(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、巻かれたシート又はウェブ110が示されており、このシート又はウェブ110は、大量フィルム処理設備を利用して製作され得るものである。ウェブ110は、導電性トレースが施された可撓性の基板114を包含し、そのトレースは、同調無線周波数回路116の少なくとも一部分を形成している。トレースは通常、少なくとも誘導コイルを形成するが、以下で更に詳しく例示するように、他の別個の回路素子及び連結機構を包含してもよい。導電性トレース、並びに無線周波数回路の残部はしたがって基板114によって支持される。
【0018】
1つの回路116のみが図に示されているが、実質的に同じか若しくは同様の同調無線周波数回路が好ましくはウェブ上に配列をなして設けられ、そのような1つの回路が、112と標記された各領域に配設され、またそのような回路のすべてが好ましくは、ウェブ110の同じ側に配設される。参照符号112はしたがって、タグ又はラベルの形態をなす個々のセンサーを指し得るものであり、これらのタグ又はラベルは、例えば線113a、113bに沿ったスリッティング又はカッティング操作でウェブ110を変形することによって取得され得る。
【0019】
同調無線周波数回路116は通常、導電性トレースに加えて1つ以上の個別の回路素子を包含している。例えば、回路116は、以下で更に議論するように、別個のジャンパー(導電性連結部材)とコンデンサとを包含し、これらは、無線周波数回路116を完成させ所望の機能性をもたらすように、基板114によって支持され、導電性パターンに接続される。場合によっては、導電性トレース自体が、誘導コイルに加えて1つ以上のコンデンサを包含してもよい。所望により、ウェブを個々のセンサータグ112へとスリッティング又はカッティングする前ではなく、そのようなスリッティング又はカッティングの後に、無線周波数回路116の一部を形成する個別の任意の回路素子が、基板114にあるいは無線周波数回路116の一部分に取り付けられてもよい。それに代わって、ウェブ110が依然として元のままである間に、ウェブを個々のタグに分割する前に、1つ以上の別個の回路要素が基板114に、あるいは無線周波数回路116の一部分に取り付けられてもよい。無線周波数回路116の導電性トレース及び他の構成要素は好ましくは、基板によって支持され、基板114の片側にのみ配設される。そのような構成は製造の観点から有利であり、そのため、片面フィルム処理のみが利用され得る。
【0020】
基板114は、可撓性であるだけでなく、好ましくは自己支持型でもある。この点において、基板は、目的の用途に不適切となる過度の破損、断裂、又は他の損傷を伴わずに基板の取扱を可能にする十分な機械的保全性を有する場合、自己支持型であるといわれる。
【0021】
重要なことに、基板は、水などの対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解するように適合され、導電性トレースは自己支持型ではない。この特徴の組合わせを用いれば、センサータグを対象流体に暴露することにより、無線周波数回路の物理的構造に大きな変化を、またそれに対応して無線周波数回路の動作に大きな変化を生じさせることができ、これらの変化の後者は遠隔リーダー又は問合せ装置によって「湿潤」状態と解釈され得る。例えば、基板が、対象流体と完全にあるいは部分的にでも接触すると溶解するように調整される場合、導電性トレース及び他の無線周波数回路の素子は、元々は基板によって与えられていた構造的支持体の非存在下で、単純に潰れるか、崩れるか、あるいはバラバラになり得る。
【0022】
無線周波数回路の動作における大きな変化は、例えば、抵抗又はインピーダンスが少なくとも5倍、10倍、100倍、又は1000倍に変化することによって明らかとなり得る。この点において、「抵抗又はインピーダンスの変化」は、抵抗又はインピーダンスの大きさの変化を指す。インピーダンスとは、直流(DC)抵抗の概念を交流(AC)回路に拡大したものであり、電圧及び電流の相対振幅だけでなく、相対位相をも表す。インピーダンスは、交流に対する抵抗力の測定値であり、複素数で表される。インピーダンスの実数部は抵抗(電圧と電流の振幅比)を表し、虚数部は位相差を表す。位相差は、回路が容量性又は誘導性の構成要素を有するときにのみ生じるものであり、通常、正符号は、虚数部のインダクタンスを示すために使用され、負符号は、虚数部のキャパシタンスを示すために使用される。インピーダンスアナライザは、電圧と電子回路に流れる電流との比を測定することによって機能する。
【0023】
それに代わってあるいはそれに加えて、無線周波数回路の動作の大きな変化は、共振周波数、Q値、帯域幅、振幅、及び/又は他の共振特性の変化によって明らかとなり得る。それに代わってあるいはそれに加えて、動作の大きな変化は、無線周波数回路に開回路を設けるように、導電性トレースが実質的に崩壊又は分解することによって明らかとなり得る。それに代わってあるいはそれに加えて、動作の大きな変化は、無線周波数回路が実質的に動作不能となることによって明らかとなり得る。
【0024】
開示する湿潤度センサーにおける使用に適した代表的な同調無線周波数回路が、
図2a及び2bに概略的に示されている。
図2aにおいて、簡潔な無線周波数回路216が、図示のように接続されたインダクタ218とコンデンサ220とを備えている。これらの構成要素のインダクタンスLとキャパシタンスCとが結びついてLC回路216が設けられ、この回路は、以下で与えられる共振周波数f(1秒当たりのサイクル数、つまりヘルツの単位で表現される)を有する。
【0026】
L及びCの値は好ましくは、共振周波数が無線周波数(RF)電磁スペクトルのうちの所望の部分、例えば30kHz〜300GHzのスペクトルのうちの所望の部分に同調されるように選択される。好ましい実施形態において、共振周波数は、例えば、1MHz〜100MHzのより狭い範囲の所望の部分に、より具体的には13.56MHzの標的周波数にあってよい。いずれの場合も、センサー回路の同調無線周波数は好ましくは、遠隔リーダー又は問合せ装置の周波数範囲と適合する(例えば、実質的に一致するか、重なり合うか、あるいはその中に含まれる)ように選択され、リーダーとセンサーの無線周波数回路はしたがって湿潤度検出システムとして動作する。インダクタ218は、無線周波数の電磁エネルギーが回路の共振周波数に近い場合、アンテナとして働いてそのエネルギーをリーダーから受け取り、インダクタ218は次いで、回路の共振周波数で又はその近くで、吸収したエネルギーの少なくとも一部を再放出する。
【0027】
単一のコンデンサ220が、直列に接続された2つの別々のコンデンサ200a、220bと置き換えられていることを除き、
図2bの無線周波数回路216bは回路216と類似している。別の実施形態において、3つ以上の別々のコンデンサが使用されてもよく、また、それらはすべて直列に接続されてもよく、あるいはそれらは他の方式で接続されてもよい。更に、1つのみのインダクタコイルが、開示する無線周波数回路においては好ましいが、複数のインダクタを有する実施形態も企図される。いくつかの実施形態において、無線周波数回路の様々な要素が、
図2aの単純なLC共振回路でその応答が近似され得る無線周波数回路が得られるような方式で、互いに接続される。例えば、
図2bの個々のコンデンサ220a、220bは、適当な静電容量Cを有する単一のコンデンサ220によって数学的に表現され得る。無線周波数回路をなす様々な回路素子の値(例えば、インダクタ218のインダクタンス、及びコンデンサ220a、220bのキャパシタンス)はここでも、上述のように、無線周波数スペクトルの所望の部分に同調された共振周波数が得られるように選択される。ほとんどすべての実回路がある程度の抵抗を含んでいる。開示する湿潤度センサーのいくつかの実施形態において、無線周波数回路は無視できる抵抗を有し得るが、場合によっては無線周波数回路は無視できない抵抗を有し得る。後者の場合、無線周波数回路は、1つ以上の個々の抵抗を包含して、例えばRLC共振回路を形成する。
【0028】
場合により、アンテナを介して識別コードを発するために、付加的な回路(図示せず)が同調無線周波数回路に包含されてもよい。そのような付加的な回路は、既知の無線周波数認識装置(RFID)で使用される回路と同じであっても、類似したものであってもよい。リーダーにコードを送信することが可能な装置は通常、RFID装置と呼ばれる。識別コードの送信が可能でない装置は、電子式商品監視(EAS)装置と呼ばれることもある。EAS装置は、リーダーから発せられた、無線周波数電磁場などの電磁場を吸収及び分断する。場の分断は、リーダーに検出され、EAS装置の存在を示唆すると解釈され得る。開示する湿潤度センサーで使用される同調無線周波数回路は好ましくは、概して単純なEAS設計をなすが、他の設計も企図され、より複雑なRFID設計が、それに限定するものではないが含まれる。好ましい同調無線周波数回路は受動的な性質のものであり、すなわち、電池又は他のオンボード電源を組み込んだものではないが、その代わりに、リーダーアンテナから放射された電磁場に結合することで電力を引き出す。場合によっては、しかしながら、湿潤度センサーの最終用途により、同調無線周波数回路は能動的な性質のものであってもよく、すなわち、電池又は他の電源を包含してもよい。いずれの場合も、同調無線周波数回路は通常、共振周波数及び回路インピーダンスによって特徴付けられる。
【0029】
図2cは、代表的な遠隔問合せ装置又はリーダー230の概略的な構成図である。リーダー230は、インダクタ232と、無線周波数発生源234と、共振分析器236とを包含している。エネルギーが、インダクタ232を囲む場に蓄積され、これがアンテナとして働く。蓄積されたこのエネルギーは、湿潤センサーがリーダー230の近辺にある場合、湿潤センサーの同調無線周波数回路に結合され得る。共振分析器236は、リーダー230のアンテナから同調無線周波数回路へと結合されたエネルギーの量の変化を検出するように構成されてもよく、そのような結合は、同調無線周波数回路の共振周波数がリーダー回路の共振周波数に十分に近い場合に生じる。同調無線周波数回路によって結合されたエネルギーの変化に起因する問合せ信号の摂動が、感知信号又は感知回路信号を構成すると見なされ得る。
【0030】
図3a及び3bは、湿潤度センサーとリーダー330とを有する検出システムの概略的な図である。
図3aにおいて、湿潤度センサー312aは「乾燥」状態にあり、
図3bにおいて、湿潤度センサーは、水又は他の対象流体と接触して、湿潤度センサー312bを「湿潤」状態に示している。
【0031】
図3aにおいて、リーダー330は無線周波数信号を同報通信しており、その無線周波数信号の一部分は、センサー312aの同調無線周波数回路316aによって吸収され得る、好適な周波数成分を有している。センサー312aは、吸収されたエネルギーの一部を(より弱い)感知信号に変換し、その感知信号が、回路316aによって同報通信され、リーダー330によって感知される。リーダー330は、回路316aからの感知信号を「乾燥」状態として解釈し、表示灯又は他の好適なステータス出力がリーダー330によって与えられ得る。
【0032】
図3bにおいて、リーダー330は再び、同じ無線周波数信号を同報通信している。センサー312bは、センサー312aが存在したリーダーの近辺にあるが、センサーを対象流体に暴露することで、同調無線周波数回路を支持する基板が、完全に若しくは部分的に溶解(又は膨張若しくは別法で分解)している。この理由により、センサー312bの基板は破線で描かれている。同調無線周波数回路316bが図に示されているが、この回路は、支持基板が存在しないかあるいは分解した結果として、完全にあるいは部分的に動作不能となり得る。それに代わって、この回路は依然として動作可能であってもよいが、回路316aとは大いに異なる特徴、例えば、大いに異なるインピーダンス、大いに異なる共振周波数、Q値、帯域幅、振幅、及び/又は他の共振特性を有してもよい。その結果として、センサー312bは感知信号を与えなくてもよく、あるいは、対象流体との接触前にセンサー312aによって与えられた感知信号とは大いに異なる感知信号を与えてもよい。リーダー330は、感知信号の非存在を、あるいは大いに異なる感知信号を、「湿潤」状態として解釈する。次いで、「湿潤」表示灯又は他の好適なステータス出力がリーダー330によって与えられ得る。
【0033】
