(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2コネクタは、それぞれL字状をなし、少なくとも前記L字状の一方の直線部分の、該直線部分が延びる方向に直交する断面が半円状であって、前記半円状の直線部分に応じた平面で摺動可能に接触することを特徴とする請求項2または3に記載のコネクタ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタを用いた電池パックの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの構成を模式的に示す上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの構成を模式的に示す側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタを用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態1にかかるコネクタの要部の構成の動作態様を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例1−1にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態1の変形例1−2にかかるコネクタの構成を模式的に示す上面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態1の変形例1−2にかかるコネクタを用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態2にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態2にかかるコネクタの構成を模式的に示す上面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態2にかかるコネクタを用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態2にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す上面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態2の変形例2−1にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態2の変形例2−2にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態3にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態3にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態3の変形例3−1にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態4にかかるコネクタの構成を模式的に示す上面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施の形態4にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施の形態4にかかるコネクタを用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、コネクタの例として電池パック間を接続するコネクタを説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかるコネクタ1を用いた電池パックの構成を模式的に示す斜視図である。
図1に示す電池パックは、複数の電池(本実施の形態1では、リチウムイオン電池LIB1〜LIB3)と、リチウムイオン電池LIB1〜LIB3に設けられた端子とそれぞれ接触することで、2つのリチウムイオン電池の間に介在してこの2つのリチウムイオン電池間の電気的導通を行なうコネクタ1と、を有する。ここで、リチウムイオン電池LIB1は、外周側面(電池の積層方向に垂直な側面)に設けられ、内部の電池構成要素と電気的に接続された端子T11,T12を有する。なお、リチウムイオン電池LIB2およびリチウムイオン電池LIB3においても同様に、端子T21,T22および端子T31,T32をそれぞれ有する。本実施の形態1では、コネクタ1によって、端子T11および端子T21、端子T22および端子T32がそれぞれ接続されているものとして説明する。
【0020】
図2は、本実施の形態1にかかるコネクタ1の構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、本実施の形態1にかかるコネクタ1の構成を模式的に示す上面図である。
