特許第6126705号(P6126705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126705
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】計量配分装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   A61J3/00 310E
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-554249(P2015-554249)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公表番号】特表2016-504141(P2016-504141A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】GB2014050188
(87)【国際公開番号】WO2014114943
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】1301370.1
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515201718
【氏名又は名称】センシドーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テグボルフ、ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】スピラ、ジャック
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−257274(JP,A)
【文献】 特開平08−322913(JP,A)
【文献】 特開2008−272461(JP,A)
【文献】 特開2012−029702(JP,A)
【文献】 特表2001−521803(JP,A)
【文献】 特表2009−522031(JP,A)
【文献】 特表2008−538516(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/060568(WO,A2)
【文献】 米国特許第02712374(US,A)
【文献】 欧州特許第01058660(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を計量配分するための装置であって、
n個の容器を備えた搬送部材と、ここで、n−m個の前記容器が物品を受け入れるのに適しており、前記容器は物品受け入れ位置と物品計量分配位置の間で移動可能であって、
前記容器内の物品の存在を感知し、前記受け入れ位置と前記計量配分位置との間に位置決めされたセンサと、
一以上の前記容器における物品の有無を示す前記センサからのデータを受信するように構成されたプロセッサと、
を備え、
m個の前記容器は、物品を受け入れることができないブランク容器であり、
前記センサは、n個の前記容器がセンサを通過した時点での搬送された検出可能な物品の最大数がn−m個となるように、空容器を前記ブランク容器と同等であると検出するように構成されており、ここで、mは少なくとも1個であって、
前記プロセッサは、物品を収容しているものとして検出された前記容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与えるように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記搬送部材は、前記容器を略環状の経路で搬送するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ブランク容器は、容と、前記容器の1以上の画定壁と一体的に形成されたバッフルとを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサは、光電セルを備える、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ブランク容器に含まれたバッフルは、少なくとも前記光電セルにより検出可能な光の波長範囲に対して透明であって、及び/又は赤外線が前記光電セルに対して検出可能である、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
計量分配されるべき物品格納用の格納室が収容または収納可能であるハウジングをさらに備え、
記格納室は、前記ハウジング内に手動または自動で解除可能に係合する着脱可能なカセット内に配設されている、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記警告は可聴警告、振動する警告などの動的警告、書面または図柄の警告などの視覚的警告または照明された発光装置のうち1以上を含む、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、所定期間中および所定時点に計量分配された物品の個数を示す情報を計算し格納するように構成されている、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記容器を前記受け入れ位置と前記計量配分位置の間で搬送するようにコンベヤを動作させるモータをさらに備え、
記モータは、前記コンベヤの有効長さの1/n増加分だけ前記コンベヤを移動させるように作動可能であって、及び/又は、
前記モータは、前記プロセッサと通信状態に、かつ少なくとも部分的に前記プロセッサによって制御可能に配置され、及び/又は、
前記プロセッサは、1以上の所定時間に所定数の物品を計量分配するようにモータを作動させるよう構成され、及び/又は、
前記プロセッサは、計量分配されるべき物品の個数と、それらの物品が計量分配されるべき前記1以上の所定時間を提供するようにプログラム可能である、請求項1〜のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
物品を一切計量配分せずに、前記モータを作動させることで前記センサを通過するようにn個の容器を移動させ、
(i)装置によって計量分配される残りの物品の個数を示すデータと(ii)センサの機能を示すデータのうちの少なくとも一つを提供するように前記容器内に保持された物品の個数を評価する
ことを含むテストルーチンを実行するように構成されている請求項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の装置を備え、前記物品は複数の個別の薬剤を含み、
前記装置は、複数の個別の薬剤を収容している、投薬計量配分装置。
【請求項12】
(i)センサを通過するようにn個の容器を移動させることで、物品を収容している当該容器の個数を検出する工程と、ここで、n−m個の前記容器が物品を保持するのに適しており、物品を保持するのに適していないm個の前記容器は、物品を保持するのに適した空容器と同等なものとして前記センサにより検出可能であって、
