特許第6126009号(P6126009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126009
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】α−シヌクレイン発現の調節
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20170424BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20170424BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170424BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   C12N15/00 GZNA
   A61K31/7115
   A61K31/712
   A61K31/7125
   A61K48/00
   A61P25/00
   A61P25/28
【請求項の数】22
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2013-540028(P2013-540028)
(86)(22)【出願日】2011年11月17日
(65)【公表番号】特表2014-501507(P2014-501507A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】US2011061245
(87)【国際公開番号】WO2012068405
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/414,848
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,シー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】フレアー,スーザン・エム
(72)【発明者】
【氏名】マラジョシュラ,ジョティ
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/079399(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/135426(WO,A2)
【文献】 特表2007−528367(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0137155(US,A1)
【文献】 MURPHY, Diane D. et al.,"Synucleins Are Developmentally Expressed, and α-Synuclein Regulates the Size of the Presynaptic Vesicular Pool in Primary Hippocampal Neurons",J. Neurosci.,2000年,Vol. 20,p. 3214-3220
【文献】 Database GenBank [online], Accession No. NM_000345.3, 04-JUL-2010 uploaded, [retrieved on 2015-11-11], Definition: Homo sapiens synuclein, alpha (non A4 component of amyloid precursor) (SNCA), transcript variant 1, mRNA ,URL,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/225690599?sat=14&satkey=17446
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
A61K 31/33−33/44
A61K 38/00−38/58
A61K 41/00−45/08
A61K 48/00
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトα−シヌクレイン核酸に対して100%相補的な核酸塩基配列を有する、18、19または20個の結合されたヌクレオシドからなる1本鎖修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、当該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号11、12、13、14、15、または16の少なくとも18個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有し、そしてここで当該オリゴヌクレオチドはα−シヌクレインmRNAレベルを減少させることができる、前記化合物。
【請求項2】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号11、12、13、14、15、または16に示される核酸塩基配列を含むかまたはそれからなる、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合を含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項に記載の化合物。
【請求項5】
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1個のヌクレオシドが、修飾糖を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記修飾糖が、二環式糖である、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
前記二環式糖が、4’−CH(CH)−O−2’架橋を含む、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1個のテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドを含み、テトラヒドロピラン環は前記フラノース環を置換する、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
前記少なくとも1個のテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドの各々が、以下の構造:
【化1】
式中、Bxは、任意に保護されるヘテロ塩基部分である、
を有する、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
前記修飾糖が、2’−O−メトキシエチル基を含む、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1個のヌクレオシドが、修飾核酸塩基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記修飾核酸塩基が、5−メチルシトシンである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、
結合されたデオキシヌクレオシドから成るギャップセグメントと、
結合されたヌクレオシドから成る5’ウィングセグメントと、
結合されたヌクレオシドから成る3’ウィングセグメントと、
を含み、前記ギャップセグメントは、前記5’ウィングセグメントと前記3’ウィングセグメントとの間に位置付けられ、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは、修飾を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記修飾オリゴヌクレオチドが20個の結合されたヌクレオシドを含み、そして前記修飾オリゴヌクレオチドが、
10個の結合されたデオキシヌクレオシドから成るギャップセグメントと、
5個の結合されたヌクレオシドから成る5’ウィングセグメントと、
5個の結合されたヌクレオシドから成る3’ウィングセグメントと、
を含み、前記ギャップセグメントは、前記5’ウィングセグメントと前記3’ウィングセグメントとの間に位置付けられ、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは、2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合であって、各シトシンは5−メチルシトシンである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
修飾したオリゴヌクレオチドが複合体化したアンチセンス化合物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
神経変性疾患を有する動物を治療するための、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項17】
前記治療することが、以下:
i)α−シヌクレインの発現を減少させること、
ii)運動協調を改善すること、
iii)嗅覚を改善すること、
iv)空間記憶を改善すること、または
v)α−シヌクレインの凝集を減少させること、
を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
配列番号23、98、99、103、104、105、106、107、120および121から成る群から選択される核酸塩基配列から成る1本鎖修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物。
【請求項19】
前記修飾オリゴヌクレオチドが
10個の結合されたデオキシヌクレオシドから成るギャップセグメントと、
5個の結合されたヌクレオシドから成る5’ウィングセグメントと、
5個の結合されたヌクレオシドから成る3’ウィングセグメントと、
を含み、前記ギャップセグメントは、前記5’ウィングセグメントと前記3’ウィングセグメントとの間に位置付けられ、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは、2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合であって、各シトシンは5−メチルシトシンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記修飾オリゴヌクレオチドが複合体化したアンチセンス化合物である、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
神経変性疾患を有する動物を治療するための、請求項18〜20のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項22】
前記治療することが、以下:
i)α−シヌクレインの発現を減少させること、
ii)運動協調を改善すること、
iii)嗅覚を改善すること、
iv)空間記憶を改善すること、または
v)α−シヌクレインの凝集を減少させること、
を含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2011年11月7日に作成され、170KbのサイズであるBIOL0139WOSEQ.txtと表題を付けられたファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットでの情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、動物において、α−シヌクレインmRNAおよびタンパク質の発現を阻害するための方法、化合物、および組成物を提供する。かかる方法、化合物、および組成物は、パーキンソン病、認知症、多系統萎縮症、およびアルツハイマー病を含む、神経変性疾患を治療、防止、または改善するために有用である。
【背景技術】
【0003】
アルファシヌクレイン(α−シヌクレイン、SNCA、およびa−SYNとしても知られる)は、中枢神経系(CNS)ニューロンに主に発現される、低分子で高電荷の140個のアミノ酸残基から成るタンパク質であって、シナプス小胞に近接して、シナプス前終末に局在する(Iwai,et al.,Neuron.1995.14:467−475)。α−シヌクレインは、体外で示されたように、両親媒性α−ヘリックスを形成することによって、脂質膜と結合し得る(Davidson,et al.,J.Biol.Chem.1998.273:9443−9449)。α−シヌクレインの機能は、依然として、ほとんど理解されていないが、いくつかの研究は、シナプス伝達、シナプス小胞の密度、および神経可塑性の調節に関与することを示唆する(Cabin et al.,J.Neurosci.2002.22:8797−8807)。また、α−シヌクレインは、体外アッセイにおいて、タンパク質の凝集の防止におけるその有効性によって示されるように、シャペロン機能を有し得ることも示唆されている(Souza et al.,FEBS Lett.2000.474:116−119)。さらに、体内アッセイは、α−シヌクレインシャペロン活性が、脳のシナプス前終末における神経伝達物質放出に不可欠である、SNARE錯体の会合の助長に関与することを実証している(Burre et al.,Science.329:1663−1667)。SNARE錯体会合の低下は、神経学的障害と関連付けられ、したがって、シナプス前α−シヌクレイン凝集体と神経変性との間の関連性を示す(Kramer and Schulz−Schaeffer,J.Neurosci.2007.27:1405−1410)。α−シヌクレインのノックアウトマウスモデルは、致死的ではなく、脳形態は、無傷であって、α−シヌクレインは、神経発達のために要求されず、および/または代償性経路が存在することを示唆する(Abeliovich et al.,Neuron.2000.25:239−252)。
【0004】
α−シヌクレインの誤った折り畳み、凝集、および細動は、パーキンソン病、アルツハイマー病レビー小体亜型、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、および多系統萎縮症を含む、いくつかの神経変性疾患における重要因子に関係があるとされる(Schulz−Schaeffer Acta Neuropathol.2010.120:131−143;Yoshida.Neuropathology.2007.27:484−493)。これらの症例の各々において、α−シヌクレインタンパク質は、誤って折り畳まれており、レビー小体およびレビーニューライトにおける凝集体中に会合する(Uversky.J.Neurochem.2007.103:17−37)。いくつかの最近の研究は、α−シヌクレインの折り畳みを助長する脂質環境もまた、α−シヌクレイン凝集を加速させることを示しており、α−シヌクレインの脂質と関連付けられた配座が、神経変性疾患におけるα−シヌクレインの誤った折り畳みに関連し得ることを示唆する(Conway et al.,Science.2001.294:6−9;Lee et al.,J.Biol.Chem.2002.277:671−678)。アラニンが、スレオニンに変化される、53位における突然変異、およびアラニンが、プロリンに変化される、30位における突然変異は、α−シヌクレインをランダムコイル状態にさせ、凝集が生じる可能性が高いことが示されている(Clayton and George,J.Neurosci.1999.58:120−129)。
【0005】
現在、かかる神経変性疾患を治療するための容認可能選択肢が欠如している。したがって、本明細書では、かかる疾患および障害の治療のための化合物および方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に提供されるのは、α−シヌクレインmRNAおよびタンパク質の発現を調節するための方法、化合物、および組成物である。ある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、α−シヌクレインmRNAおよびタンパク質の発現を調節する。ある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、核酸、タンパク質、抗体、または小分子である。
【0007】
ある種の実施形態では、調節は、細胞または組織内で生じ得る。ある種の実施形態では、細胞または組織は、動物内にある。ある種の実施形態では、動物は、ヒトである。ある種の実施形態では、α−シヌクレインmRNAレベルは、減少される。ある種の実施形態では、α−シヌクレインタンパク質レベルは、減少される。ある種の実施形態では、α−シヌクレインmRNAおよびタンパク質レベルは、減少される。かかる減少は、時間依存様式または用量依存様式で生じ得る。
【0008】
また、提供されるのは、疾患、障害、および状態を防止、治療、ならびに改善するために有用な方法、化合物、および組成物である。ある種の実施形態では、かかる疾患、障害、および状態は、神経変性疾患、障害、ならびに状態である。ある種の実施形態では、かかる神経変性疾患、障害、および状態は、パーキンソン病、認知症、多系統萎縮症(また、シャイ・ドレーガー症候群)、孤発性および家族性アルツハイマー病、アルツハイマー病レビー小体亜型、びまん性レビー小体病、レビー小体型認知症、ならびに純粋自律神経機能不全症(ブラッドバリー・エグルストン症候群としても知られる)を含む。ある種の実施形態では、かかる疾患、障害、および状態は、シヌクレイン病と称される。ある種の実施形態では、かかるシヌクレイン病は、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、および純粋自律神経機能不全症を含む。
【0009】
かかる疾患、障害、および状態は、一般的に、1つ以上の危険因子、原因、または転帰を有し得る。神経変性疾患、特に、シヌクレイン病の発症のある危険因子および原因は、老化、神経毒への暴露、遺伝的素質、ならびに外傷を含む。
【0010】
ある種の実施形態では、治療の方法は、それを必要とする個体に、α−シヌクレイン特異的阻害剤を投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的なものでしかなく、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で使用されるとき、単数形の使用は、別段の指示がない限り、複数を含む。本明細書で使用されるとき、「または」は、別段の指示がない限り、「および/または」を意味する。加えて、本明細書で使用されるとき、別段の指示がない限り、「および」は、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる」ならびに「含む」および「含まれる」等の他の形態の使用も限定的なものではない。また、「要素」または「構成要素」等の用語は、別段の指示がない限り、1つのユニットを含む、要素および構成要素と、2つ以上のサブユニットを含む、要素および構成要素の両方を包含する。
【0012】
本明細書で使用される項目見出しは、構成的な目的のためでしかなく、説明される主題を限定すると解釈すべきではない。限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、および論文を含む、本願に引用される、あらゆる文書または文書の一部は、本明細書で論じられる文書の一部に対して、ならびにその全体として、参照することによって、明示的に本明細書に組み込まれる。
【0013】
定義
特定の定義がなされない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、医学および薬化学と関連して利用される命名法、ならびにその手順および技法は、当技術分野において公知であって、一般的に使用されるものである。標準的技法が、化学合成および化学分析のために使用されてもよい。許可される場合、あらゆる特許、出願、公開出願、および他の刊行物、米国立生物工学情報センター(NCBI)等のデータベースを通して入手可能なGENBANK登録番号および関連付けられた配列情報、ならびに本開示全体を通して参照される他のデータは、本明細書で論じられる文書の一部に対して、ならびにその全体として、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0014】
別段の指示がない限り、次の用語は、次の意味を有する。
【0015】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH−OCHともいう)は、フロシル環の2’位のO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチル修飾糖は、修飾糖である。
【0016】
「2’−O−メトキシエチルヌクレオチド」は、2’−O−メトキシエチル修飾糖部分を含む、ヌクレオチドを意味する。
【0017】
「5−メチルシトシン」は、メチル基が5’位に付着して修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは、修飾核酸塩基である。
【0018】
「活性医薬品」は、個体に投与されると、治療利益を提供する、医薬組成物中の物質または複数の物質を意味する。例えば、ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸へ標的指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、活性医薬品である。
【0019】
「活性標的領域」または「標的領域」は、1つ以上の活性アンチセンス化合物が標的指向される領域を意味する。「活性アンチセンス化合物」は、標的核酸レベルまたはタンパク質レベルを減少させるアンチセンス化合物を意味する。
【0020】
「同時に投与される」は、両剤の薬理効果が患者において同時に顕在化される、任意の様式における、2つの薬剤の同時投与を指す。同時投与は、両剤が単一の医薬組成物において、同一剤形において、または同一投与経路によって投与されることを要求しない。両剤の効果は、同時に顕現される必要はない。その効果は、ある時間期間の間だけ重複し、共存する必要はない。
【0021】
「投与すること」は、医薬品を個体に提供することを意味し、限定されないが、医療従事者による投与および自己投与を含む。
【0022】
「α−シヌクレイン核酸」または「α−シヌクレイン」または「SNCA」または「a−SYN」は、α−シヌクレインをコードする任意の核酸を意味する。例えば、ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸は、α−シヌクレインをコードするDNA配列、α−シヌクレインをコードするDNAから転写されるRNA配列(イントロンおよびエクソンを含む、ゲノムDNAを含む)、およびα−シヌクレインをコードするmRNA配列を含む。「α−シヌクレインmRNA」は、α−シヌクレインタンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0023】
