特許第6125871号(P6125871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6125871
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20170424BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B29C45/84
   B29C33/30
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-71235(P2013-71235)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193579(P2014-193579A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】今井 義徳
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/105033(WO,A1)
【文献】 特開2002−172646(JP,A)
【文献】 実開平02−094108(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0064574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/24
B29C 45/26−45/44
B29C 45/64−45/68
B29C 33/00−33/76
B22D 17/00−17/22
F16P 1/00− 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動金型が取り付けられる可動テーブルと、
前記可動金型と型開閉される固定金型が取り付けられる固定ダイプレートと、
前記可動テーブルに前記可動金型を着脱するマグネットクランプと、
前記可動テーブルを駆動する電動モータと、
該電動モータにより駆動される前記可動テーブルを動作可能に保持する可動ダイプレートと、
通電された時に前記マグネットクランプを磁性体又は非磁性体に切り替える電源供給ポートと、
該電源供給ポートに接続され当該電源供給ポートに通電を行うマグネットクランプ用ケーブルに設けられた接続プラグと、を備えた成形機であって、
前記固定ダイプレートに設けられ前記接続プラグを係止可能な係止部と、
前記接続プラグに装着された線条体のその一部位に取り付けられたキーと、
該キーを前記固定ダイプレートに設けられたキー挿入口に挿入したときにのみ、前記電動モータを動作可能として前記可動テーブルの駆動を可能とするスイッチと、を備え、
前記マグネットクランプを磁性体又は非磁性体に切り替えることにより前記可動テーブルに前記可動金型を着脱するに際し、前記電源供給ポートに前記接続プラグを接続した状態にあるときには、前記線条体の長さは、前記キーを前記キー挿入口に挿入できない長さになっており、前記可動テーブルが動作しないように構成されていることを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記可動テーブルは回転テーブルであり、前記電動モータの駆動により回転されるものであることを特徴とする請求項1に記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を可動させる可動テーブルを備えた成形機に関し、特に、金型を回転させる可動テーブルを備えた成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、異なる部材同士を組み合わせて一体成形する2色成形機が知られている。こうした2色成形機と称される射出成形機においては、例えば、回転自在に設けられた回転テーブルに対し金型装着板等を介して2つの可動金型を取り付けておき、固定金型の一方と回転テーブルに取り付けた可動金型の一方とを型締し、溶融樹脂の射出充填を行い1次成形品の成形を行った後、回転テーブルを回転して、前記1次成形品の残された一方の可動金型を他方の固定金型と対向する位置に移動させ、該他方の固定金型と前記一方の金型とを型締めし、溶融樹脂の射出充填をさらに行うことにより、2つの部材同士を一体に成形することが行われる。
【0003】
前記従来技術に関連するものとして、特許文献1には可動金型を回転させる回転テーブルを備えた射出成形機が開示され、当該特許文献1においては、可動金型を冷却又は加熱するため、温度調整用熱媒体を供給するための管や線を備え、当該管や線などからなる線条体を収容するケーブルベア(登録商標)を、回転テーブルたる反転盤の周囲に巻き付けることにより、反転盤を高速で反転できるようにし、線状体の余剰部分が下方に垂れ下がることを防止したことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3808410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の温度調整用熱媒体を供給するための管や線等の線状体を具備する成形機について、当該成形機を製造するメーカー側のオペレータが、ユーザのところまで出向いて設置する場合には、管や線等の成形機本体以外の部品の取付作業を現地で行うことが通例となっているのだが、例えば、オペレータ等が管や線等の取付作業中に、誤操作により回転テーブルが回転されたりすると、管や線等が周囲の装置に接触したりして破損してしまう虞があることから、誤操作により簡単に回転テーブルが回転されてしまうことがないよう防止することが望まれていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、回転テーブル等の可動テーブルが誤操作により簡単に動作されることを防止した可動テーブルを備えた成形機を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本成形機の発明は、
可動金型が取り付けられる可動テーブルと、
前記可動金型と型開閉される固定金型が取り付けられる固定ダイプレートと、
前記可動テーブルに前記可動金型を着脱するマグネットクランプと、
前記可動テーブルを駆動する電動モータと、
該電動モータにより駆動される前記可動テーブルを動作可能に保持する可動ダイプレートと、
