【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要約
本発明の目的は、以下:
a)水;
b)水分散性樹脂;
c)着色剤;
d)水溶性樹脂であって、前記水溶性樹脂は、骨格および安定化基を含み、前記安定化基は、分子間水素結合を形成することができる、水溶性樹脂、
を含むインク組成物において達成される。
【0005】
水分散性樹脂
本発明の前記インクジェットインクは、記録媒体への前記着色剤定着性の観点から、水分散性樹脂を含んでもよい。前記水分散性樹脂はまた、ラテックス樹脂とも称される。前記水分散性樹脂としては、フィルム形成性(画像形成性)に優れ、高撥水性、高耐水性、および高耐候性を有する、水分散性樹脂が、高耐水性および高画像濃度(高発色能)を有する画像の記録に有用である。
【0006】
前記水分散性樹脂の例には、縮合合成樹脂、付加合成樹脂および天然ポリマー化合物が含まれる。
【0007】
前記合成樹脂の例には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素系樹脂が含まれる。
【0008】
前記付加合成樹脂の例には、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリレートコポリマー樹脂および不飽和カルボン酸系樹脂が含まれる。
【0009】
前記天然ポリマー化合物の例には、セルロース、ロジン、および天然ゴムが含まれる。
【0010】
本発明に使用される前記水分散性樹脂は、例えば、カルボキシル基またはスルホ基などの水溶性官能基を有する樹脂製であり得る。前記水分散性樹脂の例は、以下:ビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、からなる群からの少なくとも1種でできているか、またはこれらの樹脂の混合物であってもよい。
【0011】
商業的に入手可能な水分散性樹脂エマルションの例には:Joncryl 537および7640(スチレンアクリル樹脂エマルション、Johnson Polymer社製)、Microgel E−1002およびE−5002(スチレンアクリル樹脂エマルション、日本ペイント社製)、Voncoat 4001(アクリル樹脂エマルション、大日本インキ化学工業社製)、Voncoat 5454(スチレンアクリル樹脂エマルション、大日本インキ化学工業社製)、SAE−1014(スチレンアクリル樹脂エマルション、日本ゼオン社製)、Jurymer ET−410(アクリル樹脂エマルション、日本純薬社製)、Aron HD−5およびA−104(アクリル樹脂エマルション、東亜合成社製)、Saibinol SK−200(アクリル樹脂エマルション、サイデン化学社製)、およびZaikthene L(アクリル樹脂エマルション、住友精化社製)、DSM Neoresinのアクリルコポリマーエマルション、例えば、NeoCryl製品ライン、特にアクリルスチレンコポリマーエマルションであるNeoCryl A−662、NeoCryl A−1131、NeoCryl A−2091、NeoCryl A−550、NeoCryl BT−101、NeoCryl SR−270、NeoCryl XK−52、NeoCryl XK−39、NeoCryl A−1044、NeoCryl A−1049、NeoCryl A−1110、NeoCryl A−1120、NeoCryl A−1127、NeoCryl A−2092、NeoCryl A−2099、NeoCryl A−308、NeoCryl A−45、NeoCryl A−615、NeoCryl A−633、NeoCryl BT−24、NeoCryl BT−26、NeoCryl BT−26、NeoCryl XK−15、NeoCryl X−151、NeoCryl XK−232、NeoCryl XK−234、NeoCryl XK−237、NeoCryl XK−238−NeoCryl XK−86、NeoCryl XK−90およびNeoCryl XK−95、Alberdingk boley有限会社から入手可能な、例えば、Alberdingk(登録商標) U6100、U6150、U8001、U9150、U9370、U9380、U9700、U9800、UC90、UC150、UC300、UC300 VPまたはUC310樹脂などのAlberdingk boley有限会社製のアクリルコポリマーエマルション、Alberdingk boley有限会社製のスチレンアクリルコポリマーエマルションまたはポリエステル−ポリウレタン樹脂、が含まれる。しかしながら、前記水分散性樹脂エマルションは、これらの例に限定されない。
【0012】
前記水分散性樹脂を、ホモポリマー、コポリマーまたは複合樹脂の形態で使用してもよく、単一相構造またはコアシェル構造を有する全ての水分散性樹脂およびパワーフィードエマルション重合(power-feed emulsion polymerization)により調製されたものを、使用してもよい。
【0013】
前記水分散性樹脂としては、自身が親水性基および自己分散性を有する樹脂、ならびに自身に分散性はないが、界面活性剤および親水性基を有する別の樹脂の使用により分散性を付与された樹脂を使用することができる。これらの樹脂の中でも、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂のアイオノマーの乳化重合または懸濁重合により得られた樹脂微粒子のエマルションが、最も好ましく使用される。不飽和モノマーの乳化の場合には、樹脂エマルションを前記不飽和モノマー、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤およびpH調整剤を添加した水を反応させることにより得る。このように、前記樹脂構成成分を変更することができるので、水分散性樹脂を容易に得ることができ、所望の特性を容易に得ることができる。
【0014】
