特許第6126910号(P6126910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許6126910-シフト装置 図000002
  • 特許6126910-シフト装置 図000003
  • 特許6126910-シフト装置 図000004
  • 特許6126910-シフト装置 図000005
  • 特許6126910-シフト装置 図000006
  • 特許6126910-シフト装置 図000007
  • 特許6126910-シフト装置 図000008
  • 特許6126910-シフト装置 図000009
  • 特許6126910-シフト装置 図000010
  • 特許6126910-シフト装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126910
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-110140(P2013-110140)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-227121(P2014-227121A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−057033(JP,A)
【文献】 特開平08−128519(JP,A)
【文献】 特開平05−116619(JP,A)
【文献】 特開2011−175350(JP,A)
【文献】 特開2006−273054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/00−20/08
F16H 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持軸及び支持孔の一方が一体に設けられる支持部材と、
前記支持軸及び前記支持孔の他方が一体に設けられると共に、前記支持軸が軸方向から前記支持孔に挿入されることによって前記支持部材に回動可能に支持され、操作されることによって車両の変速機が操作される操作部材と、
前記支持部材に取付けられることによって前記操作部材が前記支持軸の軸方向へ押圧されてスライドされ、前記支持軸が前記支持孔に挿入されるスライド手段と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記操作部材の回動位置を検出する検出手段を備える請求項1に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材が操作されることによって車両の変速機が操作されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたシフトレバー装置では、シフトレバーにシフト回転軸のセレクト回転軸が貫通しており、これによって、シフトレバーがシフト回転軸にセレクト方向へ回動可能に支持されている。
【0003】
さらに、シフト回転軸の回転支持部がベースブラケットの軸受面に挿入されており、これによって、シフトレバーがベースブラケットにシフト方向へ回動可能に支持されている。
【0004】
このシフトレバー装置では、シフト回転軸にセレクト回転軸が組付けられている。このため、シフトレバーのセレクト方向への回動中心の位置精度がシフト回転軸へのセレクト回転軸の組付誤差に影響される。
【0005】
さらに、ベースブラケットが上側ブラケットと下側ブラケットとを組付けることによって構成されており、軸受面は上側ブラケットの半円弧面と下側ブラケットの半円弧面とが組合わされて構成されている。このため、シフトレバーのシフト方向への回動中心の位置精度が、上側ブラケットと下側ブラケットとの組付誤差による一対の半円弧面の組合わせのずれに影響される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−132932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、操作部材の回動中心の位置精度を向上できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のシフト装置は、支持軸及び支持孔の一方が一体に設けられる支持部材と、前記支持軸及び前記支持孔の他方が一体に設けられると共に、前記支持軸が軸方向から前記支持孔に挿入されることによって前記支持部材に回動可能に支持され、操作されることによって車両の変速機が操作される操作部材と、前記支持部材に取付けられることによって前記操作部材が前記支持軸の軸方向へ押圧されてスライドされ、前記支持軸が前記支持孔に挿入されるスライド手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載のシフト装置によれば、操作部材が支持部材に回動可能に支持されており、操作部材が操作されることによって車両の変速機が操作される。
