【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明の一態様は、ガラクトース転移酵素とUDP−Gal再生方法の反応を連結することでガラクトース残基を基質中に添加する方法に関し、その方法は、(i)UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成し、その中、前記UDP−Gal再生酵素組は、ガラクトースキナーゼ、UDP−糖ピロホスホリラーゼ(UDP−sugar pyrophosphorylase)、ピルビン酸キナーゼ及び状況に応じるピロホスファターゼを含むことと、(ii)UDP−Galと基質分子(例えば多糖、オリゴ糖、糖タンパク、糖脂またはアグリコン(aglycone))をガラクトース転移酵素(例えばα1,4−ガラクトース転移酵素、β1,4−ガラクトース転移酵素、α1,3−ガラクトース転移酵素またはβ1,3−ガラクトース転移酵素)により、反応を行い、前記基質分子上にガラクトース残基を添加することと、必要に応じて(iii)生成するガラクトース化産物を分離することとを含む。ステップ(i)及び(ii)は、前記UDP−Gal再生酵素組、前記ガラクトース転移酵素、前記基質分子、ガラクトース、ATP及びUTPを含む反応混合物中に行われる。幾らかの実例中において、前記基質分子は、セラミドまたはグリコスフィンゴリピドである。
【0007】
本発明の別の態様は、オリゴ糖を合成する方法に関し、それは少なくとも1種のヌクレオチド糖再生方法(例えばUDP−Gal再生)及び少なくとも1種の糖基転移酵素(例えばガラクトース転移酵素、フコース転移酵素、シアル酸転移酵素またはN−アセチルガラクトサミン転移酵素)の活性により、単糖(例えばガラクトース(Gal)、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、フコース(Fuc)及びシアル酸(Neu5Ac))を適切な受容体に添加する反応に係る。
【0008】
幾らかの実例中において、本発明の方法は、ラクトース(例えば末端)を出発物として利用して酵素的な方式でオリゴ糖を合成する。前記方法は、(i)UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成し、その中、前記UDP−Gal再生酵素組は、ガラクトースキナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)、UDP−糖ピロホスホリラーゼ(例えばシロイヌナズナ(A. thaliana)から由来する)、ピルビン酸キナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)及び状況に応じるピロホスファターゼ(例えば大腸桿菌から由来する)を含むことと、(ii)UDP−Gal及びα−1,4ガラクトース転移酵素(例えばLgtC(例えばナイセリア・メニンジティディス(N. meningitides)から由来する)の存在下、Lac−OR
1AをGb3−OR
1Aに転換し、その中、R
1Aは、水素、置換または未置換されたアルキル基、置換または未置換されたアルケニル基、置換または未置換されたアルキニル基、置換または未置換された炭素環基、置換または未置換された複素環基、置換または未置換されたアリール基、置換または未置換されたヘテロアリール基または酸素保護基団であることとを含む。
【0009】
R
1Aの実例は、水素、アリル基、ビオチン、セラミド、または非水素基団(例えばアルキル基)を含むが、これらに限らず、それはさらに置換または未置換されたチオ、置換または未置換されたアミン基、カルボニル基(例えば、カルボン酸)、アジド、アルケニル基(例えば、アリル基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基)、ビオチンまたはセラミドで置換される。幾らかの特定の実例中において、R
1Aは、水素、アリル基、置換されたアルキル基、ビオチンまたはセラミドである。
【0010】
必要であれば、Gb3−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0011】
ステップ(i)及び(ii)は、Gb3−合成反応混合物中に行われ、前記Gb3−合成反応混合物は、ガラクトース、PEP、ATP、UTP、Lac−OR
1A、α−1,4−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含む。一実施例中に、いかなる酵素反応発生前において、Lac−OR
1AとガラクトースのGb3−合成反応混合物中のモル比が1:1である。
【0012】
上記いずれか1つの方法は、さらに(iii)UDP−GalNAc及びβ−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素(例えばヘモフィルス・インフルエンザ桿菌(H. influenza)等の好適な生物体から由来するLgtD)の存在下、Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換することを含み、前記ステップはステップ(iv)と結合してもよく、ステップ(iv)は、UDP−GalNAc再生酵素組の存在下、GalNAcからUDP−GalNAcを生成し、その中、前記UDP−GalNAc再生酵素組は、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ(N−acetylhexosamine 1−kinase)(例えばロンガム菌(B. longum)から由来する)、N−アセチルヘキソサミン1−リン酸ウリジル転移酵素(例えば大腸桿菌から由来する)及びピルビン酸キナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)、及び必要に応じるピロホスファターゼ(例えば大腸桿菌から由来する)を含むことを含む。ステップ(iii)及び(iv)は、Gb−4合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、GalNAc、PEP、ATP、UTP、Gb3−OR
1A、β−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素及びUDP−GalNAc再生酵素組を含む。本発明の一実例中に、Gb4−合成反応混合物は、Gb3−合成反応混合物を少なくともGalNAc、β−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ及びN−アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素と混合することで作製される。必要であれば、Gb4−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0013】
Gb4−OR
1A合成の後に、上記方法は、さらに(v)UDP−Gal及びβ1,3−ガラクトース転移酵素(例えばヘモフィルス・インフルエンザ桿菌から由来するLgtD)の存在下、Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを含み、前記ステップはステップ(vi)と結合してもよく、ステップ(vi)は、本発明に係るUDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することを含む。本発明の一実例中に、ステップ(v)及び(vi)は、Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、ガラクトース、PEP、ATP、UTP、Gb4−OR
1A、β1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含む。産物Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0014】
上記方法は、さらにGb5−OR
1Aを転換するステップを含むことによって、フコース−Gb5−OR
1A(Globo H)またはシアル酸−Gb5−OR
1A(SSEA4)を獲得する。
【0015】
Globo Hの合成について、本発明の方法は、さらに(vii)GDP−Fuc及びα1,2−フコース基転移酵素(例えばヘリコバクター・ピロリ(H. pylor)から由来する)の存在下、Gb5−OR
1Aをフコース基−Gb5−OR
1Aに転換することを含み、前記ステップはステップ(viii)と結合してもよく、ステップ(viii)は、GDP−Fuc再生酵素組の存在下、フコースからGDP−Fucを生成し、その中、前記GDP−Fuc再生酵素組は、L−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼ(例えばバクテロイデス・フラジリス(B. fragilis)から由来する)、ピルビン酸キナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)及びピロホスファターゼ(例えば大腸桿菌から由来する)を含むことを含む。本発明の一実例中において、ステップ(vii)及び(viii)は、フコース基−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、フコース、ATP、GTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−1,2−フコース基転移酵素及びGDP−Fuc再生酵素組を含む。フコース基−Gb5−合成反応混合物は、Gb5−合成反応混合物を少なくともフコース、GTP、α−1,2−フコース基転移酵素及びL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼと混合して得られる。必要であれば、産物フコース基−Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0016】
SSEA4の合成について、本発明の方法は、さらに(ix)CMP−Neu5Ac及びα−2,3−シアル酸転移酵素(例えば海洋細菌(M. bacteria)から由来する)の存在下、Gb5−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換することと、(x):CMP−Neu5Ac再生酵素組の存在下、Neu5AcからCMP−Neu5Acを生成し、その中、前記CMP−Neu5Ac再生酵素組は、シチジン一リン酸キナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)、CMP−シアル酸シンターゼ(例えばパスツレラ・ムルトシダ(P. multocida)から由来する)、ピルビン酸キナーゼ(例えば大腸桿菌から由来する)及び必要に応じるピロホスファターゼ(例えば大腸桿菌から由来する)を含むこととを含む。ステップ(ix)及び(x)は、シアル酸−Gb5−合成反応混合物中に実施され、前記反応混合物は、Neu5Ac、CTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−2,3−シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組を含む。シアル酸−Gb5−合成反応混合物は、Gb5−合成反応混合物を少なくともNeu5Ac、CTP、α−2,3−シアル酸転移酵素、シチジン一リン酸キナーゼ及びCMP−シアル酸シンターゼと混合して得られる。シアル酸−Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0017】
本発明の一実例中において、Globo H合成方法の実施方式は以下のように:(i)本発明に係るUDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することと、(ii)Gb3−合成反応混合物中に本発明に係るLac−OR
1AをGb3−OR
1Aに転換し、その中、前記反応混合物は、少なくともUDP−Gal、α−1,4ガラクトース基転移酵素及びUDP−Gal再生酵素を含むことと、(iii)Gb3−合成反応混合物を少なくともGalNAc、β−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ及びN−アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素と混合することによりGb4−合成混合物に形成することと、(iv)Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb4−合成反応混合物を培養することと、(v)さらにGb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、1,3−ガラクトース転移酵素の存在下、Gb4−合成反応混合物を培養することと、(vi)Gb5−OR
