(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
原子力発電の安全性に疑問が呈されている昨今、太陽光発電システムの開発がかなり進行している現状に於いて、新たに風力を利用した風力発電システムが、太陽光発電システムと並ぶ再生可能エネルギーとして、脚光を浴びてきている。
処で、当該風力発電の原理そのものは、かなり古い時代から検討されては来ているものの、自然環境の影響を受ける事から、常時安定した発電量を確保する事が極めて困難であると共に、設備の大型化が要求されている事から、設備、構造の複雑化や製造工程の複雑化、繁雑化更には、耐久性の向上の要求に伴う重量の増加や修理を含むメンテナンス費用の増大等から製造費用の増大並びにランニングコストの増大がネックとなっており、その実用化と普及が太陽光発電システムに比べて遅れ気味となっている。
【0003】
一方、係る風力発電システムの大型化に伴い、当該風力発電装置から発生する低周波振動が人体に与える悪影響が取りざたされており、それが社会問題化されて来つつあり、又、当該大型の風力発電装置の当該羽根、つまりブレードの回転に起因して発生する風切り音による騒音の問題も今後の大きな課題とされている。
従って、本発明の目的は、上記した多くの問題点を抱えている大型化を指向している風力発電システムに対して、中型化或いは小型化された風力発電システムであって、ダウンサイジング化によって、各部品を小型化、軽量化を図り、製造工程を短縮化すると共に、製造工程の効率化を図ることによって、風力発電システムの総合的な製造コストを大幅に削減すると共に、メンテナンスの簡易化と低周波並びに風切り音の発生を防止することにより、環境を破壊する事のない、風力発電システムを提供しようとするものである。
本発明は、当該目的の中でも、特に当該風力発電システムにとって最も重要な羽根(つまりブレード)を如何に、効率よく、軽量で且つ強靭で、然も低コストで製造販売を可能とする為の技術開発研究を鋭意行い、当該風力発電装置に最適なブレードの構造及びその製造方法を知得したものである。
【0004】
処で、従来に於ける風力発電装置に於いて使用されているブレード(羽根部)は、大型化の傾向を受けて、その長手方向の長さは、20m〜40mとなっており、係る大型のブレードを強度が高く、軽量で、折れ曲がりが生じない様に構成する事が要求されており、更に、係る重量の大なる個々のブレードを当該風力発電装置の発電機の回転軸に強固に且つ安定的に然も容易に接合固定する事が出来る様な構造である事が別途要求されている。
その為、従来の風力発電装置に使用される当該ブレード部の長手方向に沿って当該発電機の回転軸に接合される方向の一端部は、例えば、特許文献1(特開2006-300045号公報)或いは特許文献2(特開2012−112264号公報)及び特許文献3(特許第3930200号公報)等に示されている通り、円筒形に形成され、それによって当該発電機の回転軸に形成されている円筒形の受部と嵌合する様に構成される事が必要である。
【0005】
然しながら、当該ブレード部の長手方向に沿って他方の先端部に向かうブレード本体部の当該長手方向と直交する方向で見た断面形状は、製造メーカー間により多少の相違はあるにしても、基本的には、その断面形状は、飛行機の翼が一般的に持つ様な流線形をした断面形状を呈する必要性がある為、当該両者の接合部分に於ける構造は、極めて複雑で、同様に係る部分の成形加工も極めて複雑であって、作業コストは高騰せざるを得ない状況にある。
【0006】
一方、従来に於ける当該風力発電装置に於いて使用される当該ブレード部は、長手方向の引張強度、屈曲強度、或いは曲げ弾性率が高くなるように構成される必要があり、一般的な構造としては、例えば、特許文献4(特開平6−66244号公報)や特許文献5(特開平7−279818号公報)或いは特許文献6(特許第4699255号公報)等に示されている通り、当該ブレード部の当該発電機の回転軸に接合される方向の端部から、当該ブレード部の長手方向の先端部に向けて連続した円筒状若しくは四角形状の繊維強化プラスチックで形成された主桁部が、補強桁部として挿入されており、或いは、特許文献2(特開2012−112264号公報)に示されている通り、平版状の繊維強化プラスチックで形成された主桁部が、補強桁部として挿入されている構造を有しており、その為の製造工程はかなり複雑な工程となっている。
