(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態について説明する。
各実施形態においては、貨幣処理装置の一例として、POS(Point of Sales)端末に接続される硬貨入出金装置を例示する。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態につき、
図1〜
図9を用いて説明する。
【0012】
[外観構成]
図1は、本実施形態における硬貨入出金装置1の外観斜視図である。
硬貨入出金装置1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2を引き出し可能に収納するハウジングケース3とを備える。
【0013】
本体ユニット2は、硬貨投入口21、硬貨払出口22、硬貨受皿23、ディスプレイ25、操作部26、及び鍵スイッチ27等を備える。
【0014】
硬貨投入口21は、複数の硬貨を一括して投入可能な大きさに開口している。硬貨投入口21の底面は、投入された硬貨を硬貨入出金装置1の内部へと搬送する入金ベルト30である。この入金ベルト30による搬送方向の下流側には、分離ローラ31が設けられる。分離ローラ31と入金ベルト30の間には、硬貨入出金装置1にて取扱いが予定される硬貨のうち最も厚い硬貨1枚分よりも若干大きい間隔を設ける。複数枚の硬貨が重なったまま入金ベルト30により搬送されても、この分離ローラ31がその重なりを解消する。
【0015】
硬貨投入口21内には、硬貨の投入を光学的に検知する投入センサ131(
図2,
図3参照)が設けられる。
【0016】
硬貨払出口22は、本体ユニット2の内部から払い出される硬貨を排出する。硬貨受皿23は、硬貨払出口22の周囲を取り囲むように上方を開口して設けられており、硬貨払出口22から排出された硬貨を貯留する。
【0017】
硬貨受皿23には、硬貨受皿23内に存在する硬貨を光学的に検知する受皿センサ136(
図2,
図3参照)が設けられる。
【0018】
ディスプレイ25は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やVFD(Vacuum Fluorescent Display)である。操作部26は、複数の操作ボタンを含む。
【0019】
鍵スイッチ27は、専用の鍵が差し込まれた際に回動可能となる。鍵スイッチ27は、ハウジングケース3からの本体ユニット2の引き出しをロックするロック機構と連結される。鍵スイッチ27の回動に応じて、ロック機構によるロックがオン/オフする。
【0020】
[内部構成]
硬貨入出金装置1の内部構成について説明する。
図2は、ハウジングケース3から引き出した本体ユニット2を概略的に表した正面図である。本体ユニット2は、硬貨収納部40と、この硬貨収納部40の上方に配置された硬貨搬送路50と、硬貨搬送路50の上方に配置された搬送機構60及び硬貨識別センサ130を備える。
【0021】
硬貨収納部40は、硬貨払出口22に連結された金種別収納部40a,40b,40c,40d,40e,40fを備える。各金種別収納部40a〜40fは、順に1円,50円,5円,100円,10円,500円の硬貨を収納する。
【0022】
各金種別収納部40a〜40fの底面は、各金種別収納部40a〜40fに収納された硬貨を硬貨払出口22に向けて搬送する払出ベルト42である。払出ベルト42は、払出モータ112(
図3参照)によって駆動される駆動ローラと従動ローラに掛け渡された環状のベルトである。また、硬貨収納部40は、各金種別収納部40a〜40f内において払出ベルト42に向けて個別に進退する払出シャッタ44a,44b,44c,44d,44e,44fを備える。各払出シャッタ44a〜44fが払出ベルト42に向けて進出すると各金種別収納部40a〜40fから硬貨払出口22に通じる経路が閉鎖され、後退すると同経路が開放される。
【0023】
硬貨搬送路50は、入金ベルト30の終端を始点として本体ユニット2の奥行き方向(図中のP1方向)に向けて形成された第1搬送面51と、第1搬送面51の終端から第1方向と直角をなす方向(図中のP2方向)に向けて形成された第2搬送面52とを含む。
【0024】
搬送機構60は、入金ベルト30によって取り込まれた硬貨の主面を第1搬送面51に押し当ててP1方向に搬送する第1搬送ベルト61と、この第1搬送ベルト61によって第1搬送面51の終端まで搬送された硬貨の主面を第2搬送面52に押し当ててP2方向に搬送する第2搬送ベルト62とを含む。各搬送ベルト61,62は、それぞれ搬送モータ111(
図3参照)によって駆動される駆動ローラと従動ローラに掛け渡された環状のベルトである。
【0025】
硬貨識別センサ130は、第1搬送面51上に設けられ、第1搬送面51上を搬送される硬貨の正偽を判別する。具体的には、硬貨識別センサ130は、第1搬送面51を挟んで対向配置された励磁コイルと検出コイルを含み、これらコイルの間を硬貨が通過した際の磁力線変化により生じる検出コイルの誘起電圧の振幅変化や位相変化のパターンに基づいて硬貨の正偽を判定する。
【0026】
第1搬送面51は、リジェクト穴53を有する。リジェクト穴53の近傍には、リジェクト穴53の一部を閉じるリジェクトシャッタ54が設けられている。
【0027】
第2搬送面52は、硬貨選別穴55を有する。硬貨選別穴55は、第2搬送面52上を搬送される硬貨を金種別に選別して硬貨搬送路50上から落下させる。具体的には、硬貨選別穴55はP2方向に沿って1円,50円,5円,100円,10円,500円の順にそれぞれの硬貨に対応する幅寸法である。第2搬送ベルト62によって搬送される硬貨は、自身に対応する幅寸法の位置に到達したときに硬貨選別穴55から落下する。落下した硬貨は、金種別収納部40a〜40fのうち自身の金種に対応する収納部に収納される。
【0028】
第1搬送面51は、搬送路センサ132,133を備える。搬送路センサ132は、硬貨の搬送方向(図中のP1方向)に関して硬貨識別センサ130の上流側に配置される。
搬送路センサ133は、硬貨の搬送方向(図中のP1方向)に関して硬貨識別センサ130の下流側に配置される。搬送路センサ132,133は、それぞれの設置位置を通過する硬貨を検知する。搬送路センサ132,133としては、反射型或いは透過型の光電センサ等を利用できる。
【0029】
