特許第6126788号(P6126788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126788
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】配管内の異物除去装置
(51)【国際特許分類】
   B03B 5/00 20060101AFI20170424BHJP
   D21D 5/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B03B5/00 Z
   D21D5/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-45998(P2012-45998)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-180246(P2013-180246A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091591
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 秀人
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】関矢 幸広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 次夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 広
(72)【発明者】
【氏名】野添 進
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−071489(JP,A)
【文献】 特開昭63−166447(JP,A)
【文献】 特開平04−136593(JP,A)
【文献】 特開平05−339890(JP,A)
【文献】 特開平07−075705(JP,A)
【文献】 特開2003−013381(JP,A)
【文献】 特開2004−162654(JP,A)
【文献】 特許第5844515(JP,B2)
【文献】 実開平02−057996(JP,U)
【文献】 米国特許第3735873(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03B 5/00
D21D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された古紙を原料とする古紙パルプを製造する際に、古紙を縛っていた荷造り紐等の紐状の異物が混入した流体を所望の機器装置へ供給ポンプによって流送する給送配管の途中で、前記紐状の異物を除去する配管内の異物除去装置において、
前記供給ポンプの吸込側に吸込側バルブを、吐出側に吐出側バルブを配し、
前記吸込側バルブと供給ポンプの吸込口との間の給送配管に粕除去手段を配し、
前記粕除去手段は、前記流体中の異物を捕捉する前記給送配管内に設けた異物捕捉手段と、捕捉した異物を該異物捕捉手段から給送配管内の流路の外部に排除する異物排除手段とを備えていることを特徴とする配管内の異物除去装置。
【請求項2】
前記異物捕捉手段は、前記流体の流れ方向とほぼ平行な面を有し、給送配管の内径とほぼ等しい長さの板材で構成し、
前記異物排除手段を、前記板材を摺動させて配管内から移動させる駆動装置で構成したことを特徴とする請求項1に記載の配管内の異物除去装置。
【請求項3】
前記異物捕捉手段の板材を給送配管内に位置した捕捉位置と、該給送配管内から退避した除去位置との間で摺動自在とし、
前記異物捕捉手段の先端が臨む位置に異物排出配管を配すると共に、該異物排出配管と前記給送配管との間を断続させる排出バルブを設けたことを特徴とする請求項2に記載の配管内の異物除去装置。
【請求項4】
前記供給ポンプの吐出口と前記吐出側バルブとの間に押水供給管を接続させ、該押水供給管と供給ポンプの吐出口との間を断続させる押水バルブを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の配管内の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプ中を流れる製紙原料等から異物を除去する装置に関し、特に回収された古紙を原料として古紙パルプあるいは脱墨パルプ(deinked pulp)を製造する工程で、離解された古紙を水流を利用して給送、すなわち流送する際に異物を除去する異物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新聞紙や段ボール、雑誌、上質紙等の古紙を回収して、脱墨パルプを生成し、新聞紙やトイレットペーパー、段ボール原紙等に再生することは、資源面や環境面、経済面等にとって好ましく、特に近年では回収率や利用効率の向上が積極的に図られている。回収された古紙は、古紙処理プラント等で脱墨パルプに生成されることになる。
