、資機材整備の間に、列車16のバッテリにより補給される全ての回路は充電され、これらの回路は、推進かつ自己診断手段22の電子制御回路を備えている。
【0072】
条件の全部が満たされた場合に、列車16の主回路遮断器を事前充電しかつ係合するシーケンスが、開始される。
【0073】
空気圧回路を備えている列車16の場合、列車16の圧縮機は、空気供給装置を満たす。したがって、一旦、空気供給装置の圧力が、制動および列車サスペンションシステムの適切な機能を確実にするのに十分になると、列車16の固定ブレーキは、解除のみされることができる。
【0074】
列車16の資機材整備の終了時に、後者は、運転かつ充電の状態にあり、線路12に沿って移動し、乗客を受け入れることができる。
【0075】
その上、その結果、線路12に沿って移動するために、(例えば、乗客が乗降するための駅での商業停止(commercial stop)の間に)静止位置にあることからほとんど瞬時に切り替えることができる。
【0076】
運転状態から待機状態への列車16の切り替えは、資機材未整備(material depreparation)の名がついている。
【0077】
資機材未整備の間、補助システム25および低電圧システム27の制御可能スイッチ35、37は、開位置に設定されている。したがって、補助装置33および低電圧機器36は、待機の状態にされ、列車16は、乗客の存在にとって不適当になり、かつ線路12に沿って移動することができなくなる。
【0078】
したがって、列車16の電源の切断は、資機材未整備の間に行われている。
【0079】
列車16の資機材未整備の目的のために、列車16は、鉄道ネットワーク10の長期駐車位置38、例えば、店、メンテナンス場所、駐車場、ガレージ、停車場、駅などに、移動させる。
【0080】
一旦、列車16の資機材未整備が達成されると、列車は、待機かつ電源切断状態にあり、したがって、その資機材整備が再度実行されるまで、線路12に沿って移動しかつ乗客を受け入れることが完全にできない。
【0081】
本発明に係る鉄道ネットワーク10では、待機状態にある少なくとも1つの列車16は、列車16が線路に沿って移動できないままである間、その内部エネルギー貯蔵システム24が供給装置14に接続されるように、資機材整備が行われることなく、特に充電されたままである。
【0082】
実際には、これを行うために、列車16の内部エネルギー貯蔵システム24の運転および診断に関する回路は、選択的に充電される。
【0083】
図1における例では、この図における2つの左側の列車は、待機かつ充電の状態に同時にある。これとは対照的に、同じ
図1における右側の2つの列車は、運転かつ充電の状態にある。
【0084】
待機かつ充電の状態にある列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24は、供給装置14から発生するエネルギーを受け取りかつ貯蔵することと、供給装置14を介してこのエネルギーを送り返すことと、ができる。
【0085】
一旦、複数の列車16に運転状態になると、待機かつ充電の状態に同時になっているネットワーク10の列車16の割合は、1%から10%の間であり、特に10%である。
【0086】
運転状態にある列車16がないとき、どの列車16も待機かつ充電の状態に保たないことが有利であることに、留意されたい。このことは、例えば列車16を使用する乗客がいない場合、一般に夜間の場合である。
【0087】
有利には、待機かつ充電の状態にある列車16の割合は、多くの基準、例えば、鉄道ネットワーク10を使用する人々の数との関係で、決定される。
【0088】
したがって、「ピーク」時として知られているものの間、列車16により生成される制動電気エネルギーを消費するのに統計的に常に十分な、運転状態にある列車16が存在する。
【0089】
対照的に、オフピーク時の間、ある列車16が電気エネルギーの消費体となっている一方、別の列車16が供給体となっている確率は、減少する。
【0090】
したがって、ピーク時の間、鉄道ネットワーク10上で待機かつ充電の状態にある列車16の必要性は、ネットワーク10の「オフピーク」時として知られているものよりも低い。
【0091】
ネットワーク10のピーク時の間、待機かつ充電の状態に同時にある列車16の割合は、1%から10%の間であり、特に5%である。
【0092】
ネットワーク10のオフピーク時の間、待機かつ充電の状態に同時にある列車16の数は、5%から10%の間であり、特に10%である。
【0093】
本発明に係る鉄道ネットワーク10の機能およびこの鉄道ネットワーク10の列車16間でエネルギーを転送する処理40が、特に
図1および
図2を参照して、これから説明されるだろう。
【0094】
鉄道ネットワーク10において、運転状態にある列車16が制動工程310の間に制動する場合、列車16の可逆モータユニット32によって生成されるエネルギーの全部または一部は、その内部電気エネルギー貯蔵システム24に向けておよび/または供給装置14に送られる。
【0095】