(ii)物品を収容しているものとして検出された前記容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与える工程と、
を含む、センサの故障を識別する方法。
【請求項13】
(i)n個の容器を受け入れ位置から計量配分位置に移動させる工程と、ここで、n−m個の前記容器は物品を保持するのに適しており、物品を保持するのに適していないm個の容器は、物品を保持するのに適した空容器と同等なものとしてセンサにより検出可能とされ、前記センサは、前記受け入れ位置と前記計量配分位置の間に位置決めされ、
(ii)前記センサを用いて、物品を収容している前記容器の個数を検出する工程と、
(iii)物品を収容しているものとして検出された前記容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与える工程と、
を含む、センサによって物品を計量配分する方法。
【請求項14】
処方された投薬に従って、所定の最大数までの物品がプロセッサによって所定期間中に計量配分される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
求項1〜11のうちいずれか一項に記載の装置に組み込まれた場合に、請求項1214のうちいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されたハードウェアモジュール。
【請求項16】
求項1214のうちいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬錠剤を含む物品を計量配分するための装置等の計量配分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病、てんかん、癌、うつ病、精神分裂病、注意欠陥・多動性障害(ADHD)ならびにその他の神経行動障害、糖尿病、関節炎およびぜんそく、ならびに抗凝血剤、抗不整脈剤および/または鎮痛剤を要する疾患等であるがそれらに限定されないいくつかの慢性疾患を治療または管理するために使用される薬物療法は、治療濃度域が狭いことが多く、投薬が最適でなかった場合に重篤な副作用をもたらす。
【0003】
したがって投薬のタイミングならびに投薬量は、薬物レベルを望ましいレベルに維持するために重要であり、また、投与された投薬が可能な限り正確であることは、さもなければ過剰、過少、または不正確な投薬から生じうる影響を低減するために重要である。
【0004】
本明細書における明らかな先行発行文献の羅列または議論は、必ずしもその文献が先行技術または一般的知見の一部であるという自認として受け取られるべきではない。
【0005】
特許文献1は、可能な限り正確な投薬を投与するために、同様に大きな単位量から一人の患者に薬剤を投薬する手順、または、単一の錠剤またはペレットの形態の薬剤の部分的投薬の手順を記載しており、そこで、各単位または部分的投薬は、単一の機会に患者に投与されるべき治療上の総投薬の約20〜約2重量パーセントを含む。
【0006】
この手順は、薬剤の単一の供給からの高度に可変な薬剤の計量配分を可能にする。
【0007】
特許文献1に記載されたものと同様な装置は、使用者が薬物療法の正しい投薬を提供されていることを保証する計数センサまたは機構を典型的に含む。しかし、計数センサまたは機構が誤作動した場合、装置は使用者に薬物療法の不正確な投薬を提供する可能性がある。これは、計量分配された各錠剤が、少量の部分的投薬のみを提供するという特定の問題を呈するが、それは、例えば12錠が必要であるのに対し9錠のみが計量分配されていることが、使用者には即座にわかり得ないからである。しかも、特定の治療を受けている使用者は、通常計量分配されるものと異なって計量分配された投薬が誤っていることに混乱するかまたは気付かない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1058660号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこの課題に対処することを追及する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は物品を計量配分する装置を提供し、
当該装置は、
n個の容器を備え、そのうちn−m個が物品を受け入れるのに適しており、前記容器は物品受け入れ位置と物品計量分配位置の間で移動可能である搬送部材と、
容器内の物品の存在を感知し、前記受け入れ位置と前記計量配分位置との間に配置されたセンサと、を備え、
前記容器のうちm個は物品を受け入れられないブランク容器であり、
前記センサは、n個の容器がセンサを通過した時点での搬送された検出可能な物品の最大数がn−m個となるように、空容器とブランク容器を区別できず、mは少なくとも1個である。
【0011】
計量配分装置に、計量分配された物品を計数するためのセンサが設けられている場合、その計数の精度はセンサの信頼性としてのみ正確であるということを本発明者は認識している。本発明は、センサが正しく機能しているか否かを識別するための単純かつ便利な手段を提供するが、それは、誤作動するセンサは物品の欠如ではなく物品の存在を「検出」する傾向が多いという認識から出発している。したがって、センサにとって不可視の1つ以上のブランク空間を配設することにより、コンベヤの容器内にn−m個の物品ではなくn個の物品をセンサが「検出」する、誤作動しているセンサを識別することが可能となる。
【0012】
いくつかの実施形態において、搬送部材は、容器を略環状の経路で搬送するように構成されている。
【0013】
好ましくは、物品を受け入れるための容器の各々は、略同一サイズの単一の物品を受け入れるように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、ブランク容器は、例えばバッフルによって差動解除される容器を備えている。好ましくは、そのようなバッフルは容器の1以上の画定壁と一体的に形成されている。
【0015】
好ましくは、センサは光電セルを備えている。いくつかの実施形態において、ブランク容器に含まれたバッフルは、少なくとも光電セルによって検出可能な光の波長範囲に対して透明である。赤外線が光電セルに対して検出可能であることが好ましい。
【0016】
好ましくは、装置はさらに、計量分配されるべき物品の格納用の格納室が収容される、または収容可能であるハウジングを備えている。好ましくは、格納室はハウジング内に解除可能に係合する着脱可能なカセット内に配設されている。
【0017】
装置が、コンベヤによって格納室から供給された物品を収集し保持するための計量配分室をも備えていることが好ましく、この計量配分室は計量配分出口を含んでいる。計量配分出口は好ましくは、計量配分室に保持された薬剤を計量配分するために選択的に開放可能である。いくつかの実施形態において、計量配分室は、計量配分出口が閉鎖されている第1の位置と、計量配分出口が開放されている第2の位置の間で選択的に移動可能である。計量配分器は、計量配分室の第1の位置と第2の位置の間での移動を生じさせるモータを含みうる。