「α−シヌクレイン特異的阻害剤」は、標的外効果がほとんどもしくは全くない、α−シヌクレインmRNAおよび/またはα−シヌクレインタンパク質の発現を阻害することが可能な任意の薬剤を指す。α−シヌクレイン特異的阻害剤として、α−シヌクレインmRNAおよび/またはα−シヌクレインタンパク質の発現を阻害することが可能である、核酸(アンチセンス化合物を含む)、ペプチド、抗体、小分子、および他の薬剤が挙げられるが、それらに限定されない。ある種の実施形態では、α−シヌクレインmRNA発現および/またはα−シヌクレインタンパク質発現を特異的に調節することによって、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、他の下流タンパク質および分子に影響を及ぼす。
【0024】
「改善」は、関連付けられた疾患、障害、または状態の少なくとも1つの指標、徴候、または症状を軽減することを指す。指標の重症度は、当業者に公知である、主観的または客観的尺度によって決定されてもよい。
【0025】
「動物」は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、および非ヒト霊長動物、限定されないが、サルおよびチンパンジーを含む、を含む、ヒトまたは非ヒト動物を指す。
【0026】
「抗体」は、ある方法において、抗原と特異的に反応することを特徴とする、分子を指し、抗体および抗原は各々、反対の観点から定義される。抗体は、重鎖、軽鎖、Fab領域、およびFc領域等、完全抗体分子あるいはその任意の断片またはその領域を指し得る。
【0027】
「アンチセンス活性」は、その標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションに起因する、任意の検出可能または測定可能活性を意味する。ある種の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸またはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量あるいは発現における低下である。
【0028】
「アンチセンス化合物」は、水素結合を介して標的核酸にハイブリダーセーションすることが可能なオリゴマー化合物を意味する。
【0029】
「アンチセンス阻害」は、アンチセンス化合物の不在下における標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下における標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルの減少を意味する。
【0030】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸の対応する領域またはセグメントへのハイブリダイゼーションを許容する核酸塩基配列を有する、1本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0031】
「二環式糖」は、2つの原子の架橋によって修飾されるフロシル環を意味する。二環式糖は、修飾糖である。
【0032】
「二環式ヌクレオシド」は、糖環の2つの炭素原子を接続する架橋を含む糖部分を有し、それによって、二環式環系を形成する、ヌクレオシドを意味する。ある種の実施形態では、架橋は、糖環の4’−炭素および2’−炭素を接続する。
【0033】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」は、アンチセンス化合物のいずれの末端でも取り込まれた化学修飾を意味する。
【0034】
「cEt」または「拘束エチル」は、4’−炭素および2’−炭素を接続する架橋を含む糖部分を有する、二環式ヌクレオシドを意味し、架橋は、化学式:4’−CH(CH)−O−2’を有する。
【0035】
「化学的に異なる領域」は、いくつかの点において、同一アンチセンス化合物の別の領域と化学的に異なる、アンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を伴わないヌクレオチドを有する領域と化学的に異なる。
【0036】
「キメラアンチセンス化合物」は、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有する、アンチセンス化合物を意味する。
【0037】
「同時投与」は、2つ以上の医薬品の個体への投与を意味する。2つ以上の医薬品は、単一医薬組成物中にあってもよく、または別個の医薬組成物中にあってもよい。2つ以上の医薬品は各々、同一または異なる投与経路を通して投与されてもよい。同時投与は、並行または連続投与を包含する。
【0038】
「相補性」は、第1の核酸および第2の核酸の核酸塩基間で対合する能力を意味する。
【0039】
「連続核酸塩基」は、相互に直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0040】
「希釈剤」は、薬理活性を欠くが、薬学的に必要または望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注射用組成物中の希釈剤は、液剤、例えば、生理食塩水溶液であり得る。
【0041】
「用量」は、単回投与または規定された時間期間において提供される、医薬品の規定された量を意味する。ある種の実施形態では、用量は、1つ、2つ、またはそれ以上のボーラス、錠剤、または注射剤において投与されてもよい。例えば、皮下投与が所望される、ある種の実施形態では、所望の用量は、単回注射剤によって容易に対応されない容量を要求し、したがって、2つ以上の注射剤を使用して、所望の用量を達成してもよい。ある種の実施形態では、医薬品は、延長された時間期間にわたって、または連続的に、注入によって投与される。用量は、1時間、1日、1週間、または1ヶ月あたりの医薬品の量として述べられ得る。
【0042】
「有効量」は、薬剤を必要とする個体において、所望の生理学的転帰をもたらすために十分な活性医薬品の量を意味する。有効量は、治療される個体の健康および身体状態、治療される個体の分類学的な群、組成物の製剤、個体の状態の査定、および他の関連要因に応じて、個体間で変動し得る。
【0043】
「完全に相補的」または「100%相補的」は、第1の核酸の各核酸塩基が、第2の核酸において相補的核酸塩基を有することを意味する。ある種の実施形態では、第1の核酸は、アンチセンス化合物であって、標的核酸は、第2の核酸である。
【0044】
「ギャップマー」は、RNaseH切断を支援する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1個以上のヌクレオシドを有する外部領域間に位置付けられる、キメラアンチセンス化合物を意味し、内部領域を含むヌクレオシドは、外部領域を含むヌクレオシドまたは複数のヌクレオシドと化学的に異なる。内部領域は、「ギャップ」と称され、外部領域は、「ウィング」と称され得る。
【0045】
「ギャップ拡張」は、1〜6個のヌクレオシドを有する5’および3’ウィングセグメント間およびそれに直接隣接して位置付けられる、12個以上の連続2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有する、キメラアンチセンス化合物を意味する。
【0046】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。ある種の実施形態では、相補的核酸分子は、アンチセンス化合物および標的核酸を含む。
【0047】
「神経変性疾患の危険状態にある動物を同定すること」は、神経変性疾患と診断された動物を同定すること、または神経変性疾患を発症する素因がある動物を同定することを意味する。かかる同定は、個体の病歴を評価すること、および標準的臨床検査または査定を含む、任意の方法によって達成されてもよい。
【0048】
「直接隣接する」は、直接隣接する要素間に介在要素が存在しないことを意味する。
【0049】
「α−シヌクレインを阻害すること」は、α−シヌクレイン特異的阻害剤の不在下におけるα−シヌクレインmRNAおよび/またはタンパク質レベルの発現と比較した、α−シヌクレイン特異的阻害剤の存在下におけるα−シヌクレインmRNAおよび/またはタンパク質レベルの発現の減少を意味する。
【0050】
「個体」は、治療または療法のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0051】
「ヌクレオシド間結合」は、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0052】
「結合されたヌクレオシド」は、共に結合される隣接するヌクレオシドを意味する。
【0053】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」は、第1の核酸の核酸塩基が、第2のまたは標的核酸の対応する核酸塩基と対合することが不可能である場合を指す。
【0054】
「修飾ヌクレオシド間結合」は、天然に存在するヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換または任意の変化を指す。
【0055】
「修飾核酸塩基」は、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、またはウラシル以外の任意の核酸塩基を指す。「非修飾核酸塩基」は、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、およびピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を意味する。
【0056】
「修飾ヌクレオチド」は、独立して、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合、または修飾核酸塩基を有する、ヌクレオチドを意味する。「修飾ヌクレオシド」は、独立して、修飾糖部分または修飾核酸塩基を有する、ヌクレオシドを意味する。
【0057】
「修飾オリゴヌクレオチド」は、修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖、または修飾核酸塩基を含む、オリゴヌクレオチドを意味する。
【0058】
「修飾糖」は、天然糖からの置換または変化を指す。
【0059】
「モチーフ」は、アンチセンス化合物中の化学的に異なる領域のパターンを意味する。
【0060】
「天然に存在するヌクレオシド間結合」は、3’からの5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0061】
「天然糖部分」は、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)に見出される糖を意味する。
【0062】
「神経変性疾患」は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造または機能の進行性消失を特徴とする、疾患を意味する。
【0063】
「核酸」は、モノマーヌクレオチドから構成される分子を指す。核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、1本鎖核酸、2本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、およびミクロRNA(miRNA)を含む。
【0064】
「核酸塩基」は、別の核酸の塩基と対合することが可能な複素環式部分を意味する。
【0065】
「核酸塩基配列」は、任意の糖、結合、または核酸塩基修飾とも無関係な連続核酸塩基の順序を意味する。
【0066】
「ヌクレオシド」は、糖に結合された核酸塩基を意味する。
【0067】
「ヌクレオシド模倣体」は、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、二環または三環糖模倣体、例えば、非フラノース糖単位を有する、ヌクレオシド模倣体等のオリゴマー化合物の1つ以上の位置において、必ずしもではないが、糖または糖および塩基を置換するために使用される構造を含む。ヌクレオチド模倣体は、例えば、ペプチド核酸またはモルホリノ(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステル結合によって結合されるモルホリノ)等のオリゴマー化合物の1つ以上の位置において、ヌクレオシドおよび結合を置換するために使用される構造を含む。糖代用物は、やや広義では、ヌクレオシド模倣体と重なるが、糖単位(フラノース環)の置換だけを示す。本明細書に提供するテトラヒドロピラニル環は、フラノース糖基がテトラヒドロピラニル環系で置換された糖代用物の1例の例示である。
【0068】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0069】
「標的外効果」は、意図された標的核酸以外の遺伝子のRNAまたはタンパク質発現の調節と関連付けられた望ましくないまたは有害生物学的効果を指す。
【0070】
「オリゴマー化合物」または「オリゴマー」は、核酸分子の少なくとも1つの領域へハイブリダイズすることが可能である、結合されたモノマーサブユニットのポリマーを意味する。
【0071】
「オリゴヌクレオチド」は、その各々が、互いに独立して、修飾または非修飾であり得る、結合されたヌクレオシドのポリマーを意味する。
【0072】
「非経口投与」は、注射または注入を通しての投与を意味する。非経口投与は、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または頭蓋内投与、例えば、鞘内または脳室内投与を含む。
【0073】
「ペプチド」は、アミド結合によって、少なくとも2個のアミノ酸を結合することによって形成される分子を意味する。ペプチドは、ポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0074】
「医薬組成物」は、個体に投与するための好適な物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、1つ以上の活性医薬品および滅菌水溶液剤を含んでもよい。
【0075】
「薬学的に許容される塩」は、アンチセンス化合物の生理学的および薬学的に許容される塩、すなわち、親オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を留保し、望ましくない毒性効果をそこに付与しない、塩を意味する。
【0076】
「ホスホロチオエート結合」は、ヌクレオシド間の結合を意味し、ホスホジエステル結合は、非架橋酸素原子の1個を硫黄原子と置換することによって修飾される。ホスホロチオエート結合(P=S)は、修飾ヌクレオシド間結合である。
【0077】
「部分」は、一定数の核酸の連続(すなわち、結合)核酸塩基を意味する。ある種の実施形態では、部分は、標的核酸の一定数の連続核酸塩基である。ある種の実施形態では、部分は、アンチセンス化合物の一定数の連続核酸塩基である。
【0078】
「防止する」は、疾患、障害、または状態の発病あるいは発症を数分の時間期間から無限に遅延もしくは未然に防ぐことを指す。防止はまた、疾患、障害、または状態を発症する危険を減少させることを意味する。
【0079】
「プロドラッグ」は、不活性形態で調製され、内因性の酵素あるいは他の化学物質または条件の作用によって、身体またはその細胞内において、活性形態に変換される、治療薬剤を意味する。
【0080】
「副作用」は、所望の効果以外の治療に起因する生理学的応答を意味する。ある種の実施形態では、副作用は、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系の異常、ミオパシー、および倦怠感を含む。例えば、血清アミノトランスフェラーゼレベルの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。
【0081】
「1本鎖オリゴヌクレオチド」は、相補鎖へハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0082】
「特異的にハイブリダイズし得る」は、所望の効果を引き起こすのにアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に十分な程度の相補性を有する一方、特異的結合が、所望される条件の下、すなわち、体内アッセイおよび療法的治療の場合における生理学的条件下において、非標的核酸に最小限または全く効果を示さない、アンチセンス化合物を指す。
【0083】
「標的指向する」または「標的指向される」は、標的核酸へ特異的にハイブリダイズして、所望の効果を引き起こすアンチセンス化合物の設計および選択のプロセスを意味する。
【0084】
「標的核酸」、「標的RNA」、「標的mRNA」、および「標的RNA転写物」はすべて、アンチセンス化合物によって標的指向されることが可能な核酸を指す。
【0085】
「標的セグメント」は、アンチセンス化合物が標的指向される、標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」は、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」は、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。
【0086】
「治療的有効量」は、個体へ治療利益をもたらす医薬品の量を意味する。
【0087】
「治療する」は、疾患、障害、または状態の可変または改善をもたらすための医薬組成物を投与することを指す。
【0088】
「非修飾ヌクレオチド」は、天然に存在する核酸塩基、糖部分、およびヌクレオシド間結合から構成される、ヌクレオチドを意味する。ある種の実施形態では、非修飾ヌクレオチドは、RNAヌクレオチド(すなわち、β−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわち、β−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0089】
ある種の実施形態
本発明の実施形態は、α−シヌクレインmRNAおよびタンパク質の発現を阻害するための方法、化合物、および組成物を提供する。
【0090】
本発明の実施形態は、それを必要とする個体において、α−シヌクレインと関連付けられた疾患、障害、および状態の治療、予防、または改善のための方法を提供する。また、α−シヌクレインと関連付けられた疾患、障害、または状態の治療、予防、あるいは改善のための薬物の調製のための方法も想定される。α−シヌクレインと関連付けられた疾患、障害、および状態は、神経変性疾患、ならびにパーキンソン病、認知症、多系統萎縮症(また、シャイ・ドレーガー症候群)、孤発性および家族性アルツハイマー病、アルツハイマー病レビー小体亜型、びまん性レビー小体病、およびレビー小体型認知症を含む、シヌクレイン病を含む。
【0091】
本発明の実施形態は、α−シヌクレインと関連付けられた疾患を治療、防止、または改善するためのα−シヌクレイン特異的阻害剤の使用を提供する。ある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、α−シヌクレインmRNAおよび/またはα−シヌクレインタンパク質の発現を阻害することが可能な核酸(アンチセンス化合物を含む)、ペプチド、抗体、小分子、および他の薬剤である。
【0092】
本発明のある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、限定されないが、合成構造物α−シヌクレイン(68−78)、Neurosci.Lett.2004.359:89−93に説明されるようなG1y73におけるN−メチル体、J.Biol.Chem.2000.275:25109−25112に説明されるようなSNCA(25−35)のN−メチル化誘導体、FASEB J.2004.18:1315−1317に説明されるようなASIペプチド、Biochem.Soc.Trans.2005.33:1106−1110に説明されるようなRGAVVTGR−アミドおよびRGGAVVTGRRRRRR−アミド、J.Neurosci.2010.30:2454−2463に説明されるようなFK506、Protein Sci.2008.17:1395−1402に説明されるような組織トランスグルタミナーゼ、J.Biol.Chem.2005.280:7562−7569に説明されるようなβ−シヌクレイン、ならびに第US2009/0286745号に説明されるようなα−シヌクレイン配列のレトロエナンチオマーである、ペプチジル化合物等のペプチドまたはタンパク質である。
【0093】
本発明のある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、限定されないが、Mol.Ther.2004.10:1023−1031に説明されるようなヒト1本鎖Fv(scFv)抗体、D10、第USPN7,727,957号に説明されるようなヒトα−SNCA抗体、第USPN6,890,535号に説明されるような抗シヌクレイン抗体、第USPPN2010/0278814号に説明されるようなヒト化またはキメラ9E4抗体、第USPPN2010/0031377号に説明されるようなマウスモノクロナール抗体6H7のヒト化バージョン、ならびに第USPPN2008/0300204号に説明されるようなヒト化抗シヌクレインモノクロナール抗体等の抗体である。
【0094】