【0003】
古紙処理プラントでは、回収された古紙がパルパーに供されて離解され、脱墨パルプを生成する際には除去されなければならない、例えば古紙を縛っていた荷造り紐等の異物が除去される。このような大きな異物の除去は、脱墨処理を行う前の粗選工程で行われ、主として粗選スクリーンが利用されている。
【0004】
前記粗選スクリーンは、例えば特許文献1に開示されている製紙用スクリーン装置と同様な構造のものが用いられている。
【0005】
また、本件出願人は、特許文献1に開示された製紙用スクリーン装置を改良して、スクリーンの内部で大きな塊に成長した異物や繊維状の細かな異物等を確実に排出することができるようにした、脱墨パルプ製造用の粗選スクリーンを提案した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−223151号
【特許文献2】特開2011−074532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に提案された粗選スクリーンによれば、異物排出管が閉塞されることが極力減じられ、粗選スクリーンの運転効率が向上した。しかしながら、運転時間の経過と共に、徐々に異物の塊が成長することを完全には防止できず、異物除去のための粗選スクリーンの運転停止の機会を、さらに減じることが望まれている。
【0008】
一方、多くの場合パルパーから粗選スクリーンにかけては複数のタンクを経由し、濃度コントロールや原料払い出し量の安定化などが図られているため、荷造り紐等に由来する紐状の異物を含んだ原料をポンプにより流送しなければならない場合が生じる。このため、パルパーから粗選スクリーンに原料を流送するための配管やポンプにはポリプロピレンやビニール等の荷造り紐も古紙原料と共に流送される場合がある。しかも、タンクのアジテーター等で互いに絡まって大きく成長する場合があり、成長した異物が配管を詰まらせたり、流れに支障を生じさせたりしている。さらに、原料供給用の渦巻きポンプに吸い込まれてポンプの過負荷停止を招く原因ともなっている。このため、ポンプを停止し、配管を分解して異物を除去することが行われており、この異物除去の作業に要する時間は原料の製造を行えず、生産効率が低下することになる。
【0009】
粗選スクリーンに至る配管の途中で異物を適切に除去できれば、粗選スクリーンの運転効率を低下させることもなく、しかも、配管途中の異物の除去を簡便に行うことができれば、除去作業に要する時間を短縮でき、古紙原料の生産効率の低下を極力抑制することができる。
【0010】
そこで、この発明は、配管の途中において原料と共に流送される異物を捕捉し、該捕捉した異物を、配管を分解することなく排出できる配管内の異物除去装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る配管内の異物除去装置は、回収された古紙を原料とする古紙パルプを製造する際に、古紙を縛っていた荷造り紐等の紐状の異物が混入した流体を所望の機器装置へ供給ポンプによって流送する給送配管の途中で、前記紐状の異物を除去する配管内の異物除去装置において、前記供給ポンプの吸込側に吸込側バルブを、吐出側に吐出側バルブを配し、前記吸込側バルブと供給ポンプの吸込口との間の給送配管に粕除去手段を配し、前記粕除去手段は、前記流体中の異物を捕捉する前記給送配管内に設けた異物捕捉手段と、捕捉した異物を該異物捕捉手段から給送配管内の流路の外部に排除する異物排除手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
前記給送配管内を流れる流体に混入している異物の一部、特に荷造り紐等の長尺物は、前記粕除去手段が配されている場所を通過する際に該粕除去手段の異物捕捉手段に捕捉される。順次捕捉された異物が適宜な大きさに成長した状態で、前記異物排除手段を作動させると、捕捉された異物が給送配管の流路の外部に排出される。例えば、該異物を貯留させる凹部による異物ポット等の収容部を給送配管の途中に配設して、この収容部に異物が滞留することができるようにする。そして、異物排除手段を作動させると、前記異物捕捉手段に捕捉された異物がこの凹部に排出されるようにする。
【0013】
また、請求項2の発明に係る配管内異物除去装置の前記異物捕捉手段は、前記流体の流れ方向とほぼ平行な面を有し、給送配管の内径とほぼ等しい長さの板材で構成し、前記異物排除手段を、前記板材を摺動させて配管内から移動させる駆動装置で構成したことを特徴としている。
