(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水相中の塩化マグネシウムの含有量が25.0〜38.0質量%であり、且つ、前記水相と、前記油相、前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び前記リン脂質の合計との比が、質量比で、[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=60/40〜75/25である、請求項1記載の充填豆腐用凝固剤。
0〜40℃の低温豆乳中に請求項1〜4のいずれか1項に記載の充填豆腐用凝固剤が分散してなる分散液を得る工程と、該分散液を加熱して該豆乳を凝固させる工程とを含む、豆腐の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の充填豆腐用凝固剤(以下、単に「本発明の凝固剤」ともいう。)の好ましい実施形態について説明する。
【0012】
本発明の凝固剤は、乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとリン脂質とを併用し、油相中に、塩化マグネシウムを含有する水相を乳化分散させた油中水型(W/O型)乳化組成物であり、当該凝固剤中、塩化マグネシウム及びリン脂質の含有量が特定の範囲内に調整されている。
【0013】
上記油相には油脂が含まれる。当該油脂としては、食用に適する動物性油脂、食用に適する植物性油脂、及び、多価アルコールと脂肪酸とのエステル(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを除く)から選ばれる、1種又は2種以上を用いることができる。なかでも上記油脂は、20℃において液状の油脂であることが好ましく、より好ましくは5℃において液状の油脂である。本明細書において「20℃において液状の油脂」とは、20℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。また、「5℃において液状の油脂」とは、5℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。油脂の固体脂含量は、日本油化学協会制定の規準油脂分析試験法の2.2.9固体脂含量 NMR法に記載の方法に従い測定される。
上記植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油等、又はこれらの硬化油、これらのエステル交換油もしくはこれらの分別油が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。また、前記動物性油脂としては、ラード、牛脂等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
前記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する多価アルコールは、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビト−ル及びソルビタンから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。また、前記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸は、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限は無く、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸等から選ばれる1種あるいは2種以上が挙げられる。前記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルは、公知のエステル化反応等により調製することができる。
【0014】
本発明の凝固剤中、上記油脂の含有量は、W/O型乳化組成物をより安定して調製する観点から20質量%以上が好ましく、22質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。また、低温豆乳中への分散性をより高める観点から、本発明の凝固剤中の油脂の含有量は40質量%以下が好ましく、38質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
【0015】
上記油相は、上記油脂からなることが好ましい。また上記油相は、上記油脂の他に、さらに着色料、酸化防止剤、調味料、強化剤等から選ばれる1種又は2種以上を含有してもよい。
上記油相中の油脂の含有量は、豆腐の風味の観点から80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0016】
本発明の凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量は14.0〜26.0質量%である。塩化マグネシウムの含有量を上記範囲内とすることにより、W/O型乳化組成物をより安定して調製することができる。また、低温豆乳中への分散性をより高めることができ、得られる豆腐の凝固状態をより均一化でき、食感をより滑らかにすることができる。
本発明の凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量は、低温豆乳中への分散性、得られる豆腐の弾力、内相の均一性、食感の滑らかさの観点から16.0質量%以上が好ましく、18.0質量%以上がより好ましく、19.0質量%以上がさらに好ましい。また同様の観点から、本発明の凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量は25.0質量%以下が好ましく、24.0質量%以下がより好ましい。
【0017】
本発明の凝固剤を構成する水相中、塩化マグネシウムの含有量は25.0〜38.0質量%であることが好ましい。水相中の塩化マグネシウムの含有量を上記好ましい範囲内とすることにより、W/O型乳化組成物をより安定して調製することができ、また、低温豆乳中への分散性をより高めることができ、得られる豆腐をより均一に凝固させ、食感をより滑らかにすることができる。
