特許第6126927号(P6126927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6126927
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】車両用ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/34 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   B60S1/34 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-143630(P2013-143630)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-16726(P2015-16726A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敦
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−273239(JP,A)
【文献】 特開2014−051220(JP,A)
【文献】 米国特許第6282743(US,B1)
【文献】 実開昭62−185163(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00−60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源にて往復回動される駆動軸部と一体回動可能に設けられる揺動部材と、
前記駆動軸部の回動軸と交差またはねじれの位置関係にある傾動軸中心で前記揺動部材に傾動可能に支持され、ワイパアームを固定するためのワイパ固定部が設けられた傾動部材と、
一端が前記揺動部材に支持され前記傾動部材に付勢力を付与する付勢部材と
を有したワイパアーム付勢部材を備えた車両用ワイパ装置であって、
前記駆動軸部には駆動源からの駆動力が入力される揺動レバーが固定され、
前記揺動部材は、前記揺動レバーに固定されたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ワイパ装置において、
前記揺動部材は、一対の固定部を有し、該固定部は、前記駆動軸部の軸方向から見て該駆動軸部を挟むように前記揺動レバーに固定されることを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ワイパ装置において、
前記傾動部材には、前記傾動軸よりも前記ワイパアームの延出側に延びた引き込み部が設けられ、
前記ワイパアーム付勢部材は、
基端側が前記傾動軸と平行な平行軸中心で前記引き込み部に回動可能に支持されたロッド部材を有し、
前記付勢部材は、一端が前記揺動部材に支持され、他端が前記ロッド部材の先端側に付勢力を付与することで、前記ワイパアームの先端側を払拭面側に付勢すべく前記引き込み部を引き込むように作用する圧縮ばねとされたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【請求項4】
請求項2に従属する請求項3に記載の車両用ワイパ装置において、
前記ワイパ固定部は、前記駆動軸部と同軸状に設けられたワイパ固定軸であって、
前記固定部は、前記揺動部材が前記駆動軸部と前記ワイパ固定軸との間に介在されないように一対が分離して設けられたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイパ装置としては、車体にピボット軸を回動可能に支持するピボットホルダが固定され、ピボットホルダの下端から突出するピボット軸(駆動軸部)の基端部に揺動レバーの基端部が固定され、ピボットホルダの上端から突出するピボット軸の先端部にワイパアームの基端部(傾動部材)が連結されるものがある。揺動レバーは、その先端部がワイパモータにより作動するリンク機構のリンクに連結されて駆動力が入力されることで所定角度で揺動し、それと共にピボット軸が回動してワイパアームの払拭動作が行われる。
【0003】
このような車両用ワイパ装置において、特許文献1では、ワイパアームの先端側が払拭面に対して接離可能となるようにワイパアームの基端部(傾動部材)がピボット軸の先端部に回動(傾動)可能に連結され、ワイパアームと揺動レバーとに直接又は間接的に(伝達部材を介して)付勢部材が係止されたものが開示されている。
【0004】