【0014】
前記異物捕捉手段を板材で形成し、その面の方向を給送配管内の流れ方向とほぼ平行としたものである。なお、板材は大きな管路抵抗とならないものであればよく、流れ方向とほぼ平行な方向とすると共に、肉厚を極力小さくすることが好ましい。この板材からなる異物捕捉手段を摺動させることにより、捕捉されている異物が該異物捕捉手段から滑落等することで除去される。また、この異物捕捉手段の高さは、給送配管の内径とほぼ等しくしてあり、給送配管内を流送される古紙原料に対して、該給送配管の径方向で作用するようにしてある。
【0015】
また、請求項3の発明に係る配管内の異物除去装置は、前記異物捕捉手段の板材を給送配管内に位置した捕捉位置と、該給送配管内から退避した除去位置との間で摺動自在とし、前記異物捕捉手段の先端が臨む位置に異物排出配管を配すると共に、該異物排出配管と前記給送配管との間を断続させる排出バルブを設けたことを特徴としている。
【0016】
前記異物捕捉手段を除去位置へ摺動させると、捕捉されていた異物が該異物捕捉手段から滑落して離脱する。離脱した異物は前記排出バルブが開放されることにより、前記異物排出配管に流入して給送配管から排除される。
【0017】
また、請求項4の発明に係る配管内の異物除去装置は、前記供給ポンプの吐出口と前記吐出側バルブとの間に押水供給管を接続させ、該押水供給管と供給ポンプの吐出口との間を断続させる押水バルブを設けたことを特徴としている。
【0018】
前記異物捕捉手段から異物を離脱させる際には、前記供給ポンプを停止し、前記吸込側バルブと吐出側バルブとを閉成し、前記排出バルブと前記押水バルブとを開放して、押水供給管から給送配管内に押水を供給しながら行う。すなわち、前記異物捕捉手段を摺動させて異物を滑落させると、押水ポンプは異物を前記異物排出配管へ流出させる。このとき、供給ポンプ内を押水は逆流するから、供給ポンプ内の異物も排出される。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る配管内の異物除去装置によれば、供給ポンプを停止させ、前記吸込側バルブと吐出側バルブを閉成した状態で前記異物排除手段により前記異物捕捉手段で捕捉された異物を排除する。排除された異物は、例えば異物ポット等のように給送配管内の流路外に設けた収容部に収容されることで、流路中の流体から除去される。そして、異物ポット等から異物を排出させて除去した後、吸込側バルブと吐出側バルブとを開放し、供給ポンプを運転すれば、前記異物捕捉手段から異物が取り除かれた状態で運転が再開される。
【0020】
異物を排除する場合には、前記異物ポット等の収容部のみを開放することで行えるから、除去作業に要する時間を大幅に短縮できる。
【0021】
また、請求項2の発明に係る配管内の異物除去装置によれば、板材による異物捕捉手段であるため、長尺の異物を容易に捕捉することができて、荷造り紐の除去を効率よく行える。
【0022】
また、給送配管内の一部に区画壁を設けてこの区画壁に板材を通過させられるスリット状の開口を形成し、この開口を通して摺動させることで、異物捕捉手段を給送配管内から給送配管外に移動させることが容易となり、この摺動動作を利用することで捕捉された異物を容易に離脱させることができる。このとき、離脱した異物は給送配管の流路内に残り、これを除去することになる。
【0023】
また、請求項3の発明に係る配管内の異物除去装置は、前記区画壁に替えて給送配管の管壁にスリット状の開口を形成し、この開口に案内させて異物捕捉手段を摺動するようにすることで、該異物捕捉手段の移動を確実に案内することができる。この異物排出手段から離脱させた異物は前記異物排出配管から排出できる。このため、前記供給ポンプの作動・停止、吸込側バルブと吐出側バルブの開閉、前記排出バルブの開閉、前記異物除去手段の動作とをそれぞれアクチュエータにより行わせるようにすることができ、これらの動作のシーケンスを組むことによって、給送配管内からの異物の除去を容易に、しかも短時間で行うことができる。
【0024】
また、請求項4の発明に係る配管内の異物除去装置によれば、押水によって供給ポンプ内を逆洗できると共に、異物捕捉手段から離脱させた異物を確実に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明に係る配管内の異物除去装置の概略を説明する図で、この異物除去装置が配された給送配管の部分を示している。
図2】この発明に係る配管内の異物除去装置の構造を説明する図で、給送配管内の流れ方向に沿った面で切断した断面図である。