通電された時に前記マグネットクランプを磁性体又は非磁性体に切り替える電源供給ポートと、
該電源供給ポートに接続され当該電源供給ポートに通電を行うマグネットクランプ用ケーブルに設けられた接続プラグと、を備えた成形機であって、
前記固定ダイプレートに設けられ前記接続プラグを係止可能な係止部と、
前記接続プラグに装着された線条体のその一部位に取り付けられたキーと、
該キーを前記固定ダイプレートに設けられたキー挿入口に挿入したときにのみ、前記電動モータを動作可能として前記可動テーブルの駆動を可能とするスイッチと、を備え、
前記マグネットクランプを磁性体又は非磁性体に切り替えることにより前記可動テーブルに前記可動金型を着脱するに際し、前記電源供給ポートに前記接続プラグを接続した状態にあるときには、前記線条体の長さは、前記キーを前記キー挿入口に挿入できない長さになっており、前記可動テーブルが動作しないように構成されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本成形機の発明は、
前記可動テーブルは回転テーブルであり、前記電動モータの駆動により回転されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本成形機の発明によれば、キーをキー挿入口に挿入することが困難であるという要件がインターロックとして機能し、キーを挿入口に挿入することが困難な、電源供給ポートに接続プラグを接続した状況下では、可動テーブルの回転を阻止することができる。よって、例えば、可動テーブルなどに管や線等を接続する作業や金型の交換作業を行うに際し、可動テーブルが簡単に動作(回転動作)せぬよう規制することができるので安全性の向上を図れ、さらには、管や線などの部品の取付作業中に、可動テーブルの回転に伴いこれらの部品が周囲の装置に接触してしまい、故障してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一例の射出成形機の要部を示す正面図であり、金型を取り外した状態を示している。
図2図1におけるA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図1、2に基づき以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0012】
本発明の一例の成形体たる射出成形機は、進退可能に設けられた可動ダイプレート2と、機台3に固定された固定ダイプレート4とを備えており、可動ダイプレート2には、電動モータ1の駆動により回転(可動)される回転テーブル(可動テーブル)5と、磁力により回転テーブル5に可動金型(図示せず)を吸着する可動側マグネットクランプ6とを備え、可動側マグネットクランプ6のその側部には、後述する接続プラグ7が接続された状態にあるときに可動側マグネットクランプ6に電源を供給するための電源供給ポート8が設けられている。なお、接続プラグ7が電源供給ポート8に接続され、可動側マグネットクランプ6の制御装置を操作することにより、接続プラグ7から電源供給ポート8へ通電されると、それにより、可動側マグネットクランプ6は磁性体又は非磁性体に切り替えられ、当該可動側マグネットクランプ6を介し回転テーブル5への可動金型の着脱が可能となる。すなわち、接続プラグ7から電源供給ポート8への通電は、可動側マグネットクランプ6を磁性体又は非磁性体に切り替える時にのみ必要となる。
【0013】
また、固定ダイプレート4には、磁力により固定ダイプレート4に固定金型(図示せず)を吸着する固定側マグネットクランプ9を備え、当該固定側マグネットクランプ9のその側部には、接続部プラグ7を係止するための係止部10が設けられている。
【0014】
図示しない電源装置から、マグネットクランプ用ケーブル11を介して電力が供給される接続プラグ7には、チェーンなどの線条体12が装着されており、当該線条体12の一部位である先端には、固定ダイプレート4に設けられたキー挿入口13へ挿脱可能な金属片としてのキー14が取り付けられている。そして、キー14をキー挿入口13に挿入したときにのみ、電動モータ1の動作が可能となっており、キー14をキー挿入口13に挿入した状態ではリミットスイッチ15が「オン」となり回転テーブル5の回転が可能となり、キー14をキー挿入口13に挿入しない状態ではリミットスイッチ15が「オフ」となり回転テーブル5の回転が不可の状態となる。
【0015】
また、線条体12の長さは、回転テーブル5に可動金型を着脱するために、可動ダイプレート2を後退させて当該可動ダイプレート2と固定ダイプレート4とを離間させた状態においては、接続プラグ7を電源供給ポート8に接続することは可能であるが、こうした可動ダイプレート2と固定ダイプレート4とが離間された状態では、キー14をキー挿入口13に挿入できない長さとなっていて、キー14をキー挿入口13に挿入することが困難な、電源供給ポート8に接続プラグ7を接続した状態では、回転テーブル5が回転されることがないよう阻止することができる。
【0016】
以上のように本射出成形機によれば、キー14をキー挿入口13に挿入することが困難であるという要件がインターロックとして機能し、キー14を挿入口13に挿入することが困難な、電源供給ポート8に接続プラグ7を接続した状況下では、回転テーブル5の回転を阻止することができる。よって、例えば、射出成形機を製造するメーカー側のオペレータが、ユーザのところまで出向いて、回転テーブル5などに管や線等を接続する作業を行ったり、或いは金型の交換作業等を行うに際し、回転テーブル5が簡単に回転動作せぬよう規制することができるので安全性の向上を図れ、さらには、管や線などの部品の取付作業中に、回転テーブル5の回転に伴いこれらの部品が周囲の装置に接触してしまい、故障してしまうことを防止することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 電動モータ
2 可動ダイプレート
4 固定ダイプレート
5 回転テーブル(可動テーブル)
6 可動側マグネットクランプ(マグネットクランプ)
7 接続プラグ
8 電源供給ポート
10 係止部
11 マグネットクランプ用ケーブル
12 線条体
13 キー挿入口
14 キー
15 リミットスイッチ(スイッチ)
図1
図2