(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125635
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】シートベルトシステムのフォースリミッタ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 22/34 20060101AFI20170424BHJP
B60R 22/38 20060101ALI20170424BHJP
B60R 22/28 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
B60R22/34
B60R22/38
B60R22/28 106
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-526896(P2015-526896)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公表番号】特表2015-524768(P2015-524768A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2013002307
(87)【国際公開番号】WO2014026740
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】102012214521.4
(32)【優先日】2012年8月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510136301
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】シンガー、クラウス−ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤブシュ、ロナルド
【審査官】
鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0172054(US,A1)
【文献】
特表2008−535729(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0074253(US,A1)
【文献】
特表2012−528754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/34
B60R 22/28
B60R 22/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数に依存して制御される少なくとも2つの部分(5、11、15)を有するシートベルト装置用のフォースリミッタ装置(4)であって、
相対的に移動する前記部分(5、11、15)は、互いに係合するギアリング(8、10、18、19)を有し、
前記ギアリング(8、10、18、19)が交互に係合および係合解除する供給移動(V)に対して垂直な波状移動(Q)をしながら、前記部分(5、11、15)の少なくとも1つが、前記部分(5、11、15)の他方に対して前記供給移動(V)を実行するように、前記周波数依存の制御移動が起こることで、力制限された状態でベルトがき出され、
互いの方向に向かって前記部分(5、11、15)を移動させるために必要な力を、所定のベルト引き出し長の後に自動的に増大可能とする手段を備え、
前記手段は、移動中に互いに向かって移動する前記部分(5、11、15)への変化するばね力とともに作用する、開いた波形ばね座金(6)によって形成され、
互いに向かって移動する前記部分(5、11、15)の2つの部分に停止面(22、23)が設けられ、前記ばね座金(6)の移動中に、前記ばね座金(6)の開端部(16、17)が前記停止面(22、23)と接触状態になることを特徴とするフォースリミッタ装置(4)。
【請求項2】
前記ばね座金(6)の前記開端部(16、17)は、前記部分(5、11、15)が互いに向かって移動する方向に傾斜され、互いに向かって移動する前記部分(5、11、15)は、前記停止面(22、23)が設けられるポケット(20、21)を有し、前記ばね座金(6)の前記開端部(16、17)は、所定のベルト引き出し長の後に前記ポケット(20、21)にある前記停止面(22、23)と自動的に接触状態になることを特徴とする、請求項1に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【請求項3】
前記ばね座金(6)の一端部(24)が、互いに向かって移動する前記部分(5、11、15)の運動方向に前記部分(5、11、15)の1つの部分に永久的に接続され、前記端部(24)から螺旋形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【請求項4】
前記ばね座金(6)が挿入可能な螺旋状ガイドトラック(14)が設けられることを特徴とする、請求項3に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【請求項5】
前記ガイドトラック(14)は、溝によって形成されることを特徴とする、請求項4に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【請求項6】
前記溝の深さは、前記ばね座金(6)の前記開端部の運動方向に沿って低減することを特徴とする、請求項5に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【請求項7】
