(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電力貯蔵装置においては、容器内空間が消火剤で満たされるが、供給可能な消火剤の量は容器内空間の容積以下に制限される。このため、モジュール電池が適切に窒息消火させられない場合がある。また、セラミックス粒子、砂等の消火剤は、比重が大きい。このため、消火剤の排出、輸送及び噴射に必要な圧送ガスが多くなる。また、消火剤の排出、輸送及び噴射に要する時間が長くなる。さらに、モジュール電池が消火剤の重さにより損傷する場合がある。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するためになされる。本発明の目的は、モジュール電池を適切に窒息消火し、消火剤の排出、輸送及び噴射に必要な圧送ガスを少なくし、消火剤の排出、輸送及び噴射に要する時間を短くし、窒息消火の際にモジュール電池が損傷しにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電力貯蔵装置及び付属消火設備を備える組み合わせ製品に向けられる。
【0007】
本発明の第1の局面においては、電力貯蔵装置が筐体、モジュール電池及び消火機構を備える。モジュール電池が単電池群及び容器を備える。筐体の内部に形成される筐体内空間にモジュール電池が収容される。容器の内部に形成される容器内空間に単電池群が収容される。付属消火設備が消火機構に着脱される。膨張ひる石及び圧送ガスの混合流が付属消火設備から消火機構へ供給される。消火機構によりモジュール電池が膨張ひる石で覆われる。
消火機構は、噴射ノズルおよび流路形成体を備える。噴射ノズルは、膨張ひる石を噴射する。流路形成体には、装置内輸送流路が形成される。膨張ひる石は、装置内輸送流路を経由して圧送される。噴射ノズルには、噴射孔及びノズル内流路が形成される。ノズル内流路は、装置内輸送流路に通じる。噴射孔は、ノズル内流路に通じる。ノズル内流路の断面積は、装置内輸送流路の断面積より大きくなっている。噴射孔の開口面積は、装置内輸送流路の断面積より小さくなっている。
【0008】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第2の局面においては、容器の天面が鉛直方向上方を
向く。噴射ノズルは、筐体内空間に
収容される。噴射された膨張ひる石は、天面に沿って
進行する。装置内輸送流路が筐体の外部から噴射ノズルへ至る。付属消火設備は、流路形成体に着脱される。付属消火設備は、膨張ひる石及び圧送ガスの混合流を装置内輸送流路に供給する。
【0009】
本発明の第3の局面においては、電力貯蔵装置が筐体、モジュール電池及び消火機構を備える。モジュール電池が単電池群及び容器を備える。筐体の内部に形成される筐体内空間にモジュール電池が収容される。容器の内部に形成される容器内空間に単電池群が収容される。付属消火設備が消火機構に着脱される。膨張ひる石及び圧送ガスの混合流が付属消火設備から消火機構へ供給される。消火機構によりモジュール電池が膨張ひる石で覆われる。
本発明の第3の局面においては、容器の天面が鉛直方向上方を向く。消火機構が噴射ノズル及び流路形成体を備える。噴射ノズルは、筐体内空間に収容される。噴射ノズルは、膨張ひる石を噴射する。噴射された膨張ひる石は、天面に沿って進行する。流路形成体に形成される装置内輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。装置内輸送流路が筐体の外部から噴射ノズルへ至る。付属消火設備は、流路形成体に着脱される。付属消火設備は、膨張ひる石及び圧送ガスの混合流を装置内輸送流路に供給する。
本発明の第3の局面においては、容器に奥行き方向及び幅方向が定義される。上記の噴射ノズルが第1の噴射ノズルであり、上記の流路形成体が第1の流路形成体であり、上記の装置内輸送流路が第1の装置内輸送流路である。消火機構が第2の噴射ノズル、第2の流路形成体及びカゴをさらに備える。第2の噴射ノズルは、筐体内空間に収容される。第2の噴射ノズルは、膨張ひる石を噴射する。噴射された膨張ひる石は、天面に沿って進行する。第2の流路形成体に形成される第2の装置内輸送流路を経由して膨張ひる石が圧送される。第2の装置内輸送流路が筐体の外部から第2の噴射ノズルへ至る。付属消火設備は、第2の流路形成体に着脱される。第1の噴射ノズルが容器の幅方向の中央より一方の側にある。第2の噴射ノズルが容器の幅方向の中央より他方の側にある。第1の噴射ノズル及び第2の噴射ノズルが手前側から奥側へ膨張ひる石を噴射する。カゴに形成される捕集口が鉛直方向上方を向く。捕集口が奥側の側面上の天面寄りの位置に配置される。カゴが容器の奥側の側面に沿う。カゴが容器の幅方向の中央にある。付属消火設備は、膨張ひる石及び圧送ガスの混合流を第2の装置内輸送流路に供給する。
【0010】
本発明の第4の局面は、本発明の第3の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、消火機構が第1の中央誘導体及び第2の中央誘導体をさらに備える。第1の中央誘導体に形成される第1の反射面が容器の幅方向の中央より一方の側にある。第2の中央誘導体に形成される第2の反射面が容器の幅方向の中央より他方の側にある。第1の反射面及び第2の反射面は、容器の奥側の側面よりさらに奥側にある。第1の噴射ノズルにより噴射された膨張ひる石は、第1の反射面に衝突し、第1の反射面に反射され、容器の幅方向の中央へ誘導される。第2の噴射ノズルにより噴射された膨張ひる石は、第2の反射面に衝突し、第2の反射面に反射され、容器の幅方向の中央へ誘導される。
【0011】
本発明の第5の局面は、本発明の第2または第3の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、噴射ノズルに噴射孔及びノズル内流路が形成される。噴射孔がノズル内流路に通じる。ノズル内流路が装置内輸送流路に通じる。ノズル内流路の断面が装置内輸送流路の断面より広げられる。噴射孔の開口が装置内輸送流路の断面より狭められる。
本発明の
第6の局面は、本発明の
第2から第5までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の
第6の局面においては、消火機構が構造物をさらに備える。平坦面が容器の天面に対向する。
【0012】
本発明の
第7の局面は、本発明の
第2から第6までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の
