(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不正行為報知制御部は、前記不正衝撃音および前記不正振動のいずれか一方のみが検出された場合の前記不正行為を報知する報知態様と、前記不正衝撃音および前記不正振動の両方が検出された場合の前記不正行為を報知する報知態様とが異なるように制御すること
を特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。本実施形態では、パチンコ機を例にとって遊技機を説明する。
図1は、本実施形態の遊技機1の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。
図1に示すように、遊技機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、この外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、この中枠4と同様に、ヒンジ機構によって外枠2に開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0013】
中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤8が保持されている。また、前枠6には、ガラス製または樹脂製の透過板10が保持されている。そして、これら中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤8と透過板10とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機1の正面側から、透過板10を介して遊技盤8が視認可能となる。
【0014】
遊技盤8の下方には、後述する衝撃音センサ300(
図3参照)に備えられ、集音した衝撃音を電気信号に変換するマイクロフォン302が設けられている。透過板10の下方であって前枠6の前面側(遊技者側)には、後述する上皿70(
図2参照)が設けられている。中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、マイクロフォン302は上皿70付近に配置される。より具体的には、マイクロフォン302は、遊技者から見て、上皿70の後方かつ遊技盤8の下方に配置される。詳細は後述するが、マイクロフォン302は、遊技者の不正行為(例えば遊技の進行とは無関係に遊技者が遊技機を殴打する行為、いわゆるドツキ行為)による衝撃に基づく衝撃音である不正衝撃音などを集音するために設けられている。マイクロフォン302は、中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技者から視認できなくなる。
【0015】
遊技盤8の前方であって前枠6の裏面側には、後述する振動センサ306(
図3参照)に備えられ、遊技機1に生じる振動を検知する振動検知部306aが設けられている。振動検知部306aは、当該振動を検知できるように、前枠6の裏面など、振動検知部306aが設置される設置面に接触して設けられている。より具体的には、振動検知部306aは、上皿70の後方かつ透過板10の下方に配置される。振動検知部306aは、遊技者の不正行為(いわゆるドツキ行為)に基づく振動である不正振動を検知するために設けられている。例えば振動検知部306aは、当該ドツキ行為によって生じた振動が伝搬する経路上に設けられる。これにより、遊技機1は発生した振動を検知しやすくなる。振動検知部306aは、中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技者から視認できなくなる。
【0016】
振動検知部306aは一の不正行為(ドツキ行為)による衝撃によって発生する振動を検知し、マイクロフォン302は当該一の不正行為による衝撃によって発生する衝撃音を集音するように遊技機1に設置されるのが望ましい。このため、本実施形態では、ドツキ行為が行われやすい上皿70付近に振動検知部306aおよびマイクロフォン302が設けられている。
【0017】
図2は、遊技機1の正面図である。
図2に示すように、前枠6の下部には、遊技機1の正面側に突出する操作ハンドル12が設けられている。この操作ハンドル12は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル12を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル12の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤8に設けられたレール14a、14b間を上昇して遊技領域16に導かれることとなる。
【0018】
遊技領域16は、第1遊技領域16aおよび第2遊技領域16bを備えている。第1遊技領域16aは、遊技機1に正対した遊技者から見て遊技領域16の左側に位置し、第2遊技領域16bは、遊技機1に正対した遊技者から見て遊技領域16の右側に位置している。遊技領域16への遊技球の進入度合いは、操作ハンドル12の発射強度に応じて異なる。レール14a、14bが遊技領域16の左側にあることから、操作ハンドル12によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域16aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域16bに進入することとなる。
【0019】
また、遊技領域16には、遊技球が入球可能な一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22が設けられており、これら一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。
第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な特別遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益(状態)が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0020】
また、第2始動口22は、可動片22bを開閉可能に備えており、この可動片22bの状態に応じて、第2始動口22への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、可動片22bは、遊技盤8の裏面側から正面側へと出没自在に設けられており、可動片22bが遊技盤8の裏面側に没入した閉状態にあるときには、第2始動口22への遊技球の入球が不可能または困難となっている。
【0021】
これに対して、遊技領域16に設けられたゲート24を遊技球が通過すると、後述する普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当りに当選すると、可動片22bが所定時間、遊技盤8の正面側に突出した開状態に制御される。このように、可動片22bが開状態になると、当該可動片22bが遊技球を第2始動口22に導く受け皿として機能し、第2始動口22への遊技球の入球が容易となる。
【0022】
さらに、第1始動口20および第2始動口22よりも下方にはアタッカー装置26が設けられている。このアタッカー装置26は、遊技球が入球可能な大入賞口28と、この大入賞口28を開閉する開閉扉28bと、を備えており、通常、開閉扉28bが大入賞口28を閉扉して、大入賞口28への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の特別遊技が実行されると、開閉扉28bが遊技盤8の裏面側に没入して、大入賞口28への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口28に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0023】
ここで、第1始動口20は、遊技領域16の下方寄りであって幅方向の中央に位置しており、第1遊技領域16aを流下する遊技球のみが入球可能であって、第2遊技領域16bを流下する遊技球は入球不可能となっている。一方、第2始動口22は、第2遊技領域16bに位置しており、第2遊技領域16bを流下する遊技球のみが入球可能であって、第1遊技領域16aを流下する遊技球は入球不可能となっている。
【0024】
ただし、第1始動口20には、第2遊技領域16bを流下する遊技球が入球してもよく、また、第2始動口22には、第1遊技領域16aを流下する遊技球が入球してもよい。したがって、第1始動口20や第2始動口22の配置は一例にすぎず、具体的な盤面構成は特に限定されるものではない。