硬貨収納部40は、硬貨選別穴55の近傍に配置されたカウントセンサ134a,134b,134c,134d,134e,134fを備える。各カウントセンサ134a〜134fは、硬貨選別穴55からそれぞれ金種別収納部40a,40b,40c,40d,40e,40fに落下する硬貨を検知する。カウントセンサ134a〜134fとしては、反射型或いは透過型の光電センサ等を利用できる。
【0030】
硬貨収納部40は、各払出シャッタ44a〜44fと硬貨払出口22の間に、払出センサ135a,135b,135c,135d,135e,135fを備える。各払出センサ135a〜135fは、それぞれ金種別収納部40a〜40fから搬送されて払出シャッタ44a〜44fの設置位置を通過した硬貨を検知する。払出センサ135a〜135fとしては、反射型或いは透過型の光電センサ等を利用できる。
【0031】
硬貨投入口21に設けられた投入センサ131は、光を発する複数の発光素子131aと、これら発光素子131aに対して1つずつ設けられた複数の受光素子131bとを含む透過型センサである。受光素子131bは、対応する発光素子131aが発した光を検知すると信号を出力する。硬貨投入口21に投入された硬貨が各組の発光素子131a及び受光素子131bを結ぶライン上に落ちると、その硬貨によって発光素子131aからの光が遮られ、受光素子131bからの信号出力が停止する。
【0032】
受皿センサ136は、光を発する複数の発光素子136aと、これら発光素子136aに対して1つずつ設けられた複数の受光素子136bとを含む透過型センサである。受光素子136bは、対応する発光素子136aが発した光を検知すると信号を出力する。硬貨払出口22から払い出された硬貨が各組の発光素子136a及び受光素子136bを結ぶライン上に落ちると、その硬貨によって発光素子136aからの光が遮られ、受光素子136bからの信号出力が停止する。
【0033】
[制御回路]
硬貨入出金装置1の制御回路について説明する。
図3は、硬貨入出金装置1の制御回路の概略を示すブロック図である。当該制御回路は、CPU(Central Processing Unit)100、ROM(Read Only Memory)101、RAM(Random Access Memory)102、接続I/F(Interface)103、モータドライバ104、ソレノイドドライバ105、センサドライバ106、バスライン107、操作部26、及びディスプレイ25等を含む。
【0034】
バスライン107は、CPU100、ROM101、RAM102、接続I/F103、モータドライバ104、ソレノイドドライバ105、センサドライバ106、操作部26、及びディスプレイ25を接続する。
【0035】
ROM101は、CPU100に実行させるためのコンピュータプログラムや、エラーファイルFを記憶する。RAM102は、各種のワークメモリエリアを形成する。接続I/F103は、硬貨入出金装置1とPOS端末200とを有線或いは無線にて通信可能に接続する。
【0036】
モータドライバ104は、投入モータ110、搬送モータ111、及び払出モータ112を接続し、これらモータを制御する。投入モータ110は、入金ベルト30の駆動ローラを駆動し、入金ベルト30を回転させる。搬送モータ111は、第1搬送ベルト61および第2搬送ベルト62の駆動ローラを駆動し、これら各搬送ベルト61,62を回転させる。払出モータ112は、払出ベルト42の駆動ローラを駆動し、払出ベルト42を回転させる。
【0037】
ソレノイドドライバ105は、リジェクトシャッタソレノイド120及び払出シャッタソレノイド121a,121b,121c,121d,121fを接続し、これらソレノイドを制御する。リジェクトシャッタソレノイド120は、リジェクトシャッタ54を開閉させる。払出シャッタソレノイド121a,121b,121c,121d,121fは、それぞれ払出シャッタ44a,44b,44c,44d,44e,44fを払出ベルト42に向けて進退させる。
【0038】
センサドライバ106は、硬貨識別センサ130、投入センサ131、搬送路センサ132,133、カウントセンサ134a〜134f、払出センサ135a〜135f、受皿センサ136、及び引出センサ137を接続し、これらセンサを制御する。引出センサ137は、本体ユニット2のハウジングケース3からの引き出し及びハウジングケース3への収納を検知する。
【0039】
図4は、エラーファイルFのデータ構造の一例を示す模式図である。エラーファイルFは、硬貨入出金装置1の内部で生じ得る硬貨詰りに関するエラーの種別毎に設けられたレコードを含む。エラーの種別は、主に硬貨詰りの発生区間に関する。発生区間は、例えば投入センサ131と搬送路センサ132の間、搬送路センサ132と搬送路センサ133の間、搬送路センサ133とカウントセンサ134a〜134fの間、払出センサ135a〜135fと受皿センサ136の間のように、各センサ131〜136によって区切られた領域として定義できる。各レコードは、エラーコード及び発生区間データを含む。エラーコードは、各レコードに対応する種別のエラー毎に割り当てられた識別子である。発生区間データは、各レコードに対応する種別のエラーの発生区間を表す。具体的には、発生区間データは、硬貨の搬送方向における上流側に位置するセンサ(後述の上流側センサに相当)と下流側に位置するセンサ(後述の下流側センサに相当)の組み合わせを示す。
【0040】
硬貨の入金に際し、投入センサ131が硬貨投入口21に投入された硬貨を検知すると、CPU100は、投入モータ110及び搬送モータ111を動作させる。このとき、入金ベルト30が硬貨投入口21に投入された硬貨を本体ユニット2の内部に搬送し、そこから搬送機構60が当該硬貨を硬貨収納部40に向けて搬送する。当該硬貨に関し、硬貨識別センサ130にて偽貨の判定がなされると、CPU100はリジェクトシャッタソレノイド120を駆動してリジェクトシャッタ54を開く。このとき、当該偽貨と判定された硬貨がリジェクト穴53から落下する。落下した偽貨は、本体ユニット2に対して挿脱自在に設けられたリジェクトケース(不図示)に収納される。硬貨選別穴55に到達した硬貨は金種別収納部40a〜40fに落下する。カウントセンサ134a〜134fが落下する硬貨を検知する。CPU100は、カウントセンサ134a〜134fの検知結果に基づいて入金額を算出する。
【0041】
硬貨の出金に際し、CPU100は、払出ベルト42を駆動する。さらにCPU100は、出金額に相当する硬貨が払い出されるように、払出センサ135a〜135fの検知結果に応じて払出シャッタソレノイド121a〜121fを選択的に駆動する。このとき、各払出シャッタ44a〜44fにより各金種別収納部40a〜40fから硬貨払出口22に通じる経路が選択的に閉鎖及び開放され、出金額に相当する枚数の硬貨が硬貨払出口22に払い出される。
