(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記比較軌道生成部は、前記曲線部において前記基準軌道よりも前記比較軌道の方が曲率半径が大きくなるように前記比較教示点を設定する、請求項1に記載のロボットの軌道生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から
図13を参照して、実施の形態におけるロボットの軌道生成装置について説明する。本実施の形態のロボットシステムは、軌道生成装置にて生成された軌道に基づいてロボットを駆動する。ロボットは、ツール先端点が生成された軌道を通るように制御される。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるロボットシステムの概略図である。本実施の形態のロボットシステム1は、ワークの搬送を行うロボット13と、ロボット13を制御する制御装置12とを備える。本実施の形態のロボット13は、複数の関節部13aを有する多関節ロボットである。ロボット13のアーム13bの先端には、ワークを把持するハンド17が配置されている。ロボット13は、それぞれの関節部13aを駆動するアーム駆動装置を含む。アーム駆動装置は、関節部13aの内部に配置されているアーム駆動モータと減速機とを含む。アーム駆動モータが駆動することにより、アーム13bを関節部13aにて所望の角度に曲げることができる。
【0020】
ロボットシステム1は、ロボット13の軌道を生成する軌道生成装置11を備える。軌道生成装置11は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を有する演算処理装置により構成されている。また、軌道生成装置11は、種々の情報を記憶する記憶部を有する。
【0021】
軌道生成装置11には、予め定められた教示点情報10が入力される。教示点情報10は、教示点の位置の情報を含む。教示点情報10には、例えば教示点の三次元の座標値が含まれている。教示点情報10は、例えば、作業者が教示点を設定する操作盤を操作することにより軌道生成装置11に入力することができる。または、軌道生成装置11は、教示点情報10としてのロボットの動作プログラムから教示点の位置を取得しても構わない。
【0022】
軌道生成装置11は、教示点情報10に基づいてロボット13の軌道を生成する。軌道生成装置11は、生成された軌道上をロボット13のツール先端点が通るようにロボットの各軸の動作指令を生成する。ロボット13の動作指令は、制御装置12の動作制御部15に送出される。動作制御部15は、動作指令に基づいてアーム駆動装置等を駆動する。
【0023】
本実施の形態の軌道生成装置11は、教示点情報10に基づいて基準軌道を生成する基準軌道生成部21を備える。本発明においては、軌道生成装置11に入力される教示点を基準教示点と称する。そして、基準教示点に基づいて基準軌道生成部21が生成する軌道を基準軌道と称する。
【0024】
図2に、本実施の形態における第1の基準軌道を説明する概略図を示す。基準軌道生成部21は、複数の基準教示点P1,P2,P3に基づいて基準軌道41を生成する。軌道には、直線状に延びる直線部と曲がって延びる曲線部とが含まれる。本実施の形態では曲線部について説明する。
図2に例示する基準軌道41では、矢印61に示す向きにツール先端点が移動する。
【0025】
本実施の形態の第1の基準軌道41は、基準教示点P1〜P3からずれることが許容されている。基準教示点P2から基準軌道41までの距離Lbの上限値が判定値として予め定められている。基準教示点P2と基準軌道41との最も短い距離が、基準教示点P2から基準軌道41までの距離Lbになる。基準軌道生成部21は、距離Lbが判定値未満になるように基準軌道41を生成する。
【0026】
基準軌道は、例えば、連続する3個の基準教示点P1,P2,P3と予め指定された速度とに基づいて、次の方程式を解くことにより生成することができる。基準軌道41は、時間の関数として得ることができる。
【数1】
【0027】