上記水相中、塩化マグネシウムの含有量は、W/O型乳化組成物をより安定に調整する観点から26.0質量%以上が好ましく、27.0質量%以上がより好ましく、28.0質量%以上がさらに好ましい。また低温豆乳中への分散性、得られる豆腐の弾力、内相の均一性、食感の滑らかさの観点から、上記水相中の塩化マグネシウムの含有量は36.0質量%以下が好ましく、35.0質量%以下がより好ましい。
【0018】
上記水相中の塩化マグネシウムは、通常は塩化マグネシウム6水和物に由来する。本発明で規定する塩化マグネシウムの含有量は、無水物換算の含有量(すなわちMgCl
2換算の含有量)である。
上記水相は、塩化マグネシウム及び水から構成されていることが好ましく、さらに塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類を含有してもよい。上記水相中、水の含有量は62.0〜75.0質量%が好ましく、64.0〜74.0質量%がより好ましく、65.0〜73.0質量%がさらに好ましく、65.0〜72.0質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明の凝固剤は、乳化剤として後述するリン脂質と共にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルと同義)を含有する。本発明の凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、0.5〜3.0質量%であることが好ましい。凝固剤中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量を上記好ましい範囲内とすることにより、W/O型乳化組成物を、より安定に調整することができる。本発明の凝固剤中にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは1種含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
本発明の凝固剤に含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを構成するグリセリン重合体のグリセリン単位の数に特に制限はない。乳化安定性を考慮すると、上記グリセリン重合度(平均重合度)を4〜6とすることが好ましい。また、同様の観点から、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルにおける縮合リシノレイン酸は、2〜5分子のリシノレイン酸が縮合した構造であることが好ましい。
【0020】
ポリグリセリンのグリセリン重合度は水酸基価に基づき下式(3)より算出される。
MW=74n+18・・・式(1)
OHV=56110(n+2)/MW・・・式(2)
n=(112220−18OHV)/(74OHV−56110)・・・式(3)
MW:ポリグリセリンの平均分子量
n:ポリグリセリン重合度(平均重合度)
OHV:ポリグリセリンの水酸基価
【0021】
本発明に用いうるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは通常の方法で合成することができる。また、市販品としては、サンソフトNo.818SK(商品名、太陽化学社製)、サンソフトNo.818R(商品名、太陽化学社製)、サンソフトNo.818DG(商品名、太陽化学社製)、SYグリスターCR−500(商品名、阪本薬品工業社製)、ポエムPR−300(商品名、理研ビタミン社製)を挙げることができる。
【0022】
本発明の凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、乳化性の観点から0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、得られる豆腐の内相の均一性の観点からは、凝固剤中のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は2.5質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。
【0023】
本発明の凝固剤は、乳化剤としてリン脂質を0.1〜1.6質量%含有する。凝固剤中のリン脂質の含有量を上記範囲内とすることにより、W/O型乳化組成物をより安定して調製することができる。また、低温豆乳中への分散性をより高めることができ、得られる豆腐の凝固状態をより均一化でき、食感をより滑らかにすることができる。
上記リン脂質としては、大豆レシチンや卵黄レシチン等の天然レシチン由来のリン脂質やその酵素分解物由来のリン脂質を用いることができる。なお、市販のレシチンは、リン脂質以外の成分(油脂等)を含むが、このようなレシチンを用いる場合には、本発明で規定するリン脂質を構成するのはレシチン中のリン脂質であり、レシチン中のリン脂質以外の成分は、本発明で規定するリン脂質には含まれない。すなわち、レシチン製剤中に油脂が含まれる場合、当該油脂は、本発明の凝固剤において油相を構成することになる。
【0024】
本発明の凝固剤中、リン脂質の含有量は、得られる豆腐をより均一に凝固させる観点から0.3質量%以上とすることがより好ましく、0.6質量%以上とすることがさらに好ましい。また、W/O型乳化組成物の乳化安定性をより高める観点からは、凝固剤中のリン脂質の含有量は1.4質量%以下とすることがより好ましく、1.3質量%以下とすることがさらに好ましい。
【0025】