更に、特許文献4には、当該ブレード部内の空間部分に発泡材、例えばウレタンフォーム等を充填して、補強効果を更に増強しようとする試みも見られる。
何れにしても、長手方向の長さが40mにもなる超長尺物体を剛直に保持する為には、相当の厚みと大きさを有する補強桁部が必要となると言う事から、製造コストの増大は避けえない大きな問題である。
【0007】
次に、従来に於ける当該ブレード部の外表面の構成に関しては、例えば、繊維強化プラスチックで構成されたシートを上記した補強枠体の外表面に張り付けるものであるが、特許文献6の
図5に例示されている通り、40mもの長さを有する当該シートから当該ブレード部の上表面部分と下表面部分とに対応する特定の形状を有する型シートを個別に切り出し、それらに適宜の合成樹脂を含浸させた後、当該型シートを特許文献3に示されている様な、所謂RIM方式の加熱成形装置内の、予め所定の型が形成された金型内に挿入し、適宜のフィルムを当該型シート上に被せて真空状態として、当該型シートを当該金型内に押しつけた後に、適宜の加熱処理を行って、所定の外表面被覆層を形成し、当該上面用と下面用の当該外表面被覆層を特許文献7(特開2006−118434号公報)に示されている様な半割方式で当該補強型枠に取り付ける様にするものである。
【0008】
然しながら、係る方法も超長尺物体を形成し、大型で且つ長尺な当該RIM方式の加熱成形装置に搬入したり搬出したりする操作は極めて非効率で、複雑で且つ煩雑な多くの処理操作が要求されると同時に、それぞれの製品の品質管理にも複雑になることから、製造コストの大幅な増大を来し、安価なブレードを製造する事は不可能であった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の風力発電装置用ブレード及びその製造方法の具体的な態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、
図1は、本発明に係る風力発電装置用ブレードの一具体例の構成の概略を説明する斜視図であって、図中、ブレード本体部10の長手方向Pに沿って配列された複数本の構造骨材2であって、当該構造骨材2の内側に当該長手方向Pに沿って所定の形状を有する疑似空間3が形成される様に相互に3次元的に配置されている構造骨材2と、当該構造骨材2の配列方向に対して交差する方向に配置された1乃至複数本の形状構築骨材4とから構成されており、当該構造骨材2と当該形状構築骨材4とは、相互の交差点部Oで相互に接合固定されて形成されている格子状の中空枠体部5を含んでおり、当該格子状の中空枠体部5の外表面に沿って硬性材料からなる平板状被覆部材6が貼り付けられており、且つ当該平板状被覆部材6の外表面が、高強力繊維を含むシート材料7により周回被覆されている風力発電装置用ブレード1が示されている。
【0015】
此処で、本発明に係る当該ブレード1の風力発電装置に於ける使用位置関係を確認しておくならば、
図2に示す様に、一般的な風力発電装置100は、適宜の発電機14と当該発電機14に接続された増速機13と当該増速機の先端部に設けられている回転軸12とから構成され、本発明に係るブレード1は、適宜のレジューサー11を介して当該回転軸12の先端部に形成されたブレード取り付け部(図示せず)に固定されるものである。
尚、当該風力発電装置100に於ける上記各部材は、適宜の回転台座16上に搭載されており、同様に当該回転台座16上に搭載されている風向調整装置15の風向き検出情報に基づいて、常時風上に向けて当該ブレード1を指向させる様に構成されたものである。
【0016】
