特許第6125841号(P6125841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125841
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】縮毛矯正用第1剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20170424BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/898
   A61Q5/04
   A61K8/892
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-3125(P2013-3125)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-133721(P2014-133721A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 喜日出
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴章
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−231098(JP,A)
【文献】 特開平05−078226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
DB名 DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイロンを使用する縮毛矯正処理において用いられる縮毛矯正用第1剤であって、
カチオン化セルロース、アミノ変性シリコーンエマルション、還元剤、及びアルカリ剤が配合され
前記アミノ変性シリコーンエマルションを配合することによるアミノ変性シリコーンの配合量が、0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする縮毛矯正用第1剤。
【請求項2】
前記アミノ変性シリコーンエマルションとして、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルションが配合された請求項1に記載の縮毛矯正用第1剤。
【請求項3】
前記カチオン化セルロースの配合量が、0.5質量%以下である請求項1又は2に記載の縮毛矯正用第1剤。
【請求項4】
ジメチコノールが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の縮毛矯正用第1剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の縮毛矯正用第1剤と、酸化剤が配合された縮毛矯正用第2剤とを備えた縮毛矯正剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温に設定されたアイロンを使用する縮毛矯正処理において用いられれる縮毛矯正用第1剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪にウェーブ形状を付与するパーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理を行うパーマ処理では、還元剤を配合したパーマ用第1剤の毛髪への塗布と、酸化剤を配合したパーマ用第2剤の毛髪への塗布が行われるのが一般的である。パーマ用第1剤の還元作用により毛髪のジスルフィド結合が切断され、パーマ用第2剤の酸化作用により毛髪のジスルフィド結合を形成させる。これら還元と酸化が毛髪形状を変形するパーマ処理での原理であり、化学反応を伴うパーマ処理では、毛髪に損傷を与え易い。
【0003】
縮毛矯正処理は、加温を伴わないコールド式の処理、60℃以下の加温を伴う加温式の処理、100℃以上に設定されたアイロンを使用する処理に分類されるのが一般的である。アイロンを使用する縮毛矯正処理では、他の縮毛矯正処理に比して高い熱に毛髪が曝されるから、この熱に伴う損傷が毛髪に加わる。その損傷が大きくなると毛髪が硬い感触になる傾向があり、更に、毛先に近づくほど損傷の蓄積が大きいのが通常なので、毛先が硬い感触になり易い。このような毛髪が硬い感触になることを抑制する一つの提案として、特許文献1は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル以外のリン酸エステルまたはその塩、二塩基酸と1価のアルコールとからなるエステル、およびカチオン性界面活性剤またはカチオン化セルロースなどのカチオン性ポリマーを配合した縮毛矯正用第1剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−107935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、アイロンを用いる縮毛矯正処理後の毛髪に対しては、柔らかさが求められる。更には、毛髪の厚み(毛髪表面に被膜がある感触)を感じることができれば、毛髪が補修された印象にもなり、その厚みが求められる場合もある。しかし、厚みの感触は、毛髪表面に被膜を形成することで得られやすく、その被膜形成は、一般的に毛髪の柔らかさを損ない易い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、アイロンを使用する縮毛矯正処理後の毛髪の柔らかさ及び厚みの感触を、共に良好にする縮毛矯正用第1剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アイロンを使用する縮毛矯正処理に用いられる第1剤について本発明者等が鋭意検討を行った結果、カチオン化セルロース及びアミノ変性シリコーンエマルションを配合すれば、毛髪の感触を柔らかく、厚みのあるものにできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係るアイロンを使用する縮毛矯正処理において用いられる縮毛矯正用第1剤は、カチオン化セルロース、アミノ変性シリコーンエマルション、還元剤、及びアルカリ剤が配合されたことを特徴とする。前記アミノ変性シリコーンエマルションとして、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルションが配合されていると良い。
