特許第6125619号(P6125619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6125619新規な1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンならびに医薬品および化粧品としてのこれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125619
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】新規な1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンならびに医薬品および化粧品としてのこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 263/58 20060101AFI20170424BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 7/02 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   C07D263/58CSP
   A61K31/423
   A61P17/04
   A61P17/00
   A61P17/08
   A61P17/14
   A61P17/16
   A61P35/00
   A61P29/00
   A61P37/08
   A61P7/10
   A61K8/49
   A61Q7/00
   A61Q7/02
   A61Q19/00
   A61Q19/08
   A61P25/00
【請求項の数】21
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-513042(P2015-513042)
(86)(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公表番号】特表2015-517538(P2015-517538A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2013001501
(87)【国際公開番号】WO2013174508
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年12月11日
(31)【優先権主張番号】12168639.8
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/649,587
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510171416
【氏名又は名称】ドクトア・アウグスト・ボルフ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー−アルツナイミツテル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾーエベルト,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クニー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】アーベルス,クリストフ
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/136221(WO,A1)
【文献】 特開昭63−107958(JP,A)
【文献】 特表2005−519953(JP,A)
【文献】 特開平05−097828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
の化合物ならびにこれらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体、互変異性体、溶媒和物および医薬として許容される塩
(式中、
は、
−(CHN(R)C(O)Rおよび
−C(O)NR
からなる群から選択され、
は、
水素、
ハロゲン、OH、OC1−6アルキルおよびOC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−C1−6アルキル、
ハロゲン、OH、OC1−6アルキルおよびOC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−C3−7シクロアルキル、ならびに
ハロゲン、OH、OC1−6アルキルおよびOC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−(C3−7シクロアルキル)−C1−6−アルキル
からなる群から選択され、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシまたは−CNであり、
は、水素またはC1−6−アルキルであり、
は、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、C8−15アルキニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、(C6−10アリール)−C6−10アルケニル、および(C6−10アリール)−C6−10アルキニルから選択され、アリールは、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−20アリール、ヒドロキシル、−SH、−SOH、アミン基、−COOH、COOR’(R’はC1−10アルキルまたはアルカリ金属)、CONHR”およびCON(R”)(R”はC1−10アルキル)から選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されており、
は、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、C9−16アルキニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、(C6−10アリール)−C7−11アルケニル、および(C6−10アリール)−C7−11アルキニルから選択され、アリールは、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−20アリール、ヒドロキシル、−SH、−SOH、アミン基、−COOH、COOR’(R’はC1−10アルキルまたはアルカリ金属)、CONHR”およびCON(R”)(R”はC1−10アルキル)から選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されており、
nは、0、1、または2である。)。
【請求項2】
式(1)中、
は、−(CHN(R)C(O)Rであり、nは、0または1であり
は、
水素、または
ハロゲン、OH、OC1−6アルキルおよびOC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されているC1−6アルキルであり、
は、水素またはハロゲンであり
は、水素であり、ならびに
は、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および(C6−10アリール)−C6−10アルケニルから選択され、アリールは、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−20アリール、ヒドロキシル、−SH、−SOH、アミン基、−COOH、COOR’(R’はC1−10アルキルまたはアルカリ金属)、CONHR”およびCON(R”)(R”はC1−10アルキル)から選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素である、請求項2または3に記載の化合物。
【請求項5】
式(1)中、
は、−C(O)NRであり、
は、水素、またはハロゲン、OH、OC1−6アルキルおよびOC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されているC1−6アルキルであり、
は、水素またはハロゲンであり
は、水素であり、ならびに
は、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および(C6−10アリール)−C7−11アルケニルから選択され、アリールは、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−20アリール、ヒドロキシル、−SH、−SOH、アミン基、−COOH、COOR’(R’はC1−10アルキルまたはアルカリ金属)、CONHR”およびCON(R”)(R”はC1−10アルキル)から選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
は、−(CHN(R)C(O)Rであり、nは0であり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であり、
は、水素であり、ならびに
は、C8−15アルキル、1、2、または3個の二重結合を有するC8−15アルケニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および1または2個の二重結合を有する(C6−10アリール)−C6−10アルケニルから選択される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(1)中、
は、−C(O)NRであり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であり、
は、水素であり、ならびに
は、C9−16アルキル、1、2、または3個の二重結合を有するC9−16アルケニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および1または2個の二重結合を有する(C6−10アリール)−C7−11アルケニルから選択される、
請求項1、5および6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
は、−(CHN(R)C(O)Rであり、nは0であり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であり、
は、水素であり、ならびに
は、C8−12アルキル、2個の二重結合を有するC8−12アルケニル、(C6−10アリール)−C6−8アルキル、および2個の二重結合を有する(C6−10アリール)−C6−8アルケニルから選択される、
請求項1から4および7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
は、C8−12アルキル、(2E,4E)−ジエン部分を含有するC8−12アルケニル、(C6−10アリール)−C6−8アルキル、および(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C6−8アルケニルから選択される、
請求項に記載の化合物。
【請求項11】
式(1)中、
は、−C(O)NRであり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であり、
は、水素であり、ならびに
は、C9−13アルキル、2個の二重結合を有するC9−13アルケニル、(C6−10アリール)−C7−9アルキル、および2個の二重結合を有する(C6−10アリール)−C7−9アルケニルから選択される、
請求項1、5、6および8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
は、C9−13アルキル、(2E,4E)−ジエン部分を含有するC9−13アルケニル、(C6−10アリール)−C7−9アルキル、および(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C7−9アルケニルから選択される、
請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
医薬品とし使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
皮膚科薬として使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