第7の局面においては、筐体が筐体本体及び扉を備える。筐体本体に形成される開口が扉により開閉される。噴射ノズル及び流路形成体が扉に取り付けられる。
【0014】
本発明の第8の局面は、本発明の第2から第6までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第8の局面においては、噴射ノズルが噴射ノズル本体及び連結機構を備える。連結機構に形成される被挿入孔に流路形成体が
ある。噴射ノズル本体に形成される噴射孔が被挿入孔に通じる。
【0015】
本発明の第9の局面は、本発明の第2から第8までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第9の局面においては、流路形成体が第1の分割体及び第2の分割体を備える。第1の分割体及び第2の分割体が連結される。装置内輸送流路の第1の区間が第1の分割体に形成される。装置内輸送流路の第2の区間が第2の分割体に形成される。第2の区間が第1の区間に通じる。第2の区間が第1の区間より下流にある。第2の区間の断面が第1の区間の断面より狭められない。
【0016】
本発明の第10の局面は、本発明の第9の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第10の局面においては、流路形成体が分割体の連結機構をさらに備える。分割体の連結機構は、第1の分割体の端部及び第2の分割体の端部が当たった状態で第1の分割体及び第2の分割体を連結する。
【0017】
本発明の第11の局面は、本発明の第2から第10までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第11の局面においては、装置内輸送流路の湾曲輸送区間の中心線の曲率半径が装置内輸送流路の湾曲輸送区間の内径の5倍以上10倍以下である。
【0018】
本発明の第12の局面は、本発明の第1から第11までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第12の局面においては、付属消火設備が圧力容器、膨張ひる石、供給機構、排出流路形成体及び輸送流路形成体を備える。圧力容器に形成される圧力室が膨張ひる石を収容する。供給機構が圧力室に圧送ガスを供給する。排出流路形成体に形成される排出流路が圧力室から圧力容器の外部へ至る。輸送流路形成体に形成される輸送流路が排出流路に通じる。輸送流路形成体が流路形成体に着脱される。
【0019】
本発明の第13の局面は、本発明の第12の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第13の局面においては、排出流路の上流側の端部が圧力室にある。排出流路の上流側の端部が鉛直方向下方を向く。
【0020】
本発明の第14の局面は、本発明の第12又は第13の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第14の局面においては、排出流路の湾曲排出区間の中心線の曲率半径が排出流路の湾曲排出区間の内径の5倍以上10倍以下である。
【0021】
本発明の第15の局面は、本発明の第12から第14までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第15の局面においては、供給機構がボンベ、圧送ガス、供給流路形成体、一次減圧弁及び二次減圧弁を備える。ボンベに形成される充填室に圧送ガスが充填される。供給流路形成体に形成される供給流路が充填室から圧力室へ至る。一次減圧弁及び二次減圧弁が供給流路形成体の途上にある。二次減圧弁が一次減圧弁より下流にある。一次減圧弁が圧送ガスの圧力を減ずる。二次減圧弁が圧送ガスの圧力をさらに減ずる。
【0022】
本発明の第16の局面は、本発明の第12から第15までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第16の局面においては、供給機構が供給する圧送ガスの圧力が0.2MPa以下である。
【0023】
本発明の第17の局面は、本発明の第12から第16までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第17の局面においては、圧送ガスが窒素ガスである。
【0024】
本発明の第18の局面は、本発明の第12から第17までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第18の局面においては、排出流路形成体が非可撓性であり、輸送流路形成体が可撓性である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の局面によれば、モジュール電池が適切に窒息消火させられる。消火剤の排出、輸送及び噴射に必要な圧送ガスが少なくなる。消火剤の排出、輸送及び噴射に要する時間が短くなる。モジュール電池が損傷しにくい。
また、本発明の第1の局面によれば、膨張ひる石が勢いよく噴射される。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0026】
本発明の第2の局面によれば、一方の側から他方の側へ徐々にモジュール電池が膨張ひる石に覆われる。モジュール電池が多量の膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0027】
本発明の第3の局面によれば、モジュール電池が適切に窒息消火させられる。消火剤の排出、輸送及び噴射に必要な圧送ガスが少なくなる。消火剤の排出、輸送及び噴射に要する時間が短くなる。モジュール電池が損傷しにくい。
また、本発明の第3の局面によれば、一方の側から他方の側へ徐々にモジュール電池が膨張ひる石に覆われる。モジュール電池が多量の膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。
さらに、本発明の第3の局面によれば、容器の幅方向の中央の近くに到達した膨張ひる石がカゴに捕集される。容器の幅方向の中央において容器の奥側の側面が膨張ひる石で覆われやすくなる。モジュール電池が膨張ひる石で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0028】
本発明の第4の局面によれば、容器の幅方向の中央の近くに到達する膨張ひる石が増加する。多くの膨張ひる石がカゴに捕集される。モジュール電池が適切に窒息消火させられる。