【0009】
本発明に係る縮毛矯正用第1剤において、前記アミノ変性シリコーンエマルションを配合することによるアミノ変性シリコーンの配合量は、0.03質量%以上1質量%以下が良い。
【0010】
本発明に係る縮毛矯正用第1剤には、ジメチコノールを配合すると良い。ジメチコノールの配合により、縮毛矯正処理後の毛髪の指通りが向上する。
【0011】
本発明に係る縮毛矯正剤は、本発明の縮毛矯正用第1剤と、酸化剤が配合された縮毛矯正用第2剤とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る縮毛矯正用第1剤は、カチオン化セルロース及びアミノ変性シリコーンエマルションが配合されたものであるから、毛髪の柔らかさの感触と厚みの感触を良好とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る縮毛矯正用第1剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る縮毛矯正用第1剤(以下、「縮毛矯正用第1剤」を「第1剤」と称することがある。)は、カチオン化セルロース、アミノ変性シリコーンエマルション、還元剤、及びアルカリ剤が、水と配合されたものである(水の配合量は、例えば50質量%以上)。また、本実施形態の第1剤には、公知の第1剤に配合される原料が任意原料として適宜配合される。
【0014】
(カチオン化セルロース)
本実施形態の第1剤において、カチオン化セルロース(化学名:塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース)をアミノ変性シリコーンエマルションと共に配合することで、縮毛矯正処理後の毛髪の感触を、柔らかく、厚みがあるものとする。また、その配合により、外観したときの毛髪のつやを向上させる。
【0015】
カチオン化セルロースは、2質量%水溶液にしたときの粘度が200mPa・s以上40000mPa・s以下のものが良く、10000mPa・s以上40000mPa・s以下のものが好ましい。なお、カチオン化セルロースの2質量%水溶液の粘度については、粘度に応じて選定したローターを装着したB型粘度計を用いて、25℃、12rpmの条件で測定開始から60秒後の値を採用する。
【0016】
カチオン化セルロースのカチオン化度(カチオン化セルロースにおける窒素含有質量の百分率)は、例えば1.3%以上2.0%以下であり、1.5%以上2.0%以下が良い。
【0017】
本実施形態の第1剤におけるカチオン化セルロースの配合量は、例えば0.5質量%以下であり、0.04質量%以上0.3質量%以下であると良い。
【0018】
(アミノ変性シリコーンエマルション)
本実施形態の第1剤に配合するアミノ変性シリコーンエマルションは、配合前に予めアミノ変性シリコーンを界面活性剤で水中に分散させたものである。例えば、東レ・ダウコーニング社が販売するカチオン界面活性剤でアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を分散させた「SM 8904 COSMETIC EMULSION」が、アミノ変性シリコーンエマルションを含む市販品として挙げられる。
【0019】
本実施形態の第1剤において、アミノ変性シリコーンエマルションを配合することによるアミノ変性シリコーンの配合量は、0.03質量%以上1質量%以下が良く、0.1質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下がより好ましい。この配合量範囲であると、毛髪の柔らかさ、厚み、つやが特に良好になる。
【0020】
(還元剤)
公知の第1剤に配合されている還元剤を、本実施形態の第1剤に配合すると良い。この還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン)、L−システイン、塩酸L−システイン、DL−システイン、塩酸DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、システアミン、チオ乳酸、チオグリセリン、ラクトンチオールが挙げられる。
【0021】
本実施形態の第1剤には、一種又は二種以上の還元剤を配合すると良い。当該第1剤における還元剤の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば2質量%以上12質量%以下である。
【0022】
(アルカリ剤)
本実施形態の第1剤の還元力を高めるために、公知の第1剤を配合する。このアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アミノアルコール(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなど)、塩基性アミノ酸(アルギニンなど)、モルホリン、炭酸塩(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、リン酸塩(リン酸一水素アンモニウム、リン酸一水素ナトリウムなど)、苛性アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)が挙げられる。
【0023】
