【文献】
Dennis R.JENKE,LIQUID CHROMATOGRAPHIC ESTIMATION OF OCTANOL/WATER PARTITION COEFFICIENTS WITH A HIGH EFFIC,Journal of Liquid Chromatography & Related Technologies,1996年,vol.19, No.14,pp.2227-2245
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記殺菌剤が、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、及びサリチル酸からなる群から選択される殺菌剤である、請求項1又は2に記載のデオドラント組成物。
前記制汗剤が、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛及びミョウバンからなる群から選択される制汗剤である、請求項5に記載のデオドラント組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るデオドラント組成物は、エタノールと、殺菌剤と、疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、分子量が150以上であるエステル化合物とを少なくとも含む。
【0021】
なお、本明細書においては、上記エタノールを「(A)エタノール」又は「成分(A)」;上記殺菌剤を「(B)殺菌剤」又は「成分(B)」;上記疎水化ヒドロキシアルキルセルロースを「(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロース」又は「成分(C)」;上記分子量が150以上であるエステル化合物を「(D)分子量が150以上であるエステル化合物」、「(D)エステル化合物」又は「成分(D)」と称する場合がある。
【0022】
本発明では、(A)エタノール及び(B)殺菌剤とともに配合する成分として、(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースと、(D)分子量が150以上であるエステル化合物とを組み合わせて用いているので、塗布後に腋などの塗布対象物における(B)殺菌剤の残存性を飛躍的に高めることができる。このため、塗布後に、時間が経過しても、殺菌作用を充分に発揮させることができる。
【0023】
塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を効果的に高める観点からは、本発明に係るデオドラント組成物は、ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0024】
また、制汗効果を高めるために、本発明に係るデオドラント組成物は、制汗剤を含んでもよい。これにより、デオドラント組成物としての効果をより一層高めることができる。
【0025】
なお、本明細書においては、上記ノニオン性界面活性剤を「(E)ノニオン性界面活性剤」又は「成分(E)」;上記制汗剤を「(F)制汗剤」又は「成分(F)」と称する場合がある。
【0026】
さらに、本発明に係るデオドラント組成物は、成分(C)の効果をより有効に発現させる観点から、水を含むことが好ましい。さらにまた、本発明に係るデオドラント組成物は、上記成分(A)〜成分(F)及び水以外の成分を含んでもよい。
【0027】
本発明に係るデオドラント組成物に含まれる各成分、即ち成分(A)〜(F)、水やその他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。
【0028】
以下、本発明に係るデオドラント組成物に用いられる又は好適に用いられる各成分を詳細に説明する。
【0029】
((A)エタノール)
本発明に係るデオドラント組成物における(A)エタノールの含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(A)エタノールの含有量は好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、更に好ましくは50.0質量%を超え、特に好ましくは60.0質量%以上、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは95.5質量%以下、更に好ましくは90.0質量%以下、特に好ましくは89.0質量%以下、最も好ましくは80.0質量%以下である。(A)エタノールの含有量が上記下限以上であると、使用性及び速乾性がより一層高くなる。(A)エタノールの含有量の上限は他の成分の含有量に応じて適宜調整可能である。
【0030】
((B)殺菌剤)
本発明に係るデオドラント組成物に含まれる(B)殺菌剤は、殺菌作用を有する。本発明では、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性にかなり優れている。
【0031】
(B)殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、及びサリチル酸等が挙げられる。(B)殺菌剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0032】
塗布後の(B)殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を効果的に高める観点からは、(B)殺菌剤は、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、及びサリチル酸からなる群から選択される殺菌剤(少なくとも1の殺菌剤)であることが好ましく、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、及びヒノキチオールからなる群から選択される殺菌剤(少なくとも1の殺菌剤)であることがより好ましい。
【0033】
本発明に係るデオドラント組成物における(B)殺菌剤の含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(B)殺菌剤の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。(B)殺菌剤の含有量が上記下限以上であると、殺菌効果がより一層効果的に得られる。また、安全性を高める観点から、(B)殺菌剤の含有量は上記上限以下であることが好ましい。
