特許第6125633号(P6125633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125633
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】ずれ防止胆管ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20170424BHJP
   A61F 2/94 20130101ALI20170424BHJP
   A61F 2/82 20130101ALI20170424BHJP
【FI】
   A61F2/04
   A61F2/94
   A61F2/82
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-523136(P2015-523136)
(86)(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公表番号】特表2015-522377(P2015-522377A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013050188
(87)【国際公開番号】WO2014014748
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/673,995
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, カピル
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/112432(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/068262(WO,A1)
【文献】 特表2010−506685(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/118081(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04 − A61F 2/07
A61F 2/82
A61F 2/848
A61F 2/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非拡張型ステントであって:
全体的に管状の本体を貫通して画定されたルーメンを有する前記本体を備え、前記本体が、実質的に直線状の遠位部分と、括約筋の近位側に配置されるように構成された湾曲部分を備える近位部分と、を備え、
前記直線状の遠位部分が、当該直線状の遠位部分の壁に設けられた第1及び第2の保持部材を備え、前記第1の保持部材が、前記第2の保持部材の近位側に配置され、前記第1及び第2の保持部材は前記本体の前記壁の同じ側から径方向外側に延びて、前記第1の保持部材の自由端と前記第2の保持部材の自由端とが近位方向に向いており
前記本体が、遠位端部開口及び近位端部開口を備え、
前記本体が前記湾曲部分における前記第1の保持部材よりも近位で且つ近位端部開口よりも遠位の位置に開口を有し、前記開口は前記遠位部分の前記ルーメンの長手軸線が通る位置に配置されている、ステント。
【請求項2】
前記第1および前記第2の保持部材が、前記直線状の遠位部分の長手軸線に対する径方向で、前記湾曲部分とは異なる方向に延びている、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1および前記第2の保持部材が、前記直線状の遠位部分の長手軸線に対する径方向で、前記湾曲部分から180度反対の方向に延びている、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記湾曲部分がC型である、請求項1または2に記載のステント。
【請求項5】
前記本体が、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との間に開口を有していない、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステント。
【請求項6】
前記本体が、前記第1の保持部材の近位側の前記湾曲部分に開口を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のステント。
【請求項7】
前記本体が、前記第1の保持部材の近位側の前記湾曲部分に第2の開口を備える、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記本体が、遠位端部開口および近位端部開口を備え、前記遠位端部開口と前記近位端部開口が、同じ方向を向いている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のステント。
【請求項9】
前記第1の保持部材の近位側に配置された放射線不透過性マーカーをさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のステント。
