(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の嵌合具付き袋体の一例について
図1〜5に基づいて説明する。
本実施形態の嵌合具付き袋体1(以下、「袋体1」という。)は、
図1〜3に示すように、内容物を収容する密封状態の袋本体10と、袋本体10の上部の内面に取り付けられた嵌合具20と、を有する。袋体1では、後述するように袋本体10が開封されることで上部に開口部が形成されるようになっており、袋本体10に形成される開口部近傍の内面に嵌合具20が取り付けられている。
【0011】
袋本体10は、一対の第1平面部11及び第2平面部12を有している。袋本体10は、第1平面部11及び第2平面部12における上端部13、両方の側端部14,15及び下端部16が全てヒートシールされることで密封された状態になっている。
袋本体10の形状は、本実施形態では矩形である。ただし、袋本体10の形状は矩形には限定されない。また、袋本体10の大きさも特に限定されず、袋本体10に収容する内容物等によって適宜選定すればよい。
【0012】
袋本体10の第1平面部11及び第2平面部12を形成するフィルム材は、ヒートシールにより嵌合具20を溶着できるものであればよく、内面側からシーラント層と基材層を少なくとも有する積層フィルムが好ましい。
基材層としては、例えば、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等で形成される層が挙げられる。
シーラント層としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等で形成される層が挙げられる。
また、前記積層フィルムには、バリア層等の機能層を設けてもよい。
また、第1平面部11及び第2平面部12を形成するフィルム材は、シーラント層のみからなる単層フィルムであってもよい。
【0013】
嵌合具20は、
図3に示すように、一対の帯状の第1の基材21及び第2の基材22と、第1の基材21に長手方向に沿って設けられた雄型の第1嵌合部23と、第2の基材22に長手方向に沿って設けられ、第1嵌合部23と着脱自在に嵌合する雌型の第2嵌合部24と、を有している。
嵌合具20においては、第1の基材21が袋本体10の第1平面部11の内面に袋本体10の幅方向に沿って取り付けられ、第2の基材22が袋本体10の第2平面部12の内面に袋本体10の幅方向に沿って取り付けられている。
【0014】
嵌合具20では、第2の基材22における第2嵌合部24から、上側の第1の側縁22aまでの幅が、第1の基材21における第1嵌合部23から、上側の第1の側縁21aまでの幅よりも長くなっている。第1の基材21における下側の第2の側縁21bと、第2の基材22における下側の第2の側縁22bは揃っている。すなわち、嵌合具20は、第2の基材22の幅が第1の基材21の幅よりも広くなっている。
なお、本発明では、嵌合具における第1の基材と第2の基材の下側の側縁は揃っていなくてもよい。
【0015】
第2の基材22には、第2嵌合部24と第1の側縁22aとの間に、第2の基材22の対向面22cが窪むように、凹条25が第2の基材22の長手方向に沿って形成されている。これにより、嵌合具20では、凹条25に沿って第2の基材22を袋本体10の第2平面部12と共に切断し、第2の基材22の第1の側縁22a側の一部が切り取れるようになっている。
凹条25は、袋体1の上部に開口部を形成する際に利用するものである。
【0016】
第2の基材22の凹条25部分の厚みは、0.01〜0.1mmが好ましい。
また、第2の基材22における凹条25以外の部分の厚みは、凹条25部分よりも厚い範囲で、0.1〜0.3mmが好ましい。
【0017】
第1の基材21の厚みは、0.1〜0.3mmが好ましい。第1の基材21の厚みが下限値以上であれば、袋体1を開封して開口部を形成する際に、袋本体10の第1平面部11が第1の基材21の第1の側縁21aに沿って切断されやすくなる。
【0018】
また、第2の基材22における第2嵌合部24から凹条25までの幅d2(
図3)は、第1の基材21における第1嵌合部23から第1の側縁21aまでの幅d1(
図3)よりも広くなっている。すなわち、第2の基材22を凹条25に沿って切断した後も、第2の基材22における第2嵌合部24から切断した側の側縁までの幅が、第1の基材21の第1嵌合部23から第1の側縁21aまでの幅よりも長くなるようになっている。