【0018】
いくつかの実施形態において、装置はさらに、センサからのデータを受信するように構成されたプロセッサを備え、データは、容器のうち1以上における物品の有無を示す。好ましくは、プロセッサは、センサがn個の容器がコンベヤを通過した時点で搬送されたn個の物品の存在を示した場合に、警告を出すように構成され、当該警告は、センサの誤作動を示すものである。警告は、可聴警告、振動する警告などの動的警告、書面の或いは図柄の警告などの視覚的警告または発光装置(例えば発光ダイオード)の照明のうち1以上を含みうる。
【0019】
好ましくは、プロセッサは、センサが2以上(例えば3以上、4以上、5以上または6以上)の隣接する容器に物品を検出しなかった場合に警告を出すように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、所定期間中および所定の時点で計量分配された物品の個数を示す情報を計算し格納するように構成されている。
【0021】
好ましくは、装置は容器を受け入れ位置と計量配分位置の間で搬送するようにコンベヤを作動させるモータを備えている。モータは好ましくは、コンベヤを、受け入れ位置から計量配分位置方向に向けて、コンベヤの有効長さの1/n増加分だけ移動させるように動作可能である。モータは、プロセッサと通信状態に、かつ少なくとも部分的にプロセッサによって制御可能に配置されていることが好ましい。特に、プロセッサは、1以上の所定時点に所定数の物品を計量配分するようにモータを作動させるよう構成されていることが好ましい。
【0022】
プロセッサは、計量分配されるべき物品の個数と、それらの物品が計量分配されるべき1以上の時間を提供するようにプログラム可能であってもよい。例えば、プロセッサは、統合されたキーボードまたはグラフィカルユーザインターフェースによって、または遠隔の第2のプロセッサ(例えばパーソナルコンピュータまたはサーバ)との通信によってプログラム可能であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、物品を一切計量配分せずに、モータを作動させることで検出器を通過するようにn個の容器を移動させ、(i)装置によって計量分配される残りの物品の個数と(ii)センサの機能のうち一方または両方を示すデータを提供するように容器内に保持された物品の個数を評価することを含むテストルーチンを実行するように構成されている。好ましくは、プロセッサは、物品の計量配分が予定されていない時間にテストルーチンを実行するように構成されている。
【0024】
別の態様において、本発明は投薬計量配分装置を提供し、投薬計量配分装置は、
n個の容器を備え、そのうちn−m個が物品を受け入れるために適切であり、容器が物品受け入れ位置と物品計量分配位置の間で移動可能である搬送部材と、
受け入れ位置と計量配分位置の間に配置され、容器内の物品の存在を感知するセンサとを備え、
前記容器のうちm個は物品を受け入れることができないブランク容器であり、n個の容器がコンベヤを通過した時点の搬送された検出可能な物品の最大数がn−m個となるように、センサは空容器とブランク容器を区別できず、mは少なくとも1であり、装置は、複数の個別の薬剤を備えた物品を計量配分するためのものである。
【0025】
好ましくは、装置は複数の個別の薬理活性錠剤を包含する。錠剤の意図される投薬はn−m個より多い錠剤を含んでいることが好ましい。
【0026】
別の態様において、装置は本明細書に記載される装置で使用されるように適合された薬剤の複数の個別の単位を収容する。
【0027】
好ましくは、装置は予め規定された期間内で物品の所定の最大数まで計量配分する(例えばプロセッサの適切なプログラミングによって)ように構成されている。末端使用者に薬剤を計量配分するために装置が使用されている場合、例えば、薬剤師またはその他の医療従事者は、装置が偶発的または意図的な過量投薬を防止できるように、処方された投薬に装置をプログラムできる。
【0028】
別の態様において、本発明はセンサ(例えば本明細書に記載される装置における)の故障を識別する方法を提供し、当該方法は、
(i)センサを通過するようにn個の容器を移動させることで、物品を収容している容器の個数を検出する工程と、ここで、前記容器のうちn−m個は物品を保持するのに適しており、物品を保持するのに適していないm個の容器は、物品を保持するのに適した空の容器との区別がつかず、
(ii)物品を収容しているものとして検出された容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与える工程と、を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法の実施において容器から物品が全く計量分配されない。
【0030】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、2以上(例えば3以上、4以上、5以上または6以上)の隣接した容器に物品が全く検出されない場合に使用者に警告を与える工程を含む。
【0031】
別の態様において、本発明は、装置(上記に説明した装置等)から物品を計量配分する方法を提供し、当該方法は、
(i)n個の容器を受け入れ位置から計量配分位置に移動させる工程と、ここで、前記容器のうちn−m個は物品を保持するのに適しており、物品を保持するのに適していないm個の容器は、物品を保持するのに適した空容器と同等なものとしてセンサにより検出可能とされ、前記センサは、前記受け入れ位置と前記計量配分位置の間に位置決めされ、
(ii)センサを用いて、物品を収容している容器の個数を検出する工程と、
(iii)物品を収容しているものとして検出された容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与える工程と、を含む。
【0032】
別の態様において、本発明は、所定の投薬体制に従うために、装置(上記に説明した装置等)から個別の薬剤を計量配分する方法を提供し、当該方法は、
(i)n個の容器を受け入れ位置から計量配分位置に移動させる工程と、ここで、前記容器のうちn−m個は個別の薬剤を保持するのに適しており、物品を保持するのに適していないm個の容器は、センサによって個別の薬剤を保持するのに適した容器との区別がつかず、前記センサは、受け入れ位置と計量配分位置の間に位置決めされ、
(ii)センサを用いて、個別の薬剤を収容している容器の個数を検出する工程と、
(iii)個別の薬剤を収容しているものとして検出された容器の個数がn−m個より多い場合に使用者に警告を与える工程と、を含む。
【0033】
