特許第6125859号(P6125859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンスター株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125859
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20170424BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALN20170424BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61K8/86
   A61K8/44
   A61K8/37
   A61K8/31
   A61Q19/00
   !A61Q11/00
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-32280(P2013-32280)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-162725(P2014-162725A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安田 直美
(72)【発明者】
【氏名】樋口 愛介
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−314704(JP,A)
【文献】 特開昭63−297322(JP,A)
【文献】 特開2003−128537(JP,A)
【文献】 特開2005−298448(JP,A)
【文献】 特開平01−193387(JP,A)
【文献】 特開2010−235508(JP,A)
【文献】 特開2007−099643(JP,A)
【文献】 特開2002−167319(JP,A)
【文献】 特開2006−265754(JP,A)
【文献】 特開平08−333226(JP,A)
【文献】 特開平11−246513(JP,A)
【文献】 特開2004−196671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種以上のアズレン化合物および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(A)および酢酸ベタイン型界面活性剤(B)を配合することを特徴とする外用組成物。(但し、外用組成物のpHが7以上を除く。)
【請求項2】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(A)の配合量が0.5〜2.0質量%であり、かつ酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量が0.05〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(A)と酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量の合計が1.0〜4.0質量%であることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グアイアズレンまたはグアイアズレンスルホン酸塩類の経時安定性を顕著に向上させた外用組成物に関する。より詳細には、グアイアズレンまたはグアイアズレンスルホン酸塩類からなる群より選ばれる1種以上と非イオン性界面活性剤および酢酸ベタイン型界面活性剤を配合した外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グアイアズレンやグアイアズレンスルホン酸塩類などのアズレン化合物は、抗炎症活性、上皮組織修復作用などを有するため外用組成物などに使用されている。それら口腔用組成物は使用感などの理由より水を連続相と有する水系組成物であるが、これらアズレン化合物は、水溶液中において、熱や光、空気暴露などの要因により不安定となるため、外用組成物に配合した場合、経時で分解し減少するという課題点を有している。特に、アズレン化合物は水系化合物に配合すると青〜青紫色を呈するため、組成物の外観を特徴つける場合が多いが、経時により退色するため、組成物の外観が大きく損なわれ、抗炎症効果の減少だけでなく商品の審美的価値を大きく損なうという問題があった。
【0003】
これらの課題点については、解決手段が数多く提案されている。例えば、着色性物質を配合することで光安定性を向上させる技術(特許文献1)、トコフェロール酢酸エステル(特許文献2)、炭酸水素塩とアルコール、有機酸とアミノ酸、ジブチルヒドロキシトルエンとチオ硫酸塩と非イオン性界面活性剤、ベルベリン類とポリビニルピロリドンおよび/またはコンドロイチン類を併用することで安定性を向上させる技術(特許文献3−6)、容器充填後に脱気して不活性ガスに置換することで安定化を向上させる技術(特許文献7)、非イオン性界面活性剤、ゼラチン、水溶性高分子及びグリセリンを配合し、石油系炭化水素中にエマルジョン化させることで安定性を向上させる技術(特許文献8)などが挙げられる。 しかし、これらの技術は、効果が不十分であったり、概要組成物に使用できない化合物を使用していたり、口腔用組成物においては、味が悪いため嗜好性上の課題点を有していたりするため、十分に満足できる効果を得ることができず、未だ課題点は解決されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−2048号公報
【特許文献2】特開2010−235508号公報
【特許文献3】特開昭63−51341号公報
【特許文献4】特開2005−298452号公報
【特許文献5】特開2004−196671号公報
【特許文献6】特開2005−298364号公報
【特許文献7】特開平10−130141号公報
【特許文献8】特開平7−89850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グアイアズレンやグアイアズレンスルホン酸塩類などのアズレン化合物に非イオン性界面活性剤および酢酸ベタイン型界面活性剤を配合し、アズレン化合物の経時安定性を顕著に高めた外用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにグアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種以上のアズレン化合物に、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステルからなる群より選ばれる一種以上の非イオン性界面活性剤および酢酸ベタイン型界面活性剤を配合することにより、アズレン化合物の経時安定性を顕著に向上した外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、特に以下の項1〜6の外用組成物を提供するものである。
項1.
グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種以上のアズレン化合物および、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステルからなる群より選ばれる一種以上の非イオン性界面活性剤(A)および酢酸ベタイン型界面活性剤(B)を配合することを特徴とする外用組成物。
項2.
非イオン性界面活性剤(A)の配合量が0.1〜4.5質量%であり、かつ酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量が0.01〜2質量%であることを特徴とする項1に記載の外用組成物。
項3.
非イオン性界面活性剤(A)と酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量の合計が0.5〜4.0質量%以下であることを特徴とする項1または2の何れか1項に記載の外用組成物。
項4.
非イオン性界面活性剤(A)と酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量の合計が0.5〜2.5質量%であることを特徴とする項3に記載の外用組成物。
項5.
アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、αオレフィンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩から選ばれる陰イオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする項1〜4の何れか1項に記載の外用組成物。
項6.
外用組成物が口腔用組成物である項1〜5に記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の外用組成物は、グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩などのアズレン化合物の優れた経時安定性を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るがイ用組成物は、グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種以上のアズレン化合物および、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステルからなる群より選ばれる一種以上の非イオン性界面活性剤(A)および酢酸ベタイン型界面活性剤(B)を配合することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に用いるアズレン化合物は、分子内にアズレン骨格を有する化合物の総称であり、グアイアズレン(1,4-ジメチル-7-イソプロピルアズレン)及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種または二種以上を組み合わせて配合できる。本発明では、合成された化合物だけでなく、カモミール、ノコギリソウ、ヨモギ、ユーカリなどから抽出されたものも使用することができる。アズレン化合物は、本願発明の外用組成物に0.001〜1質量%配合することができ、0.01〜0.5質量%配合することが好ましい。