【0034】
((C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロース)
本発明に係るデオドラント組成物に含まれる(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルセルロースの疎水化物である。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは特に限定されない。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースとしては、例えば、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び疎水化ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0035】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルセルロースにアルキル基を導入することで得られることが好ましい。上記疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにアルキル基を導入することで得られることが好ましい。疎水性が高いことから、該アルキル基は、長鎖アルキル基であることが好ましい。疎水性が高いことから、(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルセルロースに炭素数12以上のアルキル基(疎水性を与えるアルキル基)を導入することで得られることが好ましい。
【0036】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、炭素数12以上のアルキル基(疎水性を与えるアルキル基)を有することが好ましい。上記疎水性を与えるアルキル基の炭素数の上限は特に限定されない。上記疎水性を与えるアルキル基の炭素数は22以下であることが好ましい。上記疎水性を与えるアルキル基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記疎水性を与えるアルキル基の直鎖部分の炭素数は12以上であることが好ましい。
【0037】
上記疎水性を与えるアルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基及びドコシル基等が挙げられる。
【0038】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、アルキロキシヒドロキシアルキルセルロースであることが好ましい。上記疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、アルキロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースであることが好ましい。上記アルキロキシヒドロキシアルキルセルロースにおけるアルキロキシ基の炭素数は好ましくは12以上、好ましくは22以下である。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースは、上記アルキロキシ基ではない疎水性を与えるアルキル基(長鎖アルキル基など)を含む基を有していてもよい。
【0039】
上記アルキロキシ基としては、ドデシロキシ基(ラウロキシ基)、トリデシロキシ基、テトラデシロキシ基(ミリスチロキシ基)、ペンタデシロキシ基、ヘキサデシロキシ基(セチロキシ基)、ヘプタデシロキシ基、オクタデシロキシ基(ステアロキシ基)、ノナデシロキシ基、エイコシロキシ基、ヘンエイコシロキシ基及びドコシロキシ基等が挙げられる。
【0040】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースとしては、例えば、ドデシロキシヒドロキシアルキルセルロース(ラウロキシヒドロキシアルキルセルロース)、トリデシロキシヒドロキシアルキルセルロース、テトラデシロキシヒドロキシアルキルセルロース(ミリスチロキシヒドロキシアルキルセルロース)、ペンタデシロキシヒドロキシアルキルセルロース、ヘキサデシロキシヒドロキシアルキルセルロース(セチロキシヒドロキシアルキルセルロース)、ヘプタデシロキシヒドロキシアルキルセルロース、オクタデシロキシヒドロキシアルキルセルロース(ステアロキシヒドロキシアルキルセルロース)、ノナデシロキシヒドロキシアルキルセルロース、エイコシロキシヒドロキシアルキルセルロース、ヘンエイコシロキシヒドロキシアルキルセルロース及びドコシロキシヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。
【0041】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースとしては、特に好ましくはオクタデシロキシヒドロキシアルキルセルロース(ステアロキシヒドロキシアルキルセルロース)が挙げられ、最も好ましくはオクタデシロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース)が挙げられる。
【0042】
(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースとして、市販品を用いてもよい。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースの市販品としては、サンジェロース60L、サンジェロース60M、サンジェロース90L、サンジェロース90M(商品名;全てステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、大同化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0043】