1Aを含有する反応混合物を少なくともフコース、GTP、α−1,2−フコース転移酵素及びL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼと混合することによりフコース−Gb5−OR
1A反応混合物に形成することと、(vii)Gb5−OR
1Aをフコース−Gb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、フコース−Gb5−OR
1A反応混合物を培養することと、必要に応じて(viii)フコース−Gb5−OR
1Aを分離することとを含む。
【0018】
本発明の別の実例中において、Globo Hの合成方法の実施方式は以下のように:(i)本発明に述べるように、UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することと、(ii)本発明に述べるように、Gb3−合成反応混合物中にLac−OR
1AをGb3−OR
1Aに転換し、その中、前記反応混合物は、少なくともUDP−Gal、α−1,4ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素を含むことと、(iii)Gb3−合成反応混合物を少なくともGalNAc、β1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ及びN−アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素と混合することによりGb4−合成反応混合物に形成することと、(iv)Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb4−合成反応混合物を培養することと、(v)Gb4−OR
1Aを分離することと、(vi)Gb4−OR
1Aをβ1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組と混合することによりGb5−合成反応混合物に形成することと、(vii)Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb5−合成反応混合物を培養することと、(viii)Gb5−合成反応混合物を少なくともフコース、GTP、α1,2−フコース転移酵素及びL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼと混合することによりフコース−Gb5−OR
1A反応混合物に形成することと、(ix)Gb5−OR
1Aをフコース−Gb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、フコース−Gb5−OR
1A反応混合物を培養することと、必要に応じて(x)フコース−Gb5−OR
1Aを分離することとを含む。
【0019】
SSEA4を合成する方法の実施方式は以下のように:(i)本発明に述べるように、UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することと、(ii)本発明に述べるように、Gb3−合成反応混合物中にLac−OR
1AをGb3−OR
1Aに転換し、その中、前記反応混合物は、少なくともUDP−Gal、α−1,4ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素を含むことと、(iii)Gb3−合成反応混合物を少なくともGalNAc、β1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ及びN−アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素と混合することによりGb4−合成反応混合物に形成することと、(iv)Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb4−合成反応混合物を培養することと、(v)Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、1,3−ガラクトース転移酵素の存在下、さらにGb4−合成反応混合物を培養することと、(vi)Gb4−合成反応混合物を少なくともNeu5Ac、CTP、α2,3−シアル酸転移酵素、シチジン一リン酸キナーゼ及びCMP−シアル酸シンターゼと混合することによりシアル酸−Gb5−OR
1A反応混合物に形成することと、(vii)Gb5−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、シアル酸−Gb5−OR
1A反応混合物を培養することと、必要に応じて(viii)シアル酸−Gb5−OR
1Aを分離することとを含む。
【0020】
一方、SSEA4を合成する方法の実施方式は以下のように:(i)本発明に述べるように、UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することと、(ii)本発明に述べるように、Gb3−合成反応混合物中にLac−OR
1AをGb3−OR
1Aに転換し、その中、前記反応混合物は、少なくともUDP−Gal、α−1,4ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素を含むことと、(iii)Gb3−合成反応混合物を少なくともGalNAc、β1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素、N−アセチルヘキソサミン1−キナーゼ及びN−アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素と混合することによりGb4−合成反応混合物に形成することと、(iv)Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb4−合成反応混合物を培養することと、(v)Gb4−OR
1Aを分離することと、(vi)Gb4−OR
1Aをβ1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組と混合することによりGb5−合成反応混合物に形成することと、(vii)Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、Gb5−合成反応混合物を培養することと、(viii)Gb5−OR
1Aをα−2,3シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組と混合することによりシアル酸−Gb5−合成反応混合物に形成し、その中、前記CMP−Neu5Ac再生酵素組は、シチジン一リン酸キナーゼ、CMP−シアル酸シンターゼ、ピルビン酸キナーゼ及びピロホスファターゼを含むことと、(ix)Gb4−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換することを許容する条件下、シアル酸−Gb5−合成反応混合物を培養することと、必要に応じて(x)シアル酸−Gb5−OR
1Aを分離することとを含む。
【0021】
幾つかの実例中において、本発明に係る方法は、Gb3(例えば、末端)を酵素的な合成オリゴ糖の出発材料として使用する。前記方法は、(i)前記のように、UDP−GalNAc再生酵素組の存在下、GalNAcからUDP−GalNAcを生成すると共に、UDP−GalNAc及びβ1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素の存在下、Gb3−OR
1AをGb4−OR
1Aに転換し、その中、R
1Aは、水素、置換または未置換されたアルキル基、置換または未置換されたアルケニル基、置換または未置換されたアルキニル基、置換または未置換された炭素環基、置換または未置換された複素環基、置換または未置換されたアリール基、置換または未置換されたヘテロアリール基または酸素保護基団である。R
1Aの実例は、水素、アリル基、ビオチン、セラミド、または非水素基団(例えばアルキル基)を含むが、これらに限らず、それはさらに置換または未置換されたチオ、置換または未置換されたアミン基、カルボニル基(例えば、カルボン酸)、アジド、アルケニル基(例えば、アリル基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基)、ビオチンまたはセラミド基団で置換される。幾らかの特定の実例中において、R
1Aは、水素、アリル基、置換されたアルキル基、ビオチンまたはセラミドである。ステップ(i)及び(ii)は、Gb4−合成反応混合物中に行われ、その中、前記反応混合物は、GalNAc、PEP、ATP、UTP、Gb3−OR
1A、β−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素及びUDP−GalNAc再生酵素組を含む。必要であれば、Gb3−OR
1Aは分離されてもよい。
【0022】
上記方法は、さらに:(iii)UDP−Gal及びβ−1,3−ガラクトース転移酵素の存在下、Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換することを含み、前記ステップはステップ(iv)と結合してもよく、ステップ(iv)と結合してもよく、ステップ(iv)は、本発明に述べるように、(iv)UDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することを含む。ステップ(iii)及び(iv)は、Gb5−合成反応混合物中に行われ、その中、前記反応混合物は、ガラクトース、PEP、ATP、UTP、Gb4−OR
1A、β−1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含む。産物Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されて得られる。
【0023】
本発明の一実例によれば、Gb5−OR
1Aを再びフコース−Gb5−OR
1Aに転換し、その方法は以下のように:(v)GDP−Fuc及びα−1,2−フコース転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをフコース−Gb5−OR
1Aに転換し、前記ステップはステップ(vi)と結合してもよく、ステップ(vi)は、本発明に係るGDP−Fuc再生酵素組の存在下、フコースからGDP−Fucを生成することを含む。ステップ(v)及び(vi)は、フコース−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、フコース、ATP、GTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−1,2−フコース転移酵素及びGDP−Fuc再生酵素組を含む。必要であれば、フコース−Gb5−合成反応混合物は、Gb5−合成反応混合物を少なくともフコース、GTP、α−1,2−フコース転移酵素及びL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼと混合して得られる。本発明の方法は、さらにフコース−Gb5−OR
1Aを分離することを含む。
【0024】
本発明の別の実例は、Gb5−OR
1Aを再びシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換し、その方法は以下のように:(vii)CMP−Neu5Ac及びα−2,3−シアル酸転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換し、前記ステップはステップ(viii)と結合してもよく、ステップ(viii)は、本発明に係るCMP−Neu5Ac再生酵素組の存在下、Neu5AcからCMP−Neu5Acを生成することを含む。ステップ(vii)及び(viii)は、シアル酸−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、Neu5Ac、CTP、PEP、Gb4−OR
1A、α−2,3−シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組を含む。特定の実例中において、シアル酸−Gb5−生成反応混合物は、Gb5−合成反応混合物を少なくともNeu5Ac、CTP、α−2,3−シアル酸転移酵素、シチジン一リン酸キナーゼ及びCMP−シアル酸シンターゼと混合して得られる。産物シアル酸−Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0025】
本発明の他の実例によれば、ここで述べる方法は、Gb4(例えば、末端)を出発物として使用してオリゴ糖を合成することに関する。前記方法は、(i)本発明に述べるようなUDP−Gal再生酵素組の存在下、ガラクトースからUDP−Galを生成することと、(ii)UDP−Gal及びβ−1,3−ガラクトース転移酵素の存在下、Gb4−OR
1AをGb5−OR
1Aに転換し、その中、R
