特許第6126089号(P6126089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126089
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】加熱側壁方式調理器具および方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20170424BHJP
   A47J 36/02 20060101ALI20170424BHJP
   A47J 36/06 20060101ALI20170424BHJP
   A47J 45/06 20060101ALI20170424BHJP
   A47J 45/07 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   A47J27/00 104A
   A47J36/02 A
   A47J36/06 Z
   A47J45/06 E
   A47J45/07 A
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-519607(P2014-519607)
(86)(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公表番号】特表2014-522692(P2014-522692A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2012051637
(87)【国際公開番号】WO2013007948
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】1156376
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセリン ボウネル
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0109761(US,A1)
【文献】 特開2004−180958(JP,A)
【文献】 特開2006−102084(JP,A)
【文献】 特表2010−535046(JP,A)
【文献】 特開平03−187180(JP,A)
【文献】 特開2001−190432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 36/02
A47J 36/06
A47J 45/06
A47J 45/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収納するように構成された容器であって、底部(30)およびこの底部(30)の周囲に起立する側壁(300)を有する基板(31)と、当該容器の前記側壁(300)に配設された加熱電気抵抗(9)とを具える容器と、
この容器に電源を供給するために前記電気抵抗(9)に接続された電気発生源(7)とを具えた調理器具であって、
前記基板(31)が金属であり、前記電気抵抗(9)が、
前記基板の外部か、あるいは、
前記基板内の、
物理化学的金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに相互に結合された複数の導電金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)の内部に埋め込まれて配設されることを特徴とする調理器具。
【請求項2】
外部加熱源(15)の正面に置くべき内表面(14)を有する前記底部(30)が、電気プレートか、ガス源から出る炎か、前記容器の誘導加熱用誘導コイル(69,71)のうちの何れかを具え、前記外部加熱源(15)の熱に耐えるよう構成され、そのために
異なる金属または金属合金(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)をもつ多層基板構造(31)および/または、少なくとも
剛性強化刻印(17,170)か、もしくは
前記基板の可鍛金属層に固定され、および/またはこの可鍛層よりも硬い磁化可能金属製のインサート(19)
を具えたことを特徴とする請求項1に記載の調理器具。
【請求項3】
前記電気抵抗(9)が前記容器の前記側壁(300)だけに配設され、外部加熱源(15)の正面に置くべき内表面(14)を有する前記底部(30)が、電気プレートか、ガス源から出る炎か、容器の誘導加熱用誘導コイル(69、71)のうちの何れかを具え、前記外部加熱源(15)の熱に耐えるよう構成され、そのために
異なる金属または金属合金(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)をもつ多層基板構造(31)および/または、少なくとも
剛性強化刻印(17,170)か、もしくは
前記基板の可鍛金属層に固定され、および/またはこの可鍛層よりも硬い磁化可能金属製のインサート(19)
を具えることを特徴とする請求項1に記載の調理器具。
【請求項4】
前記容器の前記側壁(300)だけに配設される前記電気抵抗(9)が金属基板内に埋め込まれ、この金属基板内で、これが金属素材(3a)またはその周囲にあって前記導電金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)から分離する電気絶縁層(3c)で囲まれることを特徴とする請求項1から請求項3の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項5】
前記側壁(300)は、前記基板(31)の凹形内部側に向いた内表面(13)と、反対の外表面(30a2)とを有し、前記加熱電気抵抗(9)が前記側壁の外表面の場所(300)の電気絶縁層(3c)に固定され、電気絶縁層自体も金属基板に固定された被覆であることを特徴とする請求項1から請求項4の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項6】
取っ手または蓋など、前記容器の付属品である調理道具に前記電源(7)が設けられることを特徴とする請求項1から請求項5の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項7】
調理道具が、前記容器を持ち上げて前記調理器具を手で持つためにそれに固定された取っ手(5)であることを特徴とする請求項6に記載の調理器具。
【請求項8】
相互に分離可能な固定手段(21a,21b)により取っ手(5)が前記容器に対し取り外し可能であり、