なお、遊技領域16の最下部には、一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22、大入賞口28のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域16から遊技盤8の背面側に排出する排出口30が設けられている。
【0025】
そして、遊技盤8には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、LED等のランプによるドット表示器からなる演出表示装置50と、可動装置からなる演出役物装置52とが設けられている。演出表示装置50は、画像を表示する演出表示部50aを備えており、この演出表示部50aを、遊技盤8の略中央部分において、遊技機1の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部50aには、複数(例えば3つ)の演出図柄(
図2においては不図示)が変動表示され、これら各演出図柄の停止表示態様によって大当りの抽選結果が遊技者に報知されることとなる。
【0026】
また、遊技盤8の裏面側には演出役物装置52が設けられている。この演出役物装置52は、通常、遊技盤8の裏面側に隠れており、遊技機1の正面側から視認することができないが、アクチュエータが作動すると、図示のように演出表示部50aの前面側に露出して遊技者が視認できるようになっている。この演出役物装置52は、上記の演出図柄の変動表示中などに可動して、遊技者に大当りの期待感を付与するものである。
【0027】
また、遊技盤8には、点灯態様や発光色をさまざまに制御して演出を行うためのランプからなる演出照明装置54が設けられている。さらに、遊技機1の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板10よりも下方位置には、遊技者の押下操作を受け付けるボタンからなる演出操作装置56が設けられている。そして、前枠6の上部位置や外枠2の最下部位置には、遊技機1の正面側に向けられたスピーカからなる音声出力装置58が設けられている。
【0028】
遊技盤8の前面かつ下方には、遊技機1から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿70が設けられている。この上皿70が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿72に導かれることとなる。また、この下皿72の底面には、当該下皿72から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ72aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ72aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿72の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0029】
また、遊技盤8には、遊技領域16の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器80、第2特別図柄表示器82、第1特別図柄保留表示器84、第2特別図柄保留表示器86、普通図柄表示器88、普通図柄保留表示器90が設けられている。これら各表示器80〜90は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0030】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
主制御基板100は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板100は、メインCPU100a、メインROM100b、メインRAM100cを備えている。メインCPU100aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM100bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM100cは、メインCPU100aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0031】
主制御基板100には、一般入賞口18に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ18a、第1始動口20に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ20a、第2始動口22に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ22a、ゲート24を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ24a、大入賞口28に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ28aが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板100に検出信号が入力されるようになっている。
【0032】
さらに、主制御基板100には、衝撃音センサ(不正衝撃音検出部の一例)300と振動センサ(不正振動検出部の一例)306とが接続されている。衝撃音センサ300は、集音した衝撃音から、遊技者の不正行為によって自機、すなわち遊技機1に加えられた衝撃に基づく不正衝撃音を検出し、当該不正衝撃音の検出を示す不正衝撃音検出情報を主制御基板100に出力するようになっている。振動センサ306は、検知した振動から、遊技者の不正行為によって遊技機1に加えられた衝撃に基づく不正振動を検出し、当該不正振動の検出を示す不正振動検出情報を主制御基板100に出力するようになっている。主制御基板100に出力された不正衝撃音検出情報及び不正振動検出情報は、メインCPU100aに入力する。メインCPU100aは、入力した不正衝撃音検出情報及び不正振動検出情報に基づいて、遊技者による不正行為に対する報知態様を制御するようになっている。すなわち、メインCPU100aは、衝撃音センサ300による不正衝撃音の検出と、振動センサ306による不正振動の検出とに基づいて、遊技者の不正行為に対する報知態様を制御する不正行為報知制御部に相当する。なお、衝撃音センサ300及び振動センサ306の概略構成については後述する。
【0033】
また、主制御基板100には、第2始動口22の可動片22bを作動する始動口開閉ソレノイド22cと、大入賞口28を開閉する開閉扉28bを作動する大入賞口開閉ソレノイド28cと、が接続されており、主制御基板100によって、第2始動口22および大入賞口28の開閉制御がなされるようになっている。
さらに、主制御基板100には、第1特別図柄表示器80、第2特別図柄表示器82、第1特別図柄保留表示器84、第2特別図柄保留表示器86、普通図柄表示器88、普通図柄保留表示器90が接続されており、主制御基板100によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0034】
また、本実施形態の遊技機1は、主に第1始動口20または第2始動口22への遊技球の入球によって開始される特別図柄遊技と、ゲート24を遊技球が通過することによって開始される普通図柄遊技とに大別される。そして、主制御基板100のメインROM100bには、特別図柄遊技および普通図柄遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0035】
また、主制御基板100には、払出制御基板120および副制御基板200が接続されている。
払出制御基板120は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板120も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板100に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板120には遊技情報出力端子板110が接続されており、主制御基板100から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板120および遊技情報出力端子板110を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
【0036】
