(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記真空力を加えることが、前記スロットダイの前記吐出端部に隣接して真空箱を配置することを含み、前記真空箱は、互いに反対側に、かつ、前記湿潤膜から上流に配置された一組の真空排気口を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
前記湿潤膜の厚さを制御する間、前記スロットダイに対して前記基板を動かし、前記スロットダイに対する前記基板の移動速度を一定に保つことをさらに含む請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
テスト試料における選択された検体を正確に分析する前述および既知の問題を考慮すると、テストエレメントへの試薬層の適用に改善の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
スロットダイを用いて湿潤膜を基板に塗布するためのシステム、装置、技術およびプロセスが提供される。一態様において、スロットダイの吐出端部の少なくとも一部の周りの空気圧が、基板に塗布される湿潤膜の幅や厚さを調節するために調整可能である。特に、この技術はスロットダイの吐出端部と基板との間のコーティングギャップを増し、その結果スロットダイと基板の間に入った破片によって引き起こされるストリークのような湿潤膜変形を減らす。コーティングギャップを増すことは、基板の厚さのバリエーションがコーティングプロセスに及ぼす影響も減らす。さらに、湿潤膜の幅と厚さを調節できることは、基板に沿った厚さの均一性を高め、基板がテスト試料における選択された検体の存在および/または濃度を測定するためのテストエレメントを形成するのに使用されている場合、結果的にロット間の一貫性とテストエレメントの精度を高める。
【0011】
一態様において、湿潤膜を基板に塗布する方法は、基板上に湿潤膜を形成するためにコーティング材をスロットダイの吐出端部から基板の移動ウェブ上に塗布することを含む。湿潤膜は基板に対する所定の幅と厚さを有する。またその方法は、湿潤膜の幅と厚さを調節するために、コーティング材を塗布しながら、スロットダイの吐出端部に隣接して真空力を加えることとリアルタイムに真空力を調整することも含む。
【0012】
前記態様の一改良例において、前記方法は湿潤膜の幅を検知することをさらに含み、所定値以外の値に相当する幅の測定に応じて真空力の調整を行う。
【0013】
前記態様の別の改良例において、所定値は約5mmである。
【0014】
前記態様の別の改良例において、所定値は約7mmである。
【0015】
前記態様の別の改良例において、所定値は約4.7mm〜約5.3mmである。
【0016】
前記態様の別の改良例において、所定値は約6.7mm〜約7.5mmである。
【0017】
前記態様の別の改良例において、基板はポリマー材料からなり、その上に複数の電極パターンが配置されてもよい。
【0018】
前記態様の別の改良例において、前記方法は、電極パターン上に湿潤膜を形成するために電極パターンの上方のスロットダイの吐出端部からコーティング材を塗布することをさらに含む。
【0019】
前記態様の別の改良例において、真空力を加えることは、スロットダイの吐出端部に隣接する真空箱を配置することを含む。真空箱は、互いに向かい合って、湿潤膜より上流に配置された一組の真空排気口を備える。
【0020】
前記態様の別の改良例において、その方法はスロットダイと移動ウェブとの間の一定のコーティングギャップを保持することをさらに含む。
【0021】
前記態様の別の改良例において、コーティングギャップは約40μm〜約450μmである。
【0022】
前記態様の別の改良例において、コーティング材はテスト検体の存在下で光学的シグナルまたは電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む。
【0023】
前記態様の別の改良例において、テスト検体はグルコースであり、試薬は酵素と補酵素と補因子のうち少なくとも1つを含む。
【0024】
別の改良例において、湿潤膜の厚さは約40μm〜約100μmである。
【0025】
別の改良例において、前記方法は基板上のコーティング材に乾燥層を設けるために、湿潤膜を乾燥することをさらに含む。コーティング材の乾燥層は約3μm〜約20μmの乾燥膜厚を含む。
【0026】
別の改良例において、真空力を加えることは吐出端部の上流側と下流側の圧力差を生じさせる。
【0027】
さらなる態様において、湿潤膜を基板に塗布するための装置は、基板に隣接して配置可能で、湿潤膜を形成するためにコーティング材を基板上に吐出可能な吐出端部を含む、スロットダイを含む。また前記装置は、コーティング材が基板上に吐出される時にスロットダイの吐出端部付近の空気圧を調節することによって、基板に対する湿潤膜の幅と厚さを調節するために操作可能な空気圧調節システムも含む。
【0028】
前記態様の一改良例において、空気圧調節システムは、前記スロットダイの吐出端部を少なくとも一部を覆うカバーとそのカバーに連結された真空ソースを含む。
【0029】
前記態様の別の改良例において、前記装置は湿ったストライプの幅を測定し、その幅を示す対応するセンサーシグナルを出すよう構成されたセンサーをさらに含む。また装置は、センサーシグナルが所定値以外の値に相当する幅を示す時、真空ソースによってカバーに加えられる真空量を調節するためのセンサーシグナルに反応するコントローラーを含む。
【0030】
前記態様の別の改良例において、所定値は約4.7mm〜約5.3mmである。
【0031】
前記態様の別の改良例において、所定値は約6.7mm〜約7.5mmである。
【0032】
前記態様の別の改良例において、真空ソースは湿潤膜から上流の位置でカバーに連結される。
【0033】
前記態様の別の改良例において、カバーは、互いに向かい合って配置された一組の真空排気口を含む。
【0034】
前記態様の別の改良例において、前記装置は、基板の移動ウェブをさらに含み、そのウェブはポリマー材料からなり、その上に複数の電極パターンが配置されてもよい。スロットダイは、電極パターン上に湿潤膜を形成するためにコーティング材が吐出端部から吐出可能となるように、電極パターンの上方に配置可能である。
【0035】
前記態様の別の改良例において、約40μm〜約450μmの範囲内のコーティングギャップは、スロットダイの吐出端部と基板の間に延びる。
【0036】
前記態様の別の改良例において、前記装置は、スロットダイに対して基板のウェブを移動させるために操作可能なローラーシステムをさらに備える。
【0037】
前記態様の別の改良例において、前記装置は、一定量のコーティング材を含むタンクをさらに備え、コーティング材はテスト検体の存在下で光学的または電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む。
【0038】
前記態様の別の改良例において、テスト検体はグルコースで試薬は酵素と補酵素と補因子のうち少なくとも1つを含む。
【0039】
別の態様において、湿潤膜を基板に塗布するための方法は、基板上に湿潤膜を形成するためにスロットダイの吐出端部からコーティング材を基板上に塗布すること、スロットダイの上流側と下流側の間にある圧力差を調節することによって基板に対する湿潤膜の厚さを調節すること、および湿潤膜の厚さを調節しながら、スロットダイの吐出端部と基板との間のコーティングギャップを一定に保つことを含む。
【0040】
前記態様の一改良例において、圧力差を調節することは、スロットダイの吐出端部の上流側付近で適用される真空量を変えることを含む。
【0041】
前記態様の別の改良例において、湿潤膜の幅が所定値以外の値であることを決定することに応じて、圧力差の調節は行われる。
【0042】
前記態様の別の改良例において、所定値は約2.5mm〜7.5mmである。
【0043】
前記態様の別の改良例において、前記方法は、湿潤膜の厚さを調節しながら、スロットダイを通るコーティング材の流速を一定に保持することをさらに含む。
【0044】