【0042】
[POS端末]
POS端末200について説明する。
図5は、POS端末200の要部構成を示すブロック図である。POS端末200は、CPU201、ROM202、RAM203、通信I/F204、接続I/F205、補助記憶装置206、キーボード207、ディスプレイ208、レシートプリンタ209、及びバスライン210を備える。
【0043】
バスライン210は、CPU201、ROM202、RAM203、通信I/F204、接続I/F205、補助記憶装置206、キーボード207、ディスプレイ208、及びレシートプリンタ209を接続する。
【0044】
ROM202は、CPU201に実行させるためのコンピュータプログラムなどを記憶する。RAM203は、各種のワークメモリエリアを形成する。通信I/F204は、POS端末200が配置された店舗のLAN(Local Area Network)などのネットワークとPOS端末200とを有線或いは無線にて通信可能に接続する。
【0045】
接続I/F103は、POS端末200と、硬貨入出金装置1、紙幣入出金装置220、及びスキャナ装置230とを有線或いは無線にて通信可能に接続する。紙幣入出金装置220は、挿入口から挿入された紙幣の金額を算出してPOS端末200に通知する。また、紙幣入出金装置220は、POS端末200から通知された額の紙幣を排出口から排出する。硬貨入出金装置1と紙幣入出金装置220は、自動釣銭機を構成する。スキャナ装置230は、商品に付されたバーコードを読み取ることなどにより、客が購入する商品の商品識別コードを取得する。
【0046】
補助記憶装置206は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であり、上述のエラーファイルFやガイダンスデータベースDBなどを記憶する。ガイダンスデータベースDBは、各エラーコードに対応するエラーを解除するための手順を示す画像データを含む。
【0047】
キーボード207は、ユーザの操作に応じてコマンドを入力する多数の操作キーを備える。ディスプレイ208は、例えばLCDであり、商品の販売に関する画面などを表示する。ディスプレイ208は、画面に対する接触操作を検知するタッチパネルを備える。レシートプリンタ209は、決済された商取引に関するレシートを印刷する。
【0048】
決済に際して、POS端末200は、スキャナ装置230が取得した商品識別コードに対応する商品の価格の合計を算出し、ディスプレイ208に表示する。店員は、客から受け取った代金のうちの硬貨と紙幣を、それぞれ硬貨入出金装置1と紙幣入出金装置220に入金する。硬貨入出金装置1及び紙幣入出金装置220は、それぞれ硬貨の入金額及び紙幣の入金額を算出し、POS端末200に通知する。POS端末200は、通知された硬貨及び紙幣の入金額の合計から商品の価格の合計を減算して釣り銭額を算出し、この釣り銭額のうち硬貨にて客に返却すべき額を硬貨入出金装置1に通知し、紙幣に客に返却すべき額を紙幣入出金装置220に通知する。さらにPOS端末200は、当該商取引のレシートをレシートプリンタ209に印刷させる。硬貨入出金装置1は、POS端末200から通知された出金額の硬貨を出金する。紙幣入出金装置220は、POS端末200から通知された出金額の紙幣を出金する。店員は、出金された硬貨及び紙幣とレシートを客に渡す。このようにして1商取引の決済が完了する。
【0049】
[モード設定処理]
硬貨入出金装置1は、上記のような決済における硬貨の入出金を通常通り行うための通常モードと、店員が硬貨詰りへの対処をトレーニングするためのトレーニングモードとの間で動作モードを切り替える機能を持つ。
【0050】
ユーザが操作部26を操作して動作モードの切り替えの実行を指示したことに応じ、CPU100は、動作モードを切り替えるためのモード設定処理を実行する。モード設定処理においてCPU100は、ROM101に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図6のフローチャートに沿って動作する。
【0051】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU100は、通常モードとトレーニングモードのいずれか一方を選択すべき旨のメッセージをディスプレイ25に表示する(ステップS101)。ユーザは、操作部26の操作により、通常モードとトレーニングモードのいずれか一方を選択することができる。
【0052】
ステップS101の後、CPU100は、モードが選択されたか否かを判定する(ステップS102)。CPU100は、この判定をモードが選択されるまで繰り返す(ステップS102のNo)。ユーザがモードを選択したならば(ステップS102のYes)、CPU100は、選択されたモードが通常モードとトレーニングモードのいずれであるかを判定する(ステップS103)。
【0053】
通常モードが選択された場合(ステップS103の“通常”)、CPU100は、動作モードを通常モードに設定する(ステップS104)。一方、トレーニングモードが選択された場合(ステップS103の“トレーニング”)、CPU100は、動作モードをトレーニングモードに設定する(ステップS105)。なお、ステップS104,S105における“設定”との用語は、例えばRAM102に形成された動作モードを記録するためのワークエリアに通常モード或いはトレーニングモードを示す情報を書き込むことを指す。CPU100は、ステップS105を以ってモード設定処理を終了する。
なお、モード設定処理におけるCPU100の動作は、モード設定手段を構成する。
【0054】
このようなモード設定処理を経て設定された動作モードにおける硬貨入出金装置1の動作について、以下に説明する。
【0055】
[通常モード]
通常モードにおいて、硬貨入出金装置1は、上記した決済における硬貨の入金及び出金に係る処理を実行する。さらに、硬貨の入金及び出金に係る処理を実行するに際し、硬貨入出金装置1は、搬送路における硬貨詰りを検出するための詰り検出処理を実行する。
【0056】
硬貨詰りは、硬貨の搬送路に配置された2種類のセンサを利用することで検出できる。