なお、前記幅d1は、第1の基材21における第1嵌合部23の幅方向の中心線から第1の側縁21aまでの距離である。前記幅d2は、第2の基材22における第2嵌合部24の幅方向の中心線から、凹条25における第2嵌合部24側の縁までの距離である。
【0019】
前記幅d2と幅d1の差(d2−d1)は、2mm以上が好ましい。前記差(d2−d1)が2mm以上であれば、袋本体10に開口部を形成する際に段差を有する開口端が形成されやすく、それら開口端を把持しやすい。そのため、嵌合具20によって閉じた開口部を開封することが容易になる。差(d2−d1)の上限は、袋本体10に開口部を形成できる範囲内で最も上側に凹条25を形成したときの値である。
【0020】
第1の基材21としては、特に限定されず、公知の嵌合具の基材に使用されるものが使用できる。第1の基材21としては、積層フィルムからなる基材が好ましい。
積層フィルムからなる第1の基材21としては、例えば、対向面21c側から、耐熱層とヒートシール層が積層されたフィルムが挙げられる。また、第1の基材21は、耐熱層とヒートシール層の間にバリア層を有していてもよい。
耐熱層としては、例えば、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリプロピレン等で形成される層が挙げられる。
ヒートシール層としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等で形成される層が挙げられる。
バリア層としては、例えば、ポリビニルアルコール等で形成される層が挙げられる。
【0021】
第1の基材21を形成する樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
また、第1の基材21には、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等の公知の添加剤が添加されていてもよい。
また、第1の基材21は、積層フィルムからなる基材には限定されず、単層フィルムからなる基材であってもよい。
第2の基材22としては、第1の基材21と同じ基材が挙げられ、好ましい態様も同じである。
【0022】
第1嵌合部23は、第1の基材21の対向面21cから立ち上がる幹部23aと、幹部23aの先端側に設けられ、幹部23aよりも大きい頭部23bを有している。第2嵌合部24は、第2の基材22の対向面22cから断面円弧状に立ち上がる一対の第1のアーム部24aと第2のアーム部24bからなり、第1のアーム部24aと第2のアーム部24bによって凹部24cが形成されている。
第1嵌合部23と第2嵌合部24は、第1嵌合部23の頭部23bを第2嵌合部24の凹部24cに嵌め込むことで、着脱自在に嵌合できるようになっている。
【0023】
第1嵌合部23及び第2嵌合部24の断面形状は、第1嵌合部23と第2嵌合部24を互いに着脱することで、袋本体の開口部の開閉が繰り返し行えるものであればよい。例えば、雌型の第2嵌合部としては、第2の基材22の対向面22cから立ち上がる首部と、該首部から断面円弧状に立ち上がる一対のアーム部とを有し、それら一対のアーム部によって雄型の第1嵌合部の頭部を嵌め込む凹部が形成される嵌合部であってもよい。
第1嵌合部23及び第2嵌合部24の材質としては、第1の基材21及び第2の基材22と同じ材質が使用できる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、袋本体10の側端部14における第1の基材21の第1の側縁21aよりも上側に位置するようにノッチ17が形成されている。袋体1におけるノッチ17の上下方向の位置は、嵌合具20における第2の基材22の凹条25と一致する位置か、該位置よりも上側であることが好ましく、凹条25と一致する位置であることがより好ましい。
ノッチ17を利用して袋体1の開封を行うことにより、開封時の袋本体10の第1平面部11と第2平面部12の切断は、嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21aよりも上側で開始される。
ノッチ17の形状は、この例では三角形状であるが、特に限定されず、半円形状、直線状等であってもよい。