前記不飽和モノマーとしては、不飽和カルボン酸、単官能性または多官能性の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、(メタ)アクリル酸アミドモノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアノ化合物モノマー、ビニルモノマー、アリル化合物モノマー、オレフィンモノマー、ジエンモノマー、および不飽和炭素を有するオリゴマーを、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。これらのモノマーを組み合わせることにより、特性または得られる樹脂を、柔軟に修飾することができる。得られた樹脂の前記特性をまた、重合反応またはグラフト反応により、オリゴマータイプの重合開始剤を使用して修飾することができる。
【0015】
前記不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸およびマレイン酸が含まれる。
【0016】
前記単官能性の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの例には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、およびアクリロキシエチルトリメトキシアンモニウム塩が含まれる。
【0017】
前記多官能性の(メタ)アクリル酸モノマーの例には、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピルオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、およびジペンタエリトリトールヘキサアクリレートが含まれる。
【0018】
前記(メタ)アクリル酸アミドモノマーの例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチアクリルアミド、メチレン−ビス−アクリルアミド、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が含まれる。前記芳香族ビニルモノマーの例には、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、およびジビニルベンゼンが含まれる。
【0019】
前記ビニルシアノ化合物モノマーの例には、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルが含まれる。
【0020】
前記ビニルモノマーの例には、ビニルアセテート、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸またはその塩、ビニルトリメトキシシラン、およびビニルトリエトキシシランが含まれる。
【0021】
前記アリル化合物モノマーの例には、アリルスルホン酸またはその塩、アリルアミン、塩化アリル、ジアリルアミン、およびジアリルジメチルアンモニウム塩が含まれる。
【0022】
前記オレフィンモノマーの例には、エチレンおよびプロピレンが含まれる。前記ジエンモノマーの例には、ブタジエン、およびクロロプレンが含まれる。
【0023】
不飽和炭素を有する前記オリゴマーの例には、メタクリロイル基を有するスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を有するスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を有するメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を有するジメチルシロキサンオリゴマー、およびアクリロイル基を有するポリエステルオリゴマーが含まれる。
【0024】
本発明の前記インク組成物中で添加される前記水分散性樹脂の含量は、前記インクの合計重量に基づいて1〜40重量%であり、好ましくは、1.5〜30重量%であってもよく、より好ましくは、2〜25重量%であってもよい。なおより好ましくは、前記インクジェットインク中に含有される前記水分散性樹脂の量は、固体含有量として、前記インク組成物合計量に対して、2.5重量%〜15重量%であり、なおより好ましくは、3重量%〜7重量%である。前記インクジェットインクの前記固体含有量を、例えば、前記水分散性樹脂部分および水分散性着色剤部分などの前記インク組成物の水分散性構成成分のみを、前記インクジェットインクから分離する方法により決定できることに留意すべきである。さらに、顔料を水分散性着色剤として使用する場合には、得られるインクジェットインクの質量減少比を、熱質量分析により評価し、それにより、前記着色剤部分および前記水分散性樹脂部分間の質量比を測定することが可能となる。前記着色剤が、重金属原子および分子骨格に含まれる無機顔料、または金属含有有機顔料または金属含有染料である場合には、前記着色剤の前記固体含有量を、蛍光X線分析によりまたはTGAにより決定することができる。
【0025】
前記水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、好ましくは、10nm〜1μmであってもよく、より好ましくは、2〜500nmであってもよく、なおより好ましくは、10〜200nmであってもよく、特別に好ましくは、20〜200nmであってもよい。
【0026】
前記平均粒径(D50)が、2nmより小さい場合には、前記画像品質を改善するかまたは前記画像の転移特性を強化する有意な効果は、凝集が生じた場合であっても十分に期待できない。
【0027】
前記水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、前記分散液体の粘度に関係し得る。同一の組成を有する水分散性樹脂の場合には、粒径が小さくなるほど、同一の固体含有量で粘度がより高くなる。