前記電気抵抗(9)および前記取っ手(5)は、前記取っ手(5)および前記容器が一緒に固定されるときに相互に接触する第1の電気接点端子および第2の電気接点端子(25a、25b)を有する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の調理器具。
【請求項9】
固定手段(21a,21b)が全体で、前記取っ手(5)を前記容器に固定するために相互に可動であるコレットを形成する2つの爪(210a,210b)を具え、第2の電気接点端子(25b)がこれらの爪(210a,210b)のうちの少なくとも一方に配設されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の調理器具。
【請求項10】
前記取っ手(5)の前記第2の端子(25b)が、弾性復元手段(27)によって反発され、接触抵抗(9)が100ミリオーム未満、好ましくは10ミリオーム未満に制限されることを特徴とする請求項8および請求項9の何れか一項に記載の調理器具。
【請求項11】
前記第1の端子(25a)が凹形端子であり、
前記調理道具(5)の前記第2の端子(25b)が突出して弾性復元手段(27)とともに用いられることを特徴とする請求項8から請求項10の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項12】
前記取っ手(5)は
凹形の本体(29)と、
前記本体(29)内に収納され、電気発生手段(7)を画定するバッテリーの如き再充電可能な電気エネルギー発生源(7)と、
前記本体(29)を具備し、前記再充電可能な電気エネルギー発生源(7)に接続された再充電端子(25a,25b)と、
前記再充電可能な発生源(7)を水分から保護するための防水手段(43)と
を具えたことを特徴とする請求項6から請求項11の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項13】
前記抵抗(9)が複数の抵抗(9a1,9a2)を具え、前記複数の抵抗(9a1,9a2)がそれぞれ独立しているか、または相互に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項12の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項14】
前記電気抵抗(9)が前記容器(3)に付着していることを特徴とする請求項1から請求項13の少なくとも何れか一項に記載の調理器具。
【請求項15】
前記電気抵抗(5)は、少なくとも1つの導電素材を具えるスクリーン印刷回路であることを特徴とする請求項14に記載の調理器具。
【請求項16】
内表面(13)において食品を収納するよう構成された基板(31)を具える容器を具備する調理器具を製造するための方法であって、それが底部(30)と、前記底部の周囲で起立する側壁(300)とを有するように基板を凹形に成形するステップを含む方法において、
前記基板(31)に少なくとも2つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)を具備し、
前記凹形成形ステップの前または後に、前記基板が具える2つの導電金属層(3a1,3a2)の間にそのような電気抵抗(9)を間置し、次に物理化学金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに、前記2つの導電金属層(3a1,3a2)同士を接着することにより前記抵抗(9)を前記基板内に埋め込み
前記抵抗(9)を、前記調理器具に電源を供給する電気発生源(7)に接続することを特徴とする方法。
【請求項17】
内表面(13)において食品を収納するよう構成された基板(31)を具える容器を具備する調理器具を製造するための方法であって、それが底部(30)と、前記底部の周囲で起立する側壁(300)とを有するように前記基板を凹形に成形するステップを含む方法であって
少なくとも1つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)により前記基板(31)を作製し、凹形に成形するステップの後または前に、この側壁(300)の前記金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)の外周(30a1)の前記側壁(300)に加熱電気抵抗(9)が固定されるか、または、
前記基板(31)に少なくとも2つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)を具備し、前記凹形成形ステップの前または後に、前記基板が具える2つの導電金属層(3a1,3a2)の間にそのような電気抵抗(9)を間置し、次にこの基板の中にこの抵抗(9)を埋め込み、または、
前記基板(31)に少なくとも2つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)を具備し、前記凹形成形ステップの前または後に、前記基板が具える2つの導電金属層(3a1,3a2)の間にそのような電気抵抗(9)を間置し、次に物理化学金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに、前記2つの導電金属層(3a1,3a2)同士を接着することにより前記抵抗(9)を前記基板内に埋め込み、
前記抵抗(9)を、前記調理器具に電源を供給する電気発生源(7)に接続する方法において、
前記容器の前記側壁(300)だけに前記電気抵抗(9)を配設し、
前記底部(30)が、外部加熱源(15)の熱に耐えながら、電気プレートか、ガス源から出る炎か、容器の誘導加熱用誘導コイル(69,71)のうちの何れかによって加熱されるよう前記外部加熱源(15)の正面に置くべき内表面(14)を有するように、前記底部に
異なる金属または金属合金(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)をもつ多層基板構造(31)および/または、少なくとも
剛性強化刻印(17,170)か、もしくは
基板の可鍛金属層に固定され、および/またはこの可鍛層よりも硬い磁化可能金属製のインサート(19)を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
内表面(13)において食品を収納するよう構成された基板(31)を具える容器を具備する調理器具を製造するための方法であって、それが底部(30)と、前記底部の周囲で起立する側壁(300)とを有するように前記基板を凹形に成形するステップを含む方法において、