以下の説明において、当該2種類のセンサのうち硬貨の搬送方向における上流側に配置されたセンサを上流側センサと称し、下流側に配置されたセンサを下流側センサと称す。上流側センサと下流側センサは、例えば硬貨識別センサ130、投入センサ131、搬送路センサ132,133、カウントセンサ134a〜134f、払出センサ135a〜135f、及び、受皿センサ136の中から選定することができる。本実施形態では上流側センサと下流側センサの組み合わせの一例として、(1)投入センサ131と搬送路センサ132、(2)搬送路センサ132と搬送路センサ133、(3)搬送路センサ133とカウントセンサ134a〜134f、(4)払出センサ135a〜135fと受皿センサ136の組み合わせを想定する。
【0057】
CPU100は、入金時において投入モータ110及び搬送モータ111が動作している間、上記(1)〜(3)の組み合わせのそれぞれを対象として詰り検出処理を実行する。また、CPU100は、出金時において払出モータ112が動作している間、上記(4)の組み合わせを対象として詰り検出処理を実行する。
【0058】
各組み合わせを対象とした詰り検出処理において、CPU100は、ROM101に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図7のフローチャートに沿って動作する。
【0059】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU100は、上流側センサからの出力に基づき、上流側センサが硬貨を検知したか否かを判定する(ステップS201)。上流側センサが硬貨を検知していない間、CPU100はこの判定を繰り返す(ステップS201のNo)。
【0060】
上流側センサが硬貨を検知した場合(ステップS201のYes)、CPU100は、予め定められた待ち時間のカウントを開始する(ステップS202)。待ち時間のカウントは、CPU100がコンピュータプログラムを実行することで実現するソフトウェアタイマを用いて行ってもよいし、待ち時間をカウントするためのタイマを硬貨入出金装置1に設け、このタイマを用いて行ってもよい。待ち時間は、硬貨詰りが発生しない場合において上流側センサの位置にある硬貨が下流側センサの位置に到達するまでに要する時間よりも長い時間に設定する。待ち時間は、上記(1)〜(4)の組み合わせ毎に異なる時間であってもよい。
【0061】
ステップS202の後、CPU100は、下流側センサからの出力に基づき、下流側センサが硬貨を検知したか否かを判定する(ステップS203)。下流側センサが硬貨を検知していない場合(ステップS203のNo)、CPU100は、待ち時間をカウントし終えたか否かを判定する(ステップS204)。待ち時間をカウントし終えていない場合(ステップS204のNo)、CPU100の動作はステップS203に戻る。
【0062】
待ち時間をカウントし終える前に下流側センサが硬貨を検知した場合(ステップS203のYes)、詰り検出処理は正常に終了する。一方、下流側センサが硬貨を検知する前に待ち時間をカウントし終えた場合(ステップS204のYes)、搬送路において硬貨詰りが発生したと考えられる。したがって、CPU100は、後述のエラー処理を実行する。
【0063】
なお、複数の硬貨が搬送されている場合には、例えば最後尾の硬貨を対象として詰り検出処理を実行する。すなわち、CPU100は、上流側センサが硬貨を検知するたびに処理をステップS202に戻し、待ち時間のカウントをリセットする。
【0064】
以上のような詰り検出処理によれば、上記(1)の組み合わせにおいては投入センサ131と搬送路センサ132との間における硬貨詰りを検出することができる。上記(2)の組み合わせにおいては搬送路センサ132と搬送路センサ133との間における硬貨詰りを検出することができる。上記(3)の組み合わせにおいては搬送路センサ133とカウントセンサ134a〜134fとの間における硬貨詰りを検出することができる。上記(4)の組み合わせにおいては払出センサ135a〜135fと受皿センサ136との間における硬貨詰りを検出することができる。
【0065】
なお、詰り検出処理におけるCPU100の動作、上流側センサ、及び下流側センサは、記搬送路における貨幣詰りを検出する検出手段を構成する。
【0066】
上記エラー処理における硬貨入出金装置1及びPOS端末200の動作について説明する。エラー処理において、硬貨入出金装置1のCPU100は、ROM101に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図8の左側に示すフローチャートに沿って動作する。また、POS端末200のCPU201は、ROM202に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図8の右側に示すフローチャートに沿って動作する。
【0067】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU100は、投入モータ110、搬送モータ111、及び払出モータ112のうち、動作中のモータを停止する(ステップS301)。
【0068】
ステップS301の後、CPU100は、当該エラーの発生を報知する(ステップS302)。この報知は、例えばディスプレイ25に硬貨詰りが発生した旨のメッセージと、発生したエラーのエラーコードとを表示することで行う。このエラーコードは、エラーファイルFにおいて、硬貨詰りが検出された詰り検出処理の対象である上流側センサと下流側センサの組み合わせを示す発生区間データを含むレコードに記述されたエラーコードである。
【0069】
ステップS302の後、CPU100は、当該エラーのエラーコードをPOS端末200に送信する(ステップS303)。
【0070】
POS端末200がエラーコードを硬貨入出金装置1から受信したとき、CPU201は、当該エラーの発生を報知する(ステップS401)。この報知は、例えばディスプレイ208に硬貨詰りが発生した旨のメッセージと、発生したエラーのエラーコードとを表示することで行う。
【0071】
ステップS401の後、CPU201は、当該エラーを解除するためのガイダンスを開始する(ステップS402)。具体的には、CPU201は、硬貨入出金装置1から受信したエラーコードに対応するエラーを解除するための手順を示す画像データをガイダンスデータベースDBから読み出し、読み出した画像データに基づく画像をディスプレイ208に表示する。
【0072】
ステップS303の後、CPU100は、引出センサ137からの出力に基づき、本体ユニット2がハウジングケース3から引き出されたか否かを判定する(ステップS304)。CPU100は、この判定を本体ユニット2が引き出されるまで繰り返す(ステップS304のNo)。この間にユーザは、搬送路に詰まった硬貨を所定の手順で取り除く。