【0011】
本発明に用いる非イオン性界面活性剤(A)は、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステルであり、これらのうち一種もしくは二種以上を組み合わせて配合することができる。アルキルグリコシドとしては、具体的には、アルキル(炭素数8−10)グリコシド、アルキル(炭素数8−16)グリコシド、アルキル(炭素数12−16)グリコシド、ラウリルグリコシド、セトステアリルグリコシドなどが挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜100が配合できる。このうち、平均付加モル数が30〜100ものが好ましく、40〜80がより好ましく、60が最も好ましい。ソルビタンエステルとしては、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシソルビタン脂肪酸エステルを配合でき、具体的には、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンなどが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、組成物の外観の経時変化を抑制する効果を有するが、このうちアルキルグルコシドについては、0.5質量%以上配合すると、アズレン化合物の安定性を若干悪くする傾向にあるが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はアズレン化合物の安定性に対して影響を与えないため、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が最も好ましい非イオン性界面活性剤であるといえる。これら非イオン性界面活性剤は、本願発明の外用組成物に0.1〜4.5質量%配合することができ、0.4〜3.0質量%配合することが好ましい。
【0012】
本発明に用いる酢酸ベタイン型界面活性剤(B)は、アルキルベタイン型界面活性剤および脂肪酸アミドプロピルベタイン型界面活性剤をいい、これらのうち一種もしくは二種以上を組み合わせて配合することができる。アルキルベタイン型界面活性剤の具体的例としては、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。また、脂肪酸アミドプロピルベタイン型界面活性剤の具体的例としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。これら酢酸ベタイン型界面活性剤は、本願発明の外用組成物に0.01〜2質量%配合することができ、0.1〜1.5質量%配合することが好ましく、0.3〜1.0質量%配合することが最も好ましい。
【0013】
本発明の外用組成物において、非イオン性界面活性剤(A)と酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の配合量は、両方の配合量を合計した値が0.5〜4.0質量%である場合、アズレン化合物特有の色調を維持できるため好ましく、さらに、2.5質量%以下であることが好ましい。2.5質量%を超えると界面活性剤の刺激感や苦味を感じる恐れがあるため、好ましくない。
【0014】
本発明の外用組成物において、陰イオン性界面活性剤が含有するとアズレン化合物特有の色が経時で退色しやすくなるため、陰イオン性界面活性剤は含有しないほうが好ましい。ここでいう陰イオン性界面活性剤とは、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、αオレフィンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩の総称を意味する。また、「陰イオン性界面活性剤を含有する」とは、具体的には0.5質量%以上含有することを意味する。すなわち、「陰イオン性界面活性剤を含有しない」とは、「陰イオン性界面活性剤の総配合量が0.5質量%未満である」ことを意味し、もっとも好ましくは「陰イオン性界面活性剤を配合しない」ことである。「陰イオン性界面活性剤を配合しない」とは、「意図的に陰イオン性界面活性剤を配合していない」という意味であり、他原料から混入する程度の微量の陰イオン性界面活性剤の存在は、アズレン化合物の色調変化に影響を与えないため容認できることを意味する。
【0015】
本発明の外用組成物は、グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸塩からなる群より選ばれる一種以上のアズレン化合物および、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステルからなる群より選ばれる一種以上の非イオン性界面活性剤(A)および酢酸ベタイン型界面活性剤(B)の他に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常外用組成物に配合し得る成分をさらに配合してもよい。
【0016】
界面活性剤としては、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびソルビタンエステル以外の非イオン性界面活性剤、酢酸ベタイン型界面活性剤以外の両性界面活性剤などを配合することができる。具体的に例示すると、非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどが挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられる。これらの界面活性剤は、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
研磨剤としては、研磨性シリカ、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、不溶性メタリン酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、パミス(軽石)、ベントナイト、合成樹脂などが挙げられる。これら粘結剤は、一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリン、寒天などの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これら粘結剤は、一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
香味剤としては、メントール、カルボン、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、メチルオイゲノール、アネトール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油などが挙げられる。これら香料は、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
甘味剤としては、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これら甘味剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
湿潤剤・ハイドロトロープ剤としては、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、ポリエチレングリコールが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト、ヘクトライトが挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
コンディショニング剤としては、シリコーン誘導体、カチオン変性水溶性高分子、脂肪酸エステル、トリメチルグリシン、タンパク質加水分解物、アミノ酸およびその誘導体、尿素、リン脂質、糖脂質、セラミド類などが挙げられる。
【0024】
そのほかの成分としては、動植物性油脂、粉体、防腐・保存剤、色素、pH調整剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物などが挙げられる。
【0025】
本発明の外用組成物として具体的には、医薬品用組成物、医薬部外品用組成物、化粧品用組成物、口腔用組成物などが挙げられる。このうち、外観だけでなく味の嗜好性の点でも配慮すべき口腔用組成物において、総合的に優れた効果を有している。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0027】
アズレン化合物安定性および外用組成物の嗜好性への影響
表1に記載の組成物を調製し、試験に供した。評価は、組成物の外観及びアズレン化合物の残存量を測定することにより行った。組成物の外観はガラス製瓶に充填し55℃、3ヶ月(3M)間放置した後に、5℃放置品を標準とした目視評価を下記の基準に従って行なった。アズレン化合物の安定性は表1に記載の組成物をガラス製のスクリュー管(6ml容)に充填し、アルミ箔にて完全に遮光した後に、55℃及び5℃で放置した。放置後1ヵ月(1M)後に組成物中に存在するアズレン化合物を定量し、5℃放置品を100とした55℃放置品におけるアズレン残存量を算出した。総合評価は下記の基準に従った。得られた結果を表1及び表2に示す。
アズレン化合物の定量方法
定量は高速液体クロマトグラフを用いて下記の条件で行なった。
使用機器 高速液体クロマトグラフ LC-10AS(島津製作所)
検出器 紫外吸光光度計 − 測定波長 292nm
カラム ODSカラム 長さ 15cm
カラム温度 40℃
移動相 テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液
(水/エタノール混液)
流速 アズレンスルホン酸ナトリウムの保持時間を約15分に設定