この車両用ワイパ装置では、ワイパアームと揺動レバーとの間に介在される付勢部材の付勢力によって、ワイパアームを払拭面側に付勢することができるので、ワイパアームの一部を断面コ字状として付勢部材を収容する必要が無く、ワイパアームの形状の自由度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−273239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した車両用ワイパ装置では、ピボットホルダの下側の揺動レバーとピボットホルダの上側のワイパアームとの間に付勢部材や伝達部材を介在させる必要があった。しかしながら、揺動レバー等は予めリンクに連結されてリンク機構としてモジュール化されて取り扱われることが多く、そのような揺動レバーに亘るように付勢部材を組み付ける構成は組み付け性に問題があった。又、ワイパアームの基端部(傾動部材)を容易且つ強固にピボット軸(駆動軸部)と連結する構成が望まれる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、組み付け性が良好で、傾動部材を容易且つ強固に駆動軸部と一体回動可能に設けることができる車両用ワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する車両用ワイパ装置は、駆動源にて往復回動される駆動軸部と一体回動可能に設けられる揺動部材と、前記駆動軸部の回動軸と交差またはねじれの位置関係にある傾動軸中心で前記揺動部材に傾動可能に支持され、ワイパアームを固定するためのワイパ固定部が設けられた傾動部材と、一端が前記揺動部材に支持され前記傾動部材に付勢力を付与する付勢部材とを有したワイパアーム付勢部材を備えた車両用ワイパ装置であって、前記駆動軸部には駆動源からの駆動力が入力される揺動レバーが固定され、前記揺動部材は、前記揺動レバーに固定される。
【0009】
同構成によれば、傾動部材が揺動部材に支持されるとともに、付勢部材が揺動部材に支持され傾動部材に付勢力を付与する構成であるため、ワイパアームを付勢するための部材がワイパアーム付勢部材として集約される。これにより、揺動レバーに亘るように付勢部材を組み付ける必要があるもの(従来)に比べて、組み付け性を良好とすることができる。しかも、揺動部材は、駆動軸部から径方向に延びる揺動レバーに(駆動軸部を介さずに)固定されるため、容易且つ強固に揺動部材を駆動軸部と一体回動可能に設けることができ、ひいては傾動部材を容易且つ強固に駆動軸部と一体回動可能に設けることができる。
【0010】
上記車両用ワイパ装置において、前記揺動部材は、一対の固定部を有し、該固定部は、前記駆動軸部の軸方向から見て該駆動軸部を挟むように前記揺動レバーに固定されることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、揺動部材は、一対の固定部を有し、該固定部は、前記駆動軸部の軸方向から見て該駆動軸部を挟むように前記揺動レバーに固定されるため、より強固に揺動部材を揺動レバーに固定することができる。
【0012】
上記車両用ワイパ装置において、前記傾動部材には、前記傾動軸よりも前記ワイパアームの延出側に延びた引き込み部が設けられ、前記ワイパアーム付勢部材は、基端側が前記傾動軸と平行な平行軸中心で前記引き込み部に回動可能に支持されたロッド部材を有し、前記付勢部材は、一端が前記揺動部材に支持され、他端が前記ロッド部材の先端側に付勢力を付与することで、前記ワイパアームの先端側を払拭面側に付勢すべく前記引き込み部を引き込むように作用する圧縮ばねとされることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、ワイパアームの先端側を払拭面側に引き込む構成としながらも、付勢部材が引っ張りばねではなく、圧縮ばねを用いた構成であるため、付勢部材にフックが不要であり付勢部材を短くすることができ、ひいては、装置の小型化を図ることができる。
【0014】