本発明のある種の実施形態では、α−シヌクレイン特異的阻害剤は、限定されないが、Curr.Pharm.Des.2008.14:3247−3266に説明されるようなクルクミン、ニコチン、およびワイン関連ポリフェノール、Biochim.Biophys.Acta 2005.1703:157−169に説明されるような4% H、J.Mol.Biol.2010.Nov.1st.Epub ahead of printに説明されるようなセレギリン、J.Neurochem.2010.114:419−429に説明されるようなバイカレイン;Proc.Natl.Acad.Sci USA.2009.106:1057−62に説明されるような環状テトラピロールフタロシアニンテトラスルホン酸、J.Pharmacol.Exp.Ther.2010.332:849−857に説明されるようなSNX−0723、Biochem.Biophys.Res.Commun.2010.391:461−466に説明されるようなN’−ベンズアルデヒドベンゾイルヒドラゾン化合物、Neurotox.Res.2010.17:215−227に説明されるようなMG132およびエポキソミシン、Biochemistry.2009.48:8322−8334に説明されるようなコンゴレッドおよびラクモイド、Biochemistry.2009.48:8206−8224に説明されるようなフラボノイドキニーネ、Neurotox.Res.2010.17:130−141に説明されるようなバルプロ酸、J.Mol.Biol.2009.388:597−610に説明されるような3,4−ジドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、Macromol.Biosci.2009.9:230−238に説明されるようなPAMAMデンドリマー、PLoS One.2008.3:e3394に説明されるようなドーパミン、J.Pineal Res.2007.42:125−130に説明されるようなメラトニン、Brain Res.2007.1139:220−225およびChem.Biol.2004.11:1513−1521に説明されるようなリファンピシン、Biochemistry.2007.46:4868−1877に説明されるようなガングリオシドGM1、J.Biol.Chem.2007.282:5862−5870に説明されるような4−ヒドロキシ−2−ノネナール、J.Biol.Chem.2007.282:5641−5652に説明されるようなトレハロース、J.Biol.Chem.2003.278:16873−16877に説明されるような1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート/1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、および1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−RAC−(1−グリセロール)/1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、第USPPN2010/0179223号および第USPN7,763,747号に説明されるようなビス−およびトリス−ジヒドロキシアリール化合物およびそのメチレンジオキシ類似体、第USPPN2010/0261753号に説明されるような5−(フルオロメチル)ピペリジン−3,4−ジオール、5−(クロロメチル)ピペリジン−3,4−ジオール、第USPPN2010/0056622号に説明されるようなラメルテオン、第USPPN2010/0036122号に説明されるような切断剤、第USPPN2009/0123575号に説明されるようなキャッツクロー抽出物、イチョウ、緑茶抽出物、ブドウ種子抽出物、およびクルクミン、第USPPN2008/0306143号に説明されるようなカテキンまたは緑茶抽出物、第USPPN2007/0213366号に説明されるようなファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤等の小分子である。
【0095】
本発明の実施形態は、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物を提供する。ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸は、配列番号1として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号NM_000345.3、配列番号2として本明細書に組み込まれるヌクレオチド15140000から15255000が切断されたGENBANK登録番号NT_016354.17の相補体、配列番号3として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号NM_007308.1、配列番号4として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号L36674.1、配列番号5として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BC013293.2、配列番号6として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BG701026.1、または配列番号7として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BM069769.1に記載の配列のいずれかである。
【0096】
ある種の実施形態では、本発明は、修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。ある種の実施形態では、本発明の化合物は、12〜30個の結合されたヌクレオシドから成る、修飾オリゴヌクレオチドを含む。
【0097】
ある種の実施形態では、本発明の化合物は、配列番号1、2、3、4、5、6、または7の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含む、修飾オリゴヌクレオチドを含んでもよい。ある種の実施形態では、本発明の化合物は、配列番号1、2、3、4、5、6、または7の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含む、修飾オリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0098】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基404〜463の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基404〜463の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、SH−SY5Y細胞(例えば、実施例6に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも40%の阻害を達成し得る。
【0099】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基107〜126の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基107〜126の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも70%の阻害を達成し得る。
【0100】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基236〜301の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基236〜301の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも70%の阻害を達成し得る。
【0101】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基304〜331の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基304〜331の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも70%の阻害を達成し得る。
【0102】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基361〜400の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基361〜400の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも70%の阻害を達成し得る。
【0103】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基404〜423の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基404〜423の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも90%の阻害を達成し得る。
【0104】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基444〜463の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基444〜463の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも90%の阻害を達成し得る。
【0105】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基469〜488の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基469〜488の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも90%の阻害を達成し得る。
【0106】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基542〜573の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基542〜573の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも60%の阻害を達成し得る。
【0107】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基607〜721の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基607〜721の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも30%の阻害を達成し得る。
【0108】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基734〜837の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基734〜837の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも30%の阻害を達成し得る。
【0109】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基881〜927の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基881〜927の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも60%の阻害を達成し得る。
【0110】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基952〜983の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基952〜983の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも40%の阻害を達成し得る。
【0111】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1001〜1020の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1001〜1020の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも80%の阻害を達成し得る。
【0112】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1030〜1049の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1030〜1049の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも30%の阻害を達成し得る。
【0113】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1055〜1091の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1055〜1091の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも80%の阻害を達成し得る。
【0114】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1242〜1261の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1242〜1261の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも20%の阻害を達成し得る。
【0115】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1292〜1333の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1292〜1333の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも20%の阻害を達成し得る。
【0116】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1345〜1374の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1345〜1374の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも20%の阻害を達成し得る。
【0117】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1432〜1501の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1432〜1501の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも30%の阻害を達成し得る。
【0118】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1522〜1541の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1522〜1541の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも40%の阻害を達成し得る。
【0119】
ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1の核酸塩基1703〜1742の少なくとも一部に相補的である核酸塩基配列を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む、化合物を提供する。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基1703〜1742の等長部分に相補的である少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個の連続核酸塩基を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1の等長部分に100%相補的である核酸塩基配列を含んでもよい。該修飾オリゴヌクレオチドは、任意に、HuVEC細胞(例えば、実施例1に説明されるような)において、RT−PCRアッセイ法を使用して決定されるように、ヒトmRNAレベルの少なくとも60%の阻害を達成し得る。
【0120】
本発明の実施形態は、配列番号11〜88および98〜136に列挙される核酸塩基配列の中から選択される、核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、12〜30個の結合されたヌクレオシドを含む、修飾オリゴヌクレオチドを提供する。
【0121】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0122】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、ヒトα−シヌクレイン核酸に100%相補的である、核酸塩基配列を有する。
【0123】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合を含む。
【0124】
ある種の実施形態では、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0125】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾糖を含む。
【0126】
ある種の実施形態では、修飾糖は、二環式糖である。
【0127】
ある種の実施形態では、二環式糖は、4’−CH(CH)−O−2’架橋を含む。
【0128】
ある種の実施形態では、少なくとも1個のテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドを含み、テトラヒドロピラン環は、フラノース環を置換する。
【0129】
ある種の実施形態では、少なくとも1個のテトラヒドロピラン修飾ヌクレオシドの各々は、以下の構造を有し、
【化1】
式中、Bxは、任意に保護されるヘテロ環塩基部分である。
【0130】
ある種の実施形態では、修飾糖は、2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0131】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1個のヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含む。
【0132】
ある種の実施形態では、修飾核酸塩基は、5−メチルシトシンである。
【0133】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)結合されたデオキシヌクレオシドから成るギャップセグメントと、
(ii)結合されたヌクレオシドから成る5’ウィングセグメントと、
(iii)結合されたヌクレオシドから成る3’ウィングセグメントと、
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントと3’ウィングセグメントとの間に位置付けられ、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは、修飾糖を含む。
【0134】
ある種の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、
(i)10個の結合されたデオキシヌクレオシドから成るギャップセグメントと、
(ii)5個の結合されたヌクレオシドから成る5’ウィングセグメントと、
(iii)5個の結合されたヌクレオシドから成る3’ウィングセグメントと、
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントと3’ウィングセグメントとの間に位置付けられ、各ウィングセグメントの各ヌクレオシドは、2’−O−メトキシエチル糖を含み、各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合であって、各シトシンは、5−メチルシトシンである。
【0135】
本発明の実施形態は、神経変性疾患を有する動物を同定することと、該動物に、配列番号配列番号11〜88および98〜136に列挙される、核酸塩基配列の中から選択される、核酸塩基配列の少なくとも12個の連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、12〜30個の結合されたヌクレオシドから成る、修飾オリゴヌクレオチドを含む組成物の治療有効量を投与すること、のための方法を提供する。
【0136】
ある種の実施形態では、投与は、α−シヌクレインの発現を減少させる。
【0137】
ある種の実施形態では、投与は、運動協調を改善する。
【0138】
ある種の実施形態では、投与は、嗅覚を改善する。
【0139】
ある種の実施形態では、投与は、空間記憶を改善する。
【0140】
ある種の実施形態では、投与は、α−シヌクレインの凝集を減少させる。
【0141】
本発明の実施形態は、12〜30個の結合されたヌクレオシドから成り、配列番号1の等長部分の核酸塩基404〜463に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続核酸塩基の一部を含む核酸塩基配列を有する、修飾オリゴヌクレオチドを提供し、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号1に少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的である。
【0142】
本発明の実施形態は、動物において、α−シヌクレインの発現を減少させるための本明細書で説明される任意のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0143】
本発明の実施形態は、動物において、運動協調を改善するための本明細書で説明される任意のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0144】
本発明の実施形態は、動物において、α−シヌクレインの凝集を減少させるための本明細書で説明される任意のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0145】
本発明の実施形態は、動物に、α−シヌクレインの発現が阻害されるように、化合物の治療的有効量を投与することによって、α−シヌクレインと関連付けられた疾患または状態を有する動物の治療において使用するための本明細書で説明される任意のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0146】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物として、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣体、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAが挙げられるが、それらに限定されない。オリゴマー化合物は、標的核酸に「アンチセンス」であって、水素結合を通して、標的核酸にハイブリダイゼーションを起こすことが可能であることを意味し得る。
【0147】
ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、5’から3’方向に書かれる時、標的指向される、標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む、核酸塩基配列を有する。ある種のかかる実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に書かれる時、標的指向される、標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む、核酸塩基配列を有する。