【0073】
本体ユニット2が引き出された後(ステップS304のYes)、CPU100は、引出センサ137からの出力に基づき、本体ユニット2がハウジングケース3に収納されたか否かを判定する(ステップS305)。CPU100は、この判定を本体ユニット2が収納されるまで繰り返す(ステップS305のNo)。やがてユーザが本体ユニット2をハウジングケース3に収納すると(ステップS305のYes)、CPU100は、イニシャル処理を実行する(ステップS306)。イニシャル処理において、CPU100は、各モータ110〜112を一定時間だけ駆動するとともに、投入センサ131、搬送路センサ132,133、カウントセンサ134a〜134f、払出センサ135a〜135f、及び、受皿センサ136の出力を監視する。
【0074】
ステップS306の後、CPU100は、各センサが硬貨を検出したか否かを判定する(ステップS307)。各センサが硬貨を検知していない場合(ステップS307のYes)、CPU100は、エラーの解消をPOS端末200に通知する(ステップS308)。ステップS308を以ってエラー処理が終了し、硬貨入出金装置1はエラーから復帰する。
【0075】
一方、イニシャル処理において各センサの少なくとも1つが硬貨を検知している場合には(ステップS307のNo)、硬貨の入出金が不正確となる可能性がある。したがってCPU100は、例えばディスプレイ25にメッセージを表示するなどしてイニシャル処理のエラーを報知し、ステップS304に戻る。ユーザは、再び本体ユニット2をハウジングケース3から引き出して当該エラーに対処する。
【0076】
ステップS402の後、CPU201は、エラーが解消したか否かを判定する(ステップS403)。CPU201は、硬貨入出金装置1からエラーの解消が通知されるまでこの判定を繰り返す(ステップS403のNo)。硬貨入出金装置1からエラーの解消が通知された場合(ステップS403のYes)、CPU100は、ステップS402にてディスプレイ208に表示した画像を消去することで、ガイダンスを終了する(ステップS404)。ステップS404を以ってCPU201の動作は終了し、POS端末200はエラーから復帰する。
【0077】
なお、ステップS301におけるCPU100の動作は、搬送機構が貨幣を搬送している際に貨幣詰りが検出されたことに応じて搬送機構を停止させる第1の停止手段を構成する。また、ステップS302におけるCPU100の動作は、エラーの発生を報知する報知手段を構成する。
【0078】
[トレーニングモード]
トレーニングモードにおいて、硬貨入出金装置1は、通常モードと同じく、決済における硬貨の入出金に係る処理、詰り検出処理、及びエラー処理を実行する。これらの処理に加え、硬貨入出金装置1は、硬貨詰りを疑似的に発生させる疑似エラー処理を実行する。
【0079】
疑似エラー処理において、CPU100は、ROM101に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図9のフローチャートに沿って動作する。
【0080】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU100は、発生させるべき硬貨詰りのエラーコードを選定する(ステップS501)。例えばCPU100は、ユーザによる操作部26の操作に従ってエラーコードを選定する。但し、CPU100は、ユーザの操作を介さずに、例えばエラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードの中からランダムにエラーコードを選定してもよい。
【0081】
ステップS501の後、CPU100は、搬送路において硬貨詰りを疑似的に発生させる位置を決定する(ステップS502)。具体的には、CPU100は、ステップS501にて選定したエラーコードが書き込まれたレコードをエラーファイルFから検索し、該当するレコードに書き込まれた発生区間データにて示される発生区間を当該位置として決定する。
【0082】
ステップS502の後、CPU100は、例えばディスプレイ25にメッセージを表示することにより、動作モードがトレーニングモードであることを報知する(ステップS503)。
【0083】
ステップS503の後、CPU100は、疑似的な硬貨詰りの発生タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS504)。発生タイミングは、ステップS502にて決定した位置に硬貨が到達するタイミングである。
【0084】
CPU100は、発生タイミングが到来するまでこの判定を繰り返す(ステップS504のNo)。この間、ユーザは、POS端末200及びその周辺機器の操作をトレーニングする。例えばこのトレーニングにおいて、ユーザは、実際の決済と同様の手順により、スキャナ装置230による商品識別コードの入力から預かり金額の硬貨入出金装置1及び紙幣入出金装置220への入金までを体験する。入金時及び出金時において、入金ベルト30、搬送機構60、或いは払出ベルト42が硬貨を搬送している際に、ステップS502にて決定した位置(発生区間)における上流側センサが当該硬貨を検知したならば、CPU100は発生タイミングが到来したと判定する(ステップS504のYes)。
【0085】
このとき、CPU100は、投入モータ110、搬送モータ111、及び払出モータ112のうち動作中のモータを停止する(ステップS505)。厳密には、モータ停止のタイミングは、ステップS502にて決定した位置(発生区間)における上流側センサが硬貨を検知した後、当該位置における下流側センサが当該硬貨を検知するまでの間に設定する。ステップS505を以って、CPU100は、疑似エラー処理を終了する。
【0086】
CPU100は、ステップS505にてモータを停止させた後も、継続して詰り検出処理を実行する。したがって、ステップS502にて決定した位置の上流側センサと下流側センサを対象とした詰り検出処理にて待ち時間がタイムアウトする。このようにして、疑似的な硬貨詰りが発生する。待ち時間がタイムアウトしたとき、CPU100は、通常モードにおける動作時と同様に、
図8のフローチャートに示すエラー処理を実行する。
【0087】