【請求項10】
放射線不透過性マーカーと前記第2の保持部材との間に長手方向に延在する距離xを有し、前記距離xが2〜12cmである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のステント。
【請求項11】
プラスチック、シリコーン、ブロックポリマー、ウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、PTFE、FEP、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のステント。
【請求項12】
テーパー遠位端部をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のステント。
【請求項13】
第1の保持部材および第2の保持部材が前記遠位部分の共通の長手軸線上に配置されている請求項1〜12のいずれか1項に記載のステント。
【請求項14】
前記第1及び第2の保持部材が、前記直線状の遠位部分の長手軸線に対する径方向で、前記湾曲部分と同じ方向に延びている、請求項1に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全開示内容が本明細書に組み入れられる2012年7月20日出願の米国仮特許出願第61/673,995号明細書の恩典を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、患者の体内の脈管または管路に植え込み可能なステントに関し、詳細には、胆管系の脈管または管路の開存性を維持するために使用することができるステントに関する。
【背景技術】
【0003】
プロテーゼ装置は、様々な医療処置で脈管および管路に配置することができる。典型的には、プロテーゼ装置の脈管および管路への配置は、脈管または管路を通る通路を開存した状態に維持する働きをする。例えば、胆管または膵管が閉塞した場合、大抵は、閉塞領域内に管状プロテーゼを配置することによってこのような管路を通る排出を促進することが望ましい。一部の処置では、1つ以上のステントが、通路の開存を維持するために使用される。
【0004】
内部にステントが配置される通路は、患者の体の運動に応じて変形および運動し得る。これらの通路に配置されるように設計されたステントは、通路の運動に対応するために可撓性である。ステントは、通常はポリマーまたは金属、典型的には形状記憶合金から形成され、ステントの移動を防止してステントを所定の位置に維持する役割を果たすフラップまたは掛かりをステントの各端部に備えることができる。一部のステントは、ステントを所定の位置に維持するのに役立つ様々な予備成形保持構造、例えば、ピグテールまたは螺旋を有することができる。ステントはまた、閉塞領域に達したときに、拡張して管壁を外向きに押圧し、ステントを管路内の所定の位置に維持するような様々な拡張可能な構造に形成される。
【0005】
配置処置の際に、特に2つ以上のステントが管路内に配置される場合は、ステントの位置を変えることができる。例えば、1つのステントを管路内に配置し、第2のステントを第1のステントの傍に配置する場合、第2のステントを配置する際に第1のステントを管路の奥深くに押し込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
管路内に非外傷的に配置することができ、かつ追加のステントが同じ管路内に配置されるときに所定の位置に維持する、または容易に再配置することができる改善されたステントが要望されている。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記説明された1つ以上の欠点を解消または改善する特徴を有するステントおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、ステントおよびこのステントを植え込むための方法を提供することによって本発明の一態様で達成される。このステントは、全体的に管状の本体を貫通して画定されたルーメンを有する該本体を備える。この本体は、湾曲部分を有する近位部分を備え、この湾曲部分は、括約筋の近位側に配置されるように構成されている。本体はまた、第1の保持部材および第2の保持部材を有する実質的に直線状の遠位部分も備える。第2の保持部材は、遠位部分に配置され、第1の保持部材は、第2の保持部材の近位側に配置されている。第1および第2の保持部材は、遠位部分の壁に沿って延在する共通の長手方向軸線上に配置され、この第1および第2の保持部材は、本体から共通の方向に離れるように延び、第1の保持部材の自由端および第2の保持部材の自由端が、本体の遠位端部から離れる方向に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるステント一実施形態の側面図である。
図2】本発明のステント一実施形態の斜視図である。
図3】本発明のステントの代替の実施形態の側面図である。