好ましくは、方法は、物品を所定期間中に所定の最大数まで計量配分することを含む。末端使用者に薬剤を計量配分するために装置が使用されている場合、例えば、薬剤師またはその他の医療従事者は、装置が偶発的または意図的な過量投薬を防止できるように、処方された投薬になるよう装置をプログラムできる。
【0034】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載された装置に組み込まれた場合に上記に説明した方法を実行するように構成されたハードウェアモジュールを提供する。ハードウェアモジュールは例えば、チップまたはグラフィック処理ユニット(GPU)を備えうる。
【0035】
コンピュータ上で実行されたときに、当該コンピュータに、回路、コントローラ、コンバータまたは本明細書に開示される装置を含む任意の装置を構成させる、または本明細書に開示される方法を実行させるコンピュータプログラムが提供されてもよい。このコンピュータプログラムはソフトウェアによる実施であってよく、コンピュータは、非限定的な例として、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、リードオンリーメモリ(ROM)での実施、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電子的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)を含む任意の適切なハードウェアとして考慮されうる。
【0036】
コンピュータプログラムは、ディスクまたはメモリ装置等の物理的なコンピュータ読取可能媒体でありうるコンピュータ読取可能媒体上で提供されてもよいし、または、一時的な信号として実現されてもよい。そのような一時的信号は、インターネットからのダウンロードを含むネットワークからのダウンロードであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、使用者を促して1以上の所定の時点において所定単位数の薬剤を計量配分するために投薬計量配分装置を作動させるようにプログラム可能である。
【0038】
装置は、使用者に情報を表示するためのディスプレイを含んでいてもよく、ディスプレイは、投薬計量配分装置に、例えば時間、薬物療法および/または投薬サイズを表示させることを可能にする。
【0039】
また装置は好ましくは、コントローラにデータを入力し、入力されたデータに従って投薬計量配分装置の動作を行わせるデータ入力装置を含む。
【0040】
データ入力装置の配設は、使用者が、例えば使用者の症状によって投薬計量配分装置の動作に影響を与えることを可能にする。
【0041】
好ましくは、ディスプレイとデータ入力装置は、タッチ感応画面の形式で配設される。
【0042】
そのような実施形態では、データ入力を促進するために画面上にビジュアルアナログスケール(VAS)が選択的に表示されてもよく、ビジュアルアナログスケール(VAS)は、投薬計量配分装置が1以上の物品を計量配分するときに画面上に表示されうる。
【0043】
特に好ましい実施形態において、装置は、提供された投薬時間および投薬サイズを記憶し、それにより電子的ログ機能を維持するメモリを含む。これは、投薬のコンプライアンスを監視するために使用されうる。そのような実施形態において投薬計量配分装置は、必ずしも入力装置を必要としないであろう。
【0044】
投薬計量配分装置は、音響または光を出力する、および/または計量配分装置を1以上の所定時点で振動させる設定可能なアラームを含みうる。これは、要求される数の薬剤を確実に計量配分する使用者を支援し、また、使用者の薬剤の投薬を、薬剤に関連する治療濃度域内にする。
【0045】
物品の、違法なまたは不正な計量配分を防止するために、装置はロック機構を含んでいてもよい。例えば、子供が計量配分装置から薬剤を投薬して計量配分するリスクを低減する。
【0046】
格納室がカセットの形式で配設されている実施形態において、カセットは読取可能なマーカーを含んでもよく、装置内のプロセッサは、カセットのマーカーを読み取る読取機を含んでもよく、カセットに収容されている物品(例えば薬剤)をコントローラが識別可能である。
【0047】
この構成では、コントローラは、各動作モードが1つの特定の物品に特有であるいくつかの所定の動作モードで機能し、次に、カセットに収容されている物品をコントローラが識別した後では、カセットに収容されている物品に適用されるべき動作モードを選択するように予備プログラムされうる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態を以下に、非限定的な例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態による投薬計量配分装置を示す。
図2】本発明の一実施形態による投薬計量配分装置を示す。
図3図1および図2の携帯式投薬計量配分装置のカセットの断面図である。
図4図1および図2の投薬計量配分装置で使用する供給ホイールの図である。
図5A】供給ホイールを検査するセンサの動作を示す。
図5B】供給ホイールを検査するセンサの動作を示す。
図5C】供給ホイールを検査するセンサの動作を示す。
図6図1および図2の携帯式投薬計量配分装置の内部制御を示す。
図7図1および図2の携帯式投薬計量配分装置の内部制御を示す。
図8A】カセットの計量配分器の計量配分室動作を示す。
図8B】カセットの計量配分器の計量配分室動作を示す。
図9図1および図2の携帯式投薬計量配分装置の駆動モータの前方透視図である。
図10図1および図2の携帯式投薬計量配分装置の駆動モータの後方透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1および図2に、本発明の一実施形態による投薬計量配分装置10が示されている。
【0051】
投薬計量配分装置10は、例えば、携帯電話等の携帯式装置とサイズが同等であってよく、それにより投薬計量配分装置10を携帯式装置としての使用向けに適切にしている。別の実施形態において、投薬計量配分装置10のサイズと形状は、投薬計量配分装置10を、例えば機敏さに制約がある使用者に適したものにするために可変でありうることが想定されている。装置10は固定された場所で使用されるためのサイズと設計であってもよい。
【0052】
投薬計量配分装置10はハウジング12を含み、ハウジング12は個別の薬剤16または錠剤を格納する格納室14と、格納室14と計量配分器20の間に配置された供給アセンブリ18とを含む。いくつかの実施形態において、投薬計量配分装置10は、格納室14に格納された薬剤16を攪拌するための、格納室14に作動的に関連づけられたインパクタ22(図3)をも含む。
【0053】
図3から見て取れるように、インパクタ22は、一端26において格納室14内側の壁28に固定して接続された剛性要素24を含む。インパクタ22は、第2の端部30において駆動機構32に作動的に関連付けられ、駆動機構32は、インパクタ22の第2の端部30を格納室14の壁28のほうに偏向させてインパクタ22を緊張させ、その結果、緊張したインパクタ22が解除されたときに格納室14の内部34のほうに移動してその中に格納されている薬剤16に再び衝撃を与える。