制動の間に生成される電気エネルギーの送り先を決定する基準は、当業者に公知であり、特に架空線18のインピーダンスを備えている。インピーダンスは、電気エネルギーが供給装置14に沿って通過するときにエネルギーの散逸を引き起こす。強いインピーダンスは、例えば架空線18の破損から発生し、望ましくない。したがって、列車16の制動の間に発生するエネルギーは、好ましくは、列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24に貯蔵される。
【0096】
したがって、列車16の制動工程310の間に生成されて供給装置14に供給される電気エネルギーは、
1つ以上の他の列車16が運転するために、運転状態にあるネットワーク10の1つ以上の他の列車16の推進手段22および/または補助システム25および低電圧システム27によって、または、貯蔵のための列車16またはこれらの列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24によって、および/または
1つ以上の固定可逆エネルギー貯蔵システム19によって、および/または
貯蔵工程320の間、待機かつ充電の状態に同時にある1つ以上の列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24であって、その結果、列車16またはこれらの列車16のそれぞれの内部電気エネルギー貯蔵システム24が常に供給装置14に接続されている内部電気エネルギー貯蔵システム24によって、
収集される。
【0097】
供給工程330の間、貯蔵工程320の間に同時に待機しかつ充電されている列車16または各列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24に貯蔵された電気エネルギーの全部または一部は、上述したように、列車16が運転するために、運転かつ充電の状態にある列車16に供給装置14を介して送り返される。
【0098】
したがって、本発明に係る鉄道ネットワーク10は、線路12に沿って新たな独立した貯蔵システムを物理的に追加することなく、かつ既存の電気エネルギー貯蔵システムを変更する必要なく、追加の電気エネルギー貯蔵システムを有することを可能にする。
【0099】
したがって、本発明に係る鉄道ネットワーク10における回生制動から生じる電気エネルギーのための貯蔵容量を増大させることに関連するコストは、大幅に低減される。
【0100】
その上、供給装置14を通過し、かつ列車16の回生制動から生じる電気エネルギーの量が、増大するので、供給源によって供給される必要がある電気エネルギーおよび架空線18における電流および電圧のピークもまた、それに応じて減少する。
【0101】
より詳細には、本発明に係る鉄道ネットワーク10は、上述したように、あまり人々がネットワークを使用しない時間の間に、鉄道ネットワーク10のエネルギーバランスの特別に具体的な改善を可能にする。
【0102】
最後に、既知の方法において、固定可逆変電所19は、大型で高価なフィルタ装置が設けられている場合にのみ、供給装置14に高調波成分に関して十分な品質の電流を戻すことができ、列車に設置されている内部エネルギー貯蔵システムとは異なり、使用することができる前にほとんど変換を必要としない良質の電流を戻す、高価な装置である。
【0103】
したがって、固定可逆変電所19におけるよりもむしろ列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24における電気エネルギーの貯蔵は、供給装置14を介して流れる電気エネルギーの品質を改善することができる。
【0104】
(図示せぬ)変形例において、供給装置14は、架空線または架空線群18の代わりに、1つ以上の供給レールを備えている。
【0105】
このようなレールは、線路12と平行な地面に配置されている。
【0106】
変形例において、
図3を参照すると、少なくとも1つの列車16の接続手段20は、列車16が充電されておりかつその内部電気エネルギー貯蔵システム24それ自身が供給装置14に接続されている場合に、供給装置14への推進手段22の接続を妨げることができる装置438を備えている。
【0107】
この目的のために、装置438は、電気ケーブル28と推進手段22との間に配置されており、列車16が充電かつ待機の状態にある場合に、供給装置14および内部電気エネルギー貯蔵システム24から推進手段22を分離することができる、制御可能スイッチ440を備えている。
【0108】
この変形例は、待機状態にあってその結果充電される列車16の充電部品の数を最小化するために有利に使用される。このことは、より具体的には、充電列車16の推進手段22を電源が切られたままに保つことができる。このことは、例えば、運転状態にある鉄道ネットワーク10上の列車16にエネルギーを受け取り、貯蔵し、かつ供給するために、列車16の内部電気エネルギー貯蔵システム24を供給装置14に接続されたままに保つ間に、推進手段22のメンテナンスを実行するために、必要である。
【0109】
変形例において、鉄道ネットワーク10において必要とされる電気エネルギーの貯蔵容量に応じて決定される時間の間、待機状態にある列車16は、連続的に充電されかつ電源が切られているか、またはその逆である。
【0110】
したがって、待機列車16は、その内部電気エネルギー貯蔵システム24の貯蔵容量が必要とされない場合に電源が切られており、このことが運転列車16の制動から生じるエネルギーを貯蔵するために必要であるとわかる場合に充電される。