更に、本発明に於いて使用される当該格子状の中空枠体部5に於いては、後述する様に、当該格子状の中空枠体部5内部に形成される当該疑似空間3の立体的形状を所定の形状に設定する為に、当該疑似空間3が形成される様に相互に3次元的に配置されている当該構造骨材2の内、相互に対向して配置されている少なくとも一対の構造骨材2間に、当該所定の形状を有する疑似空間3を規定するに必要な長さを有する形状規定支持部材8が連結されている事も好ましい具体例である。
つまり、本発明に於ける当該ブレード1内に使用される当該格子状の中空枠体部5の内部に形成される当該疑似空間3の、当該ブレード1の長手方向と直交する方向の断面形状は、当該風力発電装置用ブレード1として適切なブレードの長手方向と直交する理想的な断面形状に一致する形状に構成されている事が望ましい。
【0017】
尚、本発明に於ける当該構造骨材2は、必ずしも全ての構造骨材2が相互に平行に配列されている必要はなく、場合によっては、一部の当該構造骨材2が、短い長さの間、当該ブレード1の長手方向に対して、交差する様な方向に斜めに配列されている場合もありうる事は言うまでもない。
更に、本発明に於いては、
図1に示されている様に、当該構造骨材2の内、当該ブレード1の回転方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部
E1及び当該ブレード1の回転方向とは反対方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E2の少なくとも一方の端部に配置される当該構造骨材2は、当該構造骨材2の長手方向と直交する断面形状が湾曲状若しくは屈折状に形成されている事も望ましい具体例である。
【0018】
より具体的に説明するならば、
図1に示す様に、当該ブレード1の長手方向端縁部E1に配置される当該構造骨材2の断面形状は、所定の曲率を持った湾曲形状に設定されており、一方、当該ブレード1の他方の長手方向端縁部E2に配置される当該構造骨材2の断面形状は、先鋭に内部に折り曲げられている形状に設定されている。
係る構成を採用することによって、当該格子状の中空枠体部5の当該ブレード1の長手方向Pと直交する方向の断面形状を、予め設計されている当該理想的な断面形状により近かづける事が可能となる。
【0019】
本発明に於いて使用される当該構造骨材2、当該形状構築骨材4及び当該形状規定支持部材8の材料は特に限定されるものではないが、軽量で、強度が高く、曲げ強度も高い、然も加工し易い金属材料或いは合成樹脂材料から選択される事が望ましく、或いは、高強力繊維が内部に含まれている合成樹脂材料を使用することも好ましい。
【0020】
本発明に於いては、上記した当該それぞれの部材は、予め設定された設計データに従って、それぞれ所定の長さに切断し、
図1に示す様な格子状の中空枠体部5を組立て、当該ブレード1の内部補強梁材を形成するものである。
係る工程では、予め設定された長さに切断された個々の部材を、当該設計データに従って、組立て、各部材の交差点部或いは接合部を、溶接技術、ボルト・ナット等を使用した接合固定技術、或いはリベット打ち込み技術、更には、L字型アングル等の保持固定金具を利用した係止保持具等を使用して接合固定し、安定した且つ強固な補強梁材を組み立てるものである。
係る本発明に於ける技術思想によれば、当該格子状の中空枠体部5の内部の疑似空間部3の形状は、後述する様な、予め決められた風力発電装置に使用されるブレード1としては理想的な形状に設定することが可能であり、それぞれの部材を大量に予め製造しておくことにより、同一設計、同一形状の当該ブレード1を効率よく、且つ低コストで大量に製造することが可能となる。
【0021】
更に、上記した当該格子状の中空枠体部5の組立操作をロボット化することによって、より短期間に大量の当該ブレード1を生産する事も可能である。