前記態様の別の改良例において、前記方法はスロットダイに対して基板を移動させること、および湿潤膜の厚さを調節しながらスロットダイに対する基板の移動量を一定に保持することをさらに含む。
【0045】
前記態様の別の改良例において、コーティングギャップは約40μm〜約450μmである。
【0046】
前記態様の別の改良例において、コーティング材はテスト検体の存在下で光学的シグナルまたは電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む。
【0047】
本出願の別の態様は、テスト試料における選択された検体の存在および/または濃度を測定するために有用なテストエレメントを形成するための独特の技術である。他の態様は、スロットダイコーティングプロセスに関連する、独特の方法、システム、デバイス、キット、アセンブリ、機器、および/または装置を含み、その中には試薬材料をテストエレメントに適用するのに使用されるものも含まれる。
【0048】
さらなる態様、実施形態、形式、特徴、利点、目的、優位点が、本明細書に記載の詳細説明と図によって明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の原理の理解を助けるために、図面で示された実施形態が参照され、具体的な言葉を使用してこれを説明する。とはいえ、それによって本発明の範囲は限定されず、例示されたデバイスのかかる変更およびさらなる修正と本明細書で例示される本発明の原理のさらなる適用は本発明に関連する技術における当業者が普通に思いつくと考えられることが理解される。
【0051】
スロットダイを使用してコーティング材の湿潤膜を基板に塗布するためのシステム、装置、技術およびプロセスが提供される。一態様において、スロットダイの吐出端部に隣接したおよび/または吐出端部の周囲の空気圧は、基板に塗布されているコーティング材の湿潤膜の幅と厚さを制御するために調節される。より具体的には、一形態において、真空ソースはスロットダイの上流側に適用され、真空ソースによって加えられた真空量は、必要に応じて、基板に塗布されているコーティング材の湿潤膜の幅と厚さを制御するために調節される。非限定例として、湿潤膜の幅と厚さを制御することは、一定値またはある範囲内の値の幅と厚さを保持することおよび/またはその幅と厚さを変えることを含み得る。一態様において、真空ソースの調節は、基板に塗布されたコーティング材の湿潤膜の幅が所定範囲外になったと判定された後、自動的に行われる。さらに、複数のテストエレメントが得られる基板材料のウェブへ試薬材料の形でコーティング材を塗布することに関連して、以下に記述される一方で、本明細書に開示されたシステム、装置、技術、プロセスは、1つまたは2つ以上の様々なコーティング材の1つまたは2つ以上の様々な種類の基板への塗布に関連して使用されてもよいことが理解されるべきである。本出願のさらなる態様および特徴は、以下に示した実施形態に関して説明する。
【0052】
図1を参照すると、複数のテストエレメントが得られる基板材料18のウェブ16へ試薬材料14の形で(例えば
図4を参照)コーティング材12を塗布するように構成されたスロットダイコーティング装置10が示されている。装置10は複数のローラー20a〜20cを備え、それによってウェブ16は送られる。より具体的には、例えばローラー20bに関して、ウェブ16が装置10によって送られる時、矢印Aが示すように時計まわりの方向に回転させられる。また装置10は、ローラー20bに隣接して配置されたスロットダイアセンブリ22と、導管21aによってスロットダイアセンブリ22に流体連結され、一定量のコーティング材12を保持するよう構成されたタンク21、および
図1に1つのみ示される導管23aによってスロットダイアセンブリ22に連結された真空システム23を備える。これらの特徴のさらなる詳細は
図2〜5に関連して下記に示す。
【0053】
より具体的には、スロットダイアセンブリ22は、スロットダイヘッド26と、スロットダイヘッド26と連動し、下記に示すとおり、真空システム23が連結されるハウジング28とを備える。スロットダイヘッド26は、下流バー32の反対に配置された上流バー30を備える。例えば
図4に示すように、スロットダイヘッド26は、ウェブ16に面する上流バー30上のほぼ平らな面31とウェブ16に面する下流バー32上のほぼ平らな面33を有する吐出端部35を備える。面31、33は同じ高さまたは面33が面31と比べてウェブ16の方へ突出するという形も考えられるが、図示された形では、面31は面33と比べてウェブ16の方へ突出している。スロット36は上流バー30と下流バー32の間に形成され、面31、33に隣接したスロットダイヘッド26を通って開く。スロット36は、通常、コーティング材12がスロットダイヘッド26を通って、ローラー20bとスロットダイヘッド26の間の配置されたウェブ16上に到達することを可能にする。一形態において、上流バー30と下流バー32は互いに対して調整可能に動かされ、その間に配置されたスロット36の寸法を変えることを可能にしてもよい。さらに、他の図示されていない形態において、上流バー30はそれに連結されたドリップビブを有してもよい。
【0054】
次にハウジング28を見ると、それは向かい合って配置された一組の側面パネル38、40を有し、側面パネル38は第1の端部42と第2の端部44の間に延び、側面パネル40は第1の端部46と第2の端部48の間に延びる。例えば
図2に示すように、側面パネル38は第1の端部42と第2の端部44の間に延びる凹状の面39を有する。さらに、側面パネル40も第1の端部46と第2の端部48の間に延びる、面39に類似した凹状の面41を有する。側面パネル38、40がローラー20bに対向して、またはごく接近して配置され得るように、面39、41の凹面はローラー20bの凸面に対応するように、通常は構成される。しかしながら、他の図示されていない形態において、面39、41の異なる構成が考えられる。例えば、
図3に示すように、上流バー30と下流バー32の一部は側面パネル38、40の間に、および第1の端部42と第2の端部44の間に、および第1の端部46と第2の端部48の間に配置され、それによってスロット36も、側面パネル38、40の間に、および第1の端部42と第2の端部44の間に、および第1の端部46と第2の端部48の間に配置される。クロスメンバー50は、ローラー20bに面するハウジング28の第1の面上で第2の端部44と48に隣接する側面パネル38と40の間に延びる。バックパネル51は反対側の第2の面上で側面パネル38と40の間に延びる。1つまたは2つ以上の図示されていない形態において、クロスメンバー50はくぼんだ部分を有し、それによってウェブ16はローラー20bに沿って動かされるように延びる。クロスメンバー50はまた、くぼんだ部分の向かい側があれば、ローラー20bに対向して、またはごく接近して配置され得る部分を有してもよい。
【0055】
前述されていないが、側面パネル38、40およびクロスメンバー50はローラー20bにごく接近して配置することができ、それによってほぼ囲まれた環境すなわちチャンバ58がスロット36より上流に備えられることが理解されるべきである。さらに下記に詳細に説明するように、スロットダイヘッド26の面31、33はウェブ16に比較的接近して配置される。同様にウェブ16に対するスロットダイヘッド26の配置とスロット36からのコーティング材12の吐出は、コーティング材12がウェブ16に塗布される時に、一般的に側面パネル38、40の第1の端部42、46に隣接したチャンバ58を囲う、または密閉する。前述から考慮して、コーティング材12がウェブ16に塗布される時、チャンバ58は周囲の環境からほぼ囲われる、または密閉されることが理解されるべきである。そのように密閉される形態も考えられるが、チャンバ58が周囲の環境から完全に密閉されることは必要ないことが理解されるべきである。むしろチャンバ58内の空気圧が周囲の環境に対して制御できるように、チャンバ58が周囲の環境から密閉されるか囲われることで概ね十分であり、さらなる詳細は下記に示される。例えば一形態において、ハウジング28は、約5μm〜約250μmの間隙がローラー20bと面39、41の間に延びるように、ローラー20bに対して配置されることが考えられる。ハウジング28がローラー20bに接触して配置される形態もまた考えられる。例えば、一形態において、側面パネル38、40の面39、41とクロスメンバー50は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または回転している間、側面パネル38と40とクロスメンバー50がローラー20bに対向して配置することを可能にする他の適切な材料から形成される。別の形態において、側面パネル38、40とクロスメンバー50がローラー20bにごく接近して、または隣接してその間の間隙を密封材が埋めて配置されるように、1つまたは2つ以上のゴム、シリコーン、または他の適切な密封材が面39、41とクロスメンバー50上に配置できる。