また、払出制御基板120には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ121が接続されている。払出制御基板120は、主制御基板100から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ121を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ122によって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
【0037】
また、払出制御基板120には、下皿72の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ123が接続されている。この皿満タン検出スイッチ123は、賞球として払い出される遊技球を下皿72に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板120に入力されるようになっている。
そして、下皿72に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿72に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ123から払出制御基板120に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板120は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿72が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板100に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板100に送信する。
【0038】
また、払出制御基板120には、発射制御基板130が双方向に通信可能に接続されている。この発射制御基板130は、払出制御基板120から発射制御データを受信すると発射の許可を行う。この発射制御基板130には、操作ハンドル12に設けられ、当該操作ハンドル12に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ12aと、操作ハンドル12の操作角度を検出する操作ボリューム12bと、が接続されている。そして、タッチセンサ12aおよび発射ボリューム12bから信号が入力されると、発射制御基板130において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド131を通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
【0039】
副制御基板200は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板200は、サブCPU200a、サブROM200b、サブRAM200cを備えており、主制御基板100に対して、当該主制御基板100から副制御基板200への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU200aは、主制御基板100から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM200bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行するためのコマンドを、画像制御基板210または電飾制御基板220に送信する。このとき、サブRAM200cは、サブCPU200aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0040】
画像制御基板210は、演出表示部50aに画像を表示させる画像表示制御を行うものであり、CPU、ROM、RAM、VRAMを備えている。この画像制御基板210のROMには、演出表示部50aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、副制御基板200から送信されたコマンドに基づいて、CPUが、画像データをROMからVRAMに読み出して、演出表示部50aの画像表示を制御する。
【0041】
電飾制御基板220は、副制御基板200から送信されたコマンドに基づいて、音声出力装置58から音声を出力させる音声出力制御を行う。また、電飾制御基板220は、副制御基板200から送信されるコマンドに基づいて、演出役物装置52を可動したり演出照明装置54を点灯制御したりする。さらには、演出操作装置56が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ56aから操作検出信号が入力された際に、所定のコマンドを副制御基板200に送信する。
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されている。この電源基板は、コンデンサからなるバックアップ電源を備えており、遊技機に供給する電源電圧を監視し、電源電圧が所定値以下となったときに、電断検知信号を主制御基板100に出力するようになっている。
【0042】
次に、本実施形態の遊技機1における遊技について簡単に説明する。
前述したように、本実施形態の遊技機1は、特別図柄遊技と普通図柄遊技の2種類の遊技が並行して進行するものであり、これら両遊技を進行する際の遊技状態として、低確率遊技状態または高確率遊技状態のいずれかの遊技状態と、非時短遊技状態または時短遊技状態のいずれかの遊技状態と、が組み合わされたいずれかの遊技状態にて遊技が進行する。
低確率遊技状態というのは、大入賞口28が開放される特別遊技を実行する権利獲得の確率が低く(本実施形態では1/273)設定された遊技状態であり、高確率遊技状態というのは、特別遊技を実行する権利獲得の確率が高く(本実施形態では1/27.3)設定された遊技状態である。
【0043】
また、非時短遊技状態というのは、可動片22bが開状態になりにくく、第2始動口22に遊技球が入球しにくい遊技状態であり、時短遊技状態というのは、非時短遊技状態よりも可動片22bが開状態になりやすく、第2始動口22に遊技球が入球しやすい遊技状態である。
遊技者が操作ハンドル12を操作して遊技領域16に遊技球を発射させるとともに、遊技領域16を流下する遊技球が第1始動口20または第2始動口22に入球すると、遊技者に付与される遊技利益が対応付けられた特別図柄の決定処理(以下、「大当りの抽選」という)が行われる。この大当りの抽選において、大当りに当選すると、大入賞口28が開放されるとともに当該大入賞口28への遊技球の入球が可能となる特別遊技が実行され、また、当該特別遊技の終了後の遊技状態が、上記のいずれかの遊技状態に設定される。
【0044】
以下、大当りの抽選方法について説明する。
第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、大当りの抽選に係る種々の乱数値(特別図柄乱数、大当り図柄乱数、第1変動パターン乱数、第2変動パターン乱数)が取得されるとともに、これら各乱数値がメインRAM100cの保留記憶領域に記憶される。以下では、第1始動口20に遊技球が入球して保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して第1保留とよび、第2始動口22に遊技球が入球して保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して第2保留とよぶ。
【0045】
この保留記憶領域は、第1保留記憶領域および第2保留記憶領域の2つの記憶領域を備えており、また、両保留記憶領域はそれぞれ4つの記憶部(第1〜第4記憶部)を有している。そして、第1始動口20に遊技球が入球して取得された乱数値は、4つを上限として第1保留記憶領域の第1〜4記憶部に第1保留として記憶され、第2始動口22に遊技球が入球して取得された乱数値は、4つを上限として第2保留記憶領域の第1〜4記憶部に第2保留として記憶される。
したがって、第1保留記憶領域に4つの第1保留が記憶された状態で、第1始動口20に遊技球が入球した場合には、当該遊技球の入球に基づいて乱数値が記憶されることはなく、また、第2保留記憶領域に4つの第2保留が記憶された状態で、第2始動口22に遊技球が入球した場合には、当該遊技球の入球に基づいて乱数値が記憶されることはない。
【0046】
第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、0〜545の範囲内から1つの特別図柄乱数が取得される。そして、遊技球が入球した始動口と、大当りの抽選を開始するとき、すなわち、大当りの判定を行うときの遊技状態と、に応じて特別図柄判定テーブル(不図示)が選択され、当該選択された特別図柄判定テーブルと取得された特別図柄乱数とによって大当たりの判定が行われる。
【0047】
