(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜7に記載されたPSFの輝度分布は、縁の無い正方形状の同一サイズの画素から成るものであって、その輝度分布は中心が最も明るい2次元正規分布であり、そのサイズが5x5画素である事に特徴が有るTV映像向け加速超解像処理方法。
請求項1〜5、8〜10に記載されたTV映像向け加速超解像処理方法に従い、1フレーム分のTV映像信号に含まれるフレームから光学的劣化を低減して劣化前の1フレーム分のTV映像信号を復元するTV映像向け加速超解像処理装置であって、
(W1)最大反復演算回数を設定する手段と、
(W2)前記TV映像を見ながら前記TV映像の劣化状況に適した劣化示数を指定する劣化示数指定手段と、
(W3)前記劣化示数に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布及びこの系から成り反復演算回数に紐づいて整理された1連のPSFの輝度分布を準備するPSF準備手段と、
(W4)1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号から準備する劣化画像準備手段と、
(W5)前記劣化画像の輝度分布を復元画像初期値の推定輝度分布と成す復元画像初期値準備手段と、
(W6)前記1連のPSFの輝度分布は互いに同じ画像サイズであり、この画像サイズをPSFサイズと呼ぶ時、このPSFサイズを求めるPSFサイズ取得手段と、
(W7)反復演算回数を計数するカウンターに1を設定する第1リセット手段と、
(W8)前記復元画像初期値の推定輝度分布を複写してこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布と成し更に前記補正復元画像初期値の推定輝度分布をPSFサイズを基にして補正する第1復元画像初期値補正手段と、
(W9)前記1連のPSFの輝度分布から前記カウンターの値に紐づいた1つを選択してこれをPSFの輝度分布と成すPSF選定手段と、
(W10)前記補正復元画像初期値の推定輝度分布に前記PSFの輝度分布を畳込み第13の関数を得る手段と、
(W11)前記第13の関数を反転して第14の関数を得る手段と、
(W12)前記第14の関数に前記劣化画像の輝度分布を掛け合わせて第15の関数を得る手段と、
(W13)前記第15の関数を前記復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る手段と、
(W14)前記カウンターに1を加算する手段と、
(W15)前記カウンターの値が前記最大反復演算回数以上であるという仮説を検証し、もしも、検証結果が偽であれば(W16)の手段へ進むが、前記検証結果が真であれば、手段(W18)へ進む手段と、
(W16)前記復元画像の推定輝度分布を前記復元画像初期値の推定輝度分布と入れ替える手段と、
(W17)(W8)の手段へ戻る手段と、
(W18)前記復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する手段と、
(W19)前記(W1)〜(W7)の手段から構成される準備手段と、
(W20)前記(W8)〜(W18)の手段から構成される第1画像復元手段と
を備え、
(W21)前記準備手段W19及び前記第1画像復元手段W20において、手段のWの添え数字が小さい順に順番通りに実行する事により前記最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤復元画像の輝度分布を出力する第1加速超解像処理手段と、
(W22)前記最尤復元画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号と成しこれを超解像TV映像信号として出力するTV映像化手段と
を備える事に特徴が有るTV映像向け加速超解像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1〜4および非特許文献1に記載されたいずれの方法でも、光学的なボケや滲みといった劣化情報を含む1フレームだけの情報に基づきTV映像を超解像処理することはできないという問題があった。
【0011】
この問題を解決するために、本発明者が発明した画像復元技術(特許文献1〜2)の演算対象を複素数から実数へ替え更にFPGAを用いてハードウエア化する事により改良し、略実時間処理を可能とするTV映像向け超解像処理方法及びTV映像向け超解像処理装置を発明し特許出願したが、このTV映像向け超解像処理装置は、FPGA化及びLSI(Large Scale Integrated circuit)化した際のゲート数が150万ゲートと大規模でコストが高く実装面積が大きいという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、これら上記の問題を解決し、TV映像を超解像処理するためのTV映像の加速超解像処理方法及び同方法によるTV映像向け加速超解像処理装置並びに第1〜6加速超解像処理プログラムそして第1〜2記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明においては、本発明者が新たに発明した加速アルゴリズムを用いるTV映像の加速超解像処理方法及び同方法によるTV映像向け加速超解像処理装置、第1〜6加速超解像処理プログラム、並びに第1〜2記憶媒体を提供する。この加速アルゴリズムは反復演算を加速度的に行うために反復演算回数が数回で済み、本発明者が発明し現在出願中のTV映像向け超解像処理方法で用いたアルゴリズムに比べて、処理工程数を大幅に低減する事が可能と成る。
【0014】
本発明による第1の発明は、1フレーム分のTV映像信号に含まれるフレームから光学的劣化を低減して劣化前の1フレーム分のTV映像信号を復元するTV映像向け加速超解像処理方法に関する。本発明による第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法は、(S1)最大反復演算回数を設定する工程と、(S2)TV映像を見ながらTV映像の劣化状況に適した劣化示数を指定する劣化示数指定工程と、(S3)劣化示数に紐づいた第1番目のPSF(Point Spread Function)の輝度分布及びこの系から成り反復演算回数に紐づいて整理された1連のPSFの輝度分布を準備するPSF準備工程と、(S4)1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号から準備する劣化画像準備工程と、(S5)劣化画像の輝度分布を復元画像初期値の推定輝度分布と成す復元画像初期値準備工程と、(S6)1連のPSFの輝度分布は互いに同じ画像サイズであり、この画像サイズをPSFサイズと呼ぶ時、このPSFサイズを求めるPSFサイズ取得工程と、(S7)反復演算回数を計数するカウンターに1を設定する第1リセット工程と、(S8)復元画像初期値の推定輝度分布を複写してこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布と成し更に補正復元画像初期値の推定輝度分布をPSFサイズを基にして補正する第1復元画像初期値補正工程と、(S9)1連のPSFの輝度分布からカウンターの値に紐づいた1つを選択してこれをPSFの輝度分布と成すPSF選定工程と、(S10)補正復元画像初期値の推定輝度分布にPSFの輝度分布を畳込み第1の関数を得る工程と、(S11)第1の関数を反転して第2の関数を得る工程と、(S12)第2の関数に劣化画像の輝度分布を掛け合わせて第3の関数を得る工程と、(S13)第3の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る工程と、(S14)カウンターに1を加算する工程と、(S15)カウンターの値が最大反復演算回数以上であるという仮説を検証し、もしも、検証結果が偽であれば(S16)の工程へ進むが、検証結果が真であれば、工程(S18)へ進む工程と、(S16)復元画像の推定輝度分布を復元画像初期値の推定輝度分布と入れ替える工程と、(S17)(S8)の工程へ戻る工程と、(S18)復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する工程と、(S19)(S1)〜(S7)の工程から構成される準備工程と、(S20)(S8)〜(S18)の工程から構成される第1画像復元工程を備え、(S21)準備工程S19及び第1画像復元工程S20において、各工程のSの添え数字が小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤復元画像の輝度分布を出力する第1加速超解像処理工程と、(S22)最尤復元画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号と成しこれを超解像TV映像信号として出力するTV映像化工程とを備える事に特徴が有る。この第1の発明は、請求項1に記載されたものと同じものである。
【0015】
本発明による第2の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成するPSF準備工程の第2の態様に関し、このPSF準備工程の第2の態様は、(S30)劣化示数を検索情報として、劣化示数に対してPSFの輝度分布を1対1で紐づけて整理して作成されたPSFデータベースを検索し、ヒットしたPSFの輝度分布を第1番目のPSFの輝度分布と成す工程と、(S31)数を計数する第2カウンターに1を入力してリセットする工程と、(S32)第1番目のPSFの輝度分布をPSF初期値の輝度分布と成す工程と、(S33)第2カウンターに1を加算する工程と、(S34)第2カウンターの値が最大反復演算回数を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(S35)の工程へ進み、もしも検証結果が真で有れば(S38)の工程へジャンプする工程と、(S35)PSF初期値の輝度分布をPSF復元工程により復元する事により最尤復元PSFの輝度分布を得る工程と、(S36)第2カウンターの値をnとする時、最尤復元PSFの輝度分布を第n番目のPSFの輝度分布と成す工程と、(S37)(S33)の工程へ戻る工程と、(S38)前記最大反復演算回数をn_maxとし、更に前記n_max未満の自然数をnとする時、前記第1番目のPSFの輝度分布から前記n_max番目のPSFの輝度分布までをこの順番で連ねて1連のPSFの輝度分布とし、この1連のPSFの輝度分布に前記劣化示数をラベルとして付け、前記劣化示数に紐づいた前記1連のPSFの輝度分布と成す工程とから構成される事に特徴が有る。この第2の発明は、請求項2に記載されたものと同じものである。
【0016】
本発明による第3の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成するPSF準備工程の第3の態様に関し、このPSF準備工程の第3の態様は、(S40)最大反復演算回数を5に設定する工程と、(S41)PSFデータベース内の全ての劣化示数とこれに紐づいたPSFの輝度分布のペア全てに対して事前にPSF準備工程を実行して、劣化示数毎に1連のPSFの輝度分布を得、これ等の劣化示数毎の1連のPSFの輝度分布を編集する事によって、劣化示数に対して1連のPSFの輝度分布を紐づけて整理した拡大PSFデータベースを準備する工程と、(S42)劣化示数を用いて拡大PSFデータベースを検索しヒットした1連のPSFの輝度分布を取得しこれを出力する工程とから構成される事に特徴が有る。この第3の発明は、請求項3に記載されたものと同じものである。
【0017】
本発明による第4の発明は、第2の発明であるPSF準備工程の第2の態様を構成するPSF復元工程に関し、このPSF復元工程は、(S50)最大反復演算回数に6を代入する工程と、(S51)PSF初期値の輝度分布を劣化した画像の輝度分布と捉え劣化PSFの輝度分布と成す工程と、(S52)PSF初期値の輝度分布を復元PSF初期値の推定輝度分布と成す工程と、(S53)カウンターに1を代入してリセットする工程と、(S54)復元PSF初期値の推定輝度分布20を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21と成し更にPSF初期値の輝度分布15を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21に畳込み演算する際に補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の周辺部に発生する演算困難領域を、PSF初期値の輝度分布15の画像サイズを基にして計算し、上辺境界に関する演算困難領域の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の上辺境界の外側に上辺境界に対してミラー対称に成る様に配置する様にペーストし、同様にして右回りに右辺次に下辺最後に左辺に関して行い、補正復元PSF初期値の推定輝度分布21を補正する復元PSF初期値補正工程と、(S55)PSF初期値の輝度分布を補正復元PSF初期値の推定輝度分布に畳込み第4の関数を得る工程と、(S56)第4の関数を反転して第5の関数を得る工程と、(S57)第5の関数を劣化PSFの輝度分布に掛け合わせて第6の関数を得る工程と、(S58)第6の関数を復元PSF初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元PSFの推定輝度分布を得る工程と、(S59)カウンターに1を加算する工程と、(S60)カウンターの値が最大反復演算回数を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(S61)の工程へ進み、もしも検証結果が真で有れば、(S63)の工程へジャンプする工程と、(S61)復元PSFの推定輝度分布を復元PSF初期値の推定輝度分布と入れ替える工程と、(S62)(S54)の工程へジャンプする工程と、(S63)復元PSFの推定輝度分布を最尤復元PSFの輝度分布として出力する工程とを備える事に特徴が有る。この第4の発明は、請求項4に記載されたものと同じものである。
【0018】
本発明による第5の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する第1復元画像初期値補正工程に関し、この第1復元画像初期値補正工程は、(S70)復元画像初期値の推定輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布と成す工程と、(S71)PSFサイズを基に1連のPSFの輝度分布の内いずれか1つを補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み演算する際に補正復元画像初期値の推定輝度分布の周辺部に発生する演算困難領域を計算する工程と、(S72)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元画像初期値の推定輝度分布の4辺に対してミラー対称に成る様にそれぞれ反転させ更に補正復元画像初期値の推定輝度分布の4辺の境界の外側に配置する様にペーストして補正する工程と、(S73)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の左上隅部の画素をコピーし、このコピーした左上隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の左上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程と、(S74)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の右上隅部の画素をコピーし、このコピーした右上隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の右上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程と、(S75)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の左下隅部の画素をコピーし、このコピーした左下隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の左下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程と、(S76)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の右下隅部の画素をコピーし、このコピーした右下隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の右下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程とを備える事に特徴が有る。この第5の発明は、請求項5に記載されたものと同じものである。
