特許第6126611号(P6126611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6126611真空動力式工具の非線形圧縮/拡張を有するベローズのための挿入体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126611
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】真空動力式工具の非線形圧縮/拡張を有するベローズのための挿入体
(51)【国際特許分類】
   F16J 3/04 20060101AFI20170424BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20170424BHJP
   B66C 1/02 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   F16J3/04 B
   B25J15/06 H
   B66C1/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-538751(P2014-538751)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-532844(P2014-532844A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】SE2012050994
(87)【国際公開番号】WO2013062463
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】1150984-1
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】509201816
【氏名又は名称】セレス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】テル,ペーター
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−249773(JP,A)
【文献】 実開平05−051581(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 1/00−10/04
B25J 15/06
B66C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空動力式工具のためのベローズ内部に取り付け可能で、取り付け位置では、前記ベローズの中へ導入される陰圧によって引き起こされる前記ベローズのその長手方向への圧縮の容量を局所的に制限するのに有効なベローズ挿入体(25)であって、当該ベローズ挿入体は、前記ベローズの前記内部と相補の形状を有していて前記ベローズ挿入体の取り付け位置では前記ベローズの周囲の限定された区域内の当該ベローズの襞の一部又は全部を充填している係合部分(26)を備えており、前記係合部分(26)は第1端と第2端の間を延びている、ベローズ挿入体(25)において、前記係合部分(26)が、前記第1端に、前記ベローズ挿入体の前記ベローズに対する回転固定のための固定部材(29)を有しており、前記固定部材は、貫通チャネル(28)を備えて形成されていて前記ベローズ挿入体の前記取り付け位置では前記ベローズに係合する真空接続用具の中に回転固定式に受け入れられるように形成されているピン(29)を備えている、ことを特徴とするベローズ挿入体(25)。
【請求項2】
前記ピン(29)は、前記ベローズの中心に、前記係合部分(26)の前記第1端から内方に突き出る屈曲可能で弾性のあるさね(27)によって担持されている、請求項1に記載のベローズ挿入体。
【請求項3】
前記係合部分(26)は、前記第2端に、前記ベローズ挿入体の前記ベローズに対する軸方向定着のための、前記ベローズの自由端へ連結可能であって屈曲可能で弾性のあるヒンジ(33)を介して前記係合部分(26)の前記第2端へ接続している(32)の形態をした定着部材(32)、を備えている、請求項1又は2に記載のベローズ挿入体。
【請求項4】
前記板(32)は、前記ベローズ挿入体への器具の取り付けのための装着部(15)を有している、請求項3に記載のベローズ挿入体。
【請求項5】
前記装着部(15)は、前記器具への陰圧供給のための貫通チャネルを有している、請求項4に記載のベローズ挿入体。
【請求項6】
前記係合部分(26)は、縦断面には、連続した歯状又は正弦波状の外部を有している、請求項1乃至5の何れか1項に記載のベローズ挿入体。