図4】ステントの保持部材の断面図である。
図5】胆管に送達されているステントの一実施形態の線図である。
図6】胆管内に配置された第1のステントの線図である。
図7】胆管に送達されている第2のステントの拡大線図である。
図8】胆管内にある第1のステントおよび第2のステントの拡大線図である。
図9】胆管内に配置された複数のステントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、同様の要素が同様の参照符号で示されている図面を参照して説明される。本発明の様々な要素の関係および機能は、以下の詳細な説明からより良く理解されよう。しかしながら、本発明の実施形態は、図面に例示されている実施形態に限定されるものではない。図面は正確な縮尺ではなく、場合によっては、本発明の理解に必ずしも必要ではない細部、例えば、従来の製造および組立てが省略されていることを理解されたい。
【0011】
本明細書で使用される近位および遠位という語は、医師が留置システムを使用して患者にステントを送達するのに関連していることを理解されたい。従って、遠位という語は、医師から最も遠いステントの部分を指し、近位という語は、医師に最も近いステントの部分を指す。
【0012】
図1および図2は、本発明の実施形態によるステント10を例示している。一部の実施形態では、ステント10は、非拡張型ステントである。ステント10は、近位部分16および遠位部分18を有する全体的に管状の本体12を備える。ルーメン20が、ステント10の管状本体12の少なくとも一部を貫通して延在する。本体12は、湾曲部分24に接続された実質的に直線状の部分14を備える。この実質的に直線状の部分は、ステント10が植え込まれる際に管路の形状に一致し得る。「実質的に直線状」という語は、ループ、例えば、湾曲部分24に形成されている湾曲のない部分を指す。湾曲部分24は、近位部分16に形成され、以下により詳細に説明されるように、括約筋の近位側に配置されるように構成されている。一部の実施形態では、湾曲部分24はC型であるが、他の形状も可能である。本体12はまた、その実質的に直線状の部分14の長手方向軸線から離れるように径方向に延びた第1の保持部材26および第2の保持部材28を備えることもできる。第2の保持部材28は、ステント10の遠位部分18に配置され、第1の保持部材26は、第2の保持部材28の近位側に配置されている。保持部材26、28は、本体12に対して約5〜90度の角度で径方向外向きに延在することができる。保持部材の長さは、約4mm〜約15mmとすることができるが、他の長さも可能であり、管路のサイズ、障害物のサイズ、およびステントのサイズによって決まり得る。保持部材26、28は、当業者に公知の任意の方法、例えば、スカイビング仕上げまたは成型によって形成することができる。
【0013】
ステント10はまた、ルーメン20からの排出が可能となるように構成された、ルーメン20に接続された本体12の近位部分16に少なくとも1つの開口32も備える。図1に示されているように、開口32は、湾曲部分24に形成することができる。ステント10はまた、その近位端部36に近位開口34を備え、その遠位端部40に遠位開口38を備えることもできる。近位開口34と遠位開口38は、ルーメン20によって接続されている。一部の実施形態では、開口32を、ルーメン20からの排出を容易にするために実質的に直線状の部分14に沿って延在するルーメン20に整合するように配置することができる。C型湾曲部分24を有する、図1に示されている実施形態では、近位および遠位開口34、38は、同じ方向に向いている。
【0014】
ステント10の本体12は、第1の保持部材26に形成された第1の開口44、および第2の保持部材28に形成された第2の開口46を備えることもできる。第1および第2の開口44、46は、ステント10の本体12にスカイビング仕上げをして保持部材26、28を形成することによって形成することができ、このスカイビング仕上げをした部分は、本体12を切断して開口44、46を形成する十分な厚さである。スカイビング仕上げ開口44の拡大図が図4に示されている。一部の実施形態では、スカイビング仕上げ保持部材26、28は、壁の厚さを完全に切断するのではなく本体12に開口が形成されるようにスカイビング仕上げをすることによって形成することができる。保持部材26と28との間(および、存在する場合は開口44と46との間)に延在するステント10の本体12は、開口のない閉じた管状構造である。
【0015】