【0028】
前記平均粒径(D50)が、1μmより大きい場合には、前記インクジェットヘッドからの前記インクの吐出特性または前記インクの保管安定性が悪化する可能性があり得る。前記インク吐出安定性を損なわないために、前記水分散性樹脂の前記平均粒径(D50)は、好ましくは、200nmまたはそれより小さく、より好ましくは、150nmまたはそれより小さいものであり得る。
【0029】
さらに、前記ポリマー粒子の粒径分布に具体的な制限は全くなく、前記ポリマー粒子は、幅広い粒径分布を有することができるか、または前記ポリマー粒子は、単一分散タイプの粒径分布を有することができる。
【0030】
態様において、2種または3種以上の水分散性樹脂を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
着色剤
前記着色剤は、前記インク組成物に色を付与してもよい。前記着色剤は、顔料または染料であってもよい。前記染料は、前記インク組成物および/または前記ラテックス樹脂中で溶解してもよい。
【0032】
代替的に、前記着色剤は、顔料であってもよい。前記顔料は、前記インク組成物中に溶解しないことがある。前記顔料は、前記インク組成物中に分散可能であり得る。代替的に、染料および顔料の混合物を、前記着色剤として使用してもよい。
【0033】
本発明において使用可能な前記顔料の例には、いかなる限定もされず、一般に知られるものが含まれる。前記顔料の例は、特に限定されないが、好ましくは、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、またはジケトピロロピロール着色剤である。
【0034】
例えば、黒色および色インクについての無機顔料および有機顔料を例示する。これらの顔料を、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。前記無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加えて、例えば、接触法、炉法(furnace method)および熱的方法などの既知の方法により製造されたカーボンブラックを使用することが可能である。
【0035】
前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、濃縮顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、およびキノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料タイプキレートおよび酸性染料タイプキレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックを使用することが可能である。これらの中で、特に、水との高い親和性を有する顔料が、好ましく使用される。
【0036】
好ましく使用可能な具体的顔料を、以下にリスト化する。
【0037】
マゼンタ色または赤色の顔料の例には:C.I. Pigment Red 1,C.I. Pigment Red 2,C.I. Pigment Red 3,C.I. Pigment Red 5,C.I. Pigment Red 6,C.I. Pigment Red 7,C.I. Pigment Red 15,C.I. Pigment Red 16,C.I. Pigment Red 17,C.I. Pigment Red 22,C.I. Pigment Red 23,C.I. Pigment Red 31,C.I. Pigment Red 38,C.I. Pigment Red 48:1,C.I. Pigment Red 48:2(パーマネントレッド 2B(Ca)),C.I. Pigment Red 48:3,C.I. Pigment Red 48:4,C.I. Pigment Red 49:1,C.I. Pigment Red 52:2;C.I. Pigment Red 53:1,C.I. Pigment Red 57:1(ブリリアントカーミン(Carmin) 6B),C.I. Pigment Red 60:1,C.I. Pigment Red 63:1,C.I. Pigment Red 64:1,C.I. Pigment Red 81.C.I. Pigment Red 83,C.I. Pigment Red 88,C.I. Pigment Red 101(ベンガラ),C.I. Pigment Red 104,C.I. Pigment Red 106,C.I. Pigment Red 108(カドミウムレッド),C.I. Pigment Red 112,C.I. Pigment Red 114,C.I. Pigment Red 122(キナクリドンマゼンタ),C.I. Pigment Red 123,C.I. Pigment Red 139,C.I. Pigment Red 44,C.I. Pigment Red 146,C.I. Pigment Red 149,C.I. Pigment Red 166,C.I. Pigment Red 168,C.I. Pigment Red 170,C.I. Pigment Red 172,C.I. Pigment Red 177,C.I. Pigment Red 178,C.I. Pigment Red 179,C.I. Pigment Red 185,C.I. Pigment Red 190,C.I. Pigment Red 193,C.I. Pigment Red 209,C.I. Pigment Red 219およびC.I. Pigment Red 222,C.I. Pigment Violet 1(ローダミンレーキ),C.I. Pigment Violet 3,C.I. Pigment Violet 5:1,C.I. Pigment Violet 16,C.I. Pigment Violet 19,C.I. Pigment Violet 23およびC.I. Pigment Violet 38、が含まれる。