【0019】
本発明による第6の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する第1画像復元工程の第2の態様に関し、この第1画像復元工程の第2の態様は、(S80)最大反復演算回数をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、1連のPSFの輝度分布うち、第n番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布として第n段目の第1単分画像復元工程に提供するPSF提供工程と、(S81)PSFの輝度分布、復元画像初期値の推定輝度分布及び劣化画像の輝度分布から、Bayse確率論的数式に基づく反復演算の内の1回分に相当する演算を行い、劣化画像の輝度分布に最も尤らしい復元画像の推定輝度分布を求めこれを出力する第1単分画像復元工程とを備え、この第1単分画像復元工程S81は、(S82)PSFサイズに基づき復元画像初期値の推定輝度分布を補正して補正復元画像初期値の推定輝度分布を求める第1復元画像初期値補正工程と同じ処理手順から成る第2復元画像初期値補正工程と、(S83)PSFの輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み第7の関数を得る工程と、(S84)第7の関数を反転して第8の関数を得る工程と、(S85)第8の関数を劣化画像の輝度分布に掛け合わせて第9の関数を得る工程と、(S86)第9の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る工程と、(S87)復元画像の推定輝度分布を出力する工程とを備え、(S88)第n段目の第1単分画像復元工程S81−nの(S87)の工程の出力を第(n+1)段目の第1単分画像復元工程S81−(n+1)の(S82)の工程に接続する事により構成されるn_max段の直列連結体から成る第2画像復元工程であり、この第2画像復元工程S88において、直列接続された第1単分画像復元工程S81の数であるn_max回の反復演算を行い、n_max段目の第1単分画像復元工程S81−n_maxから出力される復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する事に特徴が有る。この第6の発明は、請求項6に記載されたものと同じものである。
【0020】
本発明による第7の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する第1画像復元工程の第3の態様に関し、この第1画像復元工程の第3の態様は、(S90)カウンターに0を代入する事によりリセットする工程と、(S91)第2カウンターに1を代入する事によりリセットする工程と、(S92)カウンターの値が0以外であるという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(S93)の工程へ進み、もしも検証結果が真であれば(S96)の工程へジャンプする工程と、(S93)劣化画像の輝度分布を劣化画像保存用バッファー及び復元画像初期値用バッファーに転送する工程と、(S94)(S96)の工程へジャンプする工程と、(S95)(S102)の工程の復元画像の推定輝度分布を復元画像初期値用バッファーに転送する工程と、(S96)第2カウンターの値をmとする時、1連のPSFの輝度分布内の第m番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布と成す工程と、(S97)復元画像初期値用バッファーから復元画像初期値の推定輝度分布を読込む工程と、(S98)PSFサイズに基づき復元画像初期値の推定輝度分布を補正しこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布と成す第1復元画像初期値補正工程と同じ処理手順から成る第3復元画像初期値補正工程と、(S99)PSFの輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み第10の関数を得る工程と、(S100)第10の関数を反転して第11の関数を得る工程と、(S101)劣化画像の輝度分布を劣化画像保存用バッファーから読込これに第11の関数を掛け合わせて第12の関数を得る工程と、(S102)第12の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る工程と、(S103)カウンターに1を加算する工程と、(S104)第2カウンターに1を加算する工程と、(S105)カウンターの値が最大反復演算回数を超えているという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(S95)の工程へジャンプし、もしも検証結果が真であれば(S106)の工程へ進む工程と、(S106)復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する工程とを備え、(S107)各工程のSの添え数字の小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤化された最尤復元画像を出力する第3画像復元工程である事に特徴が有る。この第7の発明は、請求項7に記載されたものと同じものである。
【0021】
本発明による第8の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する劣化画像準備工程に関し、この劣化画像準備工程は、(S110)1フレーム分のTV映像信号からフレームを構成するRGB信号を取り出すRGB信号抽出工程と、(S111)1フレーム分のTV映像信号の内、RGB信号を取り出した残りのTV映像信号を1フレーム分遅延して出力する遅延工程と、(S112)RGB信号をYUV変換してYUV信号と成すYUV変換工程と、(S113)YUV信号の内、輝度成分であるY信号のみから成る劣化画像の輝度分布を抽出してY劣化画像の輝度分布と成し、残りのU信号のみから成るU劣化画像の分布及びV信号のみから成るV劣化画像の分布を保持するY劣化画像抽出工程と、(S114)Y劣化画像の輝度分布のデガンマ処理を行い1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布と成し出力するデガンマ処理工程とを備える事に特徴が有る。この第8の発明は、請求項8に記載されたものと同じものである。
【0022】
本発明による第9の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成するTV映像化工程に関し、このTV映像化工程は、(S120)最尤復元画像の輝度分布のガンマ処理を行うガンマ処理工程と、(S121)Y劣化画像抽出工程で保持したU劣化画像の分布及びV劣化画像の分布とY成分から成るガンマ処理後の最尤復元画像の輝度分布から1枚のYUV復元画像の分布を合成する復元画像合成工程と、(S122)YUV復元画像の分布のRGB変換を行いRGB復元画像の分布と成すRGB変換工程と、(S123)RGB復元画像の分布を読み取りRGB信号を出力するRGB信号変換工程と、(S124)RGB信号を遅延工程が出力する残りのTV映像信号と合成して1フレーム分のTV映像信号から成る超解像TV映像信号と成し出力するTV映像信号合成工程とを備える事に特徴が有る。この第9の発明は、請求項9に記載されたものと同じものである。
【0023】
本発明による第10の発明は、TV映像向け加速超解像処理方法を構成する第1〜7の発明を構成するPSFの輝度分布に関し、このPSFの輝度分布は、縁の無い正方形状の同一サイズの画素から成るものであって、その輝度分布は中心が最も明るい2次元正規分布であり、そのサイズが5x5画素である事に特徴が有る。この第10の発明は、請求項10に記載されたものと同じものである。
【0024】
本発明による第11の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する準備工程及び第1画像復元工程をコンピュータに実行させるための第1加速超解像処理プログラムである。この第11の発明は、請求項11に記載されたものと同じものである。
【0025】
本発明による第12の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する準備工程及び第6の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する第2画像復元工程をコンピュータに実行させるための第2加速超解像処理プログラムである。この第12の発明は、請求項12に記載されたものと同じものである。
【0026】
本発明による第13の発明は、第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する準備工程及び第7の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法を構成する第3画像復元工程をコンピュータに実行させるための第3加速超解像処理プログラムである。この第13の発明は、請求項13に記載されたものと同じものである。
【0027】
第1加速超解像処理プログラム、第2加速超解像処理プログラム及び第3加速超解像処理プログラムは、それぞれ、コンピュータが読込んで実行可能な言語、例えば、C++、XTML、HTML及びJAVA(登録商標)を使用して記述されたものである。本発明においては、C++、XTML、HTML及びJAVA(登録商標)を使用している。
【0028】
本発明による第14の発明は、第11の発明である第1加速超解像処理プログラム、第12の発明である第2加速超解像処理プログラム及び第13の発明である第3加速超解像処理プログラムは、いずれも暗号化されたものであり、これ等暗号化された第1加速超解像処理プログラム、第2加速超解像処理プログラム及び第3加速超解像処理プログラムを記憶すると共にコンピュータに接続可能で且つコンピュータに読み込ませる事が可能な事に特徴がある第1記憶媒体である。この第14の発明は、請求項14に記載されたものと同じものである。
【0029】
本発明において、第1記憶媒体には、8Gバイト以上の容量を有し且つ暗号化記憶に対応したUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリスティックが使用可能である。その他、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)のほか、8Gバイト以上の容量を有し且つ暗号化記憶に対応したものであれば、フラッシュメモリカード、外付けHDD(Hard Disk Drive)、外付けSDD(Solidstate Disk Drive)などが使用可能である。
【0030】
本発明による第15の発明は、第1〜5、8〜10の発明から構成されるTV映像向け加速超解像処理方法に従い、1フレーム分のTV映像信号に含まれるフレームから光学的劣化を低減して劣化前の1フレーム分のTV映像信号を復元するTV映像向け加速超解像処理装置に関し、このTV映像向け加速超解像処理装置は、(W1)最大反復演算回数を設定する手段と、(W2)TV映像を見ながらTV映像の劣化状況に適した劣化示数を指定する劣化示数指定手段と、(W3)劣化示数に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布及びこの系から成り反復演算回数に紐づいて整理された1連のPSFの輝度分布を準備するPSF準備手段と、(W4)1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号から準備する劣化画像準備手段と、(W5)劣化画像の輝度分布を復元画像初期値の推定輝度分布と成す復元画像初期値準備手段と、(W6)1連のPSFの輝度分布は互いに同じ画像サイズであり、この画像サイズをPSFサイズと呼ぶ時、このPSFサイズを求めるPSFサイズ取得手段と、(W7)反復演算回数を計数するカウンターに1を設定する第1リセット手段と、(W8)復元画像初期値の推定輝度分布を複写してこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布と成し更に補正復元画像初期値の推定輝度分布をPSFサイズを基にして補正する第1復元画像初期値補正手段と、(W9)1連のPSFの輝度分布からカウンターの値に紐づいた1つを選択してこれをPSFの輝度分布と成すPSF選定手段と、(W10)補正復元画像初期値の推定輝度分布にPSFの輝度分布を畳込み第13の関数を得る手段と、(W11)第13の関数を反転して第14の関数を得る手段と、(W12)第14の関数に劣化画像の輝度分布を掛け合わせて第15の関数を得る手段と、(W13)第15の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る手段と、(W14)カウンターに1を加算する手段と、(W15)カウンターの値が最大反復演算回数以上であるという仮説を検証し、もしも、検証結果が偽であれば(W16)の手段へ進むが、検証結果が真であれば、手段(W18)へ進む手段と、(W16)復元画像の推定輝度分布を復元画像初期値の推定輝度分布と入れ替える手段と、(W17)(W8)の手段へ戻る手段と、(W18)復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する手段と、(W19)(W1)〜(W7)の手段から構成される前準備手段と、(W20)(W8)〜(W18)の手段から構成される第1画像復元手段を備え、(W21)準備手段W19及び第1画像復元手段W20において、手段のWの添え数字が小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤復元画像の輝度分布を出力する第1加速超解像処理手段と、(W22)最尤復元画像の輝度分布を1フレーム分のTV映像信号と成しこれを超解像TV映像信号として出力するTV映像化手段とを備える事に特徴が有る。この第15の発明は、請求項15に記載されたものと同じものである。
【0031】
本発明による第16の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成するPSF準備手段の第2の態様に関し、このPSF準備手段の第2の態様は、(W30)劣化示数を検索情報として、劣化示数に対してPSFの輝度分布を1対1で紐づけて整理して作成されたPSFデータベースを検索し、ヒットしたPSFの輝度分布を第1番目のPSFの輝度分布と成す手段と、(W31)数を計数する第2カウンターに1を入力してリセットする手段と、(W32)第1番目のPSFの輝度分布をPSF初期値の輝度分布と成す手段と、(W33)第2カウンターに1を加算する手段と、(W34)第2カウンターの値が最大反復演算回数を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(W35)の手段へ進み、もしも検証結果が真で有れば(W38)の手段へジャンプする手段と、(W35)PSF初期値の輝度分布をPSF復元手段により復元する事により復元PSFの輝度分布を得る手段と、(W36)第2カウンターの値をnとする時、復元PSFの輝度分布を第n番目のPSFの輝度分布と成す手段と、(W37)(W33)の手段へ戻る手段と、(W38)前記最大反復演算回数をn_maxとし、更に前記n_max未満の自然数をnとする時、前記第1番目のPSFの輝度分布から前記n_max番目の輝度分布までをこの順番で連ねて1連のPSFの輝度分布とし、この1連のPSFの輝度分布に前記劣化示数をラベルとして付け、前記劣化示数に紐づいた前記1連のPSFの輝度分布と成す手段とを備える事に特徴が有る。この第16の発明は、請求項16に記載されたものと同じものである。
【0032】
本発明による第17の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成するPSF準備手段の第3の態様に関し、このPSF準備手段の第3の態様は、(W40)最大反復演算回数を5に設定する手段と、(W41)PSFデータベース内の全ての劣化示数とこれに紐づいたPSFの輝度分布のペア全てに対して事前にPSF準備手段を実行して、劣化示数毎に1連のPSFの輝度分布を得、これ等の劣化示数毎の1連のPSFの輝度分布を編集する事によって、劣化示数に対して1連のPSFの輝度分布を紐づけて整理した拡大PSFデータベースを準備する手段と、(W42)劣化示数を用いて拡大PSFデータベースを検索しヒットした1連のPSFの輝度分布を取得する手段とを備える事に特徴が有る。この第17の発明は、請求項17に記載されたものと同じものである。