図4は、ある代表的な湿潤度センサー412の概略的な図を示している。センサー412は、自己支持型の基板414と、その基板によって支持される同調無線周波数回路416とを備えている。基板414は、例えば、基板材料の連続ウェブに対する加工操作にて、同じ基板材料のより大きな片から切断された比較的小さなサンプルであってもよい。好ましくは、基板414は、可撓性となるのに十分に薄いが、自己支持型となるのに十分に厚いものである。既に述べたように、基板は好ましくは、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する材料から構成される。好ましい基板材料はまた、溶融押出し可能であるかあるいは溶液流延され、可撓性のフィルムにキャストが可能である。湿式センサーに関して言えば、好適な材料は、既知の天然又は合成の水溶性又は水分散性の材料のうちのいずれから選択されてもよい。代表的なフィルム形成ポリマー又はオリゴマー基板材料が、ポリビニルアルコール(PVA)である。PVAは極性材料であり、尿又は血液など、ヒトの水性の体液を含めて、水又は他の極性液体に暴露されると、相当に溶解及び/又は膨張する。PVAのポリマーは、ポリ酢酸ビニルから調製されてもよく、様々な分子量及び加水分解度で商業的に入手され得る。別の基板材料には、限定するものではないが、ティッシュペーパー又は新聞用紙などの脆弱な紙と、アルギン酸、アルギン酸由来のポリマー、アラビノガラクタン、限定するものではないがヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシルセルロース、デンプン、及びデンプン誘導体を含めたセルロース誘導体など、植物性の天然高分子と、多糖類、ゼラチン、コラーゲン、ムコ多糖類などを含めた動物から誘導されたポリマーなど、微生物由来の天然高分子と、ポリオキシアルキレン(plyoxyalkylene)と、限定するものではないが、ビニル単量体、アクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドなどを含めたエチレン性不飽和単量体から誘導されたポリマー及びコポリマーと、ポリエチレンイミン(polyethylenemines)と、ポリ乳酸と、ポリグリコール酸と、これらのうちの1種類以上を含んだ混合物とが包含される。更なる好適な基板材料には、ポリエチレンオキシド又はポリエチレングリコール、ペクチン、プルラン、及びカーボポール系のポリマーフィルムが包含される。更に他の好適な材料が、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第02/092049(ゴッドベイ(Godbey)ら)、「化粧品及び医薬品を送達するためのシステム(System for Delivering Cosmetics and Pharmaceuticals)」にて開示されている。この文書に開示されているように、可塑剤を使用してフィルムの脆性を低下させ、それによって、フィルムをより強靱に、より順応性のあるものにし、概してその取扱特性を改善することができる。別の好適な基板材料が、スリーエム社(3M Company)から入手可能な水溶性ウェーブソルダリングテープ(Water-Soluble Wave Solder Tape)#5414であり、これは、PVAフィルムの支持体と、合成水溶性接着剤と、クラフト紙のライナーとを有するテープである。
【0034】
場合によっては、湿潤度センサーは、水以外の対象流体を検出するように設計されてもよく、あるいは更に、極性液体以外の流体を、例えば、ガソリン、ケロシン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、及び他の芳香性の直鎖若しくは分枝炭化水素、又はそれらの混合物など、石油系製品に由来する非極性液体を検出してもよい。非極性液体を検出するように設計された湿潤度センサーの場合、基板は好ましくは、非極性材料から構成される。例えば、ポリスチレンは、基板として使用され得るかあるいは基板に包含され得る非極性材料であり、非極性の対象流体と接触すると、溶解、膨張、又は別法で分解する。非極性の対象流体で分解する他の代表的な基板には、ABS、EPDM、PVC、ポリプロピレン、及び好ましくは架橋性の可塑剤又は安定剤をほとんど有さない他の非極性材料が包含される。
【0035】
センサー基板414は、単一のフィルムであってもよく、すなわち、基板の全空間又は体積にわたって、均一な組成物を有してもよい。それに代わって、基板は不均一な組成物を有してもよい。不均一な組成物の一種は、積み重ねられた層状の媒質、又は、少なくとも1種類が対象流体によって分解可能である種々の材料の並列レーンを有する縞状の媒質である。例えば、基板は、別個の2層の異なる材料、又は3層以上の材料から構成されてよく、それらの材料はすべてが互いに異なっていてもよく、あるいは、例えば、交互の順序で各材料を包含してもよい。例えば、連続相をもたらす第1の材料と、分散相をもたらす第2の材料とから構成される混合材料もまた企図される。センサー基板が異なる複数の材料から構成される場合、それらの材料が層状であるか、混合されているか、共押出しされているか、縞状であるか、あるいはそうでないかにかかわらず、複数の材料のうちの1種類、一部、又はすべてが可溶性であってもよく、膨張してもよく、例えば対象流体の存在下で別法で分解してもよい。
【0036】
湿潤度センサー412はまた、基板414に施された導電性トレースを包含する。
図4の実施形態において、導電性トレースは、2つの区間、つまり、トレース422aとトレース422bに分割される。これらの区間は、総称して導電性トレース422と呼ばれる。トレース422は、誘導コイル418を形成する渦巻き形状の経路を包含する。トレース422はまた、423a、423b、423c、及び423dと表記された拡幅領域、つまり接触パッドを包含する。パッド423aは、コイル418の内側にトレース422の内部終端部を設け、パッド423bは、コイル418の外側にトレース422の外部終端部を設けている。
【0037】
トレース422は直接、基板414の露出主表面に施されてもよく、あるいは、例えば接着を促進するために、1つ以上の介在層を包含してもよい。トレース422は、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術を含めて、任意の好適な技術で基板上に形成されてよい。トレース422は、例えば、金属、又は、黒鉛及び/若しくは1種類以上の導電性ポリマーなどの他の好適な導電性材料から構成され得る。代表的な導電性材料には、銅、銀、及び/又はニッケルを包含するが、この列挙は、限定するものとしてみなされるべきではない。トレース422は好ましくは、基板414の厚さよりも相当に薄い厚さを有する。いくつかの実施形態において、トレース422は、例えば、1マイクロメートル未満、又は100ナノメートル未満の厚さを有する。好ましくは、トレース422は、非常に機械的に繊細であるので、支持基板、すなわち基板414の非存在下でその物理的保全性を維持することはできない。トレース422はしたがって、それ単独で(支持基板414とは別に)考えると、自己支持型という用語を上で用いたとおりには自己支持型ではない。結果的に、基板414の一部又はすべてが対象流体の存在下で溶解する場合、トレース422はその機械的保全性を失い、無線周波数回路416の動作に大きな変化を生じ得る。
【0038】
回路416はまた、個別のコンデンサ420を包含し、このコンデンサ420は、トレース422のパッド423cと423dとの間に接続されている。コンデンサ420は、図示のようにパッド423c、423dに取り付けられることが可能なチップコンデンサ又は任意の他の好適なコンデンサ部品であってよい。取り付けは、はんだ付け、接着剤によって、あるいは任意の他の好適な技術によって達成され得る。
【0039】
最後に、回路416はまたジャンパー424を包含する。ジャンパー424は、それ自体では抵抗、キャパシタンス、又はインダクタンスがほとんどない、内部パッド423aと外部パッド423bとの間の低インピーダンス導電性経路をなしている。ジャンパー424の第1の終端部424aはパッド423aと直接、電気接触をなし、ジャンパー424の第2の終端部424bはパッド423bと直接、電気接触をなす一方で、ジャンパー424は、トレース422のうちのジャンパー424が跨ぐ部分とのいかなる電気接触をも回避する。(
図4において、ジャンパー424は、コイル418のループのうちの2つを跨いでいるが、これらのループと電気接触しない。)このようにして、ジャンパー424は、実質的に
図2aの概略的な回路図に示すように、コイル418とコンデンサ420とを接続する効果を有する。ジャンパーは、任意の好適な導電性材料と任意選択の絶縁材料とから構成されてよく、その任意選択の絶縁材料により、ジャンパーはパッド423aと423bとの間に導電性経路を設けると同時に、コイルの418のうちのジャンパーが跨ぐ部分から依然として絶縁されることができる。代表的なジャンパー424が、絶縁ポリマー基板上に配設された金属又は他の導電性層であるか、あるいはその金属又は他の導電性層を備えるが、他の構造もまた考えられる。また、ジャンパー424が適所でしっかりと基板414に保持される一方で、必要な電気接続をなし、その他の電気接続を回避するように、絶縁及び/又は導電接着剤が、基板414又はジャンパー424上に印刷され得るか、若しくは別法で、一方の側のジャンパー424と、もう一方の側の基板414及びトレース422との間で、選択的に塗布され得る。好適なジャンパーに関する更なる情報が、以下で更に示される。
【0040】
基板材料のウェブが依然として元のままである間、若しくは、そのようなウェブがスリッティング又はカッティングされて個々のセンサータグ412が得られた後、あるいはそれらの組合わせにおいて(ある個別の回路素子が変形前に基板に取り付けられ、他の個別の回路素子は変形後に取り付けられる)、コンデンサ420及びジャンパー424の個別の回路素子は、基板414に、そして導電性パターン422に取り付けられ得る。個別の回路素子(例えば、素子420、424)は好ましくは、基板によって支持され、基板414の、導電性トレース422と同じ側に配設される。
【0041】
別の実施形態において、センサー412は、個別のコンデンサ420と直列に接続された1つ又は2つの付加的なコンデンサを包含してもよく、それら付加的なコンデンサは、ジャンパー終端部424aとパッド423aとの接合部に、かつ/又はジャンパー終端部424bとパッド423bとの接合部に形成されるものである。このことは、ジャンパー終端部424aの導体と接触パッド423aとの間、及び/又はジャンパー終端部424bの導体と接触パッド423bとの間の直接的な電気接触を回避することによって、また、それに代わって、適当なジャンパー終端部とそれに対応する導電性トレースの接触パッドとの間に絶縁材料(絶縁接着剤又はフィルムなど)を含めることによって達成され得る。絶縁材料の厚さ、ジャンパー終端部の導体の寸法、接触パッドの寸法、及びジャンパー終端部と接触パッドとの相対位置を制御することにより、所望のキャパシタンスが、選択した接合部で達成され得る。
【0042】
ここで
図5を参照すると、別の湿潤度センサー512の概略的な図が示されている。センサー412と同様に、センサー512は、自己支持型の基板514と、その基板によって支持される同調無線周波数回路516とを包含する。上で議論した基板414の特徴が基板514にも当てはまる。例えば、基板514は、可撓性となるのに十分な薄さを持つが、自己支持型となるのに十分な厚さも持つ。基板514はまた、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する材料を備える。基板514は単一のフィルムであってもよく、あるいは、本明細書の他の箇所で議論したように、不均一な組成物を有してもよい。
【0043】
湿潤度センサー512はまた、基板514に施された導電性トレースを包含する。
図4の実施形態と同様に、導電性トレースは、2つの区間、つまり、トレース522aとトレース522bに分割される。これらの区間は、総称して導電性トレース522と呼ばれる。トレース522は、誘導コイル518を形成する渦巻き形状の経路を包含する。トレース522はまた、523a、523bと表記された拡幅領域又は接触パッドを包含する。パッド523aは、コイル518の内側にトレース522の内部終端部を設け、パッド523bは、コイル518の外側にトレース522の外部終端部を設けている。
【0044】
図4の個別のコンデンサ420の代わりに、センサー512は、一体化されたコンデンサ520を包含しており、このコンデンサ520は、トレース522aとトレース522bの櫛形部分によって形成され得る。個々の歯又は突起の個数並びにそれらの各長さ及び間隔など、櫛形部分の形態は、所望のキャパシタンスの大きさが得られるように調整され得る。一体化されたコンデンサを設けることは、個別のコンデンサを取り付けるのに必要な製造工程を回避し、取付け不良、整列不良、脱離など、個別のコンデンサに伴う信頼性及び歩留まりの問題を回避することにより有利となる。
【0045】
トレース522とトレース422との間には明確な設計の違いがあるにもかかわらず、トレース422に関連して議論した他の設計特性もトレース522に当てはまる。例えば、トレース522は、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術を含めて、任意の好適な技術で基板524上に形成されてよい。更に、トレース522は、任意の好適な導電性材料から構成されてよく、また、基板514の厚さよりも相当に薄い厚さを有してよく、トレース522の厚さは、いくつかの実施形態においては、例えば、1マイクロメートル未満、又は100ナノメートル未満である。トレース522は、それ単独で考えると、自己支持型ではない。結果的に、基板514の一部又はすべてが対象流体の存在下で溶解する場合、トレース522はその機械的保全性を失い、無線周波数回路516の動作に大きな変化を生じ得る。
【0046】
回路416と同様に、回路516はまたジャンパー524を包含する。一実施形態において、ジャンパー524は、内部パッド523aと外部パッド523bとの間の低インピーダンスの導電性経路をなしており、この導電性経路は、それ自体では抵抗、キャパシタンス、又はインダクタンスがほとんどないものである。ジャンパー524の第1の終端部524aはパッド523aと直接、電気接触をなし、ジャンパー524の第2の終端部524bはパッド523bと直接、電気接触をなす一方で、ジャンパー524は、トレース522のうちのジャンパー524が跨ぐ部分とのいかなる電気接触をなすことも回避する。(
図5において、ジャンパー524は、コイル518のループのうちの2つを跨いでいるが、これらのループと電気接触しない。)このようにして、ジャンパー524は、実質的に
図2aの概略的な回路図に示すように、コイル518とコンデンサ520とを接続する効果を有する。上で議論したジャンパー424の特徴がジャンパー524にも当てはまる。
【0047】
ジャンパー524は、同調無線周波数回路516のうちの唯一の個別の回路素子であってもよく、あるいは多様な個別の回路素子のうちの1つであってもよいが、基板材料のウェブが依然として元のままである間に、あるいはそのようなウェブがスリッティング又はカッティングされて個々のセンサータグ512が得られた後、基板514及び導電性トレース522に取り付けられ得る。素子524を含む個別の回路素子は好ましくは、基板によって支持され、基板514の導電性トレース522と同じ側に配設される。