少なくとも1つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)により前記基板(31)を作製し、凹形に成形するステップの後または前に、この側壁(300)の前記金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)の外周(30a1)の前記側壁(300)に加熱電気抵抗(9)が固定され、前記抵抗(9)が、前記調理器具に電源を供給する電気発生源(7)に接続されるか、または、
少なくとも1つの金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)により前記基板(31)を作製し、凹形に成形するステップの後または前に、この側壁(300)の前記金属層(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)の外周(30a1)の前記側壁(300)に加熱電気抵抗(9)が固定され、前記抵抗(9)が、前記調理器具に電源を供給する電気発生源(7)に接続され、前記容器の前記側壁(300)だけに前記電気抵抗(9)を配設し、前記底部(30)が、外部加熱源(15)の熱に耐えながら、電気プレートか、ガス源から出る炎か、容器の誘導加熱用誘導コイル(69,71)のうちの何れかによって加熱されるよう前記外部加熱源(15)の正面に置くべき内表面(14)を有するように、前記底部に異なる金属または金属合金(3a1,3a2,3a3,3a4,3a5)をもつ多層基板構造(31)および/または、少なくとも剛性強化刻印(17,170)か、もしくは基板の可鍛金属層に固定され、および/またはこの可鍛層よりも硬い磁化可能金属製のインサート(19)を具え、
付着法により前記電気抵抗(16)を固定することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用、より一般的には食品の加熱用容器として使用する調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を収納するよう構成された容器であって、底部およびこの底部の周囲に起立する側壁を有する基板と、容器の側壁に配設された加熱電気抵抗とを具える容器と、
この容器に電源を供給するために電気抵抗に接続された電源(電気発生源)と
を具えるような器具は既に知られている。
【0003】
つまり、電源は主電源ではなく、器具によって支承されるものである。
【0004】
特許文献1は、器具の底部の厚み部分内に配設された加熱抵抗に電源を供給するバッテリー10を具えた取っ手3を含む調理器具2を開示している(参照番号はこの文献において用いられている参照番号である)。つまり、取っ手の外部装置に電気を供給するエネルギー発生源を具えた取っ手を含む調理器具の一般的な原理は既知である。
【0005】
しかしながら、特許文献1は、キッチン、あるいはより一般的には、電気プレートや、ガス源から出る炎、または誘導による保護容器の加熱用誘導コイルタイプの熱源とは全く異なり、調理器具を移動できるか、あるいは配膳トレーとして使用できる解決方法を提供することを目的としている。解決方法は、手で持ち運びが可能であり、比較的かさが小さく、見たところ使いやすく、熱的に見て高性能な器具である。
【0006】
それでもなお、以下の場合のように、求められる適用例が特に移動による使用ではない場合、特に熱的性能に関しては問題が残る。ここで求められる目的としては、内部における好ましい使用の範囲内で使用可能な加熱源の近傍において、
これが加熱されるときの保護容器の熱損失を制限すること、および/または
この保護容器の均一な加熱を得ること(あるいは少なくともそれを目指す)こと、および/または
特に蓋の使用と組み合わせて調理の終了時において食品を暖かいままに保つことをさらに進めること
が特に求められる。
【0007】
提案された解決方法は、上で示した第1の器具において、その保護容器の基板が少なくとも1つの金属層で形成され、かつ加熱電気抵抗が
金属基板の外部か、もしくは
前記基板内の
成形導電金属素材か、または
物理化学的金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに相互に結合された複数の導電金属層の内部に埋め込まれて
配設されるというものである。
【0008】
用語は以下のように理解されたい。すなわち
接着材を使用せずに:一切の粘着接着材を排除して
金属基板の外部に:それに固定されて「表面に」、それを押圧して、薄層、典型的には電気絶縁層によってそれから分離されて
金属結合:接触するように配置した1または複数の金属の原子を結合させることができる化学的結合(例えばろう付け時、さらには共積層化時)
変形により相互に結合された層:(例えば特に冷間圧密時に圧力を加えること)および/または材料の分散により(共積層化時のように)接触金属の塑性変形を用いて非溶解溶接により相互に結合される異なる金属であって、非特許文献1を参照。
【0009】
このようにしてラジエーター効果を低減させ、その結果として
側壁における温度の均質化と、
場合によって加熱速度の増加と、
調理終了後の加熱状態保持と
を全面的または部分的に促進させなければならない。
【0010】
また、底部と側壁との間の熱勾配を制限することは、通常、保護容器の金属層の内面を覆い、高過ぎる温度(300℃以上、さらには250℃)の影響を受けることが多い(PTFEなどの)接着材耐性被覆の寿命にとって有利であるので、こうして熱勾配を制限することにより、均一かつ良好な調理を確保しつつ、材料の厚さを減らし、さらには熱拡散し難い材料(容器全体に亙る熱分布において同じ効果を得るようにしながら、例えばアルミニウムの代わりのステンレス)を選択できるようでなければならない。
【0011】
また、少なくとも製造の開始時においては、(この電気抵抗を具備する)上記保護容器と、これを具備しないそれらとを区別する必要性を回避できることとなる。この件に関して、電気抵抗が底部の金属隔壁の中央に配設されているという欠点が示されている(例えば特許文献1参照)。
【0012】
また、抵抗の位置の如何(埋め込み型であるか表面型であるか)に関わらず、集中加熱を使用する場合を有利に満足させるため、外部加熱源の正面に安定的に置くべき内表面を有する保護容器の底部が、電気プレートか、ガス源から出る炎か、容器の誘導加熱用誘導コイルのうちの何れかを具え、前記外部加熱源の熱に耐えるよう構成され、そのため
(機械的および熱的理由から異なる金属または金属合金とすることができる少なくとも3層を前提として有する)多層基板構造および/または、少なくとも
剛性強化刻印と、