図4は、本実施の形態1にかかるコネクタ1の構成を模式的に示す側面図である。コネクタ1は、第1コネクタ10、第2コネクタ20および保持部材40からなる。第1コネクタ10は、略L字状をなし、導電性材料からなる導体部11と、導体部11と一方の端子との間に介在して、導体部11と端子とが互いに離れる方向に付勢して固定する固定部材30a(第1固定部)と、を有する。また、第2コネクタ20は、略L字状をなし、導電性材料からなる導体部21と、導体部21と他方の端子との間に介在して、導体部21と端子とが互いに離れる方向に付勢して固定する固定部材30b(第2固定部)と、を有する。保持部材40は、第1コネクタ10および第2コネクタ20を接触させた状態で保持する。第1コネクタ10および第2コネクタ20は、互い違いに配設され、L字の一方の直線部分同士が接触することにより、側面視で略C字状をなす。
【0021】
図5は、本実施の形態1にかかるコネクタ1の導体部11の構成を模式的に示す斜視図である。導体部11は、例えば純銅または銅系合金を用いて形成される。導体部11は、略円柱状をなし、一端がこの円柱の軸に対して傾斜した傾斜面を有する基部11aと、基部11aの傾斜面から円柱の軸と略垂直な方向に延びるとともに、この延びる方向に直交する断面が略半円状をなす延在部11bと、を有する。また、基部11aは、他端側に設けられ、外周側面の径が縮径する縮径部111を有する。延在部11bは、半円状の直線部分に応じて平面状をなす平面部112を有する。また、延在部11bは、基部11aに連なる側と異なる側の端部が、基部11aの傾斜面に応じて傾斜している。
【0022】
導体部21は、上述した導体部11と同様の形状をなし、導体部11に応じた基部21a、延在部21bを有する。また、基部21aは、他端側に設けられ、外周側面の径が縮径する縮径部211を有する。延在部21bは、半円状の直線部分に応じて平面状をなす平面部212を有する。また、延在部21bは、基部21aに連なる側と異なる側の端部が、基部21aの傾斜面に応じて傾斜している。
【0023】
コネクタ1は、第1コネクタ10および第2コネクタ20に対して、延在部11b,21bの平面部112,212同士を接触させることにより、リチウムイオン電池間が電気的に接続される。
【0024】
図6は、本実施の形態1にかかるコネクタ1の固定部材30aの構成を模式的に示す斜視図である。固定部材30aは、例えば銅系合金、ステンレス鋼、ばね鋼または低炭素鋼を用いて形成された線材からなり、コイル状に巻回されるとともに、線材の両端が連結された円環状をなす斜め巻きコイルばねである。固定部材30aは、導体部11の縮径部111に取り付けられる。
【0025】
保持部材40は、炭素工具鋼またはステンレス鋼からなる板状部材を主面に沿ってΩ状に湾曲することによって形成される。保持部材40は、Ω状の内部で第1コネクタ10および第2コネクタ20の延在部11b,21bを摺動自在に挟持することによって、第1コネクタ10および第2コネクタ20の接触状態を維持する。
【0026】
図7は、本実施の形態1にかかるコネクタ1を用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。
図7に示す電池パックでは、端子T11,T21に対してコネクタ1を接続するための穴である接続部T11a,T21aがそれぞれ設けられている。コネクタ1は、両端の基部11を接続部T11a,T21aにそれぞれ挿入することによって端子T11,T21間を電気的に接続する。
【0027】
このとき、縮径部111,211に取り付けられた固定部材30a,30bは、接続部T11a,T21aと縮径部111,211とがそれぞれ形成する空間内において弾性変形するとともに、接続部T11aおよび接続部T21aの内部壁面と縮径部111とに対して、互いに離れる方向に付勢する。これにより、コネクタ1と端子T11,T21とを挿脱方向において固定することができる。また、コネクタ1と端子T11,T21とは、基部11aと接続部T11a,T21aとの接触部分のほか、固定部材30a,30bを介して電気的に導通する。
【0028】
ここで、コネクタ1は、第1コネクタ10および第2コネクタ20の各延在部11b,21b同士を摺動させることによって、コネクタ1の基部11a,21a間の距離を変化させることができる。具体的には、保持部材40の巻回方向と直交する方向(矢印Y)に延在部21bが移動することによって、基部11a,21a間の距離が変化する。また、基部11a,21aは、外周の形状が円柱状であるため、円柱の中心軸まわりに回転可能である。これにより、各リチウムイオン電池LIB1〜LIB3間の距離の変化や、端子T11,T12、端子T21,T22、端子T31,T32の配設位置の違いによる端子間の距離のずれ等に対し、延在部11b,21b同士が摺動して第1コネクタ10および第2コネクタ20の位置関係の変化を吸収することによって柔軟に対応できる。
【0029】
本実施の形態1にかかるコネクタ1の基部11a,21a間の距離の変化し得る範囲(基部21aの中心軸が取り得る範囲、許容度に対応)は、例えば、基部11aの中心軸を軸N
0、基部21aの中心軸であって、基部11a,21a間の距離が最小のときの中心軸を軸N