【0048】
センサー412と同様に、センサー512は、それに代わって、個別のコンデンサ520と直列に接続された1つ又は2つの付加的なコンデンサを包含してもよく、それら付加的なコンデンサは、ジャンパー終端部524aとパッド523aとの接合部に、かつ/又はジャンパー終端部524bとパッド523bとの接合部に形成されるものである。このことは、ジャンパー終端部524aの導体と接触パッド523aとの間、及び/又はジャンパー終端部524bの導体と接触パッド523bとの間の直接的な電気接触を回避することによって、また、それに代わって、適当なジャンパー終端部とそれに対応する導電性トレースの接触パッドとの間に絶縁材料(絶縁接着剤又はフィルムなど)を含めることによって達成され得る。絶縁材料の厚さ、ジャンパー終端部の導体の寸法、接触パッドの寸法、及びジャンパー終端部と接触パッドとの相対位置を制御することにより、所望のキャパシタンスが、選択した接合部で達成され得る。
【0049】
図6に、別の湿潤度センサー612の概略的な図が示されている。センサー412及び512と同様に、センサー612は、自己支持型の基板614と、その基板によって支持される同調無線周波数回路616とを包含する。上で議論した基板414、514の特徴が基板614にも当てはまる。例えば、基板614は、好ましくは、可撓性となるのに十分に薄く、自己支持型となるのに十分に厚いものである。基板614はまた、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する材料を備える。基板614は単一のフィルムであってもよく、あるいは、本明細書の他の箇所で議論したように、不均一な組成物を有してもよい。
【0050】
湿潤度センサー612はまた、基板614に施された導電性トレース622を包含する。
図6の実施形態において、導電性トレース622は、単一の近接区間にのみ設けられる。トレース622は、誘導コイル618を形成する渦巻き形状の経路を包含する。トレース622はまた、623a、623bと表記された拡幅領域又は接触パッドを包含する。パッド623aは、コイル618の内側にトレース622の内部終端部を設け、パッド623bは、コイル618の外側にトレース622の外部終端部を設けている。
【0051】
図4の個別のコンデンサ420、又は
図5の一体化されたコンデンサ520の代わりに、センサー612は、パッド623a、623bとジャンパー624の終端部との接合部に形成されたコンデンサ620a及び620bを包含する。これらのコンデンサ620a、620bについては、ジャンパー624に関連して以下で更に説明する。
【0052】
トレース622とトレース422、522との間には明確な設計の違いがあるにもかかわらず、トレース422、522に関連して議論した他の設計上の特徴もパターン622に当てはまる。例えば、トレース622は、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術を含めて、任意の好適な技術で基板614上に形成されてよい。更に、トレース622は、任意の好適な導電性材料から構成されてよく、また、基板614の厚さよりも相当に薄い厚さを有してよく、トレース622の厚さは、いくつかの実施形態においては、例えば、1マイクロメートル未満、又は100ナノメートル未満である。トレース622は、それ単独で考えると、自己支持型ではない。結果的に、基板614の一部又はすべてが対象流体の存在下で溶解する場合、トレース622はその機械的保全性を失い、無線周波数回路616の動作に大きな変化を生じ得る。
【0053】
既に述べたように、回路616はジャンパー624を包含する。一実施形態において、ジャンパー624は、個別のコンデンサ620a、620bを設けるために、接触パッド623a、623bと終端部624a、624bとのそれぞれの間に静電結合をもたらし、ジャンパー624はまた、終端部624a、624bの間にジャンパーに沿って低インピーダンスの導電性経路を設ける。ジャンパー624の所与の終端部とそれに対応するトレース622の接触パッドとの間の静電結合は、ジャンパー終端部と接触パッドとの間に絶縁材料(絶縁接着剤又はフィルムなど)を含めることによって達成され得る。絶縁材料の厚さ、ジャンパー終端部の導体の寸法、接触パッドの寸法、及びジャンパー終端部と接触パッドの相対位置を制御することにより、所望のキャパシタンス620a、620bがそれぞれの接合部で達成され得る。ジャンパー624は、トレース622のうちのジャンパー624が跨ぐ部分といかなる電気接触をなすことも回避する。(
図6において、ジャンパー624は、コイル618のループのうちの2つを跨いでいるが、これらのループと電気接触しない。更に、ジャンパーとトレース622のそのような部分との間の静電結合は好ましくは、コンデンサ620a、620bと比較すれば無視できるものである。)このようにして、ジャンパー624は、実質的に
図2bの概略的な回路図に示すとおりに、コイル618に接続された2つのキャパシタを設けるという効果を有する。上で議論したジャンパー424、524の特徴がジャンパー624にも当てはまる。
【0054】
ジャンパー624は、同調無線周波数回路616のうちの唯一の個別の回路素子であってもよいが、基板材料のウェブが依然として元のままである間に、あるいはそのようなウェブがスリッティング又はカッティングされて個々のセンサータグ612が得られた後に、基板614及び導電性トレース622に取り付けられ得る。個別の回路素子624は好ましくは、基板によって支持され、基板614の、導電性トレース622と同じ側に配設される。
【0055】
別の実施形態において、コンデンサ620a、620bの一方が、関連するジャンパー624の終端部とそれに対応する導電性トレース622の接触パッドとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。例えば、コンデンサ620aは、ジャンパーの終端部624aと接触パッド623aとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。それに代わって、コンデンサ620bは、ジャンパーの終端部624bと接触パッド623bとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。いずれの場合も、結果として、(唯一)残ったコンデンサが
図2aの回路図に示すようにインダクタと接続された同調無線周波数回路が得られる。
【0056】
図7は湿潤度センサー712を示しており、この湿潤度センサー712は、多くの点で
図6のセンサー612と類似しているが、異なるコイルのアスペクト比を有し、またU字形状のジャンパーではなく直線状のジャンパーを有している。センサー412、512、及び612と同様に、センサー712は、自己支持型の基板714と、その基板によって支持される同調無線周波数回路716とを包含する。上で議論した基板414、514、及び614の特徴が基板714にも当てはまる。例えば、基板714は、可撓性となるのに十分な薄さを持つが、自己支持型となるのに十分な厚さも持つ。基板714はまた、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する材料を備える。基板714は単一のフィルムであってもよく、あるいは、本明細書の他の箇所で議論したように、不均一な組成物を有してもよい。
【0057】
湿潤度センサー712はまた、基板714に施された導電性トレース722を包含する。
図7の実施形態において、導電性トレース722は、単一の近接区間にのみ設けられる。トレース722は、誘導コイル718を形成する渦巻き形状の経路を包含する。トレース722はまた、723a、723bと表記された拡幅領域又は接触パッドを包含する。パッド723aは、コイル718の内側にトレース722の内部終端部を設け、パッド723bは、コイル718の外側にトレース722の外部終端部を設けている。
【0058】
センサー612と同様に、センサー712は、パッド723a、723bとジャンパー724の終端部との接合部に形成されたコンデンサ720a及び720bを包含する。これらのコンデンサ720a、720bについては、ジャンパー724に関連して以下で更に説明する。
【0059】
トレース722とトレース422、522、及び622との間には明確な設計の違いがあるにもかかわらず、トレース422、522、及び622に関連して議論した他の設計上の特徴もパターン722に当てはまる。例えば、トレース722は、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術を含めて、任意の好適な技術で基板714上に形成されてよい。更に、トレース722は、任意の好適な導電性材料から構成されてよく、また、基板714の厚さよりも相当に薄い厚さを有してよく、トレース722の厚さは、いくつかの実施形態においては、例えば、1マイクロメートル未満、又は100ナノメートル未満である。トレース722は、それ単独で考えると、自己支持型ではない。結果的に、基板714の一部又はすべてが対象流体の存在下で溶解する場合、トレース722はその機械的保全性を失い、無線周波数回路716の動作に大きな変化を生じ得る。
【0060】
回路716はジャンパー724を包含する。一実施形態において、ジャンパー724は、個別のコンデンサ720a、720bを設けるために、接触パッド723a、723bと終端部724a、724bとのそれぞれの間に静電結合をもたらし、ジャンパー724はまた、終端部724a、724bの間にジャンパーに沿って低インピーダンスの導電性経路を設ける。ジャンパー724の所与の終端部とそれに対応するトレース722の接触パッドとの間の静電結合は、ジャンパー終端部と接触パッドとの間に絶縁材料(絶縁接着剤又はフィルムなど)を含めることによって達成され得る。絶縁材料の厚さ、ジャンパー終端部の導体の寸法、接触パッドの寸法、及びジャンパー終端部と接触パッドとの相対位置を制御することにより、所望のキャパシタンス720a、720bがそれぞれの接合部で達成され得る。ジャンパー724は、トレース722のうちのジャンパー724が跨ぐ部分といかなる電気接触をなすことも回避する。(
図7において、ジャンパー724は、コイル718のループのうちの2つを跨いでいるが、これらのループと電気接触しない。更に、ジャンパーとトレース722のそのような部分との間の静電結合は好ましくは、コンデンサ720a、720bと比較すれば無視できるものである。)このようにして、ジャンパー724は、実質的に
図2bの概略的な回路図に示すとおりに、コイル718に直列に接続された2つのキャパシタを設けるという効果を有する。上で議論したジャンパー424、524、624の特徴がジャンパー724にも当てはまる。
【0061】
ジャンパー724は、同調無線周波数回路716のうちの唯一の個別の回路素子であってもよいが、基板材料のウェブが依然として元のままである間に、あるいはそのようなウェブがスリッティング又はカッティングされて個々のセンサータグ714が得られた後に、基板714及び導電性トレース722に取り付けられ得る。個別の回路素子は好ましくは、基板によって支持され、基板714の、導電性トレース722と同じ側に配設される。
【0062】
別の実施形態において、コンデンサ720a、720bの一方が、関連するジャンパー724の終端部とそれに対応する導電性トレース722の接触パッドとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。例えば、コンデンサ720aは、ジャンパーの終端部724aと接触パッド723aとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。それに代わって、コンデンサ720bは、ジャンパーの終端部724bと接触パッド723bとの間に直接的な電気接続をもたらすことによって除かれてもよい。いずれの場合も、結果として、(唯一)残ったコンデンサが
図2aの回路図に示すようにインダクタと接続された同調無線周波数回路が得られる。
【0063】
図4〜7に関連して説明した実施形態が単に代表的なものであり、限定を意味するものではないことが、読者には理解されよう。説明したいかなるセンサーの特徴も、可能な程度まで、他のセンサーに当てはまることを意図したものである。例えば、
図4及び5に関連して説明した個別の又は一体化されたコンデンサもまた、
図6及び7の回路に組み込まれ得る。センサー及び/又はセンサーコイルのアスペクト比は、所望により適合され得るものであり、例えば、
図5のアスペクト比を
図7のアスペクト比と比較されたい。更に、センサーは、本明細書の他の箇所で述べた他の設計上の特徴を組み込むこと、例えば、RFID集積回路チップを所与の同調無線周波数回路に組み込むことによって修正され得る。
【0064】
図8は、代表的な湿潤度センサー812又はセンサータグの一部分の概略的な図であり、この図は、センサーの基板に取り付けられたジャンパーに関する更なる細部を示している。センサー812はしたがって、センサー基板814を包含し、このセンサー基板814に導電性トレース822が施されている。基板814は自己支持型であるが、水又は別の標的流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する。基板814はまた、好ましくは同調無線周波数回路816を支持し、導電性トレース822はその同調無線周波数回路の一部である。基板822は自己支持型ではない。トレース822は、少なくとも1つの誘導コイル818と接触パッド823bとを包含してもよい。
【0065】