【0038】
オレンジ色または黄色の顔料の例には:C.I. Pigment Yellow 1,C.I. Pigment Yellow 3,C.I. Pigment Yellow 12,C.I. Pigment Yellow 13,C.I. Pigment Yellow 14,C.I. Pigment Yellow 15,C.I. Pigment Yellow 15:3,C.I. Pigment Yellow 17,C.I. Pigment Yellow 24,C.I. Pigment Yellow 34,C.I. Pigment Yellow 35,C.I. Pigment Yellow 37,C.I. Pigment Yellow 42(鉄黄),C.I. Pigment Yellow 53,C.I. Pigment Yellow 55,C.I. Pigment Yellow 74,C.I. Pigment Yellow 81,C.I. Pigment Yellow 83,C.I. Pigment Yellow 93,C.I. Pigment Yellow 94,C.I. Pigment Yellow 95,C.I. Pigment Yellow 97,C.I. Pigment Yellow 98,C.I. Pigment Yellow 100,C.I. Pigment Yellow 101,C.I. Pigment Yellow 104,C.I. Pigment Yellow 408,C.I. Pigment Yellow 109,C.I. Pigment Yellow 110,C.I. Pigment Yellow 117,C.I. Pigment Yellow 120,C.I. Pigment Yellow 128,C.I. Pigment Yellow 138,C.I. Pigment Yellow 150,C.I. Pigment Yellow 151,C.I. Pigment Yellow 153およびC.I. Pigment Yellow 183;C.I. Pigment Orange 5,C.I. Pigment Orange 13,C.I. Pigment Orange 16,C.I. Pigment Orange 17,C.I. Pigment Orange 31,C.I. Pigment Orange 34,C.I. Pigment Orange 36,C.I. Pigment Orange 43,およびC.I. Pigment Orange 51、が含まれる。
【0039】
緑色またはシアン色の顔料の例には:C.I. Pigment Blue 1,C.I. Pigment Blue 2,C.I. Pigment Blue 15,C.I. Pigment Blue 15:1,C.I. Pigment Blue 15:2,C.I. Pigment Blue 15:3(フタロシアニンブルー),C.I. Pigment Blue 16,C.I. Pigment Blue 17:1,C.I. Pigment Blue 56,C.I. Pigment Blue 60,C.I. Pigment Blue 63,C.I. Pigment Green 1,C.I. Pigment Green 4,C.I. Pigment Green 7,C.I. Pigment Green 8,C.I . Pigment Green 10,C.I. Pigment Green 17,C.I. Pigment Green 18およびC.I. Pigment Green 36、が含まれる。
【0040】
上記の顔料に加えて、赤色、緑色、青色または中間色が要求される場合には、以下の顔料を個別にまたはそれらを組み合わせて用いることが好ましい。用いることが可能な顔料の例には:C.I. Pigment Red 209,224,177,および194,C.I. Pigment Orange 43,C.I. Vat Violet 3,C.I. Pigment Violet 19,23,および37,C.I. Pigment Green 36,および7,C.I. Pigment Blue 15:6、が含まれる。
【0041】
さらに、黒色の顔料の例には:C.I. Pigment Black 1,C.I. Pigment Black 6,C.I. Pigment Black 7およびC.I. Pigment Black 11、が含まれる。本発明において使用可能な黒色インクの顔料の具体的な例には、カーボンブラック(例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラックおよびチャンネルブラックなど);(C.I. Pigment Black 7)または金属系顔料(例えば、銅、鉄(C.I. Pigment Black 11など)、および酸化チタン;ならびに有機顔料(例えば、アニリンブラック(C.I. Pigment Black 1)など)、が含まれる。
【0042】
前記顔料は、自己分散性顔料であってもなくてもよい。前記自己分散性顔料は、追加の分散剤の非存在下で、水中で水分散性を示してもよい。例えば、前記顔料の表面上の少なくとも1つの親水性基の存在などにより、自己分散性を前記顔料に付与してもよい。
【0043】
代替的に、前記顔料は、自己分散性でなくてもよい。その場合には、前記顔料を分散性ポリマーでコーティングすることにより、前記顔料に分散性を付与してもよい。例えば、前記顔料を、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーまたは両性イオンポリマーでコーティングしてもよい。代替的にまたはさらに、前記顔料を、酸性または塩基性基を含むポリマーでコーティングしてもよい。後者の場合には、前記分散性は、前記インクのpHに依存し得、前記媒体の前記pHを調節することにより、好適に調節し得る。