【0056】
また、ハウジング28は、一組の向かい合って配置された排気口60、62を有し、排気口は互いに向かい合ってスロットダイヘッド26から上流でチャンバ58に通じる。図示された形態において、排気口60、62は、導管23aによって真空システム23と連結され、真空システム23はチャンバ58の空気圧を調節するのに操作可能である。より具体的には、例えば
図5を参照して、チャンバ58における空気圧を調節するために使用され得る真空システム23に関する1つの非限定形式の概略図が提供される。真空システム23は、導管76によってバッフルタンク74と流体連結するブロワ72を含む。ブロワ72は空気をブロワの方向に引き寄せ、バッフルタンク74から出るよう概ね構成され、真空を生成する。他の図示されていない形態において、真空はブロワ72に加えて、またはブロワ72の代わりに、ポンプまたは他のソースを使用して生成できることが考えられる。導管23aはバッフルタンク74から延び、ハウジング28の排気口60、62に連結される。同様に、ブロワ72によってバッフルタンク74に適用される真空は、バッフルタンク74から導管23aを通ってチャンバ58へ移すことができる。またシステム23は、ハウジング28の排水口と排水タンク84に連結され、その間を延びる導管82を備え、ハウジング28で集められるどんな液体も排水するために操作可能である。
【0057】
システム23はブロワ72とバッフルタンク74との間に配置され、ブロワ72が動作している時、導管76にある真空力と連絡する流量調節弁86をさらに備える。ブリーザー88は調節弁86に隣接して配置され、調節弁86の特定の動作に応じて導管76の中に外気を入れるよう操作できる。例えば、一形態において、真空システム23は、いくつかの非限定的な可能性を与えるために、導管76、バッフルタンク74、またはチャンバ58における真空力の強度またはレベルを測定するよう構成された、1つまたは2つ以上のセンサーを備えてもよく、調節弁86は、システム23の真空力のレベルを調節するために、導管76に入る外気の量を調節する前記1つまたは2つ以上のセンサーに反応してもよい。この形態または他の形態において、またシステム23は、ブロワ72の動作を調節するよう構成された、周波数インバータードライバのような1つまたは2つ以上のコントローラーを含んでもよく、それによってブロワ72によって生成された真空量または真空力は、1つまたは2つ以上のセンサーによって測定された真空準位(vacuum level)に応じて調節される。上記のとおり、真空システム23の図示された形態は非限定で、システム23に関して他の形態と配置が可能で、検討されることがさらに理解されるべきである。
【0058】
再び
図4を参照して、ウェブ16上にコーティング材12を塗布して湿潤膜15をウェブ16上に形成することに関するさらなる詳細をここで説明する。明確さを高めるために、ハウジング28とローラー20bは
図4に示されないことが理解されるべきである。さらに次のパラメーターと説明は、試薬材料14の形でコーティング材12をウェブに塗布することに用いられる。同様に、下記のプロセスパラメーターの代替的な値が、他の形態のコーティング材12との使用に関して、または他の変化の発生時に、本明細書に記載のスロットダイコーティング技術に適用されてもよいことが理解されるべきである。さらに、下記のパラメーターは、湿潤膜15の所望の厚さTと幅W(
図6)が下記の値から変わると、変わってもよいことも理解されるべきである。
【0059】
スロットダイヘッド26の吐出端部35は、ウェブ16にごく接近して配置され、コーティングギャップCGはその間に延びる。1つの非限定的な形態において、コーティングギャップCGは約20μm〜約600μmである。別のより特定の形態において、コーティングギャップCGは約40μm〜約450μmである。さらに、別のより特定の形態において、コーティングギャップCGは約40μm〜約200μmである。しかしながら、コーティングギャップCGの代替的な値は可能であり、検討されること、およびコーティング材12のレオロジーと重さ、ウェブ16の表面張力と速度、ローラー20bの半径、スロットダイヘッド26の上流バー30と下流バー32の長さ、スロットダイヘッド26のインレットギャップと長さ、もしあれば下流バー32に対する上流バー30の角度によって影響され得ることが理解されるべきである。
【0060】
試薬材料14を塗布するための一形態において、スロット36は、側面パネル38、40間に約4mm〜約10mmの幅を有する。試薬材料14を塗布するための別のより特定の形態において、ハウジング28の側面パネル38、40の間のスロット36の幅は5mmである。試薬材料14を塗布するための別のより特定の形態において、ハウジング28の側面パネル38、40の間のスロット36の幅は7mmである。さらに、ハウジング28の側面パネル38、40の間のスロット36の幅の他の値が可能である。さらに、スロット36は、上流バー30と下流バー32との間に約100μm〜約300μmの高さ37を有する。スロット36の幅が5mmまたは7mmである特定の形態において、高さ37は約250μmである。例えば
図4に示すように、スロットダイヘッド26は、吐出端部35がそれに隣接して配置される場所において、ウェブ16に対してほぼ直角に延びる。しかしながら、他の形態において、スロットダイヘッド26はウェブ16に対して斜めに延びてもよいことも検討される。さらに、例えば
図1でよくわかるように、スロットダイヘッド26はローラー20bの中央軸25に対して斜角の方向に置かれ、一形態において、それは約10度〜約25度であるが、他のバリエーションもまた考えられる。
【0061】
上記のように、ウェブ16は、装置10のローラー20a〜20cによってスロットダイアセンブリ22に対して動かされる。一形態において、ウェブ16は、約35.0m/min〜約45.0m/minの速さで、スロットダイアセンブリ22に対して動かされる。別のより特定の形態において、ウェブ16は、約38.0m/min〜約44m/minの速さで、スロットダイアセンブリ22に対して動かされるが、ウェブ16が動かされる速さの他のバリエーションは、本明細書で開示の方法と装置の特定の適用に対して、コーティングの所望の幅と厚さによって、また吐出されたコーティング材の流速によって、検討される。例えば、対象文書の「実施例」セクションにより詳細に説明している特定の実験のコーティングプロセスにおいて、ウェブはスロットダイアセンブリに対して、約8.0m/min〜約12.0m/minの速さで、より具体的には約10.0m/minの速さで動かされた。
【0062】
ウェブ16がスロットダイアセンブリ22に対して動かされる時、コーティング材12は、非限定的な例として、1つまたは2つ以上のポンプ、ピストン、シリンジ、またはブラダーシステムを使用して、タンク21からスロットダイヘッド26へ送られる。コーティング材12はスロットダイヘッド26を通して押し出され、吐出端部35でスロット36から出て、例えば