【0054】
図1および2に示した実施形態において、投薬計量配分装置10は、ハウジング12に解除可能に係合する着脱可能なカセット36内に設けられた格納室14を含む。
【0055】
本発明の別の実施形態において、格納室14はハウジング12内に恒久的に配置されてよく、ハウジング12は、格納室14の再充填を可能にするために格納室14へのアクセスを可能にする開口部を含むことが想定されている。
【0056】
ハウジング12とカセット36は、カセット36をハウジング12内に保持するために、カセット36がハウジング12内に挿入されると相互係合する相互係合可能な掛止部材を含みうる。投薬計量配分装置10は、掛止部材を係合解除するために選択的に動作可能な、カセット36のハウジング12からの取り外しを可能にする排出機構をも含む。
【0057】
これは、ハウジング12内に受け入れられたときに、ハウジング12の隣接する外面40とぴったり接して着座する外面38を有するカセット36の配設を可能にし、それが投薬計量配分装置10の外観を増強する。
【0058】
掛止部材は、カセット36の上面44に設けられカセット36のハウジング12からの抜き差し方向に延出する細長い突部42を含む。
【0059】
掛止部材は、ハウジング12の上面50の内面48に設けられた対応する形状およびサイズの開口部46(図9および図10)をも含む。開口部46は、カセット36上に設けられた突部42と整合するように内面48上に配置されている。カセット36がハウジング12内に完全に挿入されると、締りばめが形成されて、カセット36がハウジング12から滑動して戻ることが防止される。
【0060】
別の実施形態において、当技術分野で知られうる、カセット36を装置10に固定するための別の手段が使用されうる。
【0061】
図1および2に示された実施形態において、計量配分器20は、個々の錠剤16を格納室14から供給アセンブリ18を介して収集し保持するための計量配分室72(図8Aおよび8B)を含む。計量配分室72は、計量配分室72内に保持された薬剤16を計量配分するために選択的に開放可能な計量配分出口74を含む。
【0062】
計量配分器20はカセット36の一部を形成し、計量配分室72は、計量配分出口74が閉鎖されている第1の位置(図8A)と、計量配分出口74が開放されている第2の位置(図8B)との間で移動可能である。
【0063】
計量配分室72の第1の位置において、計量配分出口74はカセット36の底壁76と整合し、底壁76はそれにより計量配分出口74を閉鎖する。
【0064】
計量配分室72の第2の位置において、計量配分出口74は、カセット36の底壁76に設けられた開口部78と整合し、開口部78はそれにより計量配分出口74を開放する。
【0065】
計量配分室72の、その第1の位置と第2の位置の間の移動は、駆動部材82(図6および7)の第1と第2の方向への線状移動を駆動するように動作可能な第1の駆動モータ80(図7)によって生じる。駆動部材82は、カセット36の側壁92に設けられたスロット90を介して計量配分室72から突出するペグ88を受け入れるための凹部84を、自由端86に画定する。駆動部材82とペグ88との係合により駆動部材82の移動は、ペグ88のスロット90の一端から他端へ往復移動を引き起こし、それにより計量配分室72の第1の位置から第2の位置への往復移動をもたらす。
【0066】
別の実施形態においては、計量配分器20が計量配分室72を含まず、供給アセンブリ18が、計量配分器20の恒久的に開放された計量配分出口74へと薬剤16を直接供給してもよいことが想定されている。
【0067】
供給アセンブリ18はその周囲に複数の供給ポケット96を画定する供給ホイール94(図2)を含む。図1および2に示された実施形態において、供給ホイール94は格納室14と計量配分器20の間におけるカセット36に配置され、7個のポケット96と1個のブランクポケット97を備えている。
【0068】
供給ホイール94は図4でより詳細に示されており、1つの中央ハブ93と、数対の等分に離間した半径方向に対して平行に延出する指片95とを備えている。指片95の間にポケット96が形成される。ポケット96は、単一の錠剤16を収容するためのサイズである。ブランクポケット97はポケット96と同じ寸法であるが、供給ホイール94のその部分に錠剤16を受け入れるおよび/または収容するためのバッフルとして働く一対の半径方向に延出する突片99から形成される。
【0069】
供給ホイール94は、図4に矢印Aで描かれた第1の方向に回転するように取り付けられ、供給ポケット96を格納室14の供給経路98と整合するように逐次動かして各ポケットが一つの薬剤16を受け入れるようにする。
【0070】
供給ホイール94が第1の方向にさらに回転すると、供給ポケット96は、各薬剤16を計量配分器20の計量配分室72に供給するために、計量配分器20の計量配分室72の入口と整合するように逐次動かされる。
【0071】
投薬計量配分装置10は、供給ホイール94を回転させるように駆動する第2の駆動モータ100(図6、7、9および10)を含み、第2の駆動モータ100はハウジング12の上面50の内面48に取り付けられている。
【0072】
ハウジング12の内部空隙58にカセット36を挿入すると、駆動ギア102(図9)が、カセット36の上面44から突出する駆動軸104(図8Aおよび8B)を係合する。
【0073】
駆動軸104は、段部110、112で終端する傾斜した縁106、108を画定するために形成されている(図8Aおよび8B)。
【0074】
駆動ギア102は細長い突片114を含み、突片114は、段部110、112に係合し、また、第2の駆動モータ100が第1の方向に回転すると、駆動軸104を回転させるように駆動する。次にこれが供給ホイール94を第1の方向に回転させる。
【0075】
図6、7、9および10から見て取れるように、第2の駆動モータ100は電気的接触子116を備えている。これらの電気的接触子116は、カセット36がハウジング12の内部空隙58に挿入されるとカセット36上の対応する接触子(図示せず)に係合する。
【0076】
図1および2に示された実施形態において、駆動軸104は、カセット36がハウジングから取り外されたときに、供給ホイール94の第1の方向への回転を生じさせるために手動で操作可能である。そのような操作は、例えば、格納室14内に収容されている薬剤の投薬を準備し計量配分するために使用者が投薬計量配分装置10を操作することを妨げる故障が投薬計量配分装置10内に起こった場合に、使用者がカセット36の格納室14から薬剤16を供給することを可能にする。
【0077】