基板の可鍛金属層および/またはこの可鍛層(内表面側)よりも硬い基板に固定される磁化可能金属(例えば強磁性体)製のインサートと
を具えることがさらに推奨される。
【0013】
こうすることにより熱的性能と機械的性能とを両立させることができ、上で引用した外部熱源の中から選択されたそれの如何に関わらず良好な経時耐久性が得られ、しかもこれは、電気抵抗が容器の側壁だけに配設される場合にはさらに向上させることができる。事実、各項目を最適化することにより、底部の変形の管理に関する問題および2ページの冒頭で示したそれを解決することが可能であろう。
【0014】
従って、ここで推奨する可能な容器(また保護容器とも呼ぶ)のうちで、底部が補強されおよび/または誘導加熱に対応する容器を想定する。この容器は底部および側壁が一体構造で同じ金属素材(例えばアルミニウム)であることが外側には有利であり、底部の下は、例えば前記可鍛性が高い金属層を覆う、磁気化可能なまたは強磁性体のフェライト系鋼の下側カップを画定するそれよりも可鍛性が高い金属層(例えばアルミニウム)に接着される。従って(側壁の作製のための)エンボス加工に(多層底部の作製のための)熱間圧密を組み合わせることは製造手法としてはきわめて適切なものになるだろう。
【0015】
だが、容器の製造ならびに場合によってはその保守のしやすさを高めるため、側面が、基板の凹内面側に向いた内表面と、対向する外表面とを有し、加熱電気抵抗が側壁の外表面で電気絶縁層に固定された付着層であることがなお推奨され、それによりこの電気絶縁層自体も金属基板に固定された付着層となる。
【0016】
製造時間の短縮化を進めると共に経時信頼性の高い器具を得るため、電気抵抗が基板内に埋め込まれるのではなく、表面にある場合、特に電気抵抗は個別に保護電気絶縁材で被覆された導線を具えるよりも、基板の金属層に平坦に押圧した電気絶縁層と、機械的および/または物理化学的保護用被覆層との間に配置することもまた推奨される。
【0017】
電気抵抗が金属基板内に埋め込まれている場合には、電気抵抗を容器の側面だけに配設し、電気抵抗の周囲の、好ましくは導電性の前記金属素材または前記金属層から電気抵抗を分離する電気絶縁層でそれを囲むことが推奨される。
【0018】
こうすることにより、期待される側面加熱で達成される信頼性と、底部の経時変形の管理も含め、所望の製造速度および条件とを尊重することが両立する。それが基板内に埋め込まれるときには、導線が個別に被覆された抵抗が好適である。
【0019】
保護容器の側壁が具備する抵抗の電源は、器具を持ち上げ手で持つことができるよう、容器に固定された取っ手に設けることが好ましい。このように、機能的な把握のための最小限の寸法を考慮して通常は取っ手内に確保されている空間を利用することができる。
【0020】
特許文献1の調理器具よりさらに使い勝手を高めサイズを小さくするためには、
相互に分離可能な固定手段により取っ手を取り外し可能な方法で容器に固定すること(その場合、取っ手に設けられた取り外し可能固定手段を操作するために電源を使用することができる)、および
この電気抵抗および取っ手は、取っ手および容器が一緒に固定されるとき(例えば上から来る蓋とは異なり、取っ手は横方向にセットされるため接触する可能性が高い)、相互に接触する第1の接点端子および第2の接点端子を有すること
も推奨される。
【0021】
さらに、電気抵抗は容器の側壁の外周および/または高さの主要部分に亙って延在していることが好ましい。
【0022】
加熱電気抵抗が、2本の導線のみが側壁の中央のある明確な場所まで上る特許文献1のように底部上(内)ではなく、この側壁のかなりの外周範囲に延在するという事実はここでは好適である。というのは、そうすることにより、取っ手の場合、半径方向における位置決めであれ高さ方向であれ、抵抗の電源の支承要素との接続の場所をより柔軟に選択できるからである。
【0023】
取っ手が固定された状態で、取っ手の固定手段が保護容器の側壁の内面(食品側)にも外面にも接触していれば、別の好ましい態様が実現され、取っ手の固定および電気的接続を容易に満足させ、そのために設けられた接続端子(またはゾーン)が限定される(図1図15)、または限定されない(図20)。
【0024】
このことは、容器/取っ手固定手段が、コレットを形成し容器に取っ手を固定するために相互に可動であるような2つの爪を具える場合には、さらに有利であり、前記第2の電気接点端子はこれらの爪の(少なくとも)一方に配設される。
【0025】
この種の有利な実施形態においては、さらに、固定手段が取っ手にコレットの爪を具え、保護容器に、上部外周縁の近傍の側壁の一部分を具え、有利には爪が上から直接挟むようにして、これらの爪の一方が前記第2の電気接点端子を具備するようになっている。
【0026】
特に肉の強火焼きなどに使用することができるフライパンの場合、良好な調理ができる電気性能を実現するために、抵抗の電源の支承要素の電気接点端子が、弾性復元手段24によって反発され、それにより容器の端子とともに、接触抵抗を100ミリオーム未満、好ましくは10ミリオーム未満に制限することが推奨される。
【0027】
電気接点の品質のため
第2の電気接点端子の前記弾性復元手段は凸型端子とともに使用し、第1の接点端子は凹型端子であること、または
第1の端子を第2の端子に固定する必要がある場合には、相互の割り出しを行うために、電源支承要素および保護容器に割り出し手段を設けること
が推奨される。
【0028】
あらためて、電気的性能を確保するためには、8Aから14Aの電流に耐えるために各電気接点端子は少なくとも0.75mmの断面積を有することが推奨される。
【0029】
配膳用トレーとしての容器の使用をより促進させる場合、あるいは主電源に接続したプラグから離れて使用する際には、取っ手が使われている場合には、それが凹形本体を具えること、およびそれが具備する電源供給手段が、前記本体内に収納され本体が具備する再充電端子に接続された、バッテリーのような再充電可能電気エネルギー発生源を具え、取っ手が、水分から前記再充電可能電気エネルギー発生源を保護する防水手段を具備することが推奨される。
【0030】
このように取っ手が取り外し可能である場合、「電気取っ手」ではあるが、必要であれば水で洗うこと(場合によっては水中に入れること)ができよう。
【0031】
また本発明は、前出の全特徴または一部の特徴を取り入れた調理器具の製造方法にも関する。以下に詳細を記す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2008−142205号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第102007054022号明細書