ジャンパー824は、1種類以上の接着剤(図示せず)を用いるかあるいは他の好適な手段などによって、基板及び/又は導電性トレースの一部分に取り付けられている。ジャンパーは、高分子材料の層など電気絶縁基板上に配設された金属又は他の導電性材料の層であっても、そのような層を備えてもよく、トレース822の接触パッド823bに直接的又は容量的に結合する。更に、ジャンパーは好ましくは、トレース822のうちのジャンパーが跨ぐ部分への直接的な接触と、その部分への相当な静電結合との両方を回避している。これは、いくつかの実施形態においては、ある導体をジャンパーに設けることによってなされることができ、その導体の横断寸法、つまり幅は、ジャンパーのうちの、トレース822の先述の部分を跨ぐ部分と比較して、ジャンパーの終端部にてより大きくなる。拡幅された導体は、ジャンパー終端部にタブを形成することができ、このタブは好ましくは、
図8に示すように、導電性トレース822の接触パッド823bと整合されるか、あるいはこの接触パッド823bに対応するように定置されている。そのような整合又は定置により、ジャンパー終端部と接触パッドとの間の静電結合が強化され、あるいは、直接的な電気接続が望まれる場合、それらの間の直接的な電気接続をなすプロセスが簡略化される。
【0066】
図8の実施形態において、ジャンパー824は、導体828が張り付けられたジャンパー基板826を備え、導体828は終端部824bで拡幅されてタブ829bをなしている。ジャンパー基板826は、例えば、薄い可撓性のフィルム又は他の好適な構成要素を備えてよい。
図8のジャンパー基板826は、タブ829bとパッド823bがコンデンサ820bを形成するように、電気絶縁性であるものとして示されている。
【0067】
導体828(タブ829bを含む)は直接、基板826の露出主表面に張り付けられてもよく、あるいは、例えば接着を促進するために、1つ以上の介在層を包含してもよい。導体828は、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知の技術で作製されてよく、また、導電性トレース822と同じ材料で構成されてもよく、あるいは、いくつかの実施形態においては異なる材料から構成されてもよい。したがって、ジャンパーの導体828は、例えば、金属、又は、黒鉛及び/若しくは1種類以上の導電性ポリマーなどの他の好適な導電性材料から構成され得る。代表的な導電性材料には、銅、銀、及び/又はニッケルが包含されるが、この列挙は、限定するものとしてみなされるべきではない。導体828は、好適なジャンパー基板826上に設けられてよく、そのジャンパー基板は例えば、薄い可撓性のフィルム又は他の好適な構成要素を備えてよい。ジャンパー基板としての使用に好適となり得る代表的な絶縁材料には、熱可塑性ポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、又は本明細書の他の箇所で説明した分散性、膨張性、又は溶解性の基板など、可撓性のフィルムにキャスト可能な溶融押出し可能な材料を包含することができる。
【0068】
直接的な電気接続が終端部824bにおいてジャンパー824とトレース822との間に望まれる場合、ある量の導電性接着剤(図示せず)が、例えば、タブ829bとパッド823bの露出部分との両方を被覆するのに十分な量で塗布されてもよく、そのような接着剤は、タブとパッドとの直接的な電気接続をなすだけでなく、ジャンパー824の終端部824bをパッド823bを通じて基板814に機械的に接合する。それに加えてあるいはそれに代わって、ジャンパー824を基板に接合するために、接着剤がジャンパー824とセンサー基板814/導電性トレース822との間に設けられてもよい。
【0069】
図8に関連して議論したジャンパー構成は、特定の実施形態又はその一部分に適切なものとして、本明細書で議論したセンサー実施形態のいずれにおいても利用され得る。
【0070】
図9aは、湿潤度センサー912又はセンサータグの一部分の概略的な図であり、この図はセンサーの基板に取り付けられたジャンパーに関する細部を示しており、ジャンパーは、絶縁ポリマー基板上に配設された金属又は他の導電材料の層であっても、そのような層を備えてもよい。センサー912はしたがって、センサー基板914を包含し、このセンサー基板914に導電性トレース922が施されている。トレース922は局所的に拡幅されてパッド923bを設けている。基板914は自己支持型であるが、水又は別の標的流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解する。基板914は同調無線周波数回路を支持し、導電性トレース922はその同調無線周波数回路の一部である。基板922は自己支持型ではない。トレース922は、少なくとも誘導コイルと接触パッド923bとを包含してもよい。
【0071】
ジャンパー924は、接着剤層927を介して基板914に取り付けられて示されている。図示の接着剤層927は非導電性であるが、そうではなく、層927が導電性である場合、導電性トレース922のうちの、層927が接触する種々の部分の間で短絡が引き起こされる。代表的な非導電性接着材料は、例えば、シリコーン、アクリレート、ウレタン、粘着性を付与された天然若しくは合成ゴム、又はこのシステムに関連して説明した周波数範囲では導電特性を示さない他の接着剤であっても、それらを包含してもよい。ジャンパー924は、ジャンパー基板926上に配設された導体928を包含する。導体928は、ジャンパーの長さ方向に沿って、所与の限られた横断寸法、つまり幅を有し得るが、ジャンパーの終端部924bにタブ929bを形成するように拡大又は拡幅され得る。拡幅されたタブ929bはパッド923bとともにコンデンサを形成し、そのキャパシタンスの値は、接着剤層927及びジャンパー基板926の誘電特性及び厚さに依存し、またタブ929bとパッド923bとの相対的な形態に依存する。ジャンパー基板926は電気絶縁性であると想定されるが、いくつかの実施形態においては導電性であってもよく、その場合、別の導体928は、不必要なものとしてジャンパーから除かれてもよい。代表的な絶縁ジャンパー基板926が、例えば、熱可塑性ポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、又は本明細書の他の箇所で説明した分散性、膨張性、又は溶解性の基板のいずれかなど、溶融押出し可能な材料から形成された可撓性のフィルムを含んでもよい。
【0072】
図9bは、別の湿潤度センサー912bの一部分の概略的な図であり、この図は再び、センサーの基板に取り付けられたジャンパーに関する更なる細部を示している。センサー912bは、
図9aのセンサー912と多くの点で類似しており、同様の構成要素が同様の参照符号を付けられているが、そのような構成要素は、上に示した説明の他の更なる説明を必要としない。ジャンパー924は、
図9aの向きと比較して、センサー基板914及び導電性トレース922に対する向きが逆転されるように裏返されているという点で、センサー912bはセンサー912とは異なっている。更に、電気絶縁性接着剤をタブ929bとパッド923bとの間の領域から追い出すために、増加した圧力がジャンパー終端部924bの近辺に選択的に加えられ、直接的な電気接触がタブ929bとパッド923bとの間でなされるようになっている。そのような増加した圧力は、図に示すジャンパーの残りの部分には加えられておらず、そのため、ジャンパー924は、図に示す導電性トレース922の他の部分との直接的な電気接続及び相当な静電結合を回避している。場合によっては、ジャンパー924の、終端部924bの反対側の端部にある第2の終端部(
図9bには図示せず)が同様に、導体928の同様のタブと導電性トレース922の同様のパッドとの間の直接的な電気接続をもたらし、ジャンパー924がジャンパーの両端部でトレース922と直接的な電気接続をなすようになっていてもよい。他の場合には、絶縁性接着剤が、導体928の第2のタブとトレース922の第2のパッドとの間に配設された状態を維持するように、また、ジャンパー924が、
図9bに示すジャンパーの端部又は終端部にて直接的な電気接触をなすが、ジャンパー924の反対側の、つまり第2の端部にて静電結合をなすように、増加した圧力がジャンパー924の第2の終端部に加えられなくてもよい。
【0073】
図9a及び9bに関連して議論したジャンパー構成は、特定の実施形態又はその一部分に適切なものとして、本明細書で議論したセンサー実施形態のいずれにおいても利用され得る。
【0074】
図10a及び10bは、湿潤度センサーで使用するためのセンサー基板の概略的な側面又は横断面図であり、基板はそれぞれ可変厚さの導電性トレースを有している。所与の導電性トレースの相対的な厚化部分と相対的な薄化部分との組合わせが、開示する実施形態のいずれかにおいて有利となるように使用され得る。導電性トレースの厚化部分は、例えば、トレースの十分に高い導電性と十分に低い電気抵抗を与えるのに役立つことで、トレースの電気特性の向上をもたらすのに役立ち得る。導電性トレースの薄化部分は、例えば、センサー基板が対象流体と接触した際に溶解、膨張、又は別法で分解し始めるとき、厚化領域よりも破損を受けやすいトレースの領域を設けるのに役立ち得る。破損を受けやすい特定の領域を設けることは、湿潤度センサーに、より予測可能な又は信頼できる崩壊機構を設けるのに役立ち得る。代表的な実施形態において、導電性トレース全体は、それ自体で考えると、本明細書の他の箇所で説明したように、依然として非自己支持型であるが、いくつかの実施形態において、導電性トレースの厚化領域の一部又はすべてが、個々にあるいは別々に考えると、自己支持型となり得ることに留意されたい。更に、代表的な実施形態において、トレースの薄化部分と厚化部分は共に、センサー基板の厚さよりも薄いものであり、また、トレースの薄化部分と厚化部分は共に、例えば、好ましくは1マイクロメートル又は100ナノメートルよりも薄いものである。場合により、厚化区間は、薄化区間の厚さの少なくとも2倍をなす。他の厚さの関係もまた、脆弱性と回路の電気的性能とのトレードオフを留意した上で企図される。
【0075】
次いで、
図10aを参照すると、開示する湿潤度センサーで使用するための物品1024aが示されており、この物品1024aはセンサー基板1026を有し、センサー基板1026は自己支持型であり、同調無線周波数回路を支持するように適合されており、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解するように適合されている。導電性トレース1028aが、例えば、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術によって基板1026上に形成されている。トレース1028aは、例えば、金属、又は、黒鉛及び/若しくは1種類以上の導電性ポリマーなどの他の好適な導電性材料から構成され得る。トレース1028aは非常に機械的に繊細であるので、支持基板1026の非存在下でその物理的保全性を維持することはできない。場合によっては、導電性トレースの厚化領域の一部又はすべてが、個別に若しくは別々に考えると、自己支持型となり得るが、トレース1028aは、それ単独で考えると、このように自己支持型ではない。トレース1028aは通常、少なくとも無線周波数回路の誘導コイルを形成するようにパターン形成される。
【0076】
図示のように、トレース1028aは可変厚さを呈する。トレース1028aはしたがって、厚化部分1028a−1と薄化部分1028a−2の両方を包含する。この可変厚さは、様々な製作技術を利用して設けられ得る。例えば、トレースを形成するために薄膜蒸発が利用される場合、選択された範囲におけるフィルムの厚さを低減するために、バッフル又はシールドが用いられ得る。トレースを形成するために印刷が利用される場合、選択された範囲におけるフィルムの厚さを増加させるために、マルチプルパスが用いられ得るかあるいは印刷パラメータが操作され得る。トレースを形成するためにエッチングプロセスが利用される場合、選択された範囲におけるフィルムの厚さを低減するために、選択エッチングが利用され得る。
【0077】
図10bの物品1024bは、開示する湿潤度センサーでの使用に好適なもう一つの物品であり、導電性トレースの厚さ分布は、いくつかの点において、
図10aの物品1024aの厚さ分布と類似している。物品1024bはセンサー基板1026bを包含し、センサー基板1026bは自己支持型であり、同調無線周波数回路を支持するように適合されており、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解するように適合されている。導電性トレース1028bが、例えば、印刷、コーティング、エッチング、電着、蒸着、サーモグラフ転写、及び/又は他の既知のパターン形成技術によって基板1026b上に形成されている。トレース1028bは、本明細書の他の箇所で議論したように、金属又は他の好適な材料から構成され得る。金属が、凹凸付きのバッキングのくぼんだ領域においてはより厚く、凹凸付きのバッキングの隆起した領域においてはより薄くなり、また、電着又は蒸着で張り付けられるときは特に、凹凸付きのバッキングの輪郭を単にたどらないように、トレース1028bは、十分に多量に若しくは厚く張り付けられている。更に、トレース1028bは、全体としては自己支持型ではなく、特にその薄化部分は自己支持型ではない。トレース1028bは通常、少なくとも無線周波数回路の誘導コイルを形成するようにパターン形成される。
【0078】
トレース1028bは可変厚さを呈する。厚さ変動のパターン又は輪郭はトレース1028a(