【0033】
本発明による第18の発明は、第16の発明であるPSF準備手段の第2の態様を構成するPSF復元手段に関し、このPSF復元手段は、(W50)最大反復演算回数に6を代入する手段と、(W51)PSF初期値の輝度分布を劣化した画像の輝度分布と捉え劣化PSFの輝度分布と成す手段と、(W52)PSF初期値の輝度分布を復元PSF初期値の推定輝度分布と成す手段と、(W53)カウンターに1を代入してリセットする手段と、(W54)復元PSF初期値の推定輝度分布を補正復元PSF初期値の推定輝度分布と成し、更にPSF初期値の輝度分布を補正復元PSF初期値の推定輝度分布に畳込み演算する際に補正復元PSF初期値の推定輝度分布の周辺部に発生する演算困難領域を、PSF初期値の輝度分布の画像サイズを基にして計算し、上辺境界に関する演算困難領域の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元PSF初期値の推定輝度分布の上辺境界の外側に上辺境界に対してミラー対称に成る様に配置する様にペーストし、同様にして右回りに右辺次に下辺最後に左辺に関して行い、補正復元PSF初期値の推定輝度分布を補正する復元PSF初期値補正手段と、(W55)PSF初期値の輝度分布を補正復元PSF初期値の推定輝度分布に畳込み第16の関数を得る手段と、(W56)第16の関数を反転して第17の関数を得る手段と、(W57)第17の関数を劣化PSFの輝度分布に掛け合わせて第18の関数を得る手段と、(W58)第18の関数を復元PSF初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元PSFの推定輝度分布を得る手段と、(W59)カウンターに1を加算する手段と、(W60)カウンターの値が最大反復演算回数を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(W61)の手段へ進み、もしも検証結果が真で有れば、(W63)の手段へジャンプする手段と、(W61)復元PSFの推定輝度分布を復元PSF初期値の推定輝度分布と入れ替える手段と、(W62)(W54)の手段へジャンプする手段と、(W63)復元PSFの推定輝度分布を最尤復元PSFの輝度分布として出力する手段とを備える事に特徴が有る。この第18の発明は、請求項18に記載されたものと同じものである。
【0034】
本発明による第19の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する第1復元画像初期値補正手段に関し、この第1復元画像初期値補正手段は、(W70)復元画像初期値の推定輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布と成す手段と、(W71)PSFサイズを基に1連のPSFの輝度分布の内いずれか1つを補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み演算する際に補正復元画像初期値の推定輝度分布の周辺部に発生する演算困難領域を計算する手段と、(W72)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元画像初期値の推定輝度分布の4辺に対してミラー対称に成る様にそれぞれ反転させ更に補正復元画像初期値の推定輝度分布の4辺の境界の外側に配置する様にペーストして補正する手段と、(W73)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の左上隅部の画素をコピーし、このコピーした左上隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の左上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段と、(W74)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の右上隅部の画素をコピーし、このコピーした右上隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の右上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段と、(W75)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の左下隅部の画素をコピーし、このコピーした左下隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の左下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段と、(W76)補正復元画像初期値の推定輝度分布の演算困難領域内の右下隅部の画素をコピーし、このコピーした右下隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布の右下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段とを備える事に特徴が有る。この第19の発明は、請求項19に記載されたものと同じものである。
【0035】
本発明による第20の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する第1画像復元手段の第2の態様に関し、この第1画像復元手段の第2の態様は、(W80)最大反復演算回数をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、1連のPSFの輝度分布うち、第n番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布として第n段目の第1単分画像復元手段に提供するPSF提供手段と、(W81)PSFの輝度分布、復元画像初期値の推定輝度分布及び劣化画像の輝度分布から、Bayse確率論的数式に基づく反復演算の内の1回分に相当する演算を行い、劣化画像の輝度分布に最も尤らしい復元画像の推定輝度分布を求めこれを出力する第1単分画像復元手段と、(W82)第1復元画像初期値補正手段と同じ構成から成る第2復元画像初期値補正手段により補正復元画像初期値の推定輝度分布を求める手段と、(W83)PSFの輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み第19の関数を得る手段と、(W84)第19の関数を反転して第20の関数を得る手段と、(W85)第20の関数を劣化画像の輝度分布に掛け合わせて第21の関数を得る手段と、(W86)第21の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る手段と、(W87)復元画像の推定輝度分布を出力する手段と、(W88)第n段目の第1単分画像復元手段W81−nの(W87)の手段の出力を第(n+1)段目の第1単分画像復元手段W81−(n+1)の(W82)の手段に接続する事により構成されるn_max段の直列連結体から成る第2画像復元手段とを備え、この第2画像復元手段W88において、直列接続された第1単分画像復元手段W81の数であるn_max回の反復演算を行い、n_max段目の第1単分画像復元手段W81−n_maxから出力される復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する事に特徴が有る。この第20の発明は、請求項20に記載されたものと同じものである。
【0036】
本発明による第21の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する第1画像復元手段の第3の態様に関し、この第1画像復元手段の第3の態様は、(W90)カウンターに0を代入する事によりリセットする手段と、(W91)第2カウンターに1を代入する事によりリセットする手段と、(W92)カウンターの値が0以外であるという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(W93)の手段へ進み、もしも検証結果が真であれば(W96)の手段へジャンプする手段と、(W93)劣化画像の輝度分布を劣化画像保存用バッファー及び復元画像初期値用バッファーに転送する手段と、(W94)(W96)の手段へジャンプする手段と、(W95)(W102)の手段の復元画像の推定輝度分布を復元画像初期値用バッファーに転送する手段と、(W96)第2カウンターの値をmとする時、1連のPSFの輝度分布内の第m番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布と成す手段と、(W97)復元画像初期値用バッファーから復元画像初期値の推定輝度分布を読込む手段と、(W98)復元画像初期値の推定輝度分布を補正しこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布と成す第1復元画像初期値補正手段と同じ構成から成る第3復元画像初期値補正手段と、(W99)PSFの輝度分布を補正復元画像初期値の推定輝度分布に畳込み第22の関数を得る手段と、(W100)第22の関数を反転して第23の関数を得る手段と、(W101)第23の関数を劣化画像の輝度分布に掛け合わせて第24の関数を得る手段と、(W102)第24の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布を得る手段と、(W103)カウンターに1を加算する手段と、(W104)第2カウンターに1を加算する手段と、(W105)カウンターの値が最大反復演算回数を超えているという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(W95)の手段へジャンプし、もしも検証結果が真であれば(W106)の手段へ進む手段と、(W106)復元画像の推定輝度分布を最尤復元画像の輝度分布として出力する手段とを備え、(W107)各手段のSの添え数字の小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤化された最尤復元画像を出力する第3画像復元手段である事に特徴が有る。この第21の発明は、請求項21に記載されたものと同じものである。
【0037】
本発明による第22の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する劣化画像準備手段に関し、この劣化画像準備手段は、(W110)1フレーム分のTV映像信号からフレームを構成するRGB信号を取り出すRGB信号抽出手段と、(W111)1フレーム分のTV映像信号の内、RGB信号を取り出した残りのTV映像信号を1フレーム分遅延して出力する遅延手段と、(W112)RGB信号をYUV変換してYUV信号と成すYUV変換手段と、(W113)YUV信号の内、輝度成分であるY信号のみから成る劣化画像の輝度分布を抽出してY劣化画像の輝度分布と成し、残りのU信号のみから成るU劣化画像の分布及びV信号のみから成るV劣化画像の分布を保持するY劣化画像抽出手段と、(W114)Y劣化画像の輝度分布のデガンマ処理を行い1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布と成し出力するデガンマ処理手段とを備える事に特徴が有る。この第22の発明は、請求項22に記載されたものと同じものである。
【0038】
本発明による第23の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成するTV映像化手段に関し、このTV映像化手段は、(W120)最尤復元画像の輝度分布のガンマ処理を行うガンマ処理手段と、(W121)Y劣化画像抽出手段で保持したU劣化画像の分布及びV劣化画像の分布とY成分から成るガンマ処理後の最尤復元画像の輝度分布から1枚のYUV復元画像の分布を合成する復元画像合成手段と、(W122)YUV復元画像の分布のRGB変換を行いRGB復元画像の分布と成すRGB変換手段と、(W123)RGB復元画像の分布を読み取りRGB信号を出力するRGB信号変換手段と、(W124)RGB信号を遅延手段が出力する残りのTV映像信号と合成して1フレーム分のTV映像信号から成る超解像TV映像信号と成し出力するTV映像信号合成手段とを備える事に特徴が有る。この第23の発明は、請求項23に記載されたものと同じものである。
【0039】
本発明による第24の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する準備手段及び第1画像復元手段を構成し且つ実行させるための第4加速超解像処理プログラムである。この第24の発明は、請求項24に記載されたものと同じものである。
【0040】
本発明による第25の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する準備手段及び第20の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する第2画像復元手段を構成し且つ実行させるための第5加速超解像処理プログラムである。この第25の発明は、請求項25に記載されたものと同じものである。
【0041】
本発明による第26の発明は、第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する準備手段及び第21の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置を構成する第3画像復元手段を構成し且つ実行させるための第6加速超解像処理プログラムである。この第26の発明は、請求項26に記載されたものと同じものである。
【0042】
第4加速超解像処理プログラム、第5加速超解像処理プログラム及び第6加速超解像処理プログラムは、それぞれ、コンピュータが読込んで実行可能な言語、例えば、C++、XTML、HTML及びJAVA(登録商標)を使用して記述されたものである。本発明においては、C++、XTML、HTML及びJAVA(登録商標)を使用している。
【0043】
本発明による第27の発明は、第4加速超解像処理プログラム、第5加速超解像処理プログラム及び第6加速超解像処理プログラムはそれぞれ暗号化されたものであり、これ等の暗号化された第4加速超解像処理プログラム、第5加速超解像処理プログラム及び第6加速超解像処理プログラムを記憶すると共にコンピュータに接続可能で且つコンピュータに読み込ませる事が可能な第2記憶媒体である。
【0044】
本発明の第2記憶媒体には、第1記憶媒体と同じものが使用できる。
【発明の効果】
【0045】
従来、TV映像の1フレームの情報だけから画像を復元し、これを連続的に行いTV映像の超解像処理を行う装置はLSI化すると150万ゲート規模と大規模で経済的でないという問題を、本発明によるTV映像向け加速超解像方法及び装置を適用することにより2回の反復演算によって従来並みの品質の超解像画像が得られるという工程数及び手段数削減効果、高速化効果、略実時間処理効果、LSI化した際のゲート規模が従来の約3%の7万ゲートにまで削減できるという効果、LSI化した際のコストが安価であるという経済的効果、の少なくとも一部が実現される。また、本発明は、TV方式の映像であれば線源を問わず何でも良いため、赤外線カメラやX線カメラによる映像であっても良く、適用範囲及び応用範囲が広いという効果も実現される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を用いながら説明する。
【0048】
本発明において、劣化画像、PSF及び復元画像は、それぞれ縁の無い同じサイズの正方形の画素が敷き詰められて構成されており、各画素は8ビット深さの赤原色(R)、8ビット深さの緑原色(G)及び8ビット深さの青原色(B)から成るRGBカラー画素であり、RGBが同じビット数の場合にはグレイスケール画素と成る。本発明において、PSFはグレイスケール画素のみから成る。
【0049】
本発明において、劣化画像、PSF及び復元画像は、左上隅の画素を原点とし、原点が存在する行を、行を変えずに横方向に向かった画素行に平行な軸をx軸とし、原点が存在する列を、列を変えずに縦方向に向かった画素列に平行な軸をy軸とする。劣化画像、PSF及び復元画像内の全ての画素は、(x、y)という2次元座標によって指定する事が可能である。
【0050】
本発明において、劣化画像及び復元画像は互いに同じ画像サイズであり、同じ座標を有する。しかし、本発明においては、画像の見分けがつかない程ボケている場合を取り扱わないため、PSFの周辺部分は略ゼロであり、計算回数の削減のために、劣化画像及び復元画像内の何処へ行ってもPSFの輝度分布は変化しないという仮定が成立するものとして取り扱っており、PSFサイズは5画素かける5画素のものを使用している。