好ましくは哺乳動物の皮膚および/もしくは粘膜上の、炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫および/もしくはアレルギー誘発性状態もしくはアレルギー性状態、ならびに/または脱毛症、脱毛、皮脂腺障害、良性および悪性皮膚腫瘍、過剰増殖性皮膚疾患、過剰な発毛、皮膚炎、乾燥肌状態および/もしくは全身性硬化症を治療および/または予防するのに使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
哺乳動物の皮膚または粘膜上に局所的に塗布される、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
化粧品としての請求項1から12のいずれか一項に定義される化合物の非治療的使用。
【請求項18】
哺乳動物の皮膚および/または粘膜の美容処置のための、請求項17に記載の非治療的使用。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか一項に定義される化合物、ならびに医薬および/または化粧品として許容される担体を含む、組成物。
【請求項20】
医薬および/または化粧品として許容される担体が、無極性の担体である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
リニメント剤、皮膚用クリーム剤、ゲル剤、またはローション剤である、請求項19または20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なクラスの1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン類、ならびに医薬品、好ましくは皮膚科薬、および化粧品としてのこれらの使用に関する。これらの新規化合物は、内因性カンナビノイド系を標的とし、患者における炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫、および/またはアレルギー誘発性もしくはアレルギー性状態を治療および/または予防するのに特に有用である。通常、それらは、該化合物と医薬および/または化粧品として許容される担体とを含む医薬組成物または化粧用組成物の形態で、哺乳動物の皮膚または粘膜に局所的に塗布される。
【背景技術】
【0002】
内因性カンナビノイド系(ECS)は、カンナビノイド受容体(CBおよびCB、TRPV1、ならびに潜在的にGPR55も)、アラキドン酸由来のリガンド、およびこれらの調節酵素を含む。末梢組織における内因性カンナビノイド系の重要性は、最近の研究に数多く実証されている(Di Marzo V.Targeting the endocannabinoid system:to enhance or reduce?Nat Rev Drug Discov.2008年5月;7(5):438−55)。末梢の内因性カンナビノイド系の活性化は抗炎症および免疫抑制効果に関連することが多いが、皮膚ではECSの役割はもっと複雑である。CB受容体が活性化すると、局所的に鎮痛的に作用するエンドルフィンを誘発することが示されている(Ibrahim MM、Porreca F、Lai J、Albrecht PJ、Rice FL、Khodorova A、Davar G、Makriyannis A、Vanderah TW、Mata HP、Malan TP Jr.CB2 cannabinoid receptor activation produces antinociception by stimulating peripheral release of endogenous opioids.Proc Natl Acad Sci USA.2005年2月22日;102(8):3093−8)。CBノックアウトマウスを研究することにより、ECSおよびCB受容体がアレルギー性接触性皮膚炎の発病を阻害できることが観察されている(Karsak M、Gaffal E、Date R、Wang−Eckhardt L、Rehnelt J、Petrosino S、Starowicz K、Steuder R、Schlicker E、Cravatt B、Mechoulam R、Buettner R、Werner S、Di Marzo V、Tuting T、Zimmer A.Attenuation of allergic contact dermatitis through the endocannabinoid system.Science.2007年6月8日;316(5830):1494−7)。興味深いことに、この研究において、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)を介するアナンダミド分解の阻害剤が、様々な形態の皮膚炎を治療する有望な治療方針になり得ることが示された。総じて、皮膚には内因性カンナビノイド系が存在し、CB受容体とCB受容体の両方がケラチノサイトおよび線維芽細胞に検出されており、内因性カンナビノイドは皮膚内に放出され、そこで内因性カンナビノイドは炎症に関与する複数のシグナルを調節すると思われる。アナンダミドは、強力な抗炎症効果および抗アレルギー効果を発揮する(Leonti M、Casu L、Raduner S、Cottiglia F、Floris C、Altmann KH、Gertsch J.Falcarinol is a covalent cannabinoid CB receptor antagonists and induces pro−allergic effects in skin.Biochem.Pharmacol.2010年、79:1815−1826)。さらに、アナンダミド再取り込み阻害剤は、神経因性疼痛および末梢性疼痛を含めた幾つもの有益効果を発揮することが示されている(Yates M L、Baker EL.Inactivation and Biotransformation of the endogenous cannabinoids anandamide and 2−arachidonoyl glycerol.Mol.Pharmacol.2009年、76:11−17)。しかし、根本的な機序はまだ十分に理解されておらず、答えを出すべき多くの疑問が依然として残っている。
【0003】
WO2010/136221は、ドデカ−2E,4E−ジエンアミドならびに医薬品および化粧品としてのこれらの使用を開示している。
【0004】
したがって、特許請求する本発明の1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン類は、皮膚障害の治療および予防に適しており、有効であることも、先行技術に開示されていない。
【0005】
さらに、何らかの皮膚の不快感を治療するとして多数の皮膚科薬および調製物が先行技術で知られていたとしても、より有効で、必要とされる塗布量がさらに減少し、望ましくない副作用がより少ない新規な活性薬剤を見出すことが依然として強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/136221号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Di Marzo V.Targeting the endocannabinoid system:to enhance or reduce?Nat Rev Drug Discov.2008年5月;7(5):438−55
【非特許文献2】Ibrahim MM、Porreca F、Lai J、Albrecht PJ、Rice FL、Khodorova A、Davar G、Makriyannis A、Vanderah TW、Mata HP、Malan TP Jr.CB2 cannabinoid receptor activation produces antinociception by stimulating peripheral release of endogenous opioids.Proc Natl Acad Sci USA.2005年2月22日;102(8):3093−8
【非特許文献3】Karsak M、Gaffal E、Date R、Wang−Eckhardt L、Rehnelt J、Petrosino S、Starowicz K、Steuder R、Schlicker E、Cravatt B、Mechoulam R、Buettner R、Werner S、Di Marzo V、Tuting T、Zimmer A.Attenuation of allergic contact dermatitis through the endocannabinoid system.Science.2007年6月8日;316(5830):1494−7
【非特許文献4】Leonti M、Casu L、Raduner S、Cottiglia F、Floris C、Altmann KH、Gertsch J.Falcarinol is a covalent cannabinoid CB1 receptor antagonists and induces pro−allergic effects in skin.Biochem.Pharmacol.2010年、79:1815−1826
【非特許文献5】Yates M L、Baker EL.Inactivation and Biotransformation of the endogenous cannabinoids anandamide and 2−arachidonoyl glycerol.Mol.Pharmacol.2009年、76:11−17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の根底にある目的は、医薬品として適した新規化合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、特に哺乳動物の皮膚および粘膜の、炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫、および/またはアレルギー誘発性もしくはアレルギー性状態などを含めた幾つかの状態を治療および予防するための皮膚科薬に適した新規化合物であって、先行技術の化合物と比較してより有効であり、必要とされる有効成分の量が減少し、望ましくない副作用がより少ない化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
上記の通りの目的は、驚いたことに本発明によって解決された。したがって、本発明は、以下の式(1)に従う特定の1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンに関する。
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)に従う化合物は、同じ問題の代替解決法であり、当業者には自明ではなかった。
【0012】
式(1)中、基Rは、−(CHN(R)C(O)Rおよび−C(O)NRからなる群から選択される。好ましくは、Rは−(CHN(R)C(O)Rである。
【0013】
式(1)中、基Rは、水素;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−C1−6アルキル;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−C3−7シクロアルキル;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−(C3−7シクロアルキル)−C1−6−アルキルからなる群から選択される。上述の場合による置換基は本発明によれば好ましいが、本説明で以降に述べる通りの他の置換基も本発明によれば同様に適している。
【0014】
式(1)中、基Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシまたは−CNからなる群から選択される。
【0015】
式(1)中、基Rは、水素またはC1−6−アルキルからなる群から選択される。
【0016】
式(1)中、基Rは、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、C8−15アルキニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、(C6−10アリール)−C6−10アルケニル、および(C6−10アリール)−C6−10アルキニルからなる群から選択される。これらのアリール含有基のすべてにおいて、アリールは、本説明で以降に述べる通りの1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0017】
