(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の改質処理を行う工程における処理温度を前記第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、前記第1の改質処理を行う工程における処理温度を前記基板上に薄膜を形成する工程における処理温度と同等の温度とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2の改質処理を行う工程における処理温度を前記第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、前記第1の改質処理を行う工程における処理温度を前記基板上に薄膜を形成する工程における処理温度よりも高くする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1の改質処理を行う工程および前記第2の改質処理を行う工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内で酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸化種を生成し、この酸化種を用いて、前記各改質処理を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記所定元素含有層を酸化層に変化させる工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内で酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸化種を生成し、この酸化種を用いて前記所定元素含有層を前記酸化層に変化させる請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
前記所定元素はシリコン元素または金属元素を含み、前記ハロゲン元素は塩素元素またはフッ素元素を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記処理容器は、反応管と、マニホールドと、を含み、前記原料の吸着層および前記副生成物は、前記マニホールド内に付着する請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記処理容器は、石英または炭化シリコンにより構成された反応管と、金属により構成されたマニホールドと、を含み、前記原料の吸着層および前記副生成物は、前記マニホールド内に付着する請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示している。
図2は、本実施形態で好適に用いられる縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を
図1のA−A線断面図で示している。
【0013】
図1に示されているように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。なお、ヒータ207は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0014】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等の金属から構成され、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。なお、マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けら
れている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、反応管203は垂直に据え付けられた状態となる。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成されている。処理室201は、基板としてのウエハ200を、後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0015】
処理室201内には、第1ガス導入部としての第1ノズル233aと、第2ガス導入部としての第2ノズル233bとが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。第1ノズル233aには、第1ガス供給管232aが接続されている。また、第2ノズル233bには、第2ガス供給管232b及び第3ガス供給管232cが接続されている。このように、反応管203には2本のノズル233a,233bと、3本のガス供給管232a,232b,232cが設けられており、処理室201内へ複数種類、ここでは3種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0016】
第1ガス供給管232aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a、及び開閉弁であるバルブ243aが設けられている。また、第1ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、第1不活性ガス供給管232dが接続されている。この第1不活性ガス供給管232dには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ241d、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。また、第1ガス供給管232aの先端部には、上述の第1ノズル233aが接続されている。第1ノズル233aは、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、第1ノズル233aは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。第1ノズル233aはL字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。第1ノズル233aの側面にはガスを供給するガス供給孔248aが設けられている。ガス供給孔248aは反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。このガス供給孔248aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0017】
主に、第1ガス供給管232a、マスフローコントローラ241a、バルブ243aにより第1ガス供給系が構成される。なお、第1ノズル233aを第1ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第1不活性ガス供給管232d、マスフローコントローラ241d、バルブ243dにより、第1不活性ガス供給系が構成される。第1不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
【0018】
第2ガス供給管232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241b、及び開閉弁であるバルブ243bが設けられている。また、第2ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、第2不活性ガス供給管232eが接続されている。この第2不活性ガス供給管232eには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ241e、及び開閉弁であるバルブ243eが設けられている。また、第2ガス供給管232bの先端部には、上述の第2ノズル233bが接続されている。第2ノズル233bは、ガス分散空間であるバッファ室237内に設けられている。
【0019】
バッファ室237は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間
に、また、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。すなわち、バッファ室237は、ウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを供給するガス供給孔248cが設けられている。ガス供給孔248cは反応管203の中心を向くように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。このガス供給孔248cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0020】
第2ノズル233bは、バッファ室237のガス供給孔248cが設けられた端部と反対側の端部に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。すなわち、第2ノズル233bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。第2ノズル233bはL字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。第2ノズル233bの側面にはガスを供給するガス供給孔248bが設けられている。ガス供給孔248bはバッファ室237の中心を向くように開口している。このガス供給孔248bは、バッファ室237のガス供給孔248cと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。この複数のガス供給孔248bのそれぞれの開口面積は、バッファ室237内と処理室201内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞれ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には、上流側から下流側に向かってそれぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
【0021】
本実施形態においては、第2ノズル233bのガス供給孔248bのそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔248bのそれぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこのガス供給孔248bのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入し、バッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うこととしている。すなわち、第2ノズル233bのガス供給孔248bのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスはバッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室237のガス供給孔248cより処理室201内に噴出する。これにより、第2ノズル233bのガス供給孔248bのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、バッファ室237のガス供給孔248cのそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0022】
主に、第2ガス供給管232b、マスフローコントローラ241b、バルブ243bにより第2ガス供給系が構成される。なお、第2ノズル233bおよびバッファ室237を第2ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第2不活性ガス供給管232e、マスフローコントローラ241e、バルブ243eにより第2不活性ガス供給系が構成される。第2不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
【0023】
第3ガス供給管232cには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241c、及び開閉弁であるバルブ243cが設けられている。また、第3ガス供給管232cのバルブ243cよりも下流側には、第3不活性ガス供給管232fが接続されている。この第3不活性ガス供給管232fには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ241f、及び開閉弁であるバルブ243fが設けられている。また、第3ガス供給管232cの先端部は、第2ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側に接続されている。
【0024】
主に、第3ガス供給管232c、マスフローコントローラ241c、バルブ243cにより第3ガス供給系が構成される。なお、第2ガス供給管232bの第3ガス供給管232cとの接続部よりも下流側、第2ノズル233bおよびバッファ室237を第3ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第3不活性ガス供給管232f、マスフローコントローラ241f、バルブ243fにより第3不活性ガス供給系が構成される。第3不活性ガス供給系はパージガス供給系としても機能する。
【0025】
このように、本実施形態におけるガス供給の方法は、反応管203の内壁と、積載された複数枚のウエハ200の端部とで定義される円弧状の縦長の空間内に配置したノズル233a,233bおよびバッファ室237を経由してガスを搬送し、ノズル233a,233bおよびバッファ室237にそれぞれ開口されたガス供給孔248a,248b,248cからウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させており、反応管203内におけるガスの主たる流れをウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に対して均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にできる効果がある。なお、ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後の残ガスは、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れるが、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0026】