本実施形態の第1剤には、一種又は二種以上のアルカリ剤を配合すると良い。当該第1剤におけるアルカリ剤の配合量は、設定する第1剤のpHに応じた量にすると良い。
【0024】
(任意原料)
本実施形態の第1剤に配合される任意原料は、上記の通り、公知の第1剤に配合される原料から適宜選定される。当該原料は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子化合物、シリコーン、炭化水素、ロウ、高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、油脂、エステル油、タンパク質、アミノ酸、キレート剤、抗炎症剤、防腐剤、香料などである。
【0025】
本実施形態の第1剤にジメチコノールを配合すれば、縮毛矯正処理後の毛髪の指通りを良好にできる。この場合に第1剤におけるジメチコノールの配合量は、0.01質量%以上0.08質量%以下が良く、0.01質量%以上0.05質量%以下が好ましい。
【0026】
本実施形態の第1剤をクリーム状にする場合、例えば高級アルコール及びカチオン界面活性剤を配合すると良い。また、アニオン界面活性剤を配合しても良い。
【0027】
上記高級アルコールは、炭素数14以上22以下のものであると良く、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分枝飽和アルコール;が挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを配合すると良く、本実施形態の第1剤における高級アルコールの配合量は、例えば3質量%以上8質量%以下である。
【0028】
上記のカチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン界面活性剤を配合すると良く、本実施形態の第1剤におけるカチオン界面活性剤の配合量は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0029】
上記アニオン界面活性剤としては、N−アシルアミノ酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸、アシル乳酸塩などのカルボン酸系アニオン界面活性剤;アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、脂肪酸アミドエーテルリン酸塩などのリン酸系アニオン界面活性剤;アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリシジルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩などのスルホン酸系アニオン界面活性剤;アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩などの硫酸系アニオン界面活性剤;が挙げられる。一種又は二種以上のアニオン界面活性剤を配合すると良く、本実施形態の第1剤におけるアニオン界面活性剤の配合量は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0030】
(剤型)
第1剤の使用時の剤型は、特に限定されず、液状、クリーム状、ゲル状などが挙げられる。クリーム状剤型の場合の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して25℃で計測した60秒後の値が例えば4000mPa・s以上30000mPa・s以下である。
【0031】
(pH)
本実施形態の第1剤のpHは、例えば11.0以下のアルカリ性であり、8.0以上10.0以下が良い。
【0032】
(使用方法)
本実施形態の第1剤と公知の縮毛矯正用第2剤(以下、「縮毛矯正用第2剤」を「第2剤」と称することがある。)とを備える縮毛矯正剤を使用する縮毛矯正処理において、本実施形態の第1剤が使用される。
【0033】
上記第2剤は、公知の酸化剤及び任意原料が配合されたものであると良い。配合する酸化剤は、例えば、臭素酸塩(臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等)又は過酸化水素である。また、任意原料は、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高分子化合物、シリコーン、炭化水素、ロウ、高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、油脂、エステル油、タンパク質、アミノ酸、キレート剤、抗炎症剤、防腐剤、香料などである。この第2剤のpHは、臭素酸塩を配合する場合には、例えば5.0以上8.0以下であり、過酸化水素を配合する場合には、例えば2.0以上4.0以下である。
【0034】
また、縮毛矯正処理は、例えば、次の(1)から(5)の手順を有する。(1)毛髪に第1剤を塗布し、毛髪のケラチンにおいてジスルフィド結合の還元反応を進行させる。(2)毛髪に塗布した第1剤を洗浄除去し、毛髪を乾燥させる。(3)一対の板状発熱体(発熱体設定温度は、例えば160℃以上220℃以下)を備えるアイロンを用いて、毛髪の状態を直線状に近づけるように伸ばす。(4)毛髪に第2剤を塗布し、毛髪のケラチンにおいて酸化反応を進行させる。(5)毛髪に塗布した第2剤を洗浄除去し、乾燥させて仕上げる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0036】