式(1)中、基Rは、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、C9−16アルキニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、(C6−10アリール)−C7−11アルケニル、および(C6−10アリール)−C7−11アルキニルからなる群から選択される。これらのアリール含有基のすべてにおいて、アリールは、本説明で以降に述べる通りの1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0018】
式(1)中、nは0、1、または2であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
【0019】
好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが−(CHN(R)C(O)Rで、nが0または1、好ましくは0であり、Rが、水素、またはハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されているC1−6アルキルであり、Rが、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素であり、Rが水素であり、Rが、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および(C6−10アリール)−C6−10アルケニルから選択されるものである。これらの定義において、アリールは、以降に述べる通りの1つ以上の置換基で場合によって置換されている。
【0020】
好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが−C(O)NRであり、Rが、水素、またはハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されているC1−6アルキルであり、Rが、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素であり、Rが、水素であり、Rが、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および(C6−10アリール)−C7−11アルケニルから選択され、アリールが、以降に述べる通りの1つ以上の置換基で場合によって置換されているものである。
【0021】
より好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが、−(CHN(R)C(O)Rで、nは0であり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが、C8−15アルキル、C8−15アルケニル(アルケニルは1、2、または3個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および(C6−10アリール)−C6−10アルケニル(アルケニルは1または2個の二重結合を含有する。)から選択されるものである。
【0022】
さらに好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが−C(O)NRであり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、
が、C9−16アルキル、C9−16アルケニル(アルケニルは1、2、または3個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および(C6−10アリール)−C7−11アルケニル(アルケニルは1または2個の二重結合を含有する。)から選択されるものである。
【0023】
より好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが−(CHN(R)C(O)Rで、nが0であり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、Rが、C8−12アルキル、C8−12アルケニル(アルケニルは2個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C6−8アルキル、および(C6−10アリール)−C6−8アルケニル(アルケニルが2個の二重結合を含有する。)から選択されるものである。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態では、式(1)に従う化合物は、−(CHN(R)C(O)Rで、nが0であるR、水素またはメチルであるR、および水素であるRを含有する。ここでのRの定義において、Rは水素であり、Rは、C8−12アルキル、不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有するC8−12アルケニル、(C6−10アリール)−C6−8アルキル、およびそのアルケニル基に不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C6−8アルケニルから選択される。
【0025】
また好ましくは、本発明による化合物は、式(1)中、Rが−C(O)NRであり、Rが水素またはメチルであり、Rが水素であり、Rが水素であり、
が、C9−13アルキル、C9−13アルケニル(アルケニルは2個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C7−9アルキル、および(C6−10アリール)−C7−9アルケニル(アルケニルは2個の二重結合を含有する。)から選択されるものである。
【0026】
本発明の別の特に好ましい実施形態では、式(1)に従う化合物は、−C(O)NRであるR、水素またはメチルであるR、および水素であるRを含有する。ここでのRの定義において、Rは水素であり、Rは、C9−13アルキル、不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有するC9−13アルケニル、(C6−10アリール)−C7−9アルキル、およびそのアルケニル基に不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C7−9アルケニルから選択される。
【0027】
さらに、本発明は、医薬品、好ましくは皮膚科薬、および化粧品としてのこれらの化合物の使用に関する。該化合物は、特に哺乳動物の皮膚および粘膜の、炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫、および/またはアレルギー誘発性もしくはアレルギー性状態の治療および/または予防に有効である。さらなる状態には、発毛(例えば、脱毛症、脱毛(effluvium)の形態)および皮脂腺障害(例えばざ瘡、脂漏)、良性および悪性皮膚腫瘍、過剰増殖性皮膚疾患(例えば乾癬)、過剰な発毛(例えば多毛症)、様々な形態の皮膚炎、乾燥肌状態、ならびに全身性硬化症(強皮症)が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明によって、出願人は式(1)に定義される通りの新規な1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンを開発し、驚いたことに、これらの化合物はその親油性故に、医薬品として、好ましくは皮膚科薬として、および化粧品として有効に使用され得ることを見出した。治療されるべき状態および疾患は、特に、炎症、痒み、そう痒、刺激、疼痛、浮腫、および/またはアレルギー誘発性もしくはアレルギー性状態である。該化合物は、上述の状態の治療に有効であるだけでなく、予防にも有効であることが判明した。該状態は、例えば、UV照射、有害物質、および一般的なアレルゲンなどの環境ストレスおよび環境の影響によって生じる、哺乳動物の、好ましくはヒトの、皮膚および粘膜の炎症反応および刺激も含む。したがって、該化合物は、上述のような数種類の皮膚および粘膜の不快感を有効に低減させることを示している。特に、それらは鎮痛作用および鎮痒作用をもたらすことを示している。
【0029】
いかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、出願人は、本発明の1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンが活性である理由は、これらが内因性カンナビノイド系のモジュレーターとしての機能することに基づくと考える。これに関して、内因性カンナビノイドである、N−アラキドノイルエタノールアミド(アナンダミド、AEA)および2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)は、Gタンパク質共役型CBおよびCBカンナビノイド受容体に結合することが知られている。CB受容体は主に(それだけには限らないが)ニューロンに発現し、CB受容体は主として、単球(脾細胞)、マクロファージ、B細胞などの免疫細胞に存在するが、星状膠細胞にも存在する。皮膚では、CB受容体、特にCB受容体が、ケラチノサイトおよび線維芽細胞に発現する。CB受容体が活性化すると、内因性カンナビノイドは細胞膜を通して能動的に輸送され、分解される。代謝酵素である、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)およびモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)が、AEAおよび2−AGの加水分解をそれぞれ担い、そのようにしてこれらのシグナル伝達分子が不活性化されることになる。CB受容体を活性化すると、別個の神経生理学的作用を仲介することが示されているのに対して、アゴニストとインバースアゴニストとの両方によってCB受容体をモジュレートすると、様々な炎症プロセスを妨げることが知られている。CB受容体を活性化するとインビボで抗炎症効果をもたらすことができ、CB受容体のモジュレートは、慢性疼痛、胃腸管の炎症、骨粗しょう症、および肝疾患を含めた幾つもの疾患の病態生理に関与している。植物は、細胞の情報を処理するのに構造的に動物と同様な脂質シグナル伝達分子を使用しており、それには内因性カンナビノイド様脂肪酸誘導体が含まれる。植物は一般にアラキドン酸を合成しないので、植物では例えばN−パルミトイルエタノールアミドのような異なるN−アシルエタノールアミンが産生されるが、こうした脂質が、FAAH、一過性受容体電位バニロイド受容体(TRPV1)または新規に想定されたカンナビノイド受容体GPR55などの、動物およびヒトにおける内因性カンナビノイド系(ECS)に関連するタンパク質に直接的または間接的に作用することも示されている。
【0030】
したがって、本発明によって式(1)の1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンがECSを有意に機能的に妨害することが見出されたが、これがその薬理活性の理由だと推測される。特に、特許請求する1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンは、FAAHまたはAEAの再取り込みを阻害する。加えて、本発明のある化合物は、AEAの再取り込みの阻害に加えてFAAHを阻害する。言い換えれば、これらの化合物は、CBおよびCB受容体に変化をもたらすことなく、AEAの再取り込みもしくはFAAH活性を阻害するまたは両方とも阻害する。
【0031】
本明細書において異なるように記述されていなければ、式(1)において各々の基R(すなわちRからR)(もしあれば、それらの置換基を含めて)を本発明に従って定義する/記述するために使用される用語は、以下に記述する通りの意味を有する:
【0032】
アルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルである。
【0033】
アルケニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子および1から3個の二重結合、好ましくは1または2個の二重結合、最も好ましくは1個の二重結合を有する直鎖または分枝のアルキルである。C2−6アルケニル基の好ましい例は、エテニル、プロパ−1−エニル、プロ−2−エニル(pro−2−enyl)、イソプロパ−1−エニル、n−ブタ−1−エニル、n−ブタ−2−エニル、n−ブタ−3−エニル、イソブタ−1−エニル、イソブタ−2−エニル、n−ペンタ−1−エニル、n−ペンタ−2−エニル、n−ペンタ−3−エニル、n−ペンタ−4−エニル、n−ペンタ−1,3−エニル、イソペンタ−1−エニル、イソペンタ−2−エニル、ネオペンタ−1−エニル、n−ヘキサ−1−エニル、n−ヘキサ−2−エニル、n−ヘキサ−3−エニル、n−ヘキサ−4−エニル、n−ヘキサ−5−エニル、n−ヘキサ−1,3−エニル、n−ヘキサ−2,4−エニル、n−ヘキサ−3,5−エニル、およびn−ヘキサ−1,3,5−エニルである。C2−6アルケニル基のより好ましい例は、エテニルおよびプロパ−1−エニルである。
【0034】
アルキニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子および1から3個の三重結合、好ましくは1または2個の三重結合、最も好ましくは1個の三重結合を有する直鎖または分枝のアルキルである。C2−6アルキニル基の好ましい例は、エチニル、プロパ−1−イニル、プロ−2−イニル(pro−2−inyl)、n−ブタ−1−イニル、n−ブタ−2−イニル、n−ブタ−3−イニル、n−ペンタ−1−イニル、n−ペンタ−2−イニル、n−ペンタ−3−イニル、n−ペンタ−4−イニル、n−ペンタ−1,3−イニル、イソペンタ−1−イニル、ネオペンタ−1−イニル、n−ヘキサ−1−イニル、n−ヘキサ−2−イニル、n−ヘキサ−3−イニル、n−ヘキサ−4−イニル、n−ヘキサ−5−イニル、n−ヘキサ−1,3−イニル、n−ヘキサ−2,4−イニル、n−ヘキサ−3,5−イニル、およびn−ヘキサ−1,3,5−イニルである。C2−6アルキニル基のより好ましい例は、エチニルおよびプロパ−1−イニルである。
【0035】
シクロアルキルは、多くとも3、4、5、6または7個の炭素原子を有するアルキル環であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、より好ましくは3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル環である。
【0036】
環は、飽和または一不飽和から多価不飽和の炭素環系であり、これらは1つ以上のヘテロ原子、例えばO、N、Sおよび/またはPを含んでもよい。好ましいのは、5または6員環である。環には、特にアリールおよびヘテロアリール環が含まれ、それらは縮合芳香族環であってもよい。
【0037】
アリールは、6から20個の炭素原子、好ましくは6から10個の炭素原子を有する芳香族部分であり、それには縮合芳香族環が含まれる。最も好ましいのはフェニルである。
【0038】
ヘテロアリールは、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の炭素原子、およびO、Nおよび/またはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族部分である。好ましくは、ヘテロアリールは多くとも10個の環原子(炭素およびヘテロ原子を含む)を含み、好ましくは、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルおよびインダゾリルから選択され、より好ましくは、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピリジル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルおよびピリミジニルから選択される。
【0039】
ヘテロシクリルは、O、Nおよび/またはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子ならびに1、2、3、4、5、6または7個の炭素原子を含有する、飽和または不飽和環である。好ましくは、ヘテロシクリルは、多くとも11個の環原子(炭素およびヘテロ原子を含む)を含み、より好ましくは4から8員環であり、さらにより好ましくは、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピラニル、モルホリニル、チアゾリニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、およびチオモルホリニルから選択され、より好ましくは、ピペリジニル、チアゾリニル、ジオキサニル、ジオキソラニルおよびピロリジニルから選択される。
【0040】
ハロゲンは、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン原子であり、好ましくは、F、ClおよびBrから選択されるハロゲン原子である。
【0041】
本発明の化合物は、次式(1)によって表される1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンの基本構造を含有する。
【0042】
【化2】
【0043】
式(1)に従う化合物において、内因性カンナビノイド系の活性をモジュレートする/標的とすることを実現するための本質的特徴は、R基の特定の定義、すなわち−(CHN(R)C(O)R(nは0、1、または2、好ましくは0または1、より好ましくは0である。)または−C(O)NRのいずれかであると考えられる。
【0044】
上のRの定義の両方に、さらに、互いに独立に、次のRからRの定義が本発明に従って適用される:
は、水素;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、−OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって各々置換されている−C1−6アルキル、例えば、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−またはi−ブチル、n−またはi−ペンチル、n−またはi−ヘキシル;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−C3−7シクロアルキル;ハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されている−(C3−7シクロアルキル)−C1−6−アルキルからなる群から選択される。好ましくは、Rは水素である、またはハロゲン、OH、OC1−6アルキル、OC3−7シクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で場合によって置換されているC1−6アルキルである。より好ましくは、Rは水素またはメチルであり、特に水素である。
【0045】
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシまたは−CNからなる群から選択される。好ましくは、Rは水素またはハロゲンであり、より好ましくは水素である。式(1)に従う化合物は、同一であってもまたは異なっていてもよい3個のR基を含有する。最も好ましくは、これらのすべてが水素である。
【0046】
は、水素またはC1−6−アルキルからなる群から選択され、例えば、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−またはi−ブチル、n−またはi−ペンチル、n−またはi−ヘキシルである。好ましくは、Rは水素またはメチルであり、より好ましくは水素である。
【0047】
は、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、C8−15アルキニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、(C6−10アリール)−C6−10アルケニル、および(C6−10アリール)−C6−10アルキニルからなる群から選択される。これらのアリール含有基のすべてにおいて、アリールは、本説明で以降に述べる通りの置換基の1つ以上によって置換されていてもよい。好ましくは、Rは、C8−15アルキル、C8−15アルケニル、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および(C6−10アリール)−C6−10アルケニルから選択される。より好ましくは、Rは、C8−15アルキル、C8−15アルケニル(アルケニルは、1、2、または3個の、好ましくは2個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C6−10アルキル、および(C6−10アリール)−C6−10アルケニル(アルケニルは、1または2個、好ましくは2個の二重結合を含有する。)から選択される。最も好ましくは、Rは、C8−12アルキル、不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有するC8−12アルケニル、(C6−10アリール)−C6−8アルキル、およびそのアルケニル基に不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C6−8アルケニルから選択される。
【0048】
は、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、C9−16アルキニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、(C6−10アリール)−C7−11アルケニル、および(C6−10アリール)−C7−11アルキニルからなる群から選択される。これらのアリール含有基のすべてにおいて、アリールは、本説明で以降に述べる通りの置換基の1つ以上によって置換されていてもよい。好ましくは、Rは、C9−16アルキル、C9−16アルケニル、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および(C6−10アリール)−C7−11アルケニルから選択される。より好ましくは、Rは、C9−16アルキル、C9−16アルケニル(アルケニルは、1、2、または3個の、好ましくは2個の二重結合を含有する。)、(C6−10アリール)−C7−11アルキル、および(C6−10アリール)−C7−11アルケニル(アルケニルは、1または2個、好ましくは2個の二重結合を含有する。)から選択される。最も好ましくは、Rは、C9−13アルキル、不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有するC9−13アルケニル、(C6−10アリール)−C7−9アルキル、およびそのアルケニル基に不飽和として(2E,4E)−ジエン部分を含有する(C6−10アリール)−C7−9アルケニルから選択される。
【0049】
具体的には、Rが−(CHN(R)C(O)Rであり、n=0の場合、Rは、(2E,4E)−ジエン部分を有するC11直鎖でなくてもよい。
【0050】
同様に、Rが本明細書で定義される通りの−C(O)NRである場合、Rは(2E,4E)−ジエン部分を含有しなくてもよく、すなわち、Rは、直鎖ドデカ−(2E,4E)−ジエン、アリール−ヘキサ−(2E,4E)−ジエン、アリール−ヘプタ−(2E,4E)−ジエン、および/またはアリール−オクタ−(2E,4E)−ジエン部分を含有しなくてもよい。
【0051】
上の列挙に含まれる、式(1)のRからRの定義のすべての可能な組合せは、本発明によって直接的および一義的に開示されるとして理解されるべきである。
【0052】
一般に、本発明による炭素鎖および炭素環の置換基は、ハロゲン、好ましくは、F、Cl、BrおよびI、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−20アリール、ヒドロキシル、−SH、−SOH、アミン基、−COOH、COOR’(R’はC1−10アルキルまたはアルカリ金属)、CONHR”、ならびにCON(R”)(R”はC1−10アルキル)である。一般に、本明細書に説明される通りの本発明によって置換基として使用される、特に好ましいアルキルおよびアルコキシ基は、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシ基であり、より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、n−ペントキシ、イソ−ペントキシである。同様に、特に好ましいアリール基はC6−10アリール基であり、最も好ましくはフェニルである。適切な置換基は、本明細書に定義される通りの、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルからも選択される。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態では、化合物は次式(2)に従う:
【0054】
【化3】
【0055】
式(2)中、Rは好ましくは水素またはメチルのいずれかであり、より好ましくは水素である。さらに、Rは上で定義される通りである。
【0056】
本発明によれば、式(1)および/または(2)の化合物において、Rは、次の基(これらは本明細書で定義される通りの置換基によって置換されていてもよい。)からなる群からも選択されてもよい:
【0057】
【化4】
【0058】
構造式(1)の化合物は、内因性カンナビノイド系のモジュレーターとして有効であり、AEAT(AEA輸送)またはFAAHの阻害剤として特に有効である。それらは、AEATまたはFAAHの阻害に応答性である障害、例えば、炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫および/またはアレルギー誘発性、アレルギー性状態ならびに他の疾患、特にAEATまたはFAAHが関与する疾患の治療および/または予防に有用である。
【0059】
光学異性体−ジアステレオ異性体−幾何異性体−互変異性体
構造式(1)および/または(2)の化合物は1つ以上の不斉中心を含有し、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオ異性体混合物および個々のジアステレオ異性体として存在してもよい。本発明は、構造式(1)および/または(2)の化合物のかかる異性体形態すべてを包含するように意図される。
【0060】
構造式(1)および/または(2)の化合物は、例えば、適切な溶媒、例えば、メタノールもしくは酢酸エチルまたはそれらの混合物からの分別結晶法によって、または光学活性な固定相を使用するキラルクロマトグラフィーを介して、それらの個々のジアステレオ異性体に分離されてもよい。絶対立体配置は、必要に応じて既知の絶対配置の不斉中心を含有する試薬で誘導体化された、結晶生成物または結晶中間体のX線結晶解析によって決定されてもよい。
【0061】
あるいは、一般式(1)および/または(2)の化合物の任意の立体異性体は、既知の絶対配置の光学的に純粋な出発物質または試薬を使用する立体特異的合成によって得られてもよい。
【0062】

本発明による化合物は、医薬として許容される塩の形態で存在してもよい。用語「医薬として許容される塩」は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含めた、医薬として許容される無毒性塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガンの塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩である。医薬として許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級および三級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。
【0063】
本発明の化合物が塩基性のとき、塩は、無機および有機酸を含めた、医薬として許容される無毒性酸から調製されてもよい。かかる酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パルノ酸(parnoic acid)、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0064】
投与、用量範囲および製剤
本発明の化合物は、これらを医薬としてまたは化粧用として許容される担体または賦形剤と混合することによって、医薬または化粧用調製物に組み込まれる。適切な担体は、当業者に公知である。好ましくは、組成物は、哺乳動物の皮膚または粘膜上に局所的に塗布するのに適した皮膚科用組成物である。組成物の形態は特に限定されないが、好ましい形態は、乳剤、懸濁剤および液剤である。ある実施形態では、組成物は、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、噴霧剤、洗浄剤、粉末、軟膏剤、ワックス、口紅、石鹸、シャンプー、含水アルコール溶液、懸濁剤、泡状物質、スクラブ、飽和パッド、皮膚または毛髪用コンディショニング剤の形態である。
【0065】
本発明による組成物は、しかし、経口または非経口などの当業者に公知の任意の他の方法で適用されてもよい。非限定的な例は、舌下、経膣、直腸、静脈内、経鼻、筋肉内、吸入、眼、および経皮である。適切な担体および賦形剤は、当業者に公知である。
【0066】
本発明による組成物は、1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン化合物を、組成物の0.001から40重量%、好ましくは0.01から5重量%、より好ましくは0.1から2重量%、最も好ましくは0.5から1.5重量%の量で含有してもよい。
【0067】
本発明による組成物は、化粧用および医薬用調製物に通常採用される、当業者に公知の、化粧用および医薬/皮膚科用として許容される助剤を含有してもよい。こうしたものには、例えば、防腐剤、殺菌剤、香料、増粘剤、乳化剤、界面活性剤、軟化剤、保湿剤、油、脂肪、ワックス、有機溶媒、水、アルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、消泡剤、浸透促進剤、または医薬もしくは化粧用調製物の他の従来の構成成分が含まれる。
【0068】
本発明の化合物の調製
式(1)および/または(2)の化合物は、ジアステレオ異性体混合物として存在するとき、適切な溶媒、例えば、メタノール、酢酸エチルまたはこれらの混合物からの分別結晶法によって、鏡像異性体のジアステレオ異性体の対に分離されてもよい。このように得られた鏡像異性体の対は、分割剤として光学活性酸を使用することによる従来の手段によって個々の立体異性体に分離されてもよい。あるいは、式(1)および/または(2)の化合物の任意の鏡像異性体は、既知の立体配置の光学的に純粋な出発物質または試薬を使用する立体特異的合成によって得られてもよい。
【0069】
本発明の式(1)および/または(2)の化合物は、適正な材料を使用して以下のスキームおよび実施例の手順に従って調製することができ、以下の具体例によってさらに例示される。さらに、本明細書に記述される手順を当技術分野の通常の技術とともに利用することによって、ここに特許請求する本発明の追加的な化合物を容易に調製することができる。しかし、実施例に説明される化合物は、本発明とみなされる唯一の部類を形成するものと解釈されるべきではない。実施例は、本発明の化合物の調製についてさらに詳細に説明する。当業者であれば、以下の調製手順の条件および工程の既知の変法を使用してこれらの化合物を調製することができることを容易に理解する。塩基性または酸性基を含有する化合物は、これらの医薬として許容される塩の形態、例えば前記のものにさらに変換することができる。すべての温度は、摂氏温度である。
【0070】
以下のスキーム、調製物および実施例において、様々な試薬の記号および略語は、次の意味を有する:
AcOH 酢酸
Boc tert−ブトキシカルボニル
Bu ブチル
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCM ジクロロメタン
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIEA エチル−ジイソプロピルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
EDCI N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
m/z 質量電荷比
Me メチル
min 分
MeOH メタノール
mp 融点
MW 分子量
Ph フェニル
RT 室温
TEA トリエチルアミン
TEMPO 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
(分)HPLC保持時間
【0071】
反応スキーム1:
ウィッティヒ−ホーナー反応を使用する、エチル(2E,4E)−2,4−ジエノエートおよび対応する酸の合成
【0072】
【化5】
【0073】
本発明の化合物の合成のための出発物質である、場合によって置換されているエチル(2E,4E)−2,4−ジエノエートは、場合によって置換されている(2E)−2−エナールを、水素化ナトリウムまたはブチルリチウムなどの塩基の存在下で、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、適正な温度でトリアルキルホスホノアセテートと反応させることによって得ることができる。続いて、水とメタノールとの混合物のような溶媒中、適切な温度で水酸化ナトリウムなどの塩基を用いてけん化すると、対応する(2E,4E)−2,4−ジエン酸を生じる。
【0074】
反応スキーム2:
(2E,4E)−2,4−ジエン酸の代替合成
【0075】
【化6】
【0076】
反応スキーム2に示されるように、本発明の化合物を合成するための出発物質である、場合によって置換されているエチル(2E,4E)−2,4−ジエノエートおよび(2E,4E)−2,4−ジエン酸はまた、場合によって置換されている飽和アルデヒドから初めて調製されてもよい。この場合、トランス立体化学を有する2個の二重結合は、2回のウィッティヒ−ホーナー反応を適用して組み込まれる。α,β−不飽和エステルが、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中、水素化ナトリウムまたはブチルリチウムなどの塩基の存在下、低温でのアルデヒドとトリアルキルホスホノアセテートとの反応によって得られる。トルエンのような適切な溶媒中、−78℃でDIBAL−Hで還元すると、対応するアリルアルコールが得られ、続いてこれを、水とジクロロメタンとの混合物などの適正な溶媒中、臭化カリウムの存在下で次亜塩素酸ナトリウムおよびTEMPOで酸化すると、α,β−不飽和アルデヒドとなる。あるいは、アルコールは、DCMのような適正な溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、−78℃で、塩化オキサリルおよびDMSOを使用するスワーン酸化を適用して、酸化されてもよい。アルデヒドは、上記の条件を適用する2回目のウィッティヒ−ホーナー反応に供されて、エチル(2E,4E)−2,4−ジエノエートを生じる。最後に、エステルを、メタノール中、水酸化ナトリウム水溶液などの塩基の存在下で、高温で加水分解することによって、(2E,4E)−2,4−ジエン酸が得られる。
【0077】
反応スキーム3:
(2E,4E)−2,4−ジエン酸エステルの還元
【0078】
【化7】
【0079】
場合によって置換されている(2E,4E)−2,4−ジエン酸エステルは、反応スキーム3に図示されるように、ヘプタンのような不活性溶媒中、適切な温度でDIBAL−Hなどの還元剤と反応させることによって、対応するアルコールに還元することができる。
【0080】
反応スキーム4:
(2E,4E)−2,4−ジエン−1−アミンの合成
【0081】
【化8】
【0082】
反応スキーム4は、(2E,4E)−2,4−ジエン−1−アミンの調製を示す。場合によって置換されている(2E,4E)−2,4−ジエン−1−イルアルコールを、トルエンのような溶媒中、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンのような適正な塩基の存在下でジフェニルホスホリルアジドなどの試薬と反応させて、対応するアジドを生じることができる。続いて、ジエチルエーテルなどの不活性溶媒中、適正な温度で水素化アルミニウムリチウムのような還元剤を用いて還元すると、標的化合物が得られる。
【0083】
あるいは、アジドは、水とTHFとの混合物などの適切な溶媒中でトリフェニルホスフィンと反応させることによるシュタウディンガー反応で、対応する一級アミンに還元されてもよい。
【0084】
反応スキーム5:
(2E,4E)−N−アルキル−2,4−ジエン−1−アミンの合成
【0085】
【化9】
【0086】
場合によって置換されている(2E,4E)−2,4−ジエン−1−イルアミンは、反応スキーム5に図示されるように、対応するN−アルキル化アミンに変換することができる。トリエチルアミンのような塩基の存在下、DCMのような適切な溶媒中で二炭酸ジ−tert−ブチルと反応させ、次いで、DMFのような溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、ヨウ化メチルのようなアルキルハロゲン化物とのアルキル化工程を行う。アルキル化アミンは、ジエチルエーテルのような適正な溶媒中で、ジオキサン中のHClのような試薬を使用して、脱保護することができる。生成物は塩酸塩として単離されてもよく、または遊離塩基が遊離していてもよい。