第1ガス供給管232aからは、所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガス、すなわち、所定元素としてのシリコン(Si)とハロゲン元素としての塩素(Cl)とを含む原料ガス(シリコン及び塩素含有ガス)として、例えば、クロロシラン原料ガスの一種であるヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガスが、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、第1ノズル233aを介して処理室201内に供給される。すなわち、第1ガス供給系は原料ガス供給系、つまり、シリコン及び塩素含有ガス供給系(HCDSガス供給系)として構成される。このとき同時に、第1不活性ガス供給管232dから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241d、バルブ243dを介して第1ガス供給管232a内に供給されるようにしてもよい。ここで、クロロシラン系原料ガスとは、気体状態のクロロシラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるクロロシラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるクロロシラン系原料等のことである。また、クロロシラン系原料とは、ハロゲン基としてのクロロ基を有するシラン系原料のことであり、少なくともシリコン(Si)及び塩素(Cl)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうクロロシラン系原料は、ハロゲン化物の一種とも言える。なお、本明細書において「原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態である液体原料」を意味する場合、「気体状態である原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。従って、本明細書において「クロロシラン系原料」という言葉を用いた場合は、「液体状態であるクロロシラン系原料」を意味する場合、「気体状態であるクロロシラン系原料ガス」を意味する場合、または、その両方を意味する場合がある。なお、HCDSのように常温常圧下で液体状態である液体原料を用いる場合は、液体原料を気化器やバブラ等の気化システムにより気化して、原料ガス(HCDSガス)として供給することとなる。
【0027】
第2ガス供給管232bからは、酸化性ガス、すなわち、酸素を含むガス(酸素含有ガス)として、例えば、酸素(O
2)ガスが、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、第2ガス供給管232b、第2ノズル233b、バッファ室237を介して処理室201内に供給される。すなわち、第2ガス供給系は酸素含有ガス供給系(O
2ガス供給系)として構成される。このとき同時に、第2不活性ガス供給管232eから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241e、バルブ243eを介して第2ガス供給管232b内に供給されるようにしてもよい。
【0028】
第3ガス供給管232cからは、還元性ガス、すなわち、水素を含むガス(水素含有ガス)として、例えば、水素(H
2)ガスが、マスフローコントローラ241c、バルブ243c、第2ガス供給管232b、第2ノズル233b、バッファ室237を介して処理室201内に供給される。すなわち、第3ガス供給系は水素含有ガス供給系(H
2ガス供給系)として構成される。このとき同時に、第3不活性ガス供給管232fから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241f、バルブ243fを介して第3ガス供給管232c内に供給されるようにしてもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、O
2ガスとH
2ガスとを同じノズルから処理室201内(バッファ室237内)に供給するようにしているが、それぞれを別々のノズルから処理室201内に供給するようにしてもよい。ただし、複数種類のガスでノズルを共用とした方が、ノズルの本数を減らすことができ、装置コストを低減することができ、メンテナンスも容易になる等のメリットがある。また、HCDSガスを供給するノズルと、H
2ガスを供給するノズルとを共用としてもよい。つまり、HCDSガスとH
2ガスとを同じノズルから供給してもよい。なお、後述する成膜温度帯では、HCDSガスはH
2ガスとは反応しないが、O
2ガスとは反応することが考えられるので、HCDSガスを供給するノズルと、O
2ガスを供給するノズルとは別にした方がよい。
【0030】
バッファ室237内には、
図2に示すように、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれは、第2ノズル233bと平行に設けられている。第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれは、上部より下部にわたって各電極を保護する保護管である電極保護管275により覆われることで保護されている。この第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270のいずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は、基準電位であるアースに接続されている。整合器272を介して高周波電源273から第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電力を印加することで、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。主に、第1の棒状電極269、第2の棒状電極270、電極保護管275によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。なお、整合器272、高周波電源273をプラズマ源に含めて考えてもよい。なお、プラズマ源は、後述するようにガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。
【0031】
電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237内の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部の酸素濃度が外気(大気)の酸素濃度と同程度であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270は、ヒータ207による熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部を窒素ガスなどの不活性ガスで充填しておくか、電極保護管275の内部を不活性ガスパージ機構を用いて窒素ガスなどの不活性ガスでパージすることで、電極保護管275の内部の酸素濃度を低減させ、第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止することができるように構成されている。
【0032】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。なお、APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動
させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により排気系が構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気系は、真空ポンプ246を作動させつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいてAPCバルブ244の弁の開度を調節することにより、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、排気管231は、反応管203に設ける場合に限らず、第1ノズル233aや第2ノズル233bと同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0033】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属から構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述する基板保持具としてのボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、例えばステンレス等の金属から構成され、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。すなわち、ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、シールキャップ219と同様に、例えばステンレス等の金属から構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、反応管203の外部に設置されたシャッタ開閉機構115sにより制御されるよう構成されている。
【0034】
基板支持具としてのボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に支持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる断熱部材218が設けられており、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるように構成されている。なお、断熱部材218は、石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これら断熱板を水平姿勢で多段に支持する断熱板ホルダとにより構成してもよい。
【0035】
反応管203内には、
図2に示すように、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、第1ノズル233a及び第2ノズル233bと同様に、L字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0036】
図3に示されているように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU
(Central Processing Unit)121a、RAM(Random
Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0037】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理や堆積膜改質処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピが、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0038】
I/Oポート121dは、上述のマスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,241e,241f、バルブ243a,243b,243c,243d,243e,243f、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、高周波電源273、整合器272、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0039】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU121aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ241a,241b,241c,241d,241e,241fによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a,243b,243c,243d,243e,243fの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作及び圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、高周波電源273の電力供給、整合器272によるインピーダンス調整動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御するように構成されている。
【0040】
なお、コントローラ121は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ121を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみ
を含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0041】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に薄膜を形成する処理を実施した後、処理容器内に生成された反応副生成物が堆積してなる堆積膜を改質する処理を実施し、堆積膜を、剥離しにくい強固な膜に変化させる方法の例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0042】
本実施形態では、
基板を処理容器内へ搬送する工程と、
基板を収容した処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、基板上に薄膜を形成する工程と、
薄膜形成後の基板を処理容器外に搬送する工程と、
処理容器内に基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給する工程と、を順に実施する。
【0043】
なお、処理容器内に基板がない状態で、処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給する工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内で酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸化種を生成する。そして、生成された酸化種により、処理容器内に生成された反応副生成物に含まれるハロゲン元素等の不純物を除去し、反応副生成物が堆積してなる堆積膜を改質する。また、ここで用いる酸化種は、好ましくは原子状酸素(atomic oxygen、O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種である。
【0044】
以下、本実施形態の成膜シーケンスおよび堆積膜改質シーケンスを、
図4、
図5を用いて具体的に説明する。
図4は、本実施形態における処理フローを示す図である。
図5は、本実施形態に係る成膜シーケンスおよび堆積膜改質シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図である。
【0045】