前記手段は、互いに対して移動する前記部分(5、11、15)の1つの部分に位置づけられたカム構造によって形成されることで、所定のベルト引き出し長の後に前記部分(5、11、15)を移動させるのに必要な力を変更可能であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォースリミッタ装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の前段部の特徴を備えたシートベルトシステムのフォースリミッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1から、シートベルトリトラクタのフレームに配置され、振動運動するようにされた複数個の質量体を特徴とするシートベルトリトラクタ用の速度制御式フォースリミッタ装置が知られている。これらの質量体は、リトラクタフレームに回転可能に取り付けられ、フォースリミッタが作動されたシートベルトの引き出し中に、2つの歯によって、ベルトシャフトに接続されたギアリング内に交互に係合する。全体として、このシートベルトリトラクタは、リトラクタフレームに振動質量体が位置づけられているため、製造が複雑かつ高コストである。さらに、振動質量体により、このシートベルトリトラクタは、比較的広い設置空間を必要とする。
【0003】
特許文献2に、同じ物理原理に基づいて動作する改良されたフォースリミッタ装置が記載されており、このフォースリミッタ装置において、2つの歯部分がフォースリミッタが作動された状態で互いに動かされることで、歯部分が交互に係合および係合解除する間に、歯部分の一方が波形供給運動を実行する。振動質量体は、この実施形態において、波形供給動作を実行する部分と置き換えられるため、本文献に記載されたフォースリミッタ装置は、設置空間が本質的に狭く、実質的に単純な設計のもので済む。一実施形態において、波形供給動作を実行する部分は、ベルトシャフトに摩擦ロック式に接続されうる歯付きディスクで実現される。歯付きディスクと、供給動作を実行する歯付きディスクに対抗する部分との間に、歯付きディスクに軸方向の圧縮力をかけるばね座金が設けられうることで、歯付きディスク上でのフォースリミッタ特性のフォースリミッタレベルが高くなる。
【0004】
フォースリミッタ装置のフォースリミッタレベルは、前方変位中の乗員の運動エネルギーから自然に生じるもので、このエネルギーは軽減される必要がある。ここで、フォースリミッタ経路の基本特性は、歯付きディスクの歯数、歯の間隔、質量などの歯付きディスクのパラメータによって、およびばね座金のばね特性によって厳密に決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/108451号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第102008049931.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、後部座席の乗員に対して力を抑制するための米国規定などの法規定があり、この法規定は、所定のシートベルト引き出し後、より高いフォースリミッタレベルへ抑制力の増大を義務付けるものである。このようなフォースリミッタ特性は、上述したフォースリミッタ装置のいずれによっても得られない。
【0007】
本発明の目的は、漸進的にフォースリミッタを作動させる過程で抑制力をかけることができるとともに、単純な構成が可能な上記タイプのフォースリミッタ装置を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1の特徴を備えたフォースリミッタ装置を提案する。本発明の他の好ましい実施形態は、従属請求項、図面および関連する記載に示されうる。
【0009】
本発明の基本概念によれば、所定のベルト引き出し長の後に部分を互いに向かって移動させるのに必要な力を自動的に増大させる手段を使用することが提案される。提案された解決策の利点は、提案された解決策では、フォースリミッタ特性のフォースリミッタレベルが、所定のベルト引き出し長の後の動作のみで自動的に増大されるという点に見受けられる。フォースリミッタ装置のフォースリミッタレベルは、互いに対して移動可能な部分の力のみで変更されうるという利点が用いられる。なぜなら、これが、フォースリミッタ装置の基礎となるエネルギー散逸の決定パラメータの1つをなすためである。したがって、振動挙動およびフォースリミッタレベルを変更するために、部分自体を変更する必要はない。ここでは、所定のベルト引き出し長の後に力を自動的に変更できるため、外部制御が不要であることが特に重要である。
【0010】
この手段は、開いた波形ばね座金によって形成されることがさらに提案される。開いたばね座金の使用が好適であるのは、互いに向かって移動する部分が、特に、移動中にばね力の変化の影響を受けやすいためである。これは、例えば、ばね座金を伸張させることで、ばね座金が異なるばね力をかけるように起こりうる。さらに、ばね座金は、移動中に進路を変化させるように変位可能であり、例えば、1つの大きな巻線から複数の螺旋巻線を有する進路に移行する。
【0011】