【0044】
前記インク組成物中の前記顔料の前記分散性への依存性を使用して、例えば、プリント後に前記顔料を前記インク組成物から前記受信媒体上へ沈殿させて、前記受信媒体上へ前記顔料を留める(pin)などしてもよい。これにより、前記プリント品質を改善してもよい。例えば、前記受信媒体の前記pHを調節することによりまたは前記受信媒体上へプライマー溶液(primer solution)を塗布することなどにより、前記pHを調節してもよい。
【0045】
水溶性樹脂
本発明の前記インク組成物は、水溶性樹脂を含んでもよい。前記水溶性樹脂は、骨格を含んでもよい。前記骨格は、水溶性骨格であってもよい。前記水溶性骨格は、水溶性ポリマー鎖または水溶性オリゴマー鎖を含んでもよい。水溶性ポリマーの例は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)またはエチレングリコールプロピレングリコールコポリマーなどのポリエーテルポリマー鎖、オリゴマーまたはポリマーピロリドン鎖、オリゴマーまたはポリマービニルピロリドン鎖、オリゴマーまたはポリマービニルアルコール鎖、オリゴ糖鎖または多糖鎖である。
【0046】
オリゴ糖鎖の例は、オリゴグルコース鎖、オリゴフルクトース鎖、オリゴガラクトース鎖、オリゴリボース鎖およびオリゴキシロース鎖である。多糖鎖の例には、スターチ鎖、セルロース鎖、キチン鎖およびペクチン鎖が含まれる。エチレングリコールプロピレングリコールコポリマーの例は、例えば、Pluronic(登録商標)ポリマーなどのエチレングリコールプロピレングリコールブロックコポリマーである。前記水溶性ポリマー鎖は、直線鎖、分岐鎖またはそれらの混合物を含んでもよい。前記水溶性樹脂は、安定化基をさらに含んでもよい。前記骨格は、前記水溶性樹脂に水溶性を付与してもよい。さらに、前記骨格は、前記水溶性樹脂内に存在し得る安定化基を結合するための、およびこれらの安定化基の間隔を空けるための、リンカーおよびスペーサーとして機能してもよい。
【0047】
前記安定化基は、分子間水素結合を形成できるものであり得る。前記安定化基は、水素結合受容体または水素結合供与体、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、前記安定化基は、例えば、第二アミン基などのアミン基、ヒドロキシル官能基、アミド基またはエステル基を含んでもよい。これらの基は、少なくとも1つの水素結合受容体または水素結合供与体を含み、分子間水素結合を形成することができるものであり得る。
【0048】
前記安定化基は、環状基を含んでもよい。環状基の存在は、前記安定化基に剛性を付与する。好ましくは、前記水素結合供与体および水素結合受容体の少なくとも2つが、前記環状基の部分である。前記環状基の前記剛性は、前記水素結合供与体および水素結合受容体を、互いについて、所定の位置に維持し得る。結果として、前記安定化基中の環状基の存在は、分子間水素結合の強度を向上させ得る。前記安定化基の非限定的な例は、グルタメート基、5−ピロリドンカルボキシレート基、サリチレート基、アミノ酸基、ソルビトール基、グルコース基、フルクトース基、キシロース基、ガラクトース基、リボース基およびデオキシリボース基などの単糖基、または例えば、スクロース基、マルトース基およびラクトース基などの二糖基である。前記水溶性樹脂は、架橋基をさらに含んでもよい。前記架橋基は、前記水溶性樹脂の前記骨格を、前記安定化基に結合させてもよい。
【0049】
態様において、前記水溶性樹脂は、水溶性骨格を含み、ここで、前記骨格は、本質的に、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリエチレンプロピレングリコール鎖、ポリピロリドン鎖、ポリビニルピロリドン鎖、ポリビニルアルコール鎖または多糖鎖からなり;およびここで、前記水溶性樹脂は、分子間水素結合を形成することができる安定化基をさらに含み、前記安定化基は、2−ピロリドン部位、サリチル酸部位、グルタミン酸塩部位、5−ピロリドンカルボン酸塩部位、単糖部位または二糖部位を含む。
【0050】
前記水溶性骨格および前記安定化基を、独立して選択してもよい。好ましくは、前記安定化基および前記骨格は、はっきりと区別され、すなわち、前記安定化基は、前記骨格または前記骨格の単位と同一ではない。例えば、前記安定化基が、グルコース基を含む場合には、前記骨格は、グルコース部位を含まない。
【0051】
態様において、前記水溶性樹脂は、水溶性骨格を含み、ここで、前記骨格は、本質的に、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリエチレンプロピレングリコール鎖、ポリピロリドン鎖、ポリビニルピロリドン鎖、またはポリビニルアルコール鎖からなり;およびここで、前記水溶性樹脂は、分子間水素結合を形成することができる安定化基をさらに含み、前記安定化基は、2−ピロリドン部位、サリチル酸部位、グルタミン酸塩部位または5−ピロリドンカルボン酸塩部位を含む。
【0052】
さらなる態様において、前記水溶性骨格は、本質的に、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖またはポリエチレングリコールプロピレングリコール鎖からなり、前記水溶性樹脂は、安定化基をさらに含み、前記安定化基は、2−ピロリドン部位またはサリチル酸部位を含む。
【0053】