【0029】
本発明の第5の局面によれば、膨張ひる石が勢いよく噴射される。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
本発明の
第6の局面によれば、ガスの流れが乱れにくい。膨張ひる石が容器の天面の上方を効率よく通過する。
【0030】
本発明の
第7の局面によれば、扉が開かれた場合に噴射ノズル及び流路形成体の干渉を受けることなくモジュール電池に到達できる。モジュール電池の保全が容易になる。
【0032】
本発明の第8の局面によれば、噴射ノズル及び流路形成体の連結箇所において流路の断面が広がる。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0033】
本発明の第9の局面によれば、第1の分割体及び第2の分割体の連結箇所において流路の断面が狭まらない。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0034】
本発明の第11の局面によれば、膨張ひる石が流路に詰まりにくい。流路形成体が大きくなりすぎない。
【0035】
本発明の第12の局面によれば、膨張ひる石が、滞りなく排出され、滞りなく輸送される。
【0036】
本発明の第13の局面によれば、膨張ひる石が自重で排出流路に侵入しにくい。膨張ひる石が流路に詰まりにくい。
【0037】
本発明の第14の局面によれば、膨張ひる石が流路に詰まりにくい。排出流路形成体が大きくなりすぎない。
【0038】
本発明の第15の局面によれば、圧送ガスの流量を容易に多くできる。
【0039】
本発明の第16の局面によれば、膨張ひる石の粒が損傷しにくい。膨張ひる石のかさが維持される。
【0040】
本発明の第17の局面によれば、圧送ガスの流量を容易に多くできる。
【0041】
本発明の第18の局面によれば、排出流路が安定する。膨張ひる石が安定して排出される。噴射ノズルの位置及び姿勢が容易に調整される。
【0042】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(概略)
この実施の形態は、電力貯蔵装置及び付属消火設備の組み合わせ製品に関する。
【0045】
図1の模式図は、組み合わせ製品を示す。
図2の模式図は、電力貯蔵装置の正面図である。
図3の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の斜視図である。
図4の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の側面図である。
図5の模式図は、モジュール電池及びその周辺の構成物の上面図である。
図6の模式図は、モジュール電池の断面図である。
図7の模式図は、噴射ノズルの斜視図である。
図8の模式図は、噴射ノズルの断面図である。
図9の模式図は、複合管及びその周辺の構成物の断面図である。
図10の模式図は、付属消火設備の配管図である。
【0046】
図1に示すように、組み合わせ製品1000は、電力貯蔵装置1020及び付属消火設備1021を備える。
【0047】
図2に示すように、電力貯蔵装置1020は、筐体1040、モジュール電池1041、消火機構1042及び筐体内配線1043を備える。電力貯蔵装置1000は、1個又は2個以上のモジュール電池を筐体1040の内部に備え、モジュール電池の数と同じ数の消火機構を備える。1個の消火機構が1個のモジュール電池に付随する。電力貯蔵装置1000が2個以上のモジュール電池を備える場合は、2個以上のモジュール電池が鉛直方向に配列される場合がある。2個以上のモジュール電池が水平方向に配列されてもよい。2個以上のモジュール電池が垂直方向に配列され、垂直方向に配列された2個以上のモジュール電池がさらに水平方向に配列される場合もある。モジュール電池の数は、電力貯蔵装置1000の仕様に応じて増減される。
【0048】
筐体1040は、筐体本体1060及び両開き扉1061を備える。両開き扉1061は、左側の扉1080及び右側の扉1081を備える。
【0049】
図3から
図5までに示すように、消火機構1042は、左側の噴射ノズル1100、右側の噴射ノズル1101、左側の複合管1102、右側の複合管1103、カゴ1104、左側の中央誘導板1105、右側の中央誘導板1106及び延焼防止板1107を備える。
【0050】
図6に示すように、モジュール電池1041は、容器1120、ナトリウム−硫黄電池の単電池群1121、容器内配線1122、端子1123、砂1124及びスライドベース1125を備える。単電池群1121に含まれる単電池の数は、モジュール電池1041の仕様に応じて増減される。
【0051】
容器1120は、箱体1140及び蓋体1141を備える。容器1100は、スライドベース1125の上面1520に配設される。
【0052】
図7及び
図8に示すように、左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101の各々は、噴射ノズル本体1160及び輸送管接続部1161を備える。輸送管接続部1161は、筒1180及び止めねじ1181を備える。左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101の構造が異なる場合もある。
【0053】
図9に示すように、左側の複合管1102及び右側の複合管1103の各々は、非湾曲管1200、第1のカップリング1201、湾曲管1202及び第2のカップリング1203を備える。左側の複合管1102及び右側の複合管1103の構造が異なる場合もある。
【0054】
図10に示すように、付属消火設備1021は、圧力容器1220、膨張ひる石1221、供給機構1222、排出管1223、バルブ1224、輸送複合体1225を備える。
【0055】
供給機構1222は、ボンベ1240、圧送ガス1241、供給管1242、一次減圧弁1243及び二次減圧弁1244を備える。
【0056】
輸送複合体1225は、輸送ホース1260及び着脱体1261を備える。
【0057】
これらの構成物以外の構成物が組み合わせ製品1000に付加されてもよい。これらの構成物の一部が組み合わせ製品1000から省略される場合もある。
【0058】
モジュール電池1041は、
図2に示される筐体内配線1043を経由して充放電される。モジュール電池1041が充放電される場合は、充放電されるモジュール電池1041に属する単電池群1121が