なお、ステップS505におけるCPU100の動作は、搬送機構が貨幣を搬送している際に、貨幣詰りが検出されていない状態で搬送機構を停止させる第2の停止手段を構成する。また、ステップS502におけるCPU100の動作は、硬貨の停止位置を設定する位置設定手段を構成する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る硬貨入出金装置1は、硬貨詰りが発生していない状態で、搬送路の所定位置に硬貨を停止することにより、疑似的な硬貨詰りを発生する。この疑似的な硬貨詰りにより、ユーザに硬貨詰りに係るエラーへの対処方法を学ぶ機会を提供できる。
【0089】
さらに、硬貨入出金装置1に様々な種類の疑似的な硬貨詰りを発生させることにより、硬貨入出金装置1に接続される上位機器のアプリケーションの動作確認などを簡単に行うことができる。
【0090】
また、モード設定処理により、ユーザは硬貨入出金装置1の動作モードを通常モードとトレーニングモードとの間で任意に切り替えることができる。
【0091】
また、疑似エラー処理において、ユーザは硬貨詰りを疑似的に発生させる位置を任意に選択することができる。
【0092】
また、硬貨の搬送を停止させることを以ってエラーを疑似的に発生させるため、硬貨入出金装置1が実行する詰り検出処理やエラー処理のプログラムを変更する必要がない。さらには、POS端末200のプログラムを変更する必要もない。
【0093】
これらの他にも、本実施形態に開示された構成からは種々の好適な効果が得られる。
【0094】
(第2の実施形態)
第2の実施形態につき、
図10を用いて説明する。
本実施形態では、疑似エラー処理において硬貨入出金装置1が自動的に各種別の硬貨詰りを順次発生する構成を開示する。疑似エラー処理を除く構成は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
本実施形態に係る疑似エラー処理において、CPU100は、ROM101に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図10のフローチャートに沿って動作する。
【0096】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU100は、エラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードのうち未実施の硬貨詰りに対応するエラーコードの中からいずれか1つを選定する(ステップS601)。このときCPU100は、エラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードのうち未実施の硬貨詰りに対応するエラーコードの中からいずれか1つをランダムに選定してもよいし、予め定められた順序に従って選定してもよい。
【0097】
ステップS601の後、CPU100は、ステップS502と同様に、搬送路において硬貨詰りを疑似的に発生させる位置を決定する(ステップS602)。
【0098】
ステップS602の後、CPU100は、ステップS503と同様に、動作モードがトレーニングモードであることを報知する(ステップS603)。
【0099】
ステップS603の後、CPU100は、ステップS504と同様に、疑似的な硬貨詰りの発生タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS604)。CPU100は、発生タイミングが到来するまでこの判定を繰り返す(ステップS604のNo)。
【0100】
発生タイミングが到来したき(ステップS604のYes)、CPU100は、ステップS505と同様に、投入モータ110、搬送モータ111、及び払出モータ112のうち動作中のモータを停止する(ステップS605)。
【0101】
ステップS605の後、CPU100は、エラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードの全てについてステップS602〜S605の実行が完了したか否かを判定する(ステップS606)。完了していないならば(ステップS606のNo)、CPU100の動作はステップS602に戻る。完了したならば(ステップS606のYes)、CPU100は疑似エラー処理を終了する。
【0102】
以上のような疑似エラー処理によれば、トレーニングモードにおいて、各種別の硬貨詰りを順次発生させることができる。したがって、ユーザは、各種別の硬貨詰りへの対処を体験することができる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0103】
(第3の実施形態)
第3の実施形態につき、
図11及び
図12を用いて説明する。
本実施形態では、POS端末200にもトレーニングモードに関する動作を実行させる。以下の説明においては第1,第2の実施形態との相違点にのみ着目し、第1,第2の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0104】
本実施形態では、POS端末200がモード設定処理を実行する。POS端末200のCPU201は、ユーザがキーボード207を操作するなどして動作モードの切り替えの実行を指示したことに応じて、モード設定処理を開始する。モード設定処理においてCPU201は、ROM202に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、
図11のフローチャートに沿って動作する。
【0105】
当該フローチャートにおいて、先ずCPU201は、硬貨入出金装置1の動作モードを選択するためのモード選択画面をディスプレイ208に表示する(ステップS701)。
ユーザは、モード選択画面への接触操作或いはキーボード207の操作により、動作モードとトレーニングモードのいずれかを選択することができる。
【0106】
ステップS701の後、CPU201は、モードが選択されたか否かを判定する(ステップS702)。CPU201は、この判定をモードが選択されるまで繰り返す(ステップS702のNo)。ユーザがモードを選択したならば(ステップS702のYes)、CPU201は、選択されたモードが通常モードとトレーニングモードのいずれであるかを判定する(ステップS703)。
【0107】
通常モードが選択された場合(ステップS703の“通常”)、CPU201は、硬貨入出金装置1に通常モードへの設定を指示するコマンドを送信する(ステップS704)。このコマンドを受信したとき、硬貨入出金装置1は、動作モードを通常モードに設定する。ステップS704を以ってCPU201はモード設定処理を終了する。