【0010】
ここで、支持部材に支持軸及び支持孔の一方が一体に設けられると共に、操作部材に支持軸及び支持孔の他方が一体に設けられており、支持軸が軸方向から支持孔に挿入される。このため、支持軸の位置精度と、支持孔の位置精度とを向上でき、操作部材の回動中心の位置精度を向上できる。
また、本シフト装置によれば、スライド手段によって操作部材及び支持部材の一方が他方に対して支持軸の軸方向へスライドされて、支持軸が支持孔に挿入される。これによって、支持軸を容易に支持孔に挿入できる。
さらに、本シフト装置によれば、スライド手段が、支持部材に取付けられることによって、操作部材を支持軸の軸方向へ押圧してスライドさせる。これによって、簡単な構成で支持軸を容易に支持孔に挿入できる。
【0011】
請求項2に記載のシフト装置は、請求項1に記載のシフト装置において、前記操作部材の回動位置を検出する検出手段を備えている。
【0012】
請求項2に記載のシフト装置では、検出手段が操作部材の回動位置を検出する。ここで、上述のように、操作部材の回動中心の位置精度を向上できることによって、検出手段による操作部材の回動位置の検出精度を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係るシフト装置は、操作部材の回動中心の位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置を左後方から見た分解斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置を後方から見た断面図である。
図3】支持孔及び載置部を拡大した斜視図である。
図4】右側の凹部及びスライド手段を拡大した斜視図である。
図5】レバーガイドハウジングを右前方から見た斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置の操作パターンを説明する模式的な平面図である。
図7】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置の組立工程を説明する図2に対応する断面図で、操作部材が支持部材の内側に配置される状態を示す図である。
図8】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置の組立工程を説明する図7に対応する断面図で、操作部材が載置部に載置された状態を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置の組立工程を説明する図8に対応する断面図で、スライド手段によって操作部材がスライドして支持軸の一端が支持孔に挿入された状態を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係るシフトレバー装置の組立工程を説明する図9に対応する断面図で、支持軸の一端に検出手段が組付けられる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本実施の形態の構成>
次に、本発明の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置10を図1から図10に基づいて説明する。なお、図1から図10では、矢印FRは本シフトレバー装置10の前方を示し、矢印LFは本シフトレバー装置10の左方を示し、矢印UPは本シフトレバー装置10の上方を示す。但し、シフトレバー装置10の前後方向、左右方向、上下方向は、本シフトレバー装置10が搭載される車両の前後方向、左右方向、上下方向とそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、シフトレバー装置10は、車両のフロアや、インスツルメントパネル等に設けられる。
【0020】
図1及び図2に示されるように、シフトレバー装置10は、支持部材としてのシフトレバープレート12を備えている。シフトレバープレート12は、直方体の箱形状に形成されており、シフトレバープレート12の上端は開口している。シフトレバープレート12の左壁14は、下側が上側よりも厚肉に形成されており、左壁14の厚肉部分の右側の面は、左壁14の薄肉部分の右側の面よりもシフトレバープレート12の内側に位置している。左壁14には、円形の支持孔16が形成されており、支持孔16は、左壁14の厚肉部分と薄肉部分とを跨いだ状態で左壁14を貫通している。支持孔16において、左壁14の薄肉部分よりも右側の部分は、載置部18とされている。
【0021】