本発明の凝固剤は、上記水相と、上記油相、上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び上記リン脂質の合計との比が、質量比で、[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=60/40〜75/25であることが好ましい。上記水相と、上記油相、上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び上記リン脂質の合計との質量比を上記好ましい範囲内とすることにより、W/O型乳化形態の製剤をより安定して調製することができ、また低温豆乳中への分散性もより高めることができる。本発明の凝固剤は、乳化性の観点から、[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=62/38〜73/27(質量比)を満たすことが好ましく、[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=65/35〜71/29(質量比)を満たすことがより好ましい。
【0026】
本発明の凝固剤(油中水型乳化組成物)は、その体積基準平均乳化粒子径が0.5〜5.0μmであることが好ましい。凝固剤の体積平均乳化粒子径を上記範囲内とすることにより、W/O型乳化組成物の安定性の高い乳化物とすることができる。
本発明の凝固剤の体積基準平均乳化粒子径は、乳化安定性の観点から1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。また同様の観点から4.0μm以下が好ましく、3.0μm以下がより好ましい。体積基準平均乳化粒子径は後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0027】
続いて、本発明の凝固剤の調製について説明する。
本発明の凝固剤は、塩化マグネシウムを特定量含有する水溶液と、油脂、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質を含有する油脂組成物とを、油中水型(W/O型)に乳化分散することで得ることができる。得られるW/O型乳化物において、上記水溶液は水相を、上記油脂は油相を構成する。上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質は、上記油脂中に上記水溶液を乳化分散させる乳化剤として機能する。
【0028】
本発明の凝固剤の調製では、作業性ないし安全面から、上記乳化分散工程の温度は90℃以下とすることが好ましく、85℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
本発明の凝固剤の調製では、上記の水溶液及び油脂組成物は、予め上記好ましい温度に加熱しておき、この加熱した上記水溶液及び油脂組成物を混合・乳化分散することが好ましい。こうすることで、塩化マグネシウムをより確実に溶解させた状態でW/O型乳化物を形成させることができるので、塩化マグネシウムの沈殿がなく乳化安定性に優れた乳化物をより確実に得ることができる。予め加熱しておく際の加熱温度は、乳化分散工程を実施する温度と同一であることが好ましい。
【0029】
上記乳化分散工程には、通常の乳化分散方法を採用することができる。例えば、上述の油脂組成物を、上記好ましい温度まで加温し、これをホモミキサーで撹拌しながら、上述の塩化マグネシウムを含有する水溶液を除々に添加する方法などが挙げられる。上記乳化分散工程における混合比は、乳化安定性、低温豆乳への分散性の観点から、質量比で、水溶液/油脂組成物=60/40〜75/25とすることが好ましく、62/38〜73/27とすることがより好ましく、65/35〜71/29とすることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の凝固剤は、充填豆腐の製造に好適に用いることができる。本発明の凝固剤を用いた充填豆腐の製造は、凝固剤として本発明の凝固剤を用いること以外は常法により実施することができる。上記製造方法の好ましい実施形態を以下に説明する。
まず低温豆乳と、本発明の凝固剤とを混合し、低温豆乳中に本発明の凝固剤を分散させる。本発明における低温豆乳とは0〜40℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは5〜20℃、更に好ましくは5〜15℃の豆腐製造用の豆乳を言う。
本発明の凝固剤は、低温豆乳中への分散性に優れ、且つ、低温豆乳中では塩化マグネシウムを放出しにくい。そのため本発明の凝固剤を含む低温豆乳は、液体状態を一定時間維持できる。
得られた低温豆乳と凝固剤との混合液は、次いで、所望の形状の容器(パック)に充填される。本発明の凝固剤を用いることにより低温豆乳は液体状態を一定時間維持できるため、この充填工程において、豆乳の凝固反応は進行しにくい。そのため、充填工程の時間管理を厳密に行わなくても安定して充填することができ、品質の揃った豆腐を製造できる。
上記充填工程後、容器を密閉し、加熱することにより、凝固剤から塩化マグネシウムが放出され、豆乳中のタンパク質に架橋構造が形成されてゲル化し、豆腐が得られる。
充填豆腐の製造に際し、低温豆乳と本発明の凝固剤との混合は、低温豆乳中の塩化マグネシウムの含有量が0.12〜0.21質量%となるように、低温豆乳と本発明の凝固剤とを混合することが好ましく、低温豆乳中の塩化マグネシウムの含有量が0.14〜0.19質量%となるように、低温豆乳と本発明の凝固剤とを混合することがより好ましい。
低温豆乳と本発明の凝固剤との混合は、通常のミキサーを用いて均質に撹拌することにより行うことができる。豆乳と本発明の豆腐用凝固剤とを混合して数秒〜数十秒間撹拌した後、所望の形状の豆腐充填容器に充填し、通常は80〜90℃程度の温度下で40〜50分間程度加熱し、熟成させることにより、豆腐が得られる。
【0031】
上述した実施形態に関し、本発明は以下の豆腐用凝固剤を開示する。
【0032】
<1>
油相中に塩化マグネシウムを含有する水相が乳化分散した油中水型乳化組成物からなる充填豆腐用凝固剤であって、
該充填豆腐用凝固剤がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとリン脂質とを含有し、
該充填豆腐用凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量が14.0〜26.0質量%であり、リン脂質の含有量が0.1〜1.6質量%である、充填豆腐用凝固剤。