【0087】
反応スキーム6:
アミドの合成
【0088】
【化10】
【0089】
商業的供給元からの酸塩化物を使用することができ、場合によって置換されているカルボン酸を、DCMなどの不活性溶媒中、適正な温度で塩化オキサリルと反応させて、対応する酸塩化物RCOClを得ることができる。場合によって置換されている酸塩化物を、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンのような不活性溶媒中で、場合によって置換されている5−(オメガ−アミノアルキル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンと反応させて、対応するアミドを入手することができる。
【0090】
あるいは、合成は、対応する酸RCOOHを、DCMまたはDMFのような溶媒中、HOAtおよびEDCIなどの試薬の存在下で、場合によって置換されている5−(オメガ−アミノアルキル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンと反応させることによって遂行されてもよい。
【0091】
反応スキーム7:
2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボキサミドの合成
【0092】
【化11】
【0093】
場合によって置換されている2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボン酸は、DCMのような適切な溶媒中で塩化オキサリルまたは塩化チオニルなどの試薬と反応させることによって、対応する酸塩化物に変換することができる。DCMのような不活性溶媒中でアミンHNRと反応させると、所望の生成物を生じる。反応は、DMAPなどの塩基の存在下で実施されてもよいし、塩基不在で実施されてもよい。
【0094】
あるいは、場合によって置換されている2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボン酸アミドの合成は、対応する酸を、DCMまたはDMFのような溶媒中、HOAtおよびEDCIなどの試薬の存在下で、アミンHNRと反応させることによって遂行されてもよい。
【0095】
反応スキーム8:
アミドのN−アルキル化
【0096】
【化12】
【0097】
アミドの窒素原子上の置換基Rは、反応スキーム8に示されるように導入することができる。アミドを、DMFなどの適正な溶媒中で水素化ナトリウムなどの適切な塩基で脱プロトン化し、続いて試薬X−Rと反応させる(Xは、ハロゲン化物などの脱離基を表す。)。
【0098】
反応スキーム9:
置換5−アミノ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンの合成
【0099】
【化13】
【0100】
置換5−アミノ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンは、反応スキーム9に図示されるように得ることができる。場合によってRが置換されている5−ニトロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オンは、DMFのような適正な溶媒中、高温で水素化ナトリウムなどの適切な塩基で脱プロトン化し、続いて試薬X−Rと反応させる(Xは、ハロゲン化物などの脱離基を表す。)。ニトロ基を、例えば、水とメタノールとの混合物中、高温で鉄および塩化アンモニウムのような試薬を適用することによって還元して、標的化合物を生じてもよい。
【0101】
LC−MS分析
分析条件概要:
ELSD(PL−ELS 2100)およびUV検出220から320nmまでのダイオードアレイ検出器、ならびにESI+およびESI−モードでのMass Selective Detector(MSD)(質量範囲:m/z=100−800)を有するAgilent 1100、
カラム:Waters Xbridge C18、3.5μm、2.1mm×50mm;
0.8ml/分の流量;カラム温度:30℃;
移動相A:アセトニトリル(0.1%HCOOH)
移動相B:水(0.1%HCOOH)
または
UV検出220から320nmまでのダイオードアレイ検出器、およびESI+およびESI−モードでのMass Selective Detector(MSD)(質量範囲:m/z=100−800)を有するAgilent 1200、
カラム:Waters Xbridge C18、3.5μm、2.1mm×50mm;
0.8ml/分の流量;カラム温度:30℃;
移動相A:アセトニトリル(0.1%HCOOH)
移動相B:水(0.1%HCOOH)
【0102】
勾配A:
水(0.1%HCOOH)中アセトニトリルの2%から98%までの直線勾配
0.0分 2%A
3.5分 98%A
6.0分 98%A
ELSD(PL−ELS 2100)およびUV検出220から320nmまでのダイオードアレイ検出器(Agilent G1315B)、ならびにESI+およびESI−モードでのMass Selective Detector(MSD、Agilent LC/MSD G6130B)(質量範囲:m/z=100−800)を有するAgilent 1100、
カラム:Waters Xbridge C18、3.5μm、2.1mm×50mm;
0.8ml/分の流量;カラム温度:30℃;
移動相A: 水中95%アセトニトリル+5%10mM炭酸水素アンモニウム
移動相B: 水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)
【0103】
勾配B:
水中95%アセトニトリル+5%10mM炭酸水素アンモニウムの2%から98%までの直線勾配
0.0分 2%A
3.5分 98%A
6.0分 98%A
カラム:Waters Xselect C18、3.5μm、2.1mm×50mm;
0.8ml/分の流量;カラム温度:25℃;
移動相A: 水中95%アセトニトリル+5%10mM炭酸水素アンモニウム
移動相B: 水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)
【0104】
勾配C:
ELSD(PL−ELS 2100)およびUV検出220から320nmまでのダイオードアレイ検出器、ならびにESI+およびESI−モードでのMass Selective Detector(MSD)(質量範囲:m/z=100−800)を有するAgilent 1100、
カラム:Waters Xselect C18、3.5μm、2.1mm×50mm;
0.8ml/分の流量;カラム温度:35℃;
移動相A:アセトニトリル(0.1%HCOOH)
移動相B:水(0.1%HCOOH)
水(0.1%HCOOH)中アセトニトリルの2%から98%までの直線勾配
0.0分 2%A
3.5分 98%A
8.0分 98%A
【0105】
勾配D:
ELSD(PL−ELS 2100)およびUV検出220から320nmまでのダイオードアレイ検出器、ならびにESI+およびESI−モードでのMass Selective Detector(MSD)(質量範囲:m/z=100−800)を有するAgilent 1100、
0.8ml/分の流量;カラム温度:35℃;
移動相A:水中95%アセトニトリル+5%10mM炭酸水素アンモニウム
移動相B:水中10mM炭酸水素アンモニウム(pH=9.5)
水(0.1%HCOOH)中アセトニトリルの2%から98%までの直線勾配
0.0分 2%A
3.5分 98%A
8.0分 98%A
【0106】
以下に、反応スキーム1から9を介して調製された本発明の詳細な実施例を記述する。
【0107】
【表1】
【0108】
以下の実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、いかなる方式においても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0109】
共通中間体:
エチル(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエノエート
【0110】
【化14】
【0111】
水素化ナトリウム(60%wt、3.11g)を乾燥テトラヒドロフラン(200ml)中に懸濁させ、0℃に冷却した。O,O−ジエチルエトキシカルボニルメチルホスホネート(15.43ml)を滴加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、−78℃に冷却し、その後(E)−デカ−2−エナール(11.90ml)を滴加した。撹拌をこの温度で2時間続け、その後混合物を室温に温めた。反応混合物を水に注入し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0112】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン酸
【0113】
【化15】
【0114】
エチル(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエノエート(11.84g)をメタノール(130ml)に溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液(35ml)を添加した。反応混合物を、十分な転化が観察されるまで60℃に加熱した。混合物を室温に冷却した後、混合物を希HCl水溶液で酸性化した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、さらに精製せずに、次の工程に使用した。
【0115】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエノイルクロリド
【0116】
【化16】
【0117】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン酸(2.5g)をジクロロメタン(25ml)に溶解した。塩化オキサリル(2.23ml)を添加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒および過剰な塩化オキサリルを除去し、残留物をDCMで数回ストリップした。粗酸塩化物を、そのまま次の工程に使用した。
【0118】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン−1−オール
【0119】
【化17】
【0120】
窒素雰囲気下で、(2E,4E)−エチル−ドデカ−2,4−ジエノエート(6.1g)をn−ヘプタン(120ml)に溶解し、−70℃に冷却した。ヘキサン中DIBAL−H(82ml)を滴加し、混合物を−70℃で45分間撹拌した。塩水(60ml)およびジエチルエーテル(100ml)を添加し、混合物を、RTに温めながら45分間撹拌した。有機層を分離し、1N HClで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して濃縮した。無色の液体が単離され、それは少し冷却すると固体化した。
【0121】
(2E,4E)−1−アジドデカ−2,4−ジエン
【0122】
【化18】
【0123】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン−1−オール(4.95g)を乾燥トルエン(110ml)に溶解し、ジフェニルホスフィニルアジド(7.92g)を添加した。DBU(4.91ml)を滴加した。混合物は、発熱しながら不透明になった。溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテルを残留物に添加した。反応混合物を1M HCl、1M NaOHおよび塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して淡黄色の液体を得た。粗生成物をシリカゲルでろ過した。
【0124】
(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン−1−アミン
【0125】
【化19】
【0126】