図10a)のものと類似しているが、厚さ変動に対応する構造化表面1026b−1は、トレース1028bの外部の又は露出した表面ではなく、トレース1028bと基板1026bとの間の内部の又は「埋もれた」境界面である。しかしながら、その結果として、ここでも、トレース1028bは、厚化部分1028b−1と薄化部分1028b−2を含めて、可変厚さを呈することになる。この可変厚さは、様々な製作技術を利用して設けられ得る。例えば、トレース1028bを基板1026b上に形成する前に、基板の露出表面が、例えばエンボス加工することによって、あるいは、例えば連続鋳造と硬化(3C)プロセスを利用することによって、表面1026b−1を形成するように微細構造化され得る。露出表面が実質的に平坦であり、それでいてトレースの長さ方向に沿って厚さが変化するトレースを製作するために、トレース1028bを形成する導電性材料は次いで、印刷によってあるいは他の方法によって構造化表面1026b−1の上に堆積され得る。
【0079】
好ましくは、厚さの凹凸が薄化領域を設けており、その薄化領域は、それよりも相当に長い厚化領域によって互いに分離されている。そのような設計により、有利にも、トレースの導電率が最大化され(そして抵抗率が最小化され)、その一方で、依然として複数の離間した薄化領域が設けられて、対象流体が基板と接触した場合の無線周波数回路の崩壊が促進される。
図10bの設計など、埋もれた境界面の設計は、
図10aの設計など、露出する構造化表面の設計と比較して、製造の観点から有利となる。
【0080】
図10cは、開示する湿潤度センサーでの使用に好適な別の物品1024cの概略的な平面図である。物品1024cは、センサー基板1026と、その基板に張り付けられた導電性トレース1028cとを包含する。本明細書の他の箇所で議論したセンサー基板及び導電性トレースの特徴が、
図10cの特徴に等しく当てはまる。
図10a及び10bの物品と同様に、物品1024cは、導電性トレースの別個の領域を設けており、それらの領域は、トレースをそのような領域で破損しやすくしている。
図10cにおいて、これらの領域は、一連の離間した領域にてトレースの横断方向の平面内寸法、つまり幅が低減することを特徴としている。その結果、トレース1028cは可変幅を有している。相対的な幅狭部分1028c−2は、トレース1028cの長さ方向に沿って分布しており、トレースの相対的な幅広部分1028c−1によって分離されている。幅広部分は、電導性を向上させ、トレースの電気抵抗を低減している。
【0081】
図10a〜10cの実施形態は例示を意図したものであり、限定するものではないことが、読者には理解されよう。設計の変形が企図される。V字形状又は長方形の形状をなす機構以外の厚さ又は幅の凹凸が利用され得る。減厚又は減幅領域の相対的な間隔は、所望に応じて選択され得る。場合により、そのような減厚又は減幅領域が1つのみ、トレースの全長に沿って利用されてもよい。更に、種々の実施形態の機構は、混合及び調和されることが意図される。各実施形態は、1つ以上の減厚領域と1つ以上の減幅領域とを所与の導電性トレースに組み込んでもよい。いくつかの点において、トレースの厚さの変動は、トレースの幅の変動よりも有利であるが、これは、所与のシステムの表面積の制約を考慮すると、トレースの幅を増加させるよりも、トレースの厚さを増加させることで、結果として、より大きな電気インピーダンスの変化が生じるからである。導電性トレースに用いる代表的な厚さは、無線周波数の動作周波数における電気信号の表皮厚さ未満であり、トレースの厚さを増加することで、無線周波数信号が移動する面積を大きくすることができる。
【実施例】
【0082】
実施例1
2ミル(約51マイクロメートル)の測定厚さを有するポリビニルアルコール(PVA)フィルム(米国インディアナ州ポーテジ(Portage)のモノソル社(Monosol, LLC)から「Monosol M8630」として入手可能)のシートを自己支持型の基板として使用した。このPVAフィルムのシートを、減圧を利用してシルクスクリーン印刷テーブルに押さえ付けた。このシートに対して157メッシュのシルクスクリーンを当接した。シルクスクリーンは、
図11の印刷された回路素子1116に対応するパターンの配列をそのシルクスクリーンの中に映していた。この例の特定のパターンは、渦巻き線に構成された約6回の巻きを有する誘導コイルであった。次いで、均等な圧力をスキージーに加えることによって、導電性インクを、シルクスクリーンを通じてPVAシートにパターン様に塗布した。次いでシルクスクリーンを取り除くと、概ね
図11に示すように、印刷されたシート1110が得られた。印刷されたシートを、乾燥棚上で終夜、空気乾燥させた。合計で3種類の導電性インク(米国オハイオ州デラウェア(Delaware)のECM社(ECM Corporation)から入手可能なCI−2001、CI−5001、CI−1001)を塗布するにあたり、この手順を繰り返し、公称では同じパターンを有するが、異なる導電性材料を使用した、3種類の印刷シートを得た。
【0083】
この印刷技術により、
図11及び12に示す回路素子1116の全体的パターンを得た。顕微鏡下で回路素子を視検したところ、トレースの縁部が鋸歯状であることが明らかとなった。トレースの個々の部分の幅は公称では約0.5mmであり、トレースの厚さは約12マイクロメートルと測定された。
【0084】
個々のいかなるコンデンサ又はジャンパーを導電性トレースに取り付けることなく、アジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)を42941Aインピーダンスプローブ(Impedance Probe)(米国カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)から入手可能)と共に使用して回路素子のインピーダンスを測定した。この機器を8MHz〜15MHzに掃引し、オープン及びショートの較正標準を利用してプローブを較正した。インピーダンスアナライザで13.56MHzにマークを置いて、インピーダンスの実数部及び虚数部の値を表示させた。サンプルとプローブを非導電性表面上に置き、プローブを使用して、トレースの2つの開放端子の間のインピーダンスを測定した。種々の導電性インクに対する結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
上述のように印刷シート1110を切断して個々のセンサーサイズの片を製作することによって、個々のタグを作製した。それらの片のうちの1つを
図12の写真に示す。この写真において、PVAシートを通して確認され得る基準グリッドは、25.4mm×25.4mm(1インチ×1インチ)平方の配列である。これらのタグは、インダクタの形態をなす導電性トレースを備えたものであり、そのようなタグが1つ以上の好適なコンデンサ及びジャンパーと組み合わされるという条件で、本明細書で開示する同調無線周波数回路を形成する基礎として好適なものであった。
【0087】
そのような素子を加えることなく、タグを水に暴露する間、CI−1001導電性インクを使用して作製されたタグのインピーダンスを測定した。同じアジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)を42941Aインピーダンスプローブ(Impedance Probe)と共に使用して、インピーダンス測定を行った。以前と同様に、この機器を8MHz〜15MHzに掃引し、オープン及びショートの較正標準を利用してプローブを較正した。インピーダンスアナライザで13.56MHzにマークを置いて、インピーダンスの実数部及び虚数部の値を表示させた。サンプルとプローブを非導電性表面上に置き、プローブを使用して、トレースの2つの開放端子の間のインピーダンスを測定した。水道水(0.5mL)を1滴でタグに注いだ。PVA基板はその後に分解して、タグの導電性トレースに亀裂を生じた。水の添加から開始して10秒の期間を経て、実数インピーダンスの測定値が400オームから3,000オーム超に変化した。
【0088】
実施例2〜10
実施例2〜10は、ストリップ形状及びU字形状のサンプルの製作について説明するものであり、これらのサンプルは、それぞれのストリップ形状又はU字形状の基板の1つの主表面又は側面を完全に被覆する導電性材料の層を有する。そのようなサンプルは、例えば、開示する同調無線周波数回路内のジャンパーとして使用され得る。しかしながら、読者には理解されたいこととして、そのようなサンプルの設計は、例えば、基板によって支持される1つ以上の誘導コイル及び/又は他の回路素子を有するタグを設けるように、導電性材料を適切にパターン形成することによって、容易に修正され得るものであり、そのようなタグは、同調無線周波数回路の少なくとも一部分を代表するかあるいは設けるものである。そのようなタグは、実施例2〜10のサンプルについて以下に記すものと類似した電気特性(湿潤の前及び後)を有する。
【0089】
(実施例2)
2ミル、4ミル、及び6ミル(それぞれ約51マイクロメートル、102マイクロメートル、及び153マイクロメートル)の測定厚さを有するポリビニルアルコール(PVA)フィルム(米国インディアナ州ポーテジ(Portage)のモノソル社(Monosol, LLC)から「Monosol M8630」として入手可能)の個別シートを自己支持型の基板として使用した。銀の膜をPVAフィルム基板の127mm×178mmのサンプルの上にマグネトロン物理蒸着によってコーティングした。この銀の膜は銀の金属ターゲットからスパッタ蒸着された。スパッタリング銀ターゲットを基板ホルダーから上の178mmの高さに設置して、PVA基板を、真空室内部に据え付けられた基板ホルダーに置いた。真空室を1×10
−5トール(1.33×10
−6kPa)の基底圧にまで排気した後、マスフローコントローラを使用して、スパッターガスのアルゴンを真空室の内部に50sccm(標準立方センチメートル/分)の流速で流入させた。真空室の全圧を2ミリトール(2.7×10
−4kPa)に調節した。0.10キロワットの一定の電力レベルでDC電源を使用して、スパッタリングを開始した。スパッタリングの継続時間を変動させて、種々の銀膜の厚さを有するサンプルを作製した。例えば、0.10キロワットの電力レベルを7分間にわたって利用してコーティングすることで、140nmの銀膜の厚さを有するサンプルを作製した。基板は加熱せず、室温に維持した。コーティングプロセスの間にサンプルの隣に置いたシリコンウエハー上に堆積した銀の厚さを測定することにより、サンプルに堆積された銀膜の厚さを測定した。ケーエルエー・テンコール(KLA Tencor)モデルP−15プロフィルメーター(米国カリフォルニア州サンホゼ(San Jose)のケーエルエー・テンコール社(KLA Tencor Corporation)から入手可能)を使用して、ウエハー上に堆積した銀の厚さを測定した。
【0090】
個々のストリップ形状のサンプル(25mm×152mmの寸法を有する)を銀コーティング付きPVA基板シートから切り出した。以下の方法を利用して基板の崩壊及び溶解について、個々のサンプルを試験した。食塩水(0.9%のNaCl)で満たした500ミリリットルのビーカーを周囲温度(20.5℃)に維持し、撹拌によってかき混ぜた。銀コーティング付き基板の個々のサンプルを、サンプル全体が液体で覆われるように食塩水に浸漬した。サンプルの崩壊及びサンプルの溶解に要した時間を秒単位で測定した。サンプルの崩壊は、基板フィルムが分裂し始めて銀コーティングに亀裂を生じる時点として定義した。溶解は、基板フィルムが液体中に全体的に溶解して、液体中に懸濁する銀の小粒子が残る時点として定義した。結果を表2に記す。
【0091】
【表2】
【0092】
(実施例3)
実施例2に記載した手順に従って、2ミル(約51マイクロメートル)の測定厚さを有するPVAフィルム(米国インディアナ州ポーテジ(Portage)のモノソル社(Monosol, LLC)から「Monosol M8630」として入手可能)のシートに、マグネトロン物理蒸着によって銀を40nmの厚さでスパッター蒸着した。サンプルストリップ(25mm×152mm)を銀コーティング付きPVA基板シートから切り取り、非導電性の表面に置いた。食塩水で湿潤する前及び湿潤した後に、抵抗に関してサンプルを試験した。シンプソンモデル260オーム計(Simpson Model 260 Ohmmeter)(米国ウィスコンシン州ラックデュフランボウ(Lac du Flambeau)のシンプソンエレクトリック社(Simpson Electric))を使用して、オーム計の試験導線をサンプルの両側に取り付けた。0オーム〜2000オームの範囲にわたって測定値を記録するように、オーム計を設定した。約0オームの初期抵抗値の読みが測定された。食塩水の一部(0.9%の0.5mLのNaCl)をサンプルの中央領域に注いだ後、銀コーティング付きPVAフィルムが崩壊して銀コーティングに亀裂を生じた。抵抗測定値は、10秒間の期間にわたって0オームから2000オーム(機器の最大設定)へと変化した。
【0093】
(実施例4)
食塩水を1.0mLの疑似創傷溶液(simulated wound fluid solution)で置き換えたことを除き、実施例3で説明したものと同じ手順に従った。この疑似創傷溶液は、米国特許出願公開第2011/0040289号(カナダ(Canada)ら)に記載されている手順に従って、塩化ナトリウム(2.07g)と塩化カルシウム(0.07g)を脱イオン水(247.9g)に溶解することによって調製したものである。疑似創傷溶液に暴露する前及び暴露した後に、抵抗についてサンプルを試験した。スマートエレクトリシャン(Smart Electrician)モデル364−5017デジタル計(米国ウィスコンシン州オークレア(Eau Claire)のメナーズ社(Menards Corporation)から入手可能)を使用して、オーム計の試験導線をサンプルの両端部に取り付けた。0オーム〜300オームの範囲にわたって測定値を記録するように、オーム計を設定した。0オームの初期抵抗値の読みが測定された。疑似創傷溶液の一部(1.0mL)をサンプルの中央に注いだ後、銀コーティング付きPVAフィルムが崩壊して銀コーティングに亀裂を生じた。抵抗測定値は、11秒間の期間にわたって0オームから300オーム(機器の最大設定)へと変化した。
【0094】
(実施例5)