【0108】
一方、トレーニングモードが選択された場合(ステップS703の“トレーニング”)、CPU201は、硬貨入出金装置1にトレーニングモードへの設定を指示するコマンドを送信する(ステップS705)。このコマンドを受信したとき、硬貨入出金装置1は、動作モードをトレーニングモードに設定する。
【0109】
ステップS705の後、CPU201は、エラー設定画面をディスプレイ208に表示する(ステップS706)。
図12は、エラー設定画面が表示されたディスプレイ208を示す模式図である。同図に示すエラー設定画面300は、選択エリア310と設定完了ボタン320とを含む。選択エリア310は、硬貨入出金装置1に発生させるべき硬貨詰りエラーをユーザに選択させるためのエリアである。特に本実施形態における選択エリア310は、エラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードC1,C2,C3・・・及び「全実施」の中から1つを選択するためのラジオボタン311を含む。「全実施」は、全てのエラーコードに対応するエラーを選択するためのラジオボタンである。ラジオボタン311や設定完了ボタン320は、ディスプレイ208が備えるタッチパネル或いはキーボード207を介して操作できる。なお、モード選択画面においてトレーニングモードが選択された後、CPU201は、ディスプレイ208にモードエリア400を表示する。モードエリア400は、硬貨入出金装置1がトレーニングモードに設定中であることをユーザに報知するためのエリアである。ディスプレイ208は、決済に係る処理の実行時などにおいても、モードエリア400を継続して表示する。
【0110】
ステップS706の後、CPU201は、エラー設定画面300による設定が完了したか否かを判定する(ステップS707)。CPU201は、ユーザが設定完了ボタン320を操作するまでこの判定を継続する(ステップS707のNo)。
【0111】
ユーザが設定完了ボタン320を操作したとき(ステップS707のYes)、CPU201は、エラーコードC1,C2,C3・・・のラジオボタン311により個別にエラーが選択されているか、或いは「全実施」のラジオボタン311により全てのエラーが選択されているかを判定する(ステップS708)。個別に選択されている場合(ステップS708のYes)、CPU201は、当該選択されたエラーに対応するエラーコードを硬貨入出金装置1に送信する(ステップS709)。一方、全てのエラーが選択されている場合(ステップS708のNo)、CPU201は、硬貨入出金装置1に全実施コマンドを送信する(ステップS710)。ステップS709或いはステップS710を以って、CPU201はモード設定処理を終了する。
【0112】
ステップS709にて送信されたエラーコードを受信したとき、硬貨入出金装置1のCPU100は、
図9に示した疑似エラー処理を実行する。この疑似エラー処理のステップS501において、CPU100は、発生させるべき硬貨詰りのエラーコードとして当該受信したエラーコードを選定する。すなわち、硬貨入出金装置1は、エラー設定画面300にて選択されたエラーコードに対応する硬貨詰りを、その発生タイミングの到来とともに発生させる。
【0113】
一方、ステップS710にて送信された全実施コマンドを受信したとき、硬貨入出金装置1のCPU100は、
図10に示した疑似エラー処理を実行する。すなわち、硬貨入出金装置1は、エラーファイルFの各レコードに書き込まれたエラーコードに対応する硬貨詰りを、それらの発生タイミングの到来とともに順次発生させる。
【0114】
以上説明したように、POS端末200から硬貨入出金装置1の動作モードの設定や、発生させるべき硬貨詰りの設定を行うようにしても、第1,第2の実施形態と同様にユーザに硬貨詰りに係るエラーへの対処方法を学ぶ機会を提供できることなどに変わりはない。
【0115】
(変形例)
第1〜第3の実施形態にて開示した構成は、種々の変形実施が可能である。
【0116】
例えば、第1〜第3の実施形態においては貨幣処理装置の一例として硬貨入出金装置1を開示した。しかしながら、貨幣処理装置は、硬貨を入金する機能或いは硬貨を出金する機能のいずれか一方のみを備える装置であってもよい。
【0117】
また、貨幣処理装置は、紙幣を入金する機能、紙幣を出金する機能、或いはこれら双方の機能を備える装置であってもよい。このように貨幣入出金装置を紙幣に関する装置とする場合にも、第1〜第3の実施形態にて開示した技術を適用できる。すなわち、同装置内部の紙幣の搬送路において紙幣が搬送されている途中で当該紙幣の搬送を停止することにより、当該搬送路において紙幣詰りを疑似的に発生させることができる。
【0118】
また、貨幣処理装置は、POS端末に接続されるものに限られない。貨幣処理装置は、例えばATMや自動販売機に内蔵される貨幣入出金装置であってもよい。
【0119】
硬貨入出金装置1に加え、決済処理をユーザに体験させるためのトレーニングモードをPOS端末200に設けてもよい。この場合において、POS端末200がトレーニングモードに設定され、かつ硬貨入出金装置1がトレーニングモードに設定されている場合に限り、硬貨入出金装置1が疑似的な硬貨詰りを発生するようにしてもよい。
【0120】
第1〜第3の実施形態では、
図6〜
図10のフローチャートに示す動作に関る処理を実現させるためのコンピュータプログラムを硬貨入出金装置1のROM101が予め記憶し、
図8及び
図11のフローチャートに示す動作に関る処理を実現させるためのコンピュータプログラムをPOS端末200のROM202が予め記憶するとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから硬貨入出金装置1及びPOS端末200にダウンロードされてもよい。或いは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、硬貨入出金装置1及びPOS端末200にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、硬貨入出金装置1及びPOS端末200のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の
基礎となる特願2013−039812の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 貨幣を収納する収納部と、