ここで、曲線部の開始点は、基準教示点P1と基準教示点P2とを結ぶ線上の点を選択することができる。曲線部の終了点は、基準教示点P2と基準教示点P3とを結ぶ線上の点を選択することができる。また、曲線部の中点とは、開始点における時刻と終了点における時刻との中間の時刻における軌道上の点を示す。ロボット13の姿勢は、各軸の回転角度によって定められ、任意の方法により設定することができる。例えば、ロボット13の姿勢は、曲線部の開始点における姿勢から曲線部の終了点における姿勢まで連続的に変化するように設定することができる。
【0028】
指定された教示点に基づいて軌道を生成する方法としては、この形態に限られず、任意の方法を採用することができる。例えば、基準教示点P1から基準教示点P2への動作の減速部分と、基準教示点P2から基準教示点P3への動作の加速部分を重ね合わせることにより、曲線状の軌道を形成することができる。そして、重ね合わせる時期を変更することにより、基準教示点から基準軌道までの距離を判定値未満に調節することができる。
【0029】
軌道生成装置11は、所定の軌道にてロボットを動作した場合に、ロボットの構成部品に加わる負荷を算出する負荷判定部22を有する。負荷判定部22は、更に、算出された負荷を予め定められた負荷判定値と比較する。
【0030】
負荷としては、トルクを例示することができる。ロボットの構成部品は、予め定めておくことができる。例えば、構成部品として、ロボット13の関節部13aに配置された減速機を例示することができる。または、関節部13aにおける軸受け等を例示することができる。ここでは、関節部13aに配置されている減速機を取り上げて説明する。
【0031】
減速機に加わるトルクは、ロボットの各軸の周りのトルクに対応する。このために、本実施の形態では、減速機に加わる負荷として各軸周りのトルクを採用している。負荷判定値としては、トルク判定値を予め定めている。減速機に加えることができるトルクの最大値に対応する各軸の周りのトルクの値をトルク判定値に設定している。
【0032】
各軸の周りのトルクは、軌道上の所定の点の3次元の座標値と所定の点の前後の点の座標値とに基づいて算出することができる。3次元の座標値をロボットの逆運動学を用いて各軸の回転角度に変換することができる。各軸の回転角度は各軸の位置に相当する。そして、所定の点の各軸の位置および時刻と、所定の点の前後の点の各軸の位置および時刻とを算出することができる。これらの点の時刻の差および角度の差に基づいて、各軸の速度および各軸の加速度を算出することができる。算出した各軸の位置、速度、および加速度に基づいて、ロボットの動力学の方程式を用いて、各軸の周りのトルクを算出することができる。各軸の周りのトルクは次式にて表すことができる。
【数2】
【0033】
このように、予め定められた軌道に沿ってロボットが動作したときのそれぞれの時刻における各軸のトルクを算出することができる。負荷判定部22は、算出されたトルクと予め定められたトルク判定値とを比較する。算出されたトルクがトルク判定値以下の場合には、ロボットの軌道として基準軌道を採用する。
【0034】
軌道生成装置11は、速度低減部23を有する。速度低減部23は、算出された構成部品に加わるトルクがトルク判定値よりも大きい場合に速度を低減する。速度低減部23は、構成部品に加わるトルクがトルク判定値以下になる速度までロボットの速度を低減する。
【0035】
本実施の形態では、複数の関節部13aに配置されている全ての減速機に関して、算出される各軸の周りのトルクがトルク判定値以下になるまで速度を低下させる。そして、全ての軸の周りのトルクがトルク判定値以下になった時の速度を、基準軌道に関する基準速度として設定する。
【0036】
このように、本実施の形態では、ロボットの構成部品に加わる負荷が負荷判定値以下になるように、基準軌道に対して速度を調整する。
【0037】
軌道生成装置11は、速度低減部23にて速度が低減された場合に、基準軌道に基づいて比較軌道を生成する比較軌道生成部24を含む。比較軌道生成部24は、基準教示点の位置を変更した比較教示点を設定する。比較軌道生成部24は、比較教示点に基づいて比較軌道を生成する。この時に、比較軌道生成部24は、曲線部において基準軌道の曲率半径よりも比較軌道の曲率半径が大きくなるように比較軌道を生成する。軌道の曲率を小さくすることにより、曲線部における加速度や加加速度を抑制することができて、ロボットの構成部品に加わる負荷を軽減することができる。
【0038】