なお、ここでは、成膜シーケンスとして、原料ガスとしてHCDSガスを、酸素含有ガスとしてO
2ガスを、水素含有ガスとしてH
2ガスを用い、
基板としてのウエハ200を収容した処理容器内へHCDSガスを供給し、ウエハ200上にシリコン含有層を形成する工程と、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内へO
2ガスとH
2ガスとを供給し、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる工程と、を交互に所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上に、所定組成及び所定膜厚のシリコン酸化膜(SiO
2膜、以下SiO膜ともいう)を形成する例について説明する。なお、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内でO
2ガスとH
2ガスとを反応させて原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種を生成し、この酸化種を用いてシリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる例について説明する。
【0046】
また、ここでは、堆積膜改質シーケンスとして、酸素含有ガスとしてO
2ガスを、水素含有ガスとしてH
2ガスを用い、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内でO
2ガスとH
2ガスとを反応させて、原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種を生成し、この酸化種を用いて、処理容器内に生成された反応副生成物に含まれる塩素(Cl)等の不純物を除去し、反応副生成物が堆積してなる堆積膜を改質する例について説明する。
【0047】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0048】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0049】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0050】
(ウエハチャージ及びボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。
図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0051】
(圧力調整及び温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される(圧力調整)。なお、真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。なお、ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によるボート217及びウエハ200の回転を開始する。なお、回転機構267によるボート217及びウエハ200の回転は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0052】
(シリコン酸化膜の形成工程)
その後、以下のステップ1〜4を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数、好ましくは複数回繰り返すことにより、ウエハ200上に、所定膜厚のシリコン酸化膜を成膜する。
【0053】
[ステップ1]
第1ガス供給管232aのバルブ243aを開き、第1ガス供給管232aにHCDSガスを流す。HCDSガスは、第1ガス供給管232aから流れ、マスフローコントロー
ラ241aにより流量調整される。流量調整されたHCDSガスは、第1ノズル233aのガス供給孔248aから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給されることとなる(HCDSガス供給)。
【0054】
このとき、第1不活性ガス供給管232dのバルブ243dを開き、第1不活性ガス供給管232dから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスは、マスフローコントローラ241dにより流量調整されて、第1ガス供給管232a内に供給される。流量調整されたN
2ガスは、第1ガス供給管232a内で、流量調整されたHCDSガスと混合され、第1ノズル233aのガス供給孔248aから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され、排気管231から排気されることとなる。なお、このとき、バッファ室237内や第2ノズル233b内へのHCDSガスの侵入を防止するため、バルブ243e,243fを開き、第2不活性ガス供給管232e、第3不活性ガス供給管232f内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232c、第2ノズル233b、バッファ室237を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0055】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜13300Pa、好ましくは10〜1330Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241aで制御するHCDSガスの供給流量は、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ241d,241e,241fで制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。HCDSガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば350〜800℃、好ましくは450〜800℃、より好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0056】
なお、ウエハ200の温度が350℃未満となると、ウエハ200上においてHCDSが分解、吸着しにくくなり、実用的な成膜速度が得られなくなることがある。ウエハ200の温度を350℃以上とすることで、これを解消することが可能となり、十分な成膜速度が得られるようになる。また、ウエハ200の温度を450℃以上とすることで、後述するステップ3における酸化力向上の効果が顕著となる。また、ウエハ200の温度を550℃以上とすることで、HCDSの分解を十分に行うことが可能となる。
【0057】
また、ウエハ200の温度が750℃、特に800℃を超えるとCVD反応が強くなる(気相反応が支配的になる)ことで、膜厚均一性が悪化しやすくなり、その制御が困難となってしまうことがある。ウエハ200の温度を800℃以下とすることで、膜厚均一性の悪化を抑制でき、その制御が可能となる。特にウエハ200の温度を750℃以下とすることで、膜厚均一性を確保しやすくなり、その制御が容易となる。よって、ウエハ200の温度は350〜800℃とするのが好ましく、450〜800℃とするのがより好ましく、550〜750℃とするのがより好ましい。
【0058】
上述の条件下でウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200(表面の下地膜)上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのシリコン含有層が形成される。シリコン含有層はHCDSガスの吸着層であってもよいし、シリコン層(Si層)であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。ただし、シリコン含有層はシリコン(Si)及び塩素(Cl)を含む層であることが好ましい。
【0059】
ここでシリコン層とは、シリコン(Si)により構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるシリコン薄膜をも含む総称である。なお、Siにより構成
される連続的な層をシリコン薄膜という場合もある。なお、シリコン層を構成するSiは、Clとの結合が完全に切れていないものも含む。
【0060】
また、HCDSガスの吸着層は、HCDSガスのガス分子の連続的な化学吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、HCDS分子で構成される1分子層もしくは1分子層未満の厚さの化学吸着層を含む。なお、HCDSガスの吸着層を構成するHCDS(Si
2Cl
6)分子は、SiとClとの結合が一部切れたもの(Si
xCl
y分子)も含む。すなわち、HCDSガスの吸着層は、Si
2Cl
6分子および/またはSi
xCl
y分子の連続的な化学吸着層や不連続な化学吸着層を含む。
【0061】
なお、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。また、1分子層未満の厚さの層とは不連続に形成される分子層のことを意味しており、1分子層の厚さの層とは連続的に形成される分子層のことを意味している。
【0062】
HCDSガスが自己分解(熱分解)する条件下、すなわち、HCDSの熱分解反応が生じる条件下では、ウエハ200上にSiが堆積することでシリコン層が形成される。HCDSガスが自己分解(熱分解)しない条件下、すなわち、HCDSの熱分解反応が生じない条件下では、ウエハ200上にHCDSガスが吸着することでHCDSガスの吸着層が形成される。なお、ウエハ200上にHCDSガスの吸着層を形成するよりも、ウエハ200上にシリコン層を形成する方が、成膜レートを高くすることができ、好ましい。
【0063】
ウエハ200上に形成されるシリコン含有層の厚さが数原子層を超えると、後述するステップ3での酸化(改質)の作用がシリコン含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能なシリコン含有層の厚さの最小値は1原子層未満である。よって、シリコン含有層の厚さは1原子層未満から数原子層程度とするのが好ましい。なお、シリコン含有層の厚さを1原子層以下、すなわち、1原子層または1原子層未満とすることで、後述するステップ3での酸化反応(改質反応)の作用を相対的に高めることができ、ステップ3の酸化反応に要する時間を短縮することができる。ステップ1のシリコン含有層形成に要する時間を短縮することもできる。結果として、1サイクルあたりの処理時間を短縮することができ、トータルでの処理時間を短縮することも可能となる。すなわち、成膜レートを高くすることも可能となる。また、シリコン含有層の厚さを1原子層以下とすることで、膜厚均一性の制御性を高めることも可能となる。
【0064】
なお、処理室201内に供給されたHCDSガスは、ウエハ200に対して供給されるだけでなく、処理室201内の部材の表面、すなわち、反応管203の内壁、マニホールド209の内壁、処理室201内に設けられたボート217等の部材の表面に対しても供給されることとなる。その結果、上述のシリコン含有層は、ウエハ200上だけでなく、処理室201内の部材の表面にも形成されることとなる。処理室201内の部材の表面に形成されるシリコン含有層も、ウエハ200上に形成されるシリコン含有層と同様に、HCDSガスの吸着層を含む場合や、Si層を含む場合や、その両方を含む場合がある。
【0065】
但し、処理室201内における比較的温度の低い領域(ヒータ207により取り囲まれていない領域であって、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域以外の領域。以下、低温領域ともいう)では、処理室201内において比較的温度の高い領域(ヒータ207により取り囲まれる領域であって、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域。以下、高温領域ともいう)に比べて、HCDSガスが自己分解(熱分解)し難く、HCDSガスの吸着層が形成されやすくなる。具体的には、処理室201内の部材のうち、反応管203内壁の下方部分、マニホールド209の内壁、第1ノズル233aの下部、バッファ室237外壁の下部、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面
、排気管231の内壁等には、HCDSガスの吸着層が形成されやすくなる。また、処理室201内における低温領域では、高温領域に比べて低温であるためにHCDSガスの吸着が起こりやすく、HCDSガスの吸着層が厚く形成されやすくなる。
【0066】
原料ガス(シリコン及び塩素含有ガス)としては、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガスの他、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl
4、略称:STC)ガス、トリクロロシラン(SiHCl
3、略称:TCS)ガス、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)ガス、モノクロロシラン(SiH
3Cl、略称:MCS)ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0067】
[ステップ2]
ウエハ200上にシリコン含有層が形成された後、第1ガス供給管232aのバルブ243aを閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ244は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排除する(残留ガス除去)。なお、このとき、バルブ243d,243e,243fは開いたままとして、不活性ガスとしてのN
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン含有層形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。なお、ステップ1において処理室201内の部材に吸着したHCDSガスは、処理室201内を真空排気することでは完全に除去されず、少なくとも一部が、処理室201内の部材の表面に吸着したまま残留することになる。
【0068】
なお、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ3において悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、処理容器(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ3において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0069】
このときのヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、HCDSガスの供給時と同じく、例えば350〜800℃、好ましくは450〜800℃、より好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0070】
[ステップ3]
処理室201内の残留ガスを除去した後、第2ガス供給管232bのバルブ243bを開き、第2ガス供給管232bにO
2ガスを流す。O
2ガスは第2ガス供給管232bから流れ、マスフローコントローラ241bにより流量調整される。流量調整されたO
2ガスは、第2ガス供給管232bを経由して、第2ノズル233bのガス供給孔248bから加熱された減圧状態のバッファ室237内に供給される。このとき同時に、第3ガス供給管232cのバルブ243cを開き、第3ガス供給管232cにH
2ガスを流す。H
2ガスは第3ガス供給管232cから流れ、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。流量調整されたH
2ガスは、第3ガス供給管232cを経由して、第2ノズル233bのガス供給孔248bから加熱された減圧状態のバッファ室237内に供給され
る。なお、H
2ガスは、第2ガス供給管232bを経由する際に、第2ガス供給管232b内でO
2ガスと混合される。すなわち、第2ノズル233bからは、O
2ガスとH
2ガスとの混合ガスが供給されることとなる。バッファ室237内に供給されたO
2ガスとH
2ガスとの混合ガスは、バッファ室237のガス供給孔248cから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され、排気管231から排気される(O
2ガス+H
2ガス供給)。
【0071】
このとき、第2不活性ガス供給管232eのバルブ243eを開き、第2不活性ガス供給管232eから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスはマスフローコントローラ241eにより流量調整されて、第2ガス供給管232b内に供給される。また、第3不活性ガス供給管232fのバルブ243fを開き、第3不活性ガス供給管232fから不活性ガスとしてN
2ガスを供給するようにしてもよい。N
2ガスはマスフローコントローラ241fにより流量調整されて、第3ガス供給管232c内に供給される。この場合、第2ノズル233bからは、O
2ガスとH
2ガスとN
2ガスとの混合ガスが供給されることとなる。なお、不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。なお、このとき、第1ノズル233a内へのO
2ガスとH
2ガスとの侵入を防止するため、バルブ243dを開き、第1不活性ガス供給管232d内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、第1ガス供給管232a、第1ノズル233aを介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0072】
このとき、APCバルブ244を適正に調整して、処理室201内の圧力を、大気圧未満、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力に維持する。マスフローコントローラ241bで制御するO
2ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ241cで制御するH
2ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmの範囲内の流量とする。マスフローコントローラ241d,241e,241fで制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ、例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。O
2ガスおよびH
2ガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわち、ガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜120秒の範囲内の時間とする。ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、ステップ1のHCDSガスの供給時と同様な温度帯であって、後述する酸化力向上の効果が顕著となる温度帯、すなわち、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。なお、この範囲内の温度であれば減圧雰囲気下でのO
2ガスへのH
2ガス添加による酸化力向上の効果(後述)が顕著となることを確認した。また、ウエハ200の温度が低すぎると酸化力向上効果が得られないことも確認した。スループットを考慮すると、このように、ステップ1〜3で処理室201内の温度を同様な温度帯に保持するようにヒータ207の温度を設定するのが好ましい。さらには、ステップ1〜ステップ4(後述)にかけて処理室201内の温度を同様な温度帯に保持するようにヒータ207の温度を設定するのがより好ましい。この場合、ステップ1〜ステップ4(後述)にかけて処理室201内の温度が例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の一定の温度となるようにヒータ207の温度を設定する。
【0073】
上述の条件下でO
2ガスおよびH
2ガスを処理室201内に供給することで、O
2ガスおよびH
2ガスは、加熱された減圧雰囲気下においてノンプラズマで熱的に活性化(励起)されて反応し、それにより原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種が生成される。そして、主にこの酸化種により、ステップ1でウエハ200上に形成されたシリコン含有層に対して酸化処理が行われる。この酸化種の持つエネルギーは、シリコン含有層中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−Cの結合エネルギーよりも高いため、この酸化種のエネルギーをシリコン含有層に与えることで、シリコン含有層中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−C結合は切り離される。Siとの結合を切り離されたN、H、Cl、Cは膜中から除去され、N
2、H
2、Cl
2、H
Cl、CO
2等として排出される。また、N、H、Cl、Cとの結合が切られることで余ったSiの結合手は、酸化種に含まれるOと結びつきSi−O結合が形成される。このようにして、シリコン含有層は、塩素(Cl)等の不純物の含有量が少ないシリコン酸化層(SiO
2層、以下、単にSiO層ともいう。)へと変化させられる(改質される)。この酸化処理によれば、O
2ガスを単独で供給する場合や水蒸気(H
2O)を供給する場合に比べ、酸化力を大幅に向上させることができる。すなわち、減圧雰囲気下においてO
2ガスにH
2ガスを添加することで、O
2ガス単独供給の場合やH
2Oガスを供給する場合に比べ大幅な酸化力向上効果が得られる。
【0074】
なお、処理室201内で生成される酸化種は、ウエハ200に対して供給されるだけでなく、処理室201内の部材の表面にも供給されることとなる。その結果、処理室201内の部材の表面に形成されたシリコン含有層の一部は、ウエハ200上に形成されたシリコン含有層と同様に、シリコン酸化層へと変化させられる(改質される)。但し、処理室201内における低温領域では、高温領域に比べて温度が低く、また、原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種の供給量が少なくなる。また、上述したように、処理室201内における低温領域では、高温領域に比べてHCDSガスの吸着層が厚く形成されやすくなる。その結果、低温領域に形成されたシリコン含有層は、未反応、または一部が反応するだけで、酸化不十分のまま残留しやすくなる。具体的には、処理室201内の部材のうち、反応管203内壁の下方部分、マニホールド209の内壁、第1ノズル233aの下部、バッファ室237外壁の下部、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面、排気管231の内壁等に形成されたHCDSガスの吸着層は、未反応、または一部が反応するだけで、酸化不十分のまま残留しやすくなる。
【0075】
なお、ステップ3では、O
2ガスとH
2ガスのうち少なくとも何れか一方または両方をプラズマで活性化させて流すこともできる。O
2ガスおよび/またはH
2ガスをプラズマで活性化させて流すことで、よりエネルギーの高い活性種を含む酸化種を生成することができ、この酸化種により酸化処理を行うことで、デバイス特性が向上する等の効果も考えられる。例えば、O
2ガスとH
2ガスとの両方をプラズマで活性化させる場合、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加することで、バッファ室237内に供給されたO
2ガスとH
2ガスとの混合ガスはプラズマで活性化され(プラズマ励起され)、活性種を含むガス、すなわち、O
2*(酸素の活性種)やH
2*(水素の活性種)を含むガス(酸化種)としてガス供給孔248cから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、高周波電源273から第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000Wの範囲内の電力となるように設定する。その他の処理条件は、上述の処理条件と同様とする。なお、上述の温度帯では、O
2ガスとH
2ガスとは熱で活性化されて十分に反応し、十分な量の原子状酸素(O)等の水分(H
2O)非含有の酸化種が生成される。よって、O
2ガスとH
2ガスとをノンプラズマで熱的に活性化させても十分な酸化力が得られる。なお、O
2ガスとH
2ガスは熱で活性化させて供給した方が、プラズマダメージを与えることなく比較的ソフトな反応を生じさせることができ、上述の酸化処理を比較的ソフトに行うことができる。
【0076】
酸素含有ガス、すなわち、酸化性ガスとしては、酸素(O
2)ガスの他、オゾン(O
3)ガス等を用いてもよい。なお、上述の温度帯において、一酸化窒素(NO)ガスや亜酸化窒素(N
2O)ガスへの水素含有ガス添加効果を試してみたところ、NOガス単独供給やN
2Oガス単独供給に比べて酸化力向上の効果が得られないことを確認した。すなわち、酸素含有ガスとしては窒素非含有の酸素含有ガス(窒素を含まず酸素を含むガス)を用いるのが好ましい。水素含有ガス、すなわち、還元性ガスとしては、水素(H
2)ガスの他、重水素(D
2)ガス等を用いてもよい。なお、アンモニア(NH
3)ガスやメタン(
CH
4)ガス等を用いると、窒素(N)不純物や炭素(C)不純物の膜中への混入が考えられる。すなわち、水素含有ガスとしては、他元素非含有の水素含有ガス(他元素を含まず水素または重水素を含むガス)を用いるのが好ましい。すなわち、酸素含有ガスとしては、O
2ガスおよびO
3ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができ、水素含有ガスとしては、H
2ガスおよびD
2ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができる。
【0077】
[ステップ4]
シリコン含有層をシリコン酸化層へと変化させた後、第2ガス供給管232bのバルブ243bを閉じ、O
2ガスの供給を停止する。また、第3ガス供給管232cのバルブ243cを閉じ、H
2ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ244は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、残留したO
2ガスやH
2ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する(残留ガス除去)。また、バルブ243e,243f,243dは開いたままとして、不活性ガスとしてのN
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはシリコン酸化層形成に寄与した後のO
2ガスやH
2ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する効果を更に高めることができる。
【0078】
なお、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ1において悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップ1において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0079】
このときのヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、O
2ガスおよびH
2ガスの供給時と同じく、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜2000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いてもよい。
【0080】
(所定回数実施)
上述したステップ1〜4を1サイクルとして、このサイクルを所定回数、好ましくは複数回(n回)繰り返すことにより、ウエハ200上に所定膜厚のシリコン酸化膜(SiO
2膜)を成膜することが出来る。
【0081】
なお、サイクルを複数回行う場合、少なくとも2サイクル目以降の各ステップにおいて、「ウエハ200に対して所定のガスを供給する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層に対して、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味し、「ウエハ200上に所定の層を形成する」と記載した部分は、「ウエハ200上に形成されている層の上、すなわち、積層体としてのウエハ200の最表面の上に所定の層を形成する」ことを意味している。この点は、上述の通りである。なお、この点は、後述する変形例や他の実施形態においても同様である。
【0082】
(パージ及び大気圧復帰)
所定膜厚のシリコン酸化膜が成膜されると、バルブ243d,243e,243fを開き、第1不活性ガス供給管232d、第2不活性ガス供給管232e、第3不活性ガス供
給管232fのそれぞれから不活性ガスとしてのN
2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスが処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0083】