【0033】
<2>
上記油相を構成する油脂が、好ましくは、食用に適する動物性油脂、食用に適する植物性油脂、及び、多価アルコールと脂肪酸とのエステル(ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを除く)から選ばれる1種又は2種以上である、上記<1>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<3>
上記油脂が、好ましくは20℃において液状の油脂であり、より好ましくは5℃において液状の油脂である、上記<2>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<4>
上記植物性油脂が、好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、これらの硬化油、これらのエステル交換油及びこれらの分別油から選ばれる1種又は2種以上である、上記<2>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<5>
上記動物性油脂が、好ましくは、ラード及び牛脂から選ばれる1種又は2種以上である、上記<2>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<6>
上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する多価アルコールが、好ましくは、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビト−ル及びソルビタンから選ばれる1種又は2種以上である、上記<2>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<7>
上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸が、好ましくは、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であり、より好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸から選ばれる1種あるいは2種以上である、上記<2>又は<6>に記載の充填豆腐用凝固剤。
【0034】
<8>
上記充填豆腐用凝固剤中、油脂の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<9>
上記充填豆腐用凝固剤中、油脂の含有量が、好ましくは40質量%以下、より好ましくは38質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<10>
上記充填豆腐用凝固剤中、油脂の含有量が、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは22〜38質量%、さらに好ましくは25〜35質量%である、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<11>
上記油相が油脂からなるか、又は上記油相が油脂の他に、さらに着色料、酸化防止剤、調味料及び強化剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<12>
上記油相中、油脂の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である、上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0035】
<13>
上記充填豆腐用凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは16.0質量%以上、より好ましくは18.0質量%以上、さらに好ましくは19.0質量%以上である、上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<14>
上記充填豆腐用凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは24.0質量%以下である、上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<15>
上記充填豆腐用凝固剤中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは16.0〜25.0質量%、より好ましくは18.0〜24.0質量%、さらに好ましくは19.0〜24.0質量%である、上記<1>〜<14>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<16>
上記水相中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは25.0質量%以上、より好ましくは26.0質量%以上、さらに好ましくは27.0質量%以上、さらに好ましくは28.0質量%以上である、上記<1>〜<15>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<17>
上記水相中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは38.0質量%以下、より好ましくは36.0質量%以下、より好ましくは35.0質量%以下である、上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<18>
上記水相中、塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは25.0〜38.0質量%、より好ましくは26.0〜36.0質量%、さらに好ましくは27.0〜35.0質量%、さらに好ましくは28.0〜35.0質量%である、上記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0036】
<19>