図6に示される容器内配線1122を経由して充放電される。筐体内配線1043及び容器内配線1122は、端子1123を介して電気的に接続される。電力貯蔵装置1020は、望ましくは電力系統に電気的に接続され、電力の需給の調整、停電防止等に用いられる。
【0059】
付属消火設備1021は、消火機構1042に着脱される。通常の場合は、付属消火設備1021は消火機構1042から取り外されている。モジュール電池1041に火災が発生した場合に、付属消火設備1021が消火機構1042に取り付けられ、膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流が付属消火設備1021から消火機構1042へ供給される。膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流が消火機構1042に供給された場合は、消火機構1042がモジュール電池1041を膨張ひる石で覆い、モジュール電池1041が適切に窒息消火させられる。
【0060】
(膨張ひる石の性質)
膨張ひる石1221は、窒息消火用の消火剤として有用であり、日本国の消防法において第5種消防設備として認められている。膨張ひる石1221は、砂、セラミックス粉末等の粉粒体と異なる性質を持つ。例えば、膨張ひる石1221は、小さな比重を持ち、大きな空隙率を持ち、圧縮性を有する。このため、消火剤が膨張ひる石1221である場合は、モジュール電池1041が損傷しにくく、消火剤の排出、輸送及び噴射に要する動力が小さくなる。一方、消火剤が膨張ひる石1221である場合は、消火剤が流路に詰まりやすい。
【0061】
付属消火設備1021及び消火機構1042は、膨張ひる石1221を、滞りなく排出し、滞りなく輸送し、滞りなく噴射でき、緊急時に確実に動作する。
【0062】
(膨張ひる石及び圧送ガスの望ましい混合比)
膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流において膨張ひる石1221が占める比率には、望ましい範囲がある。膨張ひる石1221の比率が大きい場合は、膨張ひる石1221を輸送及び噴射するために必要な圧送ガ1241スが少なくなるが、膨張ひる石1221が流路に詰まりやすくなる。膨張ひる石1221の比率が小さい場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくくなるが、膨張ひる石1221を輸送及び噴射するために必要な圧送ガス1241が多くなる。
【0063】
膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流においては、望ましくは膨張ひる石1221の見かけの体積の10〜20倍の量の圧送ガス1241が用いられる。これにより、膨張ひる石1221が滞りなく輸送される。圧送ガス1241の量がこの範囲より減少した場合は、膨張ひる石が輸送流路1260に詰まりやすくなる。圧送ガス1241の量がこの範囲より増加した場合は、圧送ガス1241が無駄に消費される。
【0064】
(筐体の収容物)
図2、
図4及び
図5に示すように、筐体1040の内部には、筐体内空間1360が形成される。モジュール電池1041、消火機構1042及び筐体内配線1043は、筐体内空間1360に収容される。制御機器、電力機器、空調機器等が筐体内空間1360に収容される場合もある。左側の複合管1102及び右側の複合管1103の供給口1670の近傍が筐体1040の外部に飛び出す場合もある。
【0065】
(容器の収容物)
図6に示すように、蓋体1141が箱体1140の開口にかぶせられ、容器1120の内部に容器内空間1390が形成される。単電池群1121、容器内配線1122及び砂1124は、容器内空間1390に収容される。ヒーター、温度センサー等が容器内空間1390に収容される場合もある。
【0066】
(膨張ひる石の流路)
図7及び
図8に示すように、噴射ノズル本体1160には、噴射孔1380及びノズル内流路1381が形成される。筒1180には、被挿入孔1400が形成される。
【0067】
図9に示すように、左側の複合管1102及び右側の複合管1103の各々には、装置内輸送流路1280が形成される。装置内輸送流路1280は、筐体1040の外部から左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101へ至る。装置内輸送流路1280の供給口1360は、筐体1040の外部に露出する。
【0068】
図10に示すように、圧力容器1220には、圧力室1340が形成される。排出管1223には、排出流路1320が形成される。バルブ1224には、バルブ内流路1321が形成される。輸送複合体1225には、には、輸送流路1322が形成される。
【0069】
噴射孔1380は、ノズル内流路1381に通じ、ノズル内流路1381を介して被挿入孔1400に通じ、ノズル内流路1381及び被挿入孔1400を介して装置内輸送流路1280に通じる。ノズル内流路1381は、被挿入孔1400に通じ、被挿入孔1400を介して装置内輸送流路1280に通じる。
【0070】
付属消火設備1021が消火機構1042に着脱される場合は、着脱体1261が左側の複合管1102及び右側の複合管1103に着脱される。着脱体1261が左側の複合管1102及び右側の複合管1103に取り付けられた場合は、装置内輸送流路1280が輸送流路1322に通じる。
【0071】
輸送流路1322は、バルブ内流路1321を介して排出流路1320に通じる。
【0072】
付属消火設備1021が膨張ひる石1221を供給する場合は、供給機構1222が圧力室1340に圧送ガス1241を供給する。バルブ1224が開けられ、圧力室1340に収容された膨張ひる石1221が圧送ガス1241により上流から下流へ圧送される。膨張ひる石1221は、圧力室1340から圧力容器1220の外部へ排出流路1320を経由して排出され、バルブ内流路1321を通過し、輸送流路1322を経由して輸送される。膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流が装置内輸送流路1280に供給される。
【0073】
消火機構1042に供給された膨張ひる石1221は、装置内輸送流路1280を経由して左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101まで圧送される。
【0074】