【0051】
本発明において、PSF、劣化画像及び復元画像はそれぞれ輝度成分から成るものだけを取り扱い、復元演算に使用するものは全て輝度成分のみである。こうする理由としては、演算回数が減少する事、そして、色合いが変化しない事に有る。本発明の方法は、R、G、B個別に復元した場合と比較して、超解像処理品質的に遜色が無い事を確認している。
【0052】
本発明において、PSF、劣化画像及び復元画像はそれぞれ輝度成分から成るため、PSFをPSFの輝度分布、劣化画像の輝度分布及び復元画像の推定輝度分布と呼んでいる。復元画像の正確な輝度分布は不明であるため、推定輝度分布と呼んでいる。本発明によるTV映像向け加速超解像処理方法により画像復元すると、光学的劣化の無い状態に略収斂した状態になり、原画像と略遜色ないため、最尤復元画像の場合には輝度分布としている。
【0053】
図2は、本発明による第1の発明であるTV映像向け加速超解像処理方法における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図2のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0054】
図2のTV映像向け加速超解像処理方法は、(S1)最大反復演算回数1を設定する工程と、(S2)TV映像を見ながらTV映像の劣化状況に適した劣化示数2を指定する劣化示数指定工程、(S3)劣化示数2に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布14及びこの系から成り反復演算回数に紐づいて整理された1連のPSFの輝度分布3を準備するPSF準備工程、(S4)1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布4を1フレーム分のTV映像信号5から準備する劣化画像準備工程、(S5)劣化画像の輝度分布4を復元画像初期値の推定輝度分布6と成す復元画像初期値準備工程、(S6)1連のPSFの輝度分布3は互いに同じ画像サイズであり、この画像サイズをPSFサイズ7と呼ぶ時、このPSFサイズ7を求めるPSFサイズ取得工程、(S7)反復演算回数を計数するカウンターに1を設定する第1リセット工程、(S8)復元画像初期値の推定輝度分布6を複写してこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成し更に前記補正復元画像初期値の推定輝度分布8をPSFサイズ7を基にして補正する第1復元画像初期値補正工程、(S9)1連のPSFの輝度分布3からカウンターの値に紐づいた1つを選択してこれをPSFの輝度分布9と成すPSF選定工程、(S10)補正復元画像初期値の推定輝度分布8にPSFの輝度分布9を畳込み第1の関数を得る工程、(S11)第1の関数を反転して第2の関数を得る工程、(S12)第2の関数に劣化画像の輝度分布4を掛け合わせて第3の関数を得る工程と、(S13)第3の関数を復元画像初期値の推定輝度分布6に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る工程と、(S14)カウンターに1を加算する工程、(S15)カウンターの値が最大反復演算回数1以上であるという仮説を検証し、もしも、検証結果が偽であれば(S16)の工程へ進むが、検証結果が真であれば、工程(S18)へ進む工程、(S16)復元画像の推定輝度分布10を復元画像初期値の推定輝度分布6と入れ替える工程、(S17)(S8)の工程へ戻る工程、(S18)復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する工程、(S19)(S1)〜(S7)の工程から構成される準備工程、(S20)(S8)〜(S18)の工程から構成される第1画像復元工程、を備え、(S21)準備工程S19及び第1画像復元工程S20において、各工程のSの添え数字が小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤復元画像の輝度分布11を出力する第1加速超解像処理工程、(S22)最尤復元画像の輝度分布11を1フレーム分のTV映像信号と成しこれを超解像TV映像信号12として出力するTV映像化工程、を備える事に特徴が有る。
図2において、処理は、工程S1から開始され、工程S22で終わる。
図2のTV映像向け加速超解像処理方法は1フレーム分の処理であるため、映像とするためには、
図2に示す全工程をフレーム単位で連続的に実行する必要がある。
【0055】
第1画像復元工程S20は、数式1に基づき反復演算を行い、劣化画像の輝度分布4から最尤復元画像の輝度分布11を求める。数式1は、本発明者が発明し登録された特許文献2に記載された数式15を実数処理且つ畳込み演算可能な様に且つ加速演算向けに書き改めたものである。数式1の方法は、特許文献2の数式15の方法に比べて、PSFのフーリエ変換体であるOTF(Optical Transfer Function)ではなくPSFを用いており位相を考慮していないために演算精度が落ちるがTV映像は像が判別不明な程にボケている事は稀なため、数式1に基づく方法で実用上問題無い。更に、数式1の方法は、同一のPSFから出発した反復演算回数に見合った復元度合いのPSFの輝度分布を用いる事により、括弧の中の演算結果をPSFの反転関数に畳込むという特許文献2の数式15の方法では必要であった演算を省略している。このため、工程数が40%削減されるばかりか、加速度的演算が可能となり、僅か数回の反復演算で、略収斂状態(劣化前の状態に極めて近い状態)と遜色の無い最尤復元画像の輝度分布が得られる。
【0057】
数式1において、Fは復元画像の推定輝度分布を、Fの添え字はk番目の値である事を、Gは劣化画像の輝度分布を、HはPSFの輝度分布を、Hの添え字はk番目の値である事を、丸中にアスタリスクのマークは畳込み演算を、それぞれ意味している。また、kは正の整数であり、kが1の時、F
1は復元画像初期値の推定輝度分布を、H1は第1番目のPSFの輝度分布を、kがnの時には、F
nはn回目の復元画像の推定輝度分布を、H
nは第n番目のPSFの輝度分布を、それぞれ意味する。
【0058】
本発明はTV映像を対象としており、TV映像は像が判別不明な程にボケている事は稀なため、数式1のFの初期値の推定輝度分布F
1には劣化画像の輝度分布Gを用いている。
【0059】
本発明で用いる畳込み演算とは畳込み積分の事で有る。数式2は、一般的な畳込み積分の演算式の1例であり、F(i,j)をH(M,N)に畳込み、その結果がG(i,j)である事を意味している。しかし、本発明では、有限サイズの画像の分布を対象とするため、データは離散値化しており、畳込み積分の演算には線形畳込みを用いる。数式3は、一般的な線形畳込み演算式の1例である。
【0062】
数式2〜3において、i,j,m,n、M及びNは正の整数である。但し、数式2〜3による畳込み演算は、畳込み演算を行うFまたはHの大きなサイズの方に小さなサイズの方のサイズの半分を超えない最大の整数で表現できる除外領域が発生する。例えば、Fが100x100画素以上のサイズで、Fに畳込むHが3x3画素サイズの場合にはFの周辺1画素が除外領域となり、Fに畳込むHが5x5画素サイズの場合にはFの周辺2画素が除外領域と成るという問題がある。
【0063】
そこで、本発明では、使用するHのサイズに応じて除外領域の画素が周辺何画素であるのかを演算し、この除外領域に存在するFの最外周の画素をFの領域境界の外側にミラー対称にコピーアンドペーストして、新たに画素を作成し、その後、最外周の位置を変更する事により、つまり、Fの画像及びそのサイズを変更する事により、演算後に除外領域が発生しない様にしている。その際、上辺から右まわりに辺毎にコピーアンドペーストする事により、新たに発生した画素をF本来の画素に繰り込む事により、4隅にコピーアンドペーストされない領域が発生しない様にしている。例えば、Hが5x5サイズでFがWxLサイズの場合、1回目のコピーアンドペーストでは、FはWxLサイズからWx(L+2)サイズとなり、2回目のコピーアンドペーストでは、FはWx(L+2)サイズから(W+2)x(L+2)サイズとなり、3回目のコピーアンドペーストでは、Fは(W+2)x(L+2)サイズから(W+2)x(L+4)サイズとなり、4回目のコピーアンドペーストでは、Fは(W+2)x(L+4)サイズから(W+4)x(L+4)サイズとなり、(W+4)x(L+4)サイズ内の全ての画素が全て埋まった状態と成る。
【0064】
PSF準備工程S3において、劣化示数2に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布14は1回目の反復演算時に使用するためのものであり、第2番目のPSFの輝度分布は2回目の反復演算時に使用するためのものであり、第n番目のPSFの輝度分布はn回目の反復演算時に使用するためのものである。第2番目のPSFの輝度分布は第1番目のPSFの輝度分布をPSF復元工程において復元したものであり、第3番目のPSFの輝度分布は第2番目のPSFの輝度分布をPSF復元工程において復元したものであり、第n番目のPSFの輝度分布は第n−1番目のPSFの輝度分布をPSF復元工程において復元したものである。このため、第2番目のPSFの輝度分布以降は全て、劣化示数2に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布14を根とするものであり、第1番目のPSFの輝度分布14の系であり、第1番目のPSFの輝度分布14〜第n番目のPSFの輝度分布17は劣化示数2に紐づいた1連のPSFの輝度分布3を形成している。
【0065】
図3は、本発明による第2の発明であるPSF準備工程S3の第2の態様S3−2における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図3のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0066】
図3のPSF準備工程S3の第2の態様S3−2は、(S30)劣化示数2を検索情報として、劣化示数に対してPSFの輝度分布を1対1で紐づけて整理して作成されたPSFデータベース13を検索し、ヒットしたPSFの輝度分布9を第1番目のPSFの輝度分布14と成す工程、(S31)数を計数する第2カウンターに1を入力してリセットする工程、(S32)第1番目のPSFの輝度分布14をPSF初期値の輝度分布15と成す工程、(S33)第2カウンターに1を加算する工程、(S34)第2カウンターの値が最大反復演算回数1を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(S35)の工程へ進み、もしも検証結果が真で有れば終了する工程、(S35)PSF初期値の輝度分布15をPSF復元工程S63により復元する事により最尤復元PSFの輝度分布16を得る工程、(S36)第2カウンターの値をnとする時、最尤復元PSFの輝度分布16を第n番目のPSFの輝度分布17と成す工程、(S37)(S33)の工程へ戻る工程、(S38)最大反復演算回数1をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、第1番目のPSFの輝度分布14からn_max番目のPSFの輝度分布25までをこの順番で連ねて1連のPSFの輝度分布3とし、この1連のPSFの輝度分布3に劣化示数2をラベルとして付け、劣化示数2に紐づいた1連のPSFの輝度分布3と成す工程、から構成される事に特徴が有る。
【0067】
図4は、本発明による第3の発明であるPSF準備工程S3の第3の態様S3−3における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図4のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0068】
図4のPSF準備工程S3の第3の態様S3−3は、(S40)最大反復演算回数1を5に設定する工程、(S41)PSFデータベース13内の全ての劣化示数とこれに紐づいたPSFの輝度分布のペア全てに対して事前にPSF準備工程を実行して、劣化示数毎に1連のPSFの輝度分布3を得、これ等の劣化示数毎の1連のPSFの輝度分布を編集する事によって、劣化示数に対して1連のPSFの輝度分布を紐づけて整理した拡大PSFデータベース18を準備する工程、(S42)劣化示数2を用いて拡大PSFデータベース18を検索しヒットした1連のPSFの輝度分布3を取得する工程、から構成される事に特徴が有る。
【0069】
図5は、本発明による第4の発明であるPSF復元工程S63における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図5のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0070】
図5のPSF復元工程S64は、(S50)最大反復演算回数1に6を代入する工程、(S51)PSF初期値の輝度分布15を劣化した画像の輝度分布と捉え劣化PSFの輝度分布19と成す工程、(S52)PSF初期値の輝度分布15を復元PSF初期値の推定輝度分布20と成す工程、(S53)カウンターに1を代入してリセットする工程、(S54)復元PSF初期値の推定輝度分布20を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21と成し更にPSF初期値の輝度分布15を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21に畳込み演算する際に補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の周辺部に発生する演算困難領域を、PSF初期値の輝度分布15の画像サイズを基にして計算し、上辺境界に関する演算困難領域の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の上辺境界の外側に上辺境界に対してミラー対称に成る様に配置する様にペーストし、同様にして右回りに右辺次に下辺最後に左辺に関して行い、補正復元PSF初期値の推定輝度分布21を補正する復元PSF初期値補正工程、(S55)PSF初期値の輝度分布15を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21に畳込み第4の関数を得る工程、(S56)第4の関数を反転して第5の関数を得る工程、(S57)第5の関数を劣化PSFの輝度分布19に掛け合わせて第6の関数を得る工程、(S58)第6の関数を復元PSF初期値の推定輝度分布20に掛け合わせて復元PSFの推定輝度分布22を得る工程、(S59)カウンターに1を加算する工程、(S60)カウンターの値が最大反復演算回数1を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(S61)の工程へ進み、もしも検証結果が真で有れば、(S63)の工程へジャンプする工程、(S61)復元PSFの推定輝度分布22を復元PSF初期値の推定輝度分布20と入れ替える工程、(S62)(S54)の工程へジャンプする工程、(S63)復元PSFの推定輝度分布22を最尤復元PSFの輝度分布16として出力する工程、を備える事に特徴が有る。
【0071】
図6は、本発明による第5の発明である第1復元画像初期値補正工程S8における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図6のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0072】