図3に、比較軌道を説明する概略図を示す。基準軌道41は、基準教示点P1,P2,P3に基づいて曲線部が生成されている。基準教示点P2が基準軌道41の曲線部の頂部に対応する教示点になる。そして、比較軌道生成部24は、基準教示点P1,P2,P3に基づいて比較教示点P2aを設定する。比較軌道生成部24は、曲線状の基準軌道41の内側に比較教示点2aを設定する。本実施の形態では、基準教示点P2に対して移動方向と移動長さを設定する。そして、設定した移動方向と移動長さに基づいて、基準教示点P2を移動して比較教示点P2aを設定する。
【0039】
図4に、比較教示点を設定するときの教示点の第1の移動方向を説明する概略図を示す。基準教示点P1と基準教示点P2とを結ぶ直線と、基準教示点P2と基準教示点P3とを結ぶ直線とを生成する。そして、基準教示点P2における角度の二等分線の方向(矢印62に示す方向)を教示点の移動方向に設定することができる。
【0040】
図5に、比較教示点を設定するときの教示点の第2の移動方向を説明する概略図を示す。基準教示点P1と基準教示点P3との中点Pcを算出する。そして、矢印63に示すように、基準教示点P2から中点Pcに向かう方向を教示点の移動方向に設定することができる。
【0041】
教示点の移動方向としては、上記の第1の移動方向または第2の移動方向に限られず、軌道の曲率半径が大きくなるような任意の方向に移動することができる。例えば、基準教示点P2を基準教示点P1に向かう方向に移動させても構わない。または、基準教示点P2を基準教示点P3に向かう方向に移動させても構わない。
【0042】
次に、教示点の移動長さについて説明する。比較軌道生成部24は、予め定められた軌道の許容条件に基づいて比較軌道42を生成する。
【0043】
図6に、比較軌道を生成するときの第1の軌道の許容条件を説明する概略図を示す。第1の軌道の許容条件としては、基準教示点P2から比較軌道42までの距離が予め定められた判定値未満であることが定められている。すなわち、比較軌道42が基準教示点P2から離れすぎないように距離の上限値が予め設定されている。基準教示点P2から比較軌道42上の点までの距離のうち、最短距離を基準教示点P2から比較軌道42までの距離L1にすることができる。
図6に示す例では、基準教示点P2から比較軌道42上の点Psまでの距離が、基準教示点P2から比較軌道42までの距離L1に相当する。
【0044】
比較軌道生成部24は、設定された移動方向に基準教示点P2を移動して比較教示点P2aを生成する。このときに予め定められた移動長さにて移動させることができる。そして、比較軌道生成部24は、基準軌道41の生成方法と同様の方法により、基準教示点P1,P3および比較教示点P2aに基づいて比較軌道42を生成する。
【0045】
次に、比較軌道生成部24は、基準教示点P2から比較軌道42までの距離L1が、予め定められた判定値未満であるか否かを判別する。距離L1が、予め定められた判定値未満である場合には、更に基準教示点P2の移動長さを長くすることができる。このように、徐々に移動長さを長くして、距離L1が許容される最大の長さになるように比較軌道42を形成している。なお、距離L1が予め定められた判定値以上である場合には、基準教示点P2の移動長さを短くする制御を行っても構わない。
【0046】
基準教示点P2の移動長さが長くするほど、比較軌道42の曲線部の曲率半径を大きくすることができる。本実施の形態では、軌道の許容条件を満たす範囲内で基準教示点P2の移動長さが最も大きくなるように比較教示点P2aを設定している。この制御により、比較軌道42の曲線部の曲率半径を大きくすることができる。
【0047】
このように、基準教示点P2を移動した比較教示点P2aに基づいて比較軌道42を生成することができる。次に、生成された比較軌道42に基づいて、ロボット13が比較軌道42に沿って動作するときの速度を算出する。基準軌道41における基準速度と同様の方法により、構成部品に加わるトルクがトルク判定値以下になるまで速度を低減する。この時の速度を、比較軌道における比較速度として設定することができる。比較軌道42は基準軌道41よりも曲率半径が大きくなっているために、比較速度が基準速度よりも大きくなる場合がある。
【0048】
なお、予め定められた軌道の許容条件については、上記の基準教示点と比較軌道との距離に限られず、基準教示点から離れすぎないように比較軌道を生成する任意の条件を採用することができる。