第1始動口20または第2始動口22に遊技球が入球すると、0〜299の範囲内から1つの大当り図柄乱数が取得される。そして、遊技球が入球した始動口と、大当りまたははずれの判定結果と、に応じて図柄種別判定テーブル(不図示)が選択され、当該選択された図柄種別判定テーブルと取得された大当り図柄乱数とによって特別図柄の種別が決定される。なお、大当り図柄乱数は、大当りの判定結果が導出された場合に限らず、はずれの判定結果が導出された場合にも、特別図柄の種別を決定する際に取得されるものである。以下では、大当り図柄乱数によって決定される特別図柄のうち、大当りの判定結果が得られた場合に決定される特別図柄を大当り図柄とよぶ。
【0048】
決定した大当り図柄に応じて実行される特別遊技の実行中における大入賞口28の開放パターンが特別電動役物作動テーブル(不図示)を参照して決定される。
大当り図柄に応じて大入賞口28が所定の開放パターンで開放する特別遊技が実行された場合に、当該特別遊技の終了後の遊技状態が遊技状態設定テーブル(不図示)を参照して設定される。決定した大当り図柄と大当り当選時の遊技状態とに応じて、特別遊技後の遊技状態が、低確率または高確率遊技状態および非時短または時短遊技状態のいずれかの状態を組み合わせた状態に移行される。
【0049】
上記のようにして大当りの抽選が行われると、数字等からなる演出図柄が演出表示部50aにおいて変動表示される変動演出が実行される。ここで、変動演出というのは、演出表示部50aにおいて例えば3列の表示された演出図柄がスクロール表示される等、さまざまな態様で表示された後に、所定時間停止表示されるものである。最終的な停止表示態様には大当りの抽選結果が対応付けられていることから、変動演出によって大当りの抽選結果が遊技者に報知されることとなる。
【0050】
演出図柄による変動演出の開始から終了までの時間や、演出図柄の変動表示の態様が対応付けられた変動パターンが主制御基板100において決定されると、当該決定された変動パターンに基づいて、副制御基板200において変動演出のさらに詳細な態様が決定される。この変動パターンは、設定されている遊技状態、より詳細には、遊技状態に応じて副制御基板200で設定される表示モードに対応して決定される。
【0051】
次に、遊技機1における遊技の進行について、フローチャートを用いて説明する。
(主制御基板のメイン処理)
図4を用いて、主制御基板100のメイン処理を説明する。
図4は、主制御基板100により実行されるメイン処理の流れを示すフローチャートである。
電源基板より電源が供給されると、メインCPU100aにシステムリセットが発生し、メインCPU100aは、以下のメイン処理を行う。
【0052】
(ステップS1)
ステップS1において、メインCPU100aは、初期化処理として、電源投入に応じて、メインROM100bから起動プログラムを読み込むとともに、メインRAM100cに記憶されるフラグ等を初期化したり、副制御基板200に送信する各種のコマンドを演出用伝送データ格納領域に記憶したりする。
【0053】
(ステップS2)
ステップS1の次のステップS2において、メインCPU100aは、変動パターン乱数(第1変動パターン乱数、第2変動パターン乱数)を更新する変動パターン乱数更新処理を行う。
(ステップS3)
ステップS2の次のステップS3において、メインCPU100aは、特別図柄乱数および大当り図柄乱数を更新する際に参照される初期値乱数の更新を行う。以降は、所定の割込み処理が行われるまで、ステップS2とステップS3との処理を繰り返し行う。
【0054】
(主制御基板のタイマ割込処理)
図5を用いて、主制御基板100のタイマ割込処理を説明する。
図5は、主制御基板100により実行されるタイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。
主制御基板100に設けられたリセット用クロックパルス発生回路によって、所定の周期(例えば、2ミリ秒、以下、ミリ秒を「ms」と略記する)毎にクロックパルスが発生されることで、以下のタイマ割込処理が実行される。
【0055】
(ステップS11)
まず、ステップS11において、メインCPU100aは、各種タイマカウンタを更新する時間制御処理を行う。
(ステップS12)
ステップS11の次のステップS12において、メインCPU100aは、特別図柄乱数、大当り図柄乱数、普通図柄乱数を更新する処理を行う。具体的には、それぞれの乱数カウンタを1加算して、乱数カウンタを更新する。なお、加算した結果が乱数範囲の最大値を超えた場合には、乱数カウンタを0に戻し、乱数カウンタが1周した場合には、その時の初期値乱数の値から乱数を更新する。
【0056】
(ステップS13)
ステップS12の次のステップS13において、メインCPU100aは、一般入賞口検出スイッチ18a、第1始動口検出スイッチ20a、第2始動口検出スイッチ22a、ゲート検出スイッチ24a、大入賞口検出スイッチ28aに入力があったか否か判定する入力制御処理を行う。
【0057】
(ステップS14)
ステップS13の次のステップS14において、メインCPU100aは、特別図柄、特別電動役物の制御を行うための特図特電処理を行う。詳細な説明は省略するが、ステップS14における特図特電処理では、第1特別図柄表示器80または第2特別図柄表示器82(
図2参照)に表示する特別図柄の決定や特別図柄の変動パターンを決定する特別図柄変動開始処理、第1特別図柄表示器80または第2特別図柄表示器82に特別図柄を停止表示したり停止表示時間を設定したりする特別図柄停止処理が実行される。また、ステップS14における特図特電処理では、遊技状態を所定状態(例えば低確率または高確率遊技状態や非時短または時短遊技状態)に設定する停止後処理、停止表示されている特別図柄の種別に応じて大入賞口28の開閉を制御するために大入賞口開閉ソレノイド28c(
図3参照)の通電制御を行う特別電動役物制御処理、特別遊技の終了後の遊技状態の設定などを行う特別遊技終了処理が実行される。
【0058】
(ステップS15)
ステップS14の次のステップS15において、メインCPU100aは、普通図柄、普通電動役物の制御を行うための普図普電処理を行う。詳細な説明は省略するが、ステップS15における普図普電処理では、普通図柄乱数の当選判定や当該当選判定の結果に応じて普通図柄表示器88に表示する普通図柄の図柄を決定する普通図柄変動開始処理、普通図柄表示器88に普通図柄を停止表示したり停止表示時間を設定したりする普通図柄変動停止処理、普通図柄表示器88に停止表示されている図柄が当たり図柄であるか否かの判定や当該判定の結果に応じて普通電動役物制御処理または普通図柄変動開始処理の実行用データを設定する普通図柄停止後処理、普通電動役物を制御するために始動口開閉ソレノイド22c(
図3参照)の通電制御を行う普通電動役物制御処理が実行される。
【0059】
(ステップS16)
ステップS15の次のステップS16において、メインCPU100aは、一般入賞口18、第1始動口20、第2始動口22、大入賞口28に遊技球が入球したか否かを確認するとともに、遊技球の入球があった場合には、それぞれに対応する払出個数指定コマンドを払出制御基板120に送信する。
(ステップS17)
ステップS16の次のステップS17において、メインCPU100aは、衝撃音センサ300による不正衝撃音の検出と、振動センサ306による不正振動の検出とに基づいて、遊技機1に加えられた衝撃から遊技者の不正行為に基づく不正衝撃を判別し、当該不正行為に対する報知態様を制御する衝撃判別処理を行う。衝撃判別処理の詳細については後述する。
【0060】
(ステップS18)
ステップS17の次のステップS18において、メインCPU100aは、外部情報データ、第2始動口開閉ソレノイドデータ、大入賞口開閉ソレノイドデータ、各表示器80、82、84、86、88,90の表示データを作成する処理を行う。また、ステップS18において、メインCPU100aは、遊技者の不正行為に対する報知態様に対応する不正行為報知データ(コマンド)を作成する処理を行う。
(ステップS19)
ステップS18の次のステップS19において、メインCPU100aは、上記ステップS18で作成した各データの信号を出力させるポート出力処理、および、上記各ステップでメインRAM100cの演出用伝送データ格納領域にセットされたコマンドを送信するコマンド送信処理を行う。
【0061】
次に、演出表示部50a(
図2参照)における変動演出などを実行するための副制御基板200(
図3参照)の処理について、
図6および
図7を用いて簡単に説明する。
(副制御基板200のメイン処理)
図6は、副制御基板200のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
(ステップS101)