本発明に係るデオドラント組成物における(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースの含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースの含有量は好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースの含有量が上記下限以上であると、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性がより一層効果的に高くなる。(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースの含有量が上記上限以下であることにより、本発明に係るデオドラント組成物を皮膚に塗布及び乾燥した後の皮膜の皮膚への密着性がより一層向上するため、塗布後の殺菌効果の持続性や使用感がより一層向上する。
【0044】
((D)分子量が150以上であるエステル化合物)
本発明に係るデオドラント組成物に含まれる(D)エステル化合物の分子量は150以上である。(D)エステル化合物の分子量が上記下限以上であることにより、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性が効果的に高くなる。(D)エステル化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0045】
汗による流れ落ちを防止し、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を効果的に高める観点からは、(D)エステル化合物のlogP値は好ましくは40以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。また、(D)エステル化合物のlogP値は好ましくは1以上であり、より好ましくは2以上である。logP値はデータベース「ChemSpider」に基づき算出された値である。
【0046】
塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性をより一層効果的に高める観点からは、(D)エステル化合物は、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール−3ベンジルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、及びテトライソステアリン酸ペンタエリトリットからなる群から選択されるエステル化合物(少なくとも1のエステル化合物)であることが好ましい。
【0047】
(D)エステル化合物として、市販品を用いることができる。
【0048】
塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を更に一層効果的に高める観点からは、(D)エステル化合物は、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール−3ベンジルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、及びパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択されるエステル化合物(少なくとも1のエステル化合物)であることが好ましい。
【0049】
塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を効果的に高める観点からは、(D)エステル化合物の分子量は、好ましくは180以上、より好ましくは200以上、好ましくは5000以下、より好ましくは2000以下、更に好ましくは600以下である。
【0050】
本発明に係るデオドラント組成物における(D)エステル化合物の含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(D)エステル化合物の含有量は好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。(D)エステル化合物の含有量が上記下限以上であると、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性がより一層効果的に高くなる。(D)エステル化合物の含有量が上記上限以下であると、使用性及び速乾性がより一層良好になる。
【0051】
((E)ノニオン性界面活性剤)
本発明に係るデオドラント組成物は、(E)ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。(E)ノニオン性界面活性剤は、(D)エステル化合物の可溶化剤としても作用し、(D)エステル化合物の添加効果をより一層高める役割を果たす。
【0052】
(E)ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド及びポリオキシエチレンラノリン等が挙げられる。(E)ノニオン性界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0053】
本発明に係るデオドラント組成物における(E)ノニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(E)ノニオン性界面活性剤の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。(E)ノニオン性界面活性剤の含有量が上記下限以上であると、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性がより一層効果的に高くなる。(E)ノニオン性界面活性剤の含有量が上記上限以下であると、使用性及び速乾性がより一層良好になる。
【0054】
((F)制汗剤)
本発明に係るデオドラント組成物は、(F)制汗剤を含んでもよい。(F)制汗剤は、例えば、皮膚を収れんすることにより、汗の発生を抑制する。(F)制汗剤は特に限定されない。(F)制汗剤としては、従来公知の制汗剤が挙げられる。(F)制汗剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0055】
(F)制汗剤としては、例えば、アルミニウム塩及びパラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。上記アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)、硫酸アルミニウムアンモニウム(アンモニウムミョウバン)、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム及びアラントインクロルヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。これら以外の制汗剤を用いてもよい。