一方、本発明に使用される当該平板状被覆部材6の材料も特に特定されるものではないく、ある程度の厚みを有し、適度の強度を有するものであれば如何なる材用でも使用は可能であるが、例えば、金属製の鋼板や、セラミック板、或いは硬性を有するプラスチック製の板状体、或いは硬性を有する繊維補強プラスチック製の板状体等を使用することが可能であり、当該平板状被覆部材6は、適宜の広幅帯状の原材料から、予め定められている設計データに基づいて所定の形状或いはパターンを有する様に一括して若しくは適宜に分割して切り出して、当該格子状の中空枠体部5の外部表面に取り付けて、適宜の接着剤を使用するか、溶接技術、ボルト・ナット等を使用した接合固定技術、或いはリベット打ち込み技術等を使用して接合固定し、当該格子状の中空枠体部5の外表面全体を被覆する。
【0022】
その際、上記した、当該ブレード1の長手方向端縁部E1に配置されている当該構造骨材21及び当該ブレード1の他方の長手方向端縁部E2に配置されている当該構造骨材22の外部表面も当該平板状被覆部材6で覆う様に貼り付けしても良く、或いは当該構造骨材21、22の外部表面は、そのまま残し、当該構造骨材2間の空間部分のみを被覆する様にしても良い。
【0023】
更に、本発明に於いては、当該平板状被覆部材6の外表面を更に高強力繊維を含むシート材料7で被覆するものであり、当該シート材料7の材料も特に特定されるものではないが、ある程度の厚みを有し、繊維が内蔵されている繊維補強プラスチック製のシート材料であれば如何なる材用でも使用は可能である。
本発明に於いては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の比較的高強力性を有する繊維材料を適宜の合成樹脂材料内に含ませて、加熱成型加工したシートが使用可能である。
【0024】
本発明に於いては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の比較的高強力性を有する繊維材料で構成された布帛物からなる当該シート材料7に、適宜の熱硬化性合成樹脂を含浸させた状態で、当該平板状被覆部材6の外表面全体に一回乃至複数回巻きつけた後、或いは、適宜の形状に部分的に片付けさた当該シート材料7を一層或いは複数層重ね合わせて積層した後、適宜の加熱装置を使用して、当該合成樹脂を熱硬化させて、硬質で高強力なシート材料7が形成され、それによって当該ブレード1の強度、耐久性が格段に向上することになる。
尚、本発明に於いては、当該熱硬化された成型加工したシート7の全外周表面を、更に適宜の表面被覆層30で被覆することが望ましい。
【0025】
本発明に於ける当該表面被覆層30は、当該ブレード1の外表面を平滑化すると共に適度の防水性を付与することにより、空気抵抗の低減と耐久性の更なる向上を達成することが出来ると同時に適宜の塗料を使用して、当該ブレード1に識別効果を付与することが可能となる。
本発明に於ける上記した当該格子状の中空枠体部5の切り出し操作及び当該格子状の中空枠体部5への貼り付け操作、及び当該高強力繊維を含むシート材料7の当該平板状被覆部材6外表面への巻き附け操作は何れも自動化処理の対象になることは言うまでもない。
【0026】
本発明者等は、これまでに、種々の実験を繰り返して、当該風力発電装置用ブレードとしての理想的な形状並びに構造を検討した結果、本発明に示す様な知見を取得したものであり、当該本発明に係るブレード1の基本的且つ理想的な形状を以下に詳細に説明する。
即ち、
図3に示す様に、本発明に係る当該ブレード1の外観形状は、当該風力発電装置100に於ける発電機14の回転軸12と接合される端部200から当該ブレード1の長手方向の先端部分210迄の断面形状22が略扁平で、且つ当該ブレード1の長手方向Pと直交する方向の幅Wは、当該ブレード1の長手方向Pの先端部分210に向けて徐徐に短くなる様に構成され、且つ、当該ブレード1回転方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E1の断面形状は、湾曲状に形成され、当該端部E1から当該ブレード1の中間部C近傍までは、当該断面幅wは徐々に拡大され、その後は、当該ブレード1の回転方向とは反対方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E2に向けて当該断面幅wが徐々に短くなる様に構成されていると言う形状を有する事が望ましい。