図6に示すように、ウェブ16に対して幅Wと厚さTを有する湿潤膜15を形成するために基板18のウェブ16に塗布される。一形態において、吐出端部35からのコーティング材12の吐出量は約10.0mL/min〜約20.0mL/minである。別のより特定の形態において、吐出端部35からのコーティング材12の吐出量は約12.0mL/min〜約18.0mL/minである。別の形態において、吐出端部35からのコーティング材12の吐出量は約15.0mL/min〜約18.0mL/minである。さらに、吐出端部35から吐出されるコーティング材12の吐出量の他のバリエーションも考えられ、特に本明細書に開示する方法と装置の特定の適用に対するコーティングの所望の幅と厚さに、また、ウェブ16がスロットダイヘッド22に対して動かされる量によっても決まる。例えば、対象文書の「実施例」セクションにより詳細に説明している特定の実験のコーティングプロセスにおいて、スロットダイヘッドからのコーティング材の吐出量は約2.0mL/min〜約4.0mL/minであった。
【0063】
一形態において、湿潤膜15の目標とする幅Wは約4mm〜約8mmである。より特定の形態において、湿潤膜15の目標とする幅Wは約5mm〜約7mmである。別のより特定の形態において、湿潤膜15の目標とする幅Wは約4.7mm〜約5.3mmである。さらに別のより特定の形態において、湿潤膜15の目標とする幅Wは約6.7mm〜約7.5mmである。さらに一形態において、湿潤膜15の目標とする厚さTは約20μm〜約200μmである。別のより特定の形態において、湿潤膜の目標とする厚さTは約40μm〜約100μmである。しかし、湿潤膜15の目標とする幅Wと厚さTの別の値も考えられることが理解されるべきである。
【0064】
また
図4は、第1の圧力P1がスロットダイヘッド26の下流に存在し、第2の圧力P2はスロットダイヘッド26の上流に存在することを示す。より具体的には、第1の圧力P1は装置10の周りの周囲空気圧を示し、一方で、第2の圧力P2はハウジング28のチャンバ58における空気圧を示す。真空システム23が真空力をチャンバ58に加える時、第2の圧力P2は第1の圧力P1より小さく、第1の圧力P1と第2の圧力P2の違いはコーティングの真空度(coating vacuum)を決める。一形態において、コーティングの真空度は、約1水柱インチ(0.2491kPa)〜約10水柱インチ(2.4908kPa)である。別の形態において、コーティングの真空度は、約2水柱インチ(0.4982kPa)〜約9水柱インチ(2.2417kPa)である。さらに別の形態において、コーティングの真空度は、約1水柱インチ(0.2491kPa)〜約6水柱インチ(1.4945kPa)である。さらに別の形態において、コーティングの真空度は約1水柱インチ(0.2491kPa)〜約4水柱インチ(0.9963kPa)である。しかしながら、コーティングの真空度の他の値が考えられ、対象文書の範囲内であることが理解されるべきである。
【0065】
驚くべきことに、コーティングの真空度の調整は、ウェブ16に塗布される湿潤膜15の幅Wと厚さTをリアルタイムに調節するために用いることができることが発見された。より具体的には、真空システム23によってチャンバ58に加えられた真空力の量の増加は、真空力の量の増加後にウェブ16に塗布されたコーティング材12によって形成される湿潤膜15の幅Wの増加にほぼつながる。さらに、非限定的な例によって、湿潤膜15の幅5.0mmの0.3mmの変化は、湿潤膜15の厚さTの6%の変化につながる。同様に、チャンバ58に加えられた真空力の量を調節することによって湿潤膜15の幅Wを調節することは、ウェブ16に沿った湿潤膜15の厚さTを調節する有効な方法である。さらに、このようにして湿潤膜15の厚さTを調節できることは、ウェブ16に沿った湿潤膜15の厚さTにおける相対的な一貫性と均一性の達成と保持のためにより良い方法を与える。同様に、ウェブ16から得た各テストエレメントは、試薬材料14のより均一な厚さTを有し、それによって完成したテストエレメントのロット間の一貫性が増す。
【0066】
湿潤膜15の幅Wと同様に厚さTの一貫性と均一性を保持するための1つの非限定的な方法について、
図7のシステム100の概略図に関連付けてここで説明する。より具体的には、システム100は真空システム23を含む装置10を備え、それらそれぞれは上述した。またシステム100は、装置10によって湿潤膜15がウェブ16に塗布された後、湿潤膜の幅Wを判定するためのセンサー110を備える。センサー110の他の形態は考えられるが、一形態において、センサー110はデジタルカメラのような光学センサーであってもよい。またセンサー110は、湿潤膜15の判定された幅Wに対応するセンサーシグナルを生成するために動作可能で、センサーシグナルを第1のコントローラー120に送る。第1のコントローラー120は、センサー110によって判定された湿潤膜15の幅Wが所定値以外の値または所定の値の範囲以外の値に相当するかどうかを判定するようプログラムされ、その場合、次の方程式に基づいた湿潤膜15の目標とする厚さTを達成するために湿潤膜15の幅Wが変更されなければならないことを示す、対応するコントローラーシグナルを第2のコントローラー140へ送る。
【数1】
【0067】
一形態において、幅Wの所定値は5mmである。別の形態において、幅Wの所定値は7mmである。さらに別の形態において、幅Wの所定の値の範囲は2.5mm〜約7.5mmである。別の形態において、幅Wの所定の値の範囲は約4.7mm〜約5.3mmである。さらに別の形態において、幅Wの所定の値の範囲は約6.7mm〜約7.5mmである。しかしながら、幅Wの所定の値または所定の値の範囲の他のバリエーションが可能であることが理解されるべきである。
【0068】
第2のコントローラー140は、湿潤膜15の幅Wが変更されなければならないことを示すコントローラーシグナルを第1のコントローラー120から受け取ることに対応して、および/またはハウジング28のチャンバ58に適用されている実際の真空量が、コントローラー140によって判定された真空システムに適用されるべき真空量に相当しないことを示すセンサーシグナルを真空センサー130から受け取ることに対応して、真空システム23によって適応される真空量を調節するようほぼプログラムされる。前述を考慮して、非限定的な例によって、システム100は自動で、およびリアルタイムに、ウェブ16に塗布される湿潤膜15の幅Wおよび同様に厚さTを調節できることが理解されるべきである。より具体的には、センサー110が判定した湿潤膜15の幅Wが所定値または所定の値の範囲に一致しない場合、真空システム23が適用した真空量が、湿潤膜15の幅Wを所定値または所定の値の範囲内になるよう、必要に応じて自動的に調節される。特に、こうして湿潤膜15の幅Wを自動的に調節することによって、ウェブ16に沿った湿潤膜15の均一で一貫性のある厚さTをもたらし、それにより、試薬材料14の場合、湿潤膜15が塗布されるウェブ14から得られる個々のテストエレメント間の一貫性を増す。
【0069】
前述に加えて、驚くべきことに、湿潤膜15の厚さTを調節するためにチャンバ58に適用される真空量を調節することは、湿潤膜15が乾燥した後に形成される試薬層の幅において、試薬材料14のより均一な厚さ分布となることが発見された。より具体的には、
図8は、湿潤膜の幅Wと厚さTを調節するために真空力を加えないで、また103〜114μmの範囲内のコーティングギャップCGを使用して、ウェブ16上に形成された試薬材料14の乾燥したストライプの幅における試薬材料14のFRT非接触表面形状測定装置を使用して形状測定によって測定された厚さ分布のグラフである。一方、
図9は、湿潤膜の幅Wと厚さTを調節するために真空力を加えて、また190μmの一定のコーティングギャップCGを使用して、ウェブ16上に形成された試薬材料14の乾燥したストライプの幅における試薬材料14の厚さ分布のグラフである。
図8と9を比較することによってわかるように、湿潤膜の幅Wと厚さTを調節するための真空力の適用は、試薬材料14の乾燥したストライプの幅において、試薬材料14のより均一な一定の厚さTをもたらす。
【0070】
図8および9のグラフの作成において使用されたFRT非接触表面形状測定装置の設定は以下のとおりであった。
・スキャン:試薬ストライプを横切る一次元(X軸のみ)。