左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101まで圧送された膨張ひる石1221は、左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101により噴射される。膨張ひる石1221は、ノズル内流路1381を経由して噴射孔1380から飛び出す。膨張ひる石1221は、噴射孔1380が向く方向に主に噴射される。膨張ひる石1221は、容器1120の奥行き方向Dであって手前側から奥側へ向かう方向に噴射される。左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101により噴射された膨張ひる石1221は、容器1120の天面1300に沿って進行する。
図11に示すように、モジュール電池1041は、奥側から手前側へ徐々に膨張ひる石1221に埋設され、適切に窒息消火させられる。
【0075】
(容器の表面)
図3から
図5までに示すように、容器1120の天面1300は、奥行き方向D及び幅方向Wに広がり、鉛直方向上方を向く。容器1120の手前側の側面1321及び奥側の側面1322は、高さ方向H及び幅方向Wに広がり、容器1120の奥行き方向Dに離れる。容器1120の手前側の側面1321及び奥側の側面1322の両方又は片方が傾斜してもよい。容器1120の高さ方向Hは鉛直方向であるが、容器1120の奥行き方向D及び幅方向Wは任意に定義される。長い方向が幅方向Wであるとは限らない。膨張ひる石1221が主に噴射される方向が奥行き方向Dであり、噴射された膨張ひる石1221が進行する方向が手前側から奥側へ向かう方向である。
【0076】
(膨張ひる石による中央の埋設)
図3から
図5までに示すように、カゴ1104は、容器1120の奥側の側面1322に沿う。カゴ1104は、容器1120の幅方向Wの中央にある。カゴ1104に形成される捕集口1440は、鉛直方向上方を向く。捕集口1440は、容器1220の奥側の側面1322上の容器1220の天面1300寄りの位置に配置され、容器1220の底面よりも容器1220の天面1300に近い。容器1120の奥行き方向Dから見た場合は、カゴ1104の形状は逆三角形又は逆台形である。カゴ1104に形成されたカゴ内空間の幅は、捕集口1440の側が広く、底1441の側が狭い。
【0077】
左側の噴射ノズル1100は、容器1120の幅方向Wの中央より左側にある。右側の噴射ノズル1101は、容器1120の幅方向Wの中央より右側にある。
【0078】
膨張ひる石1221は、左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101の正面に主に噴射される。左側の噴射ノズル1100により噴射される膨張ひる石1221は、左側の噴射ノズル1100の正面から離れるにつれて減少する。右側の噴射ノズル1101により噴射される膨張ひる石1221は、右側の噴射ノズル1101の正面から離れるにつれて減少する。容器1120の幅方向Wの中央に到達する膨張ひる石1221は少量である。カゴ1104が容器1120の幅方向Wの中央にある場合は、容器1120の幅方向Wの中央の近くに到達した膨張ひる石1221がカゴ1104に捕集される。これにより、容器1120の幅方向Wの中央において容器1120の奥側の側面1322が膨張ひる石1221で覆われやすくなり、モジュール電池1041が適切に窒息消火させられる。ただし、カゴ1104が省略された場合も、消火機構1042の有用性は完全には失われない。例えば、容器1120の幅方向Wの中央に噴射ノズルが追加された場合は、カゴ1104が省略されても、モジュール電池1041が適切に窒息消火させられる。とはいえ、容器1120の幅方向Wの中央にある噴射ノズルは、両開き扉1061に固定しがたく、モジュール電池1041の保全の障害になりやすい。容器1120の幅が狭い場合は、カゴ1104が省略され、左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101に代えて容器1120の幅方向Wの中央にある噴射ノズルのみが設けられてもよい。
【0079】
左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101は、望ましくは容器1120の幅方向Wの中央について左右対称に設置される。これにより、容器1120の幅方向Wについてモジュール電池1041が膨張ひる石1221に均一に埋設される。
【0080】
左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101は、望ましくは容器1120の手前側の側面1321の近くに設置される。これにより、容器1120の手前側までモジュール電池1041が膨張ひる石1221に均一に埋設される。
【0081】
左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101は、望ましくは容器1120の天面1300に接する。
【0082】
(中央への膨張ひる石の誘導)
図3及び
図5に示すように、左側の中央誘導板1105の反射面1480は、容器1120の幅方向Wの中央より左側にある。右側の中央誘導板1106の反射面1500は、容器1120の幅方向Wの中央より右側にある。左側の中央誘導板1105の反射面1480及び右側の中央誘導板1106の反射面1500は、容器1120の奥側の側面1322よりもさらに奥側にある。
【0083】
左側の中央誘導板1105の反射面1480は、容器1120の幅方向Wの中央寄りにおいては容器1120の奥行き方向Dであって奥側から手前側へ向かう方向を向き、容器1120の幅方向Wの縁部寄りにおいては手前側に湾曲させられる。左側の噴射ノズル1100により噴射され左側の中央誘導板1105の反射面1480に衝突した膨張ひる石1221は、左側の中央誘導板1105の反射面1480に反射され容器1120の幅方向Wの中央へ誘導される。
【0084】
右側の中央誘導板1106の反射面1500は、容器1120の幅方向Wの中央寄りにおいては容器1120の奥行き方向Dであって奥側から手前側へ向かう方向を向き、容器1120の幅方向Wの縁部寄りにおいては手前側に湾曲させられる。右側の噴射ノズル1101により噴射され右側の中央誘導板1106の反射面1500に衝突した膨張ひる石1221は、右側の中央誘導板1106の反射面1500に反射され容器1120の幅方向Wの中央へ誘導される。
【0085】