1、基部21aの中心軸であって、基部11a,21a間の距離が最大のときの中心軸を軸N
2としたとき、
図8に示すように、軸N
0のまわりに軸N
1,N
2が移動する各ライン(一点鎖線)によって囲まれた領域Rとなる。
【0030】
上述した本実施の形態1によれば、保持部材によって摺動可能に保持された第1および第2コネクタに対して弾性体からなる固定部材をそれぞれ取り付けて、端子との固定を行うようにしたので、電池間または端子間の距離のばらつきに対して対応可能な許容度を増大するとともに、安定した接続状態を維持することが可能となる。また、上述した本実施の形態1にかかるコネクタは、従来と比して許容度が向上するため、振動等によってその連結が解除されてしまったり、衝撃によりコネクタや端子が破壊されてしまったりすることを防止することが可能となる。
【0031】
また、本実施の形態1によれば、コネクタと各端子との固定においてネジ止め不要とし、端子(接続部)への挿入のみで固定することが可能であるため、工具を用いることなく、簡易に挿脱可能となり、組み付け工数を削減することができる。
【0032】
また、本実施の形態1によれば、従来のコネクタと比して、電池間または端子間の距離の変化、例えば、充放電に起因する膨張収縮による変化に対する追従領域を増大することが可能であるため、電池、端子の位置の変化に一段と確実に対応でき、安定した接続状態の維持を実現することができる。
【0033】
また、本実施の形態1によれば、固定部材に線材からなる弾性体を用いることによって、端子の内部壁面との接触箇所を複数の点接触として確保することが可能であるため、低抵抗で接続することができる。また、固定部材として斜め巻きコイルばねを用いることで、斜め巻きコイルばねが有する非線形荷重によって、電池や端子の変位や振動によって接触圧が変化せず、安定した接触状態を維持することができる。
【0034】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例1−1にかかるコネクタ1の固定部材21の構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態1では、線材からなる固定部材を用いるものとして説明したが、線材のみならず、例えば銅系合金、ステンレス鋼、ばね鋼または低炭素鋼を用いた板状の部材(板ばね)からなる固定部材を用いてもよい。
図9に示す固定部材31は、板状の部材を主面に沿って略C字状に湾曲した形状をなし、外縁側にそれぞれ設けられ、帯状をなして延びる2つの帯状部31aと、板面の幅方向の中央部に設けられ、幅方向に沿って切り欠かれてすのこ状をなすとともに、帯状部31aの板面よりも突出するように湾曲する湾曲部31bと、を有する。
【0035】
変形例1−1によれば、この固定部材31を、上述した縮径部111,211に取り付けることによって、湾曲部31bが弾性変形してコネクタ1と端子との間を固定することが可能となる。固定部材として板状の部材を用いることによっても、上述したような安定した接続状態を維持することが可能である。また、すのこ状をなす複数の湾曲部31bによって、端子の内部壁面との接触箇所を複数の点接触として確保することが可能であるため、低抵抗で接続することができる。
【0036】
図10は、本実施の形態1の変形例1−2にかかるコネクタ1aの構成を模式的に示す上面図である。
図11は、本実施の形態1の変形例1−2にかかるコネクタ1aを用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、基部11aが円柱状をなすものとして説明したが、中心軸に直交する断面が半円状をなすものであってもよい。
図10,11に示すコネクタ1aは、第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aからなる。第1コネクタ10aは、略L字状をなし、導電性材料からなる導体部12と、導体部12と一方の端子との間に介在して、導体部12を端子側に押し付けるように付勢して固定する固定部材32a(第1固定部)と、を有する。また、第2コネクタ20aは、略L字状をなし、導電性材料からなる導体部22と、導体部22と他方の端子との間に介在して、導体部22を端子側に押し付けるように付勢して固定する固定部材32b(第2固定部)と、を有する。第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aは、互い違いに配設され、L字の一方の直線部分同士が接触することにより、側面視で略C字状をなす。
【0037】
導体部12は、例えば純銅または銅系合金からなる断面が半円状の柱状部材を、半円状の直線部分に応じた平面上で長手方向に対して垂直な方向に湾曲することによって形成される。導体部12は、略L字状をなし、L字の一端側の直線部分であって、端子の接続部と接続される基部12aと、L字の他端側の直線部分(延在部分)であって、他方の導体と接触する延在部12bと、を有する。導体部22は、上述した導体部12と同様の形状をなし、導体部12に応じた基部22a、延在部22bを有する。