・データポイント数:スキャン幅の両方とも2000。
・スキャン幅:試薬ストライプの幅に応じて7.0か9.0mm。試薬ストライプはスキャンの範囲内で中央に置かれる。
・スキャン時間:約11.7秒(最大スキャン速度で2000ポイント)。
・最小強度:30〜100レンジ。
・最大作動距離:3.0mm。
・作動距離:装置ベース面から1.7mm〜1.8mm。公称PET膜の厚さ10milを差し引いて、1.45〜1.55mm。
・X−Y面における測定スポット直径:1〜2ミクロンレンジ(作動距離による)。
・Z軸に沿った表面変位分解能:10nm。
【0071】
当業者には理解されるように、Dektak III表面形状測定装置のような他の表面形状測定装置はそうした種類の測定に同等に適している。
【0072】
さらに、前述されていないが、チャンバ58に適用される真空量を調節することによって湿潤膜15の幅Wと厚さTを調整することは、ウェブ16に対してスロットダイヘッド26を動かす必要性もなくし、それによってコーティング材12がウェブ16に塗布される時、一定のコーティングギャップCGを、前記スロットダイヘッド26とウェブ16との間に保持することができることも理解されるべきである。さらに、湿潤膜15の幅Wと厚さTがチャンバ58に適用される真空量を調節することによって調整される時、スロットダイヘッド26を通るコーティング材12の一定の流速とスロットダイヘッド26に対するウェブ16の一定の速度も保持することができる。同様に、本明細書に記載の方法は、湿潤膜15の幅Wと厚さTを調節するために、単一のプロセスパラメーターを変更することを便宜上求めるだけである。
【0073】
前述されていないが、装置10および/またはシステム100が、湿潤膜15の形成前または後のいずれかに、ウェブ16を処理するために有用な付加的な機能を備えられることが理解されるべきである。例えば、一形態において、装置10は湿潤膜15の乾燥を促し試薬材料14の層を形成する乾燥機または乾燥機構も備える。一形態において、試薬材料14の乾燥した層は、基板18に対して約1〜20μm、約3〜20μm、または約2〜10μmの厚さを有するが、試薬材料14の乾燥した層の厚さの他の値もまた考えられる。また装置10は、コーティング材料12の塗布のためにウェブ16を下処理および/または加工するための1つまたは2つ以上の洗浄装置または他のコンポーネントを備えてもよい。また1つまたは2つ以上の切断装置を、湿潤膜15を形成し、乾燥した後、ウェブ16を複数のテストエレメントに切断するために装置10に備えることができる。一形態において、テストエレメントは約20mm〜約50mmの長さと、約5mm〜約15mmの幅を有する。より特定の形態において、テストエレメントは約33mm〜約38mmの長さと約7mm〜約9mmの幅を有する。
【0074】
上記の通り、コーティング材12の塗布に関する上述は、複数のテストエレメントが得られる基板材料18のウェブ16上の試薬材料14の湿潤膜層の形成に関連付けて行われた。テストエレメントは、一旦形成されると、試料液内の検体を評価するのに有用なシステムに使用できる。一形態において、検体評価は、検体の存在の検出から検体の濃度の測定までにわたることができる。検体と試料液は、それぞれに対してテストシステムが適切であるもののいずれであってもよい。非限定的な例によって、一実施形態が下記に示され、検体がグルコースで、試料液が血液または間質液である。しかしながら、様々な試料液の他の検体の評価も考えられる。
【0075】
テストエレメントは、試料液の試料受容チャンバを含む電気化学的センサーを備え、試薬材料14は、テスト検体の存在下で電気化学的シグナルを生成するのに適切である。一形態において、テストエレメントは使い捨てのテストスリップの形である。テストエレメントは、試料液における検体の判定のための計測器とともに使用される。計測器は、従来テストエレメント上の電極との接続を有し、検体の濃度に対応する電気化学的シグナルを評価する電気回路を有する。また計測器は、試料液がテストエレメントによって受け取られたこと、また試料液の量が検査に十分であることを決定するための手段を有してもよい。計測器は通常、分析の結果を保存し表示する、あるいは別個の装置にデータを与えることができる。また光学センサー(すなわち検体の存在下に光学シグナルを生成するために試薬材料とともに構成されたセンサー)は、本明細書の記載に従って、電気化学的シグナルに類似して、生成されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0076】
テストエレメントは様々な検体の特定に有用であり得ることが考えられる。例えば、テストエレメントは、検体の存在を評価するために使用できる任意の適切な化学的性質(化学品)を有する試薬材料14との使用に容易に適合されるように構成されてもよい。1つの具体的な形態において、テストエレメントは体液における検体の検査のために構成され、使用される。例えば、かかる検体は、グルコース、コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、乳酸塩、乳酸脱水素酵素、アルコール、尿酸、3−ヒドロキシ酪酸(ケトン体)などであってよい。検体が評価できる生体液の非限定的な例には、間質液、皮膚液、汗、涙、尿、羊水、髄液、血液のような、検体が測定できる体液を含む。本明細書との関連において、「血液」の用語は、全血と無細胞コンポーネント、すなわち血漿と血清を含む。テストエレメントがグルコースの検査のために構成される時、試料液は具体的には例えば、指先から採取したまたは承認された別の部位(例えば前腕、手のひら、耳たぶ、上腕、ふくらはぎ、大腿部)から採取した新鮮な毛細血管血、および新鮮な静脈血を含んでもよい。さらに、テストエレメントはまた、試験のためのシステムの完全性を検証するのに従来のやり方で使用されるコントロール液と関連させることもまた有用かもしれない。
【0077】
評価される検体を含む体液を得て、テストエレメントに送るのはどのようなやり方であってもよい。例えば、血液試料は、ランセットを使用するなどして皮膚を切開し、皮膚表面に出てきた液体とテストエレメントを接触させることによる従来のやり方で採取してもよい。一態様において、テストエレメントは、非常に少ない液体試料を使用するだけでターゲットとなる検体を評価するのに使用可能である。同様に、一形態において、検査に必要な液体の量を生成するために、わずかな皮膚の切開のみが必要で、そうした方法に伴う痛みや他の懸念は最小限に抑えられるか、または取り除くことができる。
【0078】
試薬材料14の層が配置されるウェブ16から形成されるテストエレメントはいくつかの基本コンポーネントを有する。より具体的には、テストエレメントは、検査のために試料液を受容するチャンバを画定する小体を含む。この「試料受容チャンバ」は適切な手段によって試料液で満たされることができ、適切な手段とは例えば毛管現象などで、任意に圧力や真空によって補助できる。試料受容チャンバは、試料液中の検体を示す電気化学的シグナルを生成するのに適切な電極と化学品を含む。
【0079】
例えば
図10を参照すると、ウェブ16の一部が示され、ウェブ16は複数の電極システム150a〜150eを含む。電極システムはウェブ16の図示された部分から形成された、テストエレメントにそれぞれ個別に含まれる。電極システム150a〜150eのそれぞれは複数の電極と導体パッドで終止する電極トレースを含む。試薬材料14の層17の一部は、電極システム150a〜150eのそれぞれ一部を覆う。同様に、ウェブ16上で電極システム150a〜150eの形成後、試薬材料14がウェブ16に適用されることが理解されるべきである。さらに、電極システム150a〜150eと、それらが使用されるテストエレメントとシステムの他の態様に関するさらなる詳細は、米国特許第7,727,467号明細書に記載があり、その内容は全体を参照することによって本明細書に含まれる。また
図10に示すように、試薬層17は、ウェブ16の図示された部分の長さに沿って、ウェブ16上に配置された電極システム150a〜150eのそれぞれを越えて細いストライプのように延びる。