【0027】
更に付言するならば、上記した本発明に係る当該ブレード1の形状並びに構造においては、当該風力発電装置用ブレード1の外表面形状は、当該ブレード1の当該発電機14の回転軸12と接合される端部200から当該ブレード1の長手方向の先端部分210に至る間に所定のねじれが形成されている事も好ましい具体例である。
本発明に於ける当該ブレード1に形成される当該ねじれ部のねじれ程度は、特に限定されないが、例えば、少なくとも後述する様な程度の変型が形成される事が望ましい。
【0028】
一方、本発明に係る当該ブレード1の更なる特徴的技術思想としては、既に、上記した通り、
図3に示す様に、当該風力発電装置用ブレード1の、風力発電装置100に於ける発電機14の回転軸と直接接合されるか、適宜の増速機13の回転軸12を介して接続される端部200には、当該発電機等の回転軸12に直接接合固定される扁平で略矩形状の板状体からなる連結部材(レジューサー)11が接続されている事が好ましい具体例である。
【0029】
つまり、従来の当該ブレード1は、その長手方向の長さが長く、重量も重く作られているので、係るブレード1を風力発電装置の発電機の回転軸に強固に且つ安定的に接合固定するには、かなりの重量を支える事が出来る接合固定手段を用意する必要があり、従来では、既に述べた様に、当該ブレード部1の長手方向に沿って当該発電機14の回転軸12に接合される方向の一端部200には、円筒形に形成された嵌合部が形成されており、それによって当該発電機の回転軸に形成されている円筒形の受部と嵌合させる事によって、取り付けられている。
【0030】
然しながら、当該ブレード1の基本的部分の当該長手方向と直交する方向で見た断面形状は、基本的には、飛行機の翼が一般的に持つ様な流線形をした断面形状を呈している為、当該両者の接合部分に於ける構造は、極めて複雑で、同様に係る部分の成形加工も極めて複雑であって、作業コストは高騰せざるを得ない状況にあった。
【0031】
これに対し、本発明に於ける当該連結部材(レジューサー)11は、扁平な平板構造を採用することが出来るので、当該ブレード1の基本的断面形状が略扁平状を呈しているので、双方の部材の連続的な接合構造は、極めて容易に設計することが可能であり、この面でもコスト低減、強力増加という効果が達成出来ることになる。
更に、本発明に係る当該ブレードが当該当該連結部材(レジューサー)11として平版状の矩形形状を有する部材を使用している事は、当該ブレードを形成する工程が容易になるばかりではなく、当該ブレードを当該発電機或いは当該発電機に連結された増速機の回転軸に固定して取り付ける際の操作が容易であるばかりではなく、特に当該風力発電装置で、4枚ブレードを使用する場合にあっては、当該ブレード間のバランスを容易に取る事が可能となるのである。
【0032】
本発明に係る風力発電装置に使用されるブレード1は、従来の風力発電装置が主に目指している産業用の再生エネルギーを発生させる為の大型の風力発電装置にも当然使用する事は可能であるが、好ましい適用例としては、小型から中型の風力発電機で主に個人住宅用、小規模企業、小規模事務所、小規模農業施設、医療施設、地域防災拠点、学校、公共施設、介護施設など、少ない面積で配置可能であると共に、近隣への公害被害も発生することなく、停電の際にも自給自足型の発電装置(自家発電装置)として使用するのに特に適したものである。
その為、本発明に係る当該ブレードを使用した風力発電装置は、好ましい態様として、4枚ブレードで構成され、且つ3本足の支柱から構成されるものであり、その発電量の目標値を2乃至5Kwattに設定している。
【0033】
一方、本発明に於ける当該1本のブレードの長さは、上記したダウンサイジング化された風力発電装置用のものであれば、1.5乃至2.0mで、当該支柱の高さは、8乃至12mを標準設計値として設定している。
更に、本発明に係る当該ブレード1は、その構造から風切音の発生や、低周波騒音の発生と言う現在大きな問題となっている公害を発生させない効果がある。
【0034】