【0056】
制汗効果をより一層高める観点からは、(F)制汗剤は、アルミニウム塩及びパラフェノールスルホン酸亜鉛の内の少なくとも1種であることが好ましく、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛及びミョウバンからなる群から選択される制汗剤(少なくとも1の制汗剤)であることがより好ましく、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛及び硫酸アルミニウムカリウムからなる群から選択される制汗剤(少なくとも1の制汗剤)であることが更に好ましい。
【0057】
本発明に係るデオドラント組成物における(F)制汗剤の含有量は特に限定されない。上記デオドラント組成物100質量%中、(F)制汗剤の含有量は、制汗効果、使用感や安全性を良好にする観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下である。
【0058】
(水)
本発明に係るデオドラント組成物は、水を含むことが好ましい。上記水は、特に限定されないが、精製水であることが好ましい。上記デオドラント組成物が水を含むことにより、(C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロースが膨潤して、より一層効果が発現しやすくなる。
【0059】
上記デオドラント組成物100質量%中、水の含有量は好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、好ましくは45.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下である。
【0060】
(他の成分)
本発明に係るデオドラント組成物は、増粘剤を含んでいてもよい。上記増粘剤としては、水溶性高分子等が挙げられる。上記増粘剤の具体例としては、ヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。上記ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記増粘剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0061】
また、本発明に係るデオドラント組成物には、上述した成分の他に、デオドラント剤又は化粧品に通常用いられる成分が添加されてもよい。本発明に係るデオドラント組成物は、例えば、(E)ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、保湿剤、消臭剤、オイル成分、金属イオン封鎖剤、防腐剤、清涼剤、抗炎症剤、植物エキス及び香料等を含んでいてもよい。
【0062】
上記、(E)ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤等が挙げられる。上記保湿剤としては、ソルビトール等が挙げられる。また、グリセリンも保湿剤として使用可能である。上記オイル成分としては、炭化水素類及びシリコーン等が挙げられる。
【0063】
(デオドラント組成物及びデオドラント剤の他の詳細)
本発明に係るデオドラント組成物の25℃における粘度ηは、特に限定されないが、容器からのデオドラント組成物の吐出性及び塗布性を良好にする観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下である。
【0064】
上記粘度ηは、特に限定されないが、例えば、B型粘度計を用いて測定しうる。測定条件に関しては、例えば、Lアダプターを使用して25℃及び12rpmの条件、ローターNo.2を使用して25℃及び30rpmの条件、又はローターNo.3を使用して25℃及び30rpmの条件で、粘度は測定される。上記B型粘度計としては、東機産業社製「TV−20」を使用可能である。
【0065】
(デオドラント剤)
本発明に係るデオドラント剤は、容器と、該容器内に充填されている上記デオドラント組成物とを備える。
【0066】
上記容器としては、ロールオン容器、スプレー容器(エアゾール型、非エアゾール型)、及びチューブ容器等が挙げられる。上記容器は、ロールオン容器であることが好ましい。ロールオンタイプのデオドラント剤では、組成物を手に付けて塗布対象物に塗布することなく、組成物を塗布対象物に直接かつ均一に塗布することができる。すなわち、ロールオン容器は、塗布性に優れている。例えば、腋などの肌に、ロールオン容器内のデオドラント組成物を直接塗布することが容易である。また、ロールオンタイプのデオドラント剤では、塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を高める効果がより一層発揮されやすい。ロールオン容器は、塗布部にロールを備える。ロールは、円筒部材であってもよく、球状部材であってもよい。
【0067】
本発明に係るデオドラント組成物は、皮膚に塗布して用いられることが好ましく、腋に塗布して用いられることが好ましい。本発明に係るデオドラント組成物は、皮膚用デオドラント組成物であることが好ましく、腋用デオドラント組成物であることが好ましい。また、本発明に係るデオドラント組成物は、腋以外の皮膚に塗布して用いられてもよい。
【0068】
本発明に係るデオドラント剤は、組成物を皮膚に塗布して用いられることが好ましく、組成物を腋に塗布して用いられることが好ましい。本発明に係るデオドラント剤は、皮膚用デオドラント剤であることが好ましく、腋用デオドラント剤であることが好ましい。
【0069】
本発明に係るデオドラント剤は、エアゾール製剤であってもよく、非エアゾール製剤であってもよい。塗布後の殺菌剤の残存性、及び塗布後の殺菌効果の持続性を高める効果がより一層発揮されやすいので、本発明に係るデオドラント剤は、非エアゾール製剤であることが好ましい。
【0070】