1Aは、水素、置換または未置換されたアルキル基、置換または未置換されたアルケニル基、置換または未置換されたアルキニル基、置換または未置換された炭素環基、置換または未置換された複素環基、置換または未置換されたアリール基、置換または未置換されたヘテロアリール基または酸素保護基団である。R
1Aの実例は、水素、アリル基、ビオチン、セラミドまたは非水素基団(例えばアルキル基)を含むが、これらに限らず、それはさらに置換または未置換されたチオ、置換または未置換されたアミン基、カルボニル基(例えば、カルボン酸)、アジド、アルケニル基(例えば、アリル基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基)、ビオチンまたはセラミド基団で置換される。幾らかの特定の実例中において、R
1Aは、水素、アリル基、置換されたアルキル基、ビオチンまたはセラミド基団である。本発明の方法によれば、ステップ(i)及び(ii)は、Gb5−合成反応混合物中に実施され、前記反応混合物は、ガラクトース、PEP、ATP、UTP、Gb4−OR
1A、β−1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含む。他方としてまたは必要であれば、得られたGb5−OR
1Aを分離することもできる。
【0026】
上記方法は、さらに(iii)GDP−Fuc及びα−1,2−フコース基転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをフコース−Gb5−OR
1に転換することを含み、前記ステップはステップ(iv)と結合してもよく、ステップ(iv)は、本発明に述べるようなGDP−Fuc再生酵素組の存在下、フコースからGDP−Fucを生成することを含む。ステップ(iii)及び(iv)は、フコース−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、フコース、ATP、GTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−1,2−フコース転移酵素及びGDP−Fuc再生酵素組を含む。フコース−Gb5−合成反応混合物は、Gb5−合成反応混合物を少なくともフコース、GTP、α1,2−フコース転移酵素及びL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼと混合して得られる。産物フコース−Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0027】
一方、上記方法は、さらに(v)CMP−Neu5Ac及びα−2,3−シアル酸転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換することを含み、前記ステップはステップ(vi)と結合してもよく、ステップ(vi)は、本発明に述べるようなCMP−Neu5Ac再生酵素キットの存在下、Neu5AcからCMP−Neu5Acを生成することを含む。ステップ(v)及び(vi)は、シアル酸−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、Neu5Ac、CTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−2,3−シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組を含む。シアル酸−Gb5−合成反応混合物は、Gb5−合成応混合物を少なくともNeu5Ac、CTP、α−2,3−シアル酸転移酵素、シチジン一リン酸キナーゼ及びCMP−シアル酸シンターゼと混合して得られる。本発明の方法により得られるシアル酸−Gb5−OR
1Aは反応混合物中から分離されてもよい。
【0028】
本発明の他の実例によれば、ここで述べる方法は、Gb5からフコース−Gb5オリゴ糖(Globo H)を合成することに関する。前記方法は、(i)本発明に述べるようなGDP−Fuc再生酵素キットの存在下、フコースからGDP−Fucを生成することと、(ii)GDP−Fuc及びα−1,2−フコース転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをフコース−Gb5−OR
1Aに転換することと、必要に応じて(iii)フコース−Gb5−OR
1Aはを分離することとを含む。ステップ(i)及び(ii)は、フコース−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、フコース、ATP、GTP、PEP、Gb5−OR
1A、α−1,2−フコース転移酵素及びGDP−Fuc再生酵素組を含む。
【0029】
本発明の他の実例によれば、ここで述べる方法は、Gb5からシアル酸−Gb5オリゴ糖(Globo H)を合成することに関する。前記方法は、(i)本発明に述べるようなCMP−Neu5Ac再生酵素キットの存在下、Neu5AcからCMP−Neu5Acを生成することと、(ii)CMP−Neu5Ac及びα−2,3−シアル酸転移酵素の存在下、Gb5−OR
1Aをシアル酸−Gb5−OR
1Aに転換することと、必要に応じて(iii)シアル酸−Gb5−OR
1Aを分離することとを含む。ステップ(i)及び(ii)は、シアル酸−Gb5−合成反応混合物中に行われ、前記反応混合物は、Neu5Ac、CTP、PEP、Gb5−OR、α−2,3−シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組を含む。
【0030】
前述いずれか1つの合成方法において、係る少なくとも1つの酵素、または反応中の少なくとも1つの基質(例えば、ラクトース、Gb3、Gb4またはGb5)のいずれかは、支持体(support member)上に固定することができる。
【0031】
本発明の他方は、本発明のオリゴ糖合成方法に用いれる酵素反応器(emzymatic reactor)に関する。前記酵素反応器は、1つまたは多数個の下記の反応室(reaction chamber)を含む。
【0032】
(a)α−1,4−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含み、それらはガラクトースキナーゼ、UDP−糖ピロホスホリラーゼ、ピルビン酸キナーゼ及び必要に応じるピロホスファターゼを含む、Gb3−OR
1Aを合成する反応室。
【0033】
(b)β−1,3−N―アセチルガラクトサミン転移酵素及びUDP−GalAc再生酵素組を含み、それらはN―アセチルヘキソサミン1−キナーゼ、N―アセチルグルコサミン1−リン酸ウリジル転移酵素、ピルビン酸キナーゼ及び必要に応じるピロホスファターゼを含む、Gb4−OR
1Aを合成する反応室。
【0034】
(c)β−1,3−ガラクトース転移酵素及びUDP−Gal再生酵素組を含む、Gb5−OR
1Aを合成する反応室。
【0035】
(d)α−1,2−フコース転移酵素及びGDP−Fuc再生酵素組を含み、それらはL−フコースキナーゼ/GDP−フコースピロホスホリラーゼ、ピルビン酸キナーゼ及び必要に応じるピロホスファターゼを含む、フコース−Gb5−OR
1Aを合成する反応室。及び。
【0036】
(e)α−2,3−シアル酸転移酵素及びCMP−Neu5Ac再生酵素組を含み、それらはシチジン一リン酸キナーゼ、CMP−シアル酸シンターゼ、ピルビン酸キナーゼ及び必要に応じるピロホスファターゼを含む、シアル酸−Gb5−OR
1Aを合成する反応室。
【0037】
本発明の幾つかの実例によれば、前記酵素反応器に備える反応室は以下のように:(a)及び(b)と、(a)、(b)及び(c)と、(a)、(b)、(c)及び(d)と、(a)、(b)、(c)及び(e)と、(b)及び(c)と、(b)、(c)及び(d)と、(b)、(c)及び(e)と、(c)及び(d)または(c)及び(e)がある。
【0038】
本発明の他の実例によれば、ここで述べる酵素反応器は、反応室を備え、前記反応室は、ガラクトース転移酵素(例えば、α−1,4−ガラクトース転移酵素、β−1,4−ガラクトース転移酵素、α−1,3−ガラクトース転移酵素またはβ−1,3−ガラクトース転移酵素)及び本発明に係るUDP−Gal再生酵素組を含み、それらはガラクトースキナーゼ、UDPピロホスホリラーゼ、ピルビン酸キナーゼ及び必要に応じるピロホスファターゼを含む。
【0039】
いずれか1つの反応室中において、1つまたは多種の酵素は、支持体上に固定される。本発明の特定の実例によれば、前記1つまたは多数個のUDP−Gal再生酵素組、UDP−GalNAc再生酵素組、GDP−Fuc再生酵素組及びCMP−Neu5Ac再生酵素組は、各自に支持体上に固定される。本発明の他の実例によれば、1つの反応室中の全ての酵素は、1つの支持体上に固定される。
【0040】
本発明も、上記合成方法により作製されるオリゴ糖を包含する。
【0041】
本願発明の1つまたは多種の実例は、以下の実施するための形態中に詳記する。本発明の他の特徴、目的及び優勢については、以下の定義、図面、実例及び特許請求の範囲中に明白に掲示される。
【0042】
化学式の定義
本発明の関連する特定の官能基団及び化学用語の定義については以下に説明する。化学元素の鑑別は周期表(CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.)のカバーページの内部に基づいて、特定の官能基団もこれにより定義される。なお、有機化学の一般原則及び特殊官能基団及びその活性は、Organic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989; and Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記述するものである。
【0043】
本発明に係る化合物は、1つまたは多数個の非対称中心を含むので、多種の異性体形式が存在し、例えばエナンチオ体及び/または非エナンチオ異性体である。例えば、本発明に係る化合物は、個別エナンチオ体、非エナンチオ異性体または幾何異性体などの形式を呈してもよく、あるいは混合異性体形式を呈してもよく、ラセミ混合物及び1つまたは多種の異性体を富む混合物を含む。キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩類の形成と結晶など既知の技術を利用して混合物中から同分異性体を分離してもよく、または非対称合成法を利用して好適な異性体を準備してもよい。Jacques氏ら,Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981); Wilen氏ら, Tetrahedron 33:2725(1977); Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill, NY, 1962); and Wilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268(E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照する。本発明は、また実質上に他の異性体を含まない個別異性体を含み、一方、本発明は、多種の異性体の混合物を含む。
【0044】
本願の明細書に記載の数値の範囲によれば、それは夫々各別の数値及び前記範囲内のサブ範囲を含むことを意味する。例えば、“C
1−6アルキル基”は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
1−6、C
1−5、C
1−4、C
1−3、C
1−2、C
2−6、C
2−5、C
2−4、C
2−3、C
3−6、C
3−5、C
3−4、C
4−6、C
4−5及びC
5−6アルキル基を含むことを意味する。
【0045】
本文に示す「アルキル基」は、1から30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和ヒドロカルビル基団(“C
1−30アルキル基”)である。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から20個の炭素原子(“C
1−20アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から10個の炭素原子(“C
1−10アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から9個の炭素原子(“C
1−9アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から8個の炭素原子(“C
1−8アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から7個の炭素原子(“C
1−7アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から6個の炭素原子(“C