【0038】
固定部材32a,32bは、例えば銅系合金、ステンレス鋼、ばね鋼または低炭素鋼を用いて形成された板状部材を湾曲してなる。固定部材32a,32bは、板状部材を主面に沿って略C字状に湾曲することによって形成され、内部で延在部12b,22bを摺動自在に挟持する挟持部321a,322aと、板面が弧状をなして湾曲し、弾性変形可能な弾性部321b,322bと、挟持部321a,322aおよび弾性部321b,322bを連結する連結部321c,322cと、をそれぞれ有する。
【0039】
コネクタ1aは、第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aに対して、延在部12b,22bの平面部分同士を接触させることにより、第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aが電気的に接続される。また、第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aが接触した状態で、挟持部321a,322aが延在部12b,22bを摺動自在に挟持(保持)するとともに、基部12a,22aの平面部分に弾性部321b,322bが配置される。弾性部321b,322bは、基部12a,22aの平面部分側に弧状の両端部が位置するように配置され、基部12a,22aの平面部分から凸状に突出した形状をなしている。
【0040】
上述したコネクタ1aを端子T11,T21の接続部T11a,T21aに接続する場合、各基部12a,22aを接続部T11a,T21aに挿入する。このとき、弾性部321b,322bは、基部12a,22aと接続部T11a,T21aとの間で弾性変形するとともに、基部12a,22aを接続部T11aおよび接続部T21aにおける弾性部321b,322bと接触している側と反対側の内部壁面に対して押し付ける方向に付勢する。これにより、コネクタ1aと端子T11,T21とを固定することができる。また、コネクタ1aと端子T11,T21とは、基部12a,22aと接続部T11a,T21aとの接触部分のほか、固定部材32a,32bを介して電気的に導通する。
【0041】
ここで、コネクタ1aは、実施の形態1と同様に、第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aの延在部12b,22b同士を摺動させることによって、コネクタ1aの基部12a,22a間の距離を変化させることができる。具体的には、挟持部321a,322aの巻回方向と直交する方向に延在部12b,22bが移動することによって、基部12a,22a間の距離が変化する。また、基部12a,22aは、基部12a,22aの外縁の円弧部分の円の中心軸のまわりに回転可能である。これにより、各リチウムイオン電池LIB1〜LIB3間の距離の変化や、端子T11,T12、端子T21,T22、端子T31,T32の配設位置の違いによる端子間の距離のずれ等に対し、延在部12b,22b同士が摺動して第1コネクタ10aおよび第2コネクタ20aの位置関係の変化を吸収することによって柔軟に対応できる。
【0042】
上述した変形例1−2によれば、挟持部によって摺動可能に挟持された第1および第2コネクタに対し、弾性部の付勢力によって、端子との固定を行うようにしたので、電池間または端子間の距離のばらつきに対して対応可能な許容度を増大するとともに、安定した接続状態を維持することが可能となる。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について、
図12〜
図15を参照して説明する。
図12は、本実施の形態2にかかるコネクタ2の構成を模式的に示す斜視図である。
図13は、本実施の形態2にかかるコネクタ2の構成を模式的に示す上面図である。
図14は、本実施の形態2にかかるコネクタ2を用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す部分断面図である。
図15は、本実施の形態2にかかるコネクタ2の連結部13bの構成を模式的に示す上面図である。なお、
図1等で上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0044】
コネクタ2は、第1コネクタ10b、第2コネクタ20bおよび皿ばね34からなる。第1コネクタ10bは、導電性材料からなる導体部13と、導体部13と一方の端子との間に介在して、導体部13と端子とを固定する固定部材33a(第1固定部)と、を有する。第2コネクタ20bは、導電性材料からなる導体部23と、導体部23と他方の端子との間に介在して、導体部23と端子とを固定する固定部材33b(第2固定部)と、を有する。皿ばね34は、第1コネクタ10bと第2コネクタ20bとの間に設けられる。
【0045】