図6の第1復元画像初期値補正工程S8は、(S70)復元画像初期値の推定輝度分布6を補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成す工程、(S71)PSFサイズ7を基に1連のPSFの輝度分布3の内いずれか1つを補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み演算する際に補正復元画像初期値の推定輝度分布8の周辺部に発生する演算困難領域を計算する工程、(S72)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域内の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元画像初期値の推定輝度分布8の4辺に対してミラー対称に成る様にそれぞれ反転させ更に補正復元画像初期値の推定輝度分布8の4辺の境界の外側に配置する様にペーストして補正する工程、(S73)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域内の左上隅部の画素をコピーし、このコピーした左上隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の左上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程、(S74)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域内の右上隅部の画素をコピーし、このコピーした右上隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の右上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程、(S75)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域内の左下隅部の画素をコピーし、このコピーした左下隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の左下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程、(S76)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域内の右下隅部の画素をコピーし、このコピーした右下隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の右下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する工程を備える事に特徴が有る。
【0073】
図7は、本発明による第6の発明である第1画像復元工程S20の第2の態様としての第2画像復元工程S88における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図7のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0074】
図7の第2画像復元工程S88は、(S80)最大反復演算回数1をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、1連のPSFの輝度分布3のうち、第n番目のPSFの輝度分布17をPSFの輝度分布9として第n段目の第1単分画像復元工程S81−nに提供するPSF提供工程、(S81)PSFの輝度分布9、復元画像初期値の推定輝度分布6及び劣化画像の輝度分布4から、Bayse確率論的数式に基づく反復演算の内の1回分に相当する演算を行い、劣化画像の輝度分布4に最も尤らしい復元画像の推定輝度分布10を求めこれを出力する第1単分画像復元工程、この第1単分画像復元工程S81は、(S82)PSFサイズ7に基づき復元画像初期値の推定輝度分布6を補正して補正復元画像初期値の推定輝度分布8を求める第1復元画像初期値補正工程と同じ処理手順から成る第2復元画像初期値補正工程、(S83)PSFの輝度分布9を補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み第7の関数を得る工程、(S84)第7の関数を反転して第8の関数を得る工程、(S85)第8の関数を劣化画像の輝度分布4に掛け合わせて第9の関数を得る工程、(S86)第9の関数を復元画像初期値の推定輝度分布6に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る工程、(S87)復元画像の推定輝度分布10を出力する工程を備え、(S88)第n段目の第1単分画像復元工程S81−nの(S87)の工程の出力を第(n+1)段目の第1単分画像復元工程S81−(n+1)の(S82)の工程に接続する事により構成されるn_max段の直列連結体から成る第2画像復元工程、であり、この第2画像復元工程S88において、直列接続された第1単分画像復元工程S81の数であるn_max回の反復演算を行い、n_max段目の第1単分画像復元工程S81−n_maxから出力される復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する事に特徴が有る。
【0075】
図7の第2画像復元工程S88は、第1単分画像復元工程S81と同じ構成から成る1段目の第1単分画像復元工程S81−1、第1単分画像復元工程S81と同じ構成から成る2段目の第1単分画像復元工程S81−2、第1単分画像復元工程S81と同じ構成から成るn段目の第1単分画像復元工程S81−n及び第1単分画像復元工程S81と同じ構成から成るn_max段目の第1単分画像復元工程S81−n_maxが直列に接続されて構成されている。3段目の第2単分画像復元工程S70−3〜最終段の1段前の第1単分画像復元工程S81−(n_max−1)は2段目と同じ接続様式のために省略されている。
【0076】
第2画像復元工程S88において、第1段目の第1単分画像復元工程S81−1〜第n_max段目の第n_max単分画像復元工程S88−n_maxの工程S83と同等の工程が、PSF提供工程S80が提供する段数に適合したPSFの輝度分布9を読込む。例えば、第1段目の第1単分画像復元工程S81−1であれば第1番目のPSFの輝度分布14を、第2段目の第1単分画像復元工程S81−2であれば第2番目のPSFの輝度分布24を、第n段目の第1単分画像復元工程S81−nであれば第n番目のPSFの輝度分布17を、第n_max段目の第1単分画像復元工程S81−n_maxであれば第n_max番目のPSFの輝度分布25を、それぞれ読込む。
【0077】
第2画像復元工程S88において、第1段目の第1単分画像復元工程S81−1〜第n_max段目の第n_max単分画像復元工程S88−n_maxの工程S85と同等の工程が、劣化画像の輝度分布4を準備工程S19の劣化画像準備工程S4から読込む。また、第1段目の第1単分画像復元工程S81−1の工程S82と同等の工程が復元画像初期値準備工程S5から復元画像初期値の推定輝度分布6を読込む。第n段目の第1単分画像復元工程S81−n (2≦n≦)の工程S82と同等の工程は前段の第(n−1)段目の第1単分画像復元工程S81−(n−1) (2≦n≦)の工程S87と同等の工程が出力する復元画像の推定輝度分布10を読込む。また、第n_max単分画像復元工程S88−n_maxの工程S87と同等の工程は、復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する。また、
図7の第2画像復元工程S88は、最大反復演算回数1と同じ回数分の第2単分画像復元工程S81を直列接続すれば、
図2の第1画像復元工程S20と同等の復元能力を有する。
【0078】
図8は、本発明による第7の発明である第3画像復元工程S107における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図8のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0079】
図8の第3画像復元工程S107は、(S90)カウンターに0を代入する事によりリセットする工程、(S91)第2カウンターに1を代入する事によりリセットする工程、(S92)カウンターの値が0以外であるという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(S93)の工程へ進み、もしも検証結果が真であれば(S96)の工程へジャンプする工程、(S93)劣化画像の輝度分布4を劣化画像保存用バッファー26及び復元画像初期値用バッファー27に転送する工程、(S94)(S96)の工程へジャンプする工程、(S95)(S102)の工程の復元画像の推定輝度分布10を復元画像初期値用バッファー27に転送する工程、(S96)第2カウンターの値をmとする時、1連のPSF3の内の第m番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布9と成す工程、(S97)復元画像初期値用バッファー27から復元画像初期値の推定輝度分布6を読込む工程、(S98)PSFサイズ7に基づき復元画像初期値の推定輝度分布6を補正しこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成す第1復元画像初期値補正工程と同じ処理手順から成る第3復元画像初期値補正工程、(S99)PSFの輝度分布9を補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み第10の関数を得る工程、(S100)第10の関数を反転して第11の関数を得る工程、(S101)劣化画像の輝度分布4を劣化画像保存用バッファー26から読込これに第11の関数を掛け合わせて第12の関数を得る工程、(S102)第12の関数を復元画像初期値の推定輝度分布6に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る工程、(S103)カウンターに1を加算する工程、(S104)第2カウンターに1を加算する工程、(S105)カウンターの値が最大反復演算回数1を超えているという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(S95)の工程へジャンプし、もしも検証結果が真であれば(S106)の工程へ進む工程、(S106)復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する工程、を備え、(S107)各工程のSの添え数字の小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数の反復演算を終え、最尤化された最尤復元画像を出力する第3画像復元工程、である事に特徴が有る。
【0080】
図9は、本発明による第8の発明である劣化画像準備工程S4における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図9のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0081】
図9の劣化画像準備工程S4は、(S110)1フレーム分のTV映像信号15からフレームを構成するRGB信号28を取り出すRGB信号抽出工程、(S111)1フレーム分のTV映像信号15の内、RGB信号28を取り出した残りのTV映像信号29を1フレーム分遅延して出力する遅延工程、(S112)RGB信号28をYUV変換してYUV信号30と成すYUV変換工程、(S113)YUV信号30の内、輝度成分であるY信号のみから成る劣化画像の輝度分布4を抽出してY劣化画像の輝度分布31と成し、残りのU信号のみから成るU劣化画像の分布32及びV信号のみから成るV劣化画像の分布33を保持するY劣化画像抽出工程、(S114)Y劣化画像の輝度分布31のデガンマ処理を行い1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布4と成し出力するデガンマ処理工程、を備える事に特徴が有る。
【0082】
図10は、本発明による第9の発明であるTV映像化工程S22における処理手順の1例をフローチャートとして図示したものである。
図10のフローチャートにおいて、工程番号を内包する白抜きの四角形は判断工程以外の工程を、工程番号を内包する白抜きのひし形は判断工程を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合及び開始及び終了を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0083】
図10のTV映像化工程S22は、(S120)最尤復元画像の輝度分布11のガンマ処理を行うガンマ処理工程、(S121)Y劣化画像抽出工程S113で保持したU劣化画像の分布32及びV劣化画像の分布33とY成分から成るガンマ処理後の最尤復元画像の輝度分布11から1枚のYUV復元画像の分布34を合成する復元画像合成工程、(S122)YUV復元画像の分布34のRGB変換を行いRGB復元画像の分布35と成すRGB変換工程、(S123)RGB復元画像の分布35を読み取りRGB信号36を出力するRGB信号変換工程、(S124)RGB信号36を遅延工程S111が出力する残りのTV映像信号29と合成して1フレーム分のTV映像信号から成る超解像TV映像信号12と成し出力するTV映像信号合成工程、を備える事に特徴が有る。
【0084】
図11は、本発明による第10の発明であるPSFの輝度分布9の1例を図示したものである。
図11のPSFの輝度分布9は、縁の無い正方形状の同一サイズの画素から成るものであって、その輝度分布は中心が最も明るい2次元正規分布であり、そのサイズが5x5画素である事に特徴が有る。PSFの輝度分布9は2次元正規分布のため、点対称性を有しており、シフトインバリアントである。
【0085】
本発明による第11の発明である第1加速超解像処理プログラム37は、準備工程S19及び第1画像復元工程S20内の全ての工程を仮想的に作成すると共にこれ等の工程の処理手順を記述したものである。
【0086】
本発明による第12の発明である第2加速超解像処理プログラム38は、準備工程S19及び第2画像復元工程S88内の全ての工程を仮想的に作成すると共にこれ等の工程の処理手順を記述したものである。
【0087】
本発明による第13の発明である第3加速超解像処理プログラム39は、準備工程S19及び第3画像復元工程S107内の全ての工程を仮想的に作成すると共にこれ等の工程の処理手順を記述したものである。
【0088】
本発明による第14の発明は、第1加速超解像処理プログラム37、第2加速超解像処理プログラム38及び第3加速超解像処理プログラム39は、いずれも暗号化されたものであり、これ等暗号化された第1加速超解像処理プログラム37、第2加速超解像処理プログラム38及び第3加速超解像処理プログラム39を記憶すると共にコンピュータに接続可能で且つコンピュータに読み込ませる事が可能な事に特徴がある第1記憶媒体46である。
【0089】
図12は、本発明による第15の発明であるTV映像向け加速超解像処理装置40の構成に関する1例を図示したものである。
図12において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0090】
図12のTV映像向け加速超解像処理装置40は、(W1)最大反復演算回数1を設定する手段、(W2)TV映像を見ながらTV映像の劣化状況に適した劣化示数2を指定する劣化示数指定手段、(W3)劣化示数2に紐づいた第1番目のPSFの輝度分布14及びこの系から成り反復演算回数に紐づいて整理された1連のPSFの輝度分布3を準備するPSF準備手段、(W4)1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布4を1フレーム分のTV映像信号5から準備する劣化画像準備手段、(W5)劣化画像の輝度分布4を復元画像初期値の推定輝度分布6と成す復元画像初期値準備手段、(W6)1連のPSFの輝度分布3は互いに同じ画像サイズであり、この画像サイズをPSFサイズ7と呼ぶ時、このPSFサイズ7を求めるPSFサイズ取得手段、(W7)反復演算回数を計数するカウンターに1を設定する第1リセット手段、(W8)復元画像初期値の推定輝度分布6を複写してこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成し更に補正復元画像初期値の推定輝度分布8をPSFサイズ7を基にして補正する第1復元画像初期値補正手段、(W9)1連のPSFの輝度分布3からカウンターの値に紐づいた1つを選択してこれをPSFの輝度分布9と成すPSF選定手段、(W10)補正復元画像初期値の推定輝度分布8にPSFの輝度分布9を畳込み第13の関数を得る手段、(W11)第13の関数を反転して第14の関数を得る手段、(W12)第14の関数に劣化画像の輝度分布4を掛け合わせて第15の関数を得る手段、(W13)第15の関数を復元画像初期値の推定輝度分布6に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る手段、(W14)カウンターに1を加算する手段、(W15)カウンターの値が最大反復演算回数1以上であるという仮説を検証し、もしも、検証結果が偽であれば(W16)の手段へ進むが、検証結果が真であれば、手段(W18)へ進む手段、(W16)復元画像の推定輝度分布10を復元画像初期値の推定輝度分布6と入れ替える手段、(W17)(W8)の手段へ戻る手段、(W18)復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する手段、(W19)(W1)〜(W7)の手段から構成される準備手段、(W20)(W8)〜(W18)の手段から構成される第1画像復元手段、を備え、(W21)準備手段W19及び第1画像復元手段W20において、手段のWの添え数字が小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数1の反復演算を終え、最尤復元画像の輝度分布11を出力する第1加速超解像処理手段、(W22)最尤復元画像の輝度分布11を1フレーム分のTV映像信号41と成しこれを超解像TV映像信号12として出力するTV映像化手段、を備える事に特徴が有る。