【0148】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、12〜30個のサブユニットの長さである。言い換えると、かかるアンチセンス化合物は、12〜30個の結合されたサブユニットである。他の実施形態では、アンチセンス化合物は、8〜80、12〜50、15〜30、18〜24、19〜22、または20個の結合されたサブユニットである。ある種のかかる実施形態では、アンチセンス化合物は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80個の結合されたサブユニットの長さ、または前述の値のうちの任意の2つによって画定される範囲である。いくつかの実施形態では、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、結合されたサブユニットは、ヌクレオチドである。
【0149】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、短縮または切断され得る。例えば、単一サブユニットは、5’端(5’切断)、または代替として、3’端(3’切断)から欠失されてもよい。α−シヌクレイン核酸に対して標的指向される短縮または切断されたアンチセンス化合物は、5’端から欠失された2つのサブユニットを有してもよく、または代替として、アンチセンス化合物の3’端から欠失された2つのサブユニットを有してもよい。代替として、欠失されたヌクレオシドは、アンチセンス化合物全体に分散してもよく、例えば、あるアンチセンス化合物では、1個のヌクレオシドが、5’端から欠失され、1個のヌクレオシドが、3’端から欠失されている。
【0150】
延長されたアンチセンス化合物中に単一の付加サブユニットが存在するとき、付加サブユニットは、アンチセンス化合物の5’または3’端に位置してよい。2つ以上の付加サブユニットが存在するとき、付加されたサブユニットは、互いに隣接してよく、例えば、あるアンチセンス化合物では、2つのサブユニットがアンチセンス化合物の5’端へ付加(5’付加)される、または代替として、3’端へ付加(3’付加)されてもよい。代替として、付加されたサブユニットは、アンチセンス化合物全体に分散してよく、例えば、あるアンチセンス化合物では、1つのサブユニットが5’端へ付加して、1つのサブユニットが3’端へ付加している。
【0151】
活性を消失させること無く、アンチセンスオリゴヌクレオチドのようなアンチセンス化合物の長さを増加あるいは減少させること、および/またはミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Woolf et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305−7309,1992)では、長さが13〜25核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドの系列について、卵母細胞注入モデルにおいて標的RNAの切断を誘導するその能力が試験された。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端付近に8または11のミスマッチ塩基がある、長さが25核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含有しないアンチセンスオリゴヌクレオチドより低い程度であったが、標的mRNAの特異的な切断を指令することができた。同様に、1または3つのミスマッチがあるものが含まれる、13核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、標的特異的な切断が達成された。
【0152】
Gautschi et al(J.Natl.Cancer Inst.93:463−471,March 2001)は、bcl−2 mRNAへの100%相補性を有して、bcl−xL mRNAに対して3つのミスマッチを有するオリゴヌクレオチドがbcl−2とbcl−xLの両方の発現を体外および体内で低下させる能力を実証した。さらに、このオリゴヌクレオチドは、強力な抗腫瘍活性を体内で明示した。
【0153】
Maher and Dolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341−3358,1988)は、タンデム14核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドの系列と、このタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドの2または3の配列より構成される、各々28および42の核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ウサギ網状赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を阻止するその能力を試験した。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々は、28または42の核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドより控え目なレベルであるものの、単独で翻訳を阻害することができた。
【0154】
アンチセンス化合物モチーフ
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、抑制活性の増強、標的核酸への結合親和性の増加、または体内ヌクレアーゼによる分解への抵抗性といった特性をそのアンチセンス化合物へ付与する、パターン配置された化学修飾サブユニットまたはモチーフを有する。
【0155】
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解への抵抗性増加、細胞取り込み増加、標的核酸への結合親和性の増加、および/または抑制活性の増加を付与するように修飾された、少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は、任意に、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する、細胞性エンドヌクレアーゼRNaseHの基質としての役割を果たしてもよい。
【0156】
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物は、キメラアンチセンス化合物とみなされる。ギャップマーでは、RNaseH切断切断を支援する複数のヌクレオチドを有する内部領域が、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ウィングセグメントが修飾ヌクレオシドを含むのに対し、ギャップセグメントは、概して、エンドヌクレアーゼ切断の基質としての役割を果たす。ある種の実施形態では、ギャップマーの領域は、各々異なる領域を含む糖部分の種類によって区別される。ギャップマーの領域を区別するために使用される糖部分の種類として、いくつかの実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’−修飾ヌクレオシド(かかる2’−修飾ヌクレオシドは、とりわけ、2’−MOE、および2’−O−CHを含んでもよい)、および二環式糖修飾ヌクレオシド(かかる二環式糖修飾ヌクレオシドは、4’−(CH2)n−O−2’架橋を有するものを含んでもよく、ここでは、n=1またはn=2である)が挙げられ得る。好ましくは、各異なる領域は、均一の糖部分を含む。ウィング−ギャップ−ウィングモチーフは、多くの場合、「X−Y−Z」と記載され、ここでは、「X」は、5’ウィング領域の長さを表し、「Y」は、ギャップ領域の長さを表し、「Z」は、3’ウィング領域の長さを表す。本明細書で使用されるとき、「X−Y−Z」として記載されるギャップマーは、ギャップセグメントが、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの各々に直接隣接して位置付けられるような構成を有する。したがって、5’ウィングセグメントとギャップセグメントとの間、またはギャップセグメントと3’ウィングセグメントとの間に介在ヌクレオチドは存在しない。本明細書で説明されるアンチセンス化合物のいずれも、ギャップマーモチーフを有する可能性がある。いくつかの実施形態では、XおよびZは、同一であって、他の実施形態では、異なる。好ましい実施形態では、Yは、8から15のヌクレオチドである。X、Y、またはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、またはそれ以上のヌクレオチドのいずれかであり得る。したがって、本発明のギャップマーとして、例えば、5−10−5、4−8−4、4−12−3、4−12−4、3−14−3、2−13−5、2−16−2、1−18−1、3−10−3、2−10−2、1−10−1、2−8−2、5−8−5、または6−8−6が挙げられるが、それらに限定されない。
【0157】
ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、ウィング−ギャップまたはギャップ−ウィング構成、すなわち、ギャップマー構成について上記に説明されるようなX−YまたはY−Z構成を有する、「ウィングマー」モチーフを有する。したがって、本発明のウィングマー構成として、例えば、5−10、8−4、4−12、12−4、3−14、16−2、18−1、10−3、2−10、1−10、8−2、2−13、5−13、5−8、または6−8が挙げられるが、それらに限定されない。
【0158】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、5−10−5ギャップマーモチーフを保有する。
【0159】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、ギャップ拡張モチーフを有する。
【0160】
標的核酸、標的領域、およびヌクレオチド配列
α−シヌクレインをコードするヌクレオチド配列は、限定ではないが、配列番号1として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号NM_000345.3、配列番号2として本明細書に組み込まれるヌクレオチド15140000から15255000が切断されたGENBANK登録番号NT_016354.17の相補体、配列番号3として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号NM_007308.1、配列番号4として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号L36674.1、配列番号5として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BC013293.2、配列番号6として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BG701026.1、または配列番号7として本明細書に組み込まれるGENBANK登録番号BM069769.1を含む。
【0161】
本明細書に含有される例において、各配列番号に記載される配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対するどの修飾とも無関係であると理解されたい。したがって、配列番号によって定義されるアンチセンス化合物は、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対する1つ以上の修飾を独立的に含んでよい。Isis番号(IsisNo)によって記載されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列およびモチーフの組み合わせを示す。
【0162】
ある種の実施形態では、標的領域は、標的核酸の構造的に規定される領域である。例えば、標的領域は、3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン接続部分、コーディング領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域、または他の規定核酸領域を包含し得る。α−シヌクレインに対して構造的に規定される領域は、NCBIのような配列データベースからの登録番号によって入手可能であって、かかる情報は、参照することによって本明細書に組み込まれる。ある種の実施形態では、標的領域は、標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から同一標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含し得る。
【0163】
標的指向することには、所望の効果が生じるようにアンチセンス化合物がハイブリダイズする、少なくとも1つの標的セグメントの決定が含まれる。ある種の実施形態では、所望の効果は、mRNA標的核酸レベルの低下である。ある種の実施形態では、所望の効果は、標的核酸によってコードされるタンパク質のレベルの低下、または標的核酸に関連した表現型の変化である。
【0164】
標的領域は、1つ以上の標的セグメントを含有してもよい。標的領域内の複数の標的セグメントは、重複してよい。代替として、非重複であってよい。ある種の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、約300以下のヌクレオチドによって分離している。ある種の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の一定数(すなわち、約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、または10である、それ以下である、または先行値の任意の2つによって規定される範囲である)のヌクレオチドによって分離している。ある種の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の5以下、または約5以下のヌクレオチドによって分離している。ある種の実施形態では、標的セグメントは、連続的である。考慮されるのは、本明細書に列挙される5’標的部位または3’標的部位のいずれかである、開始核酸を有する範囲によって規定される標的領域である。
【0165】
好適な標的セグメントは、5’UTR、コーディング領域、3’UTR、イントロン、エクソン、またはエクソン/イントロン接続部分内に見出され得る。開始コドンまたは終止コドンを含有する標的セグメントも、好適な標的セグメントである。好適な標的セグメントには、開始コドンまたは終止コドンのような、ある構造的に規定される領域が特異的に排除されてよい。
【0166】
好適な標的セグメントの決定は、標的核酸の配列を他の配列とゲノム全体で比較することを含めてもよい。例えば、BLASTアルゴリズムを使用して、異なる核酸の間で類似した領域を同定することができる。この比較により、選択される標的核酸以外の配列(すなわち、非標的または標的外配列)に非特異的な様式でハイブリダイズし得るアンチセンス化合物配列の選択を防止することができる。
【0167】
アンチセンス化合物の活性(例えば、標的核酸レベルの低下パーセントによって明確化されるような)には、活性標的領域内で変動があり得る。ある種の実施形態では、α−シヌクレインmRNAレベルの減少は、α−シヌクレイン発現の阻害を示す。α−シヌクレインタンパク質レベルの減少もまた、標的mRNA発現の阻害を示す。さらに、表現型の変化が、α−シヌクレイン発現の阻害を示す。例えば、運動協調の改善、安静時震顫の発生の減少、運動緩徐(運動緩慢)の発生の減少、硬直化または不変性の減少、平衡感覚の改善、微細運動の器用度の改善、粗大運動協調の改善、α−シヌクレインの凝集の減少、嗅覚喪失からの回復、および起立性低血圧の低下等の自律機能の改善である。
【0168】
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のアンチセンス化合物とα−シヌクレイン核酸との間でハイブリダイゼーションが起こる。最も一般的なハイブリダイゼーションの機序は、核酸分子の相補的な核酸塩基間での水素結合(例、ワトソン−クリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合)を伴う。
【0169】
ハイブリダイゼーションは、多様な条件の下で起こり得る。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、ハイブリダイズされる核酸分子の性質および組成によって決定される。
【0170】
ある配列が標的核酸へ特異的にハイブリダイズ可能であるかどうかを決定する方法は、当技術分野において公知である。ある種の実施形態では、本明細書に提供するアンチセンス化合物は、α−シヌクレイン核酸と特異的にハイブリダイズし得る。
【0171】
相補性
アンチセンス化合物と標的核酸は、アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が、所望の効果(例、α−シヌクレイン核酸のような標的核酸のアンチセンス阻害)が生じるように、標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができるとき、互いに相補的である。
【0172】
アンチセンス化合物とα−シヌクレイン核酸との間の非相補的な核酸塩基は、アンチセンス化合物が標的核酸へ特異的にハイブリダイズすることが可能なままであれば、忍容される場合がある。さらに、アンチセンス化合物は、介在または隣接セグメント(例えば、ループ構造、ミスマッチ、またはヘアピン構造)がハイブリダイゼーションイベントに関与しないように、α−シヌクレイン核酸1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズしてよい。
【0173】
ある種の実施形態では、本明細書に提供するアンチセンス化合物、またはその特定部分は、α−シヌクレイン核酸、標的領域、標的セグメント、またはその特定部分に少なくとも、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的である。アンチセンス化合物の標的核酸との相補性パーセントは、常法を使用して定量化することができる。
【0174】
例えば、アンチセンス化合物の20核酸塩基のうち18が標的領域に相補的であり、したがって、特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90パーセントの相補性を表すだろう。本例では、残る非相補的な核酸塩基は、密集していても、相補的な核酸塩基で分散されてもよく、互いに、または相補的な核酸塩基に連続している必要はない。したがって、長さが18の核酸塩基であり、標的核酸との完全な相補性の2つの領域によって隣接されている4つの非相補的な核酸塩基を有するアンチセンス化合物は、標的核酸と77.8%の全体相補性を有するので、本発明の範囲に入るだろう。標的核酸の領域とアンチセンス化合物の相補性パーセントは、当技術分野において公知のBLASTプログラム(基本ローカルアライメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403 410;Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649 656)を使用して、常法により定量化することができる。相同性パーセント、配列同一性、または相補性は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482 489)を用いたデフォルト設定を使用するギャッププログラム(ウィスコンシン配列解析パッケージ、バージョン8、Unix(登録商標)用、Genetics Computer Group,University Research Park,ウィスコンシン州マジソン)によって定量化することができる。
【0175】
ある種の実施形態では、本明細書に提供するアンチセンス化合物またはその特定部分は、標的核酸またはその特定部分に完全に相補的(すなわち、100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物は、α−シヌクレイン核酸、または標的領域、または標的セグメント、またはその標的配列に完全に相補的であり得る。本明細書で使用されるとき、「完全に相補的」は、アンチセンス化合物の各核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合することが可能であることを意味する。例えば、20核酸塩基アンチセンス化合物は、アンチセンス化合物に完全に相補的である標的核酸の対応する20核酸塩基部分が存在する限り、400核酸塩基長である標的配列に完全に相補的である。完全に相補的はまた、第1のおよび/または第2の核酸の特定部分を参照して使用することができる。例えば、30核酸塩基アンチセンス化合物の20核酸塩基部分は、400核酸塩基長である標的配列に「完全に相補的」であり得る。30核酸塩基オリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、標的配列が対応する20核酸塩基部分を有する場合、標的配列に完全に相補的であって、各核酸塩基は、アンチセンス化合物の20核酸塩基部分に相補的である。同時に、30核酸塩基アンチセンス化合物全体は、そのアンチセンス化合物の残る10核酸塩基も標的配列に相補的であるかどうかに依存して、標的配列に完全に相補的であり得るか、またはあり得ない。
【0176】
非相補的核酸塩基の場所は、アンチセンス化合物の5’端または3’端であり得る。代替として、非相補的核酸塩基または核酸塩基は、アンチセンス化合物の内部位置にあってよい。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在するとき、連続的(すなわち、結合される)または非連続的であってもよい。一実施形態では、非相補的核酸塩基は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウィングセグメント内に位置する。
【0177】
ある種の実施形態では、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20核酸塩基であるかまたはそれ以下であるアンチセンス化合物は、α−シヌクレイン核酸またはその特定部分のような標的核酸に関連して、4以下、3以下、2以下、または1以下の非相補的な核酸塩基を含む。
【0178】
ある種の実施形態では、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30核酸塩基であるかまたはそれ以下であるアンチセンス化合物は、α−シヌクレイン核酸またはその特定部分のような標的核酸に対して、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の非相補的な核酸塩基を含む。
【0179】