前記水溶性樹脂は、水と水素結合を形成できるものであり得る。しかしながら、水が前記インクから蒸発する場合に、水素結合を形成するための水は、もはや利用可能でないことがある。代替的に、前記安定化基は、安定化基間で分子間水素結合を形成してもよく、それにより、溶解性樹脂分子のネットワークを形成してもよい。例えば、顔料粒子または分散性樹脂の粒子などの前記インク組成物の他の構成成分を、前記溶解性樹脂分子の前記ネットワーク中に組み込んでもよい。いかなる理論にも束縛されることを希望しないが、前記水溶性樹脂により付与される前記立体的かさ高さ(steric bulk)は、着色剤および/またはポリマー分散性樹脂粒子の不可逆的凝集を妨害するか、または少なくとも緩和し得ると考えられている。前記水溶性樹脂は、水の蒸発に際してマトリックスを形成し得る。前記着色剤粒子および/または前記水分散性樹脂粒子を、前記水溶性樹脂により提供される前記マトリックス中で安定化してもよい。前記溶解性樹脂分子の前記マトリックスは、顔料および分散性樹脂の前記粒子を含み、固体フィルムを形成してもよい。したがって、例えば、前記溶解性樹脂分子の前記ネットワークにおける前記顔料粒子または前記分散性樹脂の前記粒子などの前記インク構成成分を組み込むことにより、これらの粒子を、前記固体フィルム中の前記溶解性樹脂分子の前記ネットワークにより、安定化してもよい。よって、水が前記インク組成物から蒸発した場合に、溶解性樹脂分子の前記ネットワークはこれらの粒子を安定化させてもよい。前記溶解性樹脂分子間の前記水素結合は、可逆的結合であってもよい。これは、前記分子間水素結合が壊れて、続いて再び形成されてもよいことを意味する。さらに、水素結合を形成することができる構成成分を溶解性樹脂分子の前記ネットワークに添加する場合には、この構成成分および前記ネットワークを形成する前記溶解性樹脂分子間で水素結合を形成してもよい。前記溶解性樹脂分子により形成される前記ネットワークに水が添加される場合には、前記溶解性樹脂分子間の前記分子間水素結合を、前記水溶性樹脂分子の1つと水との間の水素結合により置き換えてもよい。前記溶解性樹脂分子を含む前記ネットワークを、それにより部分的に壊してもよく、前記溶解性樹脂を前記水中に再溶解させてもよい。さらに、例えば、前記顔料粒子および前記水分散性樹脂粒子などの前記粒子を、前記水中で再分散させてもよい。このようにして、安定な分散体が形成されてもよい。まとめると、前記安定化基を含む前記溶解性樹脂は、前記インクを可逆的に乾燥することができるものであってもよい。
【0054】
インクジェットプリンタにおいて、前記インク組成物からの水、および任意に他の溶媒の蒸発により、例えば、顔料粒子または分散性樹脂粒子などの前記インク組成物の固体構成成分の沈殿がもたらされてもよい。よって、溶媒が前記インクジェットプリンタのオリフィスを介して蒸発する場合には、例えば、前記オリフィスが不活性である場合には、固体インク構成成分は、前記ノズルの近辺で沈殿して、前記オリフィスを目詰まりさせ得る。本発明の前記インク組成物は、水溶性樹脂を含み、例えば、ウェットティッシュを使用して前記ノズルエリアをふき取ることなどにより、前記固体構成成分が再溶解されるか、または再分散されることを可能にし得る。このようにして、前記オリフィスの目詰まりは、可逆的となり得る。これにより、プリント安定性およびプリントヘッドの寿命を向上し得る。
【0055】
さらに、前記水溶性樹脂の前記インクへの添加により、ペーパーカール(paper−curl)を減少させ得る。
【0056】
態様において、前記水溶性樹脂は、実質的に非結晶性である。前記水溶性樹脂が結晶化する場合には、前記溶解性樹脂結晶は別の相を形成し得、より少ない溶解性樹脂が前記インク組成物の前記液相に存在して、前記水分散性樹脂粒子および/または前記顔料粒子を安定化させるであろう。化合物の結晶化は、複数のパラメータに依存し得、その1つが、前記化合物の結晶性である。他の、非限定的な関連パラメータは、例えば、温度、前記媒体の極性および性質、前記媒体中に存在する他の構成成分の量などである。前記水溶性樹脂が結晶性構成成分である場合には、前記水溶性樹脂は、条件に応じて、前記インク組成物から結晶化し得る。前記水溶性樹脂の結晶性を、前記樹脂の前記構造を好適に設計することによって、好適に調節し得る。例えば、多分散系である骨格を選択することにより、前記樹脂の前記結晶性を低下させてもよい。例えば、前記水溶性樹脂の前記骨格は、1.0〜3.0の範囲の多分散性を有してもよい。例えば、前記水溶性樹脂は、1.1〜2.5の範囲の多分散性を有してもよい。さらに、前記骨格の化学的性質は、前記水溶性樹脂の前記結晶性に影響を与え得る。前記骨格が不規則な形状を有する場合には、前記インク組成物中に存在する前記水溶性樹脂の前記骨格は、スタック(stack)ではないことがあり、したがって、前記水溶性樹脂は、結晶化しないことがある。前記樹脂の前記骨格は、ポリマーまたはオリゴマーである場合には、好適なモノマーまたは前記骨格を構築する複数の好適なモノマーを選択することにより、前記骨格の前記形状の(不)規則性を好適に調節してもよい。前記骨格が複数のモノマー単位を含む場合には、前記骨格の前記形状の不規則性は、前記骨格における前記異なるモノマー単位の不規則な順序に起因し得る。代替的に、前記骨格の前記形状の不規則性は、立体中心原子を、好ましくは、立体中心炭素原子を前記骨格中に構築することにより増加され得る。立体中心炭素原子は、4つの置換基を担持する。4つの異なる置換基がある場合には、2つの立体配座が可能であり、ここで、前記置換基は、前記炭素原子の周りの空間に配置され得る。前記立体中心炭素原子を含む前記構成成分が光学的に純粋でない場合には、両方の立体配座が存在する。両方の立体配座の存在は、前記骨格に不規則な形状を付与し得、前記骨格を含む前記水溶性樹脂の結晶性の程度を減少させる。複数の立体中心炭素原子の存在により、前記骨格の前記形状の不規則性はさらになお増加され得、それにより、前記骨格を含む前記水溶性樹脂の結晶性の程度をさらに減少させる。
【0057】
前記骨格が立体中心炭素原子を含み得るだけでなく、前記安定化基および/または前記連結基もまた、立体中心炭素原子を含んで前記水溶性樹脂の前記結晶性を減少させ得る。
【0058】