【特許文献3】欧州特許第1991098号明細書
【特許文献4】欧州特許第2007260号明細書
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】http://hal-ensmp.archives-ouvertes.fr/docs/00/57/05/47/PDF/Kaabi-Bienvenu-Ryckelynck_MatA_riaux_2010_5_p.pdf
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明のその他の特徴および長所は、例として示した添付の図面を参照して行う以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】使用可能な取っ手の内部を示す食品調理用の調理器具の垂直断面図である。
図2図1のIIを拡大した、加熱抵抗が存在する場所において保護容器を構成することができる層の拡大図である。
図3】加熱抵抗が存在する場所において保護容器を構成することができる層の拡大図である。
図4】加熱抵抗が存在する場所において保護容器を構成することができる層の拡大図である。
図5図7のV−Vでの断面に対応する図である。
図6図8のVI−VIでの断面に対応する図である。
図7】機械的に補強された底部の下面を示す図である。
図8】機械的に補強された底部の下面を示す図である。
図9】電気抵抗の形状の例を示す図である。
図10】電気抵抗の形状の例を示す図である。
図11】ベースプレートを介して行う保護容器への取っ手の固定を示す図である。
図12】前提となる「取り外し可能な取っ手」による解決方法における取っ手および容器の端子間の相互作用の可能な実施を示す図である。
図13】前提となる「取り外し可能な取っ手」による解決方法における取っ手および容器の端子間の相互作用の可能な実施を示す図である。
図14】爪が開いた状態の図1の取っ手単体の外面図である。
図15】カバー、防水シール、および把握体を形成する材料に埋め込まれた再充電可能なエネルギー発生源を具える取り外し可能取っ手を示す図である。
図16】カバー、防水シール、および把握体を形成する材料に埋め込まれた再充電可能なエネルギー発生源を具える取り外し可能取っ手を示す図である。
図17図2図4の実施例の代替案を示す断面図である。
図18図2図4の実施例の代替案を示す断面図である。
図19】基板内を電気が流れる保護容器の上部の局部図である。
図20】電気エネルギーが保護容器の金属基板内を流れる解決方法を示す図である。
図21】容器/取っ手の間の電気的接触を発生させるにあたり、容器の周囲の取っ手の角度位置は任意であること、容器/取っ手の間の接点端子に関して採用した位置の関係上、あらかじめ決められた位置はない。その上で、複数の抵抗で形成される抵抗があり、それら抵抗が独立している第1の場合を有するために利用された図である。
図22】容器/取っ手の間の電気的接触を発生させるにあたり、容器の周囲の取っ手の角度位置は任意であること、容器/取っ手の間の接点端子に関して採用した位置の関係上、あらかじめ決められた位置はない。その上で、複数の抵抗で形成される抵抗があり、それらが相互に接続されている第2の場合を有するために利用された図である。
図23】容器の付属品である当該調理器具に設けられた電源の再充電部との結合を示す図である。
図24】容器の付属品である当該調理器具に設けられた電源の再充電部との結合を示す図である。
図25】容器の付属品である当該調理器具に設けられた電源の再充電部との結合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の文章、さらには文書全体に亙り、ならびに図面に関しては、変形形態の全てまたは一部を組み合わせることが可能であることに留意されたい。
【0037】
特に図1図2には調理器具1が示してある。これは以下のもの、すなわち
少なくとも金属層3aを具え、内部に食品を収納するよう構成された金属基板のベースに形成された保護容器3と、
組み合わせる調理道具の例として、取っ手を持ち上げ、器具を手で持つために保護容器に固定された取っ手5と
を具える。
【0038】
採用された調理道具は、この容器にとって有用である(照明,攪拌,支承要素など)。これは、それ自体で容器の(単なる)電気または誘導加熱以外の機能を有することになる。手で持つことができる調理道具であるのが好ましい。つまり、それの移動および/またはそれの操作のための保持、それの持ち運びおよび/または容器の持ち運びがそれのおかげで可能になる。従って、取っ手は好例となる。
【0039】
取っ手5は、保護容器が具備する加熱電気抵抗9に接続された電気供給(発生)源7を具備し、この保護容器はこの抵抗に電源を供給するためのものである。
【0040】
保護容器は、底部30および底部の外周において、上部開口部10まで上方に起立する側壁300を有する。
【0041】
電気抵抗9は、基板の金属層の外表面の側壁に配設される。これは回路または導線であることが前提である。
【0042】
図2において、金属基板は、金属層3a(特にアルミニウムまたはステンレス鋼)を一層だけ具える。内部ではこの基板に、例えばPTFE製、またはそれを基材とする接着材耐性被覆3bが上塗りされる。ここで、外面においては、金属層3aには電気絶縁層3cが被覆される。この層3cは付着法によって固定されてあるのが好ましい。外側で絶縁層3cに固定される抵抗9の電気的制約を考慮して有効にするたには、この層は少なくとも20ミクロンから50ミクロンの厚さを有するのが好ましい。
【0043】
電気抵抗9は付着法により、金属基板の周囲に、ここでは絶縁層3cに押圧して固定するのが好ましい。従って抵抗の固定は、その設置時、今回の場合はその付着作業時に行われる。
【0044】
抵抗9は、導線が電気絶縁材で被覆されていない金属回路とすることができる。
【0045】
この金属回路は溶射により固定することができる。物理化学的保護を行うためにこの抵抗の外部に保護被覆12を施すことが推奨される。酸化防止が推奨される。電気絶縁被覆12が好ましい。
【0046】
代替方法では、抵抗9はポリマーを基材とすることができるが、これは、付着させた後は、保護被覆12により機械的に保護しなければならない。
【0047】
別の代替方法として、抵抗9は、導電粒子を含むエナメルを基材とすることができる。その場合、保護容器に既に固定された抵抗9の周囲に前提として付着法によりかつそのときに固定されるようになる機械的および/または物理化学的保護被覆12をそれに施す必要は必ずしもない。