モデル3912カーバー液圧プレス(Carver Hydraulic Press)(インディアナ州ウォバッシュ(Wabash)のカーバー社(Carver Corp.)から入手可能)を使用して、1.8mmの初期の測定厚さを有する発泡ポリスチレンフォーム(EPF)の正方形シート(76mm×76mm)を170℃、34,500kPa(5000psi)で18秒間にわたって圧縮し、0.23mm厚のサンプルを得た。圧縮したEPFのシートを自己支持型の基板として使用した。次いで、メイヤーロッド(Mayer rod)(3番)を使用して、EPFのシートの表面全体にCI−1001導電性インク(米国オハイオ州デラウェア(Delaware)のECM社(ECM Corporation)から入手可能)をコーティングした。コーティングの厚さは、約1.7グラム/平方メートル(gsm)であった。印刷シートを、50℃のオーブンに30分間にわたって置いた。周囲温度に冷却した後、76mm×13mmのストリップを印刷EPFシートから切り取った。無鉛ガソリンに暴露する前及び暴露した後に、抵抗についてストリップ形状のサンプルを試験した。スマートエレクトリシャン(Smart Electrician)モデル364−5017デジタル計(Digital Meter)を使用して、オーム計の試験導線をサンプルの両側に取り付けた。0オーム〜300オームの範囲にわたって測定値を記録するように、オーム計を設定した。0オームの初期抵抗値の読みが測定された。導線を取り付けたサンプルをガラスのペトリ皿に置き、無鉛ガソリン(10mL)をそのペトリ皿に加えて、深さ約6mmのガソリンのたまりを生じた。初期の段取りで、導線がガソリン溶媒と接触しないように、導線を取り付けたサンプルを慎重に屈曲させた。コーティング付きEPFストリップはガソリンとの接触後に崩壊して、導電性インクのコーティングに亀裂を生じた。ガソリンをサンプルに加えてから44秒の期間を経て、抵抗測定値は0オームから300オーム(機器の最大設定)に変化した。
【0095】
(実施例6)
吸収性物品の試験用に設計された成人の大きさのマネキン人形(米国ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)のマーケティングテクノロジーサービス社(Marketing Technology Service, Inc.)から入手可能)を手に入れた。このマネキン人形を立位で配置した。マスターフレックス蠕動L/Sポンプ(Masterflex Peristalic L/S Pump)(米国イリノイ州バーノンヒルズ(Vernon Hills)のコール・パーマー社(Cole-Parmer)から入手可能)を使用して、マネキン人形の男性又は女性の排出口に食塩水(0.9%のNaCl)を圧送した。マネキン人形に、40インチ〜50インチ(101.6cm〜127cm)のヒップサイズを有するメドライン・コンフォートエア・ユニセックス使い捨てブリーフ(Medline Comfort-Aire Unisex Disposable Brief)おむつ(米国イリノイ州マンデライン(Mundelein)のメドラインインダストリーズ社(Medline Industries)から入手可能)を装着した。実施例2で説明した手順に従って片側に銀を(40nm厚)スパッタコーティングした305mm×254mmのPVAフィルム(2ミル(0.051mm)厚)のシートから、組立体のセンサー部を調製した。次いで、レーザーを利用してこのフィルムを切断し、概ねU字形状のサンプルを得た。その形状は
図12aの平面図に示されている。その図を参照すると、平行な2辺の長さL1は約190mmであり、他の辺の長さL2は約15mmであり、幅wは約5mmであった。最少量のスプレー接着剤(米国ミネソタ州メイプルウッド(Maplewood)のスリーエム社(3M Company)から「3M(商標)Super 77(商標)多目的接着剤(Multipurpose Adhesive)」として入手可能)を使用して、サンプル(銀の側を上にして)をティッシュペーパー(220mm×40mmのシート)に貼り付けることによって積層体を調製した。ティッシュペーパーの中央にサンプルを定置して、平行な2つの辺の開放端部から約25mmがティッシュペーパーの縁部を越えて延びるようにした。この積層体を同じスプレー接着剤で、ウエストバンドの上部から90mmの位置でおむつの内側正面部分のバックシートに貼り付けた。積層体のサンプル側をマネキン人形に向けた。おむつのバックシートを貫く小さな穴を切り取り、U字形状のサンプルのうちの、ティッシュペーパーの裏当てを越えて延びる2つの端部をその穴に挿入し、ワニ口クリップを使用してアジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)(米国カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)から入手可能)に貼り付けた。ポンプの操作及びインピーダンスの記録は、LabViewソフトウェア(米国テキサス州オースチン(Austin)のナショナルインスツルメンツ社(National Instruments)から入手可能)を使用して自動化した。
【0096】
マネキン人形の入口孔を通じて4mL/秒の設定速度で食塩水をおむつに加えた。約40秒の経過時間で、0オームから約200オームへのインピーダンス測定値の変化を検出した。155秒の経過時間で、1000オーム超への更なるインピーダンスの変化を検出した。時間に対するインピーダンスの測定値を表3に示す。実験の最後に積層体を肉眼検査したところ、PVA基板が溶解し、センサーの保全性が失われたことが分かった。男性又は女性の入口孔のいずれを用いても、同様の結果が得られた。
【0097】
【表3】
【0098】
(実施例7)
不均一な厚さを有する導電性トレースを備えたサンプルを、PVAフィルム(2ミル(0.051mm)厚)のシートから調製した。このPVAフィルムは、不均一な厚さの導電性材料を得るために、パターンテンプレートをフィルムに被せて置いて、PVA基板の特定の領域にコーティングされるのを阻止又は防止したことを除き、実施例2で説明した手順に従って、片側を銀でスパッタコーティングされたものであった。パターンテンプレートを適所に置いて、PVAフィルムにスパッタコーティングして銀の第1のコーティング(40nm厚)を得た。次いでテンプレートを取り除き、銀(40nm厚)の第2のコーティングを施した。その結果、フィルムのうちの一部の領域が80nm厚の銀でコーティングされたパターンが生じ、フィルムのうちの残りの領域を40nm厚の銀でコーティングした。
【0099】
レーザーを利用してコーティング付きフィルムを切断して、概ね
図12aに示すようなU字形状のサンプルを調製した。ここで、平行な2つの辺の長さL1は約99mmであり、他の辺の長さL2は約15mmであり、幅wは約5mmであった。
【0100】
導電性の銀層に可変厚さの種々のパターンを含んだ5つのサンプル(本明細書ではサンプル7a〜7eと呼ぶ)を調製した。均一な厚さの導電性の銀層を有する2つのサンプル(本明細書ではサンプル7f及び7gと呼ぶ)を調製した。
【0101】
サンプル7aにおいて、導電性層は、80nm厚の銀コーティング付きの4つの領域を備え、各領域は8mm×5mmの面積を有するものであった。4つの領域は、U字形状の基板の平行な2辺に等しく位され(各辺に2つの領域)、その外形(
図12aの視点から分かるように)の上方(閉鎖)端部から5mmの位置及びその外形の下方(開放)端部で始まるものであった。サンプル7aの場合、導電性層の全面積の16%が、80nm厚の銀コーティングを有し、残りの面積は40nm厚の銀コーティングを有していた。
【0102】
サンプル7bにおいて、導電性層は、80nm厚の銀コーティング付きの8つの領域を備え、各領域は5mm×5mmの正方形で規定される面積を有するものであった。8つの領域は、U字形状の基板の平行な2辺に等しく位され(各辺に4つの領域)、その外形(
図12aを参照)の上方(閉鎖)端部から10mm及びその外形の下方(開放)端部から5mmの位置で始まるものであった。サンプル7bの場合、導電性層の全面積の20%が、80nm厚の銀コーティングを有し、残りの面積は40nm厚の銀コーティングを有していた。
【0103】
サンプル7cにおいて、導電性層は、80nm厚の銀コーティング付きの10の領域を備え、各領域は5mm×5mmの正方形で規定される面積を有するものであった。10の領域は、U字形状の基板の平行な2辺に等しく位され(各辺に5つの領域)、その外形(
図12aを参照)の上方(閉鎖)端部から8mm及びその外形の下方(開放)端部から2mmの位置で始まるものであった。サンプル7cの場合、導電性層の全面積の25%が、80nm厚の銀コーティングを有し、残りの面積は40nm厚の銀コーティングを有していた。
【0104】
センサーサンプル7dにおいて、導電性層は、80nm厚の銀コーティング付きの16の領域を備え、各領域は5mm×5mmの正方形で規定される面積を有するものであった。16の領域は、U字形状の基板の平行な2辺に等しく位され(各辺に8つの領域)、その外形(
図12aを参照)の上方(閉鎖)端部から8mm及びその外形の下方(開放)端部から5mmの位置で始まるものであった。サンプル7dの場合、導電性層の全面積の40%が、80nm厚の銀コーティングを有し、残りの面積は40nm厚の銀コーティングを有していた。
【0105】
サンプル7eにおいて、導電性層は、40nm厚の銀コーティング付きの8つの領域を備え、各領域は5mm×5mmの正方形で規定される面積を有するものであった。8つの領域は、U字形状の基板の平行な2辺に等しく位され(各辺に4つの領域)、その外形(
図12aを参照)の上方(閉鎖)端部から10mm及びその外形の下方(開放)端部から5mmの位置で始まるものであった。サンプル7eの場合、導電性層の全面積の20%が、40nm厚の銀コーティングを有し、残りの面積は80nm厚の銀コーティングを有していた。
【0106】
サンプル7fは40nm厚の均一な銀コーティングを伴って調製されたものであり、サンプル7gは80nm厚の均一な銀コーティングを伴って調製されたものである。
【0107】
アジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)を42941Aインピーダンスプローブ(Impedance Probe)(米国カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)から入手可能)と共に使用して、サンプル7a〜7fのインピーダンス測定値を決定した。この機器を8MHz〜15MHzに掃引し、オープン及びショートの較正標準を利用してプローブを較正した。インピーダンスアナライザで13.56MHzにマークを置いて、インピーダンスの実数部及び虚数部の値を表示させた。サンプルとプローブを非導電性表面上に置き、プローブをU字形状のサンプルの端部から約1mmに取り付けてサンプルの開放端部(すなわち、
図12aに示す外形の下方端部)間のインピーダンスを測定した。その結果を、6回の測定の平均として表4に記載した。
【0108】
サンプル7eを乾燥したペーパータオル(ウィスコンシン州ニーナ(Neenah)のキンバリークラーク社(Kimberly-Clark Corporation)から入手可能な商標標記「ワイプオール(WypAll)」)上に置き、導電性サンプルの開放端部をインピーダンスプローブの導線に取り付けた。水道水(1.0mL)を、サンプル7eのうちの、厚い銀コーティング(80nm)と薄い銀コーティング(40nm)の両方の領域を含む部分に直接、置いた。薄いコーティング領域の崩壊が水の添加から13秒後に観察されたが、厚いコーティング領域は水の添加から30秒後に崩壊し始めた。初期の18オームの実数インピーダンス測定値が、水の添加から9秒後に変化し始めた。薄いコーティング領域の崩壊が観察されたこの13秒の時点で、実数インピーダンス測定値は1000オームを超えていた。
【0109】
【表4】
【0110】
(実施例8)
実施例7で説明したサンプル7fを接着テープ(米国ミネソタ州メイプルウッド(Maplewood)のスリーエム社(3M Company)からスコッチ(Scotch)(登録商標)透明テープ(Transparent Tape)の商標標記で入手可能)で石壁(ワシントンDCのラファージュノースアメリカ社(Lafarge North America)から入手可能)の102mm×102mmの片に貼り付けた。アジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)を42941Aインピーダンスプローブ(Impedance Probe)(米国カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)から入手可能)と共に使用して、インピーダンス測定値を測定した。この機器を8MHz〜15MHzに掃引し、オープン及びショートの較正標準を利用してプローブを較正した。インピーダンスアナライザで13.56MHzにマークを置いて、インピーダンスの実数部及び虚数部の値を表示させた。プローブの導線をトレースの開放端部に取り付け、乾燥したサンプルに対してインピーダンス値を測定した。乾燥したサンプルの初期インピーダンスを測定した。石壁に貼り付けたサンプルを、水道水を含んだトレーに沈め、サンプルの約25.4mm(1インチ)(導線の取り付け部から反対側の端部から)が水面下に位するようにした。サンプルを水に沈めてから5秒以内に、インピーダンスの変化が記録された。30秒で、銀コーティング付きPVAフィルムが崩壊して、銀コーティングに亀裂を生じた。乾燥したサンプル及び30秒間にわたって水道水に沈めた後のサンプルのインピーダンス測定値を表5に示す。
【0111】
【表5】
【0112】
(実施例9)