(ボートアンロード及びウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。その後、処理済みのウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0084】
なお、ボートアンロードを実施すると、処理室201内には、水分(H
2O)を含む外気(大気)がマニホールド209の下方開口部から侵入する。また、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面は、水分(H
2O)を含む大気に晒される。上述したように、処理室201内の部材のうち、反応管203内壁の下方部分、マニホールド209の内壁、第1ノズル233aの下部、バッファ室237外壁の下部、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面、排気管231の内壁等には、HCDSガスの吸着層が形成され、酸化不十分のまま残留していることがある。この状態でボートアンロードを実施すると、HCDSガスの吸着層が、大気中の水分(H
2O)によって酸化され、塩素(Cl)を含む反応副生成物に変化することがある。そしてこの反応副生成物が堆積してなる膜(堆積膜)は、比較的脆く、剥離しやすいため、異物(パーティクル)を発生させやすい。
【0085】
以下に、処理室201内の部材の表面に形成されたHCDSガスの吸着層が、大気中の水分(H
2O)と反応してClを含む反応副生成物に変化し、その反応副生成物が堆積してなる堆積膜の一部が剥離して異物を発生させる様子を、
図6を用いて説明する。
【0086】
上述のステップ1(HCDSガス供給)を実施することで、
図6(a)に示すように、処理室201内の部材、例えば、反応管203の内壁及びマニホールド209の内壁等に、シリコン含有層が形成される。上述したように、処理室201内の高温領域では、HCDSガスの吸着層が形成される場合や、Si層が形成される場合や、その両方が形成される場合がある。また、処理室201内の低温領域では、HCDSガスが自己分解(熱分解)し難く、HCDSガスの吸着層が形成されやすくなる。
図6(a)では、一例として、処理室201内の高温領域および低温領域の両方で、HCDSガスの吸着層が形成された様子を示している。
【0087】
その後、上述のステップ3(O
2ガス+H
2ガス供給)を実施することで、
図6(b)に示すように、処理室201内の高温領域に形成されたHCDSガスの吸着層に対して、原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種が供給される。処理室201内の高温領域に形成されたHCDSガスの吸着層は、原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種によって酸化され、シリコン酸化層に変化する。このシリコン酸化層は、ウエハ200の温度(例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃)と同程度の高温条件下で、かつ、酸化力の強い酸化種によりHCDSガスの吸着層が酸化されることで形成された層であり、塩素(Cl)等の不純物が少なく、安定であり、その構造中の結合力(組成物質間の結合力)が強く、緻密な層である。
【0088】
その後、上述のステップ1〜4を含むサイクルが所定回数実施されることにより、
図6(c)に示すように、処理室201内の高温領域に、上述のシリコン酸化層が積層されてなる剥離しにくい強固なシリコン酸化膜100aが形成される。なお、シリコン酸化膜100aは、処理室201内の低温領域には形成され難い。すなわち、処理室201内の低温領域に形成されたHCDSガスの吸着層は、未反応、または一部が反応するだけで、
図6(c)に示すように、酸化不十分のまま残留しやすくなる。これは、この領域の温度が低温であることに加えて、酸化種の供給量が高温領域に比べて少なく、また、処理室201内における低温領域では、高温領域に比べてHCDSガスの吸着層が厚く形成されやすいためである。
【0089】
ウエハ200上へのシリコン酸化膜の形成後、ボートアンロードを実施すると、処理室201内(特に炉口付近)には、常温の大気が侵入する。そして、
図6(d)に示すように、酸化不十分のまま残留しているHCDSガスの吸着層に対して、大気中の水分(H
2O)が供給される。HCDSガスの吸着層は、大気中に含まれる水分(H
2O)によって酸化され、反応副生成物に変化する。この反応副生成物は、常温の大気中に含まれる酸化力の弱い水分(H
2O)によって酸化されて生成されることから、塩素(Cl)等の不純物を多く含んでおり、活性(酸化性)の性質を有する不安定な物質である。
【0090】
その後、上述のウエハチャージからウエハディスチャージまでの処理(以下、バッチ処理ともいう)が所定回数実施されることにより、
図6(e)に示すように、処理室201内の低温領域には、反応副生成物が堆積してなる堆積膜100bが形成される。堆積膜100bは、上述したように、塩素(Cl)等の不純物を多く含み、活性(酸化性)の性質を有する不安定な物質が堆積してなる膜であり、その構造中の結合力が弱く、密度が低い膜である。従って、堆積膜100bは、高温領域に形成されたシリコン酸化膜100aと比較して、脆く、剥離しやすい性質を有する。なお、ボートアンロード時に反応副生成物が生成されやすい領域を、
図7中に点線で示す。
図7に示すように、反応副生成物は、反応管203内壁の下方部分、マニホールド209の内壁だけでなく、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面、排気管231の内壁等にも生成される。すなわち、堆積膜100bは、反応管203内壁の下方部分、マニホールド209の内壁だけでなく、シールキャップ219の上面、回転軸255の側面、断熱部材218の側面や底面、排気管231の内壁等にも形成される。
【0091】
図6(f)は、堆積膜100bが剥離することで処理室201内に異物100pが発生する様子を示している。また、
図8は、ウエハ200表面に異物100pが付着した様子を示している。異物100pがウエハ200に付着すると、製造する半導体装置(デバイス)の品質を低下させることがある。例えば、ウエハ200に付着した異物100pは、ウエハ200上に形成する薄膜中に取り込まれて、膜質を低下させることがある。また、例えば、薄膜形成後のウエハ200上に集積回路等の露光描画を行う際、異物が付着したウエハ200を露光機のステージ上に載置すると、ステージとウエハ200との間に異物100pが入り込んで、露光装置の光学系とウエハ200との距離のズレ(焦点距離ズレ)を引き起こし、描画精度を劣化させてしまうことがある。また、例えば、ウエハ200の表面に形成した配線間の開口部等に異物100pが入り込んだり、開口部等を異物100pが塞いだりすることで、その後に行われる薄膜形成工程において、開口部内での薄膜形成を阻害してしまうことがある。なお、異物100pの発生を抑制するため、処理室201内のクリーニングを高頻度で行うことも考えられるが、この場合、基板処理装置のメンテナンス時間(停止時間、すなわちダウンタイム)が増加し、生産性が低下してしまうことがある。
【0092】
また、堆積膜100bを構成する反応副生成物は、塩素(Cl)を多く含んでいることから、塩素含有ガスを発生させ易いという性質を有する。堆積膜100bから発生した塩
素含有ガスは、メンテナンス作業者やオペレータの人体に悪影響を及ぼすことがある。また、堆積膜100bを構成する反応副生成物は、塩素(Cl)を含むことで活性(酸化性)の性質を有することから、マニホールド209、シールキャップ219、回転軸255等の金属部材が、腐食等のダメージを受けてしまうことがある。その結果、基板処理装置のメンテナンス頻度が増加して生産性が低下したり、ダメージを受けた金属部材からの異物の発生により半導体装置の品質が低下したりすることがある。
【0093】
そこで、本実施形態では、これらの課題を解決するため、ウエハディスチャージ後に、処理室201内に形成された堆積膜100bを改質させ、剥離しにくい強固な膜に変化させる処理を実施する。以下、係る処理について具体的に説明する。
【0094】
(ボートロード)
シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。ウエハ200が装填されていない空の状態のボート217が、ボートエレベータ115により持ち上げられて、処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0095】
(圧力調整及び温度調整)
その後、処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される(圧力調整)。なお、真空ポンプ246は、少なくとも堆積膜100bに対する改質処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。なお、ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくとも堆積膜100bに対する改質処理が完了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によるボート217の回転を開始する。なお、回転機構267によるボート217の回転は、少なくとも堆積膜100bに対する改質処理が完了するまでの間は継続して行われる。なお、このときボート217は回転させなくてもよい。
【0096】
(堆積膜の改質工程)
その後、上述のステップ3と同様のステップが実施される。すなわち、処理室201内にウエハ200が無い状態で、O
2ガスとH
2ガスとが、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され、排気管231から排気される(O
2ガス+H
2ガス供給)。
【0097】
このときの手順及び処理条件は、上述のステップ3と略同様である。なお、ヒータ207の温度は、処理室201内でO
2ガスとH
2ガスとが反応して酸化種を生成するような温度とし、好ましくは、処理室201内で原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種が生成されるような温度とする。例えば、処理室201内の温度が、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201内の温度と同等の温度、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。また、処理室201内にO
2ガス及びH
2ガスを供給する時間は、例えば20〜120分、好ましくは20〜60分、より好ましくは20〜40分の範囲内の時間となるように設定する。
【0098】
上述の条件にてO
2ガスおよびH
2ガスを処理室201内に供給することで、O
2ガスおよびH
2ガスは、加熱された減圧雰囲気下においてノンプラズマで熱的に活性化(励起)されて反応し、それにより原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸
化種が生成される。そして、主にこの酸化種により、処理室201内に形成されている堆積膜100bに対して酸化処理が行われる。この酸化種の持つエネルギーは、堆積膜100bを構成する反応副生成物中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−Cの結合エネルギーよりも高いため、この酸化種のエネルギーを反応副生成物に与えることで、反応副生成物中に含まれるSi−N、Si−Cl、Si−H、Si−C結合は切り離される。Siとの結合を切り離されたN、H、Cl、Cは膜中から除去され、N
2、H
2、Cl
2、HCl、CO
2等として排出される。また、N、H、Cl、Cとの結合が切られることで余ったSiの結合手は、酸化種に含まれるOと結びつきSi−O結合が形成される。このようにして、堆積膜100bを構成する反応副生成物は、塩素(Cl)等の不純物の含有量が少なく、安定な物質に変化させられる(改質される)。その結果、処理室201内に形成されていた堆積膜100bは、その構造中の結合力が強く、緻密な膜、すなわち、剥離しにくい強固な膜に改質される。なお、この改質処理によれば、O
2ガスを単独で供給する場合や水蒸気(H
2O)を供給する場合に比べ、酸化力を大幅に向上させることができる。すなわち、減圧雰囲気下においてO
2ガスにH
2ガスを添加することで、O
2ガス単独供給の場合やH
2Oガスを供給する場合に比べ大幅な酸化力向上効果が得られる。
【0099】
なお、ヒータ207の温度は、処理室201内の温度が、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201の温度よりも高くなるような温度に設定してもよい。例えば、ヒータ207の温度は、処理室201内の温度が450〜900℃、好ましくは600〜800℃の範囲内の温度となるような温度に設定してもよい。このようにした場合、酸化種の発生量を増大させることができ、酸化種による酸化力を更に高めることができ、堆積膜100bの改質をより効率的に行うことができるようになる。但し、堆積膜の改質処理における処理室201内の温度を、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201内の温度と同等の温度とした場合、昇温および降温に要する時間を省略することができ、その分、堆積膜100bの改質処理でのトータルでの時間を短縮することもできるようになる。
【0100】
また、堆積膜の改質処理を実施する際には、O
2ガスとH
2ガスのうち少なくとも何れか一方または両方をプラズマで活性化させて流すようにしてもよい。O
2ガスおよび/またはH
2ガスをプラズマで活性化させて流すことにより、酸化種による酸化力を更に高めることができ、堆積膜100bの改質を除去をより効率的に行うことができるようになる。
【0101】
(パージ及び大気圧復帰)
堆積膜の改質処理がなされると、第2ガス供給管232bのバルブ243bおよび第3ガス供給管232cのバルブ243cを閉じて、処理室201内へのO
2ガスおよびH
2ガスの供給を停止する。また、バルブ243d,243e,243fを開き、第1不活性ガス供給管232d、第2不活性ガス供給管232e、第3不活性ガス供給管232fのそれぞれから不活性ガスとしてのN
2ガスを処理室201内に供給し、排気管231から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0102】
(ボートアンロード)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端から、ウエハ200が装填されていない空の状態のボート217が反応管203の外部に搬出される(ボートアンロード)。ボートアンロードの後は、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端