これにより、容器1120の幅方向Wの中央の近くに到達する膨張ひる石1221が増加する。カゴ1104に捕集される膨張ひる石1221が増加し、モジュール電池1041が膨張ひる石1221で適切に埋設され窒息消火させられる。
【0086】
左側の中央誘導板1105及び右側の中央誘導板1106は、望ましくは容器1100の天面1300に接する。
【0087】
左側の中央誘導板1105が反射面1480と同様の反射面を有する板とは呼びがたい物体に置き換えられてもよい。右側の中央誘導板1106が反射面1500と同様の反射面を有する板とは呼びがたい物体に置き換えられてもよい。例えば、左側の中央誘導板1105及び右側の中央誘導板1106の両方又は片方がブロック、シート等に置き換えられてもよい。
【0088】
(ガスの流れの安定化)
図3及び
図4に示すように、容器1120はスライドベース1125の上面1520に設置される。容器1120及びスライドベース1125は、一体化される。上段のモジュール電池のスライドベース1046の下面1521には、延焼防止板1107が取り付けられる。延焼防止板1107は、耐熱材からなる。
【0089】
延焼防止板1107の下面1460は、平坦面であり、容器1120の天面1300に対向する。これにより、ガスの流れがスライドベース1046に乱されにくくなる。ガスの流れが乱れない場合は、膨張ひる石1221が容器1120の天面1300の上方を効率よく通過する。特に、
図12に示すようにガスが流れる奥行き方向Dと垂直な方向に伸びる棒材1550が配列されたスノコ構造を上段のスライドベース1046が有する場合は、ガスの流れが上段のスライドベース1046に乱されやすいので、延焼防止板1107によりガスの流れが著しく安定する。延焼防止板1107の材質が耐熱材以外であってもよい。例えば、延焼防止板1107の材質が金属であってもよい。
【0090】
(噴射ノズル及び複合輸送管の取り付け)
図5に示すように、筐体本体1060に形成される開口1560は、両開き扉1061により開閉される。主に電力貯蔵装置1020が保全される場合に両開き扉1061が開かれる。
【0091】
図4及び
図5に示すように、左側の噴射ノズル1100及び左側の複合管1102は、左側の扉1080に取り付けられ、左側の扉1080とともに移動する。右側の噴射ノズル1101及び右側の複合管1103は、右側の扉1081に取り付けられ、右側の扉1081とともに移動する。これにより、両開き扉1061が開かれた場合に左側の噴射ノズル1100、右側の噴射ノズル1101、左側の複合管1102及び右側の複合管1103の干渉を受けることなくモジュール電池1041に到達できる。モジュール電池1041の保全が容易になる。ただし、左側の噴射ノズル1100、右側の噴射ノズル1101、左側の複合管1102及び右側の複合管1103の全部又は一部が両開き扉1061以外に取り付けられた場合も消火機構1042の有用性は完全には失われない。
【0092】
両開き扉1061が片開き扉に置き換えられてもよい。両開き扉1061が片開き扉に置き換えられた場合は、望ましくは左側の噴射ノズル1100、右側の噴射ノズル1101、左側の複合管1102及び右側の複合管1103が片開き扉に固定される。
【0093】
(装置内流路の断面、ノズル内流路の断面及び噴射孔の開口の関係)
図13の模式図は、装置内流路の断面、ノズル内流路の断面及び噴射孔の開口の関係を示す。
【0094】
図13に示すように、ノズル内流路1381の断面は、装置内輸送流路1280の断面より広げられる。噴射孔1380の開口は、装置内輸送流路1280の断面より狭められる。ノズル内流路1381の断面積は、装置内輸送流路1280の断面積より大きい。噴射孔1380の開口面積は、装置内輸送流路1280の断面積より小さい。
【0095】
噴射孔1380の開口が装置内輸送流路1280の断面より狭められた場合は、膨張ひる石1221が勢いよく噴射される。しかし、単に噴射孔1380の開口が装置内輸送流路1280の断面より狭められた場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりやすい。特に、膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流において膨張ひる石1221が占める比率が大きい場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりやすい。
【0096】
ノズル内流路1381の断面が装置内輸送流路1280の断面より広げられた場合は、噴射孔1380の開口が装置内輸送流路1280の断面より狭められていても、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくい。
【0097】
ただし、上記の関係が満たされない場合も、消火機構1042の有用性は完全には失われない。例えば、混合流において膨張ひる石1221が占める比率が小さい場合は、上記の関係が満たされない場合も、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくい。ただし、膨張ひる石1221が占める比率が小さい場合は、モジュール電池1041を膨張ひる石1221で埋設するのに要する時間が長くなり、多くの圧送ガス1241が必要になる。
【0098】
ノズル内流路1381の断面形状及び噴射孔1380の開口形状は、矩形である。ノズル内流路1381の断面形状が矩形以外であってもよい。噴射孔1380の開口形状が矩形以外であってもよい。
【0099】
図8に示すノズル内流路1381の前端部1580及び後端部1582においては、ノズル内流路1381の断面の幅及び高さは一定であり、ノズル内流路1381の断面積は一定である。
図8に示すノズル内流路1381の中間部1581においては、ノズル内流路1381の断面の幅は一定であるがノズル内流路1381の断面の高さが後端部1582の側から前端部1580の側へ進むにつれて連続的に低くなり、ノズル内流路1381の断面積が後端部1582の側から前端部1580の側へ進むにつれて連続的に小さくなる。ノズル内流路1381が延在する方向は、後端部1582においては鉛直方向であり、中間部1581においては鉛直方向から水平方向へ90°湾曲し、前端部1580においては水平方向である。中間部1581の内周側の側壁となる中間部内曲り板1584及び中間部1581の外周側の側壁となる中間部外曲り板1585の曲率半径は、望ましくは前端部1580の断面の高さの5倍以上10倍以下である。曲率半径がこの範囲内である場合は、膨張ひる石1221がノズル内流路1381に詰まりにくく、中間部1581が大きくなりすぎない。曲率半径がこの範囲より小さい場合は、膨張ひる石1221がノズル内流路1381に詰まりやすい。曲率半径がこの範囲より大きい場合は、中間部1581が大きくなりする。