1−6アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から5個の炭素原子(“C
1−5アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から4個の炭素原子(“C
1−4アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から3個の炭素原子(“C
1−3アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1から2個の炭素原子(“C
1−2アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、1個の炭素原子(“C
1アルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキル基は、2から6個の炭素原子(“C
2−6アルキル基”)を有する。C
1−6アルキル基の実例は、メチル基(C
1)、エチル基(C
2)、ノルマルプロピル基(C
3)、イソプロピル基(C
3)、ノルマルブチル基(C
4)、第3級ブチル基(C
4)、第2級ブチル基(C
4)、イソブチル基(C
4)、ノルマルペンチル基(C
5)、3−ペンチル基(C
5)、ペンチル基(C
5)、ネオペンチル基(C
5)、3−メチル−2−ブチル基(C
5)、第3級ペンチル基(C
5)及びノルマルヘキシル基(C
6)を含む。アルキル基の他の実例は、ノルマルヘプチル基(C
7)、ノルマルオクチル基(C
8)及びその類似物を含む。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すアルキル基は、各自独立に未置換された(未置換されたアルキル基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたアルキル基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、アルキル基は、未置換されたC
1−10アルキル基(例えば−CH
3)である。他の特定の実例に、アルキル基は、置換されたC
1−10アルキル基である。
【0046】
本文に示す「アルケニル基」または「アルケン類」は、2から30個の炭素原子及び1つまたは多数個の二重結合(例えば1、2、3または4個の二重結合)を有する直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基団である。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から20個の炭素原子(“C
2−20アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から10個の炭素原子(“C
2−10アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から9個の炭素原子(“C
2−9アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から8個の炭素原子(“C
2−8アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から7個の炭素原子(“C
2−7アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から6個の炭素原子(“C
2−6アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から5個の炭素原子(“C
2−5アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から4個の炭素原子(“C
2−4アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2から3個の炭素原子(“C
2−3アルケニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルケニル基は、2個の炭素原子(“C
2アルケニル基”)を有する。その中、1つまたは多数個のC=C二重結合は、内部(例えば2−ブテニル基)または末端(例えば例えば1−ブテニル基)に存在してもよい。C
2−4アルケニル基は、ビニル基(C
2)、1−アリル基(C
3)、2−アリル基(C
3)、1−ブテニル基(C
4)、2−ブテニル基(C
4)、ブタジエニル基(C
4)及びその類似物を含む。C
2−6アルケニル基の実例は、前述のC
2−4アルケニル基及びペンテン基(C
5)、ペンタジエン基(C
5)、ヘキセン基(C
6)及びその類似物を含む。アルケニル基の他の実例は、ヘプテン基(C
7)、オクテン基(C
8)、オクタトリエン基(C
8)及びその類似物を含む。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すアルケニル基は、各自独立に未置換された(未置換されたアルケニル基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたアルケニル基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、アルキル基は、未置換されたC
2−10アルケニル基である。他の特定の実例に、アルケニル基は、置換されたC
2−10アルケニル基である。
【0047】
本文に示す「アルキニル基」または「アルキン類」は、2から30個の炭素原子及び1つまたは多数個の三重結合(例えば1、2、3または4個の二重結合)を有する直鎖または分岐鎖のヒドロカルビル基団(“C
2−10アルキニル基”)である。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から20個の炭素原子(“C
2−20アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から10個の炭素原子(“C
2−10アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から9個の炭素原子(“C
2−9アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から8個の炭素原子(“C
2−8アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から7個の炭素原子(“C
2−7アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から6個の炭素原子(“C
2−6アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から5個の炭素原子(“C
2−5アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から4個の炭素原子(“C
2−4アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2から3個の炭素原子(“C
2−3アルキニル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記アルキニル基は、2個の炭素原子(“C
2アルキニル基”)を有する。その中、1つまたは多数個のC≡C三重結合は、内部(例えば2−アルキニル基)または末端(例えば例えば1−アルキニル基)に存在してもよい。C
2−4アルキニル基の実例は、アセチレン基(C2)、1−プロパルギル基(C3)、2−プロパルギル基(C3)、1−ブタジエン基(C4)、2−ブタジエン基(C4)及びその類似物を含むが、これらに限らない。C2−6アルキニル基の実例は、前述のC
2−4アルキニル基及びペンチン基(C
5)、ヘキシン基(C
6)及びその類似物を含む。アルキニル基の他の実例は、ヘプチン基(C
7)、オクチン基(C
8)及びその類似物を含む。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すアルキニル基は、各自独立に未置換された(未置換されたアルキニル基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたアルキニル基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、アルキニル基は、未置換されたC
2−10アルキニル基である。他の特定の実例に、アルキニル基は、置換されたC
2−10アルキニル基である。
【0048】
本文に示す「炭素環基」は、3から10個の環炭素原子を有する非芳香族環ヒドロカルビル基団(“C
3−10炭素環基”)であり、かつ前記非芳香族環システム中にヘテロ原子を含まない。幾らかの特定の実例に、前記炭素環基は、3から8個の環炭素原子(“C
2−8炭素環基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記炭素環基は、3から7個の環炭素原子(“C
2−7炭素環基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記炭素環基は、3から6個の環炭素原子(“C
2−6炭素環基”)を有する。幾らかの特定の実例に、前記炭素環基は、5から10個の環炭素原子(“C
5−10炭素環基”)を有する。C
3−6炭素環基の実例は、シクロプロピル基(C
3)、シクロアリル基(C
3)、シクロブチル基(C
4)、シクロブテニル基(C
4)、シクロペンチル基(C
5)、シクロペンテン基(C
5)、シクロヘキシル基(C
6)、シクロヘキセン基(C
6)、シクロヘキサジエン基(C
6)及びその類似物を含むが、これらに限らない。C
3−8炭素環基の例は、前述のC
3−6炭素環基及びシクロヘプチル基(C
7)、シクロヘプテン基(C
7)、シクロヘプタジエン基(C
7)、シクロヘプタレン基(C
7)、シクロオクチル基(C
8)、シクロオクテン基(C
8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基(C
7)、ビシクロ[2.2.2]オクチル基(C
8)及びその類似物を含むが、これらに限らない。C
3−10炭素環基の実例は、前述のC
3−8炭素環基及びシクロノニル基(C
9)、シクロノネニル基(C
9)、シクロデシル基(C
10)、シクロデセン基(C
10)、オクタヒドロ−1H−インデニル基(C
9)、デカヒドロナフチル基(C
10)、スピロ[4.5]デシル基(C
10)及びその類似物を含むが、これらに限らない。前述の実例に例示するもののように、幾らかの特定の実例に、炭素環基は、単環(“単環炭素環基”)または多環(例えば縮合環、スピロ環または架橋環システムを含み、例えば双環システム(“双環炭素環基”)または三環システム(“三環炭素環基”))であり、かつそれは飽和を呈するか、または1つまたは多数個の炭素−炭素二重結合または三重結合を含んでもよい。「炭素環基」は環システムも含み、その中、前述のような環炭素を1つまたは多数個のアリール基またはヘテロアリール基と縮合し、かつその中、接合点は前記環炭素上に位置し、このような場合、前記環炭素システム下にその炭素数を継続的に表記する。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示す炭素環基は、各自独立に未置換された(未置換された炭素環基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換された炭素環基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、炭素環基は、未置換されたC
3−10炭素環基である。他の特定の実例に、炭素環基は、置換されたC
3−10炭素環基である。
【0049】
幾らかの特定の実例に、「炭素環基」は、3〜10個の環炭素原子(“C
3−10シクロアルキル基”)を有する飽和単環である。幾らかの特定の実例に、シクロアルキル基は、3から8個の環炭素原子(“C
3−8シクロアルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、シクロアルキル基は、3から6個の環炭素原子(“C
3−6シクロアルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、シクロアルキル基は、5から6個の環炭素原子(“C
5−6シクロアルキル基”)を有する。幾らかの特定の実例に、シクロアルキル基は、5から10個の環炭素原子(“C
5−10シクロアルキル基”)を有する。C
5−6シクロアルキル基の実例は、シクロペンチル基(C
5)及びシクロヘキシル基(C
6)を含む。C
3−6シクロアルキル基の実例は、前述のC
5−6シクロアルキル基及びシクロプロピル基(C
3)及びシクロブチル基(C
4)を含む。C
3−8シクロアルキル基の実例は、前述のC3−6シクロアルキル基及びシクロヘプチル基(C
7)及びシクロオクチル基(C