【0091】
図13は、本発明による第16の発明であるPSF準備手段W3の第2の態様W3−2の構成に関する1例を図示したものである。
図13において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0092】
図13のPSF準備手段W3の第2の態様W3−2は、(W30)劣化示数2を検索情報として、劣化示数に対してPSFの輝度分布を1対1で紐づけて整理して作成されたPSFデータベース13を検索し、ヒットしたPSFの輝度分布9を第1番目のPSFの輝度分布14と成す手段、(W31)数を計数する第2カウンターに1を入力してリセットする手段、(W32)第1番目のPSFの輝度分布14をPSF初期値の輝度分布15と成す手段、(W33)第2カウンターに1を加算する手段、(W34)第2カウンターの値が最大反復演算回数1を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(W35)の手段へ進み、もしも検証結果が真で有れば(W38)の手段へジャンプする手段、(W35)PSF初期値の輝度分布15をPSF復元手段W63により復元する事により最尤復元PSFの輝度分布16を得る手段、(W36)第2カウンターの値をnとする時、最尤復元PSFの輝度分布16を第n番目のPSFの輝度分布17と成す手段、(W37)(W33)の手段へ戻る手段、(W38)最大反復演算回数をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、第1番目のPSFの輝度分布14からn_max番目のPSFの輝度分布25までをこの順番で連ねて1連のPSFの輝度分布とし、この1連のPSFの輝度分布に劣化示数2をラベルとして付け、劣化示数に紐づいた1連のPSFの輝度分布3と成す1連のPSFの輝度分布作成工程、から構成される事に特徴が有る。
【0093】
図13の1連のPSFの輝度分布作成工程W38は、例えば、劣化示数2をBFという整数型変数で表わし、第n番目の輝度分布17 (1≦n≦n_max)の画像ファイル名をPSF_BF_n.bmpと表わし、文字型2次元配列名をSPSFとすると、第n番目の輝度分布17をW36の手段から受取、BFとnからPSF_BF_n.bmpというファイル名を作り、このファイル名を付けて第n番目の輝度分布17をコンピュータの大容量記憶手段、例えばHDD(Hard Disk Drive)に記憶する一方で、ファイル名をSPSF(BF,n)という配列に記憶する事で1連のPSFの輝度分布3が作成できる。
【0094】
図14は、本発明による第17の発明であるPSF準備手段W3の第3の態様W3−3の構成に関する1例を図示したものである。
図14において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0095】
図14のPSF準備手段W3の第3の態様W3−3は、(W40)最大反復演算回数1を5に設定する手段、(W41)PSFデータベース13内の全ての劣化示数とこれに紐づいたPSFの輝度分布のペア全てに対して事前にPSF準備手段W3を実行して、劣化示数毎に1連のPSFの輝度分布を得、これ等の劣化示数毎の1連のPSFの輝度分布を編集する事によって、劣化示数に対して1連のPSFの輝度分布を紐づけて整理した拡大PSFデータベース18を準備する手段、(W42)劣化示数2を用いて拡大PSFデータベース18を検索しヒットした1連のPSFの輝度分布3を取得しこれを出力する手段、から構成される事に特徴が有る。
【0096】
図15は、本発明によるPSFデータベース13内のデータの1例を図示したものである。
図15のPSFデータベース13は、CSV形式の表で有り、HDDに保存されている。PSFデータベース13には、256段階の劣化示数2が左から第1列目に記載され、各劣化示数2に対応するPSFの輝度分布9の画像ファイル名23がパスとして左から第2列目に記載されている。PSFの輝度分布9の画像ファイルはHDD内のCドライブ中のPSFというディレクトリの下に存在し、PSFの輝度分布9の画像ファイル名は劣化示数2に対応している。例えば、劣化示数2が1の場合、PSFデータベース13の1番上の行のPSFの輝度分布9の画像ファイル名C:¥PSF¥PSF_1.bmpが劣化示数2に紐づいたPSFの輝度分布9の画像ファイルの記憶場所を示している。例えば、W30の手段は、劣化示数2を検索情報としてPSFデータベース13を検索し、劣化示数2に紐づいたPSFの輝度分布9の画像ファイル名を取得し、このPSFの輝度分布9の画像ファイル名に対応するPSFの輝度分布9をHDDから読み出す事により取得する。PSFデータベース13は、CSV形式以外にも2次元配列として定義する事も可能である。
【0097】
図16は、本発明による拡大PSFデータベース18内のデータの1例を図示したものである。
図16の拡大PSFデータベース18は、CSV形式の表で有り、HDDに保存されている。拡大PSFデータベース18には、256段階の劣化示数2が左から第1列目に記載され、各劣化示数2に対応するPSFの輝度分布9の画像ファイル名23がパスとして左から第2列目以降に記載されている。左から第2列目以降の列は反復演算回数に紐づいたものであり、左から第2列目には反復演算回数1が1のものが記載され、左から第3列目には反復演算回数1が2のものが記載され、最後の列には反復演算回数がn_maxのものが記載されている。PSFの輝度分布9の画像ファイルはHDD内のCドライブ中のSPSFというディレクトリの下に存在し、PSFの輝度分布9の画像ファイル名は劣化示数2及び反復演算回数1に対応している。例えば、劣化示数2が1で反復演算回数が1の場合、拡大PSFデータベース18の1番上の行の左から2番目の欄のPSFの輝度分布9の画像ファイル名23であるC:¥SPSF¥SPSF_1_1.bmpが劣化示数2且つ反復演算回数が1に紐づいたPSFの輝度分布9の画像ファイルの記憶場所を示している。例えば、W42の手段は、劣化示数2を検索情報として拡大PSFデータベース18を検索し、劣化示数2に紐づいた拡大PSFデータベース18内の行を特定し、その行内のPSFの輝度分布9の画像ファイル名を反復演算回数が1に対応する欄から順に最後の反復演算回数がn_maxの欄のものまで取得し、SPSF(BF,n)という2次元配列に記憶する事により1連のPSFの輝度分布3を取得する。SPSF(BF,n)は、文字型2次元配列であり、BFが劣化示数2を意味する変数であり、nが反復演算回数を意味する変数である。次に、W9の手段は、劣化示数2をBFとして、反復演算回数をnとして、SPSF(BF,n)からPSFの輝度分布9の画像ファイル名23を取得し、このPSFの輝度分布9の画像ファイル名23に対応するPSFの輝度分布9をHDDから読み出す事により取得する。拡大PSFデータベース18は、CSV形式以外にも2次元配列として定義する事も可能である。
【0098】
図17は、本発明による第18の発明であるPSF復元手段の構成に関する1例を図示したものである。
図17において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0099】
図17のPSF復元手段は、(W50)最大反復演算回数1に6を代入する手段、(W51)PSF初期値の輝度分布15を劣化した画像の輝度分布と捉え劣化PSFの輝度分布19と成す手段、(W52)PSF初期値の輝度分布15を復元PSF初期値の推定輝度分布20と成す手段、(W53)カウンターに1を代入してリセットする手段、(W54)復元PSF初期値の推定輝度分布20を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21と成し、更にPSF初期値の輝度分布15を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21に畳込み演算する際に補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の周辺部に発生する演算困難領域を、PSF初期値の輝度分布15の画像サイズを基にして計算し、上辺境界に関する演算困難領域の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21の上辺境界の外側に上辺境界に対してミラー対称に成る様に配置する様にペーストし、同様にして右回りに右辺次に下辺最後に左辺に関して行い、補正復元PSF初期値の推定輝度分布21を補正する復元PSF初期値補正手段、(W55)PSF初期値の輝度分布15を補正復元PSF初期値の推定輝度分布21に畳込み第16の関数を得る手段、(W56)第16の関数を反転して第17の関数を得る手段、(W57)第17の関数を劣化PSFの輝度分布19に掛け合わせて第18の関数を得る手段、(W58)第18の関数を復元PSF初期値の推定輝度分布20に掛け合わせて復元PSFの推定輝度分布22を得る手段、(W59)カウンターに1を加算する手段、(W60)カウンターの値が最大反復演算回数1を超えたという仮説を検証し、もしも検証結果が偽で有れば(W61)の手段へジャンプし、もしも検証結果が真で有れば、(W63)の手段へジャンプする手段、(W61)復元PSFの推定輝度分布22を復元PSF初期値の推定輝度分布20と入れ替える手段、(W62)(W54)の手段へジャンプする手段、(W63)復元PSFの推定輝度分布22を最尤復元PSFの輝度分布16として出力する手段、を備える事に特徴がある。
【0100】
図18は、本発明による第19の発明である第1復元画像初期値補正手段の構成に関する1例を図示したものである。
図18において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0101】
図18の第1復元画像初期値補正手段W8は、(W70)復元画像初期値の推定輝度分布6を補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成す手段、(W71)PSFサイズ7を基に1連のPSFの輝度分布3の内いずれか1つを補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み演算する際に補正復元画像初期値の推定輝度分布8の周辺部に発生する演算困難領域42を計算する手段、(W72)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域42内の画素をコピーし、このコピーした画素を補正復元画像初期値の推定輝度分布8の4辺に対してミラー対称に成る様にそれぞれ反転させ更に補正復元画像初期値の推定輝度分布8の4辺の境界の外側に配置する様にペーストして補正する手段、(W73)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域42内の左上隅部の画素をコピーし、このコピーした左上隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の左上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段、(W74)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域42内の右上隅部の画素をコピーし、このコピーした右上隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の右上隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段、(W75)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域42内の左下隅部の画素をコピーし、このコピーした左下隅部の画素を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の左下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段、(W76)補正復元画像初期値の推定輝度分布8の演算困難領域42内の右下隅部の画素をコピーし、このコピーした右下隅部の画素を右上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の右下隅部に発生する空白領域に、ペーストして補正する手段、を備える事に特徴が有る。
【0102】
図19は、第1復元画像初期値補正手段W8による復元画像初期値の推定輝度分布6の周辺部に発生する演算困難領域42の補正の1例を図示したものである。
図19は、W70〜72の手段によって復元画像初期値の推定輝度分布6から補正復元画像初期値の推定輝度分布8が生成された状態を示している。この状態では、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の4隅に空白部が存在する。W73により、補正復元画像初期値の推定輝度分布8の左上隅の空白部は、復元画像初期値の推定輝度分布6の演算困難領域42の左上隅部の画素をコピーし、このコピーした領域を左上隅の頂点を回転中心として180度回転させ、ペーストする事により補われ、補正される。
【0103】
図20は、本発明による第20の発明である第1画像復元手段W20の第2の態様としての第2画像復元手段W88の構成に関する1例を図示したものである。
図20において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0104】
図20の第2画像復元手段W88は、(W80)最大反復演算回数1をn_maxとし、更にn_max未満の自然数をnとする時、1連のPSFの輝度分布3うち、第n番目のPSFの輝度分布17をPSFの輝度分布9として第n段目の第1単分画像復元手段W81−nに提供するPSF提供手段、(W81)PSFの輝度分布9、復元画像初期値の推定輝度分布6及び劣化画像の輝度分布4から、Bayse確率論的数式に基づく反復演算の内の1回分に相当する演算を行い、劣化画像の輝度分布4に最も尤らしい復元画像の推定輝度分布10を求めこれを出力する第1単分画像復元手段、を備え、この第1単分画像復元手段W81は、(W82)第1復元画像初期値補正手段W8と同じ構成から成る第2復元画像初期値補正手段により補正復元画像初期値の推定輝度分布8を求め、(W83)PSFの輝度分布9を補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み第19の関数を得る手段、(W84)第19の関数を反転して第20の関数を得る手段、(W85)第20の関数を劣化画像の輝度分布に掛け合わせて第21の関数を得る手段、(W86)第21の関数を復元画像初期値の推定輝度分布に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る手段、(W87)復元画像の推定輝度分布10を出力する手段、を備え、(W88)第n段目の第1単分画像復元手段W81−nの(W87)の手段の出力を第(n+1)段目の第1単分画像復元手段W81−(n+1)の(W82)の手段に接続する事により構成されるn_max段の直列連結体から成る第2画像復元手段、であり、この第2画像復元手段W88において、直列接続された第1単分画像復元手段W81の数であるn_max回の反復演算を行い、n_max段目の第1単分画像復元手段W81−n_maxから出力される復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する事に特徴が有る。
【0105】
図21は、本発明による第21の発明である第1画像復元手段W20の第3の態様としての第3画像復元手段W107の構成に関する1例を図示したものである。
図21において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0106】