従来は、当該ブレードを含む当該風力発電装置の各部品を主に海外から輸入し、或いは、殆ど完成状態にまで当該各部品を工場で製作したが、ブレードを含む全ての部品が大型で重量のある部品である為、特車で運搬する方法で建設現地に搬入していたのでコストが高かったが、本技術は、現地ですべて組み立てて、製作出来るので、大幅にコストを低減させる事が可能である。
【0035】
次に、本発明に係る当該ブレード1の別の具体例を
図4乃至6を参照しながら詳細に説明する。
即ち、上記した本発明の具体例では、当該形状構築骨材4と当該形状規定支持部材8とを個別に製造し、それらを、当該構造骨材2と適宜の接合固定手段を使用して組立て、所望の当該ブレード1の外観形状を発揮出来る様な外表面形状を持った格子状の中空枠体部5を形成したものであるが、当該本具体例に於いては、当該形状構築骨材4と当該形状規定支持部材8とを一体化して板状体を有する板状形状構築骨材31を別途製作して使用するものであり、当該板状形状構築骨材31の外周形状は、前記した通り、当該格子状の中空枠体部5の外表面を、当該ブレード1の外観形状が、所望の形状となる様に設定し得る様な外周形状である事が望ましい。
即ち、本具体例の当該ブレード1は、当該形状構築骨材4は、
図4に示す様に、当該風力発電装置用ブレード1として適切な、当該ブレード1の長手方向と直交する断面形状に一致する形状を有する板状体に形成され、板状体形状構築骨材31を構成しているものである。
そして、当該板状体形状構築骨材31は、当該ブレード1の長手方向Pに沿って、複数個が当該構造骨材2と交差する方向、好ましくはそれと直交する方向に、所定の間隔を保って配置されているものである。
【0036】
本具体例に於ける当該板状形状構築骨材31の断面形状は、上記した第1の具体例で説明下と同様、当該風力発電装置100に於ける発電機14の回転軸12若しくは当該発電機14に接続されている増速機13の回転軸12と接合される端部200から当該ブレード1の長手方向Pの先端部分210迄の断面形状が略扁平で、且つ当該ブレード1の長手方向Pと直交する方向の幅Wは、当該ブレード1の長手方向の先端部分210に向けて徐徐に短くなる様に構成され、且つ、当該ブレード1の回転方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E1の断面形状は、湾曲状に形成され、当該端部E1から当該ブレードの中間部近傍までは、当該断面幅wは徐々に拡大され、その後は、当該ブレードの回転方向とは反対方向に向けられた当該ブレードの長手方向端縁部E2に向けて当該断面幅wが徐々に短くなる様に構成されているものである。
【0037】
更に、
図5及び
図6から明らかな通り、当該それぞれの板状体形状構築骨材31は、当該各板状体形状構築骨材31が当該ブレード1上で配置される部位に対応して、当該断面形状が相互に異なる様に構成されているものである。
より具体的には、当該板状形状構築骨材31のそれぞれの断面形状は、基本的には、相互に略同一或いは類似した相似形の断面形状となっているが、その大きさは、
図5及び
図6から明らかな通り、当該ブレード1の基端部200から当該ブレードの先端部210に向かうに従って、相似形的に縮小された大きさとなっている。
当該板状形状構築骨材31の断面形状の変化の一例が
図5に示されている。
【0038】
一方、当該板状形状構築骨材31のそれぞれは、個々の板状形状構築骨材31の当該ブレード1上に於ける配置位置に対応して、隣接する他の板状形状構築骨材31に対して、若干の水平面に対する角度が相互に異なる様に設定されている事が好ましい具体例である。
つまり、
図5及び
図6に示される様に、当該ブレード1の基端部200に近接する部位に配置されている当該板状形状構築骨材31の水平面に対する傾斜角度は、本発明の当該ブレード内では一番大きく、そこから当該ブレードの先端部210に向かうに従って、当該傾斜角度は小さくなる様に設定されている。
【0039】