上記車両用ワイパ装置において、前記ワイパ固定部は、前記駆動軸部と同軸状に設けられたワイパ固定軸であって、前記固定部は、前記揺動部材が前記駆動軸部と前記ワイパ固定軸との間に介在されないように一対が分離して設けられることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、ワイパ固定部は、駆動軸部と同軸状に設けられたワイパ固定軸であって、固定部は、揺動部材が駆動軸部とワイパ固定軸との間に介在されないように一対が分離して設けられるため、ワイパアームの先端側が払拭面側から離間する際のワイパ固定軸の傾動角度を大きくすることができる。即ち、一対の固定部間が直線的に連結された構成の揺動部材とすると、その連結している箇所が駆動軸部とワイパ固定軸(傾動部材)との間に位置して、ワイパ固定軸の傾動範囲を小さくしてしまう原因となるが、これを回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用ワイパ装置では、組み付け性が良好で、傾動部材を容易且つ強固に駆動軸部と一体回動可能に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態における車両用ワイパ装置の一部断面図。
図2】一実施形態における車両用ワイパ装置の斜視図。
図3】一実施形態における車両用ワイパ装置の斜視図。
図4】一実施形態における車両用ワイパ装置の斜視図。
図5】一実施形態におけるゴム弾性カバーの斜視図。
図6】一実施形態におけるワイパアームの一部斜視図。
図7】一実施形態におけるヘッド部材の斜視図。
図8】一実施形態におけるヘッド部材の底面図。
図9】一実施形態におけるアーム部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用ワイパ装置の一実施形態を図1図9に従って説明する。
図1及び図2に示すように、車両用ワイパ装置は、駆動源としての図示しないワイパモータからの動力が入力されることで駆動軸部1の回動軸A1中心で揺動する揺動レバー2と、該駆動軸部1及び揺動レバー2と一体回動可能に設けられるワイパアーム付勢部材Fと、該ワイパアーム付勢部材Fに固定されるワイパ3とを備える。
【0019】
駆動軸部1は、車体に固定される略筒状のピボットホルダ4によって回動軸A1中心で回転可能に支持され、ピボットホルダ4から上方に突出した先端部に揺動レバー2の基端部がかしめ固定されている。詳しくは、本実施形態の揺動レバー2は、板状のレバーであって、その基端部にレバー固定孔2aが形成されている。そして、揺動レバー2は、レバー固定孔2aに駆動軸部1の先端部が貫通されその先端部がかしめられることで駆動軸部1と一体回動するように回り止め状態とされて固定されている。
【0020】
前記揺動レバー2は、リンク機構の一部であって、その先端部がワイパモータに連結されたリンクに連結され、該リンクから動力が入力されることで駆動軸部1の軸中心(回動軸A1)で所定角度で揺動する。
【0021】
又、図3に示すように、揺動レバー2の基端部において、前記レバー固定孔2aの近傍位置には、その貫通方向から見て該レバー固定孔2aを挟むように一対の締結孔2b(図3中、一つのみ図示している)が形成されている。そして、揺動レバー2の締結孔2bが形成された部位には、ワイパアーム付勢部材Fの揺動部材5が固定されている。
【0022】
図1図3及び図4に示すように、ワイパアーム付勢部材Fは、前記揺動レバー2に固定される揺動部材5、揺動部材5に前記駆動軸部1の回動軸A1とねじれの位置関係にある傾動軸B1中心で傾動可能に支持される傾動部材6と、揺動部材5に一端が支持され傾動部材6に付勢力を付与する付勢部材としての圧縮ばね(詳しくは、圧縮コイルばね)7とを有する。
【0023】
詳述すると、揺動部材5は、板材からなり、挿通孔5aが形成された略四角形の板状の挿通板部5bと、該挿通板部5bの両側で折曲されて立設されるとともに該挿通板部5bの平面に沿って平行に延びる一対の側壁部5cと、各側壁部5cの先端側で互いに離間する方向に折曲され、その中央に締結孔5dが形成された固定部5eとを有する。尚、挿通孔5aは、挿通板部5bから下方に突出する筒部が形成されるようにバーリング加工により形成されている。そして、揺動部材5は、固定手段としての固定部5eの締結孔5dと揺動レバー2の締結孔2bとを貫通してナット8に螺合されるねじ9によって、揺動レバー2の締結孔2bが形成された部位に締結固定されている。
【0024】
そして、一対の側壁部5cにおける中間部には、軸ピン10が両側壁部5cに渡るように固定され、該軸ピン10には傾動部材6の中央部6aが前記傾動軸B1中心で傾動(回動)可能に支持されている。
【0025】