【0100】
(噴射ノズル及び複合管の連結)
図14の模式図は、噴射ノズル及び複合管の連結構造の断面図である。
【0101】
図14に示すように、被挿入孔1400には、非湾曲管1200が挿入される。非湾曲管1200は、止めねじ1181により固定される。
【0102】
非湾曲管1200が筒1180に形成された被挿入孔1400に挿入される場合は、左側の噴射ノズル1100及び左側の複合管1102の連結箇所において流路の断面が広がり、右側の噴射ノズル1101及び右側の複合管1103の連結箇所において流路の断面が広がる。これにより、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくくなる。
【0103】
非湾曲管1200が止めねじ1181以外の固定機構により固定されてもよい。例えば、つめ、バンド、テープ、接着剤等により非湾曲管1200が固定されてもよい。非湾曲管1200の外周面及び筒1180の内周面の間隙に充填剤が充填されてもよい。例えば、間隙がシリコンシーラントで充填されてもよい。左側の噴射ノズル1100及び左側の複合管1102が輸送管接続部1161以外の連結機構により連結されてもよい。右側の噴射ノズル1101及び右側の複合管1103が輸送管接続部1161以外の連結機構により連結されてもよい。例えば、左側の噴射ノズル1100及び左側の複合管1102がフランジ対により連結されてもよい。右側の噴射ノズル1101及び右側の複合管1103がフランジ対により連結されてもよい。
【0104】
被挿入孔1400の断面形状は、円形である。被挿入孔1400の断面形状は、挿入される非湾曲管1200の断面形状に適合すべきである。このため、被挿入孔1400の断面形状が円形以外である場合もある。
【0105】
(湾曲輸送管及び非湾曲輸送管の連結構造)
図9に示すように、左側の複合管1102及び右側の複合管1103の各々は、非湾曲管1200及び湾曲管1202の2個の分割体を備える。左側の複合管1102及び右側の複合管1103の両方又は片方が3個以上の分割体を備えてもよい。左側の複合管1102及び右側の複合管1103の両方又は片方が1個の輸送管に置き換えられてもよい。
【0106】
非湾曲管1200は、湾曲管1202に連結される。装置内輸送流路1280の非湾曲輸送区間1420は、非湾曲管1200に形成される。装置内輸送流路1280の湾曲輸送区間1421は、湾曲管1202に形成される。非湾曲輸送区間1420は、湾曲輸送区間1421に通じる。非湾曲輸送区間1420は、湾曲輸送区間1421より下流にある。装置内輸送流路1280に膨張ひる石1221及び圧送ガス1241の混合流が供給された場合は、湾曲輸送区間1421及び非湾曲輸送区間1420を順次に経由して膨張ひる石1221が左側の噴射ノズル1100及び右側の噴射ノズル1101まで圧送される。
【0107】
非湾曲管1200及び湾曲管1202は、非湾曲管1200の上流側の端部1411及び湾曲管1202の下流側の端部1410が当たった状態で第1のカップリング1201により連結される。非湾曲管1200及び湾曲管1202が第1のカップリング1201以外の連結機構により連結されてもよい。非湾曲輸送区間1420の断面形状及び湾曲輸送区間1421の断面形状は一致する。非湾曲管1200及び湾曲管1202の連結箇所において流路の断面は広がることも狭まることもない。このため、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくい。非湾曲輸送区間1420の断面が湾曲輸送区間1421の断面より広げられ、非湾曲管1200及び湾曲管1202の連結箇所において流路の断面が広がってもよい。
【0108】
(曲率半径)
図9に示すように、湾曲輸送区間1421の中心線1430の曲率半径は、望ましくは湾曲輸送区間1421の内径の5倍以上10倍以下である。曲率半径がこの範囲内である場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくく、左側の複合管1102及び右側の複合管1103が大きくなりすぎない。曲率半径がこの範囲より小さい場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりやすい。曲率半径がこの範囲より大きい場合は、左側の複合管1102及び右側の複合管1103が大きくなりすぎる。装置内輸送流路1280が2個以上の湾曲輸送区間を備える場合は、望ましくは全ての湾曲輸送区間が上記の条件を満たす。
【0109】
(付属消火設備)
図10に示すように、排出流路1320は、圧力室1340から圧力容器1220の外部へ至る。輸送流路1322は、バルブ内流路1321を介して排出流路1320に通じる。輸送流路1322は、排出流路1320より下流にある。バルブ1224が省略される場合もある。バルブ1224が省略される場合は、輸送流路1322がバルブ内流路1321を介さないで排出流路1320に通じる。
【0110】
輸送流路1322の輸送区間1600及び1601は、それぞれ、輸送ホース1260及び着脱体1261に形成される。
【0111】
着脱体1261及び輸送ホース1260は、連結される。輸送区間1601は、輸送区間1600に通じる。輸送区間1601は、輸送区間1600より下流にある。
【0113】
(輸送ホース及び着脱体の連結構造)
図15の模式図は、輸送ホール、着脱体及び複合管の連結構造の断面図である。
【0114】
図15に示すように、着脱体1261は、片フランジ管1620及び1621並びに連結ボルト1622を備える。片フランジ管1620は、管1640及びフランジ1641を備える。片フランジ管1621は、管1660及びフランジ1661を備える。フランジ1641及び1661は、連結ボルト1622により連結される。輸送ホース1260は、管1640に形成された輸送ホース挿入孔1680に挿入される。管1660は、第2のカップリング1203に挿入される。
【0115】
(付属消火設備の接続の形態)
図9及び