【0080】
ウェブ16の基板材料18は絶縁材料からなり、その上に電極システム150a〜150eが配置される。典型的に、ビニールポリマー、ポリイミド、ポリエステル、スチレンのようなプラスチックは、必要とされる電気特性および構造特性を備える。さらに、テストエレメントは、ロール状の材料から大量に生成可能であり得るため、材料特性としては、ロール加工に対して十分な柔軟性があることが適切で、一方で完成したエレメントに有用な剛性を与えることが望ましい。基板材料18は、高温ポリエステル材料を含むポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、またはこれらの2つまたは3つ以上の混合物などの柔軟性のあるポリマー材料として選択できる。ポリイミドは市販されていて、例えば、デラウェア州ウィルミントン市のイー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(デュポン)の商品名Kapton(登録商標)がある。基板材料18の1つの具体的な可能性は、デュポン社から入手できるMELINEX(登録商標)329である。
【0081】
テストエレメントは、電気化学的酸化および還元反応によって、検体の存在の検出および/または検体の濃度の測定をするよう構成されている。これらの反応は、検体の量または濃度に相関性がある電気シグナルに変換される。同様に、各テストエレメント上の電極システムは、例えば少なくとも作用電極と対電極などの一組の測定電極を含み、それらは試料受容チャンバの中に配置される。試料受容チャンバは、チャンバに入る試料液が、作用電極と対電極の両方と電解接触して配置されるよう構成される。これによって、検体の電気酸化または電気還元を起こすために、電流は測定電極の間を流れることが可能になる。
【0082】
「作用電極」は、酸化還元メディエーターの作用によって、または酸化還元メディエーターの作用なしに検体が電気酸化される電極または電気還元される電極であり、「対電極」の用語は本明細書では、作用電極と組み合わされた電極であって、作用電極を通る電流と同じ大きさで、また逆に電気化学的電流を通す電極のことを言う。また「対電極」の用語は、参照電極(すなわち対/参照電極)として機能する対電極を含むことを意味する。
【0083】
作用電極と対電極と電極システムの残りの部分は様々な材料から形成されてもよい。一態様において、それらの電極は、比較的低い電気抵抗を有し、テストエレメントの作動範囲で、電気化学的に不活性であるべきである。作用電極に適した導体は金、パラジウム、白金、炭素、チタン、二酸化ルテニウム、インジウムスズ酸化物、イリジウムなどを含む。対電極は同じ材料または例えば銀/塩化銀などの異なる材料から作製されていてもよい。1つの具体的な実施形態では、作用電極と対電極の両方が金の電極である。
【0084】
電極は、十分な導電性と完全性を持つ電極をもたらす任意の方法で、基板材料18に適用されてもよい。例示的なプロセスは、単なる非限定的な可能性だが、スパッタリングと印刷を含む。1つの具体的な形態において、金の電極は、電極システムを生成するために、基板材料18をコーティングし、そのコーティングの選択された部分を除去することによって設けられる。コーティング部分を除去する1つの具体的な方法はレーザーアブレーションを含み、より具体的には広範囲のレーザーアブレーションを含み、それは米国特許第7,073,246号明細書に開示され、その内容は全体を参照することによって本明細書に含まれている。
【0085】
レーザーアブレーション技術は典型的に、例えば絶縁材料にコーティングされたまたは積層された金属層の金属ラミネートなどの絶縁材料および導電材料を含む、単一の金属層または多層の構成を切断することを含む。金属層は、金属導体である純金属、合金、または他の材料を含んでもよい。金属または金属に類似した導体の例には、アルミニウム、炭素(例えばグラファイト)、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムとして)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン(例えば高度にドープされた多結晶シリコン)、銀、タンタル、錫、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、それらの混合物、およびこれらの材料の合金または固溶体を含む。一態様において、これらの材料は、本質的に生物系に対して非反応性であるものが選択され、これの非限定的な例は金、白金、パラジウム、イリジウム、銀、またはこれらの金属の合金、またはイリジウム酸化錫を含む。金属層は任意の所望の厚さであってもよく、1つの具体的な形態においては約500nmである。
【0086】
電極システムは、テストエレメントおよび対応する計測器の動作に適した様々な構成を有してもよい。一形態において、作用電極と対電極は、それらを覆うのに必要な試料液の量を最小限に抑えるように配置され、寸法を合わせられる。さらに電極は、比較的安価な携帯型計測器を使用して測定できるのに十分な大きさの電流を保持するよう構成されてもよい。
【0087】
さらなる例によって、1つの具体的な形態は、作用電極の両側の周りに延びる対電極を含む。したがって対電極は2つのエレメントを有し、試料液が試料受容チャンバに入る時、一方のエレメントは作用電極の前にあり、他方のエレメントは作用電極の後ろにある。より具体的に、対電極は試料受容チャンバに広がるエレメントを含む。これらのエレメントのそれぞれは幅が約250μmである。作用電極のエレメントは幅が約250μmで、それぞれ2つの対電極のエレメントから約255μm距離をあけて配置されている。しかしながら、前述は測定電極のいくつかの構成のうちの単なる1つであることが理解されるべきである。
【0088】
電極トレースと導体パッドは、テストエレメントに対して、意図された機能に一致した様々な方法で設置されてもよい。その電極システムのこれらのコンポーネントは、電極と同じ材料で構成されてもよいし、そして電極の適用と同じように、また同時に、ベース基板に適用される。1つの具体的な実施形態において、電極トレースと導体パッドは金で、レーザーアブレーションによって形成される。具体的には米国特許第7,073,246号明細書に記載があり、上記に参照によって含まれた。しかしながら、別の材料と適用方法が使用されてもよい。
【0089】
試薬材料14は、試料液における検体の存在を示す電気化学的シグナルを生成するためにテスト検体と反応するように作用可能である。試薬層17は、様々な検体の存在および/または濃度を特定するために選択された様々な活性成分を含むことができる。したがって、検査化学品は評価される検体に関して選択される。当該技術分野でよく知られているように、様々な検体のそれぞれに利用可能な多くの化学品がある。例えば、1つの具体的な形態において、試薬層17は酵素、補酵素、補因子のうち1つまたは2つ以上を含むことができ、それらは血液中のグルコースの存在を特定するために選択できる。検体がグルコースである場合のより具体的な形態において、試薬材料14の活性成分はグルコースのための酵素のようなオキシドレダクターゼを典型的に含み、任意に補酵素または補因子、および酸化還元メディエーターを含む。これらのコンポーネントは典型的にはマトリックス中に溶解されるか、懸濁させられる。液体テスト試料は、マトリックス中に水和するか溶解し、検体はマトリックス中に拡散し、1つまたは2つ以上の活性成分と反応する。典型的には、酵素はテスト試料中のグルコースを酸化し、グルコノラクトンまたはグルコン酸にする。次に、メディエーターは還元酵素と反応するか、または還元酵素を酸化させ、その結果、メディエーターはそのプロセスで還元される。還元メディエーターはテストストリップ上の電極の1つで検知できる。血中グルコースの存在を特定するための試薬材料14の具体的な形態に関するより具体的な詳細は、米国特許第7,727,467号明細書に記載があり、その内容はその全体を参照することによって上記に含まれた。
【0090】