傾動部材6には、前記中央部6aから前記傾動軸B1の直交方向の一方に延びる傾動部6bが設けられ、該傾動部6bにはワイパ固定部としてのワイパ固定軸6cが立設されている。本実施形態のワイパ固定軸6cは、前記駆動軸部1と同軸状に設けられている。尚、ここで言う同軸状とは、傾動部材6の傾動角度によっては、駆動軸部1の回動軸(軸中心)A1とワイパ固定軸6cの軸中心A2とが一直線上に並ぶということである。そして、ワイパ固定軸6cにはワイパ3の基端側を構成する後述するワイパアーム11の基端部が固定される。尚、ワイパ3は、ワイパアーム11とその先端側に連結される図示しないワイパブレードとを備えている。
【0026】
又、傾動部材6には、前記中央部6aから前記傾動部6bの反対側であって、固定された前記ワイパアーム11の延出側に延びた引き込み部6dが形成されている。そして、引き込み部6dには、ロッド部材12の基端部が前記傾動軸B1と平行な平行軸B2中心で回動可能に支持されている。このロッド部材12は、前記挿通板部5bの挿通孔5aを挿通して下方に延びるように配置されている。又、ロッド部材12の先端部には、その延びる方向の直交方向に突出した一対の被付勢部12aが形成されている。
【0027】
そして、前記圧縮ばね7は、圧縮した状態で、一端(上端)が前記挿通板部5bの下面に支持され、他端(下端)が前記被付勢部12aに平ワッシャ13を介して当接して該ロッド部材12の先端側に下方に向かう付勢力を付与することで、ワイパアーム11の先端側を払拭面側(下側)に付勢すべく引き込み部6dを引き込むように作用する。
【0028】
又、前記揺動部材5には、前記圧縮ばね7の圧縮直交方向における前記駆動軸部1と対向しない側を覆うばねカバー部5fが設けられている。詳しくは、ばねカバー部5fは、前記挿通板部5bにおける前記駆動軸部1から最も離間した位置から下方に折曲された外カバー部5gと、該外カバー部5gの両側から前記圧縮ばね7を囲うように前記駆動軸部1側に折曲された側カバー部5hとを有する。即ちばねカバー部5fの断面は前記駆動軸部1側が開口した略コ字状に形成され、その内側に前記圧縮ばね7が略収容されている。
【0029】
又、一対の側カバー部5hにおける先端側(下端側)には、規制部としてのピン14が両側カバー部5hに掛け渡されて固定されている。又、前記ロッド部材12の先端部には、ロッド部材12の長手方向に延びて先端が開放されたスリット12bが形成され、該スリット12bにピン14が挿通されることで、ロッド部材12の先端部の引き込み方向(下方向)の移動が許容されるとともにロッド部材12の平行軸B2周りの自由な回動が規制されている。このピン14の位置は、前記挿通孔5aの貫通方向から見て該挿通孔5aの中心位置と一致する位置であって、ロッド部材12は駆動軸部1と略平行な軸に沿った移動が許容され、圧縮ばね7は圧縮方向が駆動軸部1と平行となるように設けられている。
【0030】
又、図1に示すように、本実施形態の傾動部材6には、揺動部材5と傾動部材6との連結部分(中央部6aの部分)の上部を覆うゴム弾性カバー15が固定されている。
詳しくは、図1図2及び図5に示すように、ゴム弾性カバー15は、中央に固定孔15aが形成された略円盤状の円盤部15bと、該円盤部15bの上面の外縁から上方に延設された環状の壁部15cと、前記壁部15cの内側の前記円盤部15bの一部から下方に筒状に貫通して延びる排水部15dとを有する。
【0031】
図1に示すように、固定孔15aの内周面には、環状で貫通方向に複数の圧接凸部15eが形成されている。そして、ゴム弾性カバー15は、固定孔15aにワイパ固定軸6cが貫通されることで該ワイパ固定軸6c周りに液密に固定される。この際、前記圧接凸部15eは、ワイパ固定軸6cに形成された環状凹部6eに入り込んで圧接することで、ゴム弾性カバー15からワイパ固定軸6cが抜けることと、ワイパ固定軸6cを伝って下方に液体が浸入することが抑制されている。そして、前記円盤部15bによって揺動部材5と傾動部材6との連結部分の上部が覆われている。又、本実施形態の排水部15dは、前記ピボットホルダ4の略中間位置まで延びて形成されている。又、排水部15dは、前記駆動軸部1に対して前記ワイパアーム11の延出側(引き込み部6dや圧縮ばね7が設けられる側であって、図1中、右側)の反対側(図1中、左側)に設けられている。
【0032】
又、本実施形態のゴム弾性カバー15は、円盤部15bの外縁から延出して前記引き込み部6dと前記ロッド部材12との連結部分の上部を覆う引き込み連結カバー部15fを有している。本実施形態の引き込み連結カバー部15fは、前記挿通板部5bを上方から覆い隠すように形成され、前記挿通孔5aをも覆っている。
【0033】
又、図1及び図6に示すように、本実施形態のワイパアーム11は、ヘッド部材21とアーム部材22とを備えている。