図21の第3画像復元手段W107は、(W90)カウンターに0を代入する事によりリセットする手段、(W91)第2カウンターに1を代入する事によりリセットする手段、(W92)カウンターの値が0以外であるという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(W93)の手段へ進み、もしも検証結果が真であれば(W96)の手段へジャンプする手段、(W93)劣化画像の輝度分布4を劣化画像保存用バッファー26及び復元画像初期値用バッファー27に転送する手段、(W94)(W96)の手段へジャンプする手段、(W95)(W102)の手段の復元画像の推定輝度分布10を復元画像初期値用バッファー27に転送する手段、(W96)第2カウンターの値をmとする時、1連のPSFの輝度分布3内の第m番目のPSFの輝度分布をPSFの輝度分布9と成す手段、(W97)復元画像初期値用バッファー27から復元画像初期値の推定輝度分布6を読込む手段、(W98)復元画像初期値の推定輝度分布6を補正しこれを補正復元画像初期値の推定輝度分布8と成す第1復元画像初期値補正手段と同じ構成から成る第3復元画像初期値補正手段、(W99)PSFの輝度分布9を補正復元画像初期値の推定輝度分布8に畳込み第22の関数を得る手段、(W100)第22の関数を反転して第23の関数を得る手段、(W101)第23の関数を劣化画像の輝度分布4に掛け合わせて第24の関数を得る手段、(W102)第24の関数を復元画像初期値の推定輝度分布6に掛け合わせて復元画像の推定輝度分布10を得る手段、(W103)カウンターに1を加算する手段、(W104)第2カウンターに1を加算する手段、(W105)カウンターの値が最大反復演算回数1を超えているという仮説を検証し、もしも検証結果が偽であれば(W95)の手段へジャンプし、もしも検証結果が真であれば(W106)の手段へ進む手段、(W106)復元画像の推定輝度分布10を最尤復元画像の輝度分布11として出力する手段、を備え、(W107)各手段のSの添え数字の小さい順に順番通りに実行する事により最大反復演算回数1の反復演算を終え、最尤化された最尤復元画像11を出力する第3画像復元手段、である事に特徴が有る。
【0107】
図22は、本発明による第22の発明である劣化画像準備手段W4の構成に関する1例を図示したものである。
図22において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0108】
図22の劣化画像準備手段W4は、(W110)1フレーム分のTV映像信号5からフレームを構成するRGB信号28を取り出すRGB信号抽出手段、(W111)1フレーム分のTV映像信号5の内、RGB信号28を取り出した残りのTV映像信号29を1フレーム分遅延して出力する遅延手段、(W112)RGB信号28をYUV変換してYUV信号30と成すYUV変換手段、(W113)YUV信号30の内、輝度成分であるY信号のみから成る劣化画像の輝度分布4を抽出してY劣化画像の輝度分布31と成し、残りのU信号のみから成るU劣化画像の分布32及びV信号のみから成るV劣化画像の分布33を保持するY劣化画像抽出手段、(W114)Y劣化画像の輝度分布31のデガンマ処理を行い1フレーム分の輝度分布から成る劣化画像の輝度分布4と成し出力するデガンマ処理手段、を備える事に特徴が有る。
【0109】
図23は、本発明による第23の発明であるTV映像化手段W22の構成に関する1例を図示したものである。
図23において、手段の番号を内包する白抜きの四角形は判断及び条件分岐に関する以外の手段を、手段の番号を内包する白抜きのひし形は判断及び条件分岐手段である事を、矢印はデータの入出力方向を、数字を内包する白抜きの四角形は要素例えば1であれば最大反復演算回数1を、太線は処理の流れを、白抜きの丸印は処理の結合を、黒丸はデータの分岐及び結合を、それぞれ意味する。
【0110】
図23のTV映像化手段は、(W120)最尤復元画像の輝度分布11のガンマ処理を行うガンマ処理手段、(W121)Y劣化画像抽出手段W113で保持したU劣化画像の分布32及びV劣化画像の分布33とY成分から成るガンマ処理後の最尤復元画像の輝度分布11から1枚のYUV復元画像の分布34を合成する復元画像合成手段、(W122)YUV復元画像の分布34のRGB変換を行いRGB復元画像の分布35と成すRGB変換手段、(W123)RGB復元画像の分布35を読み取りRGB信号36を出力するRGB信号変換手段、(W124)RGB信号36を遅延手段W111が出力する残りのTV映像信号29と合成して1フレーム分のTV映像信号から成る超解像TV映像信号12と成し出力するTV映像信号合成手段、を備える事に特徴が有る。
【0111】
本発明による第24の発明である第4加速超解像処理プログラム43は、準備手段W19及び第1画像復元手段W20内の全ての手段を構成し且つ実行させるための処理手順を記述したものである。
【0112】
本発明による第25の発明である第5加速超解像処理プログラム44は、準備手段W19及び第2画像復元手段W88内の全ての手段を構成し且つ実行させるための処理手順を記述したものである。
【0113】
本発明による第26の発明である第6加速超解像処理プログラムは、準備手段W19及び第3画像復元手段W107を構成し且つ実行させるための処理手順を記述したものである。
【0114】
本発明による第27の発明は、第4加速超解像処理プログラム43、第5加速超解像処理プログラム44及び第6加速超解像処理プログラム45はそれぞれ暗号化されたものであり、これ等の暗号化された第4加速超解像処理プログラム43、第5加速超解像処理プログラム44及び第6加速超解像処理プログラム45を記憶すると共にコンピュータに接続可能で且つコンピュータに読み込ませる事が可能な第2記憶媒体47である。
【実施例】
【0115】
実施例1は、本発明によるTV映像向け加速超解像処理装置40を第1加速超解像処理プログラム37によってコンピュータ48に構成したTV映像向け加速超解像処理システム49である。
【0116】
図24は、本発明による実施例1のTV映像向け加速超解像処理システム49の構成に関する1例を図示したものである。
図24のTV映像向け加速超解像処理システム49は、デジタルTV映像信号を入力/出力するために用いるデジタルTV映像信号入出力端子50、TV映像向け加速超解像処理装置40がインストールされたコンピュータ48、劣化画像の輝度分布4をTV映像67から準備する劣化画像準備手段W4がFPGAによって構成されたTV映像入力基板51、最尤復元画像の輝度分布11をTV映像化して1フレーム分の超解像TV映像信号12を出力するTV映像化手段W22がFPGAによって構成された超解像TV映像出力基板52、映像表示モード指定ボタン56で指定された映像表示モード及び条件表示指定ボタン57によって指定された重畳有り無しを超解像TV映像信号12に反映させる超解像処理モード切替制御回路基板53、デジタルTV映像ケーブル54、バスケーブル55、から構成されている。
図24においては、電源ケーブルは省略されている。
【0117】
図24のTV映像向け加速超解像処理システム49を構成するコンピュータ48内のTV映像向け加速超解像処理装置40の劣化画像準備手段W4及びTV映像化手段W22は大部分がFPGAを用いたハードウエアであるため、劣化画像準備手段W4はTV映像入力基板51が出力する劣化画像の輝度分布4を取得する手段として構成し、TV映像化手段W22は超解像TV映像出力基板52へ最尤復元画像の輝度分布11を転送する手段として構成している。
【0118】
図25は、第1加速超解像処理プログラム37の構成の1例及び同プログラムをコンピュータ48にインストールする状況の1例を図示したものである。
図25において、第1加速超解像処理プログラム37は、TV映像向け加速超解像処理方法に従い処理を行うTV映像向け加速超解像処理装置40内の第1加速超解像処理手段W21内の全ての手段を構成するTV映像向け加速超解像処理装置プログラム61、TV映像向け加速超解像処理装置40における超解像処理に関する操作を行うために用いる超解像処理ウインドウ64を作成しモニタ59に表示する超解像処理ウインドウ作成プログラム62、及び超解像処理ウインドウ64内の全てのボタン、コンピュータ48のキーボード65のボタン、コンピュータ48のマウス66により指定された位置及び同位置における右クリック及び左クリックを常時監視し右クリック及び左クリックなどの監視対象へのアクションがあればこれに適した処理を実行する処理を、超解像処理ウインドウ64内の閉じるボタン79が押されるまで行う超解像処理ウインドウ監視対処プログラム63から構成され、TV映像向け加速超解像処理装置プログラム61、超解像処理ウインドウ作成プログラム62、超解像処理ウインドウ監視対処プログラム63の順に実行される。
【0119】
図25において、TV映像向け加速超解像処理装置40をコンピュータ48に構成するにあたり、まず、第1記憶媒体46に記憶された第1加速超解像処理プログラム37をコンピュータ48にインストールし、TV映像向け加速超解像処理装置40を起動するために使用するTV映像向け加速超解像処理装置アイコン58をコンピュータ48のモニタ59内の画面上に置く。次に、ユーザ60がTV映像向け加速超解像処理装置アイコン58をクリックして、TV映像向け加速超解像処理装置40を起動する。すると、超解像処理ウインドウ64がモニタ59に表示され、ユーザ60からのアクション待ちの状態になった。
【0120】
図26は、超解像処理ウインドウ64の構成に関する1例を図示したものである。
図26の超解像処理ウインドウ64は、TV映像67及び超解像TV映像68などを表示するための映像ウインドウ69、現在日時及び超解像条件及びシステムからのメッセージなどを表示するためのもので上下スクロールバーが右端に設けられた情報ウインドウ70、劣化示数2を0〜255の256段階中のいずれかをプルダウンメニュー(本発明のプルダウンメニューではデフォルトは薄青色の背景で表示されている。)から1つの数字を指定して設定するための劣化示数設定ボタン71、クリックするとコンボボックスが開くのでリストの中の値を選ぶか又はテキストボックスに表示されているデフォルト値の上から最大反復演算回数1を直接入力して設定するために使用する最大反復演算回数設定ボタン72、超解像処理を設定された条件のもと開始するためにクリックする超解像処理開始ボタン73、超解像処理を中断するためにクリックする超解像処理中断ボタン74、中断した超解像処理を再開するための超解像処理再開ボタン75、超解像処理を停止するためにクリックする超解像処理停止ボタン76、ヘルプウインドウを開きヘルプ内容を検索そして表示するためのヘルプボタン77、映像ウインドウ69内の縮小/拡大したい映像をクリックして指定した後にこのボタン内の+を押せば指定した映像が拡大され‐を押せば指定した映像が拡大され0を押せばデフォルト倍率に復帰して指定した映像が表示される映像拡大/縮小ボタン78、映像ウインドウ69内の映像の表示モードを半割のテストモード、TV映像67のみを表示する入力映像モード又は超解像TV映像68のみを表示する超解像TV映像モードの中から1つをプルダウンメニューから選択するために使用する映像表示モード指定ボタン56、超解像処理条件の最大反復演算回数1及び劣化示数2を超解像TV映像68の右上隅に重畳して表示するために使用するトグルスイッチの条件表示指定ボタン57、超解像処理ウインドウ64を閉じるために使用する閉じるボタン79、から構成されている。
図26は、テストモードにおける映像の表示状態を示している。
【0121】
コンピュータ48は、64ビットインストラクションセット32ビット6コア/チップCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、32Gバイト以上のメモリ、1テラバイト以上の記憶容量を有するHDD(Hard Disk Drive)、128Gバイト以上の記憶容量を有するSDD(Solidstate Disk Drive)、3つ以上のUSB端子、1つ以上のLAN(Local Area Network)端子、WiFi(Wireless Fidelity)やBluetooth(登録商標)などの無線通信モジュール、電話端子、キーボード65、マウス66、FHD(Full High Definition)ディスプレイ、マイクロソフト社製Windows(登録商標)8 O/S(Operating System)、マイクロソフト社製 Visual Studio 2010(TM)(Visual C++ 2010を含む)、マイクロソフト社製 Office 2013(TM)から構成され、WiFi、Bluetooth(登録商標)、LAN、USB及びインターネットを介して他のコンピュータと通信可能なものである。コンピュータ48には、量産され市場で流通している多くの種類のデスクトップ型コンピュータの中から選択したものを使用しており、同様の規格を有するものであれば、ワークステーションでも良い。また、O/Sの種類が異なるが、サーバであっても良い。
【0122】
図27は、TV映像向け加速超解像処理システム49において超解像処理を実行する手順の1例をトランザクションテーブルとして図示したものである。
図27のトランザクションテーブルは、ユーザ60による入力処理を意味する番号付き実線矢印、コンピュータ48による応答を意味する英字付き点線矢印、開始記号、終了記号、ユーザ60側の時間軸を示す太実線矢印、コンピュータ48側の時間軸を示す太点線矢印、から構成されている。
【0123】
図27のトランザクションテーブルに従い、TV映像向け加速超解像処理システム49において超解像処理を実行するまでの手順は、(1)「起動」ステップにおいて、ユーザ60はTV映像向け加速超解像処理装置アイコン58をクリックし、コンピュータ48は(A)超解像処理ウインドウ64をモニタ59に表示し、(2)「超解像処理条件入力−1」ステップにおいて、ユーザ60は劣化示数設定ボタン71をクリックし、コンピュータ48は(B)劣化示数設定ボタン71の位置にプルダウンメニューを展開表示し、(3)「超解像処理条件入力−2」ステップにおいて、ユーザ60はプルダウンメニューから適切な数値を選択し、コンピュータ48は(C)劣化示数2を取り込み、プルダウンメニューを閉じ、(4)「超解像処理条件入力−3」ステップにおいて、ユーザ60は最大反復演算回数設定ボタン72をクリックし、コンピュータ48は(D)最大反復演算回数設定ボタン72の位置にコンボボックスを展開し、(5)「超解像処理条件入力−4」ステップにおいて、ユーザ60はコンボボックスから適切な数値を選択又は入力し、コンピュータ48は(E)最大反復演算回数1を取り込み、コンボボックスを閉じ、(6)「超解像処理条件入力−5」ステップにおいて、ユーザ60は映像表示モード指定ボタン56をクリックし、コンピュータ48は(F)映像表示モード指定ボタン56の位置にプルダウンメニューを展開し、(7)「超解像処理条件入力−6」ステップにおいて、ユーザ60はプルダウンメニューから適切なモードを選択し、コンピュータ48は(G)映像表示モード指定ボタン56を取り込み、プルダウンメニューを閉じ、(8)「超解像処理条件入力−7」ステップにおいて、ユーザ60は条件表示指定ボタン57をクリックし、コンピュータ48は(H)条件表示指定ボタン57の色を反転して表示設定である事を表示し、(9)「超解像処理開始」ステップにおいて、ユーザ60は超解像処理開始ボタン73をクリックし、コンピュータ48は(I)超解像処理を実行し、超解像TV映像68及びTV映像67を映像表示モード指定ボタン56及び条件表示指定ボタン57に従い映像ウインドウ69に反映して表示する。
【0124】
超解像処理ウインドウ64は、超解像処理中であっても、超解像処理ウインドウ64のボタンへのアクセスを常時監視しているため、超解像処理条件変更ならば、ユーザ60は、劣化示数設定ボタン71、最大反復演算回数設定ボタン72、映像表示モード指定ボタン56、条件表示指定ボタン57、をクリックして条件を再設定すれば映像は表示されたままで、超解像処理条件の変更が反映される。もしも、ユーザ60が超解像処理を終了したいと思った場合には、ユーザ60は、閉じるボタン79をクリックする。すると、コンピュータ48はこれに応答して超解像処理ウインドウ64を閉じ、更に、TV映像向け加速超解像処理装置40を閉じる。
【0125】
図27の超解像処理手順に従い、ユーザ60は、まずステップ(1)を実行して超解像処理ウインドウ64をモニタ59に表示させ、次に、ステップ(2)を実行して、劣化示数設定ボタン71の位置にプルダウンメニューを展開表示させ、ステップ(3)でTV映像67が表示されている地上デジタルTV80を見ながらTV映像67の劣化度合いが少ないと感じたので劣化示数2(デフォルト値は256段階中の60)として14を選択し、次に、ステップ(4)を実行して、最大反復演算回数設定ボタン72の位置にコンボボックスを展開させ、ステップ(5)でTV映像67が表示されている地上デジタルTV80を見ながらTV映像67の劣化度合いが少ないと感じたので最大反復演算回数1(デフォルト値は3)として4を選択し、次に、ステップ(6)を実行して映像表示モード指定ボタン56の位置にプルダウンメニューを展開させ、ステップ(7)で、まだ超解像処理条件が確定していないので、テストモードを選択し、次に、ステップ(8)を実行して、条件表示指定ボタン57を表示設定にし、次に、ステップ(9)を実行して、超解像処理を実行すると、超解像処理ウインドウ64の映像ウインドウ69にTV映像67と超解像TV映像68が横に並んだ半割の状態で表示され、ユーザ60は、この超解像処理条件で良いと考え、地上デジタルTV80を操作して入力設定をビデオにして、映像ウインドウ69に表示されている映像を地上デジタルTV80に全画面表示させ、次に、ユーザ60は、映像表示モード指定ボタン56を操作して超解像TV映像モードに変更し、映像ウインドウ69及び地上デジタルTV80に超解像TV映像68を全画面表示させ、視聴した。