薬剤16への不正または違法のアクセスを防止することが望ましい別の実施形態において、カセット36が投薬計量配分装置10のハウジング12内に装着されている場合にのみ薬剤16がアクセスされうるように、駆動軸104は手動回転しないようにロックされてもよい。そのような実施形態においてカセット36は、カセット36の格納室14内に格納された如何なる薬剤16への不正なアクセスをも防止するために密封されてもよい。
【0078】
投薬計量配分装置10は、薬剤16が計量配分室72へと通過するときに供給ホイール94の供給ポケット96内の薬剤16の存在を検出するための、計量配分室72の入口に相対して配置された赤外線光電セル117(図10)の形態のセンサを含む。ブランクポケット97を形成する突片99は、光電セル117には不可視の材料で形成されている。したがって、ブランクポケット97が光電セル117に提示されると、光電セル177はブランクポケット97と空のポケット96を区別できない。センサ117は、ポケット内の錠剤の有無に関する情報によって制御され、またその情報をプロセッサ(図示せず)に供給し、プロセッサはそれを受けて供給ホイール94の回転を制御する。
【0079】
供給ホイール94の供給ポケット96内の錠剤の存在を検出するとき、センサ117は、それらの供給ホイール94の供給ポケット96から計量配分室72へと移動する薬剤16の動きを有効に監視する。センサ117からプロセッサへと提供された情報は、第2の駆動モータ100の動きを制御して、所定数の薬剤16を計量配分器20に供給するように供給ホイール94を第1の方向に駆動する。
【0080】
センサは、格納室14が空であることを投薬計量配分装置10が判断することも可能にする。
【0081】
使用時、第2の駆動モータ100は、供給ポケット96を介してカセット36の格納室14から薬剤16を計量配分室72に供給するために供給ホイール94を回転させるように駆動する。
【0082】
この動きの間、光電セル117は、計量配分室72に供給された薬剤16の個数を投薬計量配分装置10が判断できることを可能にするように計量配分室72の入口に相対して配置されている。
【0083】
第2の駆動モータ100は、必要な個数の薬剤16が計量配分室72に供給されたことを投薬計量配分装置10が光電セル117を介して判断するまで供給ホイール94の回転の駆動を継続するように制御され、必要な個数の薬剤16が供給された時点で第2の駆動モータ100は供給ホイール94の回転の駆動を停止する。
【0084】
この構成は、必要な個数の薬剤16が計量配分室72に供給されるまで、供給ホイール94が薬剤16を計量配分室72に送出するために回転し続けるということを意味する。それにより、供給ホイール94の回転中に、供給ポケット96の1つが格納室14から計量配分室72への薬剤16の受取りと供給を実行できなかったか否かに関らず、必要な個数の薬剤16が計量配分室72に供給されることを保証する。
【0085】
光電セル117が、供給ホイール94の回転中に所定数を超えるいくつかの連続した空の供給ポケット96を識別した場合、投薬計量配分装置10は、格納室14が空であることを判断してよい。
【0086】
好ましくは、投薬計量配分装置10は、供給ホイール94の回転中に計量配分室72の入口に整合した6以上の連続した空の供給ポケット96を光電セル117が識別した場合に格納室14が空であると判断する。
【0087】
別の実施形態において、薬剤16の性質によって、また、薬剤16が格納室14から供給ポケット96へと移動する容易さによって、格納室14が空か否かを判断するために必要とされる連続した空の供給ポケットの所定数は増減しうる。
【0088】
ブランクポケット97の存在は、プロセッサが、光電セル117が正しく作動しているかまたは誤作動しているかを判断することを可能にする。図5はこの効果を模式的に示す。
【0089】
図5Aは、錠剤を収容していない場合の供給ホイール94を示す。供給ホイール94が完全回転すると、光電セル117は、正しく機能していれば錠剤を検出しないが、誤作動していれば8個の錠剤を検出する。
【0090】
図5Bは、そのポケット96のうち4つに錠剤を1個ずつ収容している供給ホイール94を示す。供給ホイール94が完全回転すると、光電セル117は、正しく機能していれば4個の錠剤を検出するが、誤作動していれば8個の錠剤を検出する。
【0091】
図5Cは、ブランクポケット97以外のそのポケット96のうち7個全てに錠剤を1個ずつ収容している供給ホイール94を示す。供給ホイール94が完全回転すると、光電セル117は、正しく機能していれば7個の錠剤を検出するが、誤作動していれば8個の錠剤を検出する。
【0092】
したがって、プロセッサは、光電セル117が供給ホイール94のポケット96、97内に8個の錠剤を「検出」した場合に使用者に警告を提供するようにプログラムされている。警告は好ましくは、装置10(図2および3参照)の前方の画面134に現れる書面メッセージおよび/または図柄のイメージの形態で現れるが、付加的にまたは別法として発光ダイオード(LED)などの光の形態および/または可聴警告でもよい。警告はセンサの誤作動に関して使用者の注意を喚起し、使用者が装置の修理または交換を求めることを可能にする。
【0093】
プロセッサは、例えば3以上の連続したポケット96に錠剤1が全く検出されない場合に警告を提供するようにもプログラムされてよい。この警告は、上記に説明したように空の格納室14またはセンサ117の誤作動のいずれかを示しうる。格納室14に最初に導入される錠剤16の個数がプロセッサにプログラムされ、プロセッサが計量分配された錠剤16の累計数を記録するいくつかの実施形態において、連続したポケット96が空であると判明した場合にプロセッサはセンサ117の誤作動に関する特定の警告を提供しうる。
【0094】
格納室14が空になった後に、または、患者がカセット36を、別の薬剤を収容したカセット36と交換したい場合或いはカセット36内に収容された薬剤に直接アクセスしたい場合に早期にカセット36を排出するために、第2の駆動モータ100が第2の反対の方向に駆動されうる。
【0095】
第2の駆動モータ100の反対方向への回転は、駆動軸104上の傾斜した縁106、108に沿った突片114の並進運動を引き起こす。駆動ギア102はハウジング12の上面50に対して固定されているため、傾斜した縁106、108に沿った突片114の移動は、ハウジング12の上面50の内面48から遠ざかる方向へのカセット36の移動を引き起こす。次にこの移動は突部42を開口部46との係合から外すように動かし、付勢部材68内に配置された圧縮されたばねによってもたらされる付勢力が、カセット36を外側方向に押し、それによりカセット36をハウジング12から排出する。
【0096】
別の実施形態において、カセット36は手動で装置10から排出されうる。
【0097】
カセット36が排出されると、使用者は、投薬計量配分装置10内に収容された薬剤の供給を補充または変更するために、交換用カセット36を投薬計量配分装置10に挿入できる。