外観の評価基準(アズレン特有の色調の保持程度の評価)
5 : 標準品と同等の色調を認める
4 : 標準品に比べやや退色を認める
3 : 標準品に比べ明らかな退色を認める
2 : 僅かに着色が認められる
1 : 着色を認めない(無色)

総合評価
◎ 55℃1M放置品のアズレン残留量が99.0%以上、かつ外観評価が5
○ 55℃1M放置品のアズレン残留量が95.0%以上、かつ概観評価が4
または
55℃1M放置品のアズレン残留量が95.0%以上99.0%未満、
かつ外観評価が5
× 上記以外
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
表1及び2に示した通り、アズレンスルホン酸ナトリウムにヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインとアルキルグリコシド及び/又はポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を配合した組成物は、アズレン化合物の経時安定性を向上させ、組成物の外観変化(退色)を抑制する効果があることがわかった。
【0031】
アズレン化合物安定性および口腔用組成物の嗜好性への影響
表3に記載の歯磨組成物を常法に従い製造し、試験に供した。評価は、歯磨組成物の官能評価と55℃3M放置後における外観評価で実施した。官能評価は3分間の歯磨き後の口腔内で感じられた刺激と苦味について下記の基準に基づき評価した。55℃3M放置後における外観評価は前記と同じ方法及び基準を用いて行った。総合評価は下記基準に従った。得られた結果を表3に示す。