【請求項7】
前記係合部分(26)は、横断面には、円形の横断面を有するベローズの内部に適合させた部分的に円形の外部を有している、請求項1乃至6の何れか1項に記載のベローズ挿入体。
【請求項8】
前記係合部分(26)は、横断面には、多角形の横断面を有するベローズの内部に適合させた直線状の外部を備えている、請求項1乃至の何れか1項に記載のベローズ挿入体。
【請求項9】
鋳込みによって一体に形成されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載のベローズ挿入体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、真空動力式工具に関する。より厳密には、本発明は、真空源へ接続可能であるベローズであって、ベローズの中が陰圧になる結果として自身の長手方向に圧縮されるように且つ陰圧が止むと元の長さへ弾性的に戻るように配設されているベローズ、を有する真空動力式工具に関する。更なる態様では、本発明は、真空動力式工具のためのベローズの中へ別途導入可能であるベローズ挿入体に関する。
【背景技術】
【0002】
真空動力式工具には、工具に隣接して配設されているエジェクタ又は幾つかの把持器具のために働く中央に配設されたエジェクタ又はポンプである真空源から、陰圧が供給される。真空源には、真空動力式工具が取り扱おうとしている物体との係合を吸引効果によって生成するために吸着カップの様な器具が接続されていることがある。
【0003】
凸凹した表面又は傾いた表面を有する物体を取り扱うために採用される真空動力式工具では、吸着カップはベローズとして形成されていることがある。ベローズの可撓性及び圧縮性が物体の形状又は位置に対する適応を可能にし、物体とベローズとの間又は物体とベローズへ連結されている吸着カップの様な器具との間に必要な封止を得ることができるようにしている。ベローズの可撓性は、脆弱な又は変形し得る表面又は材料の取り扱いでも有利であり、従ってベローズは真空動力式工具ではよく利用されている構成要素である。
【0004】
この目的のベローズは、ゴム又は合成ゴム混合物で製造することができ、円形の横断面を有している場合が最も多いが、多角形の横断面を有していることもあろう。典型的に、ベローズは、互いに積み重ねられて縦断面に歯状又は正弦波状の外形を形成している複数の平板形状の輪の外周によって作り出される均一な直径寸法を有している。ベローズは、それらの構造の結果として、捩じれ抵抗性ではあるが、それ以外の点では全般的に可撓性である。但し、ベローズに陰圧が導入されると、ベローズは典型的には基本的に直線軸方向の圧縮を被り、そうして、陰圧が止むと、ベローズをその元の長さに復帰させることを目的とした本来備わるばね力によって、その元の形状に戻るようになっている。
【0005】
ベローズを備えて配設されている真空動力式工具は、物品又は梱包品を選別したり拾ったりするのに採用される場合が多い。しかしながら、様々な種類の物品及び梱包品は、陰圧を用いて、また吸引効果によって、把持させるには等しく適しているというわけではない。そのため、堅い梱包品から柔らかい梱包品へ変わると、ベローズ及び/又はベローズへ接続されている器具を、挟む、締め付ける、固定する、など、の様な別の形式の係合を行使する器具で置き換える必要を余儀なくされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明により、真空動力式工具において、とりわけ、吸引効果によって把持させるのに適さない様な物体又は梱包品も取り扱えるよう真空動力式工具の適用及び能力を拡大するように形成されているベローズを備えて配設することのできる真空動力式工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、真空源へ接続可能なベローズを備えている真空動力式工具において、当該ベローズは、ベローズの中が陰圧になる結果として自身の長手方向に圧縮されるように且つ陰圧が止むと元の長さへ弾性的に戻るように配設されており、ベローズの自由端には器具用の装着部が配設されている、真空動力式工具によって成就される。ベローズの圧縮容量は、局所的に限定されるので、それにより、陰圧時のベローズは制御された非線形圧縮を被るように仕向けられ、その結果、器具装着部、及び装着部に取り付けられている器具がある場合には当該器具は、横向きのストローク運動で駆動される。
【0008】
この解決策により、器具からの異なった型式の係合を要する異なった種類の取り扱い物体間の入れ替え時の既存工具の簡単調節が獲得される。
【0009】