本明細書に提供するアンチセンス化合物には、標的核酸の一部分に相補的であるものも含まれる。本明細書で使用されるとき、「部分」は、標的核酸の領域またはセグメント内にある一定数の連続(すなわち、結合)核酸塩基を指す。「部分」はまた、アンチセンス化合物の一定数の連続核酸塩基を指し得る。ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも8つの核酸塩基部分に相補的である。ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも12の核酸塩基部分に相補的である。ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも15の核酸塩基部分に相補的である。また、考慮されるのは、標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上、あるいはこれらの値の任意の2つによって画定される範囲の核酸塩基部分に相補的であるアンチセンス化合物である。
【0180】
同一性
本明細書に提供するアンチセンス化合物はまた、特別なヌクレオチド配列、配列番号、または特定のIsis番号によって表される化合物、あるいはその部分に対して一定の同一性パーセントを有し得る。本明細書で使用されるとき、アンチセンス化合物は、同一核酸塩基対合能力を有する場合、本明細書に開示される配列と同一である。例えば、開示されるDNA配列においてチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、ウラシルとチミジンが共にアデニンと対合するので、そのDNA配列と同一であるとみなされよう。本明細書で説明されるアンチセンス化合物の短縮または延長バージョン、ならびに本明細書に提供するアンチセンス化合物に対して非同一の塩基を有する化合物も考慮される。この非同一の塩基は、互いに隣接していても、またはアンチセンス化合物全体に分散していてもよい。アンチセンス化合物の同一性パーセントは、比較される配列に対する、同一の塩基対合を有する塩基の数に従って計算される。
【0181】
ある種の実施形態では、アンチセンス化合物またはその部分は、本明細書に開示されるアンチセンス化合物または配列番号またはその部分のうちの1つ以上に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0182】
ある種の実施形態では、アンチセンス化合物の一部は、標的核酸の等長部分と比較される。ある種の実施形態では、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分は、標的核酸の等長部分と比較される。
【0183】
ある種の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの一部は、標的核酸の等長部分と比較される。ある種の実施形態では、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分は、標的核酸の等長部分と比較される。
【0184】
修飾
ヌクレオシドは、塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても知られる)部分は、通常、ヘテロ環塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むそれらのヌクレオシドでは、リン酸基は、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分に結合することができる。オリゴヌクレオチドは、相互に隣接するヌクレオシドの共有結合を通して形成され、線状のポリマーオリゴヌクレオチドを形成する。オリゴヌクレオチド構造の内部で、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間連結を形成すると称される。
【0185】
アンチセンス化合物への修飾には、ヌクレオシド間連結、糖部分、または核酸塩基への置換あるいは変化を包含する。修飾アンチセンス化合物は、多くの場合、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的への親和性の増強、ヌクレアーゼの存在下での安定性の増加、または抑制活性の増加のような望ましい特性のために、ネイティブ型に優って好ましい。
【0186】
化学修飾ヌクレオシドはまた、短縮または先端切断アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的核酸への結合親和性を増加させるために利用し得る。結果として、かかる化学修飾ヌクレオシドを有する、より短いアンチセンス化合物では、多くの場合、同等の結果を得ることができる。
【0187】
修飾ヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然に存在するヌクレオシド間結合は、3’から5’のホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾、すなわち、非天然に存在する、ヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、多くの場合、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的への親和性の増強、およびヌクレアーゼの存在下での安定性の増加のような望ましい特性のために、天然に存在するヌクレオシド間連結を有するアンチセンス化合物に優って選択される。
【0188】
修飾ヌクレオシド間連結を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子を保持するヌクレオシド間連結、ならびにリン原子を有さないヌクレオシド間連結を含む。代表的なリン含有ヌクレオシド間連結として、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、およびホスホロチオエートが挙げられるが、それらに限定されない。リン含有および非リン含有の結合の製造の方法は、公知である。
【0189】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある種の実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。ある種の実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0190】
修飾糖部分
本発明のアンチセンス化合物は、任意に、糖基が修飾された1つ以上のヌクレオシドを含有することができる。かかる糖修飾ヌクレオシドは、ヌクレアーゼ安定性の増強、結合親和性の増加、または他の何らかの有益な生物学的特性をアンチセンス化合物へ付与し得る。ある種の実施形態では、ヌクレオシドは、化学修飾リボフラノース環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例として、限定ではないが、置換基(5’および2’置換基を含む)の付加、ノンジェミナル環原子の架橋形成による二環式核酸(BNA)の形成、リボシル環酸素原子のS、N(R)、またはC(R1)(R)2(R=H、C−C12アルキル、または保護基)での置き換え、およびそれらの組み合わせが挙げられる。化学修飾糖の例として、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについての2008年8月21日公開のPCT国際出願第WO2008/101157号を参照されたい)、リボシル環酸素原子のSでの置き換えと2’位でのさらなる置換(公開された2005年6月16日公開の米国特許出願第US2005/0130923号を参照されたい)、または代替として、BNAの5’置換(2007年11月22日公開のPCT国際出願第WO2007/134181号を参照されたい。ここでLNAは、例えば5’−メチルまたは5’−ビニル基で置換される)が挙げられる。
【0191】
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例として、限定ではないが、5’−ビニル、5’−メチル(RまたはS)、4’−S、2’−F、2’−OCH、および2’−O(CH)2OCH置換基を含む、ヌクレオシドが挙げられる。2’位での置換基はまた、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C−C10アルキル、OCF、O(CH)2SCH、O(CH)2−O−N(Rm)(Rn)、およびO−CH−C(=O)−N(Rm)(Rn)から選択され得、各RmおよびRnは、独立して、Hまたは置換あるいは未置換C−C10アルキルである。
【0192】
本明細書で使用されるとき、「二環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分を含む修飾されたヌクレオシドを指す。二環式ヌクレオシドの例としては、限定ではないが、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。ある種の実施形態では、本明細書に提供するアンチセンス化合物は、1つ以上の二環式ヌクレオシドを含み、ここで架橋は、4’〜2’二環式ヌクレオシドを含む。かかる4’〜2’二環式ヌクレオシドの例としては、次の式のうちの1つが挙げられるが、これらに限定されない:4’−(CH)−O−2’(LNA)、4’−(CH)−S−2’、4’−(CH−O−2’(ENA)、4’−CH(CH)−O−2’、および4’−CH(CHOCH)−O−2’、およびそれらの類似体(2008年7月15日に発行された米国特許第7,399,845号を参照されたい)、4’−C(CH)(CH)−O−2’、およびそれらの類似体(2009年1月8日に公開されたPCT公開国際出願第WO/2009/006478号を参照されたい)、4’−CH−N(OCH)−2’、およびそれらの類似体(2008年12月11日に公開されたPCT公開国際出願第WO/2008/150729号を参照されたい)、4’−CH−O−N(CH)−2’(2004年9月2日に公開された公開米国特許出願第US2004/0171570号を参照されたい)、4’−CH−N(R)−O−2’(式中、Rは、H、C−C12アルキル、または保護基(2008年9月23日に発行された米国特許第7,427,672号を参照されたい)である)、4’−CH−C(H)(CH)−2’(Chattopadhyaya,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118−134を参照されたい)、ならびに4’−CH−C(=CH)−2’、およびそれらの類似体(2008年12月8日に公開されたPCT公開国際出願第WO2008/154401号を参照されたい)。また、例えば、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455−456;Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630;Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633−5638;Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222;Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035−10039;Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,129(26)8362−8379(Jul.4,2007);Elayadi et al.,Curr.Opinion Invens.Drugs,2001,2,558−561;Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8,1−7;Orum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239−243;米国特許第U.S.6,670,461号、第7,053,207号、第6,268,490号、第6,770,748号、第6,794,499号、第7,034,133号、第6,525,191号、第7,399,845号;公開PCT国際出願第WO2004/106356号、第WO94/14226号、第WO2005/021570号、および第WO2007/134181号、米国特許公報第US2004/0171570号、第US2007/0287831号、および第US2008/0039618;および米国特許第12/129,154号、第60/989,574号、第61/026,995号、第61/026,998号、第61/056,564号、第61/086,231号、第61/097,787号、および第61/099,844号;およびPCT国際出願第PCT/US2008/064591号、第PCT/US2008/066154号、および第PCT/US2008/068922号を参照されたい。前述の二環式ヌクレオシドは各々、例えば、α−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースを含む、1つ以上の立体化学糖構成を有するように調製することができる(第WO99/14226号として、1999年3月25日公開のPCT国際出願第PCT/DK98/00393号を参照されたい)。
【0193】
ある種の実施形態では、BNAヌクレオシドの二環式糖部分は、ペントフラノシル糖部分の4’位と2’位との間の少なくとも1個の架橋を有する化合物を含むが、これらに限定されず、ここでかかる架橋は独立して、−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=NR)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R−、−S(=O)−、および−N(R)−から独立して選択される1個または2〜4個の結合基を含み、
式中、
xは、0、1、または2であり、
nは、1、2、3、または4であり、
各RおよびRは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C−C脂環式ラジカル、置換C−C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルホキシル(S(=O)−J)であり、
各JおよびJは、独立して、H、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C−C12アミノアルキル、置換C−C12アミノアルキル、または保護基である。
【0194】
ある種の実施形態では、二環式糖部分の架橋は、−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−、または−C(R)−O−N(R)−である。ある種の実施形態では、架橋は、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH−N(R)−O−2’−であり、式中、各Rは、独立して、H、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0195】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドはさらに、異性体構成によって定義される。例えば、4’−2’メチレン−オキシ架橋を含むヌクレオシドは、α−L構成中またはβ−D構成中にあってもよい。以前は、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAは、アンチセンス活性を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド中に組み込まれていた(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365−6372)。
【0196】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドには、下に示されるような、(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH)−O−2’)BNA、(G)メチレン−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH2−N(R)−2’)BNA、(I)メチル炭素環式(4’−CH−CH(CH)−2’)BNA、および(J)プロピレン炭素環式(4’−(CH−2’)BNAが含まれるが、これらに限定されない。
【化2】
式中、Bxは、塩基部分であり、Rは独立して、H、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0197】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式I:
【化3】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
−Q−Q−Q−は、−CH−N(R)−CH−、−C(=O)−N(R)−CH−、−CH−O−N(R)−、−CH−N(R)−O−、または−N(R)−O−CHであり、
は、C−C12アルキルまたはアミノ保護基であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合である。
【0198】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式II:
【化4】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり、
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニル、置換C−Cアルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオール、または置換チオである。
【0199】
一実施形態では、置換された基の各々は、独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、およびNJC(=X)NJから独立して選択される置換基群で一置換または多置換され、式中、各J、JおよびJは、独立して、H、C−Cアルキル、または置換C−Cアルキルであり、Xは、OまたはNJである。
【0200】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式III:
【化5】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり、
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニル、置換C−Cアルキニル、または置換アシル(C(=O)−)である。
【0201】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式IV:
【化6】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり、
は、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
各q、q、q、およびqは、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニルもしくは置換C−Cアルキニル、C−Cアルコキシル、置換C−Cアルコキシル、アシル、置換アシル、C−Cアミノアルキルもしくは置換C−Cアミノアルキルである。
【0202】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式V:
【化7】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり、
、q、q、およびqは各々、独立して、水素、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシ、置換C−C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJ、またはN(H)C(=S)NJであるか、
あるいはqおよびqは一緒に、=C(q)(q)であり、
およびqは各々、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、または置換C−C12アルキルである。
【0203】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA単量体アデニン、シトシン、グアニン、5−メチルシトシン、チミン、およびウラシルの合成および調製が、それらのオリゴマー化、および核酸認識特性と共に記載されている(例えば、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630を参照されたい)。BNAおよびそれらの調製もまた、第WO98/39352号および第WO99/14226号に記載される。
【0204】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、および2’−チオ−BNAの類似体もまた、調製されている(例えば、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222を参照されたい)。核酸ポリメラーゼのための基質としてオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖を含む、固定されたヌクレオシド類似体の調製もまた、記載されている(例えば、Wengel et al、第WO99/14226号を参照されたい)。さらに、2’−アミノ−BNA、新規の立体配座的に制限された高親和性オリゴヌクレオチド類似体の合成が、当該技術分野で記載されている(例えば、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035−10039を参照されたい)。加えて、2’−アミノ−および2’−メチルアミノ−BNAが調製されており、相補的RNAおよびDNA鎖によるそれらの二重鎖の熱安定性が以前に報告されている。
【0205】
ある種の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、式VI:
【化8】

を有し、式中、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、H、ヒドロキシル保護基、複合基、反応リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり、
各q、q、q、およびqは、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシル、置換C−C12アルコキシル、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり、
およびqまたはqおよびqは一緒に、=C(q)(q)であり、式中、q、およびqは各々、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、または置換C−C12アルキルである。
【0206】