窒素雰囲気下で、ジエチルエーテル中1M LiAlH(2.89ml)を乾燥ジエチルエーテル(30ml)で希釈し、氷浴中で冷却した。(2E,4E)−1−アジドドデカ−2,4−ジエン(1g)の乾燥ジエチルエーテル(10ml)中溶液をゆっくり添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、氷浴を除去し、室温に温めながら撹拌を1時間続けた。ガスの発生が止まるまで水を慎重に添加し、反応混合物を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して黄色の液体を得た。
【0127】
エチル(2E)−5−フェニルペンタ−2−エノエート
【0128】
【化20】
【0129】
水素化ナトリウム(60%wt、181mg)を乾燥テトラヒドロフラン(5ml)に懸濁させ、0℃に冷却した。トリエチルホスホノアセテート(896μl)を滴加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。−78℃に冷却した後、3−フェニルプロピオンアルデヒド(500μl)を滴加した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌した。反応混合物を放置して室温まで温め、水/THFで加水分解し、水に注入し、水層をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0130】
(2E)−5−フェニルペンタ−2−エナール
【0131】
【化21】
【0132】
(E)−エチル−5−フェニルペンタ−2−エノエート(732mg)の乾燥トルエン(5ml)中溶液を−78℃まで冷却した。DIBAL−H(ヘキサン中1M、7.17ml)を滴加し、混合物を3時間撹拌した。DIBAL−Hの第2のポーション(ヘキサン中1M、0.717ml)を添加し、撹拌をさらに3時間続けた。混合物を放置してRTまで温め、1M HCl水溶液(5ml)で加水分解した。追加的な3M HCl水溶液をpH=1になるまで添加し、水層をEtOAcで抽出した(3×)。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をジクロロメタン(5ml)に溶解し、TEMPO(28.0mg)、臭化カリウム(42.6mg)および水(5ml)を添加した。次亜塩素酸ナトリウム水溶液(13%、1.642ml)を滴加した。混合物を室温で15時間撹拌した。相分離後、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層を1M HCl、水および塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、少し橙色がかった油状物を生じた。
【0133】
エチル(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエノエート
【0134】
【化22】
【0135】
水素化ナトリウム(60%wt、74.0mg)を乾燥テトラヒドロフラン(5ml)に懸濁させ、0℃に冷却した。トリエチルホスホノアセテート(0.367ml)を滴加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、続いて−78℃に冷却し、その後(E)−5−フェニルペンタ−2−エナール(247mg)を滴加した。反応混合物をこの温度で1時間撹拌した。氷浴を除去し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。反応混合物を水/THFで加水分解し、水に注入し、水層をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をそのまま次の工程に使用した。
【0136】
(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン酸
【0137】
【化23】
【0138】
(2E,4E)−エチル−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエノエート(355mg)をメタノール(5ml)に溶解した。2M水酸化ナトリウム水溶液(1.002ml)を添加し、得られた懸濁液を60℃に加熱した。反応混合物を2時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、1M HCl水溶液で酸性化し、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮し、オフホワイトの固形物を生じた。残留物を1M NaOH水溶液(10ml)に溶解し、EtOで抽出した。水層を2M HCl水溶液で酸性化し、EtOAcで2回抽出した。合わせたEtOAc層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。
【0139】
(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン−1−オール
【0140】
【化24】
【0141】
エチル(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエノエート(7.32g)の乾燥トルエン(75ml)中溶液を−78℃に冷却した。DIBAL−H(ヘキサン中1M、65.2ml)を滴加し、混合物を3時間撹拌した。混合物を放置して室温まで温め、氷/水浴で冷却しながら1M HCl水溶液で加水分解した。追加的な3M HCl水溶液を、pH=1になるまで添加した。層を分離し、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色の油状物を生じた。
【0142】
[(3E,5E)−7−アジドヘプタ−3,5−ジエン−1−イル]ベンゼン
【0143】
【化25】
【0144】
(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン−1−オール(6.8g)を乾燥トルエン(130ml)に溶解し、氷塩浴中で冷却した。ジフェニルリン酸アジド(7.83ml)を添加し、次いで、乾燥トルエン(15ml)中DBU(6.53ml)を滴加した。混合物を室温に温めながら15時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をジエチルエーテルと1N NaOHとに分配した。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製すると、無色の液体を生じた。
【0145】
tert−ブチル[(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン−1−イル]カルバメート
【0146】
【化26】
【0147】
窒素雰囲気下で、LiAlH(ジエチルエーテル中4N、4.50ml)および乾燥ジエチルエーテル(200ml)を0℃に冷却した。[(3E,5E)−7−アジドヘプタ−3,5−ジエン−1−イル]ベンゼン(6.4g)の乾燥ジエチルエーテル(70ml)中溶液を滴加し、混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温で1時間撹拌した。水をガスの発生が止まるまで滴加した。混合物を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮して、黄色の液体として中間体アミンを得た。中間体アミン(5.6g)をジクロロメタン(150ml)に溶解し、0℃に冷却した。トリエチルアミン(4.60ml)を添加し、次いでBocO(6.97ml)を添加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で15時間撹拌した。水(200ml)を添加し、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(200ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の液体を生じた。
【0148】
(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン−1−アミン
【0149】
【化27】
【0150】
tert−ブチル(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエニルカルバメート(800mg)をジオキサン中塩酸(4.0M、8.35ml)に溶解した。混合物を、室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、EtOで2回共蒸発させ、EtOを添加し、固形物を窒素流下でろ別して、オフホワイトの固形物として生成物を生じた。
【0151】
実施例4の合成:
実施例4:
【0152】
【化28】
【0153】
2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−カルボン酸(150mg)および(2E,4E)−ドデカ−2,4−ジエン−1−アミン(138mg)の冷却(0℃)したジクロロメタン(3ml)および乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中溶液に、EDCI.HCl(161mg)を添加し、次いで1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(10.36mg)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製材料をEtOAcに溶解し、小型シリカパッド上でEtOAcを使用して溶出し、次いで減圧下で蒸発させ、黄色の粗固形物を得た。粗固形物にHOおよびEtOAcを添加し、完全に溶解するまで激しく撹拌しながら混合物を加熱した。まだ熱いうちに層が分離した後、有機EtOAc層を相分離装置を使用してろ過し、減圧下で蒸発させて乾燥した。逆相カラムクロマトグラフィーを介してさらに精製すると、白色の固形物として生成物が得られた。
【0154】
実施例10の合成:
実施例10:
【0155】
【化29】
【0156】
5−アミノ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン(125mg)および(2E,4E)−7−フェニルヘプタ−2,4−ジエン酸(140mg)のジクロロメタン(3ml)および乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中懸濁液に、EDCI.HCl(146mg)を添加し、次いで1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(9.42mg)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10−70%EtOAc)によって精製して、白色の固形物として生成物を生じた。
【0157】
上の表1に示される通りの実施例1−3、5−9および11−17は、実施例4および実施例10と類似した方式で、それぞれの出発化合物を使用して調製された。
【0158】
生物学的アッセイ
A. CBおよびCB受容体についての放射性リガンド置換アッセイ
CB受容体について、0.5nMの放射性リガンド[H]CP55,940(168Ci/mmol)(Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)の存在下、30℃、シリコン処理したガラスバイアル中で、0.5ml(最終容量)のアッセイ用緩衝液(50mMトリス−HCl、2.5mM EDTA、5mM MgCl、0.5mg/mlの脂肪酸不含BSA、pH7.4)に再懸濁させた、組換えによりCBを過剰発現している膜(番号RBHCB1M、Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)8.0μgを用いて結合実験を行った。試験化合物は種々の濃度で存在させ、放射性リガンドの非特異的結合を10μM WIN55,212−2(Tocris Cookson Ltd.、ブリストル、UK)の存在下で決定した。2時間のインキュベーションの後、懸濁液を0.1%ポリエチレンイミンに予め浸したUniFilter(R)−96GF/B(Perkin Elmer、ボストン、MA、US)を通して迅速にろ過し、167μlの氷冷アッセイ用緩衝液で12回洗浄した。乾燥し、封止したフィルタープレート上の放射活性を、Perkin Elmer 1450 Microbeta TRILUX液体シンチレーションカウンターを用いて、40μlのMicroScint 20シンチレーションカクテル(Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)中で測定した。三重に行った別個の3回の実験から収集したデータを、[H]CP55,940の特異的結合100%から0%の間で正規化した。これらのデータをヒルプロットに描くことによってグラフ的に直線化し、それによりIC50値の算出を可能とした。[H]CP55,940の解離定数(K)および濃度依存性置換(IC50値)から導出し、競合化合物の阻害定数(K)をチェン−プルソフの式[K=IC50/(1+L/K)]を使用して算出した。