【0025】
また、袋体1では、袋本体10の第1平面部11における、嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21aと、第1嵌合部23及び第2嵌合部24が嵌合したときの第2の基材22の第1の側縁22aとの間の領域Aに、ノッチ17側から斜め下方に向くように切断補助線18が複数形成されている。特に、この例では、領域Aのうち、嵌合具20の第2の基材に形成された凹条25よりも下端部16側の領域に複数の切断補助線18が平行して形成されている。
【0026】
切断補助線18は、袋本体10の第1平面部11の切断を補助し、その切断の進行方向を規制する線である。第1平面部11に切断補助線18が形成されていることによって、袋本体10の第1平面部11がノッチ17側から切断される際に、その切れ目が切断補助線18に到達する度に該切断補助線18に沿って該切れ目が斜め下方に進行する。これにより、第1平面部11の切断が嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21a近傍で進み、後述するように開封後の開口部に段差を有する開口端が形成される。
【0027】
切断補助線18としては、例えば、袋本体10の第1平面部11における切断補助線18の部分をそれ以外の部分に比べて薄肉化した弱化線、ミシン目からなる弱化線、列状に形成された細孔からなる弱化線が挙げられる。
切断補助線18の本数及び間隔は、特に限定されず、袋本体10を最初に開封する際に開口部に充分な段差を有する開口端を形成できる範囲で適宜決定すればよい。
【0028】
嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21aに対する切断補助線18の傾斜角θ(
図2)は、30〜60°が好ましく、40〜50°がより好ましい。切断補助線18の傾斜角θが前記範囲内であれば、袋本体10の第1平面部11の切断における切れ目が切断補助線18に沿って進行しやすく、開口部に充分な段差を有する開口端を形成しやすい。
【0029】
密封状態にある袋体1を最初に開封する際は、ノッチ17から袋本体10の切断を開始する。このとき、
図4に示すように、袋本体10の第2平面部12は、第2の基材22に形成された凹条25に沿って、第2の基材22と共に切断されていく。一方、袋本体10の第1平面部11の切断では、切れ目が第1平面部11に形成された切断補助線18に到達する度に、該切れ目が該切断補助線18に沿って斜め下方に進行する。これにより、袋本体10における第1平面部11の切断の進行が、嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21aの近傍で進むように規制される。袋本体10の第1平面部11と嵌合具20の第1の基材21が重なっている部分は、第1平面部11における第1の基材21が取り付けられていない部分に比べて厚みが厚くなっている。そのため、第1平面部11と第1の基材21が重なっている部分は切断され難く、第1平面部11の切断位置は、嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21aよりも下方には進行し難い。
このように、袋体1では、袋本体10の第2平面部12の切断が嵌合具20の第2の基材22に形成された凹条25に沿って進行し、第1平面部11の切断が嵌合具20の第1の基材21の第1の側縁21a近傍で進行する。そのため、
図5に示すように、袋本体10の上部に形成された開口部19において、第2平面部12の開口端12aが第1平面部11の開口端11aよりも長くなり、開口端11aと開口端12aに段差が生じる。
【0030】
袋体1に形成した開口部19は、嵌合具20の第1嵌合部23と第2嵌合部24の着脱により開閉自在となる。袋体1では、嵌合具20によって閉じた開口部19を再度開封することが容易である。具体的には、開口端11aと開口端12aに段差があるため、袋本体10の開口端11aと開口端12aのそれぞれを容易に摘まむことができる。そして、開口端11aと開口端12aを離間させるように開くことで、第1嵌合部23と第2嵌合部24とを脱離させて容易に袋体1を開封することができる。
【0031】
以上説明したように、本発明の嵌合具付き袋体にあっては、嵌合具によって封じられた開口部の開封作業が容易である。