導体部13は、断面が半円状をなす略柱状の基部13aと、基部13aに固定されるとともに、第2コネクタ20bが第1コネクタ10bに対して変位可能となるように第2コネクタ20bと連結する連結部13bと、を有する。導体部23は、断面が半円状をなす略柱状の基部23aからなる。基部13a,23aには、連結部13b側の端部において、切り欠き形状をなす切欠部131,231がそれぞれ形成されている。
【0046】
また、基部13aは、先端から凸状に突出する凸部13cを有する。基部23aは、先端から凸状に突出する凸部23bを有する。凸部13c,23bは、連結部13bの連結孔13d,13e(
図15参照)にそれぞれ嵌接することによって連結部13bと連結している。ここで、凸部13c,23bの各先端部分は、カシメなどによって連結部13bから離脱しないような形状をなしている。
【0047】
連結部13bには、
図15に示すように、略平板状をなし、両端部に上述した連結孔13d,13eが形成されている。連結孔13dは、円柱状の内部空間を形成し、この内部空間で凸部13cを収容して保持する。これにより、基部13aと連結部13bとが固定される。また、連結孔13eは、連結部13bの長手方向に延びる柱状の内部空間を形成し、この内部空間で凸部23bを保持する。このとき、連結孔13eの連結部13bの長手方向の長さは、凸部23bの径より大きく、長手方向に直交する方向の長さは、凸部23bの径と略同一である。これにより、凸部23bは、連結孔13eの形成領域において、連結部13bの長手方向に移動することが可能である。
【0048】
固定部材33a,33bは、主面に沿って湾曲した帯状であって、基部13aおよび基部23aの切欠部131,231にそれぞれ巻回されて取り付けられる取付部331a,332aと、取付部331a,332aの帯状の長手方向に平行な一方の側面から弧状に延び、外部からの荷重に応じて弾性変形する弾性部331b,332bと、を有する。
【0049】
固定部材33a,33bは、取付部331a,332aが切欠部131,231に取り付けられると、弾性部331b,332bが基部13a,23aの壁面に沿って延びるように配置される。弾性部331b,332bは、基部13a,23aの壁面側に先端が位置するようにそれぞれ配置され、基部13a,23aの壁面に対して凸となる弧状をなしている。なお、取付部331a,332aは、
図12,14に示すように、切欠部131,231によって係止されて、基部13a,23aの長手方向に対する位置が決められていることが好ましい。
【0050】
皿ばね34は、基部23a(凸部23b)と連結部13bとの間に設けられ、銅系合金、ステンレス鋼、ばね鋼または低炭素鋼からなる円板状をなし連結部13bおよび基部23aを摺動自在に押圧することによって、第1コネクタ10bおよび第2コネクタ20bの接触状態を維持するとともに、基部23aの移動に対する自由度を制御する。
【0051】
上述したコネクタ2を端子T11,T21の接続部T11a,T21aに接続する場合、基部13a,23aを接続部T11a,T21aにそれぞれ挿入する。このとき、基部13a,23aと接続部T11a,T21aとによって弾性部331b,332bが弾性変形するとともに、接続部T11aおよび接続部T21aの内部壁面と基部13a,23aの壁面とに対して、互いに離れる方向に付勢する。これにより、コネクタ2と端子T11,T21とを挿脱方向において固定することができる。また、コネクタ2と端子T11,T21とは、基部13a,23aと接続部T11a,T21aとの接触部分のほか、固定部材33a,33bを介して電気的に導通する。
【0052】
ここで、コネクタ2は、実施の形態1と同様に、基部23aを連結部13bに対して摺動させることによって、コネクタ2の基部13a,23a間の距離を変化させることができる。具体的には、凸部23bが連結孔13eの長手方向に移動することで、基部13a,23a間の距離が変化する。また、基部13a,23aは、基部13a,23aの外縁の円弧部分の円の中心軸のまわりにそれぞれ回転可能である。これにより、各リチウムイオン電池LIB1〜LIB3間の距離の変化や、端子T11,T12、端子T21,T22、端子T31,T32の配設位置の違い等による端子間の距離のずれに柔軟に対応できる。
【0053】
上述した実施の形態2によれば、凸部と連結孔によって各導体が摺動可能に保持され、弾性部の付勢力によって、端子との固定をそれぞれ行うようにしたので、電池間または端子間の距離のばらつきに対して対応可能な許容度を増大するとともに、安定した接続状態を維持することが可能となる。
【0054】
図16は、本実施の形態2の変形例2−1にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態2のコネクタに対して絶縁カバーを設けるものであってもよい。
図16に示すコネクタ2aは、絶縁性の樹脂等からなり、上述したコネクタ2に対して、連結部13bを覆う絶縁カバー50をさらに備える。この絶縁カバー50は、基部13a,23aが接続部T11a,T21aに接続された場合に、端子T11,T21を含む接続領域の外表面側を覆うため、コネクタ2aによって接続された電池パックの安全性を向上することができる。