8)を含む。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すシクロアルキル基は、各自独立に未置換された(未置換されたシクロアルキル基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたシクロアルキル基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、シクロアルキル基は、未置換されたC
3−10シクロアルキル基である。他の特定の実例に、シクロアルキル基は、置換されたC
3−10シクロアルキル基である。
【0050】
本文に示す「複素環基」は、1から4個のヘテロ原子を有する3−から14−員非芳香族環システムであり、その中、夫々のヘテロ原子は、各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる(“3〜14員複素環基”)。1つまたは多数個の窒素原子を含む複素環基において、その接合点は炭素原子または窒素原子であってもよく、価数を許容するものであればよい。複素環基は、単環または多環(例えば縮合環、架橋環またはスピロ環で形成される双環システムまたは三環システム)であってもよく、かつ前記複素環基は、飽和するか、または1つまたは多数個のC=C二重結合またはC≡C三重結合を含んでもよい。多環複素環システムは、その中の1つまたは2個の環中に、1つまたは多数個のヘテロ原子を含む。複素環基も、以上に定義されるような環システムを含み、それを1つまたは多数個の炭素環基と縮合し、その中、接合点は炭素環基または複素環上に位置してもよい。
【0051】
多環の複素環基システムは、その1つまたは2個の環システム上に、1つまたは多数個のヘテロ原子を含む。「複素環基」も、環システムを含み、その中、前述のような複素環を1つまたは多数個の炭素環基と縮合し、かつその中、接合点は環炭素上または複素環基環上に位置するか、または前に定義されるような環システムは、その中の前記複素環を1つまたは多数個のアリール基またはヘテロアリール基と縮合し、かつその中、接合点は複素環上に位置し、このような場合、前記複素環システム下にその炭素数を継続的に表記する。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示す複素環基は、各自独立に未置換された(未置換された複素環基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換された複素環基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、複素環基は、未置換された3〜14員複素環基である。他の特定の実例に、複素環基は、置換された3〜14員複素環基である。
【0052】
幾らかの特定の実例中に、前記複素環基は、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有する5〜10員非芳香族環システムであり、その中、前記複素環原子は、独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる。幾らかの特定の実例中に、前記複素環基は、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有する5〜8員非芳香族環システムであり、その中、前記複素環原子は、独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる。幾らかの特定の実例中に、前記複素環基は、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有する5〜6員非芳香族環システムであり、その中、前記複素環原子は、独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる。幾らかの特定の実例中に、前記5〜6原複素環基は、1〜3個の窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。幾らかの特定の実例中に、前記5〜6原複素環基は、1〜2個の窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。幾らかの特定の実例中に、前記5〜6原複素環基は、1個の窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。
【0053】
1個のヘテロ原子を含む3員複素環基の実例は、アジリジニル基(azirdinyl)、オキシラニル基(oxiranyl)、チオレニル基(thiorenyl)を含むが、これらに限らない。4員複素環基(1つのヘテロ原子を含む)の実例は、アゼチジニル基(azetidinyl)、オキセタニル基(oxetanyl)及びチエタニル基(thietanyl)を含むが、これらに限らない。5員複素環基(1つのヘテロ原子を含む)の実例は、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ジヒドロチオフェニル基、ピロリジニル基、ジヒドロピロリル基及びピロリル基−2,5−ジケトンを含むが、これらに限らない。5員複素環基(2個のヘテロ原子を含む)の実例は、ジオキソラニル基(dioxolanyl)、オキサチオラニル基(oxathiolanyl)及びジチオラニル(dithiolanyl)を含むが、これらに限らない。5員複素環基(2個のヘテロ原子を含む)の実例は、トリアゾリニル基(triazolinyl)、 オキサジアゾリニル基(oxadiazolinyl)、チアジアゾリニル基(thiadiazolinyl)を含むが、これらに限らない。6員複素環基(1個のヘテロ原子を含む)の実例は、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロピラニル基及びチエニル基(thianyl)を含むが、これらに限らない。6員複素環基(2個のヘテロ原子を含む)の実例は、ピペラジニル基、モルフォリニル基、ジチアニル基(dithianyl)及びジオキサニル基(dioxanyl)を含むが、これらに限らない。6員複素環基(2個のヘテロ原子を含む)の実例は、チアジナニル基を含むが、これらに限らない。7員複素環基(1個のヘテロ原子を含む)の実例は、アゼバニル基(azepanyl)、オキセタニル基(oxepanyl)及びチエパニル基(thiepanyl)を含むが、これらに限らない。8員複素環基(1個のヘテロ原子を含む)の実例は、アゾカニル基(azocanyl)、オキセカニル基(oxecanyl)及びチオカニル基(thiocanyl)を含むが、これらに限らない。双環複素環基の実例は、インドリニル基(indolinyl)、イソインドリニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾチオフェネイル基、テトラヒドロベンゾチオフェネイル基、テトラヒドロベンゾフラニル基、テトラヒドロインドリル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、デカヒドロキノリニル基、デカヒドロイソキノリニル基、オクタヒドロベンゾピラニル基、オクタヒドロイソベンゾピラニル基、デカヒドロナフチリジニル基、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル基、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリル基、フタルイミドイル基、ナフタルイミジル基、クロマニル基(chromanyl)、クロメニル基(chromenyl)、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼニル(1H−benzo[e][1,4]diazepinyl)、1,4,5,7−テトラヒドロ−ピラノ[3,4−b]ピロリル基、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル基、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル基、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル基、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル基、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル基、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル基、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル基、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニル基及びその類似物を含むが、これらに限らない。
【0054】
本文に示す「アリール基」は、6〜14個の環炭素原子を有し、かつヘテロ原子を含まない単または多(例えば双環または三環)の4n+2芳香環システム(例えば6、10または14個の電子を1個の環状アレー中に共有する)の“C
6−14アリール基”を指す。幾らかの特定の実例中に、前記アリール基は、6個の環炭素原子(“C
6アリール基”、例えばフェニル基)を有する。幾らかの特定の実例中に、前記アリール基は、10個の環炭素原子(“C
10アリール基”、例えばナフチル基、特定に例えば1−ナフチル基またはに2−ナフチル基)を有する。幾らかの特定の実例中に、前記アリール基は、14個の環炭素原子(“C
14アリール基”、例えばアントラシル基(anthracyl))を有する。「アリール基」は環システムも含み、前に定義されるもののように、前記アリール基環を1つまたは多数個の炭素環基または複素環基と縮合し、その中、前記接合点はアリール基環上に位置し、このような場合、前記芳香環システム下にその炭素数を継続的に表記する。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すアリール基は、各自独立に未置換された(未置換されたアリール基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたアリール基)ものであろう。幾らかの特定の実例中に、アリール基は、未置換されたC
6−14アリール基である。他の特定の実例中に、アリール基は、置換されたC
6−14アリール基である。
【0055】
本文に示す「ヘテロアリール基」は、5〜14員単または多環(例えば双環)の4n+2芳香族環システム(例えば6、10または14個の電子を1個の環状アレー中に共有する)を指す。前記芳香族環システムは、炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子を有し、その中、前記ヘテロ原子は、各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる。(“5〜14員ヘテロアリール基”)。1つまたは多数個の窒素原子を含むヘテロアリール基中に、価数を許容するものであれば、その接合点は炭素原子または窒素原子であってもよい。多環ヘテロアリール基環システムは、その中の1つまたは2個の環中に1つまたは多数個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール基」は環システムも含み、その中、以上に述べるようなヘテロ芳香環を1つまたは多数個の炭素環または複素環基と縮合し、その中、接合点はヘテロアリール基環上に位置し、かつこのような場合、前記ヘテロ芳香環システム下にその炭素数を継続的に表記する。「ヘテロアリール基」は環システムも含み、その中、以上に述べるようなヘテロ芳香環を1つまたは多数個のアリール基と縮合し、その中、接合点はアリール基またはヘテロアリール基環上に位置し、かつこのような場合、前記縮合した多環(アリール基/ヘテロアリール基)システム下にその炭素数を継続的に表記する。その中、一環はヘテロ原子を含まない多環ヘテロアリール基団(例えばインドリル基、キノリニル基、カルバゾリル基(carbazolyl)及びその類似物)であり、その接合点は環上に位置してもよく、即ち、前記環はヘテロ原子を含む(例えば2−インドリル基)か、または前記環はヘテロ原子を含まない(例えば5−インドリル基)。
【0056】