【0049】
図7に、比較軌道を生成するときの第2の軌道の許容条件を説明する概略図を示す。第2の軌道の許容条件としては、比較軌道42と基準軌道41との距離L2が予め定められた判定値未満であることを採用することができる。基準軌道41における曲線部の開始点の時刻と終了点の時刻との中間の時刻における中点Pc1を算出する。比較軌道42における曲線部の開始点の時刻と終了点の時刻との中間の時刻における中点Pc2を算出する。比較軌道42と基準軌道41との距離L2として、中点Pc1と中点Pc2との距離を採用することができる。この許容条件によっても、基準教示点P2から離れすぎないように比較軌道42を生成することができる。
【0050】
本実施の形態の軌道生成装置11は、基準軌道の通過時間と比較軌道の通過時間とを比較して、通過時間の短い軌道を選択する軌道選択部25を備える。軌道選択部25は、基準軌道41と基準速度とに基づいて通過時間を算出する。例えば、1つの曲線部を対象にして、基準教示点P1から基準教示点P2の近傍を通って基準教示点P3に到達するまでの通過時間を算出する。軌道選択部25は、比較軌道42と比較速度とに基づいて通過時間を算出する。例えば、基準教示点P1から比較教示点P2aの近傍を通って基準教示点P3に到達するまでの通過時間を算出する。そして、軌道選択部25は、通過時間の短い軌道を実際にロボットを駆動する軌道として選択する。なお、基準軌道41の通過時間と比較軌道42の通過時間とが同じ場合には、いずれの軌道を採用しても構わない。本実施の形態では、基準軌道41を採用している。
【0051】
軌道生成装置11は、選択した軌道に基づいて制御装置12の動作指令を生成する動作指令生成部26を備える。動作指令生成部26にて生成された動作指令は、制御装置12の動作制御部15に送出される。
【0052】
図8に、本実施の形態における軌道生成装置の第1の制御のフローチャートを示す。ステップ81において、基準軌道生成部21は、取得した教示点情報10に基づいて基準軌道41を生成する。
【0053】
次に、ステップ82において、負荷判定部22は、基準軌道と予め設定された速度とに基づいて、予め設定された構成部品に加わるトルクを算出する。基準軌道の初期の速度は予め指定されている。ステップ83において、負荷判定部22は、算出されたトルクがトルク判定値を超えているか否かを判別する。この判別において、複数の構成部品が指定されている場合には、全ての構成部品について判定する。本実施の形態では、少なくとも1個の構成部品に加わるトルクがトルク判定値を超えている場合には、ステップ84に移行する。
【0054】
ステップ84において、速度低減部23は、基準軌道41における速度を低減する。本実施の形態では、予め定められた減少幅にて速度を低減する。そして、ステップ82に戻り、構成部品に加わるトルクを計算する。このように、速度低減部23は、算出されるトルクがトルク判定値以下になるまで速度を低減することにより基準速度を設定する。
【0055】
ステップ83において、全ての構成部品について、算出されたトルクがトルク判定値以下になる場合には、ステップ92に移行する。ステップ92においては、ロボットの速度を低減したか否かを判別する。すなわち、初期の速度にてロボットを駆動すると構成部品に過度のトルクが加わるか否かを判別する。速度を低減しなかった場合には、この制御を終了する。すなわち、基準軌道と初期の速度とを採用する。速度を低減した場合には、ステップ85に移行する。
【0056】
ステップ85において、比較軌道生成部24は、比較軌道42を生成する。比較軌道42における初期の速度は予め設定しておくことができる。ここでは、比較軌道のための初期の速度は、基準軌道のための初期の速度と同一の速度を設定している。
【0057】
次に、ステップ86において、負荷判定部22は、比較軌道に関して構成部品に加わるトルクを算出する。ステップ86からステップ88までの制御は、ステップ82からステップ84までの制御と同様である。ステップ87において、負荷判定部22は、比較軌道に関して算出されたトルクがトルク判定値よりも大きいか否かを判別する。算出されたトルクがトルク判定値よりも大きい場合には、ステップ88に移行する。
【0058】