【0055】
図17は、本実施の形態2の変形例2−2にかかるコネクタの要部の構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態2では、固定部材33a,33bの弾性部331b,332bが、取付部331a,332aの帯状の長手方向に平行な一方の側面から延びて弧状をなすものとして説明したが、この形状に限らず、基部13a,23aと接続部T11a,T21aとの間に配設されて弾性変形し、コネクタと端子を固定できるものであれば適用可能である。
【0056】
変形例2−2にかかる固定部材35 は、上述した取付部331aと同様の形状をなす取付部351aと、取付部351aの帯状の長手方向に平行な一方の側面から取付部351aの主面と直交する方向に突出した後、取付部351aの主面と平行な方向に屈曲して延びる延在部351bと、板状であって、延在部351bの取付部351aと異なる側の端部に設けられ、延在部351bが延びる方向と直交する方向において板面が湾曲した弧状をなし、外部からの荷重に応じて弾性変形する弾性部351cと、を有する。
【0057】
変形例2−2によれば、この固定部材35を、上述した基部13a,23aに取り付けることによって、弾性部351cが弾性変形してコネクタと端子との間を固定することが可能となる。固定部材として板状の部材を用いることによっても、上述したような安定した接続状態を維持することが可能である。
【0058】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について、
図18、
図19を参照して説明する。
図18は、本実施の形態3にかかるコネクタ3の構成を模式的に示す斜視図である。
図19は、本実施の形態3にかかるコネクタ3の要部の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図1等で上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0059】
コネクタ3は、第1コネクタ10cおよび第2コネクタ20cからなる。第1コネクタ10cは、導電性材料からなる導体部14と、導体部14と一方の端子との間に介在して、導体部14と端子とを固定する固定部材30aと、を有する。第2コネクタ20bは、導電性材料からなる導体部24と、導体部24と他方の端子との間に介在して、導体部24と端子とを固定する固定部材30bと、を有する。
【0060】
導体部14は、略円柱状をなす略柱状の基部14aと、基部14aの一端側の円柱側面から板状をなして突出する突出部14bと、を有する。導体部24は、略円柱状をなす略柱状の基部24aと、基部24aの一端側の円柱側面から板状をなして突出する突出部24bと、を有する。ここで、突出部14bは、基部14aの長手方向の長さと基部24aの長手方向の長さとが同じ場合、突出部24bの突出高さに対して高い位置に設けられる。
【0061】
基部14a,24aには、突出部14b,24bが設けられる側と異なる側の端部側に設けられ、外周側面の径が縮径する縮径部141,241が形成されている。縮径部141,241には、上述した固定部材30a,30bがそれぞれ取り付けられ、基部14a,24aを接続部T11a,T21aに挿入した際に、コネクタ3と端子T11,T21とが固定される。突出部14bには、板状をなして円柱の中心軸と直交する方向に延び、先端側に板厚方向に貫通する貫通孔142が設けられている。一方、突出部24bは、板状をなして円柱の中心軸と直交する方向に延び、先端側に板面から突出して凸状をなす凸部242が形成されている。
【0062】
凸部242は、
図19に示す断面図のように、板状をなす突出部24bの一部を屈曲させることによって形成されている。ここで、凸部242は、凸状の突出領域が貫通孔142の内部空間に応じて決定され、円柱状をなして突出していることが好ましい。また、先端部分において、カシメ等により突出部14b,24bの離脱を防止するようにしてもよい。
【0063】
基部14a,24aは、突出部24bの凸部242が突出部14bの貫通孔142に嵌接することによって連結する。このとき、第1コネクタ10cは、凸部242のまわりに摺動して回転することが可能である。これにより、基部14aと基部24aとの距離を変化させることができる。また、基部14a,24aにそれぞれ取り付けられる固定部材30a,30bによって、コネクタ3と端子T11,T21とが挿脱方向において固定される。
【0064】
上述した実施の形態3によれば、凸部と貫通孔によって変位可能に連結された導体に対し、固定部材の付勢力によって、端子との固定を行うようにしたので、電池間または端子間の距離のばらつきに対して対応可能な許容度を増大するとともに、安定した接続状態を維持することが可能となる。
【0065】
図20は、本実施の形態3の変形例3−1にかかるコネクタの構成を模式的に示す斜視図である。変形例2−1と同様に、上述した実施の形態3のコネクタに対して絶縁カバーを設けるものであってもよい。