一方、シフトレバープレート12の右壁20は、下側が上側よりも厚肉に形成されており、右壁20の厚肉部分の左側の面は、右壁20の薄肉部分の左側の面よりもシフトレバープレート12の内側に位置している。図4に示されるように、右壁20の厚肉部分の上端部には、凹部22が形成されている。凹部22は、周面が支持孔16と同軸に湾曲していると共に、右壁20の厚肉部分における左側の面で開口している。
【0022】
また、図1及び図2に示されるように、シフトレバープレート12の上端には、スライド手段としてのレバーガイドハウジング32が取付けられている。レバーガイドハウジング32は、ゲートプレート34を備えている。ゲートプレート34は、矩形の筒状又は枠状に形成されており、ゲートプレート34の内部は、上下方向に開口している。ゲートプレート34の内側には、クッション36が固定されている。クッション36には、シフト孔38が貫通形成されており、シフト孔38は上下方向に開口している。シフト孔38の開口形状は、後述するレバー本体74の操作パターン(図6参照)に対応して鉤状に屈曲している。
【0023】
一方、図1に示されるように、ゲートプレート34は、保持片42を備えており、図3に示されるように、保持片42は、ゲートプレート34の左壁44の下端から下方へ延出されている。保持片42の下端部には、凹部46が形成されており、凹部46は、下方へ開口すると共に、周面が支持孔16に対して同軸に湾曲している。
【0024】
また、ゲートプレート34は、スライド部としての押圧片52を備えており、押圧片52は、ゲートプレート34の右壁54の下端から下方へ延出されている。図4に示されるように、押圧片52は、保持部56を備えており、保持部56の下端部には、凹部58が形成されている。凹部58は、下方へ開口した湾曲面とされており、凹部58の曲率半径は、後述する軸部154の半径寸法よりも大きく設定されている。
【0025】
保持部56の下端部からは、制限部60が下方へ延出されている。制限部60は、保持部56よりも薄肉とされており、制限部60の左側の面は、保持部56の左側の面よりも右側に位置している。制限部60の下端部からは、押圧部62が下方へ延出されている。押圧部62は、下方へ向けて漸次薄肉となっており、押圧部62の左側の面は、下方へ向けて漸次右側へ変位する傾斜面とされている。
【0026】
一方、図1及び図2に示されるように、シフトレバー装置10は、操作部材としてのシフトレバーアッセンブリ72を備えている。シフトレバーアッセンブリ72は、レバー本体74を備えている。レバー本体74の前面及び後面の各々には、軸部76が同軸上に形成されている。但し、レバー本体74の前面に形成された軸部76については図示を省略する。また、レバー本体74の上端部には、シャフト78の下端側が挿込まれて固定されており、シャフト78の上端部には、ノブ80が固定されている。
【0027】
これに対して、図2に示されるように、レバー本体74には、収容孔82が形成されている。収容孔82は、レバー本体74の下端部にて開口した有底の孔とされており、収容孔82の内側には、節度ピン84がスライド可能に収容されている。また、収容孔82の内側には、圧縮コイルばね86が設けられており、圧縮コイルばね86によって節度ピン84が下方へ付勢されている。また、レバー本体74の下方には、節度プレート88が設けられている。節度プレート88の上面には、適宜に斜面90が形成されており、節度ピン84が圧縮コイルばね86の付勢力によって斜面90に圧接している。
【0028】
一方、シフトレバーアッセンブリ72は、操作部としてのリテーナ102を備えており、リテーナ102は、上端及び下端が開口した矩形の筒形状に形成されて、内側をレバー本体74が貫通している。リテーナ102の前壁104及び後壁106には、それぞれ切欠108が形成されており、切欠108は、前壁104や後壁106の上端で開口している。
【0029】
切欠108の開口幅は、レバー本体74の軸部76の直径寸法以上に設定されており、切欠108の下端部は、軸部76の外周形状と同じ曲率で湾曲している。切欠108には、上端から軸部76が入込んでおり、切欠108の下端部に軸部76が当接している。
【0030】
また、前壁104及び後壁106の各々には、受片110が形成されている。但し、前壁104の受片110については図示を省略している。受片110は、切欠108の下端の側方に形成されており、受片110は、湾曲して上方へ開口している。受片110の内周面の曲率半径は、軸部76の半径寸法に等しく設定されており、受片110には、軸部76が置かれている。さらに、両軸部76の先端には、カラー112が装着されている。カラー112の内側には、受片110が入込んでおり、カラー112は、受片110に回動可能に支持されている。これによって、レバー本体74は、リテーナ102に対して軸部76周りに左右に回動できる。
【0031】
一方、リテーナ102の左壁114には、円柱形状の支持軸116が形成されている。図2に示されるように、支持軸116は、シフトレバープレート12の載置部18上に置かれていると共に、外周部がレバーガイドハウジング32の保持片42の凹部46に隙間を介して対向している。