本発明に係るデオドラント剤の剤型としては、特に限定されないが、例えば、ロールオン、ミスト、スティック、クリーム、ジェル、及びエアゾールスプレー等が挙げられる。中でも、ロールオン又はミストが好ましい。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例にのみ限定されない。なお、配合量の単位は、特記しない限り「質量%」である。
【0072】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0073】
((A)エタノール)
エタノール
((B)殺菌剤)
イソプロピルメチルフェノール
塩化ベンザルコニウム
((C)疎水化ヒドロキシアルキルセルロース)
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(大同化成工業株式会社製「サンジェロース60M」)
((D)エステル化合物)
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(分子量470、logP値8.919)
アジピン酸ジイソプロピル(分子量230、logP値2.676)
アジピン酸ジイソブチル(分子量258、logP値3.17)
ミリスチン酸ポリプロピレングリコール−3ベンジルエーテル(分子量548)
イソノナン酸イソノニル(分子量284、logP値7.098)
ミリスチン酸イソプロピル(分子量270、logP値7.43±0.21)
イソステアリン酸プロピレングリコール(分子量342、logP値7.826)
パルミチン酸イソプロピル(分子量298、logP値8.49±0.21)
パルミチン酸2−エチルヘキシル(分子量368、logP値8.93)
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル(分子量640、logP値12.076)
ミリスチン酸オクチルドデシル(分子量508、logP値15.914)
((E)ノニオン性界面活性剤)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル(日本サーファクタント工業株式会社製「PEN−4620」)
((F)制汗剤)
クロルヒドロキシアルミニウム
(水)
精製水
(他の成分)
ヒドロキシプロピルセルロース
ポリエチレングリコール400
【0074】
(実施例1〜11及び比較例1〜3)
下記の表1に示す各成分を下記の表1に示す配合量(含有量、単位は質量%)で配合し、ディスパーミキサーで混合して、デオドラント組成物を得た。得られたデオドラント組成物の上記粘度ηはいずれも、10mPa・s以上、3000mPa・s以下であった。
【0075】
また、得られたデオドラント組成物を、ロールオン容器内に充填して、デオドラント剤を得た。
【0076】
(殺菌剤の残存率の評価)
JIS L0848:2004に準じて、人口汗を調製した。具体的には、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g、及びりん酸ニ水素ナトリウム二水和物2.2gを水に溶かし、次に0.1mol/L水酸化ナトリウム15mLと全量が1Lとなるように水とを加えて、酸性人口汗を調製した。得られた酸性人口汗のpHは5.5であった。
【0077】
得られたデオドラント組成物20μLをケラチン布に塗布した。上記酸性人口汗20mLを100mLビーカーに入れた後に、塗布後のケラチン布をビーカーに入れ、100rpmで10分間振とうし、振とう後のケラチン布を得た。
【0078】
15mL遠沈管にメタノール10mLを入れた後、振とう後のケラチン布を遠沈管に入れ、150rpmで10分間振とうした。その後、遠沈管内の液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。
【0079】
その後、ろ過後の液中の殺菌剤の量(Y)を、HPLCで評価した。また、得られたデオドラント組成物20μLをケラチン布に塗布した評価サンプルを別途用意し、酸性人口汗中での振とうを行わずに同様の処理をしたときのろ過後の液中の殺菌剤の量(X)を評価した。殺菌剤の量(X)を基準として、殺菌剤の残存率((Y)/(X)×100%)を求めた。
【0080】
組成及び評価結果を下記の表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
(実施例12、及び比較例4)
下記の表2に示す各成分を下記の表2に示す配合量(含有量、単位は質量%)で配合し、ディスパーミキサーで混合して、デオドラント組成物を得た。得られたデオドラント組成物の上記粘度ηはいずれも、10mPa・s以上、3000mPa・s以下であった。
【0083】
【表2】
【0084】
(殺菌剤の残存性の評価)
男性被験者3名にて評価を行った。
【0085】
各被験者の片方の腋に実施例12のデオドラント組成物約0.2gを塗布し、もう片方の腋に比較例4のデオドラント組成物約0.2gを塗布した。
【0086】
塗布の8時間後、それぞれの腋を、99%エタノールを含浸させた布で3回拭いた。次いで、60%メタノールにより、それぞれの布中の殺菌剤成分(イソプロピルメチルフェノール及び塩化ベンザルコニウム)を抽出し、抽出量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。
【0087】
実施例12のデオドラント組成物を塗布した腋から得られたイソプロピルメチルフェノールの抽出量の全被験者の平均値を(I1)、比較例4のデオドラント組成物を塗布した腋から得られたイソプロピルメチルフェノールの抽出量の全被験者の平均値を(I2)とした。実施例12のデオドラント組成物を塗布した腋から得られた塩化ベンザルコニウムの抽出量の全被験者の平均値を(B1)、比較例4のデオドラント組成物を塗布した腋から得られた塩化ベンザルコニウムの抽出量の全被験者の平均値を(B2)とした。
(I1)を(I2)で除した値[(I1)/(I2)]は約3.3であり、(B1)を(B2)で除した値[(B1)/(B2)]は約1.5であった。従って、比較例4のデオドラント組成物と比べて、実施例12のデオドラント組成物では、塗布8時間後のイソプロピルメチルフェノールの残存量が約3.3倍であり、塩化ベンザルコニウムの残存量が約1.5倍であり、実施例12のデオドラント組成物は、組成物中の殺菌剤の残存性に優れていることがわかった。
【0088】
(防臭効果の持続性の評価)
男性被験者7名にて評価を行った。各被験者は体を洗浄した後に評価を行った。
【0089】