なお、本発明の嵌合具付き袋体は、前記袋体1には限定されない。例えば、第2の基材に切断補助線が形成されていない嵌合具が袋本体に取り付けられた嵌合具付き袋体であってもよい。具体的には、例えば、
図6及び
図7に例示した嵌合具20Aが袋本体10に取り付けられた嵌合具付き袋体2(以下、「袋体2」という。)であってもよい。
図6及び
図7における
図1及び
図3と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
【0032】
袋体2は、嵌合具20の代わりに嵌合具20Aが袋本体10に取り付けられている以外は、袋体1と同じである。嵌合具20Aは、第2の基材22の代わりに、切断補助線が形成されていない第2の基材22Aを有している以外は、嵌合具20と同じである。
袋体2の袋本体10の側端部14におけるノッチ17の上下方向の位置は、第1の基材21の第1の側縁21aよりも上側であればよく、第2の基材22Aの第1の側縁22aと一致する位置か、該位置よりも上側が好ましく、第2の基材22Aの第1の側縁22aと一致する位置がより好ましい。
袋体2においても、袋本体10の第1平面部11における、嵌合具20Aの第1の基材21の第1の側縁21aと、第1嵌合部23及び第2嵌合部24が嵌合したときの第2の基材22Aの第1の側縁22aとの間の領域Aに、ノッチ17側から斜め下方に向くように切断補助線18が複数形成されている。
【0033】
袋体2においては、第2平面部12と第2の基材22Aが重なった部分は、第2平面部12における第2の基材22Aが取り付けられていない部分よりも厚みが厚くなっている。そのため、第2平面部12と第2の基材22Aが重なった部分は切断され難い。これにより、袋体2の最初の開封の際、袋本体10の第2平面部12の切断は、第2の基材22Aの第1の側縁22aに沿って進行する。一方、袋本体10の第1平面部11の切断では、袋体1と同様に、切れ目が第1平面部11に形成された切断補助線18に到達する度に、該切れ目が該切断補助線18に沿って斜め下方に進行する。これにより、袋体2においても、上部に形成された開口部の開口端に段差が生じ、該開口部の嵌合具20Aによる開閉が容易になる。
【0034】
第2の基材22Aにおける第2嵌合部24から第1の側縁22aまでの幅d3と、第1の基材21における第1嵌合部23から第1の側縁21aまでの幅d1との差(d3−d1)は、2mm以上が好ましい。前記差(d3−d1)が2mm以上であれば、袋本体10に開口部を形成する際に段差を有する開口端が形成されやすく、それら開口端を把持しやすい。そのため、嵌合具20Aによって閉じた開口部を開封することが容易になる。
なお、前記幅d3は、第2の基材22Aにおける第2嵌合部24の幅方向の中心線から第1の側縁22aまでの距離である。
【0035】
また、本発明の嵌合具付き袋体は、第1嵌合部と第2嵌合部が共に、平行して設けられた複数の雄型の嵌合部からなり、それら雄型の嵌合部を互いに嵌め込むことで、袋体の開口部を開閉するものであってもよい。また、本発明の嵌合具付き袋体は、第1嵌合部と第2嵌合部が共に雌型の嵌合部からなり、それら雌型の嵌合部同士を互いに嵌め込むことで、袋体の開口部を開閉するものであってもよい。
【0036】
また、本発明の嵌合具付き袋体は、袋本体の第1平面部に形成される複数の切断補助線が、第1平面部の幅方向の全体に分布している形態には限定されない。例えば、本発明の嵌合具付き袋体は、袋本体の第1平面部における幅方向の中央部の特定の領域に、ノッチ側から斜め下方に向くように複数の切断補助線が部分的に形成されたものであってもよい。この場合も、第1平面部において複数の切断補助線が形成された中央部の特定の領域では、該切断補助線によって開口端に充分な段差が生じるため、その部分の開口端を利用することで、嵌合具によって閉じられた開口部を容易に開封することができる。本発明では、袋体1のように、袋本体の第1平面部に形成される複数の切断補助線が、第1平面部の幅方向の全体に分布している形態が好ましい。
また、本発明の嵌合具付き袋体における嵌合具が取り付けられる位置は、袋体の用途に応じて適宜決定することができる。例えば、本発明の嵌合具付き袋体は、用途によっては、袋本体における上下方向の中央付近に、該袋本体の幅方向に沿って嵌合具が取り付けられたものであってもよい。