互いに向かって移動する部分の2つの部分に停止面が設けられ、ばね座金の移動中に当接するように、ばね座金の開端部が停止面と接触状態になることがさらに提案される。停止面に開端部を当接させることで、変形挙動、ひいては、ばね力は、所定のベルト引き出し長の後に能動的に変更可能であり、停止面は、互いに向かって移動する部分と意図的に関連づけられることで、互いに向かう移動、ひいては、所定のベルト引き出し長の超過は、フォースリミッタレベルの変化の理由である。開端部が停止面と接触した後、ばね座金は、圧縮力をかけることで伸張されて、このばね座金の波形は意図的に強化され、またはばね座金は側部へ曲がる。互いに向かって移動する部分の間に作用するばね力およびフォースリミッタレベルは、強化された波形または側曲げによって自動的に増大される。
【0012】
ばね座金の開端部は、部分が互いに向かって移動する方向に傾斜され、互いに向かって移動する部分は、停止面が設けられるポケットを有することがさらに提案される。提案された解決策の利点は、ばね座金の開端部が、形状およびばね特性により、所定のベルト引き出し長の後にポケット内に自動的に滑り込み、当接するための停止面と接触するという点に見受けられる。これにより、好適には、ポケットは、傾斜端部の形状と同一の形状を有するように構成されることで、開端部は、可能な限り円周領域と同じ大きさにわたって載置され、さらなる移動中に可能な限り良好に支持される。ポケットは、傾斜端部が傾斜端部の形状に対応するポケットに受け入れられうるように外向きの傾斜端部に対応する勾配のついた凹みとして構成され、ばね座金は、端部間の領域に段階的な過程を有し、互いに向かって移動する部分の両方にある可能な限り同じ大きさの領域の両側に載置される。
【0013】
あるいは、ばね座金の一端部が互いに向かって移動する部分の運動方向に沿って部分の1つにしっかりと接続され、一端部から螺旋状の進路を有することが推奨される。強固に保持された端部およびばね座金の螺旋状の進路によって、ばね座金は、互いに載置される複数の巻線内に移動しながら巻き付けられえ、例えば、波形の強化または巻線の側部隆起によって、側部にかかるばね力は増大される。
【0014】
さらに、ばね座金を挿入可能な螺旋状ガイドトラックを設けることが推奨される。別の好ましい実施形態において、前記ガイドトラックは、溝によって形成される。螺旋状ガイドトラックによって、ばね座金が搬送されるばね座金の進路は、実際には、予め設定されている。これにより、フォースリミッタレベルが非常に高いレベルまで増大されて望ましくない状態を生じさせる制御されない移動が、ばね座金の締め付けによって妨げられる。この目的のために、ばね座金が特に良好かつ連続的に案内されうるため、特に、溝が適切である。
【0015】
これにより、2つの部分の間にばね座金によってかけられる圧縮力、ひいては、フォースリミッタレベルが、増大するベルト引き出し長とともに増大されうるように、溝の深さは、開端部の移動方向に沿って低減することを特徴としうる。
【0016】
あるいは、この手段は、互いに向かって移動する部分の1つに位置づけられたカム構造によって形成されることで、所定のベルト引き出し長の後に部分が互いに向かって移動するのに必要な力を変更可能であることが提案される。接触領域は、互いに向かって移動する部分にあるカム構造によって意図的に作り出され、所定のベルト引き出し長の後に部分を互いに接触した状態にすることで、運動挙動、特に、振動挙動および関連するフォースリミッタレベルが変更される。
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、好ましい実施形態を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のフォースリミッタ装置を備えたベルトリトラクタを示す。
【
図2】フォースリミッタ装置の作動の前後の切欠きフォースリミッタ装置を備えたベルトシャフトの斜視図である。
【
図3】切欠きフォースリミッタ装置の側面図である。
【
図4】振動ディスクおよび渦巻きばね座金を有する保持ディスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、ベルトシャフト2がリトラクタフレーム3に取り付けられ、リトラクタフレーム3に、本発明による構成を備えたフォースリミッタ装置4が位置づけられた、シートベルトシステムのベルトリトラクタ1を示す。また、ロックラチェット9の保持体であるプロファイルヘッド13が設けられ、ロックラチェット9は、所定のベルト引き出し加速または所定の車両減速を超えると作動し、リトラクタフレーム3のギアリングにおいて、プロファイルヘッド13を車両にしっかりと固定する。
【0020】
フォースリミッタ装置4は、2つの固定部分5、15と、これらの固定部分5、15の間に位置する可動部分11とを備えた基本構造を有する。固定部分15は、フォースリミッタ装置4のハウジングを同時に形成し、ベルトシャフト2に回転可能に固定して接続される。半径方向の外部において、固定部分15は、軸方向に整列された複数のフィンガを有し、複数のフィンガの間で、固定部分5は、半径方向に突出するフィンガ25と係合することで、固定部分15、ひいては、ベルトシャフト2と回転可能に固定して接続される。可動部分11は、半径方向内向きのギアリング26とともに環状ギア7に軸方向に変位可能に案内され、環状ギア7と回転可能に固定して円周方向に同時に接続される。次に、環状ギア7は、プロファイルヘッド13に回転可能に固定して接続されるため、阻止されたプロファイルヘッド13を有する可動部分11は、円周方向にも同様に阻止されるものと見なされる。
図3から分かるように、固定部分5、15には、環状の軸方向に整列されたギアリング10、8がそれぞれ設けられる。固定部分5のギアリング10および固定部分15のギアリング8はそれぞれ、可動部分11に位置づけられたリング状の軸方向に整列されたギアリング18または19の反対側になるように位置づけられる。可動部分11と固定部分5、15との間の軸方向の間隔は、いずれの場合も、反対のギアリング10、19および/または18、8の少なくとも一対が係合されるように選択される。