図1に示されているように、第1および第2の保持部材26、28の両方は、ステント10の同じ側から外向きに延びている。第1および第2の保持部材26、28はまた、同じ方向に延びている。図1に示されているように、第1の保持部材26の自由端62および第2の保持部材28の自由端64は、ステント10の遠位部分18から離れる方向に延びている。図1に示されている保持部材26、28の方向により、保持部材26、28は、胆管内の所定の位置にステント10を保持し、ステント10が胆管から移動するのを防止することができる。湾曲部分24の方向により、以下により詳細に論じされるように、湾曲部分24が、近位部分16を十二指腸内に保持するのに役立ち、かつステント10が胆管内に完全に挿入されるのを防止するのに役立ち得る。一部の実施形態では、保持部材26、28は、湾曲部分24に整合しないようにすることができる。一部の実施形態では、第1および第2の保持部材26、28は、図1に示されているように、湾曲部分24に対してステント10の反対側にすることができる。一部の実施形態では、第1および第2の保持部材26、28は、図3に示されているように、湾曲部分24と同じステント10の側に存在し、共通の長手方向軸線上で整列するようにすることができる。
【0016】
本体12は、蛍光透視またはX線で可視化される1つ以上の放射線不透過性マーカー50を備えることができる。一部の実施形態では、マーカー50は、以下により詳細に説明されるように、ステント10の管内での位置決めを容易にするために第1の保持部材26の近位側に配置することができる。一部の実施形態では、放射線不透過性マーカー50は、湾曲部分24と第1の保持部材26との間の本体12に設けることができる。一部の実施形態では、ステント10は、例えば、第2の保持部材28および/または遠位端部40の位置を示すために、追加のマーカー50を備えることもできる。一部の実施形態では、ステント10自体を、放射線不透過性材料から形成することができる。一部の実施形態は、可視化できるレーザまたはインクーによって形成される可視マークを備えることができ、これにより、ステント10を蛍光透視またはX線で可視化することができる。
【0017】
一部の実施形態では、本体12の遠位部分18は、図2に示されているようにテーパー端部41を備えることができる。図2に示されているように、近位部分14は、ステント10による管路からの排出を容易にするために2つの開口32を備えることができる。これらの開口32は、マーカー50の近位側かつ近位端部36の遠位側に互いに隣接して配置することができる。
【0018】
ステント10は、管路または通路、例えば、胆管に植え込むのに適した任意のサイズにすることができる。ステント10は、約4.5〜6.0mm(約7〜10フレンチ)の外径を有することができるが、他のサイズのステントも使用することができる。ステント10の長さは、通常は、管内の障害物の位置によって決まる。ステント10は、管路からのこのステント10の移動の防止に役立つよう、第2の保持部材28を障害物の遠位側に配置できるように約2cm刻みで供給することができる。非限定の例では、放射線不透過性マーカー50から第2の保持部材28までの距離xは、障害物の位置によって約2cm、4cm、6cm、8cm、10cm、または12cmとすることができる。これよりも短い、または長いステントも使用することができる。
【0019】
ステントは、管路の曲率に一致するように十分に柔軟であり、かつ硬いステントで起こる植え込み部位での刺激を排除または軽減するような材料から形成することができる。このような材料は、ステントが管内に配置されたときにステントが挿入されている管腔を維持する十分な強度も有するべきである。本発明のステントに適切な材料としては、限定されるものではないが、SOF−FLEX(商標)、一種のポリエーテルウレタン、シリコーン、ブロックコポリマー、ウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、FEPなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
ステント10は、当分野で公知の任意の送達システムを用いて植え込み部位に送達することができる。使用される送達システムは、ステント10のサイズおよびこのステント10を形成するために使用される材料によって決まる。図5は、例示的な送達システム100を例示している。送達システム100は、ワイヤガイド110および導入カテーテル120を備える。ワイヤガイド110は、ステント10を配置する体の部位へのステント10の通路を通る送達を誘導するために、導入カテーテル120のルーメン122およびステント10のルーメン20を貫通して延在する。部位へ送達する際は、ステント10をワイヤガイド110上に配置し、ステント10の湾曲部分24を一時的に直線状にする。ワイヤガイド110および導入カテーテル120が、送達部位にあるステント10から除去されると、湾曲部分24が湾曲構造に戻る。送達システム100は、追加のルーメンを備えることもできる。
【0021】
本発明のステント10の送達および植え込みの例示的な方法が、送達システム100を参照して例示される。図5に示されているように、送達システム100は、オディ括約筋151を介してステント10を配置するために使用することができる。図5に示されているように、ワイヤガイド110は、オディ括約筋151を介して総胆管154に送られる。参照のために、十二指腸164、膵臓166、膵管170、および胆嚢172も示されている。ステント10は、導入カテーテル120によってワイヤガイド110上を送られ、内視鏡160から出される。導入カテーテル120は、植え込み部位に達するまで、ステント10をワイヤガイド110に沿って遠位側に押すことによってステント10を所定の位置まで前進させる。一部の実施形態では、ステント10は、送達カテーテル120およびステント10(不図示)上に配置される外側シースを用いて送達することができる。