【0098】
別の実施形態において、第2の駆動モータ100は、カセット36の格納室14が空であることをセンサが判断した後でのみ第2の反対の方向に駆動されうることが想定されている。そのような実施形態において、排出機構の制御された作動が、カセット36の格納室14内に格納された薬剤16への不正または違法なアクセスを防止する。
【0099】
そのような実施形態において、ハウジング12の外面40付近にぴったり接しているカセット36の外面38の配設は、誰かがカセット36をハウジング12から無理に外そうと試みる可能性を減らすという点で有利である。
【0100】
図1および2に示された実施形態において、供給ホイール94は、インパクタ22の第2の端部30が作動的に関連付けられる駆動機構32を規定する。
【0101】
特に、上記に説明したように、供給ホイール94は複数の同距離に離間した、半径方向に延出する対の平行な指片95を含み、隣接した指片95の間に供給ポケット96が規定される。
【0102】
各指片95の長さは、供給ホイール94の第1の方向への回転が、各指片95をインパクタ22の第2の端部30の前面と逐次係合するように動かすようなものになっている。供給ホイール94の継続した回転は、インパクタ22の第2の端部30との係合から指片95が外れるまで対応する指片95が前面を横断して移動するにつれて、インパクタ22の第2の端部30の、格納室14の壁28のほうへの偏向を引き起こす。これは、その内容全体が本明細書に組み込まれている国際公開第2010/060568号パンフレットに記載された方式でインパクタを駆動する。
【0103】
図1および2に示された投薬計量配分装置10に含まれるプロセッサは、一日を通して1以上の所定の時間に使用者に薬剤16を計量配分するよう促すようにプログラム可能である。
【0104】
その所定の時間、または各所定時間において、コントローラは、投薬計量配分装置10内に配設されたアラームを作動させて音響または光を発する、および/または、投薬計量配分装置10を振動させ、使用者に、薬剤16を計量配分させ、自分の薬剤の投薬を、製剤に関連する治療濃度域で摂取させるように警告する。
【0105】
使用者が最初のアラームに応答しない場合、コントローラは、第1のアラームから所定時間内に1以上のさらなるアラームを発するようにプログラムされてよい。
【0106】
使用者が薬剤16を計量配分する必要を警告されたとき、ハウジング12の上面50の外面136上に設けられたディスプレイ134に送達されるメッセージは、データ入力装置を介して投薬計量配分装置10にコードを入力するよう使用者を促す。
【0107】
図1および2に示された実施形態において、ディスプレイ134は、データ入力装置としても機能するタッチ感応画面の形式で提供される。
【0108】
正しいコードを入力すると、投薬計量配分装置10はロック解除され、ディスプレイ134上に配されるメッセージにより投薬計量配分装置10を作動させて所定数の薬剤16を計量配分室72に供給するように使用者を促すか、または必要な薬剤の投薬を識別するように使用者に促す。
【0109】
別の実施形態において、データ入力装置が、ハウジング12の上面50の外面136に搭載されたキーパッドの形態で提供されうることが想定される。
【0110】
別の実施形態において、ロックが省略されることも想定される。
【0111】
使用者からの必要な応答を受けて、コントローラは第2の駆動モータ100を作動させることで供給ホイール94を作動させ、使用者に必要な薬剤の投薬を提供する計量配分室72に必要個数の薬剤16を供給する。
【0112】
計量配分室72に薬剤16を供給する供給ホイール94の作動中に、好ましくは光電セルの形態で配設されるセンサは、供給ホイール94から計量配分室72内に通過する各薬剤16の動きを感知する。これによりコントローラが計量配分室72に供給される薬剤16の数を計数できる。
【0113】
計量配分室72に供給された必要な個数の薬剤16をセンサが計数し終えると、コントローラは第2の駆動モータ100の作動を停止し、それにより供給ホイール94の作動を停止させる。
【0114】
すると、計量配分器20の計量配分出口74を開放し、計量配分室72内に保持された薬剤の投薬を使用者に計量配分するために、第1のモータ80が作動されて、計量配分室72をその第1の位置から第2の位置に移動させる。
【0115】
別の実施形態において、投薬計量配分装置10は、投薬計量配分装置10がロック解除された後は、所定数の薬剤16を計量配分室72に自動的に供給することが想定される。
【0116】
コントローラはさらに、使用者に、自分が経験している任意の症状の性質に関する質問にデータ入力装置を介して応答するよう促すために、第2の駆動モータ100の作動前、作動中または作動後にメッセージを表示してもよい。
【0117】
図1および2に示す、ディスプレイ134がタッチ感応画面である実施形態において、これらの質問に対する応答は、ディスプレイ134上に表示されたビジュアルアナログスケール(VAS)を介して入力されうる。これは、使用者が、痛みのレベルに関する情報を、例えば、無痛を意味する0から耐え難い痛みを意味する10までの直線スケールを用いて提供することを可能にする。
【0118】
データ入力装置を介して提供された、課された質問に対する患者からの情報は、投薬計量配分装置10内に設けられたメモリに記憶され、投薬計量配分装置10のディスプレイ134で、または、例えばUSBポートを介して投薬計量配分装置10をコンピュータに接続することによってアクセスされうる。
【0119】
この設備によって、使用者および使用者の医師が、薬物摂取時の使用者の症状を監視することができるため、投薬判断プロセスにおいて使用者と医師にとって特に有益でありうる。
【0120】
使用者によって入力されたデータを記憶することに加えて、投薬計量配分装置10に設けられたメモリは、投薬計量配分装置10が薬剤の投薬を準備し、その投薬の計量配分するために作動した時間を記録してもよい。メモリは、薬剤16の個数に関して、投薬が準備され計量分配される度に記録してもよい。この情報は、投薬計量配分装置10をコンピュータに接続することによってアクセスされうる電子的ログを提供し、投薬コンプライアンスを監視する手段を提供する。
【0121】
図示されていない実施形態において、カセット36は、カセット36の格納室14内に収容された薬剤を識別する読み取り可能なマーカー(図示せず)を含む。投薬計量配分装置10のハウジング12の内側空洞58内に設けられた読み取り機は、カセット36が内部空隙58に挿入されると読み取り可能なマーカーを読み取り、投薬計量配分装置10内のプロセッサが薬剤を識別することを可能にする。この読み取り可能なマーカーはさらに、カセット内の薬剤量をプロセッサに知らせることもできる。
【0122】
そのような実施形態において、コントローラは、各作動モードが特定の薬剤に特有であるいくつかの所定の作動モードで機能し、次に、カセット36に収容されている薬剤を識別した後は、カセット36に収容されている薬剤に適用可能な作動モードを選択するようにプログラムされうる。