【0021】
ベルトシャフト2の阻止装置が作動すると、ロックラチェット9は伸張され、プロファイルヘッド13、ひいては、可動部分11をベルト引き出し方向において阻止する。フォースリミッタ装置4は、事故に遭遇したさい、フォースリミッタ装置4自体の設計によって予め設定されたベルト引き出し力を超過した場合に乗員が前方へ変位している間に作用するベルト引き出し力によって作動される。このプロセスにおいて、固定部分15、5は、部分11に対して回転移動状態にされる。ギアリング10、19および18、8が互いに対になって係合するため、可動部分11は、互いを過ぎて滑る歯面によって、固定部分15、5の供給移動に対して垂直方向に向いた振動移動にされ、その間、周期的に制動され加速される。この振動移動は、フォースリミッタ装置4の基礎となるエネルギー散逸の物理的原因であり、このエネルギー散逸は、フォースリミッタレベルを決定する。可動部分11はまた、この運動が由来となって振動ディスクと呼ばれ、この振動運動によって、ベルト引き出し方向における固定部分5、15の供給移動、ひいては、ベルトシャフト2のフォースリミッタが作動した回転運動が確保される。
【0022】
可動部分11と固定部分5との間には、固定部分5に支持され、可動部分11を固定部分15に対して押圧する開いた波形ばね座金6が設けられる。可動部分11は、上述した振動運動を実行するために、ばね座金6によってかけられる軸方向のばね力を周期的に解消する必要があるため、フォースリミッタ装置4のフォースリミッタレベルは、開始段階において、ばね座金6のばね力によるさらなるベルト引き出し移動中に決定される。例えば、開始段階におけるベルト引き出し力は、3〜4kNでありうる。
【0023】
図2の左手側の図は、切欠きフォースリミッタ装置4を備えたベルトシャフト2を示す。ばね座金6は開いており、互いに自由端部16、17を有する。自由端部16、17は、側部に傾斜されることで、固定部分5、11の間にさらなる軸方向の力をかける。
図3に見られるように、自由端部16、17の後方の回転方向において、可動部分11および固定部分5に、勾配のある凹みの形態のポケット20、21が設けられる。フォースリミッタ装置4が作動すると、固定部分15、5は、ベルトシャフト2とともに、円周方向において阻止される可動部分11に対して、およびプロファイルヘッド13に対して回転する。フォースリミッタレベルは、この段階において、システムの質量設計およびばね座金6のばね力によって決定される。ばね座金6は、固定部分15、5の回転運動中、静止している。
【0024】
固定部分15、5を有するベルトシャフト2が、可動部分11に対して、ひいては、ばね座金6に対してほぼ1回転(この場合の回転は340度)回転した後、自由端部17は、外向きの湾曲部によりポケット20内に自動的に滑り込むことで、ポケット20内の停止面22に前面が当接する。固定部分5が回転し続けている間、ばね座金6は、停止面22を介して携行されるため、自由端部16は、可動部分11に対して回転運動を完了する。この運動中、開始段階のフォースリミッタレベルは作用し続ける。また、
図2および
図3の右手側の図から分かるように、自由端部16は、ほぼ一回転(この場合も340度回転)した後、外向きの湾曲部によりポケット21内に滑り込むことで、部分11の前停止面23に当接する。この位置で、ばね座金6は、固定部分5および可動部分11の両方に対して円周方向に固定されるため、ばね座金6が変形しない限り、固定部分5は可動部分11に対して回転運動できず、ひいては、ベルトシャフト2はプロファイルヘッド13に対して回転運動できない。これにより、ばね座金6は上昇し、可動部分11に軸方向の圧縮力を増大させることで、フォースリミッタレベルが急増し、この場合、6kNを超える。このように、フォースリミッタ装置4を用いる本発明では、自由端部16、17に対してポケット20、21の位置によって規定される移行点と、結果的に回転する範囲となる回転角度とで、漸進的にフォースリミッタをかける動作が実行されうる。また、この実施形態における移行点は、680度、すなわち、約1.9回転に相当する。機械特性、ばね座金の形状および配置に応じて、フォースリミッタの力の増大およびフォースリミッタの力の増大範囲の両方の特性を調整することができる。したがって、フォースリミッタレベルの連続的増大および急峻な増大の両方が可能である。
【0025】
図4には、別の実施形態が示されており、同図において、開いたばね座金6が可動部分11の一端部24に懸架され、さらなる過程において、固定部分5の溝形状の螺旋状ガイドトラック14において案内されるため、2つの固定部分5、11が互いに向かって相対移動している間、ばね座金6は溝内に押し込められる。この工程において、ばね座金6は、溝内への挿入および複数の巻線内への巻き付けにより補強されることで、可動部分11にかかる圧縮力は増大される。さらに、さらなる挿入を阻止して、ばね座金6の横向きの曲げにより上向きの移動を生じさせる端部ストッパが設けられうる。圧縮力およびフォースリミッタレベルは、ばね座金の形状および機械的特性に応じて、両方の影響によって、連続的または急峻に増大される。
【0026】
さらに、この手段は、部分5、11または15の1つの部分のカム構造によって実現されえ、このカム構造は、部分5、11および15が互いに対してある角度の位置から始まり、それぞれ反対の部分5、11または15の係合面と接触状態になり、結果的に、振動挙動を変化させる。