各被験者の片方の腋(「塗布側の腋」と称する)に実施例12のデオドラント組成物約0.2gを塗布し、もう片方の腋(「未塗布側の腋」と称する)には何も塗布しなかった。
【0090】
塗布の24時間後、各被験者のそれぞれの腋(塗布側の腋及び未塗布側の腋)の臭いを、下記評価基準に従って判定した。なお、5名の専門評価員が臭いを判定した。
【0091】
<評価基準>
0点:無臭
1点:やっと感知できる程度の臭い
2点:何の臭いであるかがわかる程度の臭い
3点:楽に感知できる程度の臭い
4点:強い臭い
5点:強烈な臭い
【0092】
その結果、塗布側の腋は、未塗布側の腋よりも、ウィルコクソン(Wilcoxson)の符号付順位和検定で優位に臭いが弱かった(評点が小さかった)。従って、実施例12のデオドラント組成物の防臭効果は、24時間後でも持続しており、実施例12のデオドラント組成物は、優れた防臭効果の持続性を有していることが分かった。
【0093】
(殺菌効果の持続性の評価)
男性被験者7名にて評価を行った。各被験者は体を洗浄した後に評価を行った。
【0094】
各被験者の片方の腋(「塗布側の腋」と称する)に実施例12のデオドラント組成物約0.2gを塗布し、もう片方の腋(「未塗布側の腋」と称する)には何も塗布しなかった。
【0095】
塗布の24時間後、以下のATP(アデノシン三リン酸)拭き取り検査により、塗布側の腋と未塗布側の腋とを比較した。
【0096】
<ATP拭き取り検査>
塗布の24時間後、綿棒で腋を拭き取り、菌を採取した。塗布側の腋から採取した菌を生理食塩水で抽出し、該生理食塩水を「塗布側サンプル」とし、未塗布側の腋から採取した菌を生理食塩水で抽出し、該生理食塩水を「未塗布側サンプル」とした。塗布側サンプル、及び未塗布側サンプルに、それぞれATP抽出試薬、ATP発光試薬を添加した後、ATP測定器(キッコーマンバイオケミファ株式会社製、「ルミテスターC−110」により発光量を測定した。
【0097】
その結果、塗布側サンプルのATP発光量は約400(単位:RLU)であり、未塗布側サンプルのATP発光量は約18200(単位:RLU)であった。なお、上記のATP発光量が大きいことは、菌数が多いことを意味する。
【0098】
従って、実施例12のデオドラント組成物の殺菌効果は、24時間後でも持続しており、実施例12のデオドラント組成物は、優れた殺菌効果の持続性を有していることが分かった。
【0099】
(実施例13〜21)
下記の表3に示す各成分を下記の表3に示す配合量(含有量、単位は質量%)で配合し、ディスパーミキサーで混合して、デオドラント組成物を得た。得られたデオドラント組成物の上記粘度ηはいずれも、10mPa・s以上、3000mPa・s以下であった。
【0100】
【表3】
【0101】
さらに、以下の処方例を示す。
【0102】
(処方例1)デオドラントミスト
エタノール 60.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
トリクロサン 0.2質量%
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.8質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.3質量%
ポリエチレングリコール400 2.0質量%
l−メントール 0.4質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0103】
(処方例2)デオドラントミスト
エタノール 60.0質量%
塩化ベンザルコニウム 0.1質量%
トリクロサン 0.2質量%
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.8質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.3質量%
ポリエチレングリコール400 2.0質量%
l−メントール 0.3質量%
l−メンチルグリセリルエーテル 0.2質量%
植物エキス 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0104】
(処方例3)デオドラントローション
エタノール 50.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
塩化ベンザルコニウム 0.1質量%
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.8質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 5.0質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.3質量%
ポリエチレングリコール400 2.0質量%
架橋ポリスチレン 2.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0105】
(処方例4)デオドラントローション
エタノール 50.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
塩化ベンザルコニウム 0.1質量%
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1質量%
l−メントール 0.5質量%
l−メンチルグリセリルエーテル 0.1質量%
香料 0.3質量%
植物エキス 0.1質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0106】
(処方例5)デオドラントローション
エタノール 50.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
塩化ベンザルコニウム 0.1質量%
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
1.0質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1質量%
ナイロン末 1.0質量%
架橋ポリスチレン 1.0質量%
l−メントール 0.2質量%
l−メンチルグリセリルエーテル 0.1質量%
香料 0.2質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%