ステップ88において、速度低減部23は、速度を低減する。ここでは、予め定められた速度幅にて速度を減少させる。そして、ステップ86に戻り、構成部品に加わるトルクを算出する。速度低減部23は、構成部品に加わるトルクがトルク判定値以下になるまで速度を低減することにより比較速度を設定する。ステップ87において、算出されたトルクがトルク判定値以下の場合にはステップ89に移行する。
【0059】
次に、ステップ89において、軌道選択部25は、基準軌道における通過時間と、比較軌道における通過時間とを算出する。そして、基準軌道の通過時間が比較軌道の通過時間以下である場合には、ステップ90に移行する。ステップ90において、軌道選択部25は、ロボット13を駆動する軌道として基準軌道41を選択する。
【0060】
ステップ89において、基準軌道の通過時間が比較軌道の通過時間よりも大きい場合には、ステップ91に移行する。ステップ91において、軌道選択部25は、ロボット13を駆動する軌道として比較軌道42を選択する。このように、通過時間が短い軌道を選択することができる。
【0061】
本実施の形態の軌道生成装置は、基準軌道にて速度の低減が必要な場合には、比較軌道を生成する。そして、基準軌道における作業時間と比較軌道における作業時間を比較して、作業時間が短い軌道を選択する。このために、ロボットの減速を抑制しながら自動的に軌道を生成することができる。また、ロボットの作業時間の短縮を図ることができる。
【0062】
特に、
図3を参照して、新たに生成された比較軌道42は、基準軌道41よりも曲率半径が大きくなる。このために、比較軌道42における比較速度は、基準軌道41における基準速度よりも高くできる場合がある。また、比較軌道42は、基準軌道41よりも軌道の長さが短くなる。このために、比較軌道42では、短時間で基準教示点P1から基準教示点P3まで移動できる場合がある。本実施の形態の軌道生成装置では、短時間で移動できる軌道を自動的に生成することができる。
【0063】
また、本実施の形態の軌道生成装置11の比較軌道生成部24は、予め定められた軌道の許容条件に基づいて比較軌道42を生成している。この制御により、所望の条件を満たす比較軌道42を自動的に生成することができる。
【0064】
上記の実施の形態においては、ロボットの構成部品に加わる負荷としてトルクを採用したが、この形態に限られず、構成部品に加わる任意の負荷を選定することができる。たとえば、負荷としてはトルクの変化率を採用することができる。トルクの変化率は、軌道上の所定の点におけるトルクとその点の前後のいずれか一方の点におけるトルクとの差に基づいて算出することができる。
【0065】
負荷としてトルクの変化率を採用する場合には、負荷判定値としてはトルクの変化率の判定値を採用する。そして、負荷判定部22は、トルクの変化率をロボットの各軸のジャーク(加加速度)から算出することができる。または、負荷判定部22は、トルクの変化率をロボットの各軸に加わるトルク(加速度)から算出しても構わない。そして、負荷判定部22は、算出されたトルクの変化率と判定値とを比較することができる。
【0066】
なお、負荷の判定においては、複数の変数を採用しても構わない。例えば、負荷としてトルクおよびトルクの変化率の両方を採用することができる。例えば、両方の変数が判定値以下の場合に、負荷が負荷判定値以下であると判別することができる。
【0067】
ところで、基準教示点を移動して比較教示点を設定する場合には、複数の移動方法および複数の移動長さが考えられる(
図4から
図7を参照)。このために、複数の移動方向および複数の移動長さに基づいて、複数の比較軌道を生成することができる。そして、通過時間が最も短い軌道を選定することができる。次に、複数の比較軌道を生成する制御について説明する。
【0068】
図9に、本実施の形態における軌道生成装置の第2の制御のフローチャートを示す。ステップ81からステップ84は、本実施の形態の第1の制御(
図8参照)と同様である。また、ステップ92についても第1の制御と同様である。第2の制御においては、基準軌道における速度を低減した場合に、複数の比較軌道を生成する。生成する比較軌道の種類は、予め定めておくことができる。この例では、1番目からn番目までのn個の比較軌道を生成する。例えば、基準教示点を2つの移動方向および2つの移動長さにより移動する場合には、生成する比較軌道の個数nは4になる。
【0069】