上記塩化マグネシウムが塩化マグネシウム6水和物に由来する、上記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<20>
上記水相が好ましくは、塩化マグネシウム及び水から構成されているか、又は、塩化マグネシウム及び水と共に、塩化マグネシウム以外の無機塩類を含有する、上記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<21>
上記無機塩類が、好ましくは塩化カルシウム及び/又は塩化ナトリウムを含む、上記<20>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<22>
上記水相中、水の含有量が、好ましくは62.0質量%以上、より好ましくは64.0質量%以上、さらに好ましくは65.0質量%以上である、上記<1>〜<21>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<23>
上記水相中、水の含有量が、好ましくは75.0質量%以下、より好ましくは74.0質量%以下、さらに好ましくは73.0質量%以下、さらに好ましくは72.0質量%以下である、上記<1>〜<22>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<24>
上記水相中、水の含有量が、好ましくは62.0〜75.0質量%、より好ましくは64.0〜74.0質量%、さらに好ましくは65.0〜73.0質量%、さらに好ましく、65.0〜72.0質量%である、上記<1>〜<23>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0037】
<25>
上記充填豆腐用凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である、上記<1>〜<24>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<26>
上記充填豆腐用凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である、上記<1>〜<25>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<27>
上記充填豆腐用凝固剤中、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が、好ましくは0.5〜3.0質量%、より好ましくは0.8〜2.5質量%、さらに好ましくは1.0〜2.0質量%である、上記<1>〜<26>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0038】
<28>
上記充填豆腐用凝固剤中、リン脂質の含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上である、上記<1>〜<27>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<29>
上記充填豆腐用凝固剤中、リン脂質の含有量が、好ましくは1.4質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下である、上記<1>〜<28>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<30>
上記充填豆腐用凝固剤中、リン脂質の含有量が、好ましくは0.3〜1.4質量%、より好ましくは0.6〜1.3質量%である、上記<1>〜<29>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0039】
<31>
上記充填豆腐用凝固剤中、上記水相と、上記油相、上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及び上記リン脂質の合計との比が、質量比で、好ましくは[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=60/40〜75/25を満たし、より好ましくは[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=62/38〜73/27を満たし、さらに好ましくは[水相]/[油相、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質の合計]=65/35〜71/29を満たす、上記<1>〜<30>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<32>
上記充填豆腐用凝固剤の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である、上記<1>〜<31>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<33>
上記充填豆腐用凝固剤の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下である、上記<1>〜<32>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<34>
上記充填豆腐用凝固剤の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは0.5〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、さらに好ましくは1.5〜3.0μmである、上記<1>〜<33>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
【0040】
<35>
塩化マグネシウムを含有する水溶液と、油脂、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル及びリン脂質を含有する油脂組成物とを、油中水型(W/O型)に乳化分散することで得られる、上記<1>〜<34>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤。