【0032】
さらに、支持軸116の先端側は、シフトレバープレート12の支持孔16に挿入されており、支持軸116は、支持孔16によって回動自在に支持されている。しかも、支持孔16と支持軸116とは、互いの寸法関係の精度が高くされており、支持軸116は、支持孔16に嵌合されることによって、径方向への変位が制限されている。これによって、リテーナ102は、支持軸116周りに前後に回動できる。したがって、レバー本体74は、リテーナ102と一体に支持軸116周りに前後に回動できると共に、軸部76周りに左右に回動できる。
【0033】
ここで、シフトレバー装置10では、レバー本体74が、図6に示される操作パターンに沿って前後方向や左右方向に回動され、これによって、レバー本体74が、H位置122から離れてN位置124やR位置126、N位置128やD位置130に到達すると、後述のように、車両の自動変速機が操作される。ところで、レバー本体74に設けられた節度ピン84は、圧縮コイルばね86に付勢されて節度プレート88の斜面90に圧接している。したがって、節度ピン84は、節度プレート88の斜面90から押圧反力を受ける。ここで、レバー本体74は、H位置122から離れた状態で操作力が解除されると、節度ピン84が受ける斜面90からの反力によってレバー本体74がH位置122へ戻る。
【0034】
一方、図1及び図2に示されるように、支持軸116には、嵌込孔132が形成されている。嵌込孔132は、支持軸116に対して同軸に形成されており、嵌込孔132は少なくとも支持軸116の先端にて開口している。また、支持軸116の先端には、マグネット134が設けられており、マグネット134は、円板状又は円柱形状に形成されている。マグネット134の右側の端面には、突起136が形成されている。突起136は、マグネット134に対して同軸に形成されており、突起136は、嵌込孔132に嵌込まれている。これによって、マグネット134は、支持軸116に対して同軸に取付けられて一体回転可能にされている。
【0035】
マグネット134の左側には、検出手段としての回路基板138が設けられており、回路基板138は、シフトレバープレート12の左壁14に一体に取付けられている。回路基板138は、検出センサとしての磁気センサ140を備えている。磁気センサ140は、マグネット134に対向しており、マグネット134の回動位置が磁気センサ140によって検出される。磁気センサ140の検出信号は、制御手段としてのECUに入力されて、車両の自動変速機がECUによって操作される。これによって、自動変速機のシフトレンジがレバー本体74の前後方向の回動位置に対応したシフトレンジに変更される。
【0036】
一方、図2に示されるように、リテーナ102の右壁152には、円柱形状の軸部154が形成されており、軸部154は、支持軸116に対して同軸に形成されている。軸部154の下側には、シフトレバープレート12の右壁20の凹部22が位置しており、軸部154の上側には、レバーハウジング32の押圧片52に形成された保持部56の凹部58が位置している。凹部22、58は、軸部154の外周部に隙間を介して対向している。
【0037】
このため、凹部22、58は軸部154を支持してはおらず、シフトレバーアッセンブリ72が通常操作される場合の支持軸112の径方向の荷重は、支持孔16の内周面によって受けられる。但し、シフトレバーアッセンブリ72が通常の操作時に付与される操作力よりも大きな力がシフトレバーアッセンブリ72に付与されて、軸部154が変位すると、凹部22や凹部58が軸部154の外周部に当接して軸部154の変位を制限する。これによって、リテーナ102の変位を制限できる。
【0038】
また、図7に示されるように、軸部154の先端から支持軸116の先端までの長さLsは、シフトレバープレート12の左壁14の薄肉部分と右壁20の薄肉部分との間隔L1よりも短く、左壁14の厚肉部分と右壁20の厚肉部分との間隔L2よりも長く設定されている。このため、リテーナ102は、シフトレバープレート12の上側からシフトレバープレート12の内側へ入込むことによって、支持軸116を左壁14の載置部18上に載置できる。
【0039】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本シフトレバー装置10の組立工程の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0040】
本シフトレバー装置10では、予め、シフトレバーアッセンブリ72のレバー本体74に圧縮コイルばね86や節度ピン84、シャフト78等が組付けられる。さらに、レバー本体74がリテーナ102に組付けられる。このリテーナ102は、図7に示されるように、シフトレバープレート12の上端からシフトレバープレート12の内側に設けられる。これにより、図8に示されるように、リテーナ102の支持軸116が上方から左壁14の載置部18上に載置される。