貨幣の投入口と前記収納部、或いは貨幣の排出口と前記収納部とを繋ぐ搬送路と、
前記搬送路に沿って貨幣を搬送する搬送機構と、
前記搬送路における貨幣詰りを検出する検出手段と、
前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出したことに応じて前記搬送機構を停止させる第1の停止手段と、
前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出していない状態で前記搬送機構を停止させる第2の停止手段と、
を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
[2] 当該貨幣処理装置の動作モードを貨幣詰りへの対処をトレーニングするトレーニングモードに設定するモード設定手段をさらに備え、
前記第2の停止手段は、前記動作モードが前記トレーニングモードに設定されているとき、前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出していない状態で前記搬送機構を停止させる、
ことを特徴とする[1]に記載の貨幣処理装置。
[3] 前記第1の停止手段が前記搬送機構を停止させた場合、及び、前記第2の停止手段が前記搬送機構を停止させた場合に、エラーの発生を報知する報知手段、
をさらに備えることを特徴とする[1]又は[2]に記載の貨幣処理装置。
[4] 貨幣の停止位置を設定する位置設定手段をさらに備え、
前記第2の停止手段は、前記位置設定手段が設定した停止位置で貨幣が停止するように前記搬送機構を停止させる、
ことを特徴とする[1]乃至[3]のうちいずれか1に記載の貨幣処理装置。
[5] 前記搬送路に沿って搬送される貨幣を前記搬送路の所定位置で検出するセンサを複数備え、
前記検出手段は、いずれかの前記センサが貨幣を検出した後、所定時間が経過するまでに、貨幣の搬送方向において当該センサの下流側に配置された他の前記センサが当該貨幣を検出しないことを以って貨幣詰りを検出する、
ことを特徴とする[1]乃至[4]のうちいずれか1に記載の貨幣処理装置。
[6] 貨幣を収納する収納部と、貨幣の投入口と前記収納部、或いは貨幣の排出口と前記収納部とを繋ぐ搬送路と、前記搬送路に沿って貨幣を搬送する搬送機構と、前記搬送路における貨幣詰りを検出する検出手段と、を備える貨幣処理装置を、
前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出したことに応じて前記搬送機構を停止させる第1の停止手段、及び、
前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出していない状態で前記搬送機構を停止させる第2の停止手段、
として機能させるためのプログラム。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[7] 貨幣を収納する収納部と、
貨幣の投入口と前記収納部、或いは貨幣の排出口と前記収納部とを繋ぐ搬送路と、
前記搬送路に沿って貨幣を搬送する搬送機構と、
前記搬送路における貨幣詰りを検出する検出手段と、
動作モードを貨幣詰りへの対処をトレーニングするトレーニングモードに設定するモード設定手段と、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定しているか否かに拘わらずに、前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出したことに応じて前記搬送機構を停止させる第1の停止手段と、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定している場合、前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出していない状態で前記搬送機構を停止させる第2の停止手段と、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定しているか否かに拘わらずに、前記検出手段により貨幣詰りが検出された場合にその旨を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
[8] 貨幣の停止位置を設定する位置設定手段をさらに備え、
前記第2の停止手段は、前記位置設定手段が設定した停止位置で貨幣が停止するように前記搬送機構を停止させる、
ことを特徴とする[7]に記載の貨幣処理装置。
[9] 前記位置設定手段は、ユーザによる操作に従って前記停止位置を設定する、
ことを特徴とする[8]に記載の貨幣処理装置。
[10] 前記位置設定手段は、予め定められた複数のエラーコードを順次に1つずつ選択し、当該選択したエラーコードに応じた位置を前記停止位置に設定する、
ことを特徴とする[8]に記載の貨幣処理装置。
[11] 前記搬送路に沿って搬送される貨幣を前記搬送路の所定位置で検出するセンサを複数備え、
前記検出手段は、いずれかの前記センサが貨幣を検出した後、所定時間が経過するまでに、貨幣の搬送方向において当該センサの下流側に配置された他の前記センサが当該貨幣を検出しないことを以って貨幣詰りを検出する、
ことを特徴とする[7]乃至[10]のうちいずれか1に記載の貨幣処理装置。
[12] 貨幣を収納する収納部と、貨幣の投入口と前記収納部、或いは貨幣の排出口と前記収納部とを繋ぐ搬送路と、前記搬送路に沿って貨幣を搬送する搬送機構と、前記搬送路における貨幣詰りを検出する検出手段と、を備える貨幣処理装置を制御するプロセッサを、
動作モードを貨幣詰りへの対処をトレーニングするトレーニングモードに設定するモード設定手段と、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定しているか否かに拘わらずに、前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出したことに応じて前記搬送機構を停止させる第1の停止手段、及び、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定している場合、前記搬送機構が貨幣を搬送している際に、前記検出手段が貨幣詰りを検出していない状態で前記搬送機構を停止させる第2の停止手段、
前記モード設定手段が前記トレーニングモードを設定しているか否かに拘わらずに、前記検出手段により貨幣詰りが検出された場合にその旨を報知する報知手段と、
として機能させるためのプログラム。