図1図7及び図8に示すように、ヘッド部材21は、アルミ合金よりなり、ワイパ固定軸6cが貫通される貫通孔21aが形成され該ワイパ固定軸6cに固定される軸固定部21bと該軸固定部21bから軸直交方向に延びるヘッド延設部21cとを有する。軸固定部21bは、中央に貫通孔21aが形成された略円盤状に形成され、その下面の外縁から下方に突出する筒部21dを有している。又、軸固定部21bの貫通孔21aは、ワイパ固定軸6cの中間部に形成された縮径部6fに応じた形状であって、上方に向かうほど径が小さくなる縮径部21eを有している。そして、ヘッド部材21は、貫通孔21aにワイパ固定軸6cが貫通され、貫通孔21aから突出したワイパ固定軸6cの先端に図示しないナットが締め付けられることで、ワイパ固定軸6cに対して回り止め状態で固定される。
【0034】
又、ヘッド延設部21cは、軸固定部21bの外縁の片側(略180°の範囲)から軸直交方向に延びるとともに上方への厚みが大きくされた略四角柱形状に形成されている。ヘッド延設部21cの各側面には、ヘッド延設部21cが延びる方向に一対の側面凸部21fが形成されている。又、ヘッド延設部21cの上面の四隅には、上面凸部21gが形成されている。
【0035】
又、軸固定部21bにおいて、前記貫通孔21aに対して前記ヘッド延設部21cの延びる側とは反対側には、後述するアーム部材22と軸方向に係合可能な反対側係合部21hが形成されている。本実施形態の反対側係合部21hは、軸固定部21bの外縁の一部から軸直交方向に一定の突出量で突出している。
【0036】
図1及び図6に示すように、アーム部材22は、金属製(鉄製)の板材からなり、前記ヘッド部材21の上面及び側面を覆う被覆部22aと、その被覆部22aからヘッド延設部21cの延びる方向に更に延びる(先に図示しないワイパブレードが連結される)アーム部22bと、被覆部22aから延びてヘッド延設部21cの下面を抱える腕部22cとを有する。図6及び図9に示すように、本実施形態の腕部22cは、被覆部22aの両側部から一対形成されている。そして、腕部22cが被覆部22aの側部から折曲されていない状態で被覆部22a内にヘッド部材21が収容され、その後、腕部22cが内側に折曲されることでヘッド延設部21cの下面が抱えられてアーム部材22がヘッド部材21に固定されている。尚、この際、前記側面凸部21f及び前記上面凸部21gは前記被覆部22aの内面に圧接される。
【0037】
又、アーム部材22において、前記反対側係合部21hと対向した位置には、切り欠き部22dが形成され、反対側係合部21hは切り欠き部22dに嵌ることになる。これにより、例えば、アーム部22bを起こす力が掛かった際には、アーム部材22の切り欠き部22dと反対側係合部21hとが軸方向に係合して、ヘッド延設部21c及び腕部22c側でない側でも上記力がヘッド部材21で受け止められることになる。
【0038】
又、アーム部材22の被覆部22aにおける前記貫通孔21aと対応した位置には、開口22eが形成され、該開口22eには、ワイパアーム11がワイパ固定軸6cに固定された後に、図示しないキャップが嵌着され開口22eが閉塞されることになる。
【0039】
次に、上記のように構成された車両用ワイパ装置の作用について説明する。
ワイパモータが駆動されると、駆動軸部1及び揺動レバー2と共にワイパアーム付勢部材Fが一体的に往復回動され、ワイパアーム付勢部材Fに固定されたワイパ3にて払拭面の払拭動作が行われる。
【0040】
このとき、ワイパ3のワイパアーム11自体には、ワイパブレードを払拭面側に押圧接触させるための付勢部材が設けられていないが、ワイパアーム付勢部材Fの作用によりワイパ3全体が付勢され、ワイパブレードが払拭面に押圧接触される。これにより、払拭面に沿った良好な払拭動作が行われる。
【0041】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)傾動部材6が揺動部材5に支持されるとともに、圧縮ばね7が揺動部材5に支持され傾動部材6に付勢力を付与する構成であるため、ワイパアーム11を付勢するための部材がワイパアーム付勢部材Fとして集約される。これにより、揺動レバーに亘るように付勢部材を組み付ける必要があるもの(従来)に比べて、組み付け性を良好とすることができる。しかも、揺動部材5は、駆動軸部1から径方向に延びる揺動レバー2に駆動軸部1を介さずに(駆動軸部1は、回転支持するものの揺動レバー2から揺動部材5への駆動力伝達はしないように)固定されるため、容易且つ強固に揺動部材5を駆動軸部1と一体回動可能に設けることができ、ひいては傾動部材6を容易且つ強固に駆動軸部1と一体回動可能に設けることができる。