幾らかの特定の実例中に、前記ヘテロアリール基は5〜10員芳香族環システムであり、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有し、その中、前記複素環原子は、各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる(“5〜10員ヘテロアリール基”)。幾らかの特定の実例中に、前記ヘテロアリール基は5〜8員芳香族環システムであり、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有し、その中、前記複素環原子は、各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる(“5〜8員ヘテロアリール基”)。 幾らかの特定の実例中に、前記ヘテロアリール基は5〜6員芳香族環システムであり、環炭素原子及び1〜4個の複素環原子を有し、その中、前記複素環原子は、各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる(“5〜6員ヘテロアリール基”)。幾らかの特定の実例中に、5〜6員ヘテロアリール基は、1〜3個の各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。幾らかの特定の実例に、5〜6員ヘテロアリール基は、1〜2個の各自独立に窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。幾らかの特定の実例に、5〜6員ヘテロアリール基は、1個の窒素、酸素及びチオから選ばれる複素環原子を有する。別途定義されない限り、そうでなければ本文に示すヘテロアリール基は、各自独立に未置換された(未置換されたヘテロアリール基)か、または1つまたは多数個の置換基で置換された(置換されたヘテロアリール基)ものであろう。幾らかの特定の実例に、ヘテロアリール基は、未置換された5〜14員ヘテロアリール基である。他の特定の実例に、ヘテロアリール基は、置換された5〜14員ヘテロアリール基でである。
【0057】
5員ヘテロアリール基(1つのヘテロ原子を含む)の実例は、ピロリル基、フラニル基及びチオフェネイル基を含むが、これらに限らない。2個のヘテロ子を含有する5員ヘテロアリール基の実例は、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基及びイソチアゾリル基を含むが、これらに限らない。3個のヘテロ子を含有する5員ヘテロアリール基の実例は、トリアゾール、オキサジアゾール及びチアジアゾリル基を含むが、これらに限らない。4個のヘテロ子を含有する5員ヘテロアリール基の実例は、テトラゾリル基を含むが、これらに限らない。1個のヘテロ子を含有する6員ヘテロアリール基の実例は、ピリジニル基を含むが、これらに限らない。2個のヘテロ子を含有する6員ヘテロアリール基の実例は、ピリダジニル基、ピリミジニル基及びピラジニル基を含むが、これらに限らない。3または4個のヘテロ子を含有する6員ヘテロアリール基の実例は、トリアジニル基及びテトラジニル基をそれぞれ含むが、これらに限らない。1個のヘテロ子を含有する7員ヘテロアリール基の実例は、アゼピニル基、オキセピニル基及びチエピニル基を含むが、これらに限らない。5,6−双環ヘテロアリール基の実例は、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ベンゾトリゾリル基、ベンゾチオフェネイル基、イソベンゾチオフェネイル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイソフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、インドリジニル基(indolizinyl)及びプリニル基を含むが、これらに限らない。6,6−双環ヘテロアリール基の実例は、ナフチリジニル基、プテリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シンノニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基及びキナゾリニル基を含むが、これらに限らない。三環ヘテロアリール基の実例は、フェナントリジニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基及びフェナジニル基を含むが、これらに限らない。
【0058】
本文に用いられる技術用語の「一部不飽和」は、一環部分は、少なくとも1個の二重結合または1個の三重結合を含むことを意味し、前記技術用語の「一部不飽和」は、多箇所の不飽和位置を有する環を含意するように意図されるが、本文に定義されるようなアリール基(例えばフェニル基またはヘテロアリール基部分)を含まない。
【0059】
本文に用いられる技術用語の「飽和」は、一環部分は、いずれか1つの二重結合または三重結合を有さず、即ち、前記環構造は全て単結合である。
【0060】
本文に示すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、必要に応じて置換された(例えば、置換または未置換されたアルキル基、置換または未置換されたアルケニル基、置換または未置換されたアルキニル基、置換または未置換されたヘテロアルキル基、置換または未置換されたヘテロアルケニル基、置換または未置換されたヘテロアルキニル基、置換または未置換された炭素環基、置換または未置換された複素環基、置換または未置換されたアリール基または置換または未置換されたヘテロアリール基)。一般に言えば、本文に用いられる「置換」の技術用語(文前に「必要に応じる」という技術用語が付されるかどうかに拘らない)は、基団中に少なくとも1個の水素原子は許容の置換基で置換されたことを意味し、例えば置換の過程中に、置換基から安定化合物を引き出すことができ、前記安定化合物は、例えば再配列、環化、脱離または他の転化反応を自動的に行うことになくなる。別途定義されない限り、そうでなければ1つの置換された基団は1つまたは多数個の好適な位置に置換基を有し、かつ1個の位置を超えて置換された時に、各置換位置の置換基は同一または不同である。本文に用いられる「置換」の技術用語は、全ての許容可能な有機化合物、いかなる本文に示す安定化合物を形成するように引き出すことができるいかなる置換基を含む。本発明は、いかなる及び全ての組合せで安定化合物を獲得することを含む。本発明の目的に基づいて、例えば窒素のヘテロ原子は、水素及び/またはいかなる本文に述べるような好適な置換基で置換され、それは前記ヘテロ原子の価数を満足することで、安定基団が形成される。
【0061】
炭素原子の置換基の実例は、ハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OR
aa、−ON(R
bb)
2、−N(R
bb)
2、−N(R
bb)
3+X
−、−N(OR
cc)R
bb、−SH、−SR
aa、−SSR
cc、−C(=O)R
aa、−CO
2H、−CHO、−C(OR
cc)
2、−CO
2R
aa、−OC(=O)R
aa、−OCO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−OC(=O)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=O)R
aa、−NR
bbCO
2R
aa、−NR
bbC(=O)N(R
bb)
2、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa、−OC(=NR
bb)R
aa、−OC(=NR
bb)OR
aa、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2、−OC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−C(=O)NR
bbSO
2R
aa、−NR
bbSO
2R
aa、−SO
2N(R
bb)
2、−SO
2R
aa、−SO
2OR
aa、−OSO
2R
aa、−S(=O)R
aa、−OS(=O)R
aa、−Si(R
aa)
3、−OSi(R
aa)
3 −C(=S)N(R
bb)
2、−C(=O)SR
aa、−C(=S)SR
aa、−SC(=S)SR
aa、−SC(=O)SR
aa、−OC(=O)SR
aa、−SC(=O)OR
aa、−SC(=O)R
aa、−P(=O)
2R
aa、−OP(=O)
2R
aa、−P(=O)(R
aa)
2、−OP(=O)(R
aa)
2、−OP(=O)(OR
cc)
2、−P(=O)
2N(R
bb)
2、−OP(=O)
2N(R
bb)
2、−P(=O)(NR
bb)
2、−OP(=O)(NR
bb)
2、−NR
bbP(=O)(OR
cc)
2、−NR
bbP(=O)(NR
bb)
2、−P(R
cc)
2、−P(R
cc)
3、−OP(R
cc)
2、−OP(R
cc)
3、−B(R
aa)
2、−B(OR
cc)
2、−BR
aa(OR
cc)、C
1−10アルキル基、C
1−10ペルハロアルキル基、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−14炭素環基、3〜14員複素環基、C
6−14アリール基及び5〜14員ヘテロアリール基を含むが、これらに限らず、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換された。
【0062】
または炭素原子上の2個の相接する水素原子は、以下の基団で置換される。=O、=S、=NN(R
bb)
2、=NNR
bbC(=O)R
aa、=NNR
bbC(=O)OR
aa、=NNR
bbS(=O)
2R
aa、=NR
bbまたは=NOR
ccである。
【0063】
各R
aaは、独立にC
1−10アルキル基、C
1−10ペルハロアルキル基、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜14員複素環基、C
6−14アリール基及び5〜14員ヘテロアリール基から選ばれ、または2個のR
aa基団を結合して1個の3〜14員複素環基または5〜14員ヘテロアリール基環に形成し、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換された。
【0064】
各R
bbは、独立に水素、−OH、−OR
aa、−N(R
cc)
2、−CN、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、−P(=O)
2R
aa、−P(=O)(R
aa)
2、−P(=O)
2N(R
cc)
2、−P(=O)(NR
cc)
2、C
1−10アルキル基、C
1−10ペルハロアルキル基、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜14員複素環基、C
6−14アリール基及び5〜14員ヘテロアリール基から選ばれ、または2個のR
bb基団を結合して1個の3〜14員複素環基または5〜14員ヘテロアリール基環に形成し、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換された。
【0065】
各R
ccは、独立に水素、C
1−10アルキル基、C
1−10ペルハロアルキル基、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜14員複素環基、C
6−14アリール基及び5〜14員ヘテロアリール基から選ばれ、または2個のR
cc基団を結合して1個の3〜14員複素環基または5〜14員ヘテロアリール基環に形成し、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換された。
【0066】
各R
ddは、独立にハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OR
ee、−ON(R
ff)
2、 −N(R
ff)
2、−N(R
ff)
3+X
−、−N(OR
ee)R
ff、−SH、−SR
ee、−SSR
ee、−C(=O)R
ee、−CO
2H、−CO
2R
ee、−OC(=O)R
ee、−OCO
2R
ee、−C(=O)N(R
ff)
2、−OC(=O)N(R
ff)
2、−NR
ffC(=O)R
ee、−NR
ffCO
2R
ee、−NR
ffC(=O)N(R
ff)
2、−C(=NR
ff)OR
ee、−OC(=NR
ff)R
ee、−OC(=NR
ff)OR
ee、−C(=NR
ff)N(R
ff)
2、−OC(=NR
ff)N(R
ff)
2、−NR
ffC(=NR
ff)N(R
ff)
2,−NR
ffSO
2R
ee、−SO
2N(R
ff)
2、−SO
2R
ee、−SO
2OR
ee、−OSO
2R
ee、−S(=O)R
ee、−Si(R
ee)
3、−OSi(R
ee)
3、−C(=S)N(R
ff)
2、−C(=O)SR
ee、−C(=S)SR
ee、−SC(=S)SR
ee、−P(=O)
2R
ee、−P(=O)(R
ee)
2、−OP(=O)(R
ee)
2、−OP(=O)(OR
ee)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ペルハロアルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6ヘテロアルキル基、C
2−6ヘテロアルケニル基、C