本解決策は、円形の横断面を有するベローズを利用することによって適用することができ、その場合、断面の或る角度間隔内では、ベローズの襞の一部又は全部は圧縮に抗って相互に固定される。
【0010】
本解決策は、多角形断面を有するベローズを利用しても同様に適用することができ、その場合、ベローズの少なくとも1つの辺では、ベローズの襞の一部又は全部が圧縮に逆らって相互に固定される。
【0011】
どちらの場合も、ベローズの襞は、ベローズの周囲の限定された区域内で、ベローズの中に固定式に定着されているか又は一体に形成されているベローズ襞の充填物によって圧縮に抗って相互に固定されることになる。
【0012】
当該充填物は、ベローズの内部へ装着されているのが好ましいが、代わりに、ベローズの外部へ装着されていてもよい。
【0013】
代わりに、ベローズの襞は、ベローズの周囲の限定された区域内では、ベローズの中へ導入可能であってベローズへの損傷無しに取り付け取り外しできるように形成されている別個の挿入体を用いることによって圧縮に抗って相互に固定されるようにしてもよい。挿入体は、ベローズの内部と相補の形状を有していて、ベローズ内部のその取り付け位置でベローズの襞を充填している。挿入体は、ベローズ内部に回転に関して固定式に取り付け可能であるのが望ましい。この解決策によれば、真空動力式装置は、ベローズを装置から取り外す必要無しに、代わりの動作モードに再調節できる。
【0014】
ベローズの自由端の器具装着部は、器具の漏出防止取り付けのために形成されている。ベローズでの器具の装着部は、例えば、器具とベローズへ密に接続されている端壁の間の封止式ねじ継手又はスナップイン接続を備えている。この事例では、器具装着部は端壁を貫通している開口を備えるものとしてもよく、当該開口部は器具の端壁へのねじ込みのための雌ねじ部を備えて作られていてもよい。
【0015】
或る好適な実施形態では、ベローズは、ベローズの自由端から突き出る腕部のための装着部を備えて配設されており、腕部の自由端には、衝撃、把持、又は締め付けの用具が配設されている。当該用具は、取り扱い物体への異なった作用型式に合わせて様々に異なる設計が与えられていてもよい。
【0016】
一例として、物体の外部又は物体の内部に対する締め付けを含む用途での、腕部がその自由端に摩擦要素を支持している実施形態が挙げられる。別の実施形態では、物体の捕獲又は保持を含む用途で腕部はその自由端に爪を支持している。例示としての第3の実施形態は、例えば取り扱い物体の横表面相手に吸引効果による係合を確立させようとする用途での、その自由端に担持される吸着カップに開口する貫通チャネルを有する腕部を含んでいる。
【0017】
本発明は、2つ又はそれ以上のベローズが、圧縮時にそれら各々の器具を互いに押し付け合う向き又は互いから離れる向きのストローク運動で駆動するために、配設され向き付けられている実施形態に実現されているのが好都合である。そうするに当たり、器具の運動は、ベローズの中へ導入される陰圧の共通制御又は個別制御によって同時又は順次に起こるように適切に連携されている。
【0018】
本発明の或る追加の態様では、目的は、真空動力式工具のためのベローズ内部に取り付け可能である挿入体であって、取り付け位置では、ベローズの中へ導入される陰圧によって引き起こされるベローズのその長手方向への圧縮の容量を局所的に制限するのに有効である挿入体によって成就される。ベローズ挿入体に含まれている係合部分は、ベローズの内部と相補である形状を有していて、ベローズ挿入体の取り付け位置ではベローズの周囲の限定された区域内のベローズの襞の一部又は全部を充填している。
【0019】
当該係合部分は、第1端と第2端の間に延びていて、第1端には、ベローズ挿入体のベローズに対する回転固定のための部材を備えている。固定部材は、貫通チャネルを備えて形成されているピンであって、ベローズ挿入体の取り付け位置で、ベローズに係合する真空接続用具を回転固定式に受け入れるように形成されているピン、を備えている。ピンは、ベローズの中心に、係合部分の第1端から内方に突き出る屈曲可能で弾性のあるさねによって担持されている。
【0020】
第2端には、ベローズ挿入体の係合部分は、ベローズ挿入体のベローズに対する軸方向定着のための部材を備えている。当該定着部材は、ベローズの自由端へ連結可能である堅い板であって、屈曲可能で弾性のあるヒンジを介して係合部分の第2端へ接続している堅い板、を備えている。板は、器具のベローズ挿入体への取り付けのための装着部を有している。装着部は、装着部に取り付けられた器具への陰圧供給のための貫通チャネルを有していてもよい。
【0021】
