特許第6126836号(P6126836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126836
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】電気接続構造および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170424BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20170424BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170424BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170424BHJP
   F21W 101/14 20060101ALN20170424BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170424BHJP
【FI】
   F21S8/10 151
   F21S8/10 160
   F21S8/10 352
   F21S8/10 353
   F21S8/10 360
   F21V19/00 150
   F21V19/00 212
   F21V23/00 150
   F21V23/00 160
   F21W101:10
   F21W101:14
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-279282(P2012-279282)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-123500(P2014-123500A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘美
【審査官】 丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−222188(JP,A)
【文献】 実開平01−115185(JP,U)
【文献】 特開平07−065919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10 − 8/12
F21V 19/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と立体回路部品との電気接続構造であって、
前記配線基板は、切欠孔と、前記切欠孔の周辺部に形成された第1導電部と、を備え、
前記立体回路部品は、本体部と、前記本体部から外側に張り出したフランジ部と、前記配線基板の切欠孔に嵌合される凸部と、前記凸部に形成された爪部と、前記爪部に形成された第2導電部と、を備え、
前記爪部と前記フランジ部との間に前記配線基板が挟み込まれることで、前記立体回路部品が前記配線基板に機械的に固定されるとともに、前記爪部の第2導電部が前記配線基板の第1導電部に電気的に接続され
前記立体回路部品は、MID技術を用いて形成されており、
前記第2導電部は、前記爪部の前記フランジ部と対向する面から、前記凸部の側面、前記フランジ部の前記凸部側の面、前記フランジ部の側面、前記フランジ部の前記本体部側の面を介して、前記本体部の側面まで延びていることを特徴とする電気接続構造。
【請求項2】
前記立体回路部品は、前記配線基板に装着するためのバヨネット部をさらに備え、
前記バヨネット部は、前記凸部の側面に突出された係止突起と、前記フランジ部に形成された弾性挟持片とを備え、
前記立体回路部品は、前記凸部を前記切欠孔に嵌合させ且つ回転させたときに、前記係止突起と前記弾性挟持片との間に前記配線基板が進入して挟み込まれることで、バヨネット式に前記配線基板に固定されることを特徴とする請求項1に記載の電気接続構造。
【請求項3】
前記立体回路部品の本体部は、半導体発光素子を搭載するための搭載部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電気接続構造と、
前記半導体発光素子からの光を制御する光学部材と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と立体回路部品との電気接続構造および該電気接続構造を用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LEDを利用した照明装置が開示されている。特許文献1に開示された照明装置は、メタルベースFPC(フレキシブルプリント基板)の一部を樹脂製の保持部材にインサート成形して形成したものである。このメタルベースFPCは、銅箔パターンをフィルムに一体化して形成したフレキシブルプリント基板を可撓性を有する金属製ベースに更に一体化したものである。
【0003】
この照明装置において、メタルベースFPCの表面には、LED、点灯制御回路を含む電子部品等が実装されている。樹脂製の保持部材には、コネクタハウジング部、ランプボディ等へのフランジ形状の取付部、メタルベースFPCの取付軸部が一体となって形成されている。メタルベースFPCの一端には一対の凸部が設けられており、該凸部はコネクタハウジング部の内側で約180°折り曲げられ、厚肉状の端子部として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−146601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された照明装置においては、メタルベースFPCを折り曲げてコネクタの端子部を形成している。しかしながら、可撓性を有するとはいってもメタルベースに折り曲げ加工を施すのは容易ではない。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造性を向上することのできる電気接続構造および該電気接続構造を用いた車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電気接続構造は、配線基板と立体回路部品との電気接続構造である。配線基板は、切欠孔と、切欠孔の周辺部に形成された第1導電部とを備える。立体回路部品は、本体部と、本体部から外側に張り出したフランジ部と、配線基板の切欠孔に嵌合される凸部と、凸部に形成された爪部と、爪部に形成された第2導電部とを備える。爪部とフランジ部との間に配線基板が挟み込まれることで、立体回路部品が配線基板に機械的に固定されるとともに、爪部の第2導電部が配線基板の第1導電部に電気的に接続される。