開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる。
【0103】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0104】
本実施形態によれば、ボートアンロードの後、処理室201内にウエハ200がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理室201内にO
2ガスとH
2ガスとを供給する処理(堆積膜の改質処理)を行う。これにより、堆積膜100bを構成する反応副生成物は酸化され、塩素(Cl)等の不純物の含有量が少なく、安定な物質に変化させられる(改質される)。そして、処理室201内に形成されていた堆積膜100bは、その構造中の結合力が強く、緻密な膜、すなわち、剥離しにくい強固な膜に改質される。その結果、堆積膜100bが剥離することによる異物100pの発生を抑制することができ、半導体装置(デバイス)の品質を向上させ、歩留まりを改善させることができるようになる。また、処理室201内のクリーニング頻度を低減させ、基板処理装置の生産性を向上させることができるようになる。
【0105】
また、本実施形態によれば、堆積膜の改質処理における処理室201内の温度を、処理室201内でO
2ガスとH
2ガスとが反応して酸化種が生成されるような温度、好ましくは、処理室201内で原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種が生成されるような温度とする。この酸化種を用いることで、堆積膜100bを構成する反応副生成物は、塩素(Cl)等の不純物の含有量が極めて少なく、極めて安定な物質に変化させられる(改質される)。その結果、処理室201内に形成されていた堆積膜100bは、その構造中の結合力がより強く、より緻密な膜、すなわち、より剥離しにくい強固な膜に改質される。これにより、堆積膜100bが剥離することによる異物100pの発生を更に抑制することができ、半導体装置の品質を更に向上させ、歩留まりを更に改善させることができるようになる。また、処理室201内のクリーニング頻度を更に低減させ、基板処理装置の生産性を更に向上させることができるようになる。
【0106】
また、本実施形態によれば、堆積膜100bを構成する反応副生成物から塩素(Cl)等の不純物を脱離させることにより、堆積膜100bからの塩素含有ガスの発生を抑制することができるようになる。これにより、メンテナンス作業者やオペレータが安全に作業を行うことができるようになる。
【0107】
また、本実施形態によれば、堆積膜100bを構成する反応副生成物から塩素(Cl)等の不純物を脱離させることで、活性(酸化性)の性質を有していた反応副生成物を、安定な物質に改質させることができるようになる。その結果、マニホールド209、シールキャップ219、回転軸255等の金属部材に対する腐食等のダメージを抑制することができ、基板処理装置のメンテナンス頻度を低減させ、生産性を向上させることができるようになる。また、金属部材からの異物の発生を抑制することができ、半導体装置の品質を向上させることができるようになる。
【0108】
また、本実施形態によれば、ウエハ200を収容した処理容器内へHCDSガスを供給し、ウエハ200上にシリコン含有層を形成する工程と、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内へO
2ガスとH
2ガスとを供給し、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる工程と、を交互に所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上にシリコン酸化膜を形成する。これにより、ウエハ200面内におけるシリコン酸化膜の膜厚均一性及び段差被覆性を、一般的なCVD法によりシリコン酸化膜を形成する場合よりも向上させることができるようになる。
【0109】
また、本実施形態によれば、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる工程で、加
熱された大気圧未満の圧力下にある処理室201内でO
2ガスとH
2ガスとを反応させて原子状酸素(O)等の酸素を含む水分(H
2O)非含有の酸化種を生成し、この酸化種を用いてシリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる。これにより、塩素(Cl)等の不純物の含有量が極めて少なく、極めて良質なシリコン酸化膜を形成することができるようになる。
【0110】
(4)変形例
図4、
図5に示した上述の改質処理は、ウエハディスチャージの後、処理室201内に空のボート217を搬入した状態で行っていたが、本実施形態に係る改質処理の実施タイミングは係る態様に限定されず、以下のように変更してもよい。
【0111】
(変形例1)
例えば、
図11に示すように、堆積膜の改質処理を、ウエハディスチャージの完了を待たずに、ウエハディスチャージの実施と並行して実施するようにしてもよい。この場合、堆積膜の改質処理を、ボートアンロードの後であって処理容器内に空のボート217を搬入していない状態で、すなわち、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされた状態(処理炉202をシャッタクローズとした状態)で行うこととなる。なお、
図15は、本変形例に係る基板処理装置の処理炉202において、処理容器内に空のボート217を搬入せず、処理炉202をシャッタクローズの状態とした様子を示している。
【0112】
このように、ウエハディスチャージの完了を待つ時間中に堆積膜の改質処理を並行して行うようにすれば、堆積膜の改質処理を含む基板処理工程全体の所要時間を短縮させることができ、トータルでの基板処理の効率を向上させることができるようになる。
【0113】
(変形例2)
また例えば、
図12に示すように、堆積膜の改質処理を、ボートアンロードの前に行うようにしてもよい。この場合、ステップ1〜4を含むサイクルを所定回数実施した後、処理室201内をパージする前か、或いは、処理室201内の圧力を大気圧に復帰させる前に、堆積膜の改質処理を行うことになる。このときの手順及び処理条件は、
図4、
図5を用いて説明した上述の堆積膜の改質処理と略同様である。但し、ヒータ207の温度は、処理室201内の温度が、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201内の温度と同等の温度、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。また、処理室201内にO
2ガス及びH
2ガスを供給する時間は、例えば10〜30分の範囲内の時間となるように設定する。
【0114】
このように、堆積膜の改質処理をボートアンロードの前に行うようにした場合、
図4、
図5を用いて説明した上述の堆積膜の改質処理と同様の効果を得ることができる。
【0115】
また、堆積膜の改質処理をボートアンロードの前に行うようにした場合、ウエハ200上に形成された良質なシリコン酸化膜の膜質を、さらに改善することができるようになる。すなわち、処理室201内で生成された活性種は、堆積膜100bだけでなく、ウエハ200上に形成したシリコン酸化膜にも供給されるため、ウエハ200上に形成されている良質なシリコン酸化膜から、膜中不純物をさらに除去することができ、膜質をさらに改善することができるようになる。
【0116】
<本発明の第2実施形態>
上述したように、堆積膜の改質処理を、ボートアンロードの前に実施することで、すなわち、薄膜形成後の基板を処理容器内に収容した状態で実施することで、基板上に形成さ
れた薄膜と、処理容器内に付着した副生成物とを、それぞれ改質することができる。
【0117】
しかしながら、この場合、処理容器内に付着した副生成物に対して改質処理を行う際に、成膜(薄膜形成)の下地(基板表面)が酸化されてしまうことがある。特に、基板上に形成する薄膜が比較的薄い場合等には、成膜の下地が酸化されやすくなる。また、ボートアンロードの前に行う改質処理の処理温度を高くし過ぎたり(すなわち、酸化力を強くし過ぎたり)、改質処理の処理時間を長くし過ぎたりすると、成膜の下地が酸化されやすくなる。従って、ボートアンロードの前に行う改質処理は、成膜(薄膜形成)の下地が酸化されにくい処理条件、例えば、第1実施形態における変形例2に記載の処理条件で行う必要がある。しかしながら、このような条件下で改質処理を行うだけでは、副生成物の改質効果が不十分となってしまうことがある。
【0118】
そこで本実施形態では、係る課題を解決するため、
図13、
図14に示すように、堆積膜の改質処理を、ボートアンロードの前と後との両方で行うようにしている。
【0119】
すなわち、本実施形態では、
基板を処理容器内へ搬送する工程と、
基板を収容した処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、基板上に薄膜を形成する工程と、
薄膜形成後の基板を処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う工程と、
薄膜形成後の基板を処理容器外へ搬送する工程と、
処理容器内に基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、処理容器内に付着し第1の改質処理がなされた副生成物に対して第2の改質処理を行う工程と、を順に実施するようにしている。
【0120】
このように、本実施形態では、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行い、ボートアンロードの後に第2の改質処理を行う。なお、
図13は、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行い、さらに、ボートアンロードの後であって処理容器内に空のボート217を搬入した状態で第2の改質処理を行う処理フローを示している。また、
図14は、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行い、さらに、ボートアンロードの後であって処理容器内に空のボート217を搬入していない状態で、すなわち、処理炉202をシャッタクローズとした状態で第2の改質処理を行う処理フローを示している。
【0121】
なお、
図13,14に示す第1の改質処理の手順は、いずれも、
図12を用いて説明した第1実施形態の変形例2における堆積膜の改質処理の手順と略同様である。また、
図13に示す第2の改質処理の手順は、
図4、
図5を用いて説明した第1実施形態における堆積膜の改質処理の手順と略同様である。また、
図14に示す第2の改質処理の手順は、
図11を用いて説明した第1実施形態の変形例1における堆積膜の改質処理の手順と略同様である。
【0122】
但し、第1の改質処理を行う工程における処理条件は、成膜(薄膜形成)の下地が酸化されにくい処理条件、例えば、上述の第1実施形態の変形例2に記載の処理条件で行うことが好ましい。
【0123】
具体的には、第1の改質処理では、ヒータ207の温度は、処理室201内の温度が、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201内の温度と同等の温度、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるような温度に設定することが好ましい。また、処理室201内にO
2ガス及びH
2ガスを供給する時間は、例え
ば5〜10分の範囲内の時間となるように設定することが好ましい。
【0124】
また、第1の改質処理を行う工程における処理条件と、第2の改質処理を行う工程における処理条件と、を異ならせることが好ましい。
【0125】
例えば、第2の改質処理を行う工程における処理温度を、第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くすることが好ましい。また例えば、第2の改質処理を行う工程における処理温度を、第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、第1の改質処理を行う工程における処理温度を、基板上に薄膜を形成する工程における処理温度と同等の温度とすることが好ましい。また例えば、第2の改質処理を行う工程における処理温度を、第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、第1の改質処理を行う工程における処理温度を、基板上に薄膜を形成する工程における処理温度よりも高くすることが好ましい。また例えば、第2の改質処理を行う工程における処理時間を、第1の改質処理を行う工程における処理時間よりも長くすることが好ましい。
【0126】
具体的には、第2の改質処理では、ヒータ207の温度は、処理室201内の温度が、上述のシリコン酸化膜形成工程における処理室201内の温度と同等の温度、すなわち、例えば450〜800℃、好ましくは550〜750℃の範囲内の温度となるような温度に設定するか、或いはそれよりも高い温度、例えば450〜900℃、好ましくは600〜800℃の範囲内の温度となるような温度に設定することが好ましい。また、処理室201内にO
2ガス及びH
2ガスを供給する時間は、例えば20〜120分、好ましくは20〜60分、より好ましくは10〜30分の範囲内の時間となるように設定することが好ましい。
【0127】
本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
すなわち、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行い、さらに、ボートアンロードの後に第2の改質処理を行うことで、堆積膜100bを構成する反応副生成物を酸化させ、塩素(Cl)等の不純物の含有量が少なく、安定な物質に変化させる(改質させる)ことができる。そして、処理室201内に形成されていた堆積膜100bを、その構造中の結合力が強く、緻密な膜、すなわち、剥離しにくい強固な膜に改質することができる。その結果、堆積膜100bが剥離することによる異物100pの発生を抑制することができ、半導体装置(デバイス)の品質を向上させ、歩留まりを改善させることができるようになる。また、処理室201内のクリーニング頻度を低減させ、基板処理装置の生産性を向上させることができるようになる。
【0129】
また、堆積膜100bを構成する反応副生成物から塩素(Cl)等の不純物を脱離させることで、堆積膜100bからの塩素含有ガスの発生を抑制することができるようになる。これにより、メンテナンス作業者やオペレータが安全に作業を行うことができるようになる。
【0130】