【0048】
図3図4において、金属基板は、複数の金属層(金属または金属合金)3a1,3a2,3a3,および3a1,3a2,3a3,3a4,3a5をそれぞれ具える。ここで、
層3a1,3a2,3a3は、例えばステンレス鋼/アルミニウム/ステンレス鋼であり、
層3a1,3a2,3a3,3a4,3a5は、例えばステンレス鋼/アルミニウム/ステンレス鋼(または銅)/アルミニウム/ステンレス鋼であり、
共積層が推奨される。
【0049】
外部においては、当該基板に固定され、電気絶縁層3cを間置し、場合によっては外部保護被覆12が存在する抵抗9もある。ステンレス鋼において、接着材耐性内部付着層3bは必須ではない。
【0050】
底部30には基板および必要であればこの接着材耐性内部付着被覆3bが存在するが、ここでは層3c,9はなく、従って被覆12もない。
【0051】
図2図5においては、保護容器は金属層3a(例えば鋼)のみを具える。これがアルミニウム製であって、誘導加熱が所望される場合には、保護容器の基板は、磁性金属製の少なくとも1つの別の層またはインサートを具えたものとする。図5のように内部被覆13が可能である。
【0052】
図5図6においては、各底部30が、当該外部加熱源15の正面に置くべき下側表面14と、食品を受け入れる上側表面13とを有することがわかる。
【0053】
加熱時に底部が若干湾曲し、その結果、特に図5図6において最終的には150℃〜200℃程度の温度で表面14が平坦または上に向かって若干凹形になる図6のように、源15は、電気プレートか、ガス源から出る炎か、保護容器の誘導加熱用誘導コイルのうちの何れかである。
【0054】
この下側表面14、さらにより一般的には各底部30は、当該外部加熱源の熱に耐えるよう構成されている。
【0055】
図7図8で補完されるこれら図5図6に示すように、下側表面14は少なくとも1つの剛性強化刻印17か、または下側層14が属する層3aの金属(例えばアルミニウム)よりも硬く、この層を部分的に画定するためこれに固定される(例えば鋼製の)インサート19を具えている。
【0056】
刻印17は材料を欠く。刻印は自身が形成される金属層を横断することはない。図6図8のように、より硬い金属製インサートを補完するものとして存在することがある刻印170も同様であることがある。これらの図において、インサートは、ここでは層3aの金属である基板の厚み部分に(下から)エンボス加工される。インサートは、説明したように、エンボス加工により容易に固定できる有穴プレートとすることができる。
【0057】
従って、底部30にとって経時的に機械的強度を有する別の解決方法はまた、図4に相当する解決方法であり、この解決方法ではインサートも刻印もなく、5層3a1,3a2,3a3,3a4,3a5、ここではステンレス鋼/アルミニウム/ステンレス鋼(または銅)/アルミニウム/ステンレス鋼により、期待される効果が得られる。3層3a1,3a2,3a3、すなわちステンレス鋼/アルミニウム/ステンレス鋼の場合も同じである。
【0058】
電気抵抗9は、基板の内側(凹表面)への配設は除外されないとしても、製造パフォーマンス(より広範な抵抗の種類や保護容器の製造に関連する信頼性)を考慮して、基板の外側30a1の側壁300に配設されるように構成される。
【0059】
図9図10に示すように、この電気抵抗9は複数の形態を持つことができるが、側壁300の外周(周囲)および高さHの少なくとも主要部分に亙って延在している。ここで高さHは、外周上縁303と底部30との間であると定義され、これは(熱間反復変形に対する機械的強度を向上させるため、実際はこの底部が上に向かって若干凸形であるとしても)全体として水平で平面である(とみなされる)。図7図8の線分Cは、30から300の間の限度を象徴的に示すものである。
【0060】
電気抵抗9は加熱の均一性のための蛇行形状を画定する。
【0061】
図1図15により、取っ手5は取り外し可能な方法で、しかもそのために、互いに分離可能な固定手段21a,21bにより、保護容器3が属する容器3.1に固定することができることがわかる。
【0062】
これら第1の固定手段および第2の固定手段21a,21bはそれぞれ、取っ手に、および保護容器によって外側で支承され、例えばねじ締めにより外表面30a2に押圧されてそれに固定されるベースプレート23に設けることができよう。この場合、図11を参照すると、特許文献2にあるように、第1の固定手段および第2の固定手段21a,21bは、取っ手およびベースプレートに画定され、かつこの文献において設けられた手段4,8,11の周囲に構築された湾曲スライドウェイシステムを画定することができる。取っ手および保護容器3に手段21a,21bを設けることも好適である。
【0063】
取っ手5は、電気抵抗9に設けられた第1の端子25aと接触するようになる第2の端子25bを具備することになるが、その場合、取っ手および保護容器が一緒に固定されると、分離可能な電気接点が確立される。図1図12図13を参照のこと。
【0064】
抵抗9に関しては、それが、その場合に側壁300の周囲(外周)および/またはその高さHの少なくとも主要部分に延在することが推奨される。
【0065】
図1図14の例においては、第1の固定手段および第2の固定手段21a,21bはそれぞれ取っ手にコレットの爪210a,210bを、保護容器の、全周が外部縁305を有する外周上縁303のごく近傍に、その側壁の部分301を具える。
【0066】
爪210a,210bは上から部分301を挟むようになる。これらの爪のうちの一方(好ましくは1つのみ、すなわち固定爪210b)は第2の電気接点端子25bを具備する。
【0067】
平行運動が可能な爪を有するかかるコレット(この運動を確実に行う方法に関するさらなる詳細については、例えば特許文献3を参照のこと)も有利ではあるが、爪は別の方法により可動とすることができ、取っ手−容器間の電気的接触が行えるベースプレートに固定することができる。従って、第1の端子25aは、固定のための挟み動作の際、第2の端子25bに接触するよう、このベースプレートによって支承されることになろう。
【0068】
正面に位置する固定爪210aに対して可動爪210aを移動するため、図1では、本体29に対し長手方向35に直線移動可能に取り付けられたスライド33、ならびに第1の旋回クランクおよび第2の旋回クランク37,39を使用する。第2のクランクは可動爪21aに直接作用する。前後の動きが可能なように本体29に取り付けられた操作ボタン41により、爪210aを終端とするロッド211aの開口部を通る突起370を介して第2のクランク39dが作動し、それによりローラーチェーン33,37,39が作動する。さらなる詳細は特許文献4において記載されている。本体29は取っ手を手で把握するように成形されて中空である。内部では、例えば導線による電気接続部43が電源7と端子25bとを接続する。