2−6ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜10員複素環基、C
6−10アリール基及び5〜10員ヘテロアリール基から選べれ、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
gg基団で置換されたか、または2個の相接するR
dd基団を結合して=Oまたは=Sに形成することができる。
【0067】
各R
eeは、独立にC
1−6アルキル基、C
1−6ペルハロアルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6ヘテロアルキル基、C
2−6ヘテロアルケニル基、C
2−6ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜10員複素環基、C
6−10アリール基及び3〜10員ヘテロアリール基から選ばれ、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
gg基団で置換された。
【0068】
各R
ffは、独立に水素、C
1−6アルキル基、C
1−6ペルハロアルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6ヘテロアルキル基、C
2−6ヘテロアルケニル基、C
2−6ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜10員複素環基、C
6−10アリール基及び5〜10員ヘテロアリール基から選ばれ、または2個のR
ff基団を結合して1個の3〜14員複素環基または5〜14員ヘテロアリール基環に形成し、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
gg基団で置換された。及び。
【0069】
各R
ggは、独立にハロゲン、−CN、−NO
2、−N
3、−SO
2H、−SO
3H、−OH、−OC
1−6アルキル基、−ON(C
1−6アルキル基)
2、−N(C
1−6アルキル基)
2、−N(C
1−6アルキル基)
3+X
−、−NH(C
1−6アルキル基)
2+X
−、−NH
2(C
1−6アルキル基)
+X
−、−NH
3+X
−、−N(OC
1−6アルキル基)(C
1−6アルキル基)、−N(OH)(C
1−6アルキル基)、−NH(OH)、−SH、−SC
1−6アルキル基、−SS(C
1−6アルキル基)、−C(=O)(C
1−6アルキル基)、−CO
2H、−CO
2(C
1−6アルキル基)、−OC(=O)(C
1−6アルキル基)、−OCO
2(C
1−6アルキル基)、−C(=O)NH
2、−C(=O)N(C
1−6アルキル基)
2、−OC(=O)NH(C
1−6アルキル基)、−NHC(=O)(C
1−6アルキル基)、−N(C
1−6アルキル基)C(=O)(C
1−6アルキル基)、−NHCO
2(C
1−6アルキル基)、−NHC(=O)N(C
1−6アルキル基)
2、−NHC(=O)NH(C
1−6アルキル基)、−NHC(=O)NH
2、−C(=NH)O(C
1−6アルキル基)、−OC(=NH)(C
1−6アルキル基)、−OC(=NH)OC
1−6アルキル基、−C(=NH)N(C
1−6アルキル基)
2、−C(=NH)NH(C
1−6アルキル基)、−C(=NH)NH
2、−OC(=NH)N(C
1−6アルキル基)
2、−OC(NH)NH(C
1−6アルキル基)、−OC(NH)NH
2、−NHC(NH)N(C
1−6アルキル基)
2、−NHC(=NH)NH
2、−NHSO
2(C
1−6アルキル基)、−SO
2N(C
1−6アルキル基)
2、−SO
2NH(C
1−6アルキル基)、−SO
2NH
2,−SO
2C
1−6アルキル基、−SO
2OC
1−6アルキル基、−OSO
2C
1−6アルキル基、−SOC
1−6アルキル基、−Si(C
1−6アルキル基)
3、−OSi(C
1−6アルキル基)
3 −C(=S)N(C
1−6アルキル基)
2、C(=S)NH(C
1−6アルキル基)、C(=S)NH
2、−C(=O)S(C
1−6アルキル基)、−C(=S)SC
1−6アルキル基、−SC(=S)SC
1−6アルキル基、−P(=O)
2(C
1−6アルキル基)、−P(=O)(C
1−6アルキル基)
2、−OP(=O)(C
1−6アルキル基)
2、−OP(=O)(OC
1−6アルキル基)
2、C
1−6アルキル基、C
1−6ペルハロアルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
1−6ヘテロアルキル基、C
2−6ヘテロアルケニル基、C
2−6ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜10員複素環基、C
6−10アリール基及び5〜10員ヘテロアリール基から選ばれ、または2個の相接するR
gg置換基を結合して=Oまたは=Sに形成することができ、その中、X−は対イオンである。
【0070】
本文に示す「ハロゲノ基」または「ハロゲン」は、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)またはヨード基(−I)を指す。
【0071】
本文に示す「対イオン」は負電荷基団を指し、それを正電荷の第4級アミンと連結することでその電気的中性を維持する。対イオンの実例は、ハライド梨(例えば、F
−、Cl
−、Br
−、I
−)、NO
3−、ClO
4−、OH
−、H
2PO
4−、HSO
4−、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トシレート、ベンゼンスルホネート、10−カンファースルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホネート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホネート及びその類似物)及びカルボン酸イオン(例えば、エタン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩 、安息香酸塩、グリセリン酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩及びその類似物)を含む。
【0072】
本文に示す「カルボニル基」は一基団を指し、その中、親分子に直接に連結する炭素はsp2ハイブリダイズド(hybridized)であり、かつ酸素、窒素またはチオ原子で置換され、例えばケトン類(−C(=O)R
aa)、カルボン酸類(−CO
2H)、アルデヒド類(−CHO)、エステル類(−CO
2R
aa、−C(=O)SR
aa、−C(=S)SR
aa)、アミド類(−C(=O)N(R
bb)
2、−C(=O)NR
bbSO
2R
aa、−C(=S)N(R
bb)2)及びイミン類(−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa)、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2)から選ばれる基団であり、その中、R
aa及びR
bbは本文に定義されるものである。
【0073】
本文に示す「アジド」又は「アジド基」は−N
3基団を指す。
【0074】
本文に示す「チオール」または「チオ」は−SH基団を指す。「置換されたチオール」または「置換されたチオ」をチオ基団として意味拡張し、その中、親分子上に直接に付着するチオ原子は置換され(但し置換基は水素ではない)、かつ−SR
aa、−S=SR
cc、−SC(=S)SR
aa、−SC(=O)SR
aa、−SC(=O)OR
aa及び−SC(=O)R
aaから選ばれる基団を含み、その中、R
aa及びR
ccは本文に定義されるものである。
【0075】
本文に示す「アミノ」または「アミン」は−NH
2基団を指す。「置換された」アミノまたはアミンを単一置換のアミン基、双置換のアミン基または三置換のアミン基として意味拡張する。幾らかの特定の実例中に、「置換されたアミン基」は、単一置換のアミン基または双置換のアミン基基団である。
【0076】
本文に示す「単一置換されたアミン基」または「単一置換されたアミノ基」はアミン基基団を指し、その中、親分子上に直接に付着する窒素原子は1個の水素原子及び1個の非水素の基団で置換され、それは−NH(R
bb)、−NHC(=O)R
aa、−NHCO
2R
aa、−NHC(=O)N(R
bb)
2、−NHC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−NHSO
2R
aa、−NHP(=O)(OR
cc)
2及び−NHP(=O)(NR
bb)
2から選ばれる基団を含み、その中、R
aa、R
bb及びR
ccは本文に定義されるものであり、かつその中、−NH(R
bb)基団のR
bb部分は水素ではない。
【0077】
本文に示す「双置換されたアミン基」はアミン基基団を指し、その中、親分子上に直接に付着する窒素原子は2個の非水素の基団で置換され、それは−N(R
bb)
2、−NR
bb C(=O)R
aa、−NR
bbCO
2R
aa、−NR
bbC(=O)N(R
bb)
2、−NR
bbC(=NR
bb)N(R
bb)
2、−NR
bbSO
2R
aa、−NR
bbP(=O)(OR
cc)
2及び−NR
bbP(=O)(NR
bb)
2から選ばれる基団を含み、その中、R
aa、R
bb及びR
ccは本文に定義されるものであり、その制限条件は、親分子上に直接に付着する前記窒素原子は、水素で置換されないことである。
【0078】
本文に示す「三置換されたアミン基」はアミン基基団を指し、その中、親分子上に直接に付着する窒素原子は3個の基団で置換され、それは−N(R
bb)
3及び−N(R
bb)
3+X
−から選ばれる基団を含み、その中、R
bb及びX
−は本文に定義されるものである。
【0079】
本文に示す「ビオチン」は、例えばR
1A基団であり、それは以下の構造を含み:
【0080】
【化1】
【0081】
本文に示す「セラミド」は、例えばR
1A基団であり、それは以下の構造を含み:
【0082】
【化2】
【0083】
その中、R’は、必要に応じて置換されたC
6−C
30アルキル基(例えばC
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17、C
18、C
19、C
20、C
21、C
22、C
23、C
24、C
25、C
26、C
27、C
28、C
29またはC
30アルキル基)、必要に応じて置換されたC
6−C
30アルケニル基(例えばC
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17、C
18、C
19、C
20、C
21、C
22、C
23、C
24、C
25、C
26、C
27、C
28、C
29またはC
30アルケニル基)または必要に応じて置換されたC
6−C
30アルキニル基(例えばC
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17、C
18、C
19、C
20、C
21、C
22、C
23、C
24、C
25、C
26、C
27、C
28、C
29またはC
30アルキニル基)基団である。
【0084】
価数を許容する下、窒素原子は置換または未置換されてもよく、かつそれは第1級、第2級、第3級及び第4級の窒素原子を含む。窒素原子置換基の実例は、水素、−OH、−OR
aa、 −N(R
cc)
2、−CN、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、−P(=O)
2R
aa、−P(=O)(R
aa)
2、−P(=O)
2N(R
cc)
2、−P(=O)(NR
cc)
2、C
1−10アルキル基、C
1−10ペルハロアルキル基、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3〜14員複素環基、C
6−14アリール基及び5〜14員ヘテロアリール基を含むが、これらに限らず、または2個のR
cc基団を結合して1個の3〜14員複素環基または5〜14員ヘテロアリール基環に形成し、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換され、かつその中、R
aa、R
bb、R
cc及びR
ddは本文に定義されるものである。
【0085】
幾らかの特定の実例中に、窒素原子上に位置する置換基は窒素保護基団(本文中にアミン基保護基団とも称する)である。窒素保護基団は、−OH、−OR
aa、 −N(R
cc)
2、−C(=O)R
aa、−C(=O)N(R
cc)
2、−CO
2R
aa、−SO
2R
aa、−C(=NR
cc)R
aa、−C(=NR
cc)OR
aa、−C(=NR
cc)N(R
cc)
2、−SO
2N(R
cc)
2、−SO
2R
cc、−SO
2OR
cc、−SOR
aa、−C(=S)N(R
cc)
2、−C(=O)SR
cc、−C(=S)SR