【0159】
CB受容体結合試験については、組換えによりCBを過剰発現している膜(番号RBXCB2M、Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)3.8μgを、0.5nMの放射性リガンド[H]CP55,940とともに0.5mlのアッセイ用緩衝液(上記参照)に再懸濁させた。CB結合アッセイを、CBの場合と同様に行った。
【0160】
B.臨界ミセル濃度(CMC)の測定
染色ミセル化(Dye micellization)を、Eliyahuら、Novel dextran−spermine conjugates as transfecting agents:comparing water−soluble and micellar polymers.Gene Ther.2005年3月;12(6):494−503によって記載される方法の変法を用いて実施した。化合物(2mM原液から)を、濃度を上げながら、Nanopure蒸留水中室温で0.1nMフルオレセイン(遊離酸、99%、Fluka、スイス)と混合した。実験を、96ウェルのマイクロタイタープレート上で実施した(485nmで励起、535nmで発光)。フルオレセインの発光はpHに依存するので、混合物のpHを6.9に一定に保った。CMC範囲を、統計的に有意な蛍光の増加が最初に検出された濃度範囲として決定した。濃度範囲の適正な分解能において、こうした増加は漸進的なものではなく、急激なものであった。
【0161】
C. [H]−AEAの細胞取り込み
ヒトリンパ腫U937細胞を、10%ウシ胎児血清、1g/mlのフンギソン(アンフォテリシンB)、100単位/mlのペニシリン、100g/mlのストレプトマイシン、および2mMのL−グルタミン(すべてInvitrogen製)を補ったRPMI 1640培地(Invitrogen、バーゼル、スイス)中で増殖し、細胞のAEA取り込みアッセイ用に選択した。2.5×10の細胞を収集し、シラン処理ガラスバイアルを使用して250μlのRPMI 1640培地(Invitrogen、バーゼル、スイス)中に37℃で懸濁させた。細胞を、10−11−10−5Mの濃度範囲の試験化合物の存在下または同量(5μl)のビヒクル対照(DMSO)の存在下、15分間37℃でプレインキュベートした。次いで、最終濃度100nMのAEAとなる、0.5nM [H]−AEA(60Ci/mmol)(American Radiolabeled Chemicals,Inc.、サンルイス、MO、US)と99.5nMの非放射性AEA(Tocris Cookson Ltd.、ブリストル、UK)との混合物を添加し、試料を37℃でさらに15分間インキュベートした。PBS0.25%BSA(w/v)に予め浸したUniFilter(R)−96GF/C(Perkin Elmer、ボストン、MA、US)で迅速にろ過することによって、反応を止めた。細胞を、脂肪酸不含BSAを1%含有する氷冷PBS緩衝液(137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM NaHPO、1.76mM KHPO、1%脂肪酸不含BSA、pH7.4)で3回洗浄し、乾燥し、40μlのMicroScint 20シンチレーションカクテル(Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)を添加した。放射活性は、Perkin Elmer 1450 Microbeta TRILUX液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。結果は、溶媒で処理された細胞に対するAEA取り込みの割合(%)として表し、EC50およびIC50値は、GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software、サンディエゴ、CA、US)を使用して作成したS字状曲線から算出した。
【0162】
【表2】
【0163】
D. 脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)の阻害
FAAHの活性を、ブタの脳またはU937のホモジネートを使用して、Omeirら、Arachidonoyl ethanolamide−[1,2−14C] as a substrate for anandamide amidase.Life sciences 56、1999−2005(1995年)によって記載され、Fowlerら、Selective inhibition of anandamide cellular uptake versus enzymatic hydrolysis−−a difficult issue to handle.European journal of pharmacology 492、1−11(2004年)によって適合された方法に従って評価した。
【0164】
簡単に述べると、10μlのビヒクルまたは最終濃度が100nMとなる陽性対照URB597(Cayman Chemical、アンアーバー、MI、US)または妥当な濃度の阻害剤を、490μlの希釈したブタの脳(試料当り200μg)またはU937ホモジネート(試料当り0.63mgのタンパク質、10のU937細胞に相当)とともに、FAAH活性緩衝液(10mM トリス−HClおよび1mM EDTA、pH8.0、0.1%w/v脂肪酸不含BSA(Sigma、サンルイス、MO、US))中、37℃、450rpmで15分間、プレインキュベートした。AEAの総濃度が100nMとなる、0.5nMの[H]AEA(60Ci/mmol)と99.5nMの非放射性AEAとの混合物を添加し、15分間インキュベートした。続いて、メタノール:クロロホルムの1:1(v/v)混合物1mlを各試料に添加し、激しくボルテックスした後、10’000rpm、4℃で10分間の遠心分離によって水相と有機相とを分離した。3mlのUltima Goldシンチレーション液(Perkin Elmer、ウォルサム、MA、US)を水(上の)相に添加した直後に、PACKARD TRI−CARB 2100TR Liquid Scintillation Analyzerを使用して、[H]−エタノールアミン(FAAHに触媒される[H]−AEAの分解によって生成される。)に伴う放射活性を測定した。結果を、ビヒクルで処理されたホモジネートに対するFAAH活性の割合(%)として表した。収集したデータを、URB597によるFAAHの全阻害での非特異的なシグナルを差し引くことによって正規化した。作成したS字状曲線からのFAAH阻害の単一の値、すなわちIC50値は、GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software、サンディエゴ、CA、US)を使用して算出した。
【0165】
E. モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)の阻害
MAGL活性を、Monoacylglycerol Lipase Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemicals、MI、US)を使用して評価し、実験操作をキットプロトコルに従って実施した。簡単に述べると、様々な濃度(0.1−20μMの範囲)の10μlの試験化合物を、150μlのアッセイ用緩衝液、10μlのヒト組換えMAGLおよび10μlのアラキドノイル−1−チオ−グリセロール(アッセイでは150μM)に添加した。プレートを室温で5分間インキュベートし、その後10μlのDTNB(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)、エルマン試薬)を各ウェルに添加した。プレートを10秒間振とうし、Genius Pro分光蛍光光度計(Tecan、グレーディヒ、オーストリア)を使用して、415nmでの吸光度を測定した。最初の100%の酵素活性(enzymatic activty)は、試験化合物の代わりに溶媒を使用して算出し、一方バックグラウンドは、ヒト組換え酵素を含まずに測定した。各値からブランクを差し引き、結果を、最初の酵素活性に対する割合(%)として表した。
【0166】
F. 遅延型過敏反応のオキサゾロンモデルに伴うそう痒のインビボモデル
試験化合物の局所投与後にマウスの引っ掻き行動を測定する。耳の厚さを測定し、組織学的パラメータを決定する(例えば、Elliott G.R.An automated method for registering and quantifying scratching activity in mice:use for drug evaluation.J.Pharmacol.Toxicol.Methods.2000年;44:453−459およびGijbels M.J.Therapeutic interventions in mice with chronic proliferative dermatitis(cpdm/cpdm).Exp.Dermatol.2000年;9:351−358を参照されたい。)。
【0167】
医薬組成物の実施例
【0168】
【表3】
【0169】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0170】
上の結果は、本発明の1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン化合物によってもたらされる技術的効果の向上を明白に示している。本発明の発明者らによって、驚いたことに、これらの化合物が医薬組成物および化粧用組成物、好ましくは皮膚科薬における有効成分として適切であることが見出された。さらに、該化合物は、これらに限定されないが、炎症、刺激、痒み、そう痒、疼痛、浮腫、および/またはアレルギー誘発性もしくはアレルギー性状態を含めた幾つかの疾患および状態を治療および/または予防するのに有効であり、特に、適切な担体、好ましくは無極性の担体を含有する医薬または化粧用組成物の形態で皮膚または粘膜に局所的に塗布されたときに有効であることが示された。特に、細胞ストレスシグナルによって誘導される炎症は、これらの化合物によって有効に軽減され得る。さらに、本発明の化合物は、発毛状態(例えば脱毛症、脱毛)、皮脂腺障害(例えばざ瘡、脂漏)、良性および悪性皮膚腫瘍、過剰増殖性皮膚疾患(例えば乾癬)、過剰な発毛(例えば多毛症)、様々な形態の皮膚炎、乾燥肌状態、ならびに/または全身性硬化症(例えば強皮症)の治療/予防に有効である。式(1)および/または(2)の化合物は内因性カンナビノイド系のモジュレーターであり、したがって、これらに限定されないが、CBおよびCB、TRPV1、GPR55、FAAH、モノアシルグリセオールリパーゼ(monoacylglyceol lipase)(MAGL)またはAEATを含めた、内因性カンナビノイド系の1つ以上の構成要素に応答する上述の疾患、障害または状態の治療、制御または予防に有用である。本発明の化合物を含有する医薬(皮膚科用)組成物および調製物は、先行技術の化合物と比較して活性化合物の量が低減されていたとしても活性が高く、望ましくない副作用を示すことが少ない。
【0171】
本発明を、その特定の好ましい実施形態を参照して説明および例示してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、そこに様々な変更、修正および置換えを行うことが可能であることが理解されよう。例えば、上述の好ましい用量以外に、観察された特定の薬理反応の結果として有効な投与量が適用可能な場合があり、それは選択された特定の活性化合物、ならびに製剤のタイプおよび採用される投与様式に応じて変動することがあるが、こうした予想される結果的な変動または相違は、本発明の目的および実施に合致することが企図される。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲の趣旨によってのみ限定され、かかる特許請求の範囲は合理的である限り最も広く解釈されることが意図される。