【0041】
ここで、載置部18は、支持孔16に対して同軸の湾曲面で、曲率半径が支持孔16の半径寸法に等しい。このため、支持軸116が載置部18上に載置されると、支持軸116は支持孔16に対して同軸に配置される。また、この状態では、シフトレバープレート12の右壁20の薄肉部分と、リテーナ102の軸部154との間に、レバーガイドハウジング32の押圧片52における押圧部62の先端の厚さ寸法以上の隙間が形成される。
【0042】
次いで、図8に示されるように、レバーガイドハウジング32のゲートプレート34が、シフトレバープレート12の上端部に取付けられる。この過程で、押圧片52の押圧部62が、右壁20の薄肉部分と軸部154との間に入込む。この状態でゲートプレート34が更に下降すると、図9に示されるように、軸部154は、押圧片52の傾斜面に押圧される。これによって、リテーナ102が左方へスライドし、図9に示されるように、支持軸116の先端が支持孔16に入込む。
【0043】
ゲートプレート34がシフトレバープレート12の組付位置まで下降すると、図10に示されるように、押圧片52の制限部60が、軸部154と右壁20の薄肉部分との間に入込んで、リテーナ102の左壁114が、シフトレバープレート12の左壁14の厚肉部分に接近する。これによって、リテーナ102は、左右方向への移動が制限される。
【0044】
次いで、図10に示されるように、マグネット134の突起136が支持軸116の嵌込孔132に挿入される。これによって、マグネット134が支持軸116に対して同軸に組付けられる。さらに、シフトレバープレート12の左壁14に回路基板138が一体に組付けられる。このような工程を経てシフトレバー装置10が組立てられる。
【0045】
ここで、リテーナ102に支持軸116が形成されると共に、シフトレバープレート12の左壁14に支持孔16が形成された構成でも、リテーナ102がシフトレバープレート12に対して支持軸116の軸方向にスライドされることによって、支持孔16に支持軸116を挿入できて、シフトレバープレート12がリテーナ102を回動可能に支持できる。このため、リテーナ102に対する支持軸116の位置精度と、シフトレバープレート12に対する支持孔16の位置精度とを高くできる。これによって、リテーナ102の回動中心の位置精度を向上できる。
【0046】
したがって、支持軸116に同軸に組付けられてリテーナ102と共に回動するマグネット134の回動中心は位置精度が高くなる。このため、シフトレバーアッセンブリ72の前後方向の回動位置を精度よく検出でき、シフトレバーアッセンブリ72の回動による車両の自動変速機の操作精度を高くできる。
【0047】
また、本シフトレバー装置10において、支持軸116は左壁14の載置部18上に置かれると、支持孔16に対して同軸に配置される。このため、リテーナ102を左方へスライドさせるだけで支持軸116を支持孔16に簡単に挿入できる。しかも、リテーナ102は、軸部154がレバーガイドハウジング32の押圧片52の押圧部62に押圧されることによって左方へスライドされる。このため、押圧部62がレバーガイドハウジング32に設けられた簡単な構成で、支持軸116を更に簡単に支持孔16に挿入できる。
【0048】
また、レバーガイドハウジング32の保持片42の凹部46は、リテーナ102の支持軸116の外周部から離れている。しかしながら、シフトレバーアッセンブリ72に、通常の操作時に付与される操作力よりも大きな力が付与されて、支持軸116が径方向に変位すると、凹部46が支持軸116の外周部に当接して、支持軸116の変位を制限する。これによって、リテーナ102の変位を制限できる。
【0049】
さらに、シフトレバーアッセンブリ72に、通常の操作時に付与される操作力よりも大きな力が付与されて、リテーナ102の軸部154が変位すると、右壁20の凹部22や押圧片52の凹部58が、軸部154の外周部に当接して、軸部154の変位を制限する。これによって、リテーナ102の変位を制限できる。
【0050】
なお、本実施の形態では、上記のように、支持軸116は、軸部154が押圧片52の押圧部62に押圧されることによって左方へスライドし、支持孔16に挿入される構成であった。しかしながら、支持軸116を支持孔16に挿入するための構成が、このような態様に限定されるものではない。
【0051】
例えば、押圧片52がゲートプレート34とは別体で構成されてもよい。また、上述したように、節度ピン84は、圧縮コイルばね86によって付勢されて、節度プレート88の斜面90からの反力を受ける。上述したような本シフトレバー装置10の組立てに際し、節度ピン84が節度プレート88の斜面90から受ける反力によってリテーナ102が左方へスライドされ、支持軸116が支持孔16に挿入される構成としてもよい。