官能評価の評価基準
5 苦味/刺激性を殆ど感じない
4 苦味/刺激性をわずかに感じる
3 苦味/刺激性を感じるが気にならない
2 苦味/刺激をやや強く感じる
1 苦味/刺激を強く感じる

総合評価
◎ 全ての評価が4以上である
○ 全ての評価が3以上で、かつ一つ以上3の評価がある
× 上記以外
【0032】
【表3】
【0033】
表3に示した通り、アズレンスルホン酸ナトリウムにヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインとアルキルグリコシド及び/又はポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油を配合した組成物は、歯磨組成物の外観変化(退色)を抑制し、良好な嗜好性も得られることがわかった。
【0034】
以下、本発明の処方例を記載するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0035】
処方例1 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.4
ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.06
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
安息香酸ナトリウム 0.2
クエン酸ナトリウム 0.07
塩化セチルピリジニウム 0.05
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0036】
処方例2 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.02
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1
ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.01
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
メチルパラベン 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
水酸化ナトリウム 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
水酸化ナトリウムでpH7.5に調整
【0037】
処方例3 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.001
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 2
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 2
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
安息香酸ナトリウム 0.2
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0038】
処方例4 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.02
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.1
パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.1
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
安息香酸ナトリウム 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0039】
処方例5 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.5
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 4.5
オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.5
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
メチルパラベン 0.2
塩化ベンゼトニウム 0.01
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0040】
処方例6 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.1
アルキル(8〜10)グリコシド 0.1
ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.3
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
安息香酸ナトリウム 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0041】
処方例7 洗口剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.05
アルキル(12〜16)グリコシド 4.5
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.1
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
安息香酸ナトリウム 0.2
塩化ベンザルコニウム 0.01
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0042】
処方例8 含嗽薬

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.2
グリセリン 5
プロピレングリコール 2
L-メントール 0.5
安息香酸ナトリウム 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残 部
合計 100.0
【0043】
処方例9 ジェル剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.4
オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.3
グリセリン 10
1,3−プロパンジオール 3
ヒドロキシエチルセルロース 1
安息香酸ナトリウム 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
クエン酸ナトリウム 0.07
無水クエン酸 0.01
サッカリンナトリウム 0.2
香料 0.3
精製水 残 部
合計 100.0
【0044】
処方例10 ジェル剤

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1
グリセリン 25
ソルビット 25
水添澱粉分解物 10
イノシトール 5
1、3−ブチレングリコール 2
ポリアクリル酸ナトリウム 1.5
キサンタンガム 0.1
安息香酸メチル 0.2
精製水 残 部
合計 100.0
【0045】
処方例11 スキンクリーム

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 2
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 3
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.01
白色ワセリン 10
濃グリセリン 10
セタノール 3
モノステアリン酸グリセリル 2
スクワラン 2
1、3−ブチレングリコール 1
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1
精製水 残 部
合計 100.0
【0046】
処方例12 乳液

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 1.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.05
濃グリセリン 10
1、3−ブチレングリコール 5
モノステアリン酸グリセリル 3.5
セタノール 3
スクワラン 2
モノステアリン酸ソルビタン 1
精製水 残 部
合計 100.0
【0047】
処方例13 化粧水

成分 配 合 量
アズレンスルホン酸ナトリウム 1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.01
エチルアルコール 5
濃グリセリン 4
トリメチルグリシン 3
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1
フェノキシエタノール 0.7
ポリエチレングリコール(平均分子量10万) 0.1
クエン酸 0.08
クエン酸ナトリウム 0.08
香料 0.03
精製水 残 部
合計 100.0