また、堆積膜100bを構成する反応副生成物から塩素(Cl)等の不純物を脱離させることで、活性(酸化性)の性質を有していた反応副生成物を、安定な物質に改質させることができるようになる。その結果、処理室201内の金属部材に対する腐食等のダメージを抑制することができ、基板処理装置のメンテナンス頻度を低減させ、生産性を向上させることができるようになる。また、金属部材からの異物の発生を抑制することができ、半導体装置の品質を向上させることができるようになる。
【0131】
また、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行うことで、ウエハ200上に形成された良質なシリコン酸化膜の膜質を、さらに改善することができるようになる。
【0132】
なお、堆積膜の改質処理をボートアンロードの前と後との両方で行う本実施形態では、堆積膜の改質処理をボートアンロードの前と後のいずれか一方でのみ行う第1実施形態と比較して、上述の効果をさらに高めることができる。
【0133】
ボートアンロードの前に行う第1の改質処理は、上述したように、成膜(薄膜形成)の下地が酸化されにくい処理条件で行う必要がある。そのため、第1の改質処理のみで副生成物の改質処理を行おうとすると、副生成物の改質効果が不十分となってしまうことがある。これに対し、ボートアンロードの後に第2の改質処理を行うことで、第1の改質処理における改質効果の不足分を補うことができるようになる。第2の改質処理は、処理容器内にウエハ200がない状態で行われるので、第1の改質処理のような制約がなく、第1の改質処理と比較して、処理温度を高めたり、処理時間を長くしたりすることが可能である。つまり、第1の改質処理を行う工程における処理条件と、第2の改質処理を行う工程における処理条件と、を異ならせることが可能である。そこで、第2の改質処理を行う工程における処理温度を、第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高めたり(酸化力を高めたり)、第2の改質処理を行う工程における処理時間を、第1の改質処理を行う工程における処理時間よりも長くしたりすることで、第1の改質処理における改質効果の不足分を、十分かつ効率的に補うことができるようになる。
【0134】
また、第1の改質処理のみ、もしくは、第2の改質処理のみで副生成物の改質処理を行おうとすると、副生成物の改質に必要以上に時間がかかってしまうことがある。これに対し、第1の改質処理を行った後に第2の改質処理を行うことで、副生成物の改質に必要な時間を短縮させることができるようになる。すなわち、第1の改質処理を行う工程における処理条件と、第2の改質処理を行う工程における処理条件と、を異ならせ、第2の改質処理を行う工程における処理温度を、第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くする(酸化力を高める)ことで、第2の改質処理に要する時間、すなわち、副生成物の改質に必要な総時間を短縮させ、トータルでのスループットを向上させることができるようになる。
【0135】
なお、第2の改質処理は、ボートアンロード後、すなわち、薄膜形成後のウエハ200が処理容器内に収容されていない状態で行われる。そのため、第2の改質処理のみで副生成物の改質処理を行おうとすると、ウエハ200上に形成した薄膜を改質することは不可能である。これに対し、ボートアンロード後に第2の改質処理を行うだけでなく、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行うことで、第1実施形態における変形例2と同様に、ウエハ200上に形成された薄膜の膜質を、さらに改善することができるようになる。
【0136】
このように、ボートアンロードの前に第1の改質処理を行い、さらに、ボートアンロードの後に第2の改質処理を行うことで、成膜(薄膜形成)の下地の酸化を抑制しつつ、ウエハ200上に形成された薄膜と、処理容器内に付着した副生成物とを、十分かつ効率的に改質することができるようになる。また、トータルでのスループットを向上させることもできるようになる。
【0137】
なお、第1の改質処理を行う工程における処理温度を、ウエハ200上に薄膜を形成する工程における処理温度と同等の温度とすると、トータルでのスループットを向上させることがより容易となる。これは、ウエハ200上に薄膜を形成する工程と、第1の改質処理を行う工程との間で、処理室201内の温度(ヒータ207の温度)を変更し、温度が安定するまで待機する必要がないためである。
【0138】
また、第1の改質処理を行う工程における処理温度を、ウエハ200上に薄膜を形成する工程における処理温度よりも高くしても、トータルでのスループットを向上させること
がより容易となる。これは、処理温度を上述のように設定することで、第1の改質処理における酸化力を高めることができ、第1の改質処理に要する時間を短縮させることができるためである。ただし、この場合であっても、酸化力を強くし過ぎることなく、成膜の下地が酸化されにくい条件とする必要がある。
【0139】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0140】
例えば、堆積膜の改質処理は、複数枚のウエハ200上にSiO膜を形成する処理(バッチ処理)を実施する度に毎回行うようにしてもよいし、バッチ処理を所定回数(複数回)実施する度に行うようにしてもよい。
【0141】
すなわち、ウエハ200上に比較的薄い膜厚のSiO膜を形成するバッチ処理を行う場合、処理室201内に形成される堆積膜100bの膜厚も薄くなる傾向がある。このような場合、堆積膜の改質処理を、バッチ処理を実施する度に毎回行うようにせず、バッチ処理を複数回実施してから行うようにしてもよい。このとき、バッチ処理を複数回実施することで形成される堆積膜100bの膜厚が比較的薄い場合には、
図4、
図11、
図12に示すように、ボートアンロードの前か後のいずれか一方のみで堆積膜の改質処理を行う処理フローを選択するようにしてもよい。また、バッチ処理を複数回実施することで形成される堆積膜100bの膜厚が比較的厚い場合には、
図13、
図14に示すように、ボートアンロードの前と後との両方で堆積膜の改質処理を行う処理フローを選択するようにしてもよい。
【0142】
また、ウエハ200上に比較的厚い膜厚のSiO膜を形成するバッチ処理を行う場合、処理室201内に形成される堆積膜100bの膜厚も厚くなる傾向がある。このような場合、堆積膜の改質処理を、バッチ処理を行う度に毎回行うようにしてもよい。このとき、バッチ処理を1回実施することで形成される堆積膜100bの膜厚が比較的厚い場合には、
図13、
図14に示すように、ボートアンロードの前と後との両方で堆積膜の改質処理を行う処理フローを選択するようにしてもよい。
【0143】
このように、堆積膜の改質処理を行うタイミングは、バッチ処理の内容に応じて適宜調整することが可能である。また、
図4、
図11、
図12、
図13、
図14に示す処理フローは、バッチ処理の内容に応じて適宜選択することが可能である。上述の堆積膜の改質処理を行うタイミング例や、
図4、
図11、
図12、
図13、
図14に示す処理フローは、適宜自由に組み合わせて用いることができる。すなわち、各処理フローに対応する複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して基板処理装置に予めインストールしておき(記憶装置121c内に予め格納しておき)、バッチ処理の内容、例えば、バッチ処理1回あたりに処理室201内に形成される堆積膜100bの膜厚や膜質等に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択する(CPU121aが適宜読み出す)ように構成してもよい。
【0144】
また、上述の実施形態では、プラズマ源やバッファ室237を有する基板処理装置を用いる例について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されない。すなわち、
図10に例示するように、プラズマ源やバッファ室を設けなくてもよい。このように構成することで、基板処理装置の構造を単純化させ、製造コストを低減することができる。また、上述の実施形態では、O
2ガスとH
2ガスとを同じノズルから処理室201内に供給するようにしていたが、
図10に示すように、HCDSガスとH
2ガスとを同じノズルから処理室201内に供給するようにしてもよい。この場合、第3ガス供給管232cの先端部を、第1ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側に接続すればよい。
【0145】
また例えば、上述の実施形態では、ステップ1でシリコン含有層を形成する際に、原料ガスとして、クロロシラン系原料ガスを用いる例について説明したが、クロロシラン系原料ガスの代わりに、クロロ基以外のハロゲン系のリガンドを持つシラン系原料ガスを用いてもよい。例えば、クロロシラン系原料ガスの代わりに、フルオロシラン系原料ガスを用いてもよい。ここで、フルオロシラン系原料ガスとは、気体状態のフルオロシラン系原料、例えば、常温常圧下で液体状態であるフルオロシラン系原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態であるフルオロシラン系原料等のことである。また、フルオロシラン系原料とは、ハロゲン基としてのフルオロ基を有するシラン系原料のことであり、少なくともシリコン(Si)及びフッ素(F)を含む原料のことである。すなわち、ここでいうフルオロシラン系原料は、ハロゲン化物の一種とも言える。フルオロシラン系原料ガスとしては、例えば、テトラフルオロシランすなわちシリコンテトラフルオライド(SiF
4)ガスや、ヘキサフルオロジシラン(Si
2F
6)ガス等のフッ化シリコンガスを用いることができる。この場合、シリコン含有層を形成する際に、処理室201内のウエハ200に対して、フルオロシラン系原料ガスを供給することとなる。これにより形成されるシリコン含有層は、フッ化シリコンガスの吸着層を含む場合や、Si層を含む場合や、その両方を含む場合がある。
【0146】
また、上述の実施形態では、シリコン酸化膜形成工程と堆積膜の改質工程とで、同じ種類の酸素含有ガス(O
2ガス)を用いる例について説明したが、上述の酸素含有ガスである限り、異なる種類のガスを用いてもよい。また、上述の実施形態では、シリコン酸化膜形成工程と堆積膜の改質工程とで、同じ種類の水素含有ガス(H
2ガス)を用いる例について説明したが、上述の水素含有ガスである限り、異なる種類のガスを用いてもよい。
【0147】
また、上述の実施形態では、シリコン酸化膜形成工程におけるステップ3において、加熱された大気圧未満の圧力下にある処理室201内にO
2ガスとH
2ガスとを供給し、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる例について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、シリコン酸化膜形成工程におけるステップ3において、H
2ガスを供給することなく、O
2ガスやO
3ガスやH
2Oガス等の酸素含有ガスを単独で供給するようにしてもよい。また、これらの酸素含有ガスをプラズマで活性化して供給するようにしてもよい。
【0148】
また、上述の実施形態では、処理室201内に、HCDSガスと、O
2ガスおよびH
2ガスと、を交互に供給し、ウエハ200上にシリコン酸化膜を形成する例について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、処理室201内に、HCDSガスと、O
2ガスやO
3ガスやH
2Oガス等の酸素含有ガスと、を同時に供給し、ウエハ200上にシリコン酸化膜を形成するようにしてもよい。
【0149】
また、上述の実施形態では、薄膜として、半導体元素であるシリコンを含むシリコン系薄膜を形成する例について説明したが、本発明は係る場合に限定されない。すなわち、本発明は、薄膜として、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属元素を含む金属系薄膜を形成する場合にも、好適に適用することができる。
【0150】
例えば、Tiを含む金属系薄膜としてチタン酸化膜(TiO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、チタニウムテトラクロライド(TiCl
4)等のTiおよびクロロ基を含むガスや、チタニウムテトラフルオライド(TiF
4)等のTiおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0151】
また例えば、Zrを含む金属系薄膜としてジルコニウム酸化膜(ZrO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl
4)等のZrおよびクロロ基を含むガスや、ジルコニウムテトラフルオライド(ZrF
4)等のZrおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0152】
また例えば、Hfを含む金属系薄膜としてハフニウム酸化膜(HfO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、ハフニウムテトラクロライド(HfCl
4)等のHfおよびクロロ基を含むガスや、ハフニウムテトラフルオライド(HfF
4)等のHfおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0153】
また例えば、Taを含む金属系薄膜としてタンタル酸化膜(TaO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、タンタルペンタクロライド(TaCl
5)等のTaおよびクロロ基を含むガスや、タンタルペンタフルオライド(TaF
5)等のTaおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0154】
また例えば、Alを含む金属系薄膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、アルミニウムトリクロライド(AlCl
3)等のAlおよびクロロ基を含むガスや、アルミニウムトリフルオライド(AlF
3)等のAlおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0155】
また例えば、Moを含む金属系薄膜としてモリブデン酸化膜(MoO膜)を形成する場合は、原料ガスとして、モリブデンペンタクロライド(MoCl
5)等のMoおよびクロロ基を含むガスや、モリブデンペンタフルオライド(MoF
5)等のMoおよびフルオロ基を含むガスを用いることができる。酸素含有ガス及び水素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。なお、このときの処理条件は、例えば上述の実施形態と同様な処理条件とすることができる。
【0156】