まず、ステップS101において、サブCPU200aは、電源投入に応じて、サブROM200bからメイン処理プログラムを読み込むとともに、サブRAM200cに記憶されるフラグ等の初期化、設定処理を行う。
(ステップS102)
ステップS101の次のステップS102において、サブCPU200aは、各演出乱数(第1演出乱数、第2演出乱数、保留表示決定用乱数)を更新する処理を行うとともに、以後は、割込み処理が行われるまで当該ステップS102の処理を繰り返し行う。
【0062】
(副制御基板200のタイマ割込処理)
図7は、副制御基板200のタイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。副制御基板200には、所定の周期(2ms)でクロックパルスを発生するリセット用クロックパルス発生回路(不図示)が設けられている。そして、このリセット用クロックパルス発生回路によるクロックパルスの発生により、サブCPU200aはタイマ割込処理プログラムを読み込んで当該タイマ割込処理を開始する。
【0063】
(ステップS201)
まず、ステップS201において、サブCPU200aは、副制御基板200で用いられる各種タイマカウンタの更新処理を行う。
(ステップS202)
ステップS201の次のステップS202において、サブCPU200aは、サブRAM200cの受信バッファに格納されているコマンドを解析するとともに、受信したコマンドに応じた種々の処理を行う。副制御基板200においては、主制御基板100からコマンドが送信されると、コマンド受信割込処理が行われ、主制御基板100から送信されたコマンドが受信バッファに格納される。ここでは、コマンド受信割込処理によって受信バッファに格納されたコマンドを解析することとなる。
【0064】
(ステップS203)
ステップS202の次のステップS203において、サブCPU200aは、実行中の演出進行状況に応じて、演出操作装置56の操作の受け付け可否を判定するとともに、演出操作装置検出スイッチ56a(
図3参照)の信号のチェックを行う。そして、演出操作装置検出スイッチ56aから操作信号が入力されたときに、演出操作装置56の操作受け付け中であった場合には、演出操作装置56が操作されたことを画像制御基板210に送信すべく、送信バッファにコマンドを格納する。
(ステップS204)
ステップS203の次のステップS204において、サブCPU200aは、サブRAM200cの送信バッファにセットされているコマンドを画像制御基板210や電飾制御基板220へ送信し、タイマ割込処理を終了する。
【0065】
次に、本実施形態による遊技機1に備えられた衝撃音センサ300および振動センサ306の概略構成について
図8を用いて説明する。
図8は、衝撃音センサ300および振動センサ306の概略構成を示すブロック図である。また、
図8には、理解を容易にするため、不正行為報知制御部に相当するメインCPU100aが併せて図示されている。
図8に示すように、衝撃音センサ300は、マイクロフォン302と、衝撃音判別部304とを有している。マイクロフォン302と衝撃音判別部304とは一体となってユニット化されていてもよい。
【0066】
マイクロフォン302は、遊技機1に加えられた衝撃に基づく衝撃音のうちの遊技者の不正行為(例えば遊技の進行とは無関係に遊技者が遊技機1を殴打する、いわゆるドツキ行為)による衝撃に基づく衝撃音を集音しやすいように設定されている。ドツキ行為は、上皿70(
図2参照)周辺および透過板10(
図1参照)内の特に下方部分で行われることが多い。このため、
図1に示すように、マイクロフォン302は、遊技者から見て、上皿70の後方かつ透過板10を透して視認できる遊技盤8の下方に配置されている。このように、遊技機1は、遊技者が不正行為を行う傾向のある箇所の近傍にマイクロフォン302が配置されるので、当該不正行為による衝撃音を集音しやすくなる。また、マイクロフォン302が遊技者の不正行為以外の要因による衝撃に基づく衝撃音を集音しにくくなるように、マイクロフォン302には、集音範囲が半径20センチメートル程度のマイクロフォンを用いるのが望ましい。遊技者の不正行為以外の要因には、例えば遊技機1の隣に設置された遊技機で発生する音(例えば中枠や前枠の開閉時に生じる衝撃や隣の遊技機に対する遊技者の不正行為)がある。
【0067】
衝撃音判別部304は、マイクロフォン302から入力する電気信号に基づいて、マイクロフォン302が集音した衝撃音が不正衝撃音であるか否かを判別するようになっている。不正衝撃音は、遊技機1に対する遊技者の不正行為による衝撃に基づく衝撃音である。また、衝撃音判別部304は、マイクロフォン302が集音した衝撃音が不正衝撃音であると判別すると不正衝撃音の検出を示す不正衝撃音検出情報をメインCPU100aに出力するようになっている。
【0068】
衝撃音判別部304は、入力信号処理部304aと、参照情報記憶部304bと、情報比較部304cと、不正衝撃音検出信号出力部304dとを有している。
入力信号処理部304aは、マイクロフォン302から入力する電気信号から衝撃音の特徴を示す衝撃音特徴情報を抽出する。一般に、衝撃音を電気信号に変換した信号波形は、独特な形状を有している。衝撃音の当該信号波形は、所定の周期で増減を繰り返し徐々に減衰する複数のピーク信号を含む形状を有している。例えば入力信号処理部304aは、当該所定の周期の周波数成分を通過するフィルタ回路を備え、ピーク信号の繰り返し周期を衝撃音特徴情報として抽出するように構成されている。
【0069】
また、入力信号処理部304aは、例えば衝撃音の当該信号波形におけるピーク数をカウントするピーク数計測回路、ピーク信号のピーク電圧やピーク電流の最大値の絶対値を検出する最大値検出回路、または隣り合うピーク信号のピーク電圧やピーク電流の減衰率を算出する減衰率算出回路などを備えていてもよい。
ピーク数計測回路は、マイクロフォン302から入力する電気信号に含まれるピーク信号のピーク数を衝撃音特徴情報として抽出する。最大値検出回路は、当該ピーク信号のピーク電圧やピーク電流の最大値の絶対値を衝撃音特徴情報として検出する。減衰率算出回路は、当該ピーク信号のピーク電圧やピーク電流の減衰率を衝撃音特徴情報として抽出する。
【0070】
入力信号処理部304aは、これらの回路の全部またはいくつかを備えていてもよい。
このように、入力信号処理部304aは、マイクロフォン302から入力する電気信号から周波数、ピーク信号のピーク数やピーク値あるいは減衰率などにより衝撃音特徴情報を抽出するように構成されている。
入力信号処理部304aは、抽出した衝撃音特徴情報を情報比較部304c(詳細は後述)に出力するようになっている。
【0071】
参照情報記憶部304bは、衝撃音特徴情報と比較する参照情報を記憶している。参照情報は、検出対象の不正衝撃音の特徴を示す不正衝撃音特徴情報である。参照情報は、例えば遊技機1が実際に稼働する実稼働前に予め記憶される。参照情報は、遊技機1に対して遊技者が行う不正行為と同じ行為を実稼働前に遊技機1に対して行うことにより取得される。例えば本実施形態では、実稼働前に遊技機1に対して不正行為を行い、当該不正行為に基づく不正衝撃音をマイクロフォン302で集音し、入力信号処理部304aによって当該不正衝撃音から抽出した不正衝撃音特徴情報が参照情報として参照情報記憶部304bに記憶される。参照情報の記憶は例えば遊技機1の出荷時や遊技機1を遊技店に設置した際に取得される。予め記憶される参照情報は、不正行為以外の要因を排除した状態で参照情報記憶部304bに記憶される。このため、参照情報記憶部304bに記憶された参照情報は、不正行為以外の要因による衝撃を排除した不正行為のみによる衝撃に基づく衝撃音の特徴を示す情報となる。なお、本実施形態では、遊技機に対する衝撃試験などの実験値や計算値に基づいて参照情報を参照情報記憶部304bに記憶してもよい。
【0072】
情報比較部304cは、入力信号処理部304aから入力される衝撃音特徴情報と、参照情報記憶部304bから取得した参照情報とを比較し、衝撃音特徴情報に不正衝撃音特徴情報が含まれているか否かを判断する。入力信号処理部304aは、例えば衝撃音特徴情報が入力すると参照情報記憶部304bから参照情報を取得する。
情報比較部304cは、衝撃音特徴情報としてのピーク信号の繰り返し周期と、参照情報としてのピーク信号の繰り返し周期との差が所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を不正衝撃音検出信号出力部304dに出力する。
【0073】
また、情報比較部304cは、衝撃音特徴情報としてのピーク信号のピーク数と、参照情報としてのピーク信号のピーク数との差が所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を不正衝撃音検出信号出力部304dに出力してもよい。
また、情報比較部304cは、衝撃音特徴情報としてのピーク信号のピーク電圧やピーク電流の最大値と、参照情報としてのピーク信号のピーク電圧やピーク電流の最大値との差が所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を不正衝撃音検出信号出力部304dに出力してもよい。
【0074】
また、情報比較部304cは、衝撃音特徴情報としてのピーク信号のピーク電圧やピーク電流の減衰率と、参照情報としてのピーク信号の減衰率との差が所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を不正衝撃音検出信号出力部304dに出力してもよい。
あるいは、情報比較部304cは、当該繰り返し周期、当該ピーク数、当該最大値および当該減衰率のうちのいずれかを比較して、比較対象の全てで当該所定の閾値をそれぞれ超えているか否かを判定し、判定結果を不正衝撃音検出信号出力部304dに出力するように構成されていてもよい。
【0075】
例えば、遊技機1の隣に設置された遊技機においてドツキ行為などの不正行為や前枠6などの扉開閉が行われて当該遊技機に衝撃が加えられると衝撃音が発生する。当該衝撃音は、遊技機1に設けられたマイクロフォン302で集音される場合がある。当該衝撃音は、遊技機1において発生した衝撃音と比較して、発生箇所と集音箇所とが離れている。当該衝撃音は、空気中や遊技機1の前枠6などを伝搬している間に高周波成分や音量が減衰する。このため、マイクロフォン302で電気信号に変換された当該衝撃音の信号波形は、遊技機1における不正衝撃音の信号波形と比較して、ピーク信号の繰り返し周期が長くなったり、ピーク電圧やピーク電流の最大値が低くなったり、ピーク電圧やピーク電流の減衰率が小さくなったりする。したがって、隣の遊技機において発生した衝撃音から得られる衝撃音特徴情報は、遊技機1に対して行われた不正行為による不正衝撃音から得られる不正衝撃音特徴情報とは異なる。また、隣の遊技機において発生した衝撃音から得られる衝撃音特徴情報は、遊技機1に対する不正行為による衝撃に基づいて得られた参照情報とも異なる。さらに、隣の遊技機において発生した衝撃音から得られる衝撃音特徴情報と参照情報との差異は、遊技機1に対して行われた不正行為による不正衝撃音から得られる不正衝撃音特徴情報と参照情報との差異よりも大きくなる。これにより、情報比較部304cは、入力信号処理部304aから入力した衝撃音特徴情報と参照情報とを比較し、両情報の差異が所定の閾値を超えていたら隣の遊技機において発生した衝撃音であると判定し、両情報の差異が所定の閾値を超えていなかったら遊技機1に加えられた不正衝撃音であると判定する。このように、情報比較部304cは、マイクロフォン302が集音した衝撃音が遊技機1に対する遊技者の不正行為に基づいているのか、あるいは当該遊技者の不可抗力による衝撃に基づいているのかを判別することができる。
【0076】
不正衝撃音検出信号出力部304dは、情報比較部304cから入力する情報が遊技機1における不正衝撃音に基づく衝撃音特徴情報であることを示している場合には、例えばパルス信号をメインCPU100aに出力する。一方、不正衝撃音検出信号出力部304dは、情報比較部304cから入力する情報が遊技機1の隣の遊技機における衝撃音や遊技機1における不正衝撃音以外の衝撃音(例えば上皿70への遊技球の払い出し時の衝撃など)に基づく衝撃音特徴情報であることを示している場合には、例えば上記パルス信号のパルス電圧よりも低い電圧値(例えば0ボルト)の一定電圧の信号をメインCPU100aに出力する。ここで、当該パルス信号は不正衝撃音の検出を示す不正衝撃音検出情報に相当し、当該一定電圧の信号は当該不正衝撃音検出情報に相当しない。なお、不正衝撃音検出情報は、パルス信号の他に、所定のコマンドであってもよい。
このように、衝撃音判別部304は、マイクロフォン302において集音された衝撃音が遊技者の不正行為に基づいているか否かを判別し、判別した結果をメインCPU100aに出力するように構成されている。
【0077】
次に、振動センサ306の概略構成について説明する。
図8に示すように、振動センサ306は、振動検知部306aと、振動判別部306bと、不正振動検出信号出力部306cとを有している。
振動検知部306aは、遊技機1に加えられた振動を検知して電気信号に変換するようになっている。振動検知部306aは、例えば検知した振動の振幅が大きい程、電圧値の高い電圧を出力するように構成されている。遊技機1に加えられる振動には、例えば遊技機1に対する不正行為による振動や、遊技機1の隣に設置された遊技機に対する不正行為や前枠6などの扉開閉による衝撃に基づく振動が含まれる。
【0078】
振動検知部306aは、検知した振動を変換した電気信号を振動判別部306bに出力するようになっている。
振動判別部306bは、振動検知部306aから入力する電気信号に基づいて、振動検知部306aが検知した振動が遊技機1に対する不正行為による衝撃に基づく振動である不正振動であるか否かを判別するようになっている。振動判別部306bは、例えば当該電気信号の電圧値が所定の閾値を超えているか否かを判定し、判定結果を不正振動検出信号出力部306cに出力するようになっている。当該所定の閾値は、例えば上記の参照情報を取得する際に、振動検知部306aで検知した不正振動を変換した電気信号の電圧値に基づいて決定するとともに、振動判別部306bに記憶されるようになっている。なお、本実施形態では、遊技機に対する衝撃試験などの実験値や計算値に基づいて所定の閾値を設定してもよい。
【0079】
例えば、遊技機1の隣に設置された遊技機においてドツキ行為などの不正行為や前枠6などの扉開閉が行われて衝撃が当該遊技機に加えられると振動が発生する。当該振動は、遊技機1に設けられた振動検知部306aで検知される場合がある。当該振動は、遊技機1において発生した振動と比較して、発生箇所と検知箇所とが離れている。当該振動は、隣の遊技機から遊技機1の外枠2などを介して伝搬するため、振動の振幅が減衰する。このため、振動検知部306aで変換された電気信号は、遊技機1における不正振動が変換された電気信号と比較して、電圧値が低下する。したがって、隣の遊技機において発生した振動が変換された電気信号は、遊技機1に対して行われた不正行為による不正振動が変換された電気信号とは電圧値が異なる。これにより、振動判別部306bは、振動検知部306aから入力した電気信号の電圧値と所定の閾値とを比較し、当該電圧値が所定の閾値を超えていなかったら隣の遊技機において発生した振動であると判定し、当該電圧値が当該所定の閾値を超えていたら遊技機1における不正振動であると判定する。このように、振動判別部306bは、振動検知部306aが検知した振動が遊技機1に対する遊技者の不正行為に基づいているのか、あるいは当該遊技者の不可抗力による衝撃に基づいているのかを判別することができる。
【0080】
不正振動検出信号出力部306cは、振動判別部306bから入力する情報が遊技機1における不正振動に基づいていることを示している場合には、例えばパルス信号をメインCPU100aに出力する。一方、不正振動検出信号出力部306cは、振動判別部306bから入力する情報が遊技機1の隣の遊技機における振動や遊技機1における不正振動以外の振動に基づいていることを示している場合には、例えば上記パルス信号のパルス電圧よりも低い電圧値(例えば0ボルト)の一定電圧の信号をメインCPU100aに出力する。ここで、当該パルス信号は不正振動の検出を示す不正振動検出情報に相当し、当該一定電圧の信号は当該不正振動検出情報に相当しない。なお、不正振動検出情報は、パルス信号の他に、所定のコマンドであってもよい。
【0081】
メインCPU100aは、不正衝撃音及び不正振動の少なくとも一方が検出されると、不正行為に対する報知の態様を制御するように構成されている。メインCPU100aは、不正衝撃音および不正振動のいずれか一方のみが検出された場合の不正行為の報知態様と、不正衝撃音および不正振動の両方が検知された場合の不正行為の報知態様とが異なるように制御するようになっている。メインCPU100aは、不正衝撃音および不正振動のいずれか一方のみが検出された場合には、例えば不正行為の抑止効果が望める程度の警告音や音声による報知態様とし、不正衝撃音および不正振動の両方が検知された場合には、例えば本来のエラー報知による報知態様とすることができる。
【0082】
メインCPU100aは、衝撃音センサ300からパルス信号が入力し、振動センサ306からパルス信号が入力しない場合には、報知態様として、例えば「異常な衝撃音を感知しました」という音声報知を実行するように副制御基板200を制御する。また、メインCPU100aは、衝撃音センサ300からパルス信号が入力せず、振動センサ306からパルス信号が入力した場合には、報知態様として、例えば「異常な振動を感知しました」という音声報知を実行するように副制御基板200を制御する。さらに、メインCPU100aは、衝撃音センサ300と振動センサ306の両方から同時期にパルス信号が入力した場合には、報知態様として、例えば「異常な状態を感知しました」という音声報知と、エラー音と、演出表示部50aでのエラー表示と、例えばホールコンピュータ等に対する外部情報としてのエラー状態報知を実行するように副制御基板200および払出制御基板120を制御する。ここで、同時期は、衝撃音センサ300から出力されるパルス信号と、振動センサ306から出力されるパルス信号とが出力されている期間が重なっていればよく、両パルス信号が同時に出力されたり、両パルス信号の出力タイミングが同期したりしている必要はない。
【0083】
遊技機1は、衝撃音センサ300と、振動センサ306と、メインCPU100aとを備え、自機に対する遊技者の不正行為による衝撃であるのか、あるいは当該不正行為によらない衝撃であるのかを判別できる。これにより、遊技機1は、正当に遊技を行っている遊技者に対する誤報知を防止できる。また、遊技機1は、衝撃音センサ300および振動センサ306から主制御基板100に設けられたメインCPU100aに対して不正衝撃音検出情報や不正振動検出情報を出力するように構成されている。これにより、遊技機1は、主制御基板100において遊技者により不正行為が行われているか否かを判定できる。
【0084】
次に、主制御基板タイマ割込処理における衝撃判別処理(ステップS17)の詳細について
図9を用いて説明する。
図9は、衝撃判別処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、衝撃判別処理では、まず、不正衝撃音検出信号が入力したか否かを判定し(ステップS301)、当該検出信号が入力したと判定したらステップS302に移行し、当該検出信号が入力していないと判定したらステップS304に移行する。
ステップS301において、メインCPU100aは、衝撃音センサ300から不正衝撃音検出情報としてのパルス信号が入力している場合には、不正衝撃音検出信号が入力したと判定する(ステップS301のYes)。一方、メインCPU100aは、衝撃音センサ300から一定電圧の信号が入力している場合には、不正衝撃音検出信号が入力していないと判定する(ステップS301のNo)。
【0085】
ステップS301のYesの次のステップS302では、不正振動検出信号が入力したか否かを判定し、当該検出信号が入力したと判定したらステップS303に移行し、当該検出信号が入力していないと判定したらステップS306に移行する。
ステップS302において、メインCPU100aは、振動センサ306から不正振動検出情報としてのパルス信号が入力している場合には、不正振動検出信号が入力したと判定する(ステップS302のYes)。一方、メインCPU100aは、振動センサ306から一定電圧の信号が入力している場合には、不正振動検出信号が入力していないと判定する(ステップS302のNo)。
【0086】
ステップS302のYesの次のステップS303では、不正行為第1報知コマンドをセットし、衝撃判別処理を終了してステップS18(
図5参照)に移行する。
ステップS303において、衝撃音センサ300及び振動センサ306の両方からパルス信号が入力しているので、メインCPU100aは、不正衝撃音および不正振動の両方が同時期に検知されたと判定し、音声、エラー音、エラー表示および外部情報へのエラー状態報知を実行する第1報知態様により不正行為を報知するための各種コマンドをセットする。メインCPU100aは、一の主制御基板タイマ割込処理において衝撃音センサ300及び振動センサ306の両方からパルス信号が入力していると判定した場合に、両パルスが同時期に検知されたと判断するようになっている。
【0087】
例えば「異常な状態を感知しました」という音声報知やエラー音による報知は、音声出力装置58(
図3参照)において実行されるため、メインCPU100aは、音声出力装置58を制御する副制御基板200に対する所定コマンドをセットする。
また例えば、エラー表示による報知は演出表示部50aにおいて実行されるため、メインCPU100aは、演出表示部50aを制御する副制御基板200に対する所定コマンドをセットする。
さらに例えば、外部情報へのエラー状態報知は、遊技情報出力端子板110を介して遊技店のホールコンピュータ等に送信されるため、メインCPU100aは、遊技情報出力端子板110を制御する払出制御基板120に対する所定コマンドをセットする。
【0088】
ステップS301のNoの次のステップS304では、不正振動検出信号が入力したか否かを判定し、当該検出信号が入力したと判定したらステップS305に移行し、当該検出信号が入力していないと判定したら衝撃判別処理を終了してステップS18(
図5参照)に移行する。
メインCPU100aがステップS304において実行する処理は、ステップS302において実行する処理と同様であるため説明は省略する。
ステップS304のYesの次のステップS305では、不正行為第3報知コマンドをセットし、衝撃判別処理を終了してステップS18(
図5参照)に移行する。
【0089】
ステップS305において、衝撃音センサ300からパルス信号が入力せず振動センサ306からパルス信号が入力しているので、メインCPU100aは、不正振動のみが検知されたと判定し、音声による報知を実行する第3報知態様により不正行為を報知するためのコマンドをセットする。
例えば「異常な振動を感知しました」という音声報知は、音声出力装置58(
図3参照)において実行されるため、メインCPU100aは、音声出力装置58を制御する副制御基板200に対する所定コマンドをセットする。
【0090】
ステップS302のNoの次のステップS306では、不正行為第2報知コマンドをセットし、衝撃判別処理を終了してステップS18(
図5参照)に移行する。
ステップS306において、衝撃音センサ300からパルス信号が入力し振動センサ306からパルス信号が入力していないので、メインCPU100aは、不正衝撃音のみが検知されたと判定し、音声による報知を実行する第2報知態様により不正行為を報知するためのコマンドをセットする。
例えば「異常な衝撃音を感知しました」という音声報知は、音声出力装置58(
図3参照)において実行されるため、メインCPU100aは、音声出力装置58を制御する副制御基板200に対する所定コマンドをセットする。
【0091】
以上説明したように、本実施形態による遊技機1は、衝撃音センサ300および振動センサ306を備えている。これにより、遊技機1は、正当に遊技を行っている遊技者に対する誤報知を防止できる。
また、遊技機1は、自機に生じる音(衝撃音)および揺れ(振動)が、いわゆるドツキゴトと呼ばれる遊技者の不正行為に基づいて発生しているのか、あるいは遊技者の不可抗力による衝撃(例えば隣の遊技機で生じた振動)に基づいて発生しているのかを判別できる。このように、遊技機1は、衝撃音および振動の両方の検知に基づいて遊技者の不正行為が発生したか否かを判別できるので、隣の遊技機での扉の開閉や振動センサの過剰感知などによる誤検知を防止することができる。
【0092】
また、本実施形態による遊技機1は、不正行為に基づく不正衝撃音および不正振動の両方を検知した場合と、当該不正衝撃音および当該不正振動のいずれか一方のみを検知した場合とで、報知態様を異ならせることができる。例えば、遊技機1は、当該不正衝撃音および当該不正振動の両方を検知した場合には、音や表示などの複数手段によって不正行為を報知し、当該不正衝撃音および当該不正振動のいずれか一方を検知した場合には、1種類の手段(例えば音声)によって不正行為を報知することができる。これにより、遊技機1は、衝撃音および振動のいずれか一方のみの検知では、遊技者のみに対する警告程度の報知態様(不正行為の抑止効果を望める程度の態様)とし、衝撃音および振動の両方の検知では、遊技者のみでなく周囲の遊技者や遊技店店員も不正行為を認識できるような報知態様(本来のエラー報知態様)とするといった、段階的な報知を実行することができる。
【0093】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態による遊技機について
図10を用いて説明する。上記第1の実施形態による遊技機1は、主制御基板100に接続された衝撃音センサ300および振動センサ306を有している。これに対し、本実施形態による遊技機は、副制御基板200に接続された衝撃音センサおよび振動センサを備え、サブCPU200aが不正行為に対する報知の態様を制御する点に特徴を有している。また、本実施形態による遊技機は、衝撃音センサにおける不正衝撃音の検出や振動センサにおける不正振動の検出を無効にする切替部を備えている点に特徴を有している。