実施例2に記載した手順に従って、2ミル(約51マイクロメートル)の測定厚さを有するポリビニルアルコール(PVA)フィルム(米国インディアナ州ポーテジ(Portage)のモノソル社(Monosol, LLC)からMonosol M8630として入手可能)のシートに、マグネトロン物理蒸着によって銀をスパッター蒸着した。141nm、187nm、及び280nmの厚さで銀コーティングした3枚の個別のサンプルを調製した。次いで、レーザーを利用してコーティング付きフィルムの各サンプルを切断して、概ねU字形状のサンプルを得た。その形状は
図12aの平面図に示されている。その図を参照すると、平行な2辺の長さL1は約190mmであり、他の辺の長さL2は約15mmであり、幅wは約5mmであった。アジレント(Agilent)4294Aプレシジョンインピーダンスアナライザ(Precision Impedance Analyzer)を42941Aインピーダンスプローブ(Impedance Probe)(米国カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)から入手可能)と共に使用して、インピーダンス測定値を測定した。この機器を8MHz〜15MHzに掃引し、オープン及びショートの較正標準を利用してプローブを較正した。インピーダンスアナライザで13.56MHzにマークを置いて、インピーダンスの実数部及び虚数部の値を表示させた。サンプルとプローブを非導電性表面上に置き、プローブをU字形状のサンプルの端部から約1mmに取り付けてサンプルの開放端部(すなわち、
図12aに示す外形の下方端部)間のインピーダンスを測定した。乾燥したサンプルの初期インピーダンスを測定した。3.0mLの人工尿(米国ニューヨーク州ロチェスター(Rochester)のウォーズナチュラルサイエンス社(Ward’s Natural Science)から入手可能)の液滴をサンプルに添加した後、液体の添加から数秒以内のインピーダンスの変化を記録した。3つのサンプルに対する初期及び最終のインピーダンス測定値を表6に記す。
【0113】
【表6】
【0114】
(実施例10)(仮説)
2ミル(約51マイクロメートル)の厚さを有するポリビニルアルコール(PVA)のシートを、
図10bに示すように薄化領域と厚化領域とを有するように二次加工することができ、また、自己支持型の基板1026bとして使用することができる。二次加工(例えばエンボス加工による)により、例えば、40nmの深さで、くぼんだ微細構造表面1026b−1を形成することができる。基板を導電性インクでフラッドコーティングして、導電性材料の40nm(「薄い」)領域(1028b−2)と、導電性材料の80nm(「厚い」)領域(1028b−1)とを設けることができる。結果として得られる導電性インクコーティングの露出表面は、実質的に平坦となり得る。レーザーを利用してコーティング付きフィルムを切断して、実質的に
図12aの平面図に示すように、概ねU字形状のサンプルを得ることができる。その図を参照すると、平行な2辺の長さL1は約190mmであってもよく、他の辺の長さL2は約15mmであってもよく、幅wは約5mmであってもよい。少なくとも1つの薄い領域(1028b−2)がセンサーに存在する限りは、厚い領域と薄い領域の任意のパターンが使用されてよい。インピーダンス測定は、任意の好適なインピーダンスアナライザ又はオーム計を用いてなされ得る。サンプルとプローブを非電導性表面に置くことができ、プローブをU字形状のサンプルの端部に取り付けることにより、導電性のサンプルの開放端部間でインピーダンスを連続的に測定することができる。水、食塩水、人工尿、又は疑似創傷溶液をサンプルに添加することができる。湿潤前及び湿潤後のインピーダンスについて、サンプルを測定することができる。基板が崩壊する(トレースに亀裂を生じる)ことを観察することができ、100倍〜1000倍へのインピーダンスの変化を測定することができる。
【0115】
更なる実施形態及び用途
図13は、開示する湿潤度センサー1312の種々の最終用途を示す概略的な図である。図示の用途は単に代表的なものであり、限定を意図するものではない。ある用途において、湿潤度センサー1312は、おむつ1360などの吸収性衣料に挿入されるかあるいは別法で組み込まれる。別の用途において、センサー1312は、屋根1350、ビル、又は類似した構造物に挿入されるかあるいは別法で組み込まれる。センサー1312は例えば、通常は乾燥した状態のままであることを期待されるが、水分の存在を認識することが重要となる、こけら板、タイル、又は他の屋根材料の下方の適所に定置され得る。いずれの場合も、衣料、ビル、又は他の物品の湿潤度が、上述のようなセンサー1312の遠隔監視によって好都合にも検出され得る。
【0116】
湿潤度センサー1312は有益にも、湿潤度を検出することが望ましいが視覚的に若しくは別法で湿潤度を直接、観察することが困難となる、上で議論した他の用途でも使用され得る。センサー1312は例えば、壁板、断熱材、床張り材、及び屋根材など、建設関連の物品だけでなく、例えば、地下、床の下、壁の後方、又は天井の上のパイプからの漏れを検出するために、管継手及び支持構造にも組み込まれるかあるいは別法で取り付けられ得る。他の用途には、例えば医療又は自動車関連の用途で、漏れ又は融解を検出するために、湿潤度センサー1312を包装又は箱に組み込むことが包含される。
【0117】
図14aは、おむつ1460又はそれに類似した失禁用若しくは吸収性衣料の概略的な平面図であり、
図14bは、
図14aの線14b−14bに沿った概略的な横断面図である。このおむつは、液体透過性のインナーシート1462と、液体不透過性のアウターシート1464と、吸収性材料1466とを包含し、吸収性材料1466は、シート1462と1464との間に閉じ込められ、任意選択により吸収性領域1467に限定されている。おむつ1460はまた、弾性部材1468と、接着テープ又はフックループ式ファスナーなどの閉鎖要素1470とを包含してもよい。このおむつはまた、湿潤又は汚損しそうな位置に湿潤度センサー1412を包含するような方式で組み立てられている。センサー1412は、本明細書で開示する湿潤度センサーのうちのいずれかであっても、そのような湿潤度センサーを備えてもよいが、シート1462と1464との間に配設されるものであり、接着剤、超音波溶接を利用して、あるいは他の既知の取付け技術によって、そのようなシートのいずれかに接着され得る。もしセンサー1412が液体不透過性シート1464と吸収性材料1466との間に配設される場合、センサー1412は、材料1466が含浸されると分解し、ごく少量の対象流体の解放では始動されない。おむつの湿潤度は好都合にも、上で議論したようにセンサー1412の遠隔監視によって検出され得る。
【0118】
場合によっては、ジャンパー(424、624)を大いに延長することによって、おおきなアスペクト比、例えば
図4及び6のアスペクト比よりも大きなアスペクト比を有するようにセンサー1412を設計することが有利となり得る。そのような細長いセンサーを用いると、アンテナ又はインダクタ(例えば、418、618)は、おむつの中で、湿潤又は汚損しそうにない位置に、例えばウエストバンドにより近い位置に置かれ得るが、センサーの残り(そして特にジャンパーの少なくとも一部分)は、湿潤又は汚損しそうな位置に置かれ得る。また、アンテナ又はインダクタのそのような配置は、リーダー装置との通信(例えば信号雑音比)を改善するためにも利用され得る。
【0119】
別の実施形態において、本明細書で開示する湿潤度センサーのうちのいずれかが、それに加えて、ジェントルシリコーン接着剤など、皮膚適合性の接着剤を、センサーの外表面にあるいはそのような外表面の一部分に包含してもよい。このようにして構成されたセンサーは、おむつ、ブリーフ、又は他の衣料若しくは物品に製造されるのではなく、被験者の皮膚に直接、貼り付けられてもよい。そのような取り組みは、場合によっては、既存の衣料と協働し、特別に製造される衣料及び物品の必要性を避けることによって、全体的なコストを低減すると共に実現を助長し得る。また、接着剤は、被験者へのセンサーの取付け点を容易に変更できるようにするため、及び/又は、変更の間に所与の被験者に対してセンサーを再使用できるようにするため、再配置可能となるように配合され得る。接着剤は、センサーのうちの、アンテナ又はインダクタ(例えば418、618)のある部分に選択的に塗布されてもよく、また、特に湿潤度センサーが形状において細長いものである場合、センサーの残りは、皮膚適合性でない接着剤を含んでもよい。そのような実施形態において、センサーのうちのアンテナ又はインダクタの部分は、例えば、ウエストのところ又はウエストの上で被験者に取り付けられてよく、センサーの残りは、必要に応じて、単純におむつ又はブリーフの中へぶら下げられてもよい。
【0120】
皮膚適合性のある任意の既知の接着剤が、そのような実施形態で使用され得る。一実施形態において、皮膚適合性の接着剤が、100部のポリジメチルシロキサン(例えば、ザイアメター(Xiameter)ブランドのOHX−4070)ポリマーに30部のMQ樹脂(例えば、ワッカー・ケミー社(Wacker Chemie AG)から入手可能なタイプBelsil TMS 803)を配合して均質混合物を取得することによって調製され得る。接着剤溶液は、簡素なナイフコーターを使用して、あるいは他の既知の手段によって、好適な厚さ、例えば0.002インチ〜0.004インチ(0.0051cm〜0.010cm)で湿潤度センサー(又は多数の湿潤度センサーを含んだウェブ(例えば
図1を参照))の外表面の上にコーティングされ得る。そのような接着剤は、例えば好適な電子ビーム発生源に暴露することによって架橋され得る。好ましくは、皮膚適合性の接着剤は、実質的に非導電性であり、そのため、直接センサーの導電性トレースに塗布されても同調無線周波数回路の動作に悪影響を及ぼすことはない。
【0121】
本明細書で説明するセンサーは、インフラに基づいた監視システム、例えば、失禁のある長期ケア施設の患者において湿潤度を検出するシステムで使用されると、特に有用となり得る。そのようなシステムにおいて、流体センサーの状態は、その流体センサーが取り付けられている個人衛生物品又は他の物品の湿潤状態と共に変化し、またセンサーの状態は、問い合わせされるとリーダーに通信される。その情報は次いで、リーダーにより、ネットワーク接続を介して集中記憶場所に通信され得る。データベースは、タイムスタンプ及び/又は他の識別情報と共にその情報を記憶し得る。この情報は次いで、特注のアルゴリズムを利用して後処理され得る。多数の現場から得られた禁制関連のデータが、病院、ケア施設、吸収性物品の製造業者、政府、医療保険業者などで利用するために、照合、一括、抽出、相関、統合、及び解析され得る。代表的な湿潤度監視システムには、限定するものではないが、すべて参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,250,547号(ホフマイスター(Hofmeister))、同第7,977,529号(バーグマン(Bergman))、同第2007/0270774号(バーグマン)、国際公開第2007/128038号(バーグマン)、同第96/14813号(バーグマン)、及び同第2011/054045号(バーグマン)に記載されたシステムが包含される。湿潤度監視システムは、失禁患者に対する尿検出に限定されるものではなく、創傷管理を含めて、身体からの(又は他の発生源からの)他の流体及び滲出物が存在し得る状態の検出、監視、及び管理にも適応性を有する。
【0122】
1人又は複数人の被験者において失禁を監視するための代表的なシステムが、流体の存在を監視することが望まれる商品の中に若しくはその商品の上に取り付けられた1つ以上の流体センサーと、適切な電子機器とリーダーをセンサーに結合するためのアンテナとを包含するリーダーと、ネットワーク接続部と、データの記憶及び解析のためのデータベースとを包含する。別のシステムは、表示手段と、ユーザーによって動作可能となり得る入力手段と、監視されている1人以上の被験者と各々が関連付けられている1つ以上の送信器であって、少なくとも、複数の被験者に対する禁制関連のデータを含む信号を送信するように構成されており、その禁制関連のデータは、本明細書で開示したものなど、1つ又は複数の湿潤度センサーから、時間をかけて取得されたものであり、それらのセンサーは、各被験者それぞれが着用する吸収性物品と関連付けられ得るものである送信器と、1つ以上の送信器から信号を受信するように構成された受信器と、少なくとも1つの受信器ユニットと通信する処理手段であって、監視されている被験者が着用する吸収性物品に取り付けられた湿潤度センサーから導出された禁制関連の情報の視覚的な表現を表示するために、受信した信号を処理し、表示手段に表示情報を通信するように構成されたディスプレイプロセッサを有する処理手段とを備える。
【0123】
センサーは、例えば種々の機能性を有する様々なタイプであってよい。湿潤度センサーに加えて、センサーは、温度、pH、圧力、臭気、バイオ分析物、化学的又は生物学的マーカー、及び被験者の健康状態の他の指標のうちの1つ以上を検知するための機能性を包含してよい。考えられるセンサーには、水、尿、血液、他の液体溶媒、又はそれらに含まれる要素の存在を検出するためのセンサーが包含される。加えて、ECG、血糖値、血圧、脈拍などのバイタルサインを監視するためのセンサーが、開示する湿潤度センサーと組み合わされてもよい。臨床的に関連する医学的状態の広範なリストが、尿に含まれる代謝物質、化学物質、及びイオン、並びに様々な種類の他の物質及び細胞を検出することによって認識され得る。亜硝酸塩、アミノ酸、β−2−マイクログロブリンなどの物質、pH、オスモル濃度、白血球数、タンパク質、比重などの測定値、並びに、多発性骨髄腫及び血尿などの状態が、開示するセンサーと共に適切な既知のセンサーを使用して、患者から得られた尿を試験することによって検出され得る。
【0124】