縦断面には、ベローズ挿入体の係合部分は、連続的歯状又は正弦波状の外部を有しているのが好ましい。
【0022】
横断面には、ベローズ挿入体の係合部分は、円形の横断面を有するベローズの内部に適合させた部分的に円形の外部を有しているか、又は代わりに、多角形の横断面を有するベローズの内部に適合させた直線状の外部を有している。
【0023】
ベローズ挿入体は、熱可塑性合成材料の様な鋳込み可能な材料で作られ、一体成形されているのが好ましい。
【0024】
本解決策での詳細事項の上記に説明されている実施形態は、既存の工具を異なる必要性に適応させるために、又は取り扱われる物体への異なった作用型式に合わせて、様々に相互に組み合わせて利用することができよう。
【0025】
本発明の一例としての実施形態は、以下に、添付の概略図面を参照しながら、より詳細に解説されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】先行技術により作用するベローズを含んでいる真空動力式工具を示している。
図2】制御された非線形圧縮を有するベローズを備えている本発明による真空動力式工具を示している。
図3A】本発明による真空動力式工具の代わりのセットアップの断面図を示しており、ベローズは静止位置にある。
図3B図3Aと同じく本発明による真空動力式工具の代わりのセットアップの断面図を示しており、ベローズは作動位置にある。
図4A】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4B】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4C】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4D】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4E】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4F】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図4G】本発明による真空動力式工具に採用されるように形成されている多数の器具の集まりのうちの1つを示している。
図5】本発明による真空動力式工具のベローズのための別個の挿入体の側面図を示している。
図6図5のベローズ挿入体の断面を示している。
図7図5及び図6によるベローズ挿入体の上端の端面図を示している。
図8】ベローズ挿入体を取り付けられたベローズの断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、全体を符号1で示された真空動力式工具の従来式ベローズの当業者に周知の典型的な動作モードが描かれている。
【0028】
ベローズ2は、ホルダ3によって担持されていて、ホルダ自体は、通常、可動式であり、ベローズによって把持される物体へ作用するように制御される。ホルダへは、真空源が接続されていて、真空源から陰圧がベローズの中へベローズの連結端の開口部を介して導入されるようになっている。真空源は、ホルダに一体化されているエジェクタ4としてもよいが、代わりに、ホルダの外に設置されているポンプ又はエジェクタであって、そこから陰圧がベローズまで管を介して導かれるようになっていてもよい。ベローズの自由端は、物体の表面との気密接触のための封止リング5を備えて形成されている。封止リング5は、ベローズと一体化されていることもあれば、ベローズへ連結可能な別個のリング又は吸着カップとされていることもある。
【0029】
ベローズの中へ導入された陰圧がベローズの基本的に直線状の圧縮を引き起こしている状態が、図1に、実線で示されている(解り易くするために把持されている物体は省略されている)。ベローズがその元の形状へ拡張し、通常の圧力がベローズ内部で優勢になっている、ベローズ静止位置での状態が点線で示されている。
【0030】
当業者が本発明を理解する上で、ベローズの構造について冒頭に説明されていること以上の解説は必要ない。
【0031】
図2には、本発明により、従来式ベローズとは動作モードの異なるベローズ11を備えて配設されている真空動力式工具10が示されている。ベローズ11の静止の位置は、やはりここでも点線で示され、ベローズの圧縮位置は実線で示されている。図2に見られる様に、ベローズ11の中へ導入された陰圧が誘因となって、ベローズは非線形圧縮を被り、その間に、ベローズの自由端12は、幾何学的中心線CLから側方向きのストローク運動Sで駆動される。ベローズ11の、ベローズの制御された非線形圧縮を実行する手段が、以下に、図3を参照してより詳細に解説されている。