従来の方法において、試薬材料14は、その様々な特性や特徴を高めるために、様々なアジュバントを含んでもよい。例えば、上記に引用された米国特許第7,749,437号明細書を参照する。例えば試薬材料14は、試薬材料14がウェブ16上に配置されるのを促し、ウェブ16への付着を高めるため、または試料液による試薬材料14の水和率を上げるための材料を含むことができる。さらに、試薬材料14は、結果として生じる乾燥した試薬層の物理的特性と、分析のために液体テスト試料の取り込みを高めるために選択されたコンポーネントを含むことができる。試薬材料14とともに使用するアジュバント材料の例には、増粘剤、粘性調節物質、塗膜形成要素、安定剤、緩衝材、洗浄剤、ゲル化剤、充填材、フィルムオープナー、着色剤、チクソ性付与剤を含む。
【0091】
試薬材料14に含むことができる増粘剤の非限定的な例は、(1)でんぷん、ガム(例えば、ペクチン、グアーガム、ローカストビーン(イナゴマメ種子)ガム、コンニャクガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、寒天)、カゼイン、ゼラチン、およびフィココロイド;(2)セルロースおよび半合成セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース);(3)ポリビニルアルコールおよびカルボキシビニル(carboxy-vinylite);および(4)ベントナイト、ケイ酸塩、コロイドシリカを含む。より具体的な増粘剤の形態は、CPケルコ(米国)社のケルトールFの商品名で販売されているキサンタンガムとハーキュリーズ社(Hercules Inc.)のAqualon部の商品名AQUALON(登録商標) CMC 7F PHで販売されているカルボキシルメチルセルロースの混合物を含む。
【0092】
試薬材料14に含むことができる膜形成剤とチクソ性付与剤はポリマーとシリカを含む。1つの具体的なチクソ性付与剤は、デグサ社による商品名Kieselsaure Sipemate FK 320 DSで販売されているシリカを含み、1つの具体的な膜形成剤はBASFによるpolyvinylpyrrolidone Kollidon 25の商標名で販売されているポリビニルピロリドンとプロピオン酸ポリビニル分散液を含む。
【0093】
試薬材料14の酵素の安定剤は、糖類とモノ−またはジ−脂肪酸塩から選択できる。より具体的な安定剤には、シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)による商品名D(+)−トレハロース二水和物(D-(+)-Trehalose dihydrate)で販売されているトレハロースとコハク酸ナトリウムを含む。
【0094】
試薬材料14に含むことができる洗浄剤の非限定的な例は、水溶性石鹸、水溶性合成表面活性化合物を含み、水溶性合成表面活性化合物には、脂肪硫酸塩、アルカリ塩、アルカリ土類塩、または高脂肪酸の任意に置換されたアンモニウム塩を含む。高脂肪酸とは例えばオレイン酸またはステアリン酸、例えばココナツまたは脂油由来の天然脂肪酸の混合物、脂肪硫酸塩、スルホン酸のエステル、アルキルスルホン酸の塩、脂肪酸のタウリン塩、脂肪酸アミド、エステルアミドなどである。洗浄剤のより具体的な形態は、エステルアミドのDojindo Molecular Technologies, Inc.によるMega-8の商品名で販売されているn−オクタノイル−N−メチルグルクアミドと、脂肪酸塩のRhodia HPCII (Home, Personal Care and Industrial Ingredients)によるGeropon T77の商品名で販売されているN−メチルオレイルタウレートナトリウム塩を含む。
【0095】
一形態において、試薬材料14は、試薬層17の物理的特性を高めるために増粘剤とチクソ性付与剤を含む粘性溶液として示される。増粘剤は、その中に均一に分散した残りのコンポーネントを有する液体マトリックスを粘度の高いものにするために選択される。また増粘剤とチクソ性付与剤は、それが配置され、乾燥する前に、液体または半ペースト材料がウェブ16の表面上を流れたり広がったりすることを抑える。試薬材料14は配置された後、すぐに乾燥し、水和性マトリックスになる。
【0096】
電気化学的技術とともに使用するよう構成され、本明細書に開示された技術に従って適用できる試薬材料層を含むテストエレメントの一例は、ACCU-CHEK(登録商標) Avivaテストストリップであって、米国特許第7,727,467号明細書でより十分に説明され、その開示はその全体を参照することによって上記に含まれている。この例示的なテストエレメントはインディアナ州のインディアナポリスのロシュ・ダイアグノスティックス社によって米国で流通されている。
【実施例】
【0097】
以下の実施例は例示目的のもので、本明細書に開示の発明を、実施例で開示されている実施形態のみに限定するものではない。
【0098】
実施例1
以下の実施例は、試薬材料14のウェブ16への塗布に関連する流速、コーティングギャップ、および真空パラメーターの間の関係を例示するために提供されている。下記の実施例A〜Gのそれぞれは、コーティングギャップが試薬材料14の複数の異なる流速で増やされ、基板がスロットダイヘッドに対して約10m/minの速さで動かされる時、湿潤膜の幅7mmを維持するために適用されなければならない真空を示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】
図11は、実施例A〜Gのそれぞれのパラメーター間の関係のグラフをさらに示す。上記のように、これらの例は本明細書に開示の発明を限定するものとして見なされない。さらに、これらの例で開示された1つまたは2つ以上の値は、ウェブ速度および/または試薬の流速のような様々なプロセスパラメーターが変化するにつれて変化してもよいことも理解されるべきである。
【0107】
一実施形態において、コーティング材をスロットダイ装置を使用して塗布するための技術は、基板に塗布されているコーティング材の湿潤膜の幅と厚さを調節するために、スロットダイの吐出端部の少なくとも一部の周りの空気圧を調節することを含む。特にこの技術によってスロットダイの吐出端部と基板の間のコーティングギャップを増やすことを可能にし、それは例えばスロットダイと基板の間に入った破片によってついたストリークのような湿潤膜の変形を減らすことにつながる。また、増やされたコーティングギャップは、基板の厚さのバリエーションがコーティングのプロセスに及ぼす影響を減らす。さらに、湿潤膜の幅と厚さを調節できることは、基板に沿った厚さの均一性および湿潤膜の幅方向の厚さの均一性を増し、その結果、テスト試料における選択された検体の存在および/または濃度を測定するためにテストエレメントを形成するのに基板が使用される場合に、テストエレメントにおけるロット間の一貫性と正確性が増す。いかなる特定の形態にも限定されないで、この実施形態の一態様において、コーティング材は、血液のような体液におけるグルコースの存在および/または濃度を検出するための試薬材料を含む。しかしながら、他の態様において、コーティング材はスロットダイコーティングプロセスを用いた塗布に適するいかなる材料でもあり得ることが理解される。
【0108】
別の実施形態において、基板上に細く切れ目なく続くストライプ状の、幅約9mm未満で厚さが約100μm未満のコーティング材の湿潤膜を形成するための方法は、基板上のコーティング材の湿潤膜の幅と厚さを調節するために、スロットダイの吐出端部の少なくとも一部の周りの空気圧を調節することを含む。この実施形態の一態様は、コーティング材の湿潤膜の幅と厚さが調節される時に、コーティング材の流速、スロットダイと基板間のコーティングギャップ、スロットダイに対する基板の速さのうち1つまたは2つ以上を一定に保持することを含む。この実施形態の別の態様において、湿潤膜の幅と厚さの調節は、湿潤膜の一定した幅と厚さを保持すること、および湿潤膜の幅と厚さを変えることのうち1つまたは両方を含む。さらに別の態様において、スロットダイの吐出端部の少なくとも一部の周りの空気圧は、基板にすでに塗布された湿潤膜の一部が所定値に一致しないまたは所定値の範囲内でない幅を有することの判定に応じて、自動的に調節される。この態様の一形態において、次に塗布された湿潤膜が所定値に一致する、または所定の値の範囲内の幅を有するように、空気圧は自動的に調節される。