なお、本実施形態による遊技機は、上記2点以外は、上記第1の実施形態による遊技機1と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するため、以下異なる点のみを簡単に説明する。また、上記第1の実施形態による遊技機1と同様の機能、作用を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0094】
本実施形態による遊技機において遊技の進行を制御する制御手段の内部構成について
図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態による遊技機の遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
図10に示すように、本実施形態による遊技機は、副制御基板200に接続された衝撃音センサ(不正衝撃音検出部の一例)300および振動センサ(不正振動検出部の一例)306を有している。衝撃音センサ300は、集音した衝撃音から、遊技者の不正行為によって自機、すなわち遊技機1に加えられた衝撃に基づく不正衝撃音を検出し、当該不正衝撃音の検出を示す不正衝撃音検出情報を副制御基板200に出力するようになっている。振動センサ306は、検知した振動から、遊技者の不正行為によって遊技機1に加えられた衝撃に基づく不正振動を検出し、当該不正振動の検出を示す不正振動検出情報を副制御基板200に出力するようになっている。副制御基板200に出力された不正衝撃音検出情報および不正振動検出情報は、不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eを介してサブCPU200aに入力する。サブCPU200aは、入力した不正衝撃音検出情報及び不正振動検出情報に基づいて、遊技者による不正行為に対する報知態様を制御するようになっている。すなわち、本実施形態では、サブCPU200aは、衝撃音センサ300による不正衝撃音の検出と、振動センサ306による不正振動の検出とに基づいて、遊技者の不正行為に対する報知態様を制御する不正行為報知制御部に相当する。
【0095】
本実施形態における衝撃音センサ300および振動センサ306は、上記第1の実施形態における衝撃音センサ300および振動センサ306と同様の構成を有し、同様の機能を発揮するようになっているので、説明は省略する。なお、本実施形態では、衝撃音センサ300に設けられたマイクロフォンおよび振動センサ306に設けられた振動検知部は、例えば上記第1の実施形態におけるマイクロフォン302および振動検知部306aと同様の箇所に設置されている(
図1参照)。
【0096】
不正衝撃音検出切替スイッチ200d(不正衝撃音検出切替部の一例)は、副制御基板200に設けられ、衝撃音センサ300による不正衝撃音の検出を無効に切り替えることができるように構成されている。不正衝撃音検出切替スイッチ200dは、所定の切替信号に基づいて、オン状態とオフ状態とのいずれかの状態を取り得る。不正衝撃音検出切替スイッチ200dは、オフ状態にあると、入力する入力信号をそのまま出力信号として出力するようになっている。一方、不正衝撃音検出切替スイッチ200dは、オン状態にあると、入力信号によらず例えば衝撃音センサ300が不正衝撃音を検出しなかった場合に出力する出力信号と同じ信号を出力するようになっている。本実施形態では、不正衝撃音検出切替スイッチ200dは、衝撃音センサ300が不正衝撃音を検出しなかった場合に出力する一定電圧の信号と同じ一定電圧の信号を出力する。このため、オン状態にある不正衝撃音検出切替スイッチ200dは、衝撃音センサ300が不正衝撃音を検出したことを示すパルス信号を出力しても、不正衝撃音を検出していないことを示す一定電圧の信号を出力するので、衝撃音センサ300による不正衝撃音の検出を無効に切り替えることができる。例えば、不正衝撃音検出切替スイッチ200dのオン状態およびオフ状態は、遊技の進行中か否かに関わらず、遊技店店員により切り替えることができるように構成されている。
【0097】
不正振動検出切替スイッチ200e(不正振動検出切替部の一例)は、副制御基板200に設けられ、振動センサ306による不正振動の検出を無効に切り替えることができるように構成されている。不正振動検出切替スイッチ200eは、所定の切替信号に基づいて、オン状態とオフ状態とのいずれかの状態を取り得る。不正振動検出切替スイッチ200eは、オフ状態にあると、入力する入力信号をそのまま出力信号として出力するようになっている。一方、不正振動検出切替スイッチ200eは、オン状態にあると、入力信号によらず例えば振動センサ306が不正振動を検出しなかった場合に出力する出力信号と同じ信号を出力するようになっている。本実施形態では、不正振動検出切替スイッチ200eは、振動センサ306が不正振動を検出しなかった場合に出力する一定電圧の信号と同じ一定電圧の信号を出力する。このため、オン状態にある不正振動検出切替スイッチ200eは、振動センサ306が不正振動を検出したことを示すパルス信号を出力しても、不正振動を検出していないことを示す一定電圧の信号を出力するので、振動センサ306による不正振動の検出を無効に切り替えることができる。例えば、不正振動検出切替スイッチ200eのオン状態およびオフ状態は、遊技の進行中か否かに関わらず、遊技店店員により切り替えることができるように構成されている。
【0098】
本実施形態では、例えば遊技店内の状況(例えば時間帯や遊技機の設置箇所)に応じて不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eの設定を調整してもよい。例えば、不正行為を行う遊技者の来店が少ない時間帯では、不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eのいずれか一方のみをオン状態とし、不正衝撃音の検出および不正振動の検出のいずれか他方を無効とし、大音量でのエラー報知を実行してもよい。また、遊技店の入り口付近などの人の出入りが多く不正行為を行われにくい箇所に設置されている遊技機では、不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eのいずれか一方のみをオン状態とし、不正衝撃音の検出および不正振動の検出のいずれか他方を無効とし、遊技店の隅などの人の出入りが少なく不正行為が行われやすい箇所に設置されている遊技機では、不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eの両方をオフ状態とし、不正衝撃音の検出および不正振動の検出の両方を有効とし、遊技者の不正行為をより有効に検出できるようにしてもよい。
【0099】
本実施形態による遊技機における衝撃判別処理は、サブCPU200aで実行される点、副制御基板タイマ割込処理(
図7参照)の演出操作装置制御処理(ステップS203)とデータ出力処理(ステップS204)との間で処理される点および不正衝撃音を検出した際に外部情報へエラー状態を報知しない点を除いて、上記第1の実施形態による遊技機1における衝撃判別処理と同様であるため、説明は省略する。
【0100】
以上説明したように、本実施形態による遊技機は、不正衝撃音検出切替スイッチ200dおよび不正振動検出切替スイッチ200eを有しているので、遊技店内の状況などに応じて、衝撃音センサ300における不正衝撃音の検出および振動センサ306における不正振動の検出を無効に切り替えることができる。
また、本実施形態による遊技機は、上記第1の実施形態による遊技機1に設けられたのと同様の衝撃音センサ300および振動センサ306を有している。また、本実施形態による遊技機は、入力した不正衝撃音検出情報及び不正振動検出情報に基づいて、遊技者による不正行為に対する報知態様を制御するサブCPU200aを有している。これにより、本実施形態による遊技機は、遊技機1と同様の効果が得られる。
【0101】
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記第1および第2実施形態による遊技機に設けられた参照情報記憶部304bでは、参照情報が予め記憶されているが、本発明はこれに限られない。例えば、参照情報記憶部は、記憶した情報と異なる新たな情報(不正情報)が遊技機に発生したら、随時その情報を記憶し、不正衝撃音と比較する参照情報として用いることができるように構成されていてもよい。この場合、参照情報記憶部は、予め記憶されている参照情報を新たに記憶した情報に置き換えるように構成されていたり、予め記憶されている参照情報に加えて新たに記憶した情報も参照情報と用いるように構成されていたりしてもよい。