あるシステム例において、処理手段は、被験者が着用する吸収性物品の失禁パッドタイプの情報を受信し、そのパッドタイプの指示と禁制関連のデータに基づいて、吸収性物品からの水分が漏れる可能性を算出するように構成されてもよい。情報を統合して、監視されている患者及び/又は失禁用物品のタイプを識別するために、センサーステータス回路が識別回路と組み合わされてもよく、あるいは別に設けられてもよい。患者又は吸収性物品のタイプに関する情報は、自動検知又は手動入力によって取得され得る。このシステムは、送信器上の1つ以上のアクチュエータを包含して、湿潤度に関連しない事象データを手動で入力するのを容易にするための入力手段を包含してもよく、カード若しくは他のリファレンスガイド、又はコードの手動入力から、光学的に、電子的に、あるいは別法でコードを走査するが、これらのいずれかは、任意選択により、手持形の装置を使用して実施されるものである。被験者の動きを検知するために、更なる手段が包含されてもよい。リーダー又は送信器が、被験者の位置の変化を判断するために、例えば、位置追跡装置(GPSなど)及び/又は被験者の動きを示唆する加速時計又は圧力変換器などの1つ以上の動作検出器を含めて、検知手段と組み合わされてもよい。そのような検出器は、介護者に通知するために実時間でプロセッサに通信される放浪又は転倒を検出するように構成されてもよい。
【0125】
考えられるリーダーには、例えば、ベッド装着型、椅子装着型(例えば、車椅子装着型又はロッキングチェア装着型)、カート装着型、壁装着型、家具装着型の、あるいは、患者のための任意の他の移動式又は固定式支持ユニットの上に又はその中に装着されるリーダーを含めて、手持形リーダーと固定形リーダーとの両方が包含される。
【0126】
処理手段が単一の処理装置として設けられてもよく、あるいは、システムの全体的な機能性に寄与する種々の処理機能を各々が実施し得る、多数の個別の又は接続された処理ユニット又は処理要素によって設けられてもよい。したがって、処理手段の様々な機能が、いくつかの実施形態においては禁制センサーそれ自体と関連付けられ得る処理要素、及び/又はシステムの送信器又は受信器内に収容された処理要素、又はこのシステムを用いる特定の現場で「中央モニター」の一部として設けられる処理要素を含むシステムの様々な要素によって、あるいは、例えば専有の無線周波数リンク、有線のイーサネット、無線のイーサネット、Zigbee、Bluetoothなどを含め、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イーサネット、及び当該技術分野で知られ得るような他のネットワークを通じて、他の処理要素との有線又は無線接続によって前述のうちの1つ以上と通信して設けられ得る。データベースは、顧客の現場でローカルにホストされても、離れた施設であるいはクラウドにて遠隔でホストされてもよい。レポートの生成及び統計的問合せのために、ユーザーインターフェイスが通常、設けられる。
【0127】
介護者が、監視されている被験者の世話をできるようにするため、処理手段は、センサーのステータスについて介護者に警告を発生させるか、あるいは別法でフィードバックを与えるように構成されてもよい。それに代わって、あるいはそれに加えて、処理手段は、禁制関連のデータにあるパターンと湿潤度に関連しない事象データにあるパターンとを自動的に相関させるように構成されてもよい。処理手段は、多数のタイプのセンサーから入力を受信するように構成可能となり得る。これは、例えば、被験者が着用する吸収性物品と関連付けられたセンサーから禁制データを収集すること、被験者に関する、非湿潤事象データを収集すること、並びに、収集した非湿潤事象データとセンサーデータを使用して、被験者の失禁を監視するための数学的モデルを最適化し、その最適化されたモデルを使用して、吸収性物品を着用する被験者の失禁を、本発明のセンサーで監視することによって達成され得る。いくつかの実施形態において、処理手段は、複数現場の禁制関連のデータを受信するが、そのデータは、失禁に関して被験者を監視するためにシステムが使用される複数の現場から取得されたものである。処理手段は、複数現場の禁制関連のデータを受信するデータ編集プロセッサを包含してもよい。システムは、複数現場のデータを記憶するためのデータストアと、その1つ以上の現場をデータ編集プロセッサと接続する1つ以上のネットワーク通信要素とを設け得る。処理手段は、複数の現場から取得したデータを利用して解析を実施するが、その解析には、吸収性物品の使用量の傾向を確認すること、監視されている被験者に対してケアアセスメントを評価すること、介護者の行動の傾向を確認すること、禁制関連のデータと、事象データと、患者のグループに当てはまる他の条件との相関を確認すること、種々の失禁用製品又は禁制ケアの種々のモデルの性能をベンチマークで試験することなどが含まれる。
【0128】
湿潤度検出システムの一例が、ブリーフに据え付けられた湿潤度センサーと、適切な電子機器とセンサーに結合することが可能なアンテナとを包含するベッド装着型のリーダーと、無線ネットワーク接続部と、データの記憶及び解析のためのデータベースとを包含し得る。ベッド式のリーダーは、共振検出回路とベッドに据え付けられた同調アンテナとを包含してもよく、また、患者がベッドにいるか否かを判断するために、圧力センサーなどの存在検知ユニットを包含してもよい。無線ネットワーク接続部は特殊な無線周波数リンクであってもよく、データベースは、ケア施設のネットワークによってアクセスされ得るマシンに記憶されてもよい。データベースの他にも、マシンはアルゴリズムを実行してデータを条件付きで監視し得る。あるアルゴリズムは、患者が漏らしたことを報告し、ヘルスケアスタッフに自動的に通知し得る。システムは、ベッド式のリーダーに結合された湿潤度センサー付きのブリーフを着用する各患者の情報を収集することができ、その情報をデータベースに遠隔で記録することができる。この形式の連続監視では、2時間に1度の最小チェック時間を上回るので、既存の規格F−TAG 315との適合性が実証される。このシステムはまた、ブリーフが交換された時間、並びに患者がベッドの中に又はベッドの外にいる時間を自動的に記録してもよい。この情報は、各患者ごとに定型的なルーチンを作成するために利用され得る。このシステムと自動的な資料管理及び傾向分析を利用することにより、より正確な予測排泄スケジュールが作成され得る。これは、摂食又は就眠スケジュールなど他の活動の前後にトイレ活動を訓練及びスケジュールするように試みるよりも効果的となり得る。
【0129】
そのようなシステムには、いくつかの潜在的な利点と用途がある。このシステムは、責務を遂行するようにスタッフを訓練するために利用されてもよく、その責務には、好適な吸収性物品又はパッドのタイプを選択することと、システムを利用して失禁患者を監視及び/又は評価することと、失禁した対象者に適時に世話することと、失禁を患う対象者の状態を評価することと、対象者の禁制ケア計画を立てることと、禁制ケア計画の有効性を評価することとが含まれる。必要なブリーフ取換え、ブリーフの平均使用回数、ベッド外で費やす時間、取換えまでの平均漏らし時間を含めて、日々の傾向を監視することが、更には予測排泄スケジュールを立てることができる。それらの傾向からの逸脱も監視され得る。処理手段は、禁制関連のデータ及び非湿潤データを1つ以上の病状の指標と相関させ、病態の存在を調べる指針を与えるように構成されてもよい。異常について確認することで、このシステムなしで予測されるよりも早期に、脱水症、尿路感染症、イースト菌感染症などの健康問題の予測が可能となることがある。このタイプの傾向分析はまた、ケアの質を監視するのにも役立ち、あるいはスタッフ間の隔たりを確認するのにも役立ち得る。例えば、取換えまでの平均漏れ時間は、ヘルスケア施設におけるスタッフ不足を示唆し得るものである。ブリーフの平均使用回数、取換えまでの平均漏れ時間、及びブリーフ内の侵襲の量を監視することにより、システムは、皮膚/褥瘡性潰瘍を進展させる危険性がより高い患者を予測し得る。システムは、これらの患者が状態の悪化を最小限にするように、更なる検査とより迅速な応答時間をもたらし得る。システムはまた、皮膚/褥瘡性潰瘍が形成された場合に必要となる文書業務を自動的に作成することもできる。この自動的に作成される文書により、更なる悪化が最小限となるように患者の状態が適切に報告されることを確かにすることができ、また、問題を明らかにして、スタッフのシフト交代の際に気づかれないことがないようにすることができる。
【0130】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する、機構の寸法、数量、及び物理特性などを表すすべての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでない旨が明記されない限り、明細書及び特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本願の教示を利用する当業者が得ようと求める所望の特性に応じて変化し得る概算値である。
【0131】
空間に関する用語は、限定するものではないが、「下部」、「上部」、「下方」、「下」、「上」、及び「頂部」を含め、本明細書で用いられる場合、ある要素と他の要素との空間的な関係を述べる説明を容易にするために利用されている。そのような空間に関する用語は、図に示し本明細書で説明した特定の向きに加えて、使用又は動作中の装置の種々の向きを包含する。例えば、図に示された細胞が反転されているか、あるいはひっくり返されている場合、他の要素の下又は下方として前述された部分は、それら他の要素の上にあることになる。
【0132】
本発明の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく明らかとなろう。また、本発明は、本明細書に記載した代表的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
最後に、本発明は、いろいろな態様で実施し得るというものの、本発明の好ましい態様のいくつかを列挙すると、以下に付記するとおりである。
〔付記1〕
自己支持型の基板と、
前記基板によって支持されており、同調無線周波数回路の少なくとも一部分を設けるようにパターン形成されている導電性トレースであって、前記無線周波数回路は、あるインピーダンス又は抵抗を特徴とし、前記基板の片側にのみ配設されている導電性トレースとを備え、
前記導電性トレースは自己支持型ではなく、
前記基板は、対象流体と接触すると溶解、膨張、又は別法で分解するように適合されており、そのため、前記無線周波数回路の前記インピーダンス又は抵抗は少なくとも5倍に変化するセンサー。
〔付記2〕
前記基板は前記対象流体と接触すると溶解する、付記1に記載のセンサー。
〔付記3〕
前記基板は前記対象流体と接触すると膨張する、付記1に記載のセンサー。
〔付記4〕
前記基板は、平滑な主表面を有する可撓性のフィルムであるか、あるいはそのような可撓性のフィルムを包含する、付記1に記載のセンサー。
〔付記5〕
前記基板はポリビニルアルコール(PVA)であるか、ポリビニルアルコールを包含する、付記1に記載のセンサー。
〔付記6〕
前記対象流体は極性液体を含む、付記1に記載のセンサー。
〔付記7〕
前記対象流体は水を含む、付記1に記載のセンサー。
〔付記8〕
前記対象流体は、1種類以上の水性のヒトの体液であるか、そのような体液を含む、付記7に記載のセンサー。
〔付記9〕
前記導電性トレースは銀を含む、付記1に記載のセンサー。
〔付記10〕
前記導電性トレースは1マイクロメートル未満の厚さを有する、付記1に記載のセンサー。
〔付記11〕
前記導電性トレースは100ナノメートル未満の厚さを有する、付記10に記載のセンサー。
〔付記12〕
前記導電性トレースは誘導コイルを包含する、付記1に記載のセンサー。
〔付記13〕
前記導電性トレースは、前記基板との緊密な接触をなす、付記1に記載のセンサー。
〔付記14〕
前記導電性トレースは、可変厚さ及び/又は可変幅を有する、付記1に記載のセンサー。
〔付記15〕
前記導電性トレースは可変厚さを有し、該厚さの変動は、前記導電性トレースと前記基板との間の構造化界面と関連付けられる、付記14に記載のセンサー。
〔付記16〕
前記同調無線周波数回路は、前記導電性トレースのうちの2つの部分を接続する導電性連結部材を更に有する、付記1に記載のセンサー。
〔付記17〕
前記無線周波数回路の前記インピーダンス又は抵抗は、前記基板が前記対象流体と接触すると、少なくとも100倍に変化する、付記1に記載のセンサー。
〔付記18〕
前記無線周波数回路の前記インピーダンス又は抵抗は、前記基板が前記対象流体と接触すると、少なくとも1000倍に変化する、付記17に記載のセンサー。
〔付記19〕
前記導電性トレースは、前記基板が前記対象流体と接触したときに前記無線周波数回路に開回路を設けるように、実質的に分解する、付記1に記載のセンサー。
〔付記20〕
前記基板が前記対象流体と接触することにより、前記無線周波数回路が実質的に動作不能となる、付記1に記載のセンサー。
〔付記21〕
前記センサーの外表面上に配設された皮膚適合性の接着剤を更に備える、付記1に記載のセンサー。
〔付記22〕
前記接着剤はシリコーンを含む、付記21に記載のセンサー。
〔付記23〕
付記1に記載のセンサーを備える吸収性衣料。
〔付記24〕
前記吸収性衣料は、液体透過性シートと、液体不透過性シートと、前記液体透過性シートと前記液体不透過性シートとの間に捕捉された吸収性材料とを有し、前記センサーは、前記液体透過性シートと前記液体不透過性シートとの間に配設される、付記23に記載の吸収性衣料。
〔付記25〕
付記1に記載のセンサーを備える建設物品。
〔付記26〕
前記建設物品は、壁板、断熱材、床張り材、屋根材、及び/又はパイプ用の継手若しくは支持構造であるかあるいはそれらを含む、付記25に記載の物品。
〔付記27〕
付記1に記載のセンサーと、
前記同調無線周波数回路の状態を遠隔で評価するように構成されたリーダーとを備えるシステム。
〔付記28〕
前記リーダーは、人のための移動式又は固定式支持体の中又は上に装着されるように構成される、付記27に記載のシステム。