ステップ93において、比較軌道生成部24は、変数kを1に設定する。ステップ94において、比較軌道生成部24は、第k番目の比較軌道を生成する。比較軌道における初期の速度は、基準軌道における初期の速度と同一の速度を採用することができる。ステップ95からステップ97までの制御により、第k番目の比較軌道の比較速度を設定する。ステップ95からステップ97の制御は、第1の制御のステップ86からステップ88の制御と同様である(
図8参照)。
【0070】
ステップ98において、比較軌道生成部24は、変数kが予め定められた比較軌道の個数nであるか否かを判別する。ステップ98において、変数kが所定の比較軌道の個数に到達していない場合には、ステップ99に移行する。
【0071】
ステップ99において、比較軌道生成部24は、変数kに1を加算する。そして、ステップ94において、次の比較軌道を生成する。ステップ98において、変数kが所定の比較軌道の個数nに到達している場合には、全ての比較軌道の生成が終了している。この場合には、ステップ100に移行する。
【0072】
ステップ100において、軌道選択部25は、基準軌道の通過時間を算出する。また軌道選択部25は、n個の比較軌道の通過時間を算出する。そして、軌道選択部25は、基準軌道およびn個の比較軌道のうち、最も通過時間が短い軌道を選択する。
【0073】
第2の制御を実施することにより、複数の比較軌道を生成し、作業時間が最短の軌道を選択することができる。複数の比較軌道の生成方法については、任意の方法を採用することができる。このように、複数個の比較軌道を生成する場合も本発明を適用することができる。
【0074】
上記の基準軌道および比較軌道の生成方法では、教示点に基づいて生成される軌道が教示点から離れることが許容されている。軌道の生成方法は、この形態に限られず、予め指定された教示点を通るように軌道を生成しても構わない。
【0075】
図10に、本実施の形態における第2の基準軌道の概略図を示す。
図11に、本実施の形態における第2の比較軌道の概略図を示す。
図10および
図11を参照して、基準軌道41は、予め指定された基準教示点P1,P2,P3を通るように形成されている。このような基準軌道41としては、それぞれの基準教示点P1,P2,P3を通るようにスプライン曲線を生成することができる。また、比較軌道42についても、同様に、比較教示点P2aを通るように生成することができる。
【0076】
また、上記の説明においては、教示点が3個の場合について例示しているが、この形態に限られず、教示点が4個以上の場合についても、連続する3個の教示点を選択して、上記と同様の方法により軌道を生成することができる。
【0077】
図12に、本実施の形態における第3の基準軌道と第3の比較軌道とを説明する概略図を示す。
図12に示す例では、生成される軌道が元の教示点からずれることが許容されている。教示点が4個以上の場合にも連続する3個の教示点Pn−1,Pn,Pn+1を選択することができる。教示点Pn−1,Pn,Pn+1に基づいて軌道を生成することができる。そして、3個の教示点にて生成された複数の軌道を互いに接続して、全体の軌道を生成することができる。
【0078】
例えば、基準教示点P2,P3,P4を選択して、基準教示点P2から基準教示点P4までの基準軌道41の曲線部を生成することができる。そして、前述の制御を実施することにより、比較教示点P3aを設定することができる。この後に、基準教示点P2,P4および比較教示点P3aに基づいて、基準教示点P2から基準教示点P4までの比較軌道42の曲線部を生成することができる。この例では、基準教示点P2,P3,P5に対して比較教示点P2a,P3a,P5aが設定されている。
【0079】
図13に、本実施の形態における第4の基準軌道と第4の比較軌道を説明する概略図を示す。
図13に示す例では、生成される軌道が元の教示点を通るように生成されている。そして、
図12の場合と同様に、基準教示点が4個以上の場合も連続する3個の基準教示点を選定して、基準軌道および比較軌道を生成することができる。この例では、基準教示点P2,P3,P5に対して比較教示点P2a,P3a,P5aが設定されている。
【0080】
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。