【0069】
第1の端子および第2の端子25a,25bに関して、これら端子がそれぞれへこんでいる(凹形である)こと、突出している(凸形である)ことが好ましく、それにより端子間の良好な相対位置決めが促進されることが図12からわかる(図13は、同じく可能な平坦接続の略図である)。
【0070】
また、第2の接点端子を第1の接点端子側に送るためには、これらの上(後方)に(ばねのような)弾性復元手段27を設けることが推奨される。図12では、端子25bは、ばねまたは同等の手段により容器側に(ただし容器からは間隔を確保して)押し戻されて休止状態にある。図13では、弾性手段27は緊張状態にあり、端子25bを抵抗9に接触させる。
【0071】
さらに、
これらの端子25bが、容器の端子25aと共に接点抵抗を100ミリオーム、好ましくは1ミリオームに制限することと、
8Aから14Aの電流に耐えるために各端子25a,25bが少なくとも0.75mmの断面積を有することと
が推奨される。
【0072】
取り外し可能取っ手5の場合、取っ手の把握体29の前端290(図14)に、接点抵抗を100ミリオーム、好ましくは1ミリオームに制限するため、場合によってはばねに取り付けられた10A程度の電流に耐えることができる特に最小断面積が0.75mmの2つの接点端子を設けることができるのが有利である。
【0073】
容器の固定取っ手、すなわち端子25a,25bがない取っ手の場合、電源7からの導線を加熱回路9に直接はんだ付けすることができ、接続部は前出の固定ベースプレート23内に収納することができる。
【0074】
12Vのエネルギー発生源を使用する場合、60Wから100Wで0.3オームから1オームの抵抗を加熱できなければならず、それは、前提として食品の調理(主熱源:ガス、電気または誘導による底部3の加熱によって達成される)ではなく、熱損失(側壁のラジエーター効果)の制限、および保護容器の均一な加熱という目的に適する。
【0075】
供給すべき有効出力は、調理器具の種類およびレシピの種類によって変わる。例えば
(5分から15分程度の)高速加熱の場合、短時間で高出力:水やスープの暖め、例えば80Wから90Wにし、
(30分以上、さらには煮込みの場合、数時間の)長時間調理の場合、例えば40Wから50Wの低出力にする。
【0076】
直径20cmの鍋の場合、既知の従来の容器(例えばフライパン)の側壁における対流による損失は44W(10W/m.℃)と見積もることができる。100℃に加熱された放射表面(例えば放射率0.95のPTFE被覆)の場合、放射による損失は36Wと見積もることができる。
【0077】
(有利には図17図18の解決方法、または熱絶縁被覆12のある図2から図4の解決方法におけるように外部への損失がない)80Wの加熱抵抗9により、これらの損失は相殺され、抵抗9が80Wの出力(同じく外部への損失がない)を構成する場合、側壁300を加熱する。
【0078】
何れの場合もラジエーター効果を低減する。そのため、抵抗回路9に電源が供給されているときには、それは熱くなり、それを支承する側壁300に熱を伝達すること、それは、底部30によってもたらされる熱(ガス源、電源、または誘導)の伝導だけではもはや加熱されないこと、それは前提として電気抵抗を具備しないことがわかる(図1図5から図8図20から図22を参照のこと)。
【0079】
特に図1において、電気供給/発生手段7はここではバッテリーである。手段は取っ手の中空本体29内に収納される。この場合、この手段7は再充電可能な発生源(バッテリー)である。この発生源7の再充電(さらには、場合によっては交換)と取っ手の清掃とを両立させるために、取っ手が防水手段43を具備することが推奨される。
【0080】
電気エネルギー発生源7を水分さらには液体から保護するこれらの防水手段43を把握体29によって支承することができる。これらは、全体で本体29を画定しねじ47により一緒に締め付けられた(2つの)シェル29a,29bの間に配設されるシール45を具えることができる。図15を参照のこと。さらに、電源7を収納する本体29のハウジング49は防水性を有する。ハウジングはカバー51で閉じられている。防水手段は、カバー51と、ハウジング49を囲む外周縁との間に配設されたシール43cを具える。シール43cはフラットシールとすることができる。
【0081】
図16に示す別の可能な実施形態によると、電気エネルギー発生源7は、把握体29の型成形時にこれを形成する材料の中にコーティング53により埋め込まれる。
【0082】
図15図16において、発生源7を支承する容器/要素電気接点25を水平にすることができることも理解される。
【0083】
かかる調理器具、特にその保護容器3の製造に関しては、もしその製造が図2から図4の仮定のうちの1つに従って行われる場合、以下のようにすることが推奨される。すなわち、
基板が、底部30および底部の周囲に起立する側壁300を有するよう、基板を凹形成形し、そして
この凹形成形ステップの前または後に、加熱電気抵抗9を保護容器の外部であって側壁300、好ましくはこの側壁の金属層3a1,3a2,3a3,3a4,3a5の外周30a1に固定する。
【0084】
これにより、前提として均一でなければならない付着被覆層3bにも表面13に干渉することなく、抵抗9の設置手法、形状および寸法を容易に選択することが可能になろう。加熱回路9の固定は、特にスクリーン印刷,パッド印刷,転写,溶射により行うことができよう。
【0085】
しかしながら、この抵抗は付着法により容器に固定することが推奨される。また、抵抗は、少なくとも導電素材を具えるスクリーン印刷回路を付着させることにより抵抗が得られることが推奨される。期待される効果および信頼性も一層向上したものが達成されよう。
【0086】
またこの抵抗9に関しては、既に示したように、抵抗は、調理器具が具備する電気発生源7に接続される。
【0087】
保護容器の成形に関しては、特にエンボス加工,しごき加工,スピニング,特に熱間圧密を行うことができる。
【0088】
抵抗9の埋め込みについては、冷間または熱間圧密や、複数の金属層の共積層、さらには型成形や、さらにはろう付けによってさえも行うことができる。共積層による解決方法においては、隣接する2つの金属層(例えば図17の3a1,3a2)に面して抵抗9を二重にすれば充分であるので、絶縁材3cはそれを完全に囲まなくともよい。