態様において、前記水溶性樹脂は、250g/モル〜5000g/モルの、好ましくは、300g/モル〜4000g/モルの、より好ましくは、350g/モル〜3000g/モルの、数平均分子量(M
n)を有する。前記M
nが250g/モルより小さい場合には、前記水溶性樹脂は、揮発性であり得、前記インク組成物から蒸発し得る。前記水溶性樹脂が蒸発する場合には、前記インクジェット組成物および特にその固体構成成分は、前記水溶性樹脂によりもはや安定化されないことがある。前記M
nが5000g/モルより大きい場合には、前記インク組成物中の前記水溶性樹脂の混和性は減少し得、粘度が増加し得る。
【0059】
態様において、前記水溶性樹脂は、前記インク組成物合計量に対して1重量%〜30重量%の量で、前記インク組成物中に存在し得る。好ましくは、前記水溶性樹脂は、前記インク組成物合計量に対して3重量%〜20重量%の量で、前記インク組成物中に存在し得る。前記インク組成物中の前記水溶性樹脂の量が少な過ぎる場合には、例えば、前記水分散性樹脂および任意に前記水分散性顔料などの水分散性構成成分は、水または水/共溶媒混合物の蒸発の際に、もはや好適に安定化されないことがある。前記インク組成物中の前記水溶性樹脂の量が多過ぎる場合には、前記プリントされた画像のロバスト性(robustness)および/または耐水性は、減少し得る。
【0060】
態様において、前記水溶性樹脂および前記水分散性樹脂を含む前記インク組成物は、硬化性でないものであり得る。例えば、前記水溶性樹脂および前記水分散性樹脂を含む前記インク組成物は、熱硬化性であってもよい。前記インクが受信媒体上に塗布された後、例えば、水などの溶媒は、前記インク組成物から蒸発し得、前記インク組成物は乾燥し得る。前記乾燥されたインク組成物を、その後水と接触させる場合には、前記インク組成物は、再溶解または再分散されてもよく、前記画像を、前記受信媒体から除去してもよい。前記水溶性硬化性樹脂が硬化性であり、前記インクを前記受信媒体上に塗布した後硬化させる場合には、前記水溶性樹脂は、その水溶性を緩ませ(loose)得、防水画像が得られ得る。前記防水画像は、その防水性により、アウトドア用途に好適であり得る。硬化を、例えば、UV照射により、または加熱などにより行ってもよい。硬化はまた、融合としても知られている。
【0061】
本発明の前記水溶性樹脂は、以下に表す一般式を満たす:
【0062】
【化1】
式中、R
1は、H、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、またはt−ペンチル基などのアルキル基;例えば、ベンジルまたはナフタレン基などのアリール基、例えば、メチルベンジル、エチルベンジル、プロピルベンジル、ジメチルベンジル、トリメチルベンジル、メチルエチルベンジル、またはメチルプロピルベンジル基などのアルキルアリール基、例えば、メトキシベンジル、エトキシベンジル、メトキシナフタレンまたはエトキシナフタレン基などのアルコキシアリール、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、あるいは例えば、第一級アミン基などのアミン基、を表す。
【0063】
nは、1〜80の、好ましくは、1〜60の、より好ましくは、2〜30の範囲である。前記骨格は、前記−[CH
2C
*(R
1)O]−部位により形成され、直線骨格または分岐骨格であってもよい。
【0064】
R
2およびR
3は、同一または異なっていてもよく、アルキル基から、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、直鎖または分岐状ペンチル、直鎖または分岐状ヘキシル、直鎖または分岐状ヘプチルなどのアルキル基ベースの二官能性ラジカル、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの直鎖または分岐状アルコキシ基ベースの二官能性ラジカル、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミンまたはデシルアミンなどの、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンベースの二官能性ラジカルなどの、アミンベースの二官能性ラジカルなどから選択されてもよい。
【0065】
R
4およびR
5は、同一または異なっていてもよく、エステルまたはアミド部位から、例えば、グルタメート基、5−ピロリドンカルボキシレート基、5−ピロリドンカルボキサミド基、サリチレート基、アミノ酸基、ソルビトール基、例えば、グルコース基、フルクトース基、キシロース基、ガラクトース基、リボース基およびデオキシリボース基などの単糖基、または例えば、スクロース基、マルトース基およびラクトース基など二糖基から選択されてもよい。
【0066】
表1は、本発明の水溶性樹脂の数多くの非限定的な例を示す。
【0067】
表1:
【0068】
【表1】
インク媒剤
前記インク組成物は、水をさらに含んでもよい。水は、前記インク組成物中で前記媒剤として機能し得、例えば、前記着色剤、前記分散性樹脂および前記水溶性樹脂などの前記インクの前記構成成分を、溶解させるかまたは分散させ得る。前記インク組成物中で前記媒剤として水を使用することは、健康、安全および環境的な理由のために有益であり得る。例えば、前記インクの液滴が前記受信媒体上に塗布された後などに、水が蒸発する場合には、VOC(揮発性有機化合物)は発生し得ない。さらに、多くの有機溶媒とは対照的に、水は可燃性でないため、水蒸気は火災のリスクを減少させ得る。
【0069】
任意に、共溶媒を、前記インク組成物に添加してもよい。共溶媒を添加して、前記インク組成物の特性を調節してもよく、例えば、前記インクの極性、前記インクの粘度および/または受信媒体上での前記インクのフィルム形成などを、共溶媒を前記インク組成物に添加することにより調節してもよい。
【0070】