図6から明らかな通り、当該ブレードの先端部210に配置された当該板状形状構築骨材31の水平面に対する傾斜角度を0度とすると、当該ブレード1の基端部200に近接する部位に配置されている当該板状形状構築骨材31の水平面に対する傾斜角度は10度乃至20度の範囲で設定される事が望ましく、その間のそれぞれの傾斜角度は、略均等に減少させることが可能である。
【0040】
本発明に於いては、当該ブレード1に於ける当該板状形状構築骨材31が上記した様に配置角度を多少変化させることによって、当該ブレード1の外周表面に一定のねじれ面が形成され、これが風力発電装置の効率的な発電機能を発揮させ、同時に風切音の発生防止にも有効となる。
【0041】
本具体例に於いて、複数個の当該板状形状構築骨材31を上記した方法で当該格子状の中空枠体部5として配置する為の一つの方法として、
図4に示す様に、当該各板状形状構築骨材31が当該ブレード1上で配置される部位に於いて配置設定される位置と角度を正確に規定するために、個々の当該板状形状構築骨材31の所定の部位に、位置規制ロッド33を貫通させるための規制開口部32が設けられている事が望ましい。
即ち、
図6に示す通り、それぞれの板状形状構築骨材31には、それぞれの当該板状形状構築骨材31の設定配置角度が予め判っているので、当該角度が表現される様に、上記規制開口部32を複数個、好ましくは3個を開口して設けるものであり、これによって、当該複数個の板状形状構築骨材31の当該開口部32に、位置規制ロッド33を貫通させるだけで、各板状形状構築骨材31の配置位置に於ける設定角度を規定することが可能となる。
【0042】
上記方法により、当該各板状形状構築骨材31の各部位に於ける配置位置と配置角度が設定された後、当該格子状の中空枠体部5の外表面を当該平板状被覆部材6で被覆して、当該平板状被覆部材6を適宜の接合手段を介して当該格子状の中空枠体部5の外表面に固着させた後には、当該位置規制ロッド33を当該格子状の中空枠体部5の各板状形状構築骨材31から引き抜くことにより本発明のブレード1の基礎構造が完成する。
つまり、本具体例に於いては、当該それぞれの板状形状構築骨材31に、当該各板状形状構築骨材31が当該ブレード1上で配置される部位に於いて配置設定される位置と角度を規定するために、位置規制ロッド33を貫通させるための開口部32が設けられているものである。
【0043】
尚、本具体例に於いて、
図4で示される当該格子状の中空枠体部5が形成された後は、当該格子状の中空枠体部5の外周表面には、前記した第1の具体例と同様に、平板状被覆部材6、高強力繊維を含むシート材料7及び表面被覆層30とを、この順番で被覆、巻き付け処理操作を実行するものである事は言うまでもない。
次に、本発明に於ける第2の態様に付いて以下に説明する。
即ち、本発明に係る第2の態様に関する発明は、基本的には以下に示す様な技術思想により構成されている。
【0044】
つまり、本発明に係る第2の態様は、風力発電装置用ブレードの製造方法に関するものであって、具体的には、ブレード本体部1の長手方向Pに沿って配列された複数本の構造骨材2と当該構造骨材2の配列方向に対して交差する方向に配置された1乃至複数本の形状構築骨材4とを用意する工程、
当該構造骨材2を当該構造骨材2の内側に当該長手方向Pに沿って所定の形状を有する疑似空間3が形成される様に相互に3次元的に配置する工程、
当該構造骨材2と当該形状構築骨材4とを、相互の交差点部Oで相互に接合固定して格子状の中空枠体部5を形成する工程、
当該格子状の中空枠体部5の外表面に沿って硬性材料からなる平板状被覆部材6を貼り付ける工程、
当該平板状被覆部材6の外表面に、更に高強力繊維を含むシート材料7を周回被覆する工程、とから構成されている事を特徴とする風力発電装置用ブレードの製造方法である。
上記した本発明に関する、当該第2の態様に於ける各構成要件の適用範囲或いは処理操作に関しては、既に、上記した第1の態様の各具体例で詳細に説明してあるので、ここでは、再度説明することは省略する。
【0045】