【0126】
図28は、実施例1による超解像処理の状況の1例を示す図である。
図28には、テストモードにおけるTV映像67と超解像TV映像68が横に並んだ半割の状態で表示された映像の1フレームを表示している。半割の右側が超解像処理前のTV映像67の1フレームであり、半割の左側は、半割の右側の1フレームを超解像処理した超解像TV映像68の1フレームである。超解像TV映像68の1フレームの右上隅には、劣化示数2がFという記号で表示され、更に最大反復演算回数1がIという記号で表示され、その上映像表示モードがテストモードである事はテストという略語で表示されている。
図28から、TV映像67の表示開始位置が超解像TV映像68よりも多少右にずれているが、本発明による実施例1のTV映像向け加速超解像処理システム49による超解像品質は十分な実用性を備えている事が分かる。
【0127】
本発明によるTV映像向け加速超解像処理装置40を構成する第1画像復元手段W20は、第2加速超解像処理プログラム38を用いる事により第2画像復元手段W88に変更でき、更に、第3加速超解像処理プログラム39を用いる事により第3画像復元手段W107に変更できるが、コンピュータ48に構成されるシステムはTV映像向け加速超解像処理システム49である。第2画像復元手段W88及び第3画像復元手段W107はハードウエア化に向いた画像復元手段であるが、TV映像向け加速超解像処理システム49は信号処理部分にハードウエアを用いるもののソフトウエアベースであり、処理速度に大きな差は無く、処理品質には全く差が無い。
【0128】
実施例2は、ハードウエア化した第2画像復元手段W88を用いるTV映像向け加速超解像処理装置40の第2の態様をボックス化した第1セットトップボックス81である。第1セットトップボックス81は、PSF準備手段W3−3がソフトウエア定義されたコンピュータ基板93を使用する以外の準備手段W19は全てハードウエアであり、第2画像復元手段W88もハードウエアを使用するため、全てがハードウエアで構成されている。このため、実施例1のTV映像向け加速超解像処理システム49よりも高速動作が可能である。第1セットトップボックス81の超解像品質は、実施例1のTV映像向け加速超解像処理システム49と同じである。
【0129】
図29は、第1セットトップボックス81内部の構成に関する1例を示す図である。
図29の第1セットトップボックス81内部は、デジタルTV映像信号を入力/出力するために用いるデジタルTV映像信号入出力端子50、TV映像入力基板51、超解像TV映像出力基板52、超解像処理モード切替制御回路基板53、デジタルTV映像ケーブル54、バスケーブル55、TV映像67の劣化度合いを示す劣化示数2を設定するために用いるF設定手段82、最大反復演算回数1を設定するために用いるI設定手段83、超解像処理モードをテスト又は本処理に切り替えるモードスイッチ84、超解像処理のモード及びF設定手段82及びI設定手段83の値をTV映像信号に重畳するかどうか指定するモニタスイッチ85、超解像処理のモード及びF設定手段82及びI設定手段83の値を常時モニタするためのLCD(Liquid Crystal Display)モニタ86、第1セットトップボックス81の電源のオン/オフを行うために用いる電源スイッチ87、電源スイッチ87がオンの時にのみ点灯するLED(Light Emitting Diode)ランプ88、ケース89、TV映像向け加速超解像処理装置40の第2画像復元手段W88がFPGAを用いて作製されたF回路基板90、デジタルTV映像信号がインターレース方式かプログレッシブTV映像信号かを自動的に判定しインターレース方式の時にのみデジタルTV映像信号をプログレッシブTV映像信号に変換するアップコンバータ回路基板91、F設定手段82を用いて指定された劣化示数2に基づきHDD95内に記憶された拡大PSFデータベース18を検索し1連のPSFの輝度分布3を出力するPSF準備手段W3−3が事前にインストールされたコンピュータ92を有するコンピュータ基板93、コンピュータ48にPSF準備手段W3−3内の全ての手段を構成し且つこれ等の手段の処理手順を記述したPSF準備手段構成プログラム94、HDD95、第1セットトップボックス81内の必要なものへ適切な電源を提供する電源回路基板96、コンピュータ基板93から最適な駆動条件の提供を受け適量な風量で放熱を支援する放熱ファン97、LAN端子98、USB端子99〜101、商用交流単相100V電源ケーブル102、電源ケーブル103、信号線104、信号線105、から構成されている。
【0130】
超解像処理モード切替制御回路基板53は、モードスイッチ84及びモニタスイッチ85の状態を常時読込且つ自動判定し、(モード1)もしもモードスイッチ84が本処理モード且つモニタスイッチ85が重畳無しの場合には、アップコンバータ回路基板91から1フレーム分のTV映像信号5を受取りTV映像入力基板51に出力し、更に超解像TV映像出力基板52から出力されてくる超解像処理後の1フレーム分の超解像TV映像信号12をデジタルTV映像信号入出力端子50に出力し、(モード2)もしもモードスイッチ84が本処理モード且つモニタスイッチ85が重畳有りの場合には、アップコンバータ回路基板91から1フレーム分のTV映像信号5を受取りTV映像入力基板51に出力し、次に、更に超解像TV映像出力基板52から出力されてくる超解像処理後の1フレーム分の超解像TV映像信号12にコンピュータ基板93から読込んだ情報を右上隅に重畳してデジタルTV映像信号入出力端子50に出力し、(モード3)もしもモードスイッチ84がテストモード且つモニタスイッチ85が重畳無しの場合には、アップコンバータ回路基板39から1フレーム分のTV映像信号5を受取り複製して一方をTV映像入力基板51に出力すると同時にもう1方を1フレーム分遅延させ、遅延させた方を横幅1/2に圧縮して1枚の画面の右半分に成る様にし、更に超解像TV映像出力基板52から出力されてくる超解像処理後の1フレーム分の超解像TV映像信号12を横幅1/2に圧縮して1枚の画面の左半分に成る様にして合成する事により1枚の画面の右半分が超解像処理前のフレームで左半分が超解像処理後のフレームとなる様に調整した1フレーム分のTV映像信号をデジタルTV映像信号入出力端子50に出力し、(モード4)もしもモードスイッチ84がテストモード且つモニタスイッチ85が重畳有りの場合には、アップコンバータ回路基板91から1フレーム分のTV映像信号5を受取り複製して一方をTV映像入力基板51に出力すると同時にもう1方を1フレーム分遅延させ、遅延させた方を横幅1/2に圧縮して1枚の画面の右半分に成る様にし、更に超解像TV映像出力基板52から出力されてくる超解像処理後の1フレーム分の超解像TV映像信号12を横幅1/2に圧縮して1枚の画面の左半分に成る様にして合成する事により1枚の画面の右半分が超解像処理前のフレームで左半分が超解像処理後のフレームとなる様に調整した1フレーム分のTV映像信号にコンピュータ基板93から読込んだ情報を右上隅に重畳してデジタルTV映像信号入出力端子50に出力する。
【0131】
F設定手段82は、地上デジタルTV80のTVモニタ106に映し出されるTV映像67の光学的な劣化度合いに応じた劣化示数2を設定するために用いるものであり、TV映像向け加速超解像処理装置40の手段W2に相当する。F設定手段82は10進数3桁の数字を設定可能なビットスイッチであり、データ及び電源はバスケーブル55を介して行い、且つ設定値が直接読める仕様のものが好適である。この仕様のものは、市場で入手可能である。
【0132】
I設定手段83は、最大反復演算回数1を設定するために用いるものであり、10進数3桁の数字を設定可能なビットスイッチであり、データ及び電源はバスケーブル55を介して行い、且つ設定値が直接読める仕様のものが好適である。この仕様のものは、市場で入手可能である。
【0133】
コンピュータ基板93は最新のウィンドウズ(登録商標)OS系コンピュータであり、C++言語の使用可能なPCマザーボードである。PCマザーボードには、各種I/O(Input/Output interface)、LAN端子98、USB端子99〜101、マイク端子、スピーカ端子などの外部接続端子を数多く有しており、また、価格もそれ程高価ではないため実施例2には好適である。PCマザーボードは市場で多くの種類が流通しており、16Gバイトなどの多量の高速メモリを搭載したハイエンドのものであれば何でも良い。また、C++言語は、PCマザーボード購入後にインストールしても良い。
【0134】
PSF準備手段構成プログラム94は、C++言語で記述されたプログラムであり、コンピュータ基板93に搭載されたCPUが読込んで実行可能なものであり、事前にインストールされPSF準備手段W3−3がコンピュータ基板93内のコンピュータに定義され、更に、PSF準備手段W3−3が参照する拡大PSFデータベース18がHDD95内に構成され、そして冷却ファン97の制御システムが定義される。PSF準備手段W3−3及び冷却ファン97の制御システムは、電源スイッチ87が投入されると、初期化後に自動実行される。しかし、これ等のPSF準備手段W3−3及び冷却ファン97の制御システムの制御システムは、ウィンドウズ(登録商標)OSが提供する環境の上で稼働しており、ウィンドウズ(登録商標)OSが提供する多様なインターフェースや機能はそのまま使用可能であり、LANやUSBを使用した通信は常時使用可能である。また、ウィンドウズ(登録商標)OSが提供する環境の上で稼働させる事により、高度な制御が可能と成り、第1セットトップボックス81内部の温度上昇による故障のリスクが低減できる。
【0135】
HDD95には、PSF準備手段構成プログラム94及び拡大PSFデータベース18の他、ウィンドウズ(登録商標)OS(図示せず)、C++(図示せず)などが搭載されている。HDD95は、1Tバイト以上の容量のもので、且つランダム高速読み書き可能なもので、且つバスインターフェース及び8Mバイト以上のバッファーを搭載しているもので、データ及び信号の送受信並びに電源の供給はバスケーブル55を介して行う仕様のものであれば何でも良い。市場には多くの種類があるが、スペースの関係上2.5インチサイズのものが望ましい。
【0136】
アップコンバータ回路基板91、TV映像入力基板51、超解像TV映像出力基板52及び超解像処理モード切替制御回路基板53はFPGAを用いて自作する必要があるが、アップコンバータ回路基板91及び電源回路基板96は、設計諸元を満たす様な既製品を市場で購入する事が可能である。
【0137】
図30は、第1セットトップボックス81のセットアップの状況の1例を図示したものである。
図30において、ユーザ60は、地上デジタルTV80のデジタルビデオ信号・音声入出力端子から伸びるデジタル信号ケーブル107を第1セットトップボックス81のデジタルTV映像信号入出力端子50に接続する。
【0138】
次に、ユーザ60は、まず、第1セットトップボックス81の電源スイッチ87をオンにして電源を入れ、次に、地上デジタルTV80の電源を入れ、地上デジタルTV80のチャンネルコマンダー108を用いて好みのチャンネルに合わせ、TV放送映像を地上デジタルTV80のTVモニタ106で確認しながら、モードスイッチ84をテストに、更にモニタスイッチ85を重畳有りに切り替えた。すると、TVモニタ106の右半分に超解像処理前のTV放送映像が流れ、そして左半分にデフォルト設定条件で超解像処理された後のTV放送映像が遅れる事無く流れ、TVモニタ106の右上隅にはデフォルト設定条件の最大反復演算回数の「I=6」、ボケ度合い「F=60」、「テストモード」という表示がTV映像に重畳している。
【0139】
次に、ユーザ60は、フレーム劣化が少なかったため、F設定手段82を用いて劣化示数2をデフォルトの256段階中60から30に設定し、I設定手段83を用いて最大反復演算回数をデフォルトの2回のままにして、略実時間処理による超解像処理後の画質の変化をTVモニタ106で確認した。この結果、大きな画質の変化は無く、デフォルト値以下で良い事が分かった。
【0140】
この後、ユーザ60は、略実時間処理による超解像処理後の画質の変化をTVモニタ106で確認しながら、F設定手段82及びI設定手段83を変化させて最適な画質の状態を探り出すことができる。1度、超解像処理条件(F設定手段82及びI設定手段83の設定値)が決定してしまえば、モードスイッチ84を切り替えて、TVモニタ106の画面全面で超解像処理後のTV放送映像を楽しめる。この状態であっても、超解像処理条件は変更可能である。
【0141】
図31は本発明者によるTV映像向け超解像処理方法の開発データに基づく反復演算回数とLSI規模との間の関係の1例を図示したものである。TV映像向け加速超解像処理方法に従うTV映像向け加速超解像処理装置40を応用した実施例1のTV映像向け加速超解像処理システム49及び実施例2の第1セットトップボックス81の最大反復演算処理回数1の標準は2回であり、
図31では、左端の点にあたる。
図31の左から2番目の点は、本発明者による従来法のTV映像向け超解像処理方法における最大反復演算処理回数の標準にあたり、その回数は6回である。
図31から明らかな様に、本発明者による従来法からTV映像向け加速超解像処理方法に変更すると、反復演算処理回数は1/3に成り、画像復元手段をFPGA化及びLSI化した際のゲート数は150万ゲートから7万ゲートへと大幅に削減できる。
【0142】
図32は、本発明者による従来法とTV映像向け加速超解像処理方法による超解像処理品質の比較の1例を示す図である。
図32の左の画像は未処理の劣化画像であり、カラー標準画像の輝度成分のみから成るものである。
図32の中央の画像はTV映像向け加速超解像処理方法によるものであり、映像ではなくフレーム1枚処理に改造した第1セットトップボックス81を使用して得たものであり、最大反復演算回数1は2回であり、劣化示数2は30である。
図32の右の画像は本発明者による従来法によるものであり、映像ではなくフレーム1枚処理に改造したセットトップボックスを使用して得たものであり、最大反復演算回数1は6回であり、劣化示数2は30である。
図32から、TV映像向け加速超解像処理方法によるものの方が本発明者による従来法によるものよりも超解像処理品質が良い事が分かる。この結果は、多くの実験結果と一致しており、TV映像向け加速超解像処理方法の超解像処理品質は本発明者による従来法と同等以上である事の1例である。
【0143】
図33は、標準画像の劣化程度と反復演算回数による超解像処理品質との間の関係の1例を示す図である。劣化示数2が30、54、74に相当する劣化程度の標準画像を準備し、映像ではなくフレーム1枚処理に改造した第1セットトップボックス81を使用してTV映像向け加速超解像処理方法により、最大反復演算回数1を2回及び3回として超解像処理を行った時に得られた超解像処理画像を、劣化示数2及び最大反復演算回数1に対してまとめたものが
図33である。
図33から、劣化示数2が30〜74の範囲であれば、最大反復演算回数1は最低2回であれば超解像処理品質は良好であり、劣化示数2及び最大反復演算回数1による影響は無視できる事が分かる。劣化示数2が30〜74の範囲は現状の地上デジタルTV映像では標準からかなり悪い範囲に当たり、TV映像向け加速超解像処理方法は地上デジタルTV映像の処理に好適な事が分かる。
【0144】
実施例3は、本発明によるTV映像向け加速超解像処理装置40の第2画像復元手段88を第3復元手段に変更したTV映像向け加速超解像処理装置40の第3の態様を応用した第2セットトップボックス109である。第2セットトップボックス109のハードウエアの構成は第1セットトップボックス81と全く同じである。第1セットトップボックス81と第2セットトップボックス109との違いは、F回路基板90に構成された手段が第2画像復元手段W88から第3画像復元手段へ変更になっただけである。このため、
図29を書き直して改めて示すことはしない。また、第1セットトップボックス81の外観と第2セットトップボックス109の外観との違いは、セットトップボックスの番号のみであり、事実上存在しないため、
図30を書き直して改めて示すことはしない。超解像処理品質上の違いも無く、
図28に示すものと同等の結果が得られる。