(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)ショーケースの概要
本発明に係るショーケースの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ショーケースの設置方法及び撤去方法については後述する。
図1(A)はショーケース1の正面概略図を示す。また、
図1(B)は、ショーケース1の幅方向の略中央部における断面概略図を示す。
【0015】
図1(A)及び
図1(B)に示すように、ショーケース1は、内側部材2と、外側部材3と、冷却ユニット4とを備える。なお、内側部材2、外側部材3及び断熱部材の材料については後述する。
【0016】
特に
図1(B)に示されるように、内側部材2は、壁部5と、陳列部6とを有している。内側部材2は、ショーケース1が設置されたときに、前方に臨む側が開放されて成る、箱型部材である。
また、陳列部6は、壁部5内に設けられ、商品が陳列される部材である。具体的には、陳列部6は板状部材の縁辺部が折曲されて成る。陳列部6は、陳列される商品の重量で脱落しない程度の強度を以って壁部5の内面に固定される。ショーケース1における陳列部6は、面ファスナによって固定されている。もっとも、本発明に係るショーケースにおいて、陳列部を固定する手段としては、面ファスナ以外に、例えばリベット又は熱可塑性樹脂を含有する接着剤等を用いても良い。
壁部5は、その内部に冷気の流路である通風路7が形成されている。通風路7は、壁部5によって形成される略直方体の内部空間を仕切り板71によって仕切られることにより冷気が流通可能となった部位である。仕切り板71は、ショーケース1が設置されたときの壁部5における底面、後面、及び上面に沿って形成される断面略コの字状の板材である。
図1(B)には、内側部材2内における冷気の循環方向を、通風路7及び陳列部6近傍に、矢印で示している。内側部材2内において冷気は、通風路7の下端部に設けられた開口部を介して、後述の冷却ユニット4における吐出口18から進入する。更に冷気が内側部材2の背面側内面に沿って上昇して上面の内側面に達すると、該上面の内側面に沿ってショーケース1の前方に向かい、通風路7における冷気の流通路の出口部分である流入口8まで流通する。次いで、流入口8から陳列部6が設けられる領域に冷気が流入する。内側部材2における流入口8は鉛直又は略鉛直に方向付けされているので、冷気は流入口8から下方向に流通することとなる。冷気が方向付けされて、好ましくは流入口8から流出口9まである程度の流速を維持しつつ流通すると、冷気が方向付けされた方向以外の方向に拡散し難くなり、外側部材3の開口部10から外部に冷気が漏れ難い。内側部材2の下端部前方においては、流入口8から流下してくる冷気が到達する部位に開口部である流出口9が設けられている。冷気が流出口9を通過して内側部材2の外部に流出するようになっている。
【0017】
外側部材3は、内側部材2における壁部5の外側に設けられる部材である。外側部材3は、ショーケース1が設置されたときに上面となる面が閉塞され、底部が開放されて成る箱型部材である。また、ショーケース1を設置したときに、外側部材3の前方に臨む側に開口部10が設けられている。開口部10が設けられることにより、陳列部6に陳列される商品がショーケース1の外部から視認可能となる。
本発明に係るショーケースにおいて、外側部材の開口部の大きさ、位置、形状については、陳列される商品が外部から視認可能である限り特に制限されない。
外側部材3には、開口部10の下方に通気用開口部11が形成されている。通気用開口部11は、後述の冷却ユニット4の通気口12を閉塞しないように設けられている。外側部材3が内側部材2だけでなく冷却ユニット4の下端まで覆っているので、通気口12に臨む外側部材3の部位には通気用開口部11が形成されている。本発明に係るショーケースにおいて、外側部材が冷却ユニットを覆わない場合は、上記通気用開口部11のような開放部位は不要となる。また、冷却ユニットの一部のみを覆う場合は、冷却ユニットの通気口を覆わないように、外側部材の一部を切欠にする形態等を採用すれば良い。
【0018】
図1(B)に冷却ユニット4の概略図を示している。冷却ユニット4は、内側部材2の内部に冷気を供給する機器である。詳述すると、冷却ユニット4は、上記通気口12、蒸発器13、送風機141及び142、圧縮機15、凝縮器16、吸入口17、及び吐出口18を有している。冷却ユニット4が有する各部材は、従来の冷蔵庫等で用いられる冷却機器を用いることができる。
なお、ショーケース1を設置したときに前方に吸入口17が位置し、かつ後方に吐出口18が位置する。また、
図1には図示していないが、ショーケース1を設置したときに背面に位置する側にも、上記通気用開口部11及び上記通気口12と同様の部位が、外側部材3及び冷却ユニット4に形成されている。
圧縮機15は、冷媒を圧縮する。また、凝縮器16は、圧縮機15によって圧縮された冷媒を放熱させる。送風機142は凝縮器16に対して送風することによって、凝縮器16から放出される熱を、冷却ユニット4の背面側に設けられる通気口(図示せず)から排出するようになっている。凝縮器16によって放熱された冷媒は圧力を低減させた上で蒸発器13に送出される。蒸発器13は、送風機141によって送られてくる風を冷媒の気化熱によって冷却する。送風機141が吸入口17の近傍に設置され、吐出口18に向けて送風するので、送風機141によって生じる風が冷気となって吐出口18から内側部材2の通風路7内に進入することになる。蒸発器13で気化した冷媒は圧縮機15に吸い込まれる。このような一連の冷凍サイクルは、従来の冷蔵庫及びショーケース等で採用されている。
【0019】
したがって、冷却ユニット4の冷凍サイクルによって生じる冷気は、冷却ユニット4から吐出口18を介して内側部材2に進入し、内側部材2内を循環した後に吸入口17を介して冷却ユニット4に戻る。
外側部材3の開口部10に沿って冷気が流下することにより、該開口部10の内側に冷気の幕が形成されるので、ショーケース1の内部で循環する冷気が外部に漏出しにくいので、温度が低下し難い。
【0020】
内側部材2は、基台状の冷却ユニット4に裁置されている。また、外側部材3が内側部材2の壁部5及び冷却ユニット4を覆っている。
図1に示す実施形態では内側部材2は冷却ユニット4に裁置されているだけなので固定されていない。また、外側部材3は、内側部材2及び冷却