尚、本発明に於ける当該第2の態様において、当該疑似空間3が形成される様に相互に3次元的に配置されている当該構造骨材2の内、相互に対向して配置されている少なくとも一対の構造骨材2間に、当該所定の形状を有する疑似空間3を規定するに必要な長さを有する形状規定支持部材8を配置してその両者間を連結固定する事が望ましい。
係る形状規定支持部材8は、当該疑似空間3が形成される様に相互に3次元的に配置されている当該形状構築骨材4の内、相互に対向して配置されている少なくとも一対の形状構築骨材4間に配置される様に構成する事も可能である。
【0046】
又、本発明に於ける当該第2の態様においては、当該構造骨材2の内、当該ブレード1の回転方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E1及び当該ブレード1の回転方向とは反対方向に向けられた当該ブレード1の長手方向端縁部E1の他方の端部E2に配置される当該構造骨材2として、当該構造骨材2の長手方向Pと直交する断面形状を湾曲状若しくは屈折状に形成せしめた後、当該加工された構造骨材2を使用する事が望ましい。
【0047】
更に、本発明に於ける当該第2の態様においては、当該形状構築骨材2として、当該風力発電装置用ブレード1として適切な、当該ブレードの長手方向Pと直交する断面形状に一致する形状を有する板状体に形成されている板状形状構築骨材31を使用して当該風力発電装置用ブレードを製造する事も好ましい具体例である。
その際には、当該板状形状構築骨材31を、当該ブレード1の長手方向Pに沿って、複数個が当該構造骨材2と交差する方向に、所定の間隔を保って配置する事が好ましく、更には、当該それぞれの板状形状構築骨材31は、当該各板状形状構築骨材31が当該ブレード1上で配置される部位に対応して、その断面形状が相互に異なる様に構成したものを使用する事が望ましい。
【0048】
一方、本発明に於ける当該ブレード1の製造方法に於いて、当該風力発電装置用ブレード1の風力発電装置100に於ける発電機14等の回転軸12と接合される側の端部200には、当該発電機等の回転軸12に直接接合固定される板状体に形成された連結部材(レジューサー)を接続する様にする事も本発明に於ける更に好ましい具体例である。
尚、本発明に係る当該ブレード1を使用した、風力発電装置100の概略的な外観形態の一例としては、
図2、
図7及び
図8に示されている。
【0049】
本発明に係る当該風力発電装置用ブレードを使用した風力発電装置としての最大の特徴としては、当該風力発電装置によって発生して電力を需要家が送配電線経由せず、直接配線して使用できることである。
従来の風力発電装置は、大電力で発生させて送電電力網に系統配線して送電している。この行為は、コストの付加が大きいことと、送電中の放電による、電力ロスが発生することで、普及を妨げている。
よって、本発明のブレードを使用した風力発電装置はこの特徴で、各家庭、工場、公共施設の敷地内で発電された電力を同一敷地内で消費をするという、従来の風力発電装置にとっては、画期的な社会資源を提供できる。
次に、本発明に係る当該風力発電装置用のブレードとしての大きな特徴は、当該ブレードの製作方法が、風力発電装置の製造の歴史の中でも、全く採用されたことのない、鋼鈑と型鋼と繊維材の組み合わせブレード構造である。
係るブレード構造の開発により、軽量、安価、形状の自由性、搬入の自由性(工場で完成品に出来るほか、現地で組立てることも可能)を求めることが出来る。即ち、狭い場所での架設工事には最適な工法といえる。また、ブレードを立地条件に沿った形状の工夫変更をすることも可能となった。
更に、本発明に係る当該ブレードは、従来のブレードの製造工程の主たる部分を占める金型を使用する事が無く、予め設定された各ブレードの設計データに基づいて、容易に且つ効率的に、必要なディメンジョンを有するブレードを迅速に組み立てる事が可能であり、又、当該ブレードで、サイズが異なるブレードに対する製作要請が来た場合でも、簡単に対応する事が出来るので、コストの低減にも大いに貢献する事が可能である。
また、本発明に関連する当該風力発電装置は上記の家庭、工場、公共施設に限らず、ビルの屋上や、休耕田の敷地並びに農業用の電気としても活用が見込まれる。