共溶媒は、前記インク組成物合計量に対して0重量%〜40重量%の量で、前記インク組成物中に存在し得、例えば、前記インク組成物合計量に対して2重量%〜32重量%の量である。共溶媒の非限定的な例は、グリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1、2,6−ヘキサントリオールである。前記共溶媒は、前記インク組成物に添加される前記共溶媒の量と同様に、好ましくは、前記水溶性樹脂が前記得られたインク媒剤中で溶解可能となるように選択されてもよい。
【0071】
前記インク組成物は、付加的構成成分を含んでもよい。例えば、前記インク組成物は、表面張力変性剤を含んでもよい。前記表面張力変性剤は、表面活性特性を有し、前記ラテックス組成物の他の構成成分と反応しない、あらゆる化合物であり得る。
【0072】
好適な表面張力変性剤の例は、オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤であるTriton Xシリーズ(Triton X−100);aerosol OT(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)およびポリシロキサン系界面活性剤(例えば、Byk 349など)、のような界面活性剤である。
【0073】
前記インク組成物は、所定の範囲内に前記インク組成物のpHを維持するバッファ、殺菌剤、殺生物剤および抗酸化剤をさらに含んでもよい。
【0074】
本発明の前記インク組成物は、本発明に従い、前記水溶性樹脂を含み、インクジェットプリント装置を使用して、画像受信媒体上への画像のプリントに好適である。
【0075】
本発明の側面において、本発明の水溶性樹脂の調製方法が提供され、前記方法は、以下のステップ:
a)骨格前駆体を提供し、前記水溶性樹脂前駆体は、水溶性骨格を含み、前記水溶性骨格は、本質的に、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖またはポリエチレングリコールプロピレングリコール鎖からなるステップ;
b)安定化基前駆体を提供し、前記安定化基前駆体は、安定化基を含み、前記安定化基は、2−ピロリドン部位またはサリチル酸部位を含むステップ;
c)前記骨格前駆体および前記安定化基前駆体をカップリングし、それにより、前記水溶性樹脂を形成するステップ、
を含む。
【0076】
前記カップリングを、例えば、縮合反応などにおいて、前記骨格前駆体を前記安定化基前駆体と反応させることにより起こさせてもよい。前記骨格前駆体は、例えば、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖またはポリエチレングリコールプロピレングリコール鎖などのポリエーテル鎖、オリゴアミノ酸鎖またはオリゴエーテル鎖であり得、ヒドロキシル末端基を有する。前記安定化基前駆体は、例えば、カルボン酸基などを含んでもよい。前記骨格前駆体および前記安定化基前駆体間の縮合反応により、例えば、エステル官能基またはアミド官能基などを含む、前記水溶性樹脂の形成がもたらされ得る。しかしながら、あらゆる好適なカップリング反応を適用して、前記骨格前駆体および前記安定化基前駆体から出発して前記水溶性樹脂を形成してもよい。前記反応を、あらゆる好適な温度で行ってもよい。例えば、前記反応が縮合反応である場合には、前記反応を90℃〜190℃の温度で行ってもよい。好適な溶媒を適用してもよい。任意に、触媒を適用して、前記反応の速度および/または選択性を向上させてもよい。
【0077】
態様において、前記方法は、連結基前駆体をさらに含んでもよい。前記連結基前駆体を使用して、前記安定化基および前記骨格を、それらを連結することによりカップリングしてもよい。前記骨格前駆体、前記安定化基前駆体および前記連結基前駆体の前記カップリングを、一反応で行ってもよく、または前記連結基を、第1反応ステップにおいて、前記骨格前駆体および前記安定化基前駆体の一方にまずカップリングして、第2反応ステップにおいて、前記連結基を、前記骨格前駆体および前記安定化基前駆体の次の一方にカップリングして、それにより、前記水溶性樹脂を得てもよい。
【0078】
本発明の側面において、本発明に従い、インク組成物の調製方法が提供され、前記方法は、以下のステップ:
○ 水溶性樹脂を提供するステップ
○ 水を提供するステップ
○ 着色剤を提供するステップ
○ 水分散性樹脂を含む分散体を提供するステップ
○ 前記水溶性樹脂、前記水、前記着色剤および前記水分散性樹脂の前記分散体を混合するステップ、
を含む。
【0079】
前記水溶性樹脂、前記着色剤、前記水分散性樹脂の前記分散体および水を提供する必要がある。前記水溶性樹脂および前記着色剤を、そのまま(neat)提供してもよく、またはそれらを溶液もしくは分散体中に提供してもよい。前記着色剤が顔料である場合には、前記顔料は、好ましくは、例えば、顔料分散体水溶液(aqueous pigment dispersion)などの分散体として提供される。前記水分散性樹脂を含む前記分散体は、好ましくは、分散体水溶液(aqueous dispersion)である。
【0080】
前記構成成分を一度に提供してもよく、または前記構成成分を、連続的に添加してもよい。前記構成成分を、あらゆる好適な順番で添加してもよい。前記構成成分の混合を、例えば、室温などのあらゆる好適な温度で行ってもよい。
【0081】
本発明の前記インク組成物、または本発明のプロセスにより得られた前記インク組成物を、インク中で、特にインクジェットプロセスの使用のために使用し得る。したがって、本発明はまた、本発明のあらゆる態様の、または本発明のあらゆる態様のプロセスで得られたとおりの水溶性樹脂を含むインクジェットインクに関する。
【0082】
図面の簡単な説明
例示のみの意味により示されるものであって本発明を限定するものではない、本明細書において以下に示すより詳細な説明および添付の図面から、本発明はより完全に理解されるものであり、ここで: