(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、高級アルコール、ポリアルコール、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クメンスルホン酸、N−メチルピロリドン、トリグライム、ダイグライム、およびトルエンスルホネートの金属塩またはエチルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤を含む、請求項1〜6の何れかの組成物。
酸として、0.1〜30g/Lの少なくとも75,000Daの分子量を有するポリスチレンスルホン酸、0.001〜0.8モル/LのLiイオンまたはNaイオン、乳化剤としてのノニオン性またはアニオン性界面活性剤、0.5モル/L以下のマグネシウムイオンを含む、請求項1の組成物。
酸として、0.1〜30g/Lの少なくとも75,000Daの分子量を有するポリスチレンスルホン酸、0.001〜0.8モル/LのLiイオン、乳化剤としてのノニオン性またはアニオン性界面活性剤、0.5モル/L以下のマグネシウムイオンを含む、請求項1の組成物。
酸として、0.1〜30g/Lの少なくとも75,000Daの分子量を有するポリスチレンスルホン酸、0.001〜0.8モル/LのNaイオン、乳化剤としてのノニオン性界面活性剤、0.5モル/L以下のマグネシウムイオンを含む、請求項1の組成物。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、取り分け、絶縁表面のメタリゼーションプロセスにおける絶縁性基板上の導電性ポリマー堆積用の改良された組成物を提供することで、それは寿命及び安定性が増大する。さらに、金属の電解質的堆積によって絶縁性基板の表面をメタリゼーションするために改良したプロセスを提供することも本発明の態様の一つである。
【0009】
驚いたことに、絶縁性基板の表面上に導電性ポリマーを形成するための、導電性ポリマーを形成し得る少なくとも1つの重合性モノマー、乳化剤および酸を含む組成物の効果的なサービスライフ(耐用年数)は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属性または窒素を含有するイオンの組成物中に存在させることによって著しく伸びることが見出された。
【0010】
金属の電解質的堆積によって絶縁性基板表面にメタライズするためのプロセスに関し、プロセスが増加した効率、殊に増加する水平方向の金属成長率を示すことが見出され、そのプロセスは以下からなる:
絶縁性基板の表面に導電性ポリマーを形成するための組成物中に当該基板を浸漬し、その組成物は導電性ポリマーを形成する能力のある少なくとも1つの重合性モノマー、乳化剤、酸、およびリチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属性または窒素を含有するイオンを含み、絶縁性基板の表面上に導電性ポリマーを形成し;前記導電性ポリマーの上に金属を電解質堆積させる。
【0011】
本発明の一つの態様に於いて、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれるイオンが、絶縁性基板の表面上に導電性ポリマー層を形成するための組成物に添加される。驚いたことに、そのようなイオンの添加は、非導電性オリゴマーを形成するための組成物中における重合性モノマーの動きを著しく抑制することが見出された。これは当該組成物の寿命を増加させる。さらに、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれるイオンは基板表面上の導電性ポリマー層形成用の組成物の全寿命中に渡って、水平方向の平均金属成長率を少なくともファクター50%分、増加させる。イオンは0.001モル/L〜溶解度限界の濃度で組成物中に含まれ、好ましくは0.002モル/L〜0.8モル/L、より好ましくは0.04モル/L〜0.4モル/Lである。
【0012】
これら種々の態様に於いて、金属性または窒素を含有するイオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から最も好ましく選ばれる。
【0013】
これら添加剤の全ては、臭素酸化物から一般に派生する臭素イオンを除いてカチオン(陽イオン)で、こうして、シュウ酸の解離から生成するBO
3−の如きホウ酸塩イオン、または触媒溶液中のボラックスの如きホウ酸塩の解離によって生じるB
4O
72−などである。このように、臭素イオンはここでは一般にB
xO
yアニオンとして参照される。金属イオン、窒素を含有するカチオン、および/またはホウ酸塩イオンがオリゴマーの形成を抑制するように機能する正確な方法は充分に理解されていないが、モノマー処方(触媒溶液)中でオリゴマー化用の低グレード触媒として、全てがポリスチレンスルホン酸の如き酸成分の効果を抑制するように見える。
【0014】
触媒組成物中に含まれるのに適する酸は、硫酸、リン酸、スルホン酸、アルキルスルホン酸、ポリマースルホン酸(好ましくはポリスチレンスルホン酸)、ポリリン酸、イセチオン酸、スルホコハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、及びそれらの塩が含まれる。当該酸は、約0.1g/L〜約50g/Lの濃度で添加される。本発明の特に好ましい態様に於いて、酸はポリスチレンスルホン酸の如きポリ(ビニルアリール)スルホン酸の如きポリマー酸である。好ましくは、組成物は平均分子量が≧25,000Da(ダルトン)のポリマー酸、より好ましくは≧40,000または≧50,000Da、さらにより好ましくは≧75,000Da、最も好ましくは≧100,000Daである。本発明の特に好ましい態様に於いて、ポリマー酸は平均分子量≧200,000Daを有する。
【0015】
ポリマー酸の分子量は、約40,000〜約300,000が一般に好ましく、より好ましくは50,000〜300,000、75,000〜300,000または100,000〜300,000Daである。驚くべきは、この特定の分子量範囲を有するポリマー酸は、重合媒体として使用のライフサイクルの間に触媒組成物中で重合性モノマーの非導電性オリゴマーの形成を抑制するように機能し、従来技術の相当する状態から既知の組成物に比べて、50%以上の係数で長く取扱い及び貯蔵され、他方で、基板表面上の意図された導電性ポリマー構造の形成に悪い影響を与えない。オリゴマーの減少した形成は、直接的に組成物の寿命を少なくとも2倍に増加させる。これは、めっき側の組成物を交換または更新する必要性を低減させ、そのことは、コスト削減による経済的利益を直接的に付与し、同様に廃棄物の減少による経済的利益も付与する。
【0016】
本発明に係る組成物の好ましい態様に於いて、酸は、塩として当該組成物に添加され、好ましくはリチウム、ナトリウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、及びアルキルイミダゾリウムからなる群の、より好ましくはリチウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、およびイミダゾリウムからなる群の金属イオンまたは窒素を含有するイオンの塩として、添加される。その金属塩またはアルキルイミダゾリウム塩の一つの形体における酸の添加は、有益である。何故ならば、そのような添加は、本発明に係る組成物に於いて要求される二成分を一遍に、すなわち金属性イオン、または窒素を含有するイオンおよび酸の添加を一時に可能にするからである。
【0017】
本発明は、さらに絶縁性基板の表面に導電性ポリマー層の形成に有用な、比較的高分子量のポリマースルホン酸からなる組成物に関する。当該組成物は、導電性ポリマーの形成能がある、少なくとも1つの重合性モノマー、少なくとも40,000、少なくとも50,000、少なくとも70,000、少なくとも100,000、例えば40,000−300,000、50,000−300,000、または100,000−300,000Daの分子量を有するポリマースルホン酸を含む。好ましくはそのような組成物は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンまたは窒素を含有するイオンを含有する。
【0018】
本発明は、また絶縁性基板の表面上に導電性ポリマーを形成するための組成物に関し、当該組成物は、殊に好ましい乳化剤を含む。当該組成物は、少なくとも1つの導電性ポリマーの形成能を有する重合性モノマー、酸、及び好ましい乳化剤を含む。好ましい乳化剤は、スルホアルキル化ポリアルコキシ化ナフトール、またはアラルキル置換スルホポリアルコキシ化フェノール、およびそれらの塩からなる群から選ばれる。好ましくは、当該組成物はまた、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれる、少なくとも1つの金属イオンまたは窒素を含有するイオンを含む。
【0019】
新規の組成物に加えて、本発明は、絶縁性基板上の導電性ポリマー層に関し、当該ポリマーはリチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群から選ばれる金属イオンまたは窒素を含有するイオンを含む。好ましくは当該ポリマーは、リチウム、ナトリウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、及びアルキルイミダゾリウムから選ばれる金属または窒素を含有するイオンを含む。
【0020】
本発明は、さらに金属の電解質堆積によって絶縁性基板の表面をメタライズする方法に関する。当該方法は以下からなる:
基板を本発明に係る組成物に浸漬し、絶縁性基板表面に導電性ポリマー層を形成し;及び
導電性ポリマーの上に金属を電解質的に堆積させる。
【0021】
本発明は、またリチウム、ナトリウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、及びアルキルイミダゾリウムからなる群から選ばれる、好ましくはリチウム、アルミニウム、ビスマス、臭素、インジウム、アルキルイミダゾリウム、及びそれらの組合せの何れかのカチオンを含む導電性ポリマーコーティングをその上に有する絶縁性基板を含む電子機器に関する。
【0022】
本発明は、さらに上記のように本発明に係る方法によって製造された、導電性ポリマーコーティングをその上に有する絶縁性基板を含む電子機器に関する。
【0023】
さらに別の態様に於いて、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、及びアルキルイミダゾリウムイオンからなる群のイオンを、マンガンイオンの如きその他の金属イオンと組合せると有利であることを見出した。この目的のために、そのようなイオン源、例えばマンガン塩が本願発明の組成物に添加され得る。これら追加のイオンは、0.5モル/Lまで、好ましくは0.1モル/Lまで、より好ましくは0.05モル/Lまで添加し得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による組成物は、重合性複素環芳香族分子の如き導電性ポリマーを生成するための重合性モノマー、上記の酸を含む。そのようなモノマーは、開始剤溶液に含有される酸化剤と反応し得、発明に係る組成物と接触させられる前に、絶縁性基板がその酸化剤によって処理される。そのような酸化剤は、過マンガン酸塩を含む開始剤溶液から堆積される、例えば酸化マンガン(IV)(二酸化マンガン)であり得る。酸は、絶縁性基板の酸化表面上の複素環芳香族分子の重合に触媒作用を有し、それは好ましくはポリマー樹脂基板で、それによって基板上に導電性ポリマー層を形成する。複素環芳香族分子は、1つの複素原子を有する5員複素芳香族環(すなわち、2個の二重結合を有する5員環)から誘導され、複素環は以下の構造を有する:
【化1】
ここで、XはO,SまたはN;及びR1,R2は各々独立して水素、ハロゲン、1−8個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、1−4個の炭素原子の如き1−8個の炭素原子を有する置換または非置換アルコキシ基である。置換または非置換アルコキシ基は、酸素原子によって5員複素環に結合され得る。さらに、R1およびR2は、一緒に3または4個の炭素原子を有する置換または非置換アルキル基、または1又は2個の炭素原子を有する置換または非置換アルキルジオキシ基を介して5員環または6員環を形成し得る。置換または非置換アルキルジオキシ基は、酸素原子によって5員複素環に結合され得る。好ましくは、複素環式芳香族分子は、その良好な導電性および加工性のため、置換または非置換チオフェン(Xが硫黄)であり得る。好ましい置換基は、2個の酸素原子によって5員チオフェン環に結合した、非置換エチレンジオキシ基で、その結果、当該構造は、5員環または6員環を含む縮合環からなる。この材料は、3,4−エチレンジオキシチオフェンとして知られ、重合するとポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)になり、その優れた導電性の故に、好ましい導電性ポリマーである。好ましい3,4−エチレンジオキシチオフェンの構造を以下に示す:
【化2】
【0026】
以下に、発明に係る組成物が、触媒組成物としても参照される。
【0027】
適切な乳化剤として、本発明の組成物は非イオン性またはアニオン性界面活性剤を含有し得る。非イオン性界面活性剤は合理的によく働くように示されたが、一方で、アニオン性界面活性剤は、その添加がモノマー処方において重合性モノマーの非導電性オリゴマーの生成を減少させるのを助けるから、好ましい。適切なアニオン性乳化剤は、例えば、アニオン性ポリアリールフェノールアルコキシレート及びその塩、アニオン性アラルキル置換スルホアルコキシレート化フェノール、例えばモノ、ジまたはトリベンジル、またはトリ(1−フェニルエチル)置換スルホポリエトキシ化、またはスルホポリプロポキシレート化フェノール、またはアニオン性スルホアルキレート化ポリアルコキシレート化β−ナフトール、例えばスルホエチレート化又はスルホプロピレート化、或いはスルホヘキシレート化ポリエトキシレート化、またはポリプロポキシレート化ナフトール、及びそれらの塩、例えば、NH
4+,Na
+,Li
+またはイソプロピルアンモニウム塩である。
【0028】
殊に好ましい乳化剤は、以下の式に従う分子構造を有する、ローディアS.A.社からソプロファ4D384の名称で商業的に入手可能である:
【化3】
【0029】
別の適切な乳化剤は、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)α−スルホ−ω−[ビス(1−フェニルエチル)フェノキシ]アンモニウム塩に相当する、ローディアS.A.社からソプロファDSS/15の名称で入手可能の化合物である。
【0030】
別の適する好ましい乳化剤は、ラシッヒGmbH社からRALUFON NAPE 14 90の名称で入手可能の以下の式に従う分子構造を有する化合物である:
【化4】
【化5】
【化6】
mon;モノマー単位
それは以下の構造を有する
【化7】
【0031】
一般的に、前記乳化剤は本発明の組成物中に0.1mL/L〜200mL/L、好ましくは5ml/l〜100mL/L、より好ましくは10mL/L〜50mL/Lの範囲内で含まれ得る。
【0032】
本発明は、通常PCB製造において用いられるポリマー樹脂基板における穴開け貫通孔やミクロビアの側壁の如き絶縁性基板の曝露表面のメタリゼーションに有用な触媒組成物の発見から始まる。本発明の以下の記載は穴開け貫通孔やミクロビアの側壁のメタリゼーションに焦点を当てているが、本発明のメタリゼーション プロセスは、また一般に絶縁性基板のメタル化にも適用され得る。例えば、メタリゼーション プロセスは、単一または二重銅積層PCB基板または多層銅積層基板の製造において、絶縁性基板の片側または両側をメタル化するのに用いられ得る。
【0033】
触媒組成物は、従来のメタリゼーション プロセスにおいて既知のものとは異なり、往々にしてより単純であり、従来のメタリゼーション プロセスより工程が少なく、より高い電流密度を適用するメタリゼーション プロセスに有用である化学的性質によって特徴付けられる。これらの付随する利点の全ては、溶液廃棄物が少なく、収率が高く、高品質のめっきされたPCB製品をもたらすメタリゼーション プロセスを生み出す。
【0034】
本発明に係る触媒組成物が用いられるメタリゼーション プロセスは、如何なる絶縁性基板材料にも適用できる。印刷板用の適当な基板材料は、例えば、繊維強化エポキシ樹脂基板(すなわち、加熱・加圧下において熱硬化樹脂で繊維状の層が一緒に結合されたもの)である。一般に、エポキシ樹脂基板は、エポキシ樹脂系で結合した連続フィラメント・ガラスクロスを含む。エポキシ樹脂基板の特定の例は、以下を含む:ガラス繊維クロスシートで強化したエポキシ樹脂を含む基板である、G−10、G−10と同類に自己消火型基板であるFR−4、ガラスクロスとエポキシの混合物であるG−11、並びにG−11の難燃タイプであるFR−5である。FR−4基板は、ロジャース・コーポレイション(チャンドラー,AZ)から入手可能のものの如きセラミック粉末で強化し得る。その他の樹脂は、ポリフェニレンエーテル、シアネート、およびビスマレイミド/トリアジンなどである。
【0035】
メタリゼーション用基板となり得る追加の絶縁材料には、セラミックス、ガラス、テフロン(登録商標)、ガラス繊維強化テフロン(登録商標)、セラミック強化テフロン(登録商標)、ポリスチレン、並びにポリイミド(フレキシブル板用)がある。
【0036】
上記材料に加えて、当該基板は、例えばシリコン、SiO2、ガリウムヒ素またはアルミナの如き無機酸化物、チタン、ジルコニウムを含み得る。
【0037】
PCB基板製造のために、上記の絶縁性基板は、片側または両側を従来法によって銅箔で積層される。通常用いられる積層は、18μm厚の銅クラッド(被覆)を有する。多層回路板は、上記基板材料によって分離され支持された16の銅層に重ねられて形成される。銅層間の電気接続形成のために、PCB基板は貫通孔(PCBまたは多層回路板の全深さ方向に渡って広がる穴)およびブラインド・ビア(PCBまたは多層回路板の深さに一部のみに広がる穴)を、超鋼バイトおよびレーザードリルで穿孔される。穴開けされた貫通孔及びブラインド・ビアは、本発明に係るメタリゼーション プロセスによってメタライズされる。
【0038】
或いは、本発明に係る触媒組成物は、従来の銅積層法に代わって、上述の絶縁性基板の全表面を例えば、銅層によって積層するプロセスにおいて使用され得る。本発明に係る組成物及びプロセスを用いた銅堆積/電気めっきの後で、PCB基板は貫通孔及びブラインド・ビアを穿孔し、それらは、本発明のメタリゼーション プロセスを用いてメタライズされ得る。
【0039】
さらに別の代わりに、銅積層PCB基板中の穴開け貫通孔及びブラインド・ビアのメタリゼーションは、銅導電パターンの形成と一緒に起こり得る。
【0040】
PCBを貫通する孔は、一般には超硬ドリルによって穿孔される。もし極めて小さいビアが所望される場合は、そのビアはレーザー光によって形成される。マイクロビアと呼ばれるレーザー穿孔ビアは、一般に穴の内側に劣った表面仕上げを有し、それがそれらのメタリゼーションの課題である。これらの孔はマイクロビアと呼ばれる。当該分野は、150μm以下の直径のマイクロビアを指向し、それらの径より深く、高アスペクト比を有する。
【0041】
アスペクト比は一般に、少なくとも0.5:1で、あるケースでは約1:1より大きい。本発明の明細書においては、アスペクト比はビアの径に対する深さの比で表される。制御深さ穿孔、レーザー穿孔、または銅積層の前にPCBの個々のシートを予備穿孔することによって、ボードを貫通するよりも銅層の一部とのみ接続する孔を作ることは、また可能である。これらの孔は、それらが内側銅層を外側銅層に接続するときはブラインド・ビアと、2つまたはそれ以上の内側銅層を接続する時には埋め込みビアと呼ばれる。
【0042】
上記貫通孔及びブラインド・ビアの壁は本発明のメタリゼーション プロセスを用いてメタライズされ得る。
【0043】
本発明の組成物を用いたメタリゼーション プロセスは、PCB製造に一般に用いられるガラス繊維強化エポキシ樹脂基板のような絶縁材料をメタライズし得る。当該プロセスは、穿孔貫通孔、またはマイクロビアを銅でめっきするのに適用され、単層または二層銅被覆PCB基板を作製するために絶縁性基板をメタライズするために用いられる。一つの態様において、非導電性基板を導電性および電解質銅めっきをし易くする工程は以下を含む:
1.基板をコンディショニング溶液に曝すことによって曝露表面を濡れ易くするために曝露された絶縁性基板表面(貫通孔またはマイクロビアの側壁の如き)をコンディショニングする。
2.水で洗浄する。
3.酸化剤を含む組成物で貫通孔及びマイクロビア中の絶縁材料のコンディショニングされた曝露表面を酸化する。
4.水洗浄する。
5.酸化曝露表面を、重合性複素環芳香分子、酸、乳化剤、およびリチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、および/またはアルキルイミダゾリウムイオンから選ばれる少なくとも1つの金属性または窒素含有イオンを含む、発明に係る触媒溶液で触媒作用をさせて、絶縁材料の曝露表面上に導電性ポリマーを堆積させ、それによって表面を導電性にする。
6.水洗
【0044】
基板は導電性ポリマーを有する絶縁性基板を電解質銅めっき浴に曝露することによってメタライズされ、前記浴は、陰極および電解質銅めっき組成物を含み、外部電子源を適用する。
【0045】
上記メタリゼーション プロセスのコンディショニング溶液は、ドイツ国特許出願DE4205190に記載された成分を含み、ここにその全部を参照として組み入れる。例えば、コンディショニング溶液は少なくとも0.001重量%の複素環芳香分子を含み、それは窒素、架橋剤、およびpH緩衝剤を含む。窒素を含む芳香族分子の例は、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール、アクリジン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、キノアゾリン、フェナジン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、ピュリン、イソインドール、それらの誘導体を含む。コンディショニング溶液の例は、エンソン インク(西ヘブン,コネチカット州)から入手可能で、エンビジョンHDIコンディショナ7310、エンビジョンDMS−Eコンディショナ7010、エンビジョンDMS−Eコンディショナ7015及びエンビジョンDMS−Eコンディショナ7310を含む。
【0046】
絶縁材料の表面をコンディショニング溶液に曝すと、表面を湿潤にして次の工程で酸化のための表面コンディショニングがなされる。酸化の前に孔及びビアを濡らすことによって、約100μm未満、または約50μm以下の小径の孔やビア用に好適であり、それは穿孔PCB基板において次第に一般的になっている。絶縁性基板はコンディショニング溶液に流延、ディップ、またはスプレイなどの如何なる方法によっても、その曝露法が絶縁性基板の、例えば貫通孔やマイクロビアの側壁等曝露面を適度に濡らすことを条件に曝露され得る。曝露は一般に約30℃〜約65℃の温度で行なわれ、約30℃〜約50℃、または約40℃〜約65℃で、約1〜6分間、例えば約2〜5分間、或いは約1〜3分間行なわれる。
【0047】
上記メタリゼーション プロセスにおける開始剤組成物は、酸化剤を含む。当該酸化剤は、マンガン(VII)化合物、マンガン(VI)化合物、沃素(VII)化合物、並びにセリウム(IV)化合物の様な酸化剤の既知のクラスから選択され得る。上述の化合物は好ましくは、酸素化合物である。例えば酸化剤は、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、過沃素酸塩である。好ましい酸化剤は、過マンガン酸塩で、ナトリウム塩またはカリウム塩として提供される。開始剤溶液中で過マンガン酸塩が酸化剤であると、絶縁性基板のコンディションニングされた表面の曝露が絶縁表面を酸化し、その上に堆積したマンガン酸(MnO2)フィルムを有する表面を生じる。この表面は、酸化剤としても働き、引き続く重合工程に必要とされる。MnO2は消費され、Mn(II)イオンが形成される。マンガン(IV)酸化物フィルムの密度は開始剤組成物中の酸化剤濃度、曝露時間、及び曝露法の如きファクターに依存する。一般に、開始剤組成物中の過マンガン酸塩の濃度は、約40g/L〜約70g/L、例えば約60g/Lである。開始剤組成物は、イオン性または非イオン性フッ素系界面活性剤の如き湿潤剤を含み、マンガン(IV)酸化物の堆積を改良する。
【0048】
開始剤は、通常pH6で扱われるとき、緩衝剤としてホウ素酸を含む。リン酸は製造中にpH調整として用いられる。開始剤構成成分は、本発明の関連分野においては公知技術に既知であり、例えばDE4113654に開示され、参照によって組入れられる。
【0049】
ポリマー樹脂表面のコンディショニングされた表面は、開始剤溶液にフラッド(液浸透)、ディップ、又はスプレイの様な如何なる方法によっても、絶縁性基板のコンディショニングされた曝露表面上に、MnO2密度が約1mg/dm2〜約10mg/dm2、例えば約4mg/dm2〜約6mg/dm2を有する酸化マンガン(IV)フィルムを製造するに適する条件で曝露し得る。曝露は一般に、約80℃〜約90℃の温度で、約3〜6分間行われる。開始剤溶液の例は、エンソン・インク(西ヘブン、コネチカット州)から入手でき、エンビジョンHDI開始剤7320及びエンビジョンDMS−E開始剤7020がある。
【0050】
上記メタリゼーション プロセスにおける触媒溶液は、上記および以下の態様に記載されるような発明に係る組成物である。
【0051】
触媒組成物は、緩衝剤を用いて適度のpHに調整され、そのような緩衝剤には、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸の金属塩がある。触媒組成物に使用される溶剤は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、高級アルコール、ポリアルコール、DMF(ジメチルホルムアミド)、ケトン、特にメチルエチルケトン、クメンスルホン酸、N−メチルピロリジン、トリグライム、ダイグライム、トルエンスルホネートのアルカリ金属塩、またはそれらのエチルエステル、アルカリ水溶液、またはそれらの混合物である。
【0052】
絶縁性基板の酸化表面の触媒組成物への曝露は、酸化表面上のMnO2フィルム、重合性複素環芳香分子、並びに酸の間の反応を開始し、当該反応は、重合および導電性ポリマーの堆積を絶縁性基板の曝露酸化表面上にもたらす。曝露は、フラッディング(じゃぶ漬け)、ディッピング(ちょい漬け)、或いはスプレイング(噴霧)によって行われ、通常、室温か室温より僅か低温で、約1〜8分間、例えば約2〜約4分間で行なわれる。触媒溶液の例は、エンソン・インク(ウエストヘブン、コネチカット州)から入手可能で、エンビジョン(登録商標)HDI触媒7350やエンビジョン(登録商標)DMS−E触媒7050がある。
【0053】
ポリマー樹脂基板表面の触媒溶液への曝露は、それによってその上に堆積した導電性ポリマーをもたらし、通常、その後に洗浄工程を伴ない、その後、電解質銅めっき浴に曝露され、当該浴は銅めっき組成物及び陰極を含む。電解質銅めっき浴組成物は、銅イオン源及び酸を含む。電解質銅めっき浴は、また塩素イオン、本発明の関連技術で既知の漂白剤、禁止剤、並びに微細化剤を含み得る。
【0054】
銅イオン源には、硫酸銅、硫酸銅5水和物、酸化銅、炭酸銅、フッ化臭酸銅、ピロリン酸銅、青酸銅、リン酸銅、およびメタンスルホン酸銅の如きその他の銅金属錯体が含まれる。好ましくは、当該銅源は、硫酸銅系源の一つ、すなわち、硫酸銅または硫酸銅5水和物である。銅濃度は、広い範囲に渡って変化し、例えば、約5〜約75g/LCuである。低濃度の銅系(すなわち、低濃度の銅からなる電解質)では、銅イオン濃度は約5g/L〜約30g/Lの間であり得、例えば約8g/L〜約25g/Lである。例示的な低銅濃度系は、8g/L銅イオン、10g/L銅イオン、20g/L銅イオン、または25g/L銅イオンを含み得る。高濃度の銅系(すなわち高銅濃度からなる電解質)においては、銅イオン濃度は、約35g/L〜約75g/Lで、好ましくは約35g/L〜約60g/Lであり、約38g/L〜約42g/Lが例示される。幾つかの高銅濃度系においては、銅イオン濃度は、約46g/L〜約60g/Lで、約48g/L〜約52g/Lが例示される。高銅濃度系の例示は、銅イオン濃度が約40g/Lである。
【0055】
別の高銅濃度系においては、銅イオン濃度は約50g/Lである。さらに別の高銅濃度系においては、銅イオン濃度は約75g/Lである。約5g/Lの銅濃度に到達するために、1L溶液当たり、約19gの硫酸銅5水和物が添加される。また、約75g/Lの銅濃度を達成するために、1L溶液当たり約292gの硫酸銅5水和物が添加される。
【0056】
塩化物イオンもまた200mg/L迄のレベルで電解質めっき浴において用いられ、約40mg/L〜約200mg/L、または約10mg/L〜約90mg/Lの如くである。塩化物イオンはその他の浴添加剤の機能を促進するためにこれらの濃度範囲で添加される。塩化物イオンの一般的ソースは、塩酸、および塩化物のアルカリ金属塩であり、最も一般的には塩化ナトリウムである。当該分野において既知の漂白剤、禁止剤、および結晶成長抑制剤の如き他の添加剤を添加し得る。好ましい電解質銅メッキ添加剤は、キュプロスター(登録商標)LP−1添加剤が、エンソン・インク(西ヘイブン、コネチカット州)から入手可能であり、約2mL/L〜約8mL/L濃度で添加され、好ましくは、約3mL/L〜約6mL/L、例えば約4mL/L〜約5mL/Lの如くである。電気めっき浴の酸源としては、硫酸、スルホン酸、リン酸、ポリスチレンスルホン酸の如きある種のポリマー酸である。一般に、従来の銅めっき組成物において、酸は約50g/L〜約300g/Lで存在し、より一般的には、約100g/L〜220g/L、例えば200g/Lである。
【0057】
本発明の好ましい態様において、触媒組成物中の酸濃度は低く保持され、約0.1g/L〜約30g/L、より好ましくは、約1g/L〜約3g/Lで、溶液のpHは約1〜約3.5、好ましくは約1.5〜約3.5、より好ましくは約1.5〜約2.5、例えば約2である。例えば、硫酸が約1g/L濃度で添加されると、溶液のpHは約2になる。代替的に、好ましい一態様において、ポリスチレンスルホン酸の如きポリマー酸は、約2.5g/L添加すると、溶液のpHは約2になる。本発明にしたがって約1.5〜2.5のpHを得るためには、約1g/Lオーダーの酸添加が採用され、約0.5g/L〜約10g/L、或いは約0.5g/L〜約5g/Lである。これは、少なくとも約50g/L、例えば約200g/Lを要する従来の酸銅浴と対照的である。従来の浴のpHは通常測定されないか、または測定不能で、酸性度はg/L酸によって定義される。本発明のこの観点は、導電性基板上の従来のめっきに適用され、同様に、導電性ポリマーで処理された絶縁性基板上のめっきにも適用される。
【0058】
発明に係る触媒組成物の別の態様において、触媒組成物は、追加的に銅イオン源を含み、触媒溶液の曝露後の洗浄は省略される。この態様において、触媒組成物の成分と電解質銅めっき組成物の成分は単一組成物に統合される。この組成物は、導電性ポリマーを絶縁性基板の曝露表面に堆積すること、および電流を流して導電性ポリマーの表面に銅を堆積することの両方に用いられ得る。これは、高酸濃度およびモノマー(EDT)沈殿のために、通常の銅浴では不可能である。
【0059】
触媒組成物/電解質銅めっき組成物の例は、ポリマー複素環状芳香族分子、銅イオン源、酸およびその他の添加剤で、電解質銅めっき組成物に一般的に添加されるものを含む。触媒組成物/電解質銅めっき組成物の成分の識別性(同一性)と濃度は、それぞれ別々の溶液において上記したものと実質的に同じである。
【0060】
中間の洗浄工程の省略、触媒浴と電解質めっき浴の分離ニーズの不要、および全加工時間の短縮が、この組合せ溶液と組合せ操作の特徴である。
【0061】
本発明の触媒組成物を用いるプロセスを実施するに際し、上記組成物が、一層または二層銅積層PCB基板或いは多層回路基板の貫通孔またはミクロビアの側壁の上に銅を堆積するために用いられる。一つの態様において、貫通孔またはミクロビアの側壁の上に銅をめっきするプロセスは以下の工程からなる:
1.超鋼バイトまたはレーザードリルを使用して単層または二重層銅積層PCB基板または多層回路板基板に貫通孔またはミクロビアを穿孔する。
2.貫通孔またはミクロビアの曝露された表面を、エンビジョン(登録商標)DMS−Eコンディショナ7015(40ml/L)に40℃において3分間曝してコンディショニングする。
3.水洗する。
4.曝露されコンディショニングされた、貫通孔またはミクロビアの表面を、基板にエンビジョン(登録商標)DMS−E開始剤7020(60g/Lの過マンガン酸カリウムおよび10g/Lの臭酸,pH6)に80℃で3分間曝して酸化する(および同時にMn(IV)酸化物を堆積する)。
5.水洗する。
6.基板をエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(15ml/L,3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)およびエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(45ml/L,ポリスチレンスルホン酸を含む)、並びにリチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、およびアルキルイミダゾリウムイオンから選ばれる、少なくとも一つの金属性または窒素を含むイオンからなる組成物に曝し、貫通孔またはミクロビアの酸化表面上に、導電性ポリマーを堆積する。
7.水洗する。
8.貫通孔またはミクロビアの表面上の導電性ポリマーに以下によって銅を電気めっきする:
(a)基板を、陰極および硫酸銅5水和物(80g/L)、硫酸(pH2にするために1g/L)、塩化物イオン(60mg/L)およびキュプロスター(登録商標)LP−1添加剤(5ml/L)を含む銅めっき組成物からなる電気めっき浴に曝露し、
(b)基板に電流3Aを5分間流して、銅を貫通孔及びミクロビアに堆積する。
【0062】
上記方法を用いて、高品質銅堆積がPCB基板または多層回路板基板中の貫通孔またはミクロビアにめっきされる。上記プロセスは、また予め銅箔被覆していない無垢の絶縁性基板(すなわち、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)上に銅積層をめっきするのに用いられる。加えて、上記プロセスは、また片面または両面に銅積層をめっきし、無垢の絶縁性基板(すなわち、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)の予め貫通孔を穿孔させた、貫通孔またはミクロビアの側壁上に銅めっきするのに用いられ得る。
【0063】
別の態様において、貫通孔およびミクロビアの側壁を銅めっきするプロセスは以下の工程からなる:
1.超鋼バイトまたはレーザードリルを使用して単層または二重層銅積層PCB基板または多層回路板基板に貫通孔やミクロビアを穿孔する。
2.貫通孔またはミクロビアの曝露された表面を、エンビジョン(登録商標)DMS−Eコンディショナ7015(40ml/L)に40℃において3分間曝してコンディショニングする。
3.水洗する。
4.曝露されコンディショニングされた、貫通孔またはミクロビアの表面を、基板にエンビジョン(登録商標)DMS−E開始剤7020(60g/Lの過マンガン酸カリウムおよび10g/Lの臭酸,pH6)に80℃で3分間曝して酸化する(および同時にMn(IV)酸化物を堆積する)。
5.水洗する。
6.基板をエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(15ml/L,3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)およびエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(15ml/L,ポリスチレンスルホン酸を含む)、並びにリチウムイオン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、ベリリウムイオン、ビスマスイオン、臭素イオン、インジウムイオン、およびアルキルイミダゾリウムイオンから選ばれる、少なくとも一つの金属性または窒素を含むイオン、硫酸銅5水和物(80g/L)、硫酸(pH2にするために1g/L)、塩化物イオン(60mg/L)およびキュプロスター(登録商標)LP−1添加剤(5ml/L)からなる触媒溶液/電解質めっき組成物に3分間曝し、貫通孔またはミクロビアの酸化表面上に、導電性ポリマーを堆積する。
7.導電性ポリマーを有する貫通孔またはミクロビアの表面上に、基板に電流1〜2Aを5分間流して、銅を貫通孔及びミクロビアに銅堆積して電解質銅めっきする。
【0064】
上記の方法を用いて、高品質の銅堆積が、PCBまたは多層基板中の貫通孔またはミクロビア壁にめっきされる。
【0065】
さらに別の態様において、本発明の触媒組成物を使用するプロセスは、PCBまたは多層基板の貫通孔及びミクロビア壁を銅めっきするために使用され得、それら貫通孔及びミクロビアは、さらに銅導電性パターンを生成するのに加工される。このプロセスにおける工程は:
1.従来法または上記のプロセスの一つによって銅で片面または両面を積層されたガラス繊維強化エポキシ樹脂基板を貫通する孔を穿孔する。
2.穿孔された板をコンディショナ、開始剤、および発明の触媒組成物で処理し、穿孔された貫通孔の側壁に導電ポリマー被膜を堆積する。
3.当該銅被膜にフォトレジストを塗布。
4.銅導電性パターンが暗でマスクの残部が明のパターンマスクを当てる。
5.紫外線をマスクに照射し、光線領域下のフォトレジスト材料を可溶化し、銅導電性パターンを決定する。
6.当該パターンマスクを除去する。
7.非照射フォトレジスト(通常炭酸ナトリウムを含む現像剤に溶解する)を溶解するアルカリ現像液を塗布する。この場合、陰画が作られ、所謂添加剤技術と呼ばれる。このフォトレジストは除去され、そこに銅トラック(導通ライン)が形成される。引き続くめっき工程において、照射レジストの間の“溝”および貫通孔またはミクロビアに銅が堆積される。
8.pH2において電解質銅めっき浴を用いて約5μmの厚みに曝露パターン上に銅をめっき(また貫通孔をめっき)する。引き続く25μm(通常厚さ)にめっきするために、約200g/L〜約250g/Lの高酸濃度の銅浴が使用され得る。
9.スズ−鉛またはその他のレジスト材料で銅導電性パターンを保護し、それは酸化を防ぎ、レジストパターンとして働く。
10.残ったフォトレジストを溶剤で溶かす(一般に、商業的に入手可能の如き強アルカリ溶液中に)。
11.銅被膜を酸で溶かし、樹脂基板を曝す。銅導電性パターンは溶解しない。何故ならば、レジストによって保護されているからである。
12.金属性レジストを剥離する。
【0066】
このように、本発明の触媒組成物を用いたプロセスは、選択的に、銅で被覆された絶縁性基板の曝露表面、例えば絶縁性基板に貫通穿孔された貫通孔の側壁をメタライズするのに用いられ、エポキシ−ガラス繊維基板の片側上の銅積層をエポキシ−ガラス繊維基板のもう一方の側の銅積層と電気的に接続する。プロセスは、また絶縁性基板の全面をメタライズするのに用いられ得る。
【0067】
別の態様において、本発明は、絶縁性基板上の導電性ポリマー層に関し、ポリマー層がリチウム、ナトリウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、およびアルカリイミダゾリウムからなる群から選ばれる金属イオン、または他の金属或いは窒素系イオンからなることを特徴とする。驚いたことには、上記のように絶縁性基板表面上の導電性ポリマー層形成用の組成物を用いるときに、組成物に含まれる金属または窒素系イオンは導電性ポリマー層中に組み入れられることが見出された。一方でこの理論に拘束されずに、この金属イオンの導電性ポリマー層への組み入れは、導電性ポリマー層の導電性に寄与し、それによって、当該層の電気抵抗を減少させることになる。
【0068】
リチウム、ナトリウム、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、臭素、インジウム、およびアルカリイミダゾリウムからなる群から選ばれる金属或いは窒素系イオンは、導電ポリマー層中に少なくとも0.01原子%、好ましくは少なくとも0.05原子%、より好ましくは少なくとも0.1原子%の濃度で含まれ得る。
【0069】
これらイオンの金属表面への組み入れは、例えば、ESCA(化学的分析用電子分光法)、GDOES(グロー放電発光分光法)またはAES(オージェ電子分光法)のような適当な分析法によって測定され得る。
【0070】
以下の実施例が本発明をさらに詳しく説明する。
【0071】
図1はモノマー処方(触媒溶液)中の非導電性オリゴマーの濃度に対する水平方向の銅成長速度の依存性を表す投影図で、それによって、絶縁性基板が接触され、銅が電解質的に堆積した導電性ポリマー被覆を形成する。
【0072】
図1は、基板表面に導電性ポリマーフィルムを堆積するのに用いられる触媒組成物中の非導電性オリゴマー濃度に対する水平方向銅成長率(LCGR)の依存性を表す。
図1から分かるように、エンビジョンHDI法の如き公知技術に既知の導電性ポリマーフィルムを堆積する、従来法によって処理された標準試験片(縞条寸法10×3cmの積層材料及び7×3cmの銅なし領域)に対するLCGRは、ポリマーがそれから作られるモノマー化合物のオリゴマーの触媒組成物中濃度の増加に伴なって、減少する。導電性ポリマーフィルムの堆積の後で、試験片はLP−1の名称でエンソンインクから商業的入手可能の銅電解質中で、電流密度2A/dm2、5分間銅めっきされる。触媒組成物中のオリゴマーの相対濃度はUV−VIS(紫外可視)領域中870nmにおける吸収によって測定される。一方で、新鮮な触媒組成物の870nmにおける吸収は、約0の近辺であり、LCGRは約5.5mm/minであり、LCGRは非導電性オリゴマーによって起こされる吸収が約3.0に増加するときに、約2.5まで減少する。これは、触媒組成物中の非導電性オリゴマーの役割の証拠を、引き続く金属めっき法に関して提供するものである。
【実施例】
【0073】
[実施例1]
実施例1は比較例として用いられ、従来技術の触媒組成物を表す。1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。23℃における混合物のpHは、2.2であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0074】
[実施例2]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に2.6gのBeSO4*4H2Oを添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。25.8℃における混合物のpHは、2.18であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0075】
[実施例3]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、3.8gのAl2(SO4)3*16H2Oを添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。25.8℃における混合物のpHは、2.21であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0076】
[実施例4]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、1.9gのLi2SO4:1H2Oを添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。25.8℃における混合物のpHは、2.19であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0077】
[実施例5]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、2.95gのLi2CO3を添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。25.8℃における混合物のpHは、2.3であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0078】
[実施例6]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。46mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、1mLのビスマスメタンスルホン酸を添加する。混合物は449mLの脱イオン水で容量1011mLにする。22.2℃における混合物のpHは、1.85であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0079】
[実施例7]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。46mLの平均分子量75kDaを有するポリスチレンスルホン酸(商業的にアクゾノーベル社からVersa TL77の商品名で入手可能)、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、2.5gのBeSO4*4H2Oを添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1002mLにする。22.2℃における混合物のpHは、3.46であった。26滴の硫酸(50%)を添加し、pH値は22.3℃において、1.97にした。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0080】
[実施例8]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLの平均分子量1000kDaを有するポリスチレンスルホン酸(商業的にアクゾノーベルAB社からVersa TL501の商品名で入手可能)、および15.5mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。この混合物に、4.0gのMnSO4*H2Oを添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1001mLにする。22.3℃における混合物のpHは、6.1であった。32滴の50%硫酸の添加によってpH値は22.3℃において1.99になる。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0081】
[実施例9]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。23mLの平均分子量約1000kDaを有するポリスチレンスルホン酸(アクゾノーベルAB社からVersaTL501の商品名で入手可能)、23mlの平均分子量75kDaを有するポリ(4−スチレンスルホン酸)リチウム塩溶液(水に30重量%)および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1001mLにする。22.1℃における混合物のpHは、5.36であった。27滴の50%硫酸を添加してpH値を22.3℃において1.99にする。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0082】
[実施例10]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。23mLの平均分子量が約1000kDaを有するポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩溶液(アクゾノーベルAB社からVersa TL501の商品名で入手可能)、23mLの平均分子量75kDaを有するポリ(4−スチレンスルホン酸)ナトリウム塩溶液(水に30重量%、アクゾノーベルAB社からVersa TL77の商品名で入手可能)および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1001mLにする。21.9℃における混合物のpHは、5.27であった。28滴の50%硫酸を撹拌下で添加して、pH値は21.9℃において1.98にする。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトルで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0083】
[実施例11]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。46mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および10重量%3,4−エチレンジオキシチオフェンを含有する水溶液15mL、及び12重量%のSoprophor 4D384を乳化剤として撹拌しながら添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1001mLにする。21.2℃における混合物のpHは、2.13であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトラで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0084】
[実施例12]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。45mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350B(ポリスチレンスルホン酸を含む)、および10重量%3,4−エチレンジオキシチオフェンを含有する水溶液15mL、及び6重量%Soprophor 4D384および6重量%のSoprophor TS29を乳化剤として撹拌しながら添加する。20.6℃における混合物のpHは、1.97であった。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトラで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0085】
[実施例13]
1000mLビーカーに500mLの脱イオン水を注ぐ。平均分子量約25kDaのポリスチレンスルホン酸(アクゾノーベルABから、Versa TL4の商品名で入手可能)及びマレイン酸1:1混合物を45mL、および15mLのエンビジョン(登録商標)HDI触媒7350A(3,4−エチレンジオキシチオフェン及び乳化剤を含む)を撹拌しながら添加する。混合物は440mLの脱イオン水で容量1000mLにする。20.6℃における混合物のpHは、9.11であった。50%硫酸を1.1mL添加してpH値が20.7℃において2.07にする。触媒組成物の紫外線−可視光スペクトラで870nm、数日経過後の吸収値を表1に示す。
【0086】
表1:870nmにおける触媒溶液の吸収
【表1】
*3,000:検出限界3,000超,**n.d.:検出不可
【0087】
[実施例14]
脱イオン水を500mL、1000mLビーカーに注ぎ、撹拌しながら3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4−EDT)およびSoprophor TS29を含む組成物A,15mL、および分子量75,000Daを有するポリスチレンスルホン酸及び水からなる、商標Versa TL 71で販売される組成物B,46mL、並びに脱イオン水440mLをビーカーの水に添加した。完全に溶解する迄撹拌を継続した。
【0088】
[実施例15]