図3図2に示す異物除去装置を、給送配管内の流れ方向と直交する面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る配管内の異物除去装置を具体的に説明する。なお、図示した異物除去装置は、脱墨パルプの製造工程において、パルパーから粗選スクリーンに古紙原料を流送する給送配管に設けられたものとしてある。
【0027】
図1に示すように、給送配管1の途中に供給ポンプ2が配されており、この供給ポンプ2の吸込口2sには吸込側バルブ3が、吐出口2dには吐出側バルブ4がそれぞれ設けられている。これら吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とは、それぞれアクチュエータ3a、4aによって給送配管1の流路の断続を行うようにしてある。
【0028】
前記供給ポンプ2と吸込側バルブ3との間には、異物除去装置を構成する粕除去手段10が配されている。この粕除去手段10は、給送配管1内に配された異物捕捉手段としての捕捉板11と、この捕捉板11を摺動させる異物排除手段としてのアクチュエータ12とを主体として構成されている。捕捉板11は薄肉の板材によって構成されており給送配管1内の流れ方向とほぼ平行な方向を幅方向としてある。すなわち、流れ方向に対向して肉厚が臨んでいて、管路抵抗が大きくならないようにしてある。また、この捕捉板11の摺動の方向に沿った高さ方向の長さは、給送配管1の内径とほぼ等しくしてある。この捕捉板11の下方に異物排出配管13が接続されており、この異物排出配管13には排出バルブ14が設けられており、アクチュエータ14aにより開閉されるようにしてある。
【0029】
図2及び図3に前記粕除去手段10の構造を示してあり、図2は給送配管1の流れ方向に沿った鉛直面で切断した断面図であり、図3は流れ方向に直交する面で切断した断面図である。供給ポンプ2の吸込口2sにこの粕除去手段10が配されており、この粕除去手段10の前記捕捉板11が配されている部分で給送配管1が吸込口2sにかけて徐々に縮径されている。図2及び図3に示すように、捕捉板11が配されている部分の給送配管1の上部には、上方に突出させたガイド部15が設けられており、このガイド部15に、前記捕捉板11が貫通しているスリット状の開口が形成されているフランジ板16が被せられている。フランジ板16の内側面には、給送配管1内に突出させた一対の捕捉板清掃プレート17a、17bが配されている。前記捕捉板11はこの一対の捕捉板清掃プレート17a、17bで挟持されて支持され、これら捕捉板清掃プレート17a、17bに対して摺動可能としてある。
【0030】
また、前記フランジ板16の外側面には捕捉板用シール部材18が設けられており、捕捉板11がこの捕捉板用シール部材18を貫通して上端部が該捕捉板用シール部材18から突出している。この突出した上端部をピストンロッド20の先端部に取り付けられたクレビス20aに回動自在に連繋させてある。前記ピストンロッド20はエアシリンダによるアクチュエータ12により往復運動し、このピストンロッド20の往復運動によって、捕捉板11が、図2及び図3に示す給送配管1内に位置した捕捉位置と給送配管1の内部から上方へ退避した除去位置との間で摺動するようにしてある。
【0031】
また、前記異物排出配管13は前記ガイド部15に対向した位置に形成されており、捕捉板11が捕捉位置に位置した状態で、該捕捉板11の下端部が異物排出配管13を臨んだ状態にある。
【0032】
また、図1に示すように、供給ポンプ2の吐出口2dと前記吐出側バルブ4との間に押水供給管22を接続させてあり、この押水供給管22に押水バルブ22aが設けられている。この押水バルブ22aを開放することによって、押水が供給ポンプ2の吐出口2dから供給されるようにしてある。
【0033】
以上により構成されたこの発明に係る配管内の異物除去装置の作用を、以下に説明する。
【0034】
パルパーによって離解された古紙原料は、前記供給ポンプ2によって給送配管1を通って図示しない粗選スクリーンに流送される。古紙原料が流送されている際には、前記吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とが開放し、前記排出バルブ14と前記押水バルブ22aとは閉成されている。また、前記捕捉板11は図1図3に示すように、給送配管1内にあって捕捉位置に位置している。
【0035】
給送配管1内を流れる古紙原料に混入している異物、特に荷造り紐のような長尺物は、前記捕捉板11を通過する際に該捕捉板11に捕捉される。例えば、供給ポンプ2の吐出量が減少したり、供給ポンプ2の運転が所定の時間を経過すると、多量の異物が捕捉板11に捕捉されたものとして、捕捉された異物を除去する作業が行われることになる。なお、異物捕捉手段に棒状の部材を用いる場合よりも、捕捉板11のように板材とすることが長尺の異物を捕捉しやすい。