4’−(CH−2’架橋およびアルケニル類似体架橋4’−CH=CH−CH−2’を有する1つの炭素環式二環式ヌクレオシドが記載されている(例えば、Frier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429−4443およびAlbaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731−7740を参照されたい)。それらのオリゴマー化と共にした炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製、ならびに生化学的研究もまた、記載されている(例えば、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.2007,129(26),8362−8379を参照されたい)。
【0207】
本明細書で使用されるとき、「4’−2’二環式ヌクレオシド」または「4’〜2’二環式ヌクレオシド」は、2’炭素原子および4’炭素原子を結合する、架橋を含むフラノース環を含む二環式ヌクレオシドを指す。
【0208】
本明細書で使用されるとき、「単環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分でない修飾された糖部分を含むヌクレオシドを指す。ある種の実施形態では、ヌクレオシドの糖部分、または糖部分類似体は、任意の位置において修飾または置換されてもよい。
【0209】
本明細書で使用されるとき、「2’修飾糖」は、2’位において修飾されたフラノシル糖を意味する。ある種の実施形態では、かかる修飾は、置換および非置換アルコキシ、置換および非置換チオアルキル、置換および非置換アミノアルキル、置換および非置換アルキル、置換および非置換アリル、ならびに置換および非置換アルキニルを含むが、これらに限定されないハロゲン化物から選択される置換基を含む。 ある種の実施形態では、2’修飾は、O[(CHO]CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、OCHC(=O)N(H)CH、およびO(CHON[(CHCHを含むが、これらに限定されない置換基から選択され、式中、nおよびmは、1〜約10である。他の2’置換基群もまた、C−C12アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールもしくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA開裂基、レポーター基、インターカレーター、薬物動態的特性を改善するための基、およびアンチセンス化合物の薬力学的特性を改善するための基、ならびに類似した特性を有する他の置換基から選択することができる。ある種の実施形態では、修飾されたヌクレオシドは、2’−MOE側鎖を含む(例えば、Baker et al.,J.Biol.Chem.,1997,272,11944−12000を参照されたい)。かかる2’−MOE置換は、修飾されていないヌクレオシド、ならびに2’−O−メチル、O−プロピル、およびO−アミノプロピル等の他の修飾されたヌクレオシドと比較して改善された結合親和性を有することが記載されている。2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドもまた、体内での使用に有望な特徴を有する、遺伝子発現のアンチセンス阻害物質であることが示されている(例えば、Martin,P.,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504、Altmann et al.,Chimia,1996,50,168−176、Altmann et al.,Biochem.Soc.Trans.,1996,24,630−637、およびAltmann et al.,Nucleosides Nucleotides,1997,16,917−926を参照されたい)。
【0210】
本明細書で使用されるとき、「修飾されたテトラヒドロピランヌクレオシド」または「修飾されたTHPヌクレオシド」は、正常なヌクレオシドにおけるペントフラノシル残基の代わりに置換された6員テトラヒドロピラン「糖」を有するヌクレオシドを意味する(糖代用物)。修飾されたTHPヌクレオシドは、当該技術分野でヘキシトール核酸(HNA)、アニトール(anitol)核酸(ANA)、マンニトール核酸(MNA)(Leumann、CJ.Bioorg.& Med.Chem.(2002)10:841−854を参照されたい)、フルオロHNA(F−HNA)と称されるもの、または式X:
式X:
【化9】

を有する化合物が含まれるが、これらに限定されず、式中、式Xの該少なくとも1つのテトラヒドロピランヌクレオシド類似体の各々について独立して、
Bxは、複素環式塩基部分であり、
およびTは各々、独立して、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に結合するヌクレオシド間結合基であるか、あるいはTおよびTの1つは、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に結合するヌクレオシド間結合基であり、TおよびTのもう1つは、H、ヒドロキシル保護基、結合複合基、または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q、およびqは各々、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
およびRの1つは、水素であり、もう1つは、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJ、およびCNから選択され、式中、XはO、S、またはNJであり、各J、J、およびJは、独立して、HまたはC−Cアルキルである。
【0211】
ある種の実施形態では、式Xの修飾されたTHPヌクレオシドが提供され、式中、q、q、q、q、q、q、およびqは各々、Hである。ある種の実施形態では、q、q、q、q、q、q、およびqのうちの少なくとも1つは、H以外である。ある種の実施形態では、q、q、q、q、q、q、およびqのうちの少なくとも1つは、メチルである。ある種の実施形態では、式XのTHPヌクレオシドが提供され、式中、RおよびRの1つは、Fである。ある種の実施形態では、Rがフルオロであり、かつRがHである、Rがメトキシであり、かつRがHである、またRがメトキシエトキシであり、かつRがHである。
【0212】
本明細書で使用されるとき、「2'修飾」または「2'置換」は、2'位において、HまたはOH以外の置換基を含むヌクレオシド糖を指す。2'修飾ヌクレオシドは、その中で糖環の2個の炭素原子を結合する架橋が2'炭素および糖環の別の炭素を結合する、二環式ヌクレオシド、ならびにアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C−C10アルキル、−OCF、O−(CH−O−CH、2’−O(CHSCH、O−(CH−O−N(R)(R)、またはO−CH−C(=O)−N(R)(R)等の非架橋2'置換基を有するヌクレオシドを含むが、これらに限定されず、式中、各RおよびRは、独立して、H、または置換もしくは非置換C−C10アルキルである。2'修飾ヌクレオシドはさらに、例えば、糖の他の位置におけるおよび/または核酸塩基における、他の修飾を含んでもよい。
【0213】
本明細書で使用されるとき、「2'−F」は、2'位においてフルオロ基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0214】
本明細書で使用されるとき、「2'−OMe」または「2'−OCH」または「2'−O−メチル」は各々、糖環の2'位において−OCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0215】
本明細書で使用されるとき、「MOE」または「2'−MOE」または「2'−OCHCHOCH」または「2'−O−メトキシエチル」は各々、糖環の2'位において−OCHCHOCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0216】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合されたヌクレオシドを含む化合物を指す。ある種の実施形態では、複数のヌクレオシドのうちの1つ以上が修飾される。ある種の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオシド(RNA)および/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
【0217】
当該技術分野では、アンチセンス化合物への取り込み用にヌクレオシドを修飾するために使用し得る、多くの他の二環および三環糖代用環系も公知である(例えば、総説:Leumann,J.C,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2002,10,841−854を参照されたい)。
【0218】
かかる環系は、活性を高めるために、種々の追加の置換を受けることができる。
【0219】
修飾糖の調製方法は、当業者に公知である。
【0220】
修飾糖部分を有するヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分(天然、修飾、またはそれらの組み合わせ)は、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0221】
ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、修飾糖部分を有する、1つ以上のヌクレオチドを含む。ある種の実施形態では、修飾糖部分は、2'−MOEである。ある種の実施形態では、2'−MOE修飾ヌクレオチドは、ギャップマーモチーフにおいて配列される。ある種の実施形態では、修飾糖部分は、cEtである。ある種の実施形態では、cEt修飾ヌクレオチドは、ギャップマーモチーフのウィング全体に配列される。
【0222】
組成物および医薬組成物を製剤化するための方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物または製剤のために薬学的に容認可能活性または不活性物質と混合されてもよい。組成物および医薬組成物の製剤化のための方法は、限定されないが、投与の経路、疾患の程度、投与すべき用量を含む、いくつかの判断基準に依存している。
【0223】
α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物を好適な薬学的に容認可能希釈剤または担体と組み合わせることによって、医薬組成物において利用することができる。薬学的に容認可能希釈剤は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。PBSは、非経口的に送達される組成物での使用に好適な希釈剤である。故に、一実施形態では、本明細書に説明される方法において採用されるのは、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物および薬学的に容認可能希釈剤を含む、医薬組成物である。ある種の実施形態では、薬学的に容認可能希釈剤は、PBSである。ある種の実施形態では、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0224】
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容される塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、または任意の他のオリゴヌクレオチドが含まれ、それらは、ヒトを含む動物への投与時に、生理活性のある代謝物またはその残基を(直接的および間接的に)提供することが可能である。したがって、例えば、本開示はまた、アンチセンス化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、かかるプロドラッグの薬学的に許容される塩、および他の生物学的同等物へ引用される。好適な薬学的に許容される塩として、ナトリウム塩とカリウム塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0225】
プロドラッグには、アンチセンス化合物の一端または両端での追加ヌクレオシドの取り込みを含めることができる。これは、身体内で内因性ヌクレアーゼによって切断されて、活性のあるアンチセンス化合物を生成する。
【0226】
複合体化したアンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、生じるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取り込みを高める、1つ以上の部分または複合体へ共有結合されてもよい。典型的な複合基には、コレステロール部分と脂質部分が含まれる。追加の複合基には、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が含まれる。
【0227】
アンチセンス化合物はまた、例えば、ヌクレアーゼ安定性のような特性を高めるために、一般的にはアンチセンス化合物の一端または両端へ付ける、1つ以上の安定化基を有するように修飾することができる。安定化基に含まれるのは、キャップ構造である。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物をエクソヌクレアーゼ分解から保護して、細胞内での送達および/または局在化に役立てることができる。キャップは、5'−末端(5'−キャップ)、または3'−末端(3'−キャップ)に存在し得るか、あるいは両方の末端に存在し得る。キャップ構造は、当技術分野において公知であって、例えば、逆位デオキシ脱塩基キャップが含まれる。さらに、ヌクレアーゼ安定性を付与するためにアンチセンス化合物の一端または両端をキャップするのに使用し得るさらなる3'および5'−安定化基には、第WO03/004602号(2003年1月16日公開)に開示されるものが含まれる。
【0228】
細胞培養とアンチセンス化合物処置
α−シヌクレイン核酸のレベル、活性、または発現に対するアンチセンス化合物の効果について、多様な細胞種において体外で試験することができる。分析のために使用される細胞種は、市販ベンダー(例えば、American Type Culture Collection,Manassus,VA; Zen−Bio,Inc.,Research Triangle Park,NC; Clonetics Corporation,Walkersville,MD)より入手可能であり、ベンダーの説明書に従って、市販の試薬(例えば、Invitrogen Life Technologies,Carlsbad,CA)を使用して培養される。例証的細胞種として、HuVEC細胞およびSH−SY5Y細胞が挙げられるが、それらに限定されない。
【0229】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの体外試験
本明細書に説明されるのは、アンチセンスオリゴヌクレオチドでの細胞の処置についての方法であって、これは、他のアンチセンス化合物での処置のために適宜修飾することができる。
【0230】
細胞が培養中にほぼ60〜80%の集密度に達したときに、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置する。
【0231】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞の中へ導入するのに通常使用される1つの試薬には、カチオン性脂質トランスフェクション試薬、LIPOFECTIN(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1(Invitrogen,Carlsbad,CA)中のLIPOFECTINと混合して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度と、典型的には100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドにつき2〜12μg/mLの範囲に及ぶLIPOFECTIN濃度を達成する。
【0232】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中へ導入するために使用する別の試薬には、LIPOFECTAMINE(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1血清使用量低減培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)中のLIPOFECTAMINEと混合して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の濃度と、典型的には100nMアンチセンスオリゴヌクレオチドにつき2〜12μg/mLの範囲に及ぶLIPOFECTAMINE濃度を達成する。
【0233】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞中へ導入するために使用する別の技術には、エレクトロポレーションが含まれる。
【0234】
常法によって、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置する。アンチセンスオリゴヌクレオチド処置後16〜24時間で細胞を採取して、この時点で、当技術分野において公知のおよび本明細書に説明される方法によって、標的核酸のRNAまたはタンパク質レベルを測定する。一般に、処置を多数の反復物で実施するとき、データは、その反復処置の平均として提示する。
【0235】
使用するアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞系ごとに変動する。特別な細胞系に最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該技術分野で公知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、LIPOFECTAMINEでトランスフェクトするとき、典型的には、1nM〜300nMに及ぶ濃度で使用する。エレクトロポレーションを使用してトランスフェクトするときは、625〜20,000nMに及ぶ、より高い濃度でアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する。
【0236】
RNA単離
RNA分析は、全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAで実施することができる。RNA単離の方法は、当技術分野において公知である。RNAは、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、製造業者の推奨プロトコールに従って、TRIZOL試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して、調製される。
【0237】
標的レベルまたは発現の阻害の分析
α−シヌクレイン核酸のレベルまたは発現の阻害は、当技術分野において公知の多様な方法でアッセイすることができる。例えば、標的核酸レベルは、例えば、ノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、または定量的リアルタイムPCRによって定量化することができる。RNA分析は、全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAで実施することができる。RNA単離の方法は、当該技術分野において公知である。ノーザンブロット分析も、当該技術分野では、常法である。定量的リアルタイムPCRは、簡便には、市販のABI PRISM 7600、7700、または7900配列検出システム(PE−Applied Biosystems,Foster City,CAより入手可能)を使用して、そして製造業者の説明書に従って使用して達成することができる。
【0238】
標的RNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析
標的RNAレベルの定量は、ABI PRISM 7600、7700、または7900配列検出システム(PE−Applied Biosystems,Foster City,CA)を製造業者の説明書に従って使用する、定量的リアルタイムPCRによって達成することができる。定量的リアルタイムPCRの方法は、当該技術分野において公知である。
【0239】
リアルタイムPCRに先立って、単離したRNAを逆転写酵素(RT)反応へ処して、相補的DNA(cDNA)を産生してから、これをリアルタイムPCR増幅の基質として使用する。RT反応とリアルタイムPCR反応は、同一の試料ウェルにおいて連続的に実施する。RTおよびリアルタイムPCRの試薬は、Invitrogen(Carlsbad,CA)より入手される。RTリアルタイム−PCR反応は、当業者に公知の方法によって行う。
【0240】
リアルタイムPCRによって得られる遺伝子(またはRNA)標的の量は、シクロフィリンAのような、その発現が一定である遺伝子の発現レベルを使用して、またはRIBOGREEN(Invitrogen,Inc.Carlsbad,CA)を使用して全RNAを定量化することによって、正規化する。シクロフィリンAの発現は、標的と同時に、または別々に実施して多重化することによって、リアルタイムPCRによって定量化する。全RNAは、RIBOGREEN RNA定量試薬(Invetrogen,Inc.Eugene,OR)を使用して定量化する。RIBOGREENによるRNA定量の方法は、Jones,L.J.,et al,(Analytical Biochemistry,1998,265,368−374)に教示されている。CYTOFLUOR 4000機器(PE Applied Biosystems)を使用して、RIBOGREEN蛍光を測定する。
【0241】
α−シヌクレイン核酸とハイブリダイズするようにプローブとプライマーを設計する。リアルタイムPCRのプローブおよびプライマーを設計する方法は、当該技術分野で公知であって、PRIMER EXPRESS Software(Applied Biosystems,Foster City,CA)のようなソフトウェアの使用を含めてよい。
【0242】
タンパク質レベルの分析