図15に示すように、湾曲輸送管1222及び付属消火設備1021の着脱体1261は、湾曲輸送管1222の上流側の端部1670及び着脱体1261の端部1902が当たった状態で第2のカップリング1203により連結される。湾曲輸送管1222及び着脱体1261が第2のカップリング1203以外の連結機構により連結されてもよい。湾曲区間1421の断面形状及び輸送区間1601の断面形状は一致する。湾曲輸送管1222及び着脱体1261の連結箇所において流路の断面は広がることも狭まることもない。このため、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくい。湾曲区間1421の断面が輸送区間1601の断面より広げられ、湾曲輸送管1222及び着脱体1261の連結箇所において流路の断面が広がってもよい。
【0116】
(排出流路の上流側の端部が向く方向)
図10に示すように、排出管1223の上流側の端部は、圧力室1340にある。排出管1223の下流側の端部は、圧力容器1220の外部にある。排出流路1320の上流側の端部1700は、排出管1223の上流側の端部に露出し、圧力室1340にあり、圧力室1340の底に接近させられる。排出流路1320の上流側の端部1700は、膨張ひる石1221に埋められる。
【0117】
排出流路1320の上流側の端部1700は、鉛直方向下方を向く。この場合は、膨張ひる石1221が自重で排出流路1320に侵入しにくく、圧送が始まるまで膨張ひる石1221が圧力室1340に留まる。これにより、膨張ひる石1221が排出流路1320に詰まりにくくなる。
【0118】
排出流路1320の延在方向が変更され、排出流路1320の上流側の端部1700が向く方向が変更された場合でも、付属消火設備1021の有用性は完全には失われない。
【0119】
(曲率半径)
図10に示すように、排出管1223は、湾曲部1720及び非湾曲部1721を備える。排出流路1320の湾曲排出区間1740及び非湾曲排出区間1741は、それぞれ、湾曲部1720及び非湾曲部1721に形成される。非湾曲部1721が省略される場合もある。排出管1223が2個以上の湾曲部を備えてもよく、排出流路1320が2個以上の湾曲排出区間を備えてもよい。排出管1223が2個以上の非湾曲部を備えてもよく、排出流路1320が2個以上の非湾曲排出区間を備えてもよい。
【0120】
湾曲排出区間1740の中心線1750の曲率半径は、望ましくは湾曲排出区間1740の内径の5倍以上10倍以下である。曲率半径がこの範囲内である場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりにくく、排出管1223が大きくなりすぎない。曲率半径がこの範囲より小さい場合は、膨張ひる石1221が流路に詰まりやすい。曲率半径がこの範囲より大きい場合は、排出管1223が大きくなりすぎる。排出流路1320が2個以上の湾曲排出区間を備える場合は、望ましくは全ての湾曲排出区間が上記の条件を満たす。
【0121】
(2段階の減圧)
図10に示すように、ボンベ1240には、充填室1760が形成される。充填室1760には、圧送ガス1241が充填される。供給管1242には、供給流路1780が形成される。供給流路1780は、充填室1760から圧力室1340へ至る。
【0122】
一次減圧弁1243及び二次減圧弁1244は、供給管1242の途上にある。二次減圧弁1244は、一次減圧弁1243より下流にある。
【0123】
圧送ガス1241は、充填室1760から出て供給流路1780を経由し圧力室1340へ入る。圧送ガス1241は、一次減圧弁1243及び二次減圧弁1244を順次に通過する。一次減圧弁1243は、圧送ガス1241の圧力を減ずる。二次減圧弁1244は、圧送ガス1241の圧力をさらに減ずる。一次減圧弁1243及び二次減圧弁1244による2段階の減圧が行われる理由は、充填室1760に充填された圧送ガス1241の圧力を圧力室1340に供給されるときの圧力まで減圧でき十分な圧送ガス1241の流量を確保できる減圧弁が希少であるためである。ただし、1段階の減圧が行われる場合も、付属消火設備1021の有用性は完全には失われない。3段階以上の減圧が行われてもよい。
【0124】
(圧送ガスの圧力)
充填室1760に充填される圧送ガス1241の圧力は、14MPaである。ただし、充填室1760に充填される圧送ガス1241の圧力が14MPa以外であってもよい。
【0125】
一次減圧弁1243は、望ましくは3MPa以上から0.8MPaまで圧送ガス1241の圧力を減ずる。ただし、一次減圧弁1243の一次側圧力が3MPa未満であってもよい。一次減圧弁1243の二次側圧力が0.8MPa以外であってもよい。
【0126】
二次減圧弁1244は、望ましくは0.8MPa以上から0.2MPaまで圧送ガス1241の圧力を減ずる。ただし、二次減圧弁1244の一次側圧力が0.8MPa未満であってもよい。二次減圧弁1244の二次側圧力が0.2MPa以外であってもよい。
【0127】
充填室1760に充填された圧送ガス1241の圧力は、望ましくは一次減圧弁1243及び二次減圧弁1244により0.2MPa以下に調整される。これにより、膨張ひる石1221の粒が損傷しにくくなり、膨張ひる石1221のかさが維持される。圧送ガス1241の圧力は、さらに望ましくは0.05MPa以上である。
【0128】
(圧送ガスの種類)
圧送ガス1241は、望ましくは窒素ガスである。窒素ガスは、気体のまま高圧にでき、流量を多くすることが容易である。ただし、圧送ガス1241が窒素ガス以外でもよい。例えば、圧送ガス1241が炭酸ガスでもよい。
【0129】
(可撓性)
排出管1223は、非可撓性である。これにより、排出流路1320が安定し、膨張ひる石1221が安定して排出される。排出管1223は、例えば金属、合金等からなる。金属は、例えば鉄である。合金は、例えばステンレス鋼である。排出管1223の全部又は一部が可撓性の排出ホースに置き換えられてもよい。
【0130】
輸送ホース1260は、可撓性である。これにより、噴射ノズルの位置及び姿勢が容易に調整される。輸送ホース1260は、例えばゴムからなる。輸送ホース1260の全部又は一部が非可撓性の輸送管に置き換えられてもよい。
【0131】
供給管1242は、非可撓性である。供給管1242の全部又は一部が可撓性の供給ホースに置き換えられてもよい。
【0132】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。したがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。