このように、本発明は、シリコン系薄膜だけでなく、金属系薄膜の成膜にも適用することができ、この場合であっても、上述の実施形態と同様な作用効果が得られる。すなわち、本発明は、半導体元素や金属元素等の所定元素を含む薄膜を形成する場合に好適に適用することができる。
【0157】
また、上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて薄膜を成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0158】
また、上述の各実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることがで
きる。
【0159】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【実施例】
【0160】
まず、比較例として、上述の実施形態における基板処理装置を用い、上述の実施形態の成膜シーケンスにより、複数枚のウエハ上にSiO膜を形成する処理(バッチ処理)を複数回繰り返した。比較例では、処理室内の堆積膜の改質処理は、実施することなく省略した。原料ガスとしてはHCDSガスを、酸素含有ガスとしてはO
2ガスを、水素含有ガスとしてはH
2ガスを用いた。成膜処理の処理条件(各ステップでの処理条件)は、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の条件とした。そして、バッチ処理を完了する度に、ウエハ上に付着した異物の数を測定した。
【0161】
次に、実施例として、上述の実施形態の成膜シーケンスおよび堆積膜改質シーケンスにより、複数枚のウエハ上にSiO膜を形成した後、処理室内に形成された堆積膜の改質処理を行う処理(バッチ処理)を複数回繰り返した。なお、本実施例におけるバッチ処理は、比較例におけるバッチ処理を複数回繰り返した後に、同じ基板処理装置を用い、同じ処理室内で複数回繰り返した。また、比較例のバッチ処理から本実施例のバッチ処理に処理の内容を切り替える際には、処理室内のクリーニングは実施しなかった。成膜処理では、原料ガスとしてはHCDSガスを、酸素含有ガスとしてはO
2ガスを、水素含有ガスとしてはH
2ガスを用いた。堆積膜の改質処理では、酸素含有ガスとしてはO
2ガスを、水素含有ガスとしてはH
2ガスを用いた。但し、成膜処理の処理条件(各ステップでの処理条件)および堆積膜の改質処理の処理条件は、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の条件とした。そして、成膜処理を完了する度に、ウエハ上に付着した異物の数を測定した。
【0162】
図9は、本実施例および比較例における評価結果を説明する図である。
図9の横軸はバッチ処理の実施回数を示しており、
図9の左側の縦軸はウエハ上で検出された異物の個数を、
図9の右側の縦軸は処理室内に形成されたSiO膜の累積膜厚(μm)を示している。
図9によれば、堆積膜の改質処理を省略した比較例では、ウエハ上に大量の異物が付着しているのに対し、堆積膜の改質処理を実施した本実施例では、処理室内の累積膜厚が増加しているにも関わらず、ウエハ上への異物の付着を大幅に抑制できていることが分かる。なお、本実施例では、累積膜厚が5μmに達しても異物の発生を抑制できており、処理室内に形成されていた堆積膜が、剥離しにくい強固な膜に改質されていることが分かる。
【0163】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0164】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
基板を処理容器内へ搬送する工程と、
前記基板を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、前記基板上に薄膜を形成する工程と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う工程と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する工程と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着し前記第1の改質処理がなされた前記副生成物に対して第2の改質処理を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0165】
(付記2)
付記1の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1の改質処理を行う工程における処理条件と前記第2の改質処理を行う工程における処理条件とを異ならせる。
【0166】
(付記3)
付記1または2の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2の改質処理を行う工程における処理時間を前記第1の改質処理を行う工程における処理時間よりも長くする。
【0167】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2の改質処理を行う工程における処理温度を前記第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くする。
【0168】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2の改質処理を行う工程における処理温度を前記第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、前記第1の改質処理を行う工程における処理温度を前記基板上に薄膜を形成する工程における処理温度と同等の温度とする。
【0169】
(付記6)
付記1乃至4のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2の改質処理を行う工程における処理温度を前記第1の改質処理を行う工程における処理温度よりも高くし、前記第1の改質処理を行う工程における処理温度を前記基板上に薄膜を形成する工程における処理温度よりも高くする。
【0170】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記基板上に薄膜を形成する工程では、
前記処理容器内へ前記原料ガスを供給して、所定元素含有層を形成する工程と、
加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記所定元素含有層を酸化層に変化させる工程と、
を交互に所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する。
【0171】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1の改質処理を行う工程および前記第2の改質処理を行う工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内で酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸化種を生成し、この酸化種を用いて前記副生成物に対して前記各改質処理を行う。
【0172】
(付記9)
付記7または8の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記所定元素含有層を酸化層に変化させる工程では、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内で酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸化種を生成し、この
酸化種を用いて前記所定元素含有層を前記酸化層に変化させる。
【0173】
(付記10)
付記8または9の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記酸化種はH
2O非含有の酸素を含む酸化種である。
【0174】
(付記11)
付記8または9の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記酸化種は原子状酸素(Atomic Oxygen)である。
【0175】
(付記12)
付記1乃至11のいずれかの半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記所定元素はシリコン元素または金属元素を含み、前記ハロゲン元素は塩素元素またはフッ素元素を含む。
【0176】
(付記13)
本発明の他の態様によれば、
基板を処理容器内へ搬送する工程と、
前記基板を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、所定元素含有層を形成する工程と、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記所定元素含有層を酸化層に変化させる工程と、を交互に所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する工程と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して改質処理を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0177】
(付記14)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を支持した支持具を処理容器内へ搬送する工程と、
前記基板を支持した前記支持具を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、所定元素含有層を形成する工程と、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記所定元素含有層を酸化層に変化させる工程と、を交互に所定回数行うことで、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜形成後の前記基板を支持した前記支持具を前記処理容器外へ搬送する工程と、
前記支持具を前記処理容器内へ搬送する工程と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、かつ、前記支持具を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して改質処理を行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0178】
(付記15)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を処理容器内へ搬送する工程と、
前記基板を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、前記基板上に薄膜を形成する工程と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う工程と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する工程と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着し前記第1の改質処理がなされた前記副生成物に対して第2の改質処理を行う工程と、
を有する基板処理方法が提供される。
【0179】
(付記16)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を収容する処理容器と、
前記処理容器内外へ基板を搬送する搬送機構と、
前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理容器内へ酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理容器内へ水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給系と、
前記処理容器内を加熱するヒータと、
前記処理容器内の圧力を調整する圧力調整部と、
基板を前記処理容器内へ搬送する処理と、前記基板を収容した前記処理容器内へ前記原料ガスを供給して、前記基板上に薄膜を形成する処理と、前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う処理と、前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する処理と、前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着し前記第1の改質処理がなされた前記副生成物に対して第2の改質処理を行う処理と、を行うように、前記搬送機構、前記原料ガス供給系、前記酸素含有ガス供給系、前記水素含有ガス供給系、前記ヒータおよび前記圧力調整部を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0180】
(付記17)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理容器内へ基板を搬送する手順と、
前記基板を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、前記基板上に薄膜を形成する手順と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う手順と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する手順と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着し前記第1の改質処理がなされた前記副生成物に対して第2の改質処理を行う手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0181】
(付記18)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理容器内へ基板を搬送する手順と、
前記基板を収容した前記処理容器内へ所定元素とハロゲン元素とを含む原料ガスを供給して、前記基板上に薄膜を形成する手順と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器内に収容した状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着した副生成物に対して第1の改質処理を行う手順と、
前記薄膜形成後の前記基板を前記処理容器外へ搬送する手順と、
前記処理容器内に前記基板がない状態で、加熱された大気圧未満の圧力下にある前記処理容器内へ酸素含有ガスと水素含有ガスとを供給して、前記処理容器内に付着し前記第1の改質処理がなされた前記副生成物に対して第2の改質処理を行う手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。