α−シヌクレインタンパク質レベルを測定することによって、α−シヌクレイン核酸のアンチセンス阻害を査定することができる。α−シヌクレインのタンパク質レベルは、免疫沈降、ウェスタンブロット分析(イムノブロッティング)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、定量的タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えば、カスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学、または蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)のような、当該技術分野で公知の種々の方法で評価または定量化することができる。標的指向される抗体は、抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation,Birmingham,MI)のような多様な供給源より同定して入手するか、あるいは当該技術分野で公知の慣用のモノクローナルまたはポリクローナル抗体作製法により製造することができる。マウス、ラット、サル、およびヒトα−シヌクレインの検出に有用な抗体が市販されている。
【0243】
アンチセンス化合物の体内試験
アンチセンス化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドについて、α−シヌクレインの発現を阻害し、運動協調の改善、嗅覚の改善、空間記憶の改善、安静時震顫の発生の減少、運動緩徐(運動緩慢)の発生の減少、硬直化または不変性の減少、平衡感覚の改善、微細運動の器用度の改善、粗大運動協調の改善、α−シヌクレインの凝集の減少、および起立性低血圧の低下等の自律機能の改善のような表現型の変化をもたらすその能力を査定するために、動物において試験する。試験は、正常な動物において、または実験的な疾患モデルにおいて実施してもよい。動物への投与のために、リン酸緩衝化生理食塩水のような医薬的に許容される希釈剤でアンチセンスオリゴヌクレオチドを製剤化する。投与には、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、または頭蓋内投与、例えば、髄腔内または脳室内投与のような非経口の投与経路が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与量および投薬頻度の計算は、投与経路や動物体重のような多くの要因に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置の期間に続いて、肝臓組織よりRNAを単離して、α−シヌクレイン核酸発現の変化を測定する。α−シヌクレインタンパク質レベルの変化も測定する。
【0244】
ある種の適応症
ある種の実施形態では、本発明は、本発明の1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、個体を治療する方法、化合物、および組成物を提供する。ある種の実施形態では、個体は、神経変性疾患を有する。ある種の実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソン病、認知症、多系統萎縮症(また、シャイ・ドレーガー症候群)、孤発性および家族性アルツハイマー病、アルツハイマー病レビー小体亜型、びまん性レビー小体病、またはレビー小体型認知症である。ある種の実施形態では、個体は、シヌクレイン病を有する。ある種の実施形態では、シヌクレイン病は、パーキンソン病、レビー小体型認知症、または多系統萎縮症である。ある種の実施形態では、個体は、神経変性疾患および/またはシヌクレイン病を発症する危険がある。これは、個体が、老化、神経毒への暴露、および遺伝的素質を含む、神経変性疾患および/またはシヌクレイン病を発症する1つ以上の危険因子を有することを含む。ある種の実施形態では、個体は、神経変性疾患および/またはシヌクレイン病の治療を必要とするものとして同定されている。ある種の実施形態では、本発明は、個体において、α−シヌクレイン発現を予防的に減少させるための方法を提供する。ある実施形態は、個体に、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物の治療的有効量を投与することによって、それを必要とする個体を治療することを含む。
【0245】
ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物の投与は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99%、あるいはこれらの値の任意の2つによって画定される範囲だけ、α−シヌクレイン発現の減少をもたらす。ある種の実施形態では、α−シヌクレイン核酸に対して標的指向されるアンチセンス化合物の投与は、運動協調の改善、嗅覚の改善、空間記憶の改善、安静時震顫の発生の減少、運動緩徐(運動緩慢)の発生の減少、硬直化または不変性の減少、平衡感覚の改善、微細運動の器用度の改善、粗大運動協調の改善、α−シヌクレインの凝集の減少、および起立性低血圧の低下等の自律機能の改善をもたらす。ある種の実施形態では、α−シヌクレインアンチセンス化合物の投与は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99%、あるいはこれらの値の任意の2つによって画定される範囲だけ、運動協調を改善し、安静時震顫の発生を減少させ、運動緩徐(運動緩慢)の発生を減少させ、硬直化または不変性を減少させ、平衡感覚を改善し、微細運動の器用度を改善し、粗大運動協調を改善し、α−シヌクレインの凝集を減少させ、自律機能を改善し、および起立性低血圧を低下させる。
【0246】
ある種の実施形態では、α−シヌクレインに対して標的指向されるアンチセンス化合物を含む医薬組成物は、神経変性疾患および/またはシヌクレイン病に罹患する、またはそれに対して感受性を持つ患者を治療するための薬物の調製のために使用される。
【0247】
投与
ある種の実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、非経口で投与される。
【0248】
ある種の実施形態では、非経口投与は、注入による。注入は、慢性的または継続的または短期的または間欠的であってもよい。ある種の実施形態では、注入される医薬品は、ポンプで送達される。ある種の実施形態では、非経口投与は、注射による。
【0249】
ある種の実施形態では、化合物および組成物は、CNSに送達される。ある種の実施形態では、化合物および組成物は、脳脊髄液に送達される。ある種の実施形態では、化合物および組成物は、脳柔組織に投与される。ある種の実施形態では、化合物および組成物は、髄腔内投与または脳室内投与によって、動物に送達される。本明細書に記載される化合物および組成物の中枢神経系内の広範な分布は、実質内投与、髄腔内投与、または脳室内投与により達成されてもよい。
【0250】
ある種の実施形態では、非経口投与は、注射による。注射は、シリンジまたはポンプで送達されてもよい。ある種の実施形態では、注射は、ボーラス注射である。ある種の実施形態では、注射は、線条体、尾状核、皮質、海馬、および小脳等の組織に、直接に投与される。
【0251】
ある種の組み合わせ療法
ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は、1つ以上の他の医薬品と同時に投与される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。ある種の実施形態では、1つ以上の他の医薬品は、ペプチド、抗体、または小分子のいずれかである。ある種の実施形態では、ペプチド、抗体、または小分子は、本明細書の上記で説明されたもののいずれかである(例えば、上記のある種の実施形態を参照されたい)。
【0252】
ある種の実施形態では、かかる1つ以上の他の医薬品は、本発明の1つ以上の医薬組成物として、同一疾患、障害、または状態を治療するように設計される。ある種の実施形態では、かかる1つ以上の他の医薬品は、本発明の1つ以上の医薬組成物として、異なる疾患、障害、または状態を治療するように設計される。ある種の実施形態では、かかる1つ以上の他の医薬品は、本発明の1つ以上の医薬組成物の望ましくない副作用に対処するように設計される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は、別の医薬品と同時に投与され、他の医薬品の望ましくない効果に対処する。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は、別の医薬品と同時に投与され、組み合わせ効果をもたらす。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は、別の医薬品と同時に投与され、相乗効果をもたらす。
【0253】
ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物および1つ以上の他の医薬品は、同時に投与される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物および1つ以上の他の医薬品は、異なる時に投与される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物および1つ以上の他の医薬品は、単一製剤内に共に調製される。ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物および1つ以上の他の医薬品は、別個に調製される。ある種の実施形態では、1つ以上の他の医薬品は、レボドパ、ドーパミン作動薬、COMT阻害剤、および抗鬱剤を含む。
【0254】
ある種の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物が、物理的療法によって投与される。
【実施例】
【0255】
非限定的な開示および参照による組み込み
本明細書に記載されるある種の化合物、組成物、および方法が、ある種の実施形態に従って特異的に記載されている一方で、次の例は、本明細書に記載される化合物を例証するのみの役割を果たしており、それらを限定するようには意図されない。本出願に列挙される参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0256】
実施例1:HuVEC細胞におけるヒトα−シヌクレイン(SNCA)のアンチセンス阻害
SNCA核酸に対して標的指向されるアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、SNCA mRNAに対するその効果を体外で試験した。LipofectAMINE2000(登録商標)試薬を10nMアンチセンスオリゴヌクレオチドと併用して、5,000個の細胞/ウェルの密度の培養されたHuVEC細胞にトランスフェクトした。約24時間の処置期間後、RNAを細胞から単離し、SNCA mRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2621(フォワード配列ACGAACCTGAAGCCTAAGAAATATCT、本明細書では配列番号8として指定される;リバース配列GAGCACTTGTACAGGATGGAACAT、本明細書では配列番号9として指定される、プローブ配列TGCTCCCAGTTTCTTGAGATCTGCTGACA、本明細書では配列番号10として指定される)を使用して、定量的リアルタイムPCRによって測定した。SNCA mRNAレベルは、RIBOGREENによって測定されるように、総RNA含有量に従って調節した。結果は、未処置対照細胞と比較して、SNCAの阻害パーセントとして提示される。
【0257】
表1、2、および3におけるキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOEギャップマーとして設計した。ギャップマーは、20ヌクレオシドの長さであり、中央のギャップセグメントは、10個の2'−デオキシヌクレオシドから構成され、各々5ヌクレオシドを含むウィングが両端に(5'および3'方向に)隣接する。5'ウィングセグメントにおける各ヌクレオシドおよび3'ウィングセグメントにおける各ヌクレオシドは、2'−MOE修飾を有する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体のすべてのシチジン残基は、5−メチルシチジンである。「開始部位」は、ギャップマーがヒト遺伝子配列において標的指向される、最も5'側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、ギャップマーがヒト遺伝子配列において標的指向される、最も3'側のヌクレオシドを示す。表1に列挙される各ギャップマーは、配列番号1(GENBANK登録番号NM_000345.3)に対して標的指向される。表2に列挙される各ギャップマーは、配列番号2(ヌクレオチド15140000から15255000が切断されたGENBANK登録番号NT_016354.17の相補体)に対して標的指向される。表3に列挙される各ギャップマーは、配列番号3(GENBANK登録番号NM_007308.1)、配列番号4(GENBANK登録番号L36674.1)、配列番号5(GENBANK登録番号BC013293.2)、配列番号6(GENBANK登録番号BG701026.1)、または配列番号7(GENBANK登録番号BM069769.1)のいずれかに対して標的指向される。
【0258】
表1および2に示されるように、ISIS番号:387973、387974、387975、387976、387977、387978、387979、387980、387981、387982、387983、387984、387985、387986、387987、387988、387989、387990、387991、387994、387995、387996、387997、387998、387999、388000、388001、388002、388004、388005、388006、388007、388008、388009、388010、388012、388013、388014、388016、388017、388021、388025、388026、388027、388029、388032、388033、および3880309を含む、ギャップマーのうちのいくかは、プライマープローブセットRTS2621によって測定されるように、少なくとも50%の阻害を呈した。
【0259】
ISIS番号:387973、387974、387975、387976、387977、387978、387979、387980、387981、387982、387983、387984、387985、387986、387988、387989、387990、387994、387995、387996、387997、387998、387999、388000、388001、388002、388004、388005、388006、388007、388008、388009、388010、388014、388016、388017、388026、388027、388029、388032、388033、および388039を含む、ギャップマーのうちのいくかは、少なくとも60%の阻害を呈した。
【0260】
ISIS番号:387973、387974、387975、387976、387977、387978、387979、387980、387981、387982、387983、387984、387985、387986、387989、387994、387995、387996、387997、387998、387999、388000、388001、388004、388006、388008、388009、388010、388014、388016、388017、388027、388029、および388039を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも70%の阻害を呈した。
【0261】
ISIS番号:387973、387974、387975、387976、387978、387979、387981、387983、387984、387985、387986、387994、387998、387999、388000、388001、388004、388006、388008、388009、388010、388014、388016、および388017を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも80%の阻害を呈した。
【0262】
ISIS番号:387973、387975、387983、387984、387985、387986、387994、387998、および388004を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも90%の阻害を呈した。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表3】
【0263】
実施例2:HuVEC細胞におけるヒトSNCAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例1において説明された研究におけるヒトSNCAの84%以上の体外阻害を呈した11のギャップマーについて、HuVEC細胞において種々の用量で試験した。細胞を6,000の細胞/ウェルの密度でプレート培養して、LipofectAMINE2000(登録商標)試薬を、表4に規定されるように、0.08nM、0.25nM、0.74nM、2.22nM、6.67nM、および20.00nM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと併用して、トランスフェクトした。約16時間の処置期間後、RNAを細胞から単離し、およびSNCA mRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトSNCAプライマープローブセットRTS2621(本明細書の実施例1において上述される)を使用して、mRNAレベルを測定した。SNCA mRNAレベルは、RIBOGREENによって測定されるように、総RNA含有量に従って調節された。結果は、未処置対照細胞と比較して、SNCAの阻害%として提示される。表4に図示されるように、SNCA mRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置された細胞において、用量依存的に減少した。
【表4】
【0264】
実施例3:SH−SY5Y細胞におけるヒトSNCAの用量依存的アンチセンス阻害
ギャップマーは、実施例2において説明される研究から選択され、SH−SY5Y細胞において種々の用量で試験した。細胞を20,000の細胞/ウェルの密度でプレート培養して、エレクトロポレーションを使用して、表5に規定されるように、5μM、10μM、および20μM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約16時間の処置期間後、RNAを細胞から単離し、SNCA mRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトSNCAプライマープローブセットRTS2620(フォワード配列GGTGCTTCCCTTTCACTGAAGT、本明細書では配列番号89として指定される;リバース配列ACATCGTAGATTGAAGCCACAAAA、本明細書では配列番号90として指定される、プローブ配列AATACATGGTAGCAGGGTCTTTGTGTGCTGTG、本明細書では配列番号91として指定される)を使用して、mRNAレベルを測定した。SNCA mRNAレベルは、RIBOGREENによって測定されるように、総RNA含有量に従って調節された。結果は、未処置対照細胞と比較して、SNCAの阻害%として提示される。表5に図示されるように、SNCA mRNAレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置された細胞において、用量依存的に減少した。
【表5】
【0265】
実施例4:マウスモデルにおけるヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
実施例2および3において本明細書で説明される研究で用量依存的阻害を実証したISISオリゴヌクレオチドについて、C57BL/6マウスにおける種々の代謝マーカーのレベルにおける変化を監視することによって、マウスモデルにおいて認容性を評価した。
【0266】
処置
C57BL/6マウスに、50mg/kgのISIS387973、ISIS387975、ISIS387978、ISIS387983、ISIS387984、ISIS387985、ISIS387986、ISIS388004、ISIS388008、ISIS388010、またはISIS388041を、週2回、3週間、皮下に注射投与した。対照群のマウスには、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を、週2回、3週間、皮下に注射投与した。最後の用量を受けてから48時間後に、マウスを犠牲にした。血漿をさらなる分析のために採取した。
【0267】
肝機能
肝機能に及ぼすISISオリゴヌクレオチドの効果を評価するために、自動化臨床化学分析機(Hitachi Olympus AU400e,Melville,NY)を使用して、トランスアミナーゼの血漿濃度を測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿濃度を処置期間の終了時に測定した。表6に提示される結果は、肝臓トランスアミナーゼが、ISIS387986以外、全ISISオリゴヌクレオチドに対して、正常パラメータ以内であったことを示す。
【表6】
【0268】
体重および臓器重量
マウスの体重、ならびに肝臓、脾臓、および腎臓重量を、研究の終了時に測定した。測定された全重量は、PBS対照における対応する重量の13%以内であった。結果は、ISISオリゴヌクレオチドのいずれも、マウスの全体的健康にいかなる悪影響も及ぼさなかったことを実証する。
【0269】
実施例5:トランスジェニックマウスモデル(SNCA PACマウス)におけるヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性
ISISオリゴヌクレオチドについて、さらにSNCA PAC(PAC−Tg(SNCAWT)Snca−/−)トランスジェニックマウスモデルにおいて、その有効性を評価した。これらのマウスは、ノックアウトSnca対立遺伝子と、PAC(P1人工染色体構造物)プロモーター下、ヒトSNCAをコードする導入遺伝子を内部に持つ。
【0270】
処置
4匹のSNCA PACマウス群は各々、100μgのISIS387973、ISIS387975、ISIS387978、ISIS387983、ISIS387984、ISIS387985、ISIS388004、ISIS388008、ISIS388010、またはISIS388041を線条体内ボーラス注射を介して注射投与された。対照群のマウスは、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を線条体内ボーラス注射を介して注射投与された。注射を受けてから2週間後に、マウスを犠牲にした。脳組織をさらなる分析のために採取した。
【0271】
RNA分析
RNAは、ヒトSNCA mRNAのリアルタイムPCR分析のために、脳の線条体および皮質組織から抽出された。結果は、表7に提示されており、ISISオリゴヌクレオチドの大部分が、PBS対照と比較して、有意にヒトSNCA mRNAを阻害することを実証する。
【表7】
【0272】