【0032】
図3は、2つのベローズ11が協働するように配設されている真空動力式工具を示している。より具体的には、図3Aは、ベローズの静止の位置を示し、一方、図3Bはベローズの圧縮状態又は作動位置を示しており、当該状態では、ベローズ11はベローズ各々の自由端に取り付けられている器具13の間に締め付けられる物体相手に2面係合を提供している。
【0033】
ベローズ11を特徴付ける制御された非線形の圧縮は、ベローズ中に装着されているか又は一体に形成されている、ベローズの襞の充填物14によって提供される。この充填物14は、ベローズの襞の相互固定を提供し、ベローズの周囲の限定された区域でのベローズの軸方向圧縮を効率的に防止する。それぞれの個別の場合によって、ベローズの周方向への充填物の延在は、ベローズ材料の本来備わっている伸縮性及びベローズの可撓性に適合させなくてはならない。ガイドライン値として、充填物は円形横断面のベローズ横断面の最大でも90°を覆うものとし、またその延在は好適には大凡30−60°の角度間隔に及ぶものとする、と想定してもよいであろう。換言すると、ベローズにおける陰圧時、充填物は、もたらされる圧縮を、ベローズの圧縮容量に対する充填物の影響が最小であるか又は存在しないベローズの反対側に集中させる。同時に、起こり得るベローズの内側体積の減少が制限されるので、ローズ11の最大圧縮を実現するのに要する脱気は体積的に小さくて済むことになり、それを利用すれば、ベローズに取り付けられている器具がある場合に当該器具の比較的速い運動を生じさせることができる。
【0034】
対応する充填物は、代わりに、ベローズの外部へ設置され、ベローズの襞の間の空間を完全に埋めるものとして配設されていてもよい。充填物は、代わりに、ベローズの外部へ設置され、ベローズの襞の周囲を相互に固定するように配設されていて、当該接続ではベローズの襞の間の空間を部分的にしか充填しない、というのであってもよい。とはいえ、充填物14はベローズの内部に装着されているのが好ましい。どの場合にも、充填物はベローズの製造時に一体に形成することができよう。
【0035】
充填物14の或る好都合な実施形態は、ベローズの中へ導入可能であって追加の手段無しにベローズに取り付け及び取り外しできる別個の挿入体を含んでいる。その様なベローズ挿入体を、以下に、図5図8を参照してより詳細に説明してゆく。
【0036】
再度図3A及び図3Bを参照して、器具13の運動のためにベローズ11の非線形圧縮が採用されている。器具13は、ベローズの自由端に取り付け可能であり、自由端はこの目的につき器具装着部15を有している。器具装着部15は、陰圧がベローズ内部に優勢になったときに周囲の空気が吸い込まれないように器具13のベローズ11への気密取り付けを提供するように形成されている。図3の例示としての実施形態では、器具装着部15は、器具のねじの切られた端16を締めることのできる雌ねじの切られた穴として作られている。適切なら、封止リング(図面には示されていない)が、器具と器具装着部の間に装着されていてもよい。当該穴は端板17に陥凹していて、ベローズの自由端の内部に形成されているフランジ18が気密式に受け入れられる周囲溝を有している。適切なら、器具へ固定式に定着又は形成されているカラー19(図3B)を、ベローズの端に当接するように配設させ、器具とベローズの間の継手の安定性増加を図ってもよい。
【0037】
取り付け位置で、器具13は、腕部20の形態をしてベローズの長手方向に延びている。腕部の自由端には、取り扱い物体相手にどの型式の係合が適しているかによって形状が様々である部材が担持されている。図3A及び図3Bの例示としての実施形態では、部材は板21の形態に実現されており、板21は、腕部へ固定されていて、物体を板21の間に締め付けるために相互に向き合う方向へ器具13を駆動させるときの摩擦増加及び把持向上のためにローレットが切られている。
【0038】
図4A図4Gを参照すると、ベローズの非線形圧縮によって提供されるストローク運動を利用するように形成されている器具の更なる例が示されている。
【0039】
然るに、図4A図4Eは、衝撃、締め付け、又は把持の用具として形成されていて、目的に応じたふさわしい形状をしているリップ(4A)、杓子(4B)、又は爪(4C)を有している、器具の代わりの実施形態を示しており、一方、図4F及び図4Gは、物体を吸引効果によって把持するように形成されている器具を示している。より厳密には、図4F及び図4Gによる器具は、腕部20であって、その端に担持される吸着カップ23に開口している貫通チャネル22を有する腕部20として作られている。最初ベローズが圧縮して吸着カップを物体との当接へ至らせ、するとベローズ内の圧力降下が吸着カップ内部の空気の抜けをもたらすことになるのを、チャネルの中の固定された絞り24が保証する。