図20に示すコネクタ3aは、伸縮性を有する絶縁性部材からなり、上述したコネクタ2に対して、突出部14b,24bを含む導体部14,24の先端側を覆う絶縁カバー51をさらに備える。この絶縁カバー51は、導体部14,24が接続部T11a,T21aに接続された場合に、端子T11,T21を含む接続領域の外表面側を覆うため、コネクタ3aによって接続された電池パックの安全性を向上することができる。
【0066】
なお、変形例3−1にかかる絶縁カバー51において、絶縁性部材が伸縮性を有さない場合、絶縁カバー51は、導体部14の可動領域を含むような大きさで形成される。
【0067】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について、
図21〜
図24を参照して説明する。
図21は、本実施の形態4にかかるコネクタ4の構成を模式的に示す上面図である。
図22は、
図21に示すA−A線断面を示す断面図である。
図23は、本実施の形態4にかかるコネクタ4の導体19の構成を模式的に示す斜視図である。なお、
図1等で上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。
【0068】
コネクタ4は、第1コネクタ10d、第2コネクタ20dおよび保持部材41からなる。第1コネクタ10dは、帯状をなす導電性材料を湾曲して形成される導体部15からなるまた、第2コネクタ20dは、帯状をなす導電性材料を湾曲して形成される導体部25からなる。保持部材41は、第1コネクタ10dおよび第2コネクタ20dを接触させた状態で保持する。
【0069】
導体部15は、
図23に示すように、帯状をなす導電性材料の中央部分が湾曲されてなる湾曲部15a(第1固定部)と、帯状の両端部側であって、互いに板面を揃えて延びる2つの延在部15bと、を有する。湾曲部15aは、一方の延在部15bの板面に沿って延び、2つの延在部15b間の距離よりも大きい曲率で湾曲している。導体部15は、主面と平行な方向から見た側面視で略P字状をなしている。また、導体部25は、上述した導体部15と同様の形状をなし、導体部15に応じた湾曲部25a(第2固定部)、および2つの延在部25bを有する。
【0070】
コネクタ4は、導体部15,25に対して、湾曲部15a,25aが互い違いになるように配置して各延在部15b,25bの板面部分同士を接触させることにより、第1コネクタ10dおよび第2コネクタ20dが電気的に接続される。
【0071】
保持部材41は、炭素工具鋼またはステンレス鋼からなる板状部材を湾曲することによって形成され、側面視でC字状をなす。保持部材41は、内部で第1コネクタ10dおよび第2コネクタ20dの延在部15b,25bを摺動自在に挟持することによって、第1コネクタ10dおよび第2コネクタ20dの接触状態を維持する。
【0072】
図24は、本実施の形態4にかかるコネクタ4を用いた電池パックの要部の構成を模式的に示す側面図である。上述したコネクタ4を、例えば
図24に示すような、端子T110,T210(またはリチウムイオン電池の側面)から突出する接続ピンT110a,T210aと接続させる場合、接続ピンT110a,T210aを湾曲部15a,25aの内部にそれぞれ嵌接させる。ここで、湾曲部15a,25aは、内周の径が、接続ピンT110a,T210aの直径よりも小さくなるように湾曲されているものとする。このとき、湾曲部15a,25aが接続ピンT110a,T210aによって弾性変形によって拡径されるとともに、接続ピンT110a,T210aを締め付けるように付勢する。これにより、コネクタ4と端子T110,T210とを固定することができる。なお、コネクタ4による端子の固定の場合、湾曲部15a,25aが固定部の機能を担っている。
【0073】
ここで、コネクタ4は、実施の形態1と同様に、各導体部15,25の延在部15b,25b同士を摺動させることによって、コネクタ4の湾曲部15a,25a間の距離を変化させることができる。具体的には、延在部15b,25bが、互いの板面に沿って、保持部材41の巻回方向と直交する方向に移動することによって、湾曲部15a,25a間の距離が変化する。また、接続ピンT110a,T210aが略円柱状であるため、湾曲部15a,25a内部において、この円柱の中心軸まわりに回転可能である。これにより、導体部15,25は、接続ピンT110a,T210aまわりにそれぞれ回転可能であり、複数のリチウムイオン電池間の距離の変化や、複数の端子の配設位置の違い等による端子間の距離のずれに柔軟に対応できる。
【0074】
上述した実施の形態4によれば、固定部材によって摺動可能に保持された導体に対し、湾曲部の付勢力によって、端子との固定を行うようにしたので、電池間または端子間の距離のばらつきに対して対応可能な許容度を増大するとともに、安定した接続状態を維持することが可能となる。
【0075】
なお、上述した実施の形態1〜4において、形状が「同じ」とは、設計上同一のものであり、製造上の誤差を含む。