【0089】
この場合の器具の製造に関しても同様に、期待される効果および信頼性を向上させるため、以下のことが推奨される。すなわち
a)底部30および底部30の周囲で起立する側壁300を有するよう、基板31を凹形に成形し、そして
b)この凹形成形時に、電気抵抗9をこの基板の中に埋め込むか
ステップa)の前または後に基板が具える2つの電導金属層3a1,3a2の間にかかる抵抗を間置し、次にこの基板の中にこの抵抗を埋め込み、
抵抗9を調理器具が具備する電気発生源7に接続する。
【0090】
この場合、物理化学金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに2つの導電金属層同士を接着することにより、抵抗9を基板31内に埋め込むことが推奨される。
【0091】
本記述においては、「金属の」という語は金属または金属合金であると理解されたい。
【0092】
図17図18はそれぞれ、図2から図4の構成に対する代替方法である。
【0093】
電気抵抗9はやはり側壁300に配設される。
【0094】
しかしながら、今度は前記基板内の以下の
成形導電金属素材(図18)か、
物理化学的金属変形および/または結合により、接着材を使用せずに相互に結合された複数の導電金属層(図17
の内部に抵抗が埋め込まれる。
【0095】
この場合、保護容器の製造の信頼性および抵抗の経時運転の安全性確保のため、電気絶縁被覆または層3cで囲まれた抵抗9の使用が推奨される。この周囲にある金属素材3a1(図18)または金属層3a1,3a2(図17)は、先に図2から図4で推奨したように導電性を有する。
【0096】
図17では共積層とすることができる。電気抵抗9は、2つの導電層3a1,3a2を具えた金属複合材内に埋め込まれる。内側では、共積層はさらに内側に層3a1に押圧された状態で第3導電金属層3a3を具えるが、この層の内側には、既に引用した接着材耐性被覆3bを設けることができる。基板の場合、こうして内層3a1から外側に向かって2対2の直接接触、すなわちステンレスまたはアルミニウム/アルミニウム/絶縁材/抵抗/絶縁材/フェライト系ステンレスが連続して存在する。
【0097】
図18においては、電気抵抗9が成形金属素材3a1内に埋め込まれる。この単一素材は抵抗を完全に取り囲む。基板31はアルミニウム製、さらには鋳鉄製とすることができる。内部では、この基板に対して既に引用した接着材耐性被覆3bを施すことができる。
【0098】
基板を変形させる前または後に層3bを画成することができる。
【0099】
一般的に、側壁300の加圧成形および抵抗9の配設に伴って、その前後に19のようなインサート(図6)および/または図5図6の刻印17,170のようなそれを底部3に追加することにより、底部を補強することが可能であることに留意されたい。
【0100】
図19は、基板内を電気が流れる保護容器の上部の局所図である。このため、抵抗9の一端は電気的に絶縁されるが、反対側端は絶縁されない。
【0101】
図20において、取っ手5の端子25b(下部のそれ)は、保護容器の金属基板から電気的に絶縁された抵抗9の第1の端部25aに接触しているが、この抵抗の反対側の端部は導電基板からは電気的に絶縁されていない。取っ手5のもう一方の端子25b(ここでは上部のそれ)は、第2の端子25a(ここでは上部のそれ)を形成する保護容器(基板)の導電金属に接触している。この接点は特に(ここでは高い縁305の)上縁303の部分に位置することができる。従って電気エネルギーは導電基板内を通る。
【0102】
図21図22は、それぞれ
(抵抗値が相互に異なっていてもよい)9a1,9a2など複数の独立した抵抗を具えた(スクリーン印刷などの付着法で得られることを前提とする)加熱回路9の図
(ここも抵抗値R1,R2が相互に異なっていてもよい)9a1,9a2など2つの抵抗を具えた加熱回路の図であり、この場合、抵抗は直列接続であることを示す。すなわち
Rtot=R1+R2
(ここでは垂直接点を有する)保護容器に固定すべき取っ手5の位置により、加熱位置および出力を選択することができる;ここで形成されるU字から離れれば離れるほど(図を参照のこと)加熱ゾーンは大きくなり、電気出力も高くなる。
【0103】
このように、側面抵抗9は、特に付着型加熱回路の場合には、複数の抵抗を具えることができる。第1の場合、これらの抵抗は独立している、すなわち異なる接続端子を有する。第2の場合、それら同士が接続され、同時に加熱することができる。
【0104】
電源7を再充電するにあたり、再充電可能バッテリーの場合には、取り外し可能取っ手5の外部からアクセス可能な電磁接続手段60を設けるのが好ましい。
【0105】
これらの手段60は、図23に示すような「ジャック」型のコンセント61を具えることができる。このコンセントは把握体29に配設される。コンセントは、「ジャック」型のプラグを具える電源コードを介して主電源に接続可能である。
【0106】
この図23に示すように、電磁接続手段60は、電源7の再充電が行えるよう、主電源に接続され図24に示すような再充電ベース67に設けられた2つの追加電気接続端子65a,65bに取り外し可能な方法で接続可能な2つの電気接続端子63a,63bを具えることができる。
【0107】
変形形態においては、図25に示すように、電磁接続手段60は、電源7に接続された二次誘導コイル69を具えることができる。二次コイル69は、再充電ベース73に設けられた一次誘導コイル71により発生する電磁束を受け取るよう構成されている。
【0108】
把握体29は、その外表面に開口する空洞75を具える。空洞75は把握体29の内部に収納された二次誘導コイル69に囲まれる。一次誘導コイルから二次コイル69へのエネルギーの移動は、これらの間の接触がない状態で行われる。これらの磁気接続手段により把握体7の防水性が確保され、防水接続手段が形成される。
【0109】
既に理解されているように、電源7は、取っ手の上というよりも、一般的には例えば蓋の上に設けることができる。その場合、蓋を外周縁303上に置き、それが具備するであろう(25bのような)端子と容器のそれ25aとの接触により、側壁300の加熱が、発生源15による底部の穏やかな加熱を介して、保護容器内に置かれた食品の煮込み状態に結びつくようにすることができよう。
【0110】
上では、容器の底部は前提として、コイルまたは電気抵抗を具備しないことに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25