【0008】
立体回路部品は、凸部を切欠孔に嵌合させ且つ回転させることで、バヨネット式に配線基板に固定されてもよい。
【0009】
立体回路部品の本体部は、半導体発光素子を搭載するための搭載部を備えてもよい。
【0010】
電気接続構造と、半導体発光素子からの光を制御する光学部材とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造性を向上することのできる電気接続構造および該電気接続構造を用いた車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電気接続構造を適用した車両用灯具の断面図である。
図2図2(a)は、LEDユニットの正面図であり、図2(b)は、LEDユニットの側面図である。
図3】LEDユニットの斜視図である。
図4】LEDユニットを配線基板に取り付ける前の状態を示す図である。
図5】LEDユニットを配線基板を取り付けた後の状態を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る電気接続構造を説明するための図である。
図7】立体回路部品の側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る電気接続構造について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る電気接続構造を適用した車両用灯具10の断面図である。
【0015】
車両用灯具10は、図1に示すように、灯具前方に開口された凹部を有するランプボディ12と、該ランプボディ12の開口面を閉塞するカバー14とを備え、ランプボディ12とカバー14によって形成された内部空間が灯室16として形成されている。
【0016】
灯室16内には、LEDユニット20と、LEDユニット20に給電する配線基板22と、配線基板22を支持する基板支持部26と、配線基板22に外部から電力を供給するケーブル30と、LEDユニット20から出射された光を反射して、灯具前方に出射するリフレクタ24とが設けられている。リフレクタ24は、LED33からの光を制御する光学部材の一例である。
【0017】
図1に示すように、リフレクタ24は、ランプボディ12の上面および底面に組み付け支持されている。LEDユニット20と、配線基板22と、基板支持部26と、ケーブル30とが一体的に組み付けられている。ここで、LEDユニット20は、本発明の実施形態に係る電気接続構造により、配線基板22に機械的に固定されるとともに電気的に接続されている。一体的に組み付けられた灯具ユニットは、LEDユニット20がリフレクタ24の所定の位置に収まるようにして、ボルト31を用いてランプボディ12の背面に固定されている。
【0018】
次に、LEDユニット20の構造について説明する。図2(a)は、LEDユニット20の正面図であり、図2(b)は、LEDユニット20の側面図である。また、図3は、LEDユニット20の斜視図である。
【0019】
本実施形態において、LEDユニット20は、MID(Molded Interconnect Device)技術を用いた立体回路部品として形成されている。MIDは、樹脂やセラミックスなどの絶縁材料を用いた射出成形品の表面に、立体的に回路パターンを形成する技術である。
【0020】
LEDユニット20は、本体部32と、本体部32の側面上に設けられた複数のLED33と、該本体部32から外側に張り出したフランジ部34と、配線基板22の切欠孔に嵌合される凸部36と、該凸部36の側面に形成された第1爪部38および第2爪部40と、第1LEDユニット側導電部39と、第2LEDユニット側導電部41と、LEDユニット20を配線基板22に装着するためのバヨネット部42とを備える。
【0021】
第1爪部38および第2爪部40は、LEDユニット20の中心軸Aに関して対称に配置されている。第1LEDユニット側導電部39は、第1爪部38のフランジ部34と対向する面38aに形成されている。第1LEDユニット側導電部39は、第1爪部38のフランジ部34と対向する面38aから、凸部36の側面、フランジ部34の凸部36側の面、フランジ部34の側面、フランジ部の本体部32側の面を介して、本体部32の側面まで延びている。また、第2LEDユニット側導電部41は、第2爪部40のフランジ部34と対向する面に形成されている。第2LEDユニット側導電部41は、第2爪部40のフランジ部34と対向する面から、凸部36の側面、フランジ部34の凸部36側の面、フランジ部34の側面、フランジ部の本体部32側の面を介して、本体部32の側面まで延びている。第1LEDユニット側導電部39および第2LEDユニット側導電部41は、本体部32に設けられた各LED33まで延びており、第1LEDユニット側導電部39および第2LEDユニット側導電部41を介して各LED33に電力が供給される。
【0022】
本実施形態において、本体部32は、中心軸A回りに90度間隔で4つのLED搭載面32aが設けられており、該LED搭載面32a上にLED33を搭載するためのLED搭載部が設けられている。本実施形態では、1つのLED搭載面32aに2つのLED33が搭載されているが、LEDの数は特に限定されない。このように複数のLED33が搭載されることにより、LEDユニット20は、360度放射状に光を出射することができる。
【0023】
バヨネット部42は、凸部36の側面に突出された係止突起43と、フランジ部34に形成された弾性挟持片44とから構成される。本実施形態では、2つのバヨネット部42が中心軸Aに関して対称に配置されている。
【0024】