【0109】
本発明は、図や前述の説明で詳述され、これは例示的で、特性において限定するものではなく、わずかの実施形態のみが示され、説明され、本発明の精神の中にあるすべての変更と修正が保護されるべきであることが理解される。上記の説明で使用された好ましい、好ましくは、より好ましいのような言葉の使用は、そう表現された特性がより望ましい可能性があることを示し、とはいえその言葉は不要かもしれず、それがない実施形態は本発明の範囲内として考えてもよく、その範囲は後述の請求項によって明示される。請求項を読む際に、「1つの」「少なくとも1つの」または「少なくとも一部」のような表現が使用される時、請求項においてそれとは異なることが具体的に述べられない限り、請求項を単なる1つの項目に限定する意図はない。「少なくとも一部」および/または「一部」の表現が使用される時、その項目は、それとは異なることが具体的に述べられない限り、項目の一部および/または全体を含み得る。
【0110】
以下に本発明の実施形態を列記する。
【0111】
1. 湿潤膜を基板に塗布する方法であって、
前記基板上に、前記基板に対する幅と厚さを有する前記湿潤膜を形成するために、スロットダイの吐出端部から前記基板の移動ウェブ上に、コーティング材を塗布すること、
前記スロットダイの前記吐出端部付近で真空力を加えること、および
前記湿潤膜の前記幅と厚さを制御するために、前記コーティング材を塗布する間、リアルタイムに前記真空力を調節すること
を含む方法。
【0112】
2. 前記湿潤膜の前記幅を検知することをさらに含み、前記幅が所定値以外の値と判定されると前記真空力の調節が行われる実施形態1の方法。
【0113】
3. 前記所定値が約5mmである実施形態2の方法。
【0114】
4. 前記所定値が約7mmである実施形態2の方法。
【0115】
5. 前記所定値が約4.7mm〜約5.3mmである実施形態2の方法。
【0116】
6. 前記所定値が約6.7mm〜約7.5mmである実施形態2の方法。
【0117】
7. 前記基板が、複数の電極パターンの配置が可能なポリマー材料から形成される実施形態1の方法。
【0118】
8. 前記電極パターン上に前記湿潤膜を形成するために、前記スロットダイの前記吐出端部から吐出される前記コーティング材を前記電極パターンに塗布することを含む実施形態7の方法。
【0119】
9. 前記真空力を加えることが、前記スロットダイの前記吐出端部に隣接して真空箱を配置することを含み、前記真空箱は、互いに反対側に、かつ、前記湿潤膜から上流に配置された一組の真空排気口を備える実施形態1の方法。
【0120】
10. 前記スロットダイと前記移動ウェブの間のコーティングギャップを一定に保持することをさらに含む実施形態1の方法。
【0121】
11. 前記コーティングギャップが約40μm〜約450μmである実施形態10の方法。
【0122】
12. 前記コーティング材が、テスト検体の存在下で電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む実施形態1の方法。
【0123】
13. 前記テスト検体がグルコースであり、前記試薬が、酵素、補酵素および補因子のうち少なくとも1つを含む実施形態12の方法。
【0124】
14. 前記湿潤膜の前記厚さが約40μm〜約100μmである実施形態1の方法。
【0125】
15. 前記基板上に前記コーティング材の乾燥した層を設けるために、前記湿潤膜を乾燥させることを含み、前記コーティング材の前記乾燥した層は約3μm〜約20μmの厚さを有する実施形態1の方法。
【0126】
16. 前記真空力を加えることが、前記吐出端部の上流側と下流側との間に圧力差を生じさせる実施形態1の方法。
【0127】
17. 湿潤膜を基板に塗布するための装置であって、
前記基板に隣接して配置可能で、前記湿潤膜を形成するために前記基板上にコーティング材を吐出可能である吐出端部を有するスロットダイと、
前記コーティング材が前記基板上に吐出される時、前記スロットダイの前記吐出端部付近の空気圧を調節することによって、前記基板に対する前記湿潤膜の幅と厚さを制御するように動作可能な空気圧調節システムと
を備える装置。
【0128】
18. 前記空気圧調節システムは、前記スロットダイの前記吐出端部の少なくとも一部を覆うカバーと、前記カバーに連結された真空ソースを有する実施形態17の装置。
【0129】
19. 前記湿潤膜の前記幅を判定し、前記幅を示す対応するセンサーシグナルを出すよう構成されたセンサーと、
前記センサーシグナルが所定値以外の幅を示す時、前記真空ソースによって前記カバーに適用される真空量を調節するための前記センサーシグナルに反応するコントローラーと
をさらに備える実施形態18の装置。
【0130】
20. 所定値が約4.7mm〜約5.3mmである実施形態19の装置。
【0131】
21. 所定値が約6.7mm〜約7.5mmである実施形態19の装置。
【0132】
22. 前記真空ソースが前記湿潤膜より上流の位置で、前記カバーに連結される実施形態18の装置。
【0133】
23. 前記カバーが互いに反対側に配置された一組の真空排気口を有する実施形態22の装置。
【0134】
24. 前記基板の移動ウェブをさらに備え、前記ウェブはポリマー材料から形成され、その上に複数の電極パターンが配置される実施形態17の装置。
【0135】
25. 前記湿潤膜を前記電極パターン上に形成するために、前記スロットダイが前記電極パターンの上方に配置可能で、それによって前記コーティング材は前記吐出端部から吐出可能である実施形態24の装置。
【0136】
26. 約40μm〜約450μmの範囲のコーティングギャップが前記スロットダイの前記吐出端部と前記基板の間に延びる実施形態17の装置。
【0137】
27. 前記スロットダイに対して前記基板が移動するように動作可能なローラーシステムをさらに備える実施形態17の装置。
【0138】
28. 前記スロットダイの前記吐出端部と流体連結したタンクをさらに備え、前記タンクが一定量の前記コーティング材を含み、前記コーティング材がテスト検体の存在下で電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む実施形態17の装置。
【0139】
29. 前記テスト検体がグルコースで、前記試薬が酵素、補酵素、補因子のうち少なくとも1つを含む実施形態28の装置。
【0140】
30. 基板に湿潤膜を塗布する方法であって、
前記基板上に前記湿潤膜を形成するために、スロットダイの吐出端部から吐出されたコーティング材を前記基板に塗布すること、
前記スロットダイの上流側と下流側との間の圧力差を調節することによって、前記基板に対する湿潤膜の厚さを制御すること、および
前記湿潤膜の前記厚さを制御する間、前記スロットダイの前記吐出端部と前記基板の間のコーティングギャップを一定に保つこと
を備える方法。
【0141】
31. 前記圧力差の調節は、前記スロットダイの前記上流側付近に適用された真空量を変えることを含む実施形態30の方法。
【0142】
32. 前記圧力差の調節が、前記湿潤膜の幅が所定値以外の値であることを判定することに応じて行われる実施形態30の方法。
【0143】
33. 前記所定値が約2.5mm〜7.5mmである実施形態32の方法。
【0144】
34. 前記湿潤膜の厚さを制御する間、前記スロットダイに対して前記基板を動かし、前記スロットダイに対する前記基板の移動量を一定に保つことをさらに含む実施形態30の方法。
【0145】
35. 前記湿潤膜の厚さを制御する間、前記スロットダイを通る前記コーティング材の流速を一定に保つことをさらに含む実施形態30の方法。
【0146】
36. 前記コーティングギャップが約40μm〜約450μmである実施形態30の方法。
【0147】
37. 前記コーティング材が、テスト検体の存在下で電気化学的シグナルを生成するための試薬を含む実施形態30の方法。