<36>
上記乳化分散工程の温度が、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下である、上記<35>に記載の充填豆腐用凝固剤。
<37>
上記乳化分散工程における混合比が、質量比で、好ましくは水溶液/油脂組成物=60/40〜75/25を満たし、より好ましくは水溶液/油脂組成物=62/38〜73/27を満たし、さらに好ましくは65/35〜71/29を満たす、上記<35>又は<36>に記載の充填豆腐用凝固剤。
【0041】
<38>
好ましくは0〜40℃、より好ましくは5〜30℃、さらに好ましくは5〜20℃、特に好ましくは5〜15℃の豆乳中に上記<1>〜<37>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤が分散してなる分散液を得る工程と、該分散液を加熱して該豆乳を凝固させる工程とを含む、豆腐の製造方法。
<39>
上記分散液が、低温豆乳と上記<1>〜<37>のいずれか1つに記載の充填豆腐用凝固剤とを、低温豆乳中の塩化マグネシウムの含有量が、好ましくは0.12〜0.21質量%、より好ましくは0.14〜0.19質量%となるように混合して得られる、<35>に記載の豆腐の製造方法。
<40>
上記加熱条件が、好ましくは80〜90℃の温度で、好ましくは40〜50分間の加熱である、<38>又は<39>に記載の豆腐の製造方法。
【0042】
本発明を実施例に基づき以下に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
[分析方法]
水相中の塩化マグネシウム濃度:
乳化分散工程に用いた水溶液中の塩化マグネシウム濃度を「第8版食品添加物公定書」の「塩化マグネシウム」の項に記載の方法により定量し、得られた値を水相中の塩化マグネシウム濃度とした。
【0044】
豆腐用凝固剤中の塩化マグネシウム濃度:
豆腐用凝固剤0.2gにエタノールを加えて溶解し、20mLまでメスアップしてA液とした。A液5mLにエタノール50mL及びアンモニア塩化アンモニウム緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを1000mLメスフラスコに量り、アンモニア水570mLを加えて溶かし、蒸留水を加えて1000mLとした溶液)を5mL加えた。この溶液にエリオクロムブラックT溶液を2滴加え、0.01mol/LのEDTAで滴定した。終点は赤色から青色に変わった点とした。下記計算式より豆腐用凝固剤中の塩化マグネシウム濃度を算出した。
豆腐用凝固剤中の塩化マグネシウム濃度(質量%)=a×0.3808/0.2
(a:試料の滴定に要した0.01mol/L EDTAの使用量(mL))
【0045】
体積基準平均乳化粒子径:
20℃で1日間保存した豆腐用凝固剤をレーザー回析式粒度分布計(商品名:SALD−2100、島津製作所社製)を用いてメジアン径(体積基準、屈折率1.70−0.20i)を測定した。豆腐用凝固剤の分散媒としては、中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名:ココナードMT、花王社製)を用い、20〜25℃の範囲でバッチセル法により測定した。
【0046】
[実施例1〜11、比較例1〜8] W/O型豆腐用凝固剤の製造
表1に示す配合組成(単位:質量部)で全量1000gのW/O型乳化物よりなる豆腐用凝固剤(実施例1〜11、比較例1〜8)を得た。表1に記載の塩化マグネシウム6水和(MgCl
2・6H
2O)として、ソフトウエハー(商品名、赤穂化成社製)を用いた。また、親油性乳化剤として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルであるサンソフトNo.818SK(商品名、太陽化学社製、グリセリン平均重合度:6)、サンソフトNo.818DG(商品名、太陽化学社製、グリセリン平均重合度:4)、レシチン(商品名:イェルキンTS、ADM社製、リン脂質含有量:64質量%)を用いた。また、油脂として、コーン油(商品名:日清コーン油(S)、日清オイリオ社製)又は中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名:ココナードMT、花王社製)を用いた。具体的な方法を以下に説明する。
【0047】
表1に記載の比率で塩化マグネシウム6水和物を水に溶解し、水溶液を調製した。また、表1に記載の比率で上記親油性乳化剤と油脂とを混合し、油脂組成物を調製した。これらの水溶液及び油脂組成物を80℃まで加温した。アンカー羽(Φ58mm)を用いて300rpmで前記油脂組成物を攪拌しながら、前記水溶液をローラーポンプ(東京理科社製:RP−1000、チューブΦ48mm)を用いて125rpmで添加し、前記水溶液を添加後にアンカー羽を500rpmに設定し15分間攪拌し予備乳化物を得た。前記予備乳化物をホモミキサー(プライミクス社製、TKホモミクサーMARKII)を用いて5000〜11000rpmで、3〜5分間撹拌することで乳化させ、W/O乳化型の豆腐用凝固剤を得た。
【0048】
得られた豆腐用凝固剤について、水相中の塩化マグネシウムの含有量(質量%)、凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量(質量%)、[水相]/[油相+乳化剤]の質量比、及び凝固剤の体積基準平均乳化粒子径(単位:μm)を表1に示した。なお、レシチン中の油脂は油相を構成し、リン脂質は乳化剤として機能する。
【0049】
[比較例9〜11] 分散型豆腐用凝固剤の製造
表1に示す配合組成(単位:質量%)の分散型豆腐用凝固剤を得た。表1に記載の中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名:ココナードMT、花王社製)にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフトNo.818SK、太陽化学社製)、及び、レシチン(商品名:イェルキンTS、ADM社製)又はジアセチル酒石酸モノグリセライド(商品名:サンソフトNo.641D)を加え混合し、油脂組成物を調製した。