【0036】
異物を除去する際には、供給ポンプ2を停止し、前記吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とを閉成する。これにより、吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とによって給送配管1と供給ポンプ2の内部が密封される。この状態で、前記アクチュエータ12であるエアシリンダを作動させてピストンロッド20を後退させる。ピストンロッド20が後退すると、捕捉板11が一対の前記捕捉板清掃プレート17a、17bに対して摺動し、捕捉位置から除去位置まで上昇することになる。このとき、捕捉板11に捕捉された異物は捕捉板清掃プレート17a、17bに掻き取られて、捕捉板11から離脱し、給送配管1の内部に滑落する。次いで、前記排出バルブ14を開放すると、離脱した異物が古紙原料と共に異物排出配管13を通って給送配管1の外部に排出されることになる。なお、前記捕捉板用シール部材18によって、捕捉板11が給送配管1の外部に取り出されても内部の古紙原料等がフランジ板16に形成された開口から排出されることがない。
【0037】
また、このとき、前記押水バルブ22aを開放すると、押水供給管22から押水が供給され、供給ポンプ2内を吐出口2dから吸込口2sに向かって流れることになる。この流れの方向は供給ポンプ2による流れ方向とは逆の方向であり、押水によって供給ポンプ2の内部が逆洗される。このため、供給ポンプ2内が洗浄され、供給ポンプ2内に滞留した異物が排出されて、給送配管1の内部と共に洗浄される。
【0038】
異物の除去作業が完了したならば、前記押水バルブ22aを閉成して押水の供給を停止し、前記排出バルブ14を閉成する。次いで、前記アクチュエータ12を作動させてピストンロッド20を前進させると捕捉板11が給送配管1に押し込まれて除去位置から捕捉位置まで摺動する。そして、吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とを開放して供給ポンプ2を作動させる。これにより、古紙原料が供給ポンプ2によって粗選スクリーン等の所定の機器装置まで流送されることになる。
【0039】
前述した吸込側バルブ3と吐出側バルブ4、排出バルブ14、捕捉板11とのそれぞれのアクチュエータ3a、4a、14a、12の動作と、供給ポンプ2の動作とをシーケンス制御することにより、捕捉板11に捕捉された異物の除去を自動的に行わせることができる。すなわ、供給ポンプ2の停止、アクチュエータ3a、4aの作動によって吸込側バルブ3と吐出側バルブ4との閉成動作、アクチュエータ12の作動による捕捉板11の捕捉位置から除去位置までの摺動動作を行わせる。次いで、アクチュエータ14aの作動による排出バルブ14を開放させると、吸込側バルブ3と吐出側バルブ4との間に密封された古紙原料と共に異物が異物排出配管13から排出される。このとき、前記押水バルブ22aを開放させると、前述したように、供給ポンプ2が逆洗されて洗浄される。
【0040】
そして、給送配管1の密封された部分に滞留している古紙原料が排出されると異物も排出されることとなるので、該古紙原料が排出された後に、あるいは供給ポンプ2の逆洗開始から一定時間経過した後に、開放している押水バルブ22aを閉成し、排出バルブ14を閉成する。次いで、捕捉板11を捕捉位置まで復帰させ、吸込側バルブ3と吐出側バルブ4とを開放した後、供給ポンプ2を作動させる。
【0041】
捕捉板11によって捕捉された異物の前述した除去作業は、例えば、供給ポンプ2の吐出量が減少したり、吐出圧力の低下等を検知して開始するようにしたり、あるいは一定時間毎に開始するようにして、前述した動作手順を行わせるようにできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係る配管内の異物除去装置によれば、流体中の異物を捕捉し、捕捉された異物を排除する動作により異物を流路外へ排除できるから、供給ポンプの停止時間を短縮でき、古紙製造工程の効率の向上に寄与する。
【符号の説明】
【0043】
1 給送配管
2 供給ポンプ
2s 吸込側
2d 吐出側
3 吸込側バルブ
3a アクチュエータ
4 吐出側バルブ
4a アクチュエータ
10 粕除去手段
11 捕捉板(異物捕捉手段)
12 アクチュエータ
13 異物排出配管
14 排出バルブ
14a アクチュエータ
15 ガイド部
16 フランジ板
17a、17b 捕捉板清掃プレート
18 捕捉板用シール部材
20 ピストンロッド
22 押水供給管
22a 押水バルブ
図1
図2
図3