【0040】
本発明による真空動力式工具では、2つ又はそれ以上のベローズ11は、ベローズの中へ導入される陰圧の共通制御又は個別制御によって同時又は順次に各器具を駆動するべく連携されていていよう。
【0041】
図3A及び図3Bは、2つのベローズ11が、圧縮時に、それら各々の器具を、物体の外部に係合させるように互いに押し付け合う向きのストローク運動で駆動するために配設され向き付けられている装置を示しているとしても、ベローズは、代わりに、器具を、中空物体の内部に係合するよう互いから離れる向きの運動で駆動するように、180°向きを変えられていることもあるものと評価している。
【0042】
協働ベローズの他の実施可能な組合せの中には、3つのベローズを120°の相互角度距離を有する三角形に配設させた1つの実施形態が挙げられる(図面には示されていない)。3つのベローズは、各自の装着されている器具を外方に又は中心に向かって内方に曲がるように向き付けることができる。器具は、内回転位置では卵型又は球状の物体を下から把持する碗を形成するように、杓子(図4B)として作られていてもよい。
【0043】
図5図8を参照して、これより、従来のベローズの中へ導入可能である別個の挿入体であって、導入位置で、ベローズの中へ陰圧が導入されたときのベローズの制御された非線形圧縮を実行する挿入体を説明してゆく。
【0044】
ベローズ挿入体25は、取り付け位置で、ベローズの内部に沿って走るように形成されている係合部分26を備えている。係合部分26は、ベローズの内部と相補の形状を有しており、取り付け位置で、ベローズの襞の間の空間を充填している。係合部分の外部は、図6に示されているやり方では正弦波状であるが、代わりに、ベローズの内部へ適合させた別の形状を有していてもよい。
【0045】
ベローズ挿入体25は、ベローズに対して回転固定式に定着されるように形成されている。この目的につき、ベローズ挿入体は、係合部分の第1端に配設されている固定部材、より厳密には屈曲可能で弾性のあるさね27に担持されている固定部材を有しており、さね27は第1端から突き出ていて固定部材をベローズの中心の位置に保持している。固定部材は、貫通チャネル28を備えて形成されているピン29であって、ベローズ挿入体の取り付け位置で、ベローズをホルダ3へ連結し真空源と連通させる接続用具30(図2)に導入されるように配設されているピン29であってもよい。その様な真空接続用具は、典型的には、陰圧をベローズの中へ導くチャネル31を有している。従って、ベローズ挿入体との回転固定式係合は、例えば、相互回転を防止する形状を有する接続用具に通されるピン29及び当該チャネル31によって実現させることができよう。ピンの外部は、例えば、ナットとして形成され、一方、真空接続用具のチャネルは、六角頭レンチの導入に適するように形成されていてもよい。
【0046】
ベローズ挿入体25は、更に、ベローズの自由端に気密式に定着されるように形成されている。この目的につき、ベローズ挿入体は、ベローズの自由端へ連結可能であって屈曲可能で弾性のあるヒンジ33を介して係合部分26の第2端へ接続している堅い板32の形態をした定着部材を有している。板32は、上述のやり方では、ベローズ挿入体をベローズの内部から内向きに突き出るフランジ18(図8)へ連結させる周囲溝34を備えている。板32には、器具用の装着部15が上述のやり方で配設されている。
【0047】
本発明は、既存の設備を様々に異なる必要性に簡単に適応させられることによって柔軟性を提供するものであると評価されるであろう。更に、本発明は、説明されている例示としての実施形態に含まれている要素の詳細な設計に関して、付随の特許請求の範囲に定義されている本発明の根幹的な解及び概念から逸れることなく修正され得るものと評価されたい。
【符号の説明】
【0048】
3 ホルダ
10 真空動力式工具
11 ベローズ
12 ベローズの自由端
13 器具
14 充填物
15 器具装着部
16 器具のねじの切られた端
17 端板
18 フランジ
19 カラー
20 腕部
21 板
22 貫通チャネル
23 吸着カップ
24 固定された絞り
25 ベローズ挿入体
26 係合部分
27 さね
28 貫通チャネル
29 ピン
30 接続用具
31 チャネル
32 堅い板
33 ヒンジ
34 円周溝
CL 幾何学的中心線
S ストローク運動
図1
図2
図3A
図3B
図4A-G】
図5
図6
図7
図8