表1に記載の比率で塩化マグネシウム6水和物(商品名:ソフトウエハー、赤穂化成製)とグリセリン(商品名:グリセリン、花王社製)とを混合し、水溶液を調製した。
上記油脂組成物及び水溶液を80℃まで加温した。アンカー羽(Φ58mm)を用いて300rpmで上記油脂組成物を攪拌しながら、前記水溶液をローラーポンプ(東京理科社製:RP−1000、チューブΦ48mm)を用いて125rpmで添加し、前記水溶液を添加後にアンカー羽を500rpmに設定し15分間攪拌し予備乳化物を得た。前記予備乳化物をホモミキサー(プライミクス社製、TKホモミクサーMARKII)を用いて、10、000rpmで、3分間撹拌することで乳化させ、W/O型乳化物を得た。得られたW/O型乳化物をロータリーエバポレータ(東京理化社製、N−1200A)により減圧脱水し、分散型豆腐用凝固剤を得た。
【0050】
[試験例1] 豆腐用凝固剤を用いて製造した充填豆腐の評価
カナダ産白目大豆(商品名:銀河、日清商会社製)を原料として得たBrix12の豆乳を使用し、上記で製造した豆腐用凝固剤を用いて豆腐を製造した。具体的には、10℃に調整した豆乳500gに凝固剤を、豆乳中の塩化マグネシウム濃度(MgCl
2濃度)が0.14質量%又は0.19質量%になるように添加し、TKアジホモミクサー(プライミクス社製、2M-03型)を用いて6000rpmで20秒間攪拌し分散処理液とした。前記分散処理液150gを豆腐容器(第一パック製、型式C−150、83×83×H34mm)に充填し、容器を密閉した。この密閉した容器を80℃にて40分間加熱して熟成し、豆腐を得た。この豆腐を5℃で一晩保存した後、豆腐の食感、容器内壁への凝固剤又は油脂の付着状態を、下記の各評価基準に基づき評価した。
【0051】
−豆腐の食感評価−
豆腐の食感を下記評価基準により点数化し、専門パネル5名の平均点を比較した。結果を表1に示す。
<食感評価基準>
5点:豆腐の内相が均一であり、より弾力があり、滑らかな食感である。
4点:豆腐の内相が均一であり、弾力があり、滑らかな食感である。
3点:豆腐の内相が均一であり、やや弾力があり、滑らかな食感である。
2点:豆腐の内相が不均一であり、滑らかさに欠ける食感である。
1点:凝固不良により評価できない。
【0052】
−容器内壁への凝固剤又は油脂の付着状態の評価−
容器内壁への凝固剤又は油脂の付着状態を下記評価基準により点数化し、比較した。結果を表1に示す。
<容器内壁への凝固剤又は油脂の付着状態の評価基準>
3点:容器内壁への凝固剤又は油脂の付着がない。
2点:容器内壁への凝固剤又は油脂の付着が認められる。
1点:容器内壁への凝固剤又は油脂の付着量がより多い。
【0053】
【表1-1】
【0054】
【表1-2】
【0055】
表1に示される通り、W/O型乳化組成物からなる凝固剤であっても、リン脂質の含有量が本発明で規定するよりも少ないと、低温豆乳中に添加しても均質に分散することができず、結果、得られる豆腐は内相が不均一で滑らかさに欠ける食感となり、また、容器内壁に凝固剤あるいは油脂の付着が認められる結果となった(比較例1、2)。逆に、リン脂質の含有量が本発明で規定するよりも多いと、W/O型乳化形態の凝固剤を得ることができなかった(比較例3)。
また、凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量を本発明で規定するよりも少なくし、これに伴い水相の量を減らした場合、リン脂質の含有量を本発明で規定する上限値としたときには、W/O型乳化形態の凝固剤を得ることができなかった(比較例4)。また、凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量を本発明で規定するよりも少なくし、これに伴い水相の量を減らした場合において、リン脂質の含有量を本発明で規定する範囲内でやや減らすことにより、W/O型乳化形態の凝固剤を得ることはできた。しかし、この凝固剤は低温豆乳中への分散性が十分でなく、低温豆乳に添加する凝固剤の量を少し増やすと、容器壁面に凝固剤又は油脂の付着が認められる結果となった(比較例5)。
また、凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量を本発明で規定するよりも多くすると、W/O型乳化形態の凝固剤を得ることができなかった(比較例6、7)。
さらに、凝固剤中の塩化マグネシウムの含有量を本発明で規定するよりも少なくした上で、水相の含有量自体は実施例と同等のレベルとした(すなわち、水相中の塩化マグネシウム濃度を薄くした)W/O型乳化形態の凝固剤は、低温豆乳中への分散性に劣り、得られる豆腐の食感、容器壁面への凝固剤又は油脂の付着のいずれの評価においても劣る結果となった(比較例8)。
さらに、凝固剤が、本発明で規定する成分をすべて含有する場合であっても、その形態がW/O型乳化物でない場合、やはり低温豆乳中への分散性に劣り、得られる豆腐の食感、容器壁面への凝固剤又は油脂の付着状態のいずれの評価においても劣る結果となった(比較例9、10)。当該比較例9ないし10において、リン脂質に代えてジアセチル酒石酸モノグリセライドを乳化剤として用いた場合には、得られる豆腐の食感及び凝固状態において、より劣る結果となった(比較例11)。
【0056】
これに対し、本発明の凝固剤は低温豆乳中への分散性に優れ、本発明の凝固剤を用いて製造した充填豆腐は、いずれも豆腐の内相が均一でより滑らかな食感を有し、また、容器内壁への凝固剤又は油脂の付着も認められなかった(実施例1〜11)。
低温豆乳を用いた充填豆腐の製造に好適な豆腐用凝固剤であって、低温豆乳に添加した際に優れた分散性を示し、また、低温豆乳中では凝固成分である塩化マグネシウムを放出しにくく豆乳の液状態を一定時間安定に維持することができ、さらに容器内壁への凝固剤成分の付着しにくく、滑らかな食感を有する高品質の充填豆腐を安定して製造することを可能とする豆腐用凝固剤を提供する。