【0052】
さらに、本実施の形態では、支持軸116は、軸部154が押圧片52の押圧部62に押圧されることによって支持孔16に挿入される構成であった。しかしながら、支持軸116が載置部18上に載置された状態で、作業者が、リテーナ102やレバー本体74を左方へ押圧することによって支持軸116を支持孔16に挿入してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、リテーナ102が支持軸116の軸方向へスライドされることによって支持軸116が支持孔16に挿入される構成であった。しかしながら、例えば、シフトレバープレート12が支持孔16の軸方向にスライドされることによって支持軸116が支持孔16に挿入される構成であってもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態は、リテーナ102に支持軸116を形成した構成であった。しかしながら、支持軸116はリテーナ102に一体に設けられればよく、例えば、インサート成形によって支持軸116をリテーナ102に一体に設けてもよい。
【0055】
また、本実施の形態は、支持軸116がリテーナ102に形成されて、支持孔16がシフトレバープレート12に形成される構成であった。しかしながら、支持軸116がシフトレバープレート12に形成されて、支持孔16がリテーナ102に形成される構成であってもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態では、載置部18の周面は湾曲した構成であった。しかしながら、載置部18は、支持軸116を含んで構成されるリテーナ102が載置されることによって、支持軸116が支持孔16に対して同軸上に配置される構成であればよい。したがって、載置部18の形状は、断面矩形の凹形状であってもよいし、周面が断面V字形状であってもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、レバー本体74の操作パターンが、図6に示されるような鉤形状であった。しかしながら、レバー本体74の操作パターンが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、レバー本体74の操作パターンがH字形状等の他の形状であってもよい。
【0058】
さらに、本実施の形態は、レバー本体74が前後左右に回動可能な構成であったが、シフトレバーが前後方向又は左右方向にのみ回動するシフトレバー装置に本発明を適用してもよい。
【0059】
また、本実施の形態は、レバーガイドハウジング32のゲートプレート34の保持片42に形成された凹部46が、支持軸116の外周部に隙間を介して対向している構成であった。しかしながら、凹部46が支持軸116の外周部に当接していてもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態は、シフトレバープレート12の右壁20に形成された凹部22や、レバーガイドハウジング32の押圧片52の保持部56に形成された凹部58が、軸部154の外周部に隙間を介して対向した構成であった。しかしながら、凹部22や凹部58が、軸部154の外周部に当接していてもよい。
【0061】
また、本実施の形態は、シフトレバープレート12にリテーナ102を回動可能に組付ける構造に本発明を適用した構成であった。しかしながら、例えば、リテーナ102にレバー本体74を回動可能に組付ける構造に本発明を適用してもよい。
【0062】
さらに、本実施の形態は、マグネット134の回転位置が、回路基板138に設けられた磁気センサ140によって検出されることによってレバー本体74の前後方向の回動位置が検出される構成であった。しかしながら、検出手段や検出センサの構成が、このような構成に限定されるものではなく、例えば、検出センサに光センサ等の他のセンサを用いてもよい。
【0063】
また、本実施の形態は、レバー本体74がH位置122から離れた状態で操作力が解除されると、節度ピン84が受ける斜面90からの反力によってレバー本体74がH位置122へ戻るモーメンタリ型のシフト装置に本発明を適用した。しかしながら、レバー本体74が操作された位置で留まるステーショナリ型のシフト装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 シフトレバー装置
12 シフトレバープレート(支持部材)
16 支持孔
32 レバーガイドハウジング(スライド手段)
72 シフトレバーアッセンブリ(操作部材)
116 支持軸
132 回路基板(検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10