実施例6:マイクロウォークによって設計したオリゴヌクレオチドによる、SH−SY5Y細胞におけるヒトSNCAのアンチセンス阻害
付加的ギャップマーは、ISIS387984(配列番号1の開始部位404)とISIS387985(配列番号1の開始部位444)の標的部位間のSNCA遺伝子の領域を標的指向するように設計され、SNCA mRNAの有意な阻害を実証した。これらのギャップマーは、2つのギャップマー間の領域の相互から1個の核酸塩基だけシフトされた(すなわち、「マイクロウォーク」)ギャップマーを生成することによって設計された。新しいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5ギャップマーとして設計された。これらのギャップマーは、体外で試験した。ISIS387984およびISIS387985もまた、比較のためにアッセイに含めた。5,000個の細胞/ウェルの密度で培養されたSH−SY5Y細胞を、エレクトロポレーションを使用して、2,000nMアンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。約24時間の処置期間後、RNAを細胞から単離し、SNCA mRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって測定した。2つのヒトプライマープローブセット672(フォワード配列TGGCAGAAGCAGCAGGAAA、本明細書では配列番号95として指定される;リバース配列TCCTTGGTTTTGGAGCCTACA、本明細書では配列番号96として指定される;プローブ配列CAAAAGAGGGTGTTCTC、本明細書では配列番号97として指定される)およびプライマープローブセット673(フォワード配列GGAGCAGGGAGCATTGCA、本明細書では配列番号92として指定される;リバース配列CCTTCTTCATTCTTGCCCAACT、本明細書では配列番号93として指定される;プローブ配列CACTGGCTTTGTCAAAA、本明細書では配列番号94として指定される)を個々に使用し、SNCA mRNAレベルを測定した。SNCA mRNAレベルは、サイクロフィリンレベルによって測定されるように、総RNA含有量に従って調節された。結果は、未処置対照細胞と比較して、SNCAの阻害%として提示される。結果は、表8に提示される。
【0273】
5−10−5MOEギャップマーは、20ヌクレオシドの長さであって、中央ギャップセグメントは、10個の2'−デオキシヌクレオチドから構成され、各々5個のヌクレオシドを含むウィングが両端に(5'および3'方向に)隣接する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体の全シチジン残基は、5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的指向される最も5'側のヌクレオシドを示す。「標的終結部位」は、ギャップマーが標的指向される最も3'側のヌクレオシドを示す。表8に列挙される各ギャップマーは、配列番号1(GENBANK登録番号NM_000345.3)に標的指向される。
【0274】
表8に示されるように、プライマープローブセット673によって測定されるように、ISIS番号:387984、489351、489352、489353、489354、489355、489356、489357、489358、489359、489360、489361、489362、489364、489365、489366、489367、489368、489369、489371、489372、489373、489374、489375、489381、489382、489383、489387、および387985を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも50%の阻害を呈した。
【0275】
ISIS番号:387984、489351、489352、489353、489355、489356、489357、489358、489359、489360、489361、489366、489371、489372、489373、489374、489381、489383、および387985を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも60%の阻害を呈した。
【0276】
ISIS番号:387984、489351、489352、489356、489357、489358、489359、489360、489361、489373、489374、489381、および387985を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも70%の阻害を呈した。
【0277】
ISIS番号:489357、489358、489359、および489360を含む、ギャップマーのいくつかは、少なくとも80%の阻害を呈した。
【0278】
ISIS番号:489357および489358を含む、ギャップマーのうちの2つは、少なくとも85%の阻害を呈した。
【0279】
ISIS489357である、1つのギャップマーは、少なくとも90%の阻害を呈した。
【表8-1】
【表8-2】
【0280】
実施例7:トランスジェニックマウスモデル(SNCA PACマウス)におけるヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性
実施例6において本明細書で説明される研究において、有意な阻害を実証したISISオリゴヌクレオチドについて、さらに、SNCA PACマウスにおいて、その有効性を評価した。
【0281】
処置
12匹のSNCA PACマウス群に各々、50μgのISIS387985、ISIS489351、ISIS489352、ISIS489356、ISIS489357、ISIS489358、ISIS489359、ISIS489360、ISIS489373、ISIS489374、ISIS489381、またはISIS489383を線条体内ボーラス注射を介して注射投与した。対照群のマウスには、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を線条体内ボーラス注射を介して注射投与した。注射を受けてから2週間後に、マウスを犠牲にした。脳組織をさらなる分析のために採取した。
【0282】
RNA分析
RNAを、プライマープローブセット673(前述の実施例6において本明細書で説明される)を使用して、ヒトSNCA mRNAのリアルタイムPCR分析のために、脳の海馬、線条体、および皮質組織から抽出した。結果は、表9に提示されており、ISISオリゴヌクレオチドの大部分が、PBS対照と比較して、ヒトSNCA mRNAを有意に阻害することを実証する。
【表9】
【0283】
実施例8:トランスジェニックマウスモデル(Thy1−aSYNマウス)におけるヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性
実施例7において本明細書で説明される研究において、有意な阻害を実証したISISオリゴヌクレオチドについて、さらに、Thy1−aSYNマウスにおいて評価した。
【0284】
処置
4Thy1−aSYNマウス群に各々、50μgのISIS387985、ISIS489352、ISIS489356、およびISIS489357を、線条体内ボーラス注射を介して注射投与した。ペントバルビタール・ナトリウム(滅菌0.9%生理食塩水中66mg/kgネンブタール、腹腔内)でマウスに麻酔をかけた。次いで、マウスの頭皮を剃毛し、足反射の喪失後、マウスを定位固定フレーム(David Kopf Instruments,CA)に載置した。麻酔の外科的水準を維持するために、必要に応じて、ノーズコーンを介して、イソフルレン(0.5L/分で100%酸素中1−2%)をマウスに投与した。ベタジンおよび70%エタノールで3回代替払拭布を使用して、頭皮を滅菌した。頭皮を切開し、頭蓋骨表面を露出させ、ブレグマが明白に同定された。ブレグマに対して、0.5mm AP、2mm MLで、頭蓋骨に穴を穿孔した。0.2uL/分の流速で、微量注射器ポンプコントローラ(KD Scientific 310)に接続された27ゲージ針を伴う10uLのHamilton注射器を使用して、2μL溶液中50μgの用量で、ISIS387985、ISIS489352、ISIS489356、およびISIS489357を右側線条体中に一方的に注射した。頭蓋骨表面下3mmにおいて、DV座標を測定した。注射後、さらに3分間、針を定位置に残し、脳内に溶液を拡散させた。注射器をゆっくりと引き抜いた後、頭蓋骨を縫合し、マウスに、0.5mLの加温された滅菌生理食塩水を皮下注射し、補水を支援し、温水加温パッド上に載置し、意識および運動能力を回復するまで監視した。4匹のマウス群に、PBSを同様に注射した。マウスをそのホームケージに戻し、ケージの床上に、粉砕した食料を供給した。術後、毎日、マウスの体重および健康を監視した。注射を受けてから2週間後、マウスを犠牲にした。脳組織をさらなる分析のために採取した。4匹のマウス群に、PBSを同様に注射した。
【0285】
RNA分析
サイクロフィリンA mRNAに正規化されたヒトSNCA mRNAのリアルタイムPCR分析のために、RNAを脳の線条体および皮質組織から抽出した。結果は、表10に提示される。
【表10】
【0286】
タンパク質分析
タンパク質を脳の線条体および皮質組織の細胞溶解物から抽出し、抗α−シヌクレイン、クローンSyn211(Millipore,NY)を使用して、ウェスタンブロット分析によって定量化した。結果は、α−チューブリンに正規化され、表11に提示される。
【表11】
【0287】
脳区画におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドレベルの定量化
脳の線条体および皮質組織の吻側および尾側領域を個々に、アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する免疫蛍光抗体(Ab6653,ISIS Pharmaceuticals,CA)またはマウス抗SNCA(BD Transduction Laboratories,CA)を使用して、染色した。染色された区画の画像は、マイクロアレイスキャナ(Agilent Technologies,CA)を使用して取得した。免疫蛍光強度は、ImageJ(NIH)を使用して定量化した。免疫蛍光の定量化の結果は、表12および13に提示される。表12からの結果は、ゼロ強度と指定されたPBS対照レベルと比較して、脳の異なる領域に対して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの均等分布を実証する。表13は、対応する脳区画内のSNCAタンパク質レベルを提示し、ISISオリゴヌクレオチドのいくつかによって、SNCAの阻害を実証する。
【表12】
【表13】
【0288】
脳区画におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド投与による毒性の評価
脳の線条体および皮質組織の吻側および尾側領域もまた、個々に、免疫蛍光抗体ウサギ抗GFAP(Dako Inc,CA)または抗NeuN(Chemicon Inc)で染色した。染色された区画の画像は、マイクロアレイスキャナ(Agilent Technologies,CA)を使用して取得した。免疫蛍光強度は、ImageJ(NIH)を使用して定量化した。定量化の結果は、表14および15に提示される。表14は、アンチセンスオリゴヌクレオチド投与の結果、非特異的に中等度に増加される、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)のレベルを示す。これは、予期される転帰であって(Chiasson et al.,Cell.Mol.Neurobiol.1994.14:507−521)、結果は、増加が、有意ではないことを実証する。表15は、ニューロン毒性を示す、ニューロンマーカーであるNeuNに関するデータを提示する。結果は、ISISオリゴヌクレオチドのいずれも、PBS対照と比較して、NeuNレベルの増加を誘発しないことを示す。
【0289】
脳区画を別個に、ウサギ抗Iba1(Wako Chem.Inc,CA)で染色し、ミクログリア細胞を検出した後、ビオチン化二次抗体でプローブした。アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体法を使用して、区画を発現させた。次いで、DAB基質によって、区画を発現させた。Stereo Investigator(MicroBrightField)の光学分留装置機能を使用して、線条体および皮質内のIba1−陽性ミクログリア細胞の4つの代表的試料をカウントした。次いで、静止型または活性化型ミクログリアのいずれかとして、ミクログリアをスコア化した。スコア化は、分枝(静止型)またはアメーバ状(活性化型)外観のいずれかの形態学的基準に基づいた。活性化型ミクログリアは、ニューロン毒性のマーカーである。結果の平均は、Iba1−陽性細胞の総数と比較した、活性化型Iba1−陽性細胞の数の%として表した。結果は、表18に提示され、ISIS387985またはISIS489357のいずれにより処置も、ミクログリア活性化を生じさせないことを実証する。故に、いずれのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療も、任意の神経毒性を生じさせなかった。
【表14】
【表15】
【表16】
【0290】
実施例9:トランスジェニックマウスモデル(Thy1−aSYNマウス)におけるヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性
実施例5において本明細書で説明される研究からのISISオリゴヌクレオチドのいくつかについて、さらに、ヒトSNCA(Rockenstein et al.,J.Neurosci.Res.68:568−578,2002)を過剰発現する、Thy1−aSYNマウスにおいて評価した。ISIS387978、ISIS387983、ISIS387984、およびISIS387985はすべて、Thy−aSYNマウスにおける導入遺伝子mRNAを標的指向し、本モデルにおいて処置された。
【0291】
ヒトmRNA配列、配列番号1(GENBANK登録番号NM_000345.3)に対するヒトオリゴヌクレオチドの標的部位は、表17に提示される。ヒトオリゴヌクレオチドのいくつかは、マウスSNCA配列と交差反応性である。ヒトオリゴヌクレオチドとマウス配列との間の相補性が大きいほど、ヒトオリゴヌクレオチドは、マウス配列と交差反応し得る可能性が高い。マウス配列、配列番号137(GENBANK登録番号NM_001042451.1)に対するヒトオリゴヌクレオチドの標的開始部位もまた、表17に提示される。「n/a」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、マウス配列に対して、3つを超えるミスマッチを有することを示す。
【表17】
【0292】
処置
4Thy1−aSYNマウス群に各々、50μgのISIS387978、ISIS387983、ISIS387984、またはISIS387985を、線条体内ボーラス注射を介して、注射投与した。ペントバルビタール・ナトリウム(滅菌0.9%生理食塩水中66mg/kgネンブタール、腹腔内)でマウスに麻酔をかけた。次いで、マウスの頭皮を剃毛し、足反射の喪失後、マウスを定位固定フレーム(David Kopf Instruments,CA)に載置した。麻酔の外科的水準を維持するために、必要に応じて、ノーズコーンを介して、イソフルレン(0.5L/分で100%酸素中1−2%)をマウスに投与した。術中を通して、および術後30分間、酸素を投与した。直腸プローブ体温計(Physitemp)を使用して、マウスの体温を監視した。ベタジンおよび70%エタノールで3回代替払拭布を使用して、頭皮を滅菌した。頭皮を切開し、頭蓋骨表面を露出させ、ブレグマが明白に同定された。頭蓋骨表面が平坦である、すなわち、ブレグマ+/−2mm前後方向(AP)において、背腹(DV)偏差<0.2mmであることを確証後、ブレグマに対して、0.5mmAP、2mm内外方向(ML)で、頭蓋骨に穴を穿孔した。0.2uL/分の流速で、微量注射器ポンプコントローラ(KD Scientific 310)に接続された27ゲージ針を伴う10uLのHamilton注射器を使用して、2μL溶液中50μgの濃度で、ISISオリゴヌクレオチドの各々を右側線条体中に一方的に注射した。頭蓋骨表面下3mmにおいて、DV座標を測定した。注射後、さらに3分間、針を定位置に残し、脳内に溶液を拡散させた。注射器をゆっくりと引き抜いた後、頭蓋骨を縫合し、マウスに、0.5mLの加温された滅菌PBSを皮下注射し、補水を支援した。マウスを温水加温パッド上に載置し、意識および運動能力を回復するまで監視した。4匹のマウス群に、PBSを同様に注射した。次いで、動物をそのホームケージに戻し、ケージの床上に、粉砕した食料を供給した。術後、毎日、マウスの体重および健康を監視した。注射を受けてから2週間後、頚椎脱臼によって、マウスを犠牲にした。
【0293】
マウスの脳を直ちに採取および解剖した。冠状面ブレインマトリックスを使用して、脳の1mm切片をmRNAおよびタンパク質抽出のために摘出した。注射部位のすぐ吻側の1mmの切片をmRNAのために採取し、注射部位のすぐ尾側の1mmの切片をタンパク質分析のために採取した。同側半球からの線条体および皮質を氷上で解剖した。
【0294】
RNA分析
mRNA精製のために、脳組織を0.5mL GITC/BMEおよび滅菌セラミックビーズを含有する2mL管中のドライアイス上で急冷した。サイクロフィリンA mRNAに正規化されたヒトSNCA mRNAのリアルタイムPCR分析のために、RNAを脳の線条体および皮質組織から抽出した。ヒトSNCA mRNAレベルを、ヒトプライマープローブセットRTS2618(フォワード配列AGACCAAAGAGCAAGTGACAAATG、本明細書では配列番号138として指定される;リバース配列CCTCCACTGTCTTCTGGGCTACT、本明細書では配列番号139として指定される;プローブ配列TGGAGGAGCAGTGGTGACGGGTG、配列番号140として指定される)を使用して測定した。結果は、表18に提示され、PBS対照と比較して、阻害%として表される。マウスSNCA mRNAレベルもまた、マウスプライマープローブセットRTS2956(フォワード配列GTCATTGCACCCAATCTCCTAAG、本明細書では配列番号141として指定される;リバース配列GACTGGGCACATTGGAACTGA、本明細書では配列番号142として指定される;プローブ配列CGGCTGCTCTTCCATGGCGTACAA、本明細書では配列番号143として指定される)を使用して測定した。結果は、表19に提示され、PBS対照と比較して、阻害%として表される。ISIS387978およびISIS387985は両方とも、配列番号137を標的指向するため、いずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置も、マウスSNCA mRNA発現を阻害する。
【表18】
【表19】
【0295】
タンパク質分析
タンパク質分析のための組織資料を、滅菌セラミックビーズを含有する管内に急冷した。SNCAのタンパク質レベルを、ヒトおよびマウスSNCAの両方を標的指向する抗SNCA抗体(Signet,#4D6)を使用して、ウェスタンブロット分析によって測定した。結果は、表20に提示され、PBS対照と比較した阻害%として表される。
【表20】
【0296】
免疫蛍光分析
各脳から1つの冠状断面を、尾側線条体のレベルにおいて採取した。PBS中で洗浄後、1時間、M.O.M.マウスIgG遮断試薬(Vector Laboratories,PK−2200)中で断面をインキュベートした。次いで、一次抗体である、マウス抗NeuN(1:500希釈;Chemicon MAB377)および6653Abウサギ抗ASO(1:3,000希釈;ISIS Pharmaceuticals)によって、PBS中2%NGS、0.5%Triton X−100において、4℃で一晩断面をインキュベートした。PBS中で洗浄後、二次抗体である、Cy3複合化ヤギ抗ウサギ(1:250希釈;Millipore)およびCy5複合化ヤギ抗マウス(1:250希釈;Jackson Immunoresearch)によって、PBS中5%NGSにおいて、2時間、断面をインキュベートした。いくつかの断面を二次抗体のみでインキュベートし、一次抗体インキュベーションを省略し、対照としての役割を果たすようにした。PBS中で洗浄後、水中において、ガラス顕微鏡スライド上に断面を搭載し、一晩乾燥させた。Cy3およびCy5蛍光色素を励起するために、レーザを使用する、高分解能マイクロアレイスキャナ(Agilent)を使用して、スライドをスキャンした。次いで、スキャンした断面の画像を、ImageJ(NIH)を使用して分析し、免疫蛍光染色の強度を定量化した。ASOを受けたマウスの脳から同側および対側半球の線条体および皮質中の染色の平均強度を計算し、対照マウスのものと比較した。PBS対照の免疫蛍光強度を基準値とし、任意に、1.00として指定した。結果は、表21に提示され、試験されたISISオリゴヌクレオチドの大部分において、軽微なニューロン毒性が存在したことを示す。
【表21】
【0297】
ASOの分布は、Ab6653染色によって表示されるように、線条体の吻側−尾側軸全体に沿って延在する、線条体および皮質を含む、同側半球全体に拡散した。淡蒼球、海馬の吻側範囲、および視床を含む、他の脳構造もまた、免疫陽性であった。
【0298】
実施例10:ヒトSNCAを標的指向するアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後のThy1−aSYNマウスの挙動に及ぼす効果
前述に説明される研究における有意な有効性を実証したISIS387985をThy1−aSYNマウスに投与する。運動機能、嗅覚、および空間記憶をマウスにおいて試験する。
【0299】
処置
3.5月齢の16匹のオスのThy1−aSYNマウス群各々に、脳注入キットを伴うAlzetミニポンプモデル#2002を使用して、2週間、50μg/日のISIS387985または滅菌PBSをICV注入した。この後、2週間の排出が続き、そこで、ミニポンプを除去し、マウスを回復させた。マウスは、4.5月齢からおよび5月齢において、挙動に関して試験する。挙動を分析するために使用される試験は、課題的梁および支柱のタスクを含む、運動試験(Fleming,S.M.etal.,JNeurosci.24:9434−9440,2004)、埋設ペレットを使用した嗅覚試験(Fleming,S.M.etal.,Eur.J.Neurosci.28:247−256,2008)、および新規場所認識を使用した空間作業記憶試験(Magenetal.,提出済み)である。マウスは、5月齢で安楽死させた。脳および周辺組織を生化学的および組織学的分析のために採取した。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]