【0022】
図6に示されているように、ステント10は、第1の保持部材26が括約筋151を通って外向きに拡張して括約筋151に接触するまで前進させることができる。ステント10の遠位部分38は、第2の保持部材28が狭窄部176の遠位側に位置するように、胆管154の狭窄部または病変176、例えば、胆管154の中で成長する腫瘍を通って前進させる。遠位部分38は、図6に示されているように右肝管178内に配置することができる。この位置では、第2の保持部材28が、狭窄部176に抵抗を加えることによってステント10が胆管154から移動しないようにするのに役立つ。第1の保持部材26もまた、括約筋151に抵抗を加えることによってステント10が胆管154から移動しないようにするのに役立つ。放射線不透過性マーカー50を使用して、ステント10の胆管154内への配置を容易にすることができる。ステント10が胆管154内に配置されたら、ワイヤガイドをステント10から引き抜いて湾曲部分24を湾曲構造に戻し、この湾曲部分24が十二指腸164内に配置されるようにする。開口32は、胆汁を胆管154、178からステント10のルーメン20を介して開口32から排出できるように十二指腸164内に配置されている。
【0023】
図7の拡大図に示されているように、第2のステント10を胆管154内に配置して、胆管154の障害物176を通過する胆汁の排出をさらに促進することができる。第1のステント10aが、胆管154内に配置され、遠位部分38aが右肝管178に配置されている。第2のステント10bが、上記説明されたようにワイヤガイド110および送達カテーテル120を用いて胆管154に送達される。図7に示されているように、第2のステント10bの送達上の1つの問題は、この第2のステント10bを第1のステント10aを通過して押すときに、この第1のステント10aが胆管154内で遠位側に押されることである。図7に示されているように、第1のステント10aが第2のステント10bによって遠位側に押されたため、第1のステント10aの第1および第2の保持部材26a、28aがそれぞれ、括約筋151および狭窄部176の遠位側にある。図8に示されているように、第2のステント10bを胆管154内に配置するときに、湾曲部分24aを保持または使用して第1のステント10aを再配置することができる。
【0024】
図8に示されているように、第1のステント10aは、その遠位部分38aが右肝管178に配置されるように配置することができる。第2のステント10bは、その遠位部分38bが左肝管179に配置されるように配置することができる。第1および第2のステント10a、10bの両方の湾曲部分24a、24bを十二指腸164内に配置することができる。追加のステント10を、上記説明された処置で胆管154内に配置することもできる。各ステント10が適切に配置されて胆汁の排出が促進されるように、各ステントの湾曲部分24を使用して、ステント10の位置を保持する、またはステント10を再配置することができる。
【0025】
2つ以上のステント10が胆管154内に配置されて、十二指腸164まで延びていると、胆汁の排出が、ステント10の周りおよびステント10間でも促進される。ステント10は、胆管154の開存性の維持を助けるため、胆汁を、ステントルーメン20を介して、または隣接するステントによって画定される空間に排出することができる。胆管154を通る断面図が図9に示され、胆汁を排出できる空間が例示されている。図9に示されているように、胆汁は、各ルーメン20を介して、かつ/またはステント10間で開存した胆管154の管腔155を介して排出することができる。3つのステント10が図9に例示されているが、ステントのサイズおよび胆管154の直径によって、1つ、2つ、3つ、または4つ以上のステント10を胆管154内に配置することができる。非限定の例として、外径が6.0mm(10フレンチ)のステントが使用される場合は、2〜3のステントを胆管154内に配置することができる。外径が4.5mm(7フレンチ)のステントが使用される場合は、4〜5のステントを胆管154内に配置することができる。異なるサイズのステントの組み合わせも使用することができ、胆管内に配置されるステントの数は、ステントのサイズおよび胆管のサイズによって異なる。
【0026】
上記の図面および開示は、例示を意図するもので、全てを網羅するものではない。この説明は、当業者に様々な変形および代替を提案している。全てのこのような変形および代替は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9