【0123】
読み取り可能なマーカーの配設は、カセット内に収容された薬剤が、必要な個数の薬剤16を投薬計量配分装置10が計量配分室72に単一の操作で供給するには不十分である場合に有利である。そのような状況では、計量配分室72内に保持された薬剤16を計量配分するために計量配分器20の計量配分出口74が開放され、空のカセット36が交換用カセット36と交換されてもよい。コントローラは、投薬を完了するために必要な薬剤16を計量配分室72に供給することを継続するように第2の駆動モータ100を作動させる前に、交換用カセット36が同じ薬剤を収容していることを検査してもよい。好ましくは、そのような状況では、ディスプレイ134は、空のカセット36の交換前に計量配分室72から計量分配された薬剤16が不完全な投薬であることを明確に識別するメッセージを使用者に表示する。
【0124】
別の実施形態において、計量配分器20が、カセット36の代わりにハウジング12の一部を形成することが想定される。そのような実施形態では、ハウジング12内での計量配分室72の配置が、空のカセット36の交換前に不完全な投薬が計量分配されることを不必要にする。
【0125】
投薬計量配分装置10から計量分配されるべき薬剤16の個数は、必要とされる総投薬のサイズによって決定され、したがって、各薬剤16内に含まれる有効成分または薬剤の量によって決定される。
【0126】
各薬剤16に含まれる有効成分の量は、薬剤の性質と、過剰投与または過少投薬から起こる副作用によって選択されうる。例えば、過剰投与または過少投薬から起こる副作用が最小である各薬剤に含まれる有効成分の量は、副作用がより顕著である薬剤よりも多いであろう。これは、各薬剤に含まれる有効成分の量が多くなるほど、総投薬を微調整する可能性が低くなるからである。
【0127】
しかし、各薬剤が非常に低量の有効成分を含んでいる場合に、個々の薬剤の形式での比較的多数の部分的投薬を格納室14に格納しなければならないことの結果に関して考慮しなければならない。
【0128】
したがって好ましくは、各薬剤は、いかなる場合でも一度に投薬計量配分装置10から投与され計量分配される総投薬の重量の約20%から2%を含んでいる。
【0129】
複数の薬剤は、錠剤またはペレットの形式で提供されてよく、また好ましくは、凹面のパンチの使用により造られる球形または近似球形形状を画定するために凸状または等直径の表面を有している。
【0130】
複数の薬剤が錠剤の形式で提供される状況において、錠剤は好ましくは1〜13mmの範囲、より好ましくは2〜8mmの範囲、最も好ましくは2〜5mmの範囲の直径を有している。
【0131】
複数の薬剤がペレットの形式で提供される状況において、ペレットは好ましくは1〜8mmの範囲、最も好ましくは1〜4mmの範囲のサイズを有している。
【0132】
いくつかの実施形態において、ギアホイール94上のポケット96の個数は、使用者が自分の必要な投薬を達成するために必要とする錠剤1の個数に合わせて調整される。例えば、通常計量分配される投薬が、供給ホイール94上のポケットの個数よりも多い個数の錠剤16で構成されている場合、装置はセンサ117の故障の検出をより適時に行える。このため、供給ホイールが、各計量配分動作において少なくとも1つの完全回転を完了することを保証する。しかし、別の実施形態において、装置は、供給ホイールの完全回転(ゆえに、センサ機能の検査)が2以上の計量分配イベントにわたって展開されることを可能にするメモリ(例えばプロセッサの一部を形成する)を備えている。
【0133】
センサ117の機能の検査は、錠剤1を計量配分せずに実行されうることも想定されている。そのような独立型検査機能は、センサが誤作動していることが判明した場合に、使用者が不正確な投薬に驚くことを防止するために、例えば錠剤の計量配分動作の前またはその間に実行されうる。この検査は、退縮可能なバッフル(図示せず)を計量配分位置に配設して、供給ホイール94から計量配分器72への錠剤1の通過を防止することによって実行されうる。バッフルの展開はプロセッサによって制御されうる。
【0134】
いくつかの実施形態において、独立型検査機能は自動的に実行されうる。例えば、プロセッサは所定(例えば定期的)時点で検査を実行するようにプログラムされうる。そのような時点は好ましくは、プロセッサが錠剤を計量配分するようにプログラムされた時点と同時または同様な時点ではない。付加的にまたは代替的に、検査は使用者の要求で、例えば検査ボタン(図示せず)の起動によって実行されてもよい。
【0135】
本発明の装置を、末端使用者に医薬を計量配分する背景において上記に説明してきたが、当業者ならば、そのような装置は、特に多数の個別の薬剤が1以上の容器に配置されることになっている場合の、薬剤師またはその他の医療専門家による医薬の計量配分にも有用であることを認識するであろう。そのような装置は、固定位置での使用に最適化するために、また、短期間に大量の個別の薬剤を計量配分する(例えば毎分100個以上)ために、異なる全体構造を使用してもよい。
【0136】
実際、いくつかの実施形態において、製品の個数が正確に計数されることが必要でありかつ計数機構の誤作動を可能な限り速やかに検出することが望ましい工業的設置(例えば製造ライン)において、適切に改変した装置が利用されてもよい。当業者が理解するように、そのような製品の個数は医薬に限定されない。
【0137】
当業者は多くのその他の有効な代替案を思い付くであろうことに疑いはない。本発明が記載された実施形態に限定されないこと、また、本発明の趣旨および範囲内で当業者に明らかである改変を包含することが理解されよう。
【符号の説明】
【0138】
10:投薬計量配分装置
12:ハウジング
14:格納室
16:薬剤
18:供給アセンブリ
20:計量配分器
22:インパクタ
24:剛性要素
26:一端
28:壁
30:インパクタの第2の端部
32:駆動機構
34:格納室の内部
36:カセット
38:外面
40:ハウジングの外面
42:細長い突部
44:カセットの上面
46:開口部
48:内面
50:ハウジングの上面
58:ハウジングの内部空隙
68:付勢部材
72:計量配分室
74:計量配分出口
76:カセットの底壁
78:開口部
80:第1の駆動モータ
82:駆動部材
84:凹部
86:自由端
88:ペグ
90:スロット
92:カセットの側壁
93:中央ハブ
94:供給ホイール
95:指片
96:供給ポケット
97:ブランクポケット
98:供給経路
99:突片
100:第2の駆動モータ
102:駆動ギア
104:駆動軸
106,108:傾斜した縁
110,112:段部
114:細長い突片
116:電気的接触子
117:光電セル(センサ)
134:画面
136:ハウジングの上面の外面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10