脱イオン水を500mL、1000mLビーカーに注ぎ、撹拌しながら1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフロロメタンスルホネート(EMI triflate; 10g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4−EDT)およびSoprophor TS29を含む組成物A,15mL、および分子量75,000Daを有するポリスチレンスルホン酸及び水からなる、商標Versa TL 71で販売される組成物B,45mL、並びに脱イオン水440mLをビーカーの水に添加した。完全に溶解する迄撹拌を継続した。
【0089】
[実施例16]
脱イオン水を500mL、1000mLビーカーに注ぎ、撹拌しながら1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム(HMI)(トリフロロメチルスルホニル)イミド,9.9g、3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4−EDT)およびSoprophor TS29を含む組成物A,16mL、および分子量75,000Daを有するポリスチレンスルホン酸及び水からなる、商標Versa TL 71で販売される組成物B,46mL、並びに脱イオン水440mLをビーカーの水に添加した。完全に溶解する迄撹拌を継続した。溶液は曇った乳白色を維持した。
【0090】
[実施例17]
脱イオン水を500mL、1000mLビーカーに注ぎ、撹拌しながら硫酸リチウム(2g)、硫酸マンガン1水和物(2g)、3,4−エチレンジオキシチオフェン(3,4−EDT)およびSoprophor TS29を含む組成物A,15mL、および分子量75,000Daを有するポリスチレンスルホン酸及び水からなる、商標Versa TL 71で販売される組成物B,46mL、並びに脱イオン水440mLをビーカーの水に添加した。完全に溶解する迄撹拌を継続した。
【0091】
オリゴマーの測定
調製してから2、27、86、99並びに105日間の間隔で、実施例14、15および17に従って調製した触媒溶液を870nmにおける紫外線−可視光分析に付した。結果を以下の表2に示す。
【表2】
*測定は1:10希釈にて実施した、すなわち触媒溶液1mLおよび脱イオン水9mL
【0092】
表2のデータは
図2にプロットした。これらのデータから、時間当たりの吸収の増加率は、実施例14,15および17の各々に対して計算された。吸収の継続測定間の吸収増加率(傾き)は表3に示す。
【表3】
【0093】
線形回帰分析がオリゴマー生成傾向線の計算のために適用され、以下の傾き、および相関係数
を示す。
【表4】
【0094】
実施例14および17の場合は良い一致を示した。実施例15の場合のみかなりのばらつきを示した。後者の場合、傾きは初期において線形でなく、吸収が0.2に達した点から傾きは大きくなる。他の二つの系においては、傾きは、終始実質的に線形であり、その結果、相関係数は1.0にかなり近い。
【0095】
105日後の堆積速度
105日後に、実施例14〜17のモノマー処方の各々が絶縁性基板に導電ポリマー層を施すために用いられた。
【0096】
電解質めっき工程における銅堆積の厚みは、各側の中間部と端部において、定規で前と後ろをmmで測定された。各側の三つの値は、加算して12で除した。これら2つの平均値は加算され2で再度除した。結果として、毎分当たりの堆積量がmm/minで与えられる。
【0097】
重合中、実施例14〜17の各々に対して、平均堆積率がmm/minで決定される。結果はモノマー処方(触媒溶液)が105日間エイジングされた後に、行なわれた重合に対して、以下の表4に示される。
【表5】
【0098】
105日のエイジングのあとに、実施例14の触媒組成物のみが不十分な堆積速度を与えた。他の全ての場合は少なくとも辛うじて許容し得る。
【0099】
IS410導電性測定結果
堆積速度(率)に加えて、実施例14〜17の各々に対するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリマー堆積の導電性が4点法によって測定された。結果は以下の表に示される。
VS;前面、RS;裏面または背面。以下同じ。
【0100】
抵抗値は1,000,000Ωを遥かに超える。
【0101】
前部において、33300Ωの平均抵抗を示す。背部は平均36570Ωである。
【0102】
前部において、平均51960Ωの抵抗値を示した。背部においては、平均52240Ωであった。抵抗は実施例17の約2倍であった。
【0103】
前部において、平均抵抗値は9360Ωであった。背部において、平均は、10410Ωであって、他の全ての実験値より低かった。それにも拘らず、堆積速度は決して早くなかった。これは、前の実験においてもまた確認される。
【0104】
実施例18−20
導電性ポリマーコーティングは、実施例14−17にそれぞれ記載された方法にしたがって絶縁性基板に施された。
【0105】
IS EN 156 ML堆積の結果
105日後、実施例18−21のモノマー処方の各々が絶縁性基板に導電ポリマー層を施すのに用いられた。
【0106】
mm/分にて表された堆積速度が以下のように測定された。
【0107】
電解質めっき工程において堆積された銅の厚みは、各側の端部と中間部で定規によって前部、後部においてmmにて測定された。各側の3つの値が加算され12で除された。これら2つの平均値がまた加算され、再度2で除された。結果として、毎分当たりの堆積速度がmm/分で与えられる。
【0108】
重合中に、実施例18−21の各々に対して平均堆積速度がmm/分で決定された。結果は以下の表4に、モノマー処方(触媒溶液)が105日間エイジングされた後、実施された重合に対して示す。
【0109】
以下の平均堆積速度がmm/分で表されるように決定された。
【0110】
105日後、実施例18においてのみ不十分な堆積速度が観察され、重合は上記記載タイプの金属または窒素含有イオンの不存在下で行なわれた。実施例19−21の堆積速度は、全て少なくとも僅かながら許容範囲内であった。
【0111】
堆積に加えて、導電性が4点法によって決定された。
【0112】
抵抗値は、1,000,000Ωを遥かに超えた。
【0113】
前部において、24050Ωの平均抵抗を示す。背部において、11020Ωの平均抵抗を示す。後部の抵抗値は、前部の半分である。また、抵抗値は、実施例18のそれよりもずっと低い。
【0114】
前部で18600Ωの平均抵抗を示す。背部は、17990Ωの平均抵抗を示す。抵抗値は実施例21に類似するが、堆積速度は著しく低い。
【0115】
前部で950Ωの平均抵抗を示す。背部は、910Ωの平均抵抗を示す。抵抗値は遥か最低値を示すが、堆積速度は、約18,000Ωの抵抗値を持つ実施例21と同等である。
【0116】
本願発明または好ましい態様の要素を導入する際に、冠詞「一つの」「その」「前記の」は、要素が一つ又はそれ以上あることを表すように意図されている。用語「含む」「からなる」「有する」は、包含することを意図され、列挙された要素以外の追加的要素があり得ることを意味する。
【0117】
本発明の範囲を逸脱しない限り上記には種々の変更をなし得るので、上記明細書に含まれるすべての事項および添付の図面に表された全ての事項は、例示として解され、限定する意味において解されない。発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって定められ、態様に対する変更は、本発明の範囲から逸脱しなければなし得る。