【0042】
(2)揺動部材5は、一対の固定部5eを有し、該固定部5eは、駆動軸部1の軸方向から見て該駆動軸部1を挟むように揺動レバー2に固定されるため、より強固に揺動部材5を揺動レバー2に固定することができる。
【0043】
(3)ワイパアーム11の先端側を払拭面側に引き込む構成としながらも、付勢部材が引っ張りばねではなく、圧縮ばね7を用いた構成であるため、付勢部材にフックが不要であり付勢部材を短くすることができ、ひいては、装置の小型化を図ることができる。
【0044】
(4)ワイパ固定軸6cは、駆動軸部1と同軸状に設けられ、固定部5eは、揺動部材5が駆動軸部1とワイパ固定軸6cとの間に介在されないように一対が分離して設けられるため、ワイパアーム11の先端側が払拭面側から離間する際のワイパ固定軸6cの傾動角度を大きくすることができる。即ち、一対の固定部5e間が直線的に連結された構成の揺動部材とすると、その連結している箇所が駆動軸部1とワイパ固定軸6c(傾動部材6)との間に位置して、ワイパ固定軸6cの傾動範囲を小さくしてしまう原因となるが、これを回避することができる。
【0045】
(5)傾動部材6に対して固定され、揺動部材5と傾動部材6との連結部分の上部を覆うゴム弾性カバー15を備えるため、揺動部材5と傾動部材6との連結部分が被水してしまうことを防止できる。又、ゴム弾性カバー15は弾性変形及び復元可能であるため、揺動部材5に対する傾動部材6の傾動が妨げられることはなく、複雑な構成としなくても、前記連結部分に常に隣接させることができ、被水してしまうことを良好に防止できる。
【0046】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、揺動部材5は、一対の固定部5eを有し、該固定部5eは、駆動軸部1の軸方向から見て該駆動軸部1を挟むように揺動レバー2に固定されるとしたが、これに限定されず、揺動部材が揺動レバー2に固定されれば、他の構成に変更してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、ワイパアーム11の先端側を払拭面側に引き込む構成としながらも、圧縮ばね7を用いた構成としたが、これに限定されず、ワイパアーム11の先端側を払拭面側に付勢できれば他の構成にしてもよいし、引っ張りばねを用いた構成としてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、ワイパ固定軸6cは、駆動軸部1と同軸状に設けられ、固定部5eは、揺動部材5が駆動軸部1とワイパ固定軸6cとの間に介在されないように一対が分離して設けられるとしたが、これに限定されず、例えば、一対の固定部5e間が直線的に連結された構成の揺動部材としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、揺動部材5と揺動レバー2とをナット8及びねじ9にて締結固定したが、これに限定されず、かしめ等の他の構成にて固定してもよい。
上記各実施形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
【0050】
(イ)請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用ワイパ装置において、前記傾動部材及び前記揺動部材の少なくとも一方に対して固定され、少なくとも前記揺動部材と前記傾動部材との連結部分の上部を覆うゴム弾性カバーを備えたことを特徴とする車両用ワイパ装置。
【0051】
同構成によれば、揺動部材と傾動部材との連結部分の上部を覆うゴム弾性カバーを備えるため、揺動部材と傾動部材との連結部分が被水してしまうことを防止できる。又、ゴム弾性カバーは弾性変形及び復元可能であるため、揺動部材に対する傾動部材の傾動が妨げられることはなく、複雑な構成としなくても、前記連結部分に常に隣接させることができ、被水してしまうことを良好に防止できる。
【符号の説明】
【0052】
1…駆動軸部、2…揺動レバー、5…揺動部材、5e…固定部、6…傾動部材、6c…ワイパ固定軸(ワイパ固定部)、6d…引き込み部、7…圧縮ばね(付勢部材)、9…ねじ、11…ワイパアーム、12…ロッド部材、F…ワイパアーム付勢部材、A1…回動軸、B1…傾動軸、B2…平行軸。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9