水と、カチオン化セルロース(ダウケミカル日本社製「UCARE Polymer JR−30M」)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション含有市販品(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を40質量%含有する東レ・ダウコーニング社製「SM 8904 COSMETIC EMULSION」)、ジメチコン(メチルポリシロキサン:高重合メチルポリシロキサン(1)=9:1の質量比である東レ・ダウコーニング社製「BY11−007」)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、高重合メチルポリシロキサン(1)、ジメチコノール含有市販品(ジメチコノール:シクロペンタシロキサン=15:85の質量比であるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「XF49−C2520」)、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、リン酸ジセチル、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、パルミチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、ジチオジグリコール酸ジアンモニウム、モノエタノールアミン、キレート剤、及び香料から選択した原料を配合し、下記表1〜4に示す各実施例及び比較例のクリーム状第1剤を調製した(水と配合した原料の配合濃度は、下記表1〜4の通り。)。
【0037】
(実施例1、比較例1の第1剤を用いた縮毛矯正処理)
シャンプーで洗浄し、タオルで水分を拭き取った人頭の左右の頭髪に異なる第1剤(実施例1又は比較例1の第1剤)を塗布し、20分程度放置してから水洗し、乾燥させた。続いて、一対の板状発熱体を備えるアイロン(板状発熱体設定温度:180℃)を用いて毛髪を伸ばし、第2剤(ミルボン社製「リシオ・グランフェ第2剤)を塗布してから、5分放置し、水洗し、乾燥させた。
【0038】
上記縮毛処理後の毛髪について、柔らかさ(毛先までの柔らかさの感触)、厚み(毛髪表面に被膜がある感触)、つや(外観したときの毛髪のつや)を、3名の評価者により官能評価した。ここでは、比較例1を基準として以下の通り評価した。
○:評価者全員が、基準よりも良いと評価
―:評価者の一部が、基準よりも良いと評価
×:評価者全員が、基準よりも悪いと評価
【0039】
下記表1に、実施例1及び比較例1の第1剤の製造のために水と配合した原料及び配合量、並びに、縮毛矯正処理後の毛髪の評価結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1において、カチオン化セルロースとアミノ変性シリコーンエマルション(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション)を共に配合した実施例1は、カチオン化セルロースを配合しなかった比較例1よりも、柔らかさ、厚み、つやの全てについて、良い評価であったことを確認できる。
【0042】
(実施例2a〜2c、比較例2a〜2bの第1剤を用いた縮毛矯正処理)
シャンプーで洗浄し、タオルで水分を拭き取った毛束(約2g、30cm程度の酸化染毛剤による処理履歴があるもの)に対して2g程度の1剤を毛束に塗布し、20分程度放置してから水洗し、乾燥させた。続いて、一対の板状発熱体を備えるアイロン(板状発熱体設定温度:180℃)を用いて毛髪を伸ばし、第2剤(ミルボン社製「リシオ・グランフェ第2剤)を塗布してから、5分放置し、水洗し、乾燥させた。また、この縮毛矯正処理後の毛束について、実施例1での評価と同様に、比較例2aを基準として評価者3名で評価した。
【0043】
下記表2に、実施例2a〜2c及び比較例2a〜2bの第1剤の製造のために水と配合した原料及び配合量、並びに、縮毛矯正処理後の毛束の評価結果を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
上記表2において、アミノ変性シリコーンエマルション(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション)を配合した実施例2a〜2cは、アミノ変性シリコーンを増量した比較例2a及びジメチコンを配合した比較例2bよりも、柔らかさ、厚み、つやの全てについて、良い評価であったことを確認できる。なお、実施例2a〜2cにおいて実施例2bを基準に官能評価を行ったところ、実施例2bの柔らかさ、厚み、つやは、実施例2a及び2cよりも、全てにおいて良い評価であった。
【0046】
(比較例3a〜3dの第1剤を用いた縮毛矯正処理)
比較例3a〜3dの第1剤を用いた縮毛矯正処理を、実施例2aの第1剤を用いた縮毛矯正処理と同様にして行った。また、この縮毛矯正処理後の毛束について、実施例1での評価と同様に、比較例3aを基準として評価者3名で評価した。
【0047】
下記表3に、比較例3a〜3dの第1剤の製造のために水と配合した原料及び配合量、並びに、縮毛矯正処理後の毛束の評価結果を示す。
【0048】
【表3】
【0049】
(実施例4a〜4bの第1剤を用いた縮毛矯正処理)
比較例4a〜4bの第1剤を用いた人頭の縮毛矯正処理を、実施例1の第1剤を用いた縮毛矯正処理と同様にして行った。また、比較例4a〜4bの第1剤を用いた毛束の縮毛矯正処理を、実施例2aの第1剤を用いた縮毛矯正処理と同様にして行った。以上の縮毛矯正処理を行った頭髪と毛束について、柔らかさ、厚み、指通りの評価を実施例4aを基準として評価者3名で評価した。
【0050】
下記表4に、実施例4a〜4bの第1剤の製造のために水と配合した原料及び配合量、並びに、縮毛矯正処理後の頭髪及び毛束の評価結果を示す(評価結果は、頭髪と毛束で同一であった。)。
【0051】
【表4】
【0052】
上記表4において、ジメチコノールを配合した実施例4bは、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体を配合した実施例4aよりも、厚みと指通りについての評価が良かったことを確認できる。