cc、C
1−10アルキル基(例えば、芳アルキル基またはヘテロ芳香アルキル基)、C
2−10アルケニル基、C
2−10アルキニル基、C
1−10ヘテロアルキル基、C
2−10ヘテロアルケニル基、C
2−10ヘテロアルキニル基、C
3−10炭素環基、3−14員複素環基、C
6−14アリール基及び5−14員ヘテロアリール基を含むが、これらに限らず、その中、各アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、炭素環基、複素環基、アリール基及びヘテロアリール基は、各自独立に0、1、2、3、4または5個のR
dd基団で置換され、かつその中、R
aa、R
bb、R
cc及びR
ddは本文に定義されるものである。窒素保護基団は、当該技術を熟練する者が熟知しており、かつProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sonsに掲示され、その詳細も参考のため本文中に併記する。
【0086】
例えば、窒素保護基団は、例えばアミド基団(如−C(=O)R
aa)であり、それはホルムアミド 、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、ベンゼンアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド(picolinamide)、3−ピリジンカルボアミド、N−ベンゾイルフェニルアラニン誘導体、ベンゼンホルムアミド、p−ベンゾイルアニリン、o−ニトロベンゼンアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセチルアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアミンアシル)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロピオンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロピオンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロピオンアミド、4−クロロブチルアミド、3−メチル−3−ニトロブチルアミド、o−ニトロシンナムアミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンゼンホルムアミド及びo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンゼンホルムアミドを含む(但しこれらに限らない)。
【0087】
窒素保護基団は、例えばカルバメート基団(例えば−C(=O)OR
aa)であり、それはカルバミン酸メチルエステル、カルバミン酸エチルエステル、9−フルオレニルメチルカルバメート(9−fluorenylmethyl carbamate;(Fmoc))、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7−二−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキシド−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD−Tmoc)、4−メトキシルフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シンナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−ペンチルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチル カルバメート、1−メチル−1−フェニルエチル カルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート及び2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートを含む(但しこれらに限らない)。
【0088】
窒素保護基団は、例えばスルホンアミド基団(例えば−S(=O)
2R
aa)であり、それはp−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルフェンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルフェンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルフェンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフェンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルフェンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチル・基−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルフェンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、及びフェナシルスルホンアミドを含む(但しこれらに限らない)。
【0089】
他の窒素保護基団は、フェノチアジニル基−(10)−カルボニル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’−フェニルアミノチオカルボニル誘導体、N−ベンゾイルフェニルプロピオンアミド誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換 1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン−3−イル)アミン、第4級アンモニウム塩類、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミン(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン(ideneamine)、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリニック酸誘導体、N−[フェニル(ペンタカルボニルクロム−またはタングステン)カルボニル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミダート、ジベンジルホスホロアミダート、ジフェニルホスホロアミダート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシルベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド及び3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)を含む(但しこれらに限らない)。
【0090】
幾らかの特定の実例に、酸素原子上に位置する置換基は酸素保護基団(本文中にヒドロキシ基保護基団とも称する)である。酸素保護基団は、−R
aa、−N(R
bb)
2、−C(=O)SR
aa、−C(=O)R
aa、−CO
2R
aa、−C(=O)N(R
bb)
2、−C(=NR
bb)R
aa、−C(=NR
bb)OR
aa、−C(=NR
bb)N(R
bb)
2、−S(=O)R
aa、−SO
2R
aa、−Si(R
aa)
3、−P(R
cc)
2、−P(R
cc)
3、−P(=O)
2R
aa、−P(=O)(R
aa)
2、−P(=O)(OR
cc)
2、−P(=O)
2N(R
bb)
2及び−P(=O)(NR
bb)
2を含むが、これらに限らず、その中、R
aa、R
b、及びR
ccは本文に定義されるものである。酸素保護基団は、当該技術を熟練する者が熟知しており、かつProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sonsに掲示され、その詳細も参考のため本文中に併記する。
【0091】
酸素保護基団の実例は、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシルメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4′,4″−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4′,4″−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4′,4″−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4′,4″−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1′−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル基、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルセキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート 、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート(pivaloate)、アダマントエート、クロトネート(crotonate)、4−メトキシルクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(mesitoate)、アルキルメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチルカーボネート、メチル ジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキル N,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミダート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、サルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート及びトシレート(Ts)を含むが、これらに限らず、
置換基の他の実例は、本文の発明説明、実施例及び特許請求の範囲にさらに詳細に掲示される。上記で例示された置換基でいかなる方式で本発明の範疇を制限するべきではない。
【0092】
本文に示す「塩」は、いかなる及び全ての塩類を指す。
【0093】
本文に示す「医薬学的に容認される塩」は、良好な医薬学的評価下、過度の毒性、刺激性、過敏反応及類似する反応を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触させて用いるのに適し、かつ合理的なベネフィット/リスク比に相称性のある塩類を指す。医薬学的に容認される塩は、例えばBerge氏ら, describes pharmaceutically acceptable salts in detail in J. Pharmaceutical Sciences(1977) 66:1−19といった既知の技術の範疇に属する。本発明の化合物による医薬学的に容認される塩は、好適な無機及び有機酸及びアルカリなどから誘導されるものを含む。医薬学的に容認される塩の実例は無毒の酸付加塩を含み、それは例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、または例えばエタン酸、シュウ酸、マレイン酸 、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸、もしくは既知の技術における他の方法、例えばイオン交換法を利用することによって形成したアミン基基団の塩である。他の医薬学的に容認される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、亜硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩及びその類似物を含む。好適なアルカリから誘導された医薬学的に容認される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN
+(C
1〜4アルキル基)
4塩類を含む。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びその類似物を含む。適切な状況下、医薬学的に容認される塩は、さらに無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム及びアミン陽イオンを含み、それは、例えばハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩の対イオンを使用して形成されるものである。