次に、図4および図5を参照して、LEDユニット20を配線基板22に取り付ける様子を説明する。図4は、LEDユニット20を配線基板22に取り付ける前の状態を示す。図5は、LEDユニット20を配線基板22を取り付けた後の状態を示す。
【0025】
図4に示すように、配線基板22には、LEDユニット20の凸部36が嵌合される円形の切欠孔50と、切欠孔50の周辺部に形成された第1基板側導電部51および第2基板側導電部52と、切欠孔50の内縁に沿って形成された第1爪部用溝部53および第2爪部用溝部54と、同じく切欠孔50の内縁に沿って形成された2つの係止溝部55と、ケーブル30を配線基板22に接続するためのコネクタ56と、LED33を点灯させるための複数の電子部品57とを備える。
【0026】
配線基板22は、例えばFR4等のガラスエポキシ基板であってよい。配線基板22上の電子部品57で生成された電力は、第1基板側導電部51および第2基板側導電部52を介してLEDユニット20に供給される。
【0027】
LEDユニット20を配線基板22に取り付ける際には、LEDユニット20の第1爪部38、第2爪部40、係止突起43を、それぞれ配線基板22の第1爪部用溝部53、第2爪部用溝部54、係止溝部55に位置合わせして、LEDユニット20の凸部36を配線基板22の切欠孔50に嵌合する。そして、その嵌合状態でLEDユニット20を中心軸A回りに微小角度回転させることで、LEDユニット20が配線基板22にバヨネット式に固定される。すなわち、LEDユニット20の凸部36を配線基板22の切欠孔50に挿入した状態でLEDユニット20を中心軸A回りに微小角度回転させると、係止突起43と弾性挟持片44との間に配線基板22が進入して挟み込まれる。また、第1爪部38および第2爪部40とフランジ部34との間に配線基板22が進入して挟み込まれる。この挟み込み力によりLEDユニット20が配線基板22に固定される。
【0028】
また、LEDユニット20が配線基板22に固定されると、第1爪部38に形成された第1LEDユニット側導電部39が第1基板側導電部51と接触し、電気的に接続される。同様に、第2LEDユニット側導電部41が第2基板側導電部52と接触し、電気的に接続される。このようにしてLEDユニット20の第1LEDユニット側導電部39および第2LEDユニット側導電部41が、それぞれ配線基板22の第1基板側導電部51および第2基板側導電部52と電気的に接続されることで、配線基板22からLEDユニット20に搭載された各LED33への給電が可能となる。
【0029】
以上、本実施形態に係る電気接続構造について説明した。本実施形態に係る電気接続構造においては、LEDユニット20として立体回路部品を用いているので、メタルベースFPCを折り曲げるような可能は不要であり、製造が容易である。また、LEDユニット20を配線基板22の切欠孔50に挿入して回転させるという簡単な方法によりLEDユニット20を配線基板22に機械的に固定でき、且つ電気的に接続できるので、製造性を向上できる。
【0030】
図6は、本発明の別の実施形態に係る電気接続構造を説明するための図である。図6に示す電気接続構造は、LED33が搭載された立体回路部品60と、銅箔の配線パターンが形成された配線基板70とを接続するものである。
【0031】
図6に示すように、立体回路部品60の端部には、複数の端子部62a〜64dが形成されている。これらの端子部62a〜64dは、互い違いに配置されている。図7は、立体回路部品60の側面図を示す。図7から、端子部62a〜64dは、立体回路部品60の一方の面側と他方の面側とに交互に配置されていることが分かる。図6および図7に示すように、端子部62a〜64dにはそれぞれ、立体回路部品側導電部63a〜63dが形成されている。
【0032】
一方、配線基板70の端部には、複数の基板側導電部71a〜71dが形成されている。これらの基板側導電部71a〜71dは、配線基板70の一方の側と他方の面側とに交互に配置されている。
【0033】
以上のように構成された立体回路部品60と配線基板70は、交互に配置された端子部62a〜64dの間に配線基板70を挟み入れることにより、機械的に接続される。また、このとき、端子部62a〜64dの立体回路部品側導電部63a〜63dと、配線基板70の基板側導電部71a〜71dとがそれぞれ接触し、電気的に接続される。
【0034】
立体回路部品60の端子部62a〜64dに立体回路部品側導電部63a〜63dを形成するためには、レーザ光を端子部62a〜64dに当てる必要がある。本実施形態においては、端子部62a〜64dを交互に配置しているので、図7に示すようにレーザ光LBを各端子部62a〜64dに容易に当てることができる。従って、立体回路部品60の製造性を高めることができる。
【0035】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0036】
例えば、上述の実施形態では、光源としてLEDを例示したが、光源は半導体発光素子であればLEDに限定されず、例えば半導体レーザが用いられてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態では、本発明の実施形態に係る電気接続構造を車両用灯具に適用した場合について説明したが、本電気接続構造の適用範囲は車両用灯具に限定されず、様々な電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用灯具、 12 ランプボディ、 14 カバー、 16 灯室、 20 LEDユニット、 22 配線基板、 24 リフレクタ、 30 ケーブル、 32 本体部、 33 LED、 34 フランジ部、 36 凸部、 38 第1爪部、 39 第1LEDユニット側導電部、 40 第2爪部、 41 第2LEDユニット側導電部、 42 バヨネット部、 43 係止突起、 44 弾性挟持片、 50 切欠孔、 51 第1基板側導電部、 52 第2基板側導電部、 53 第1爪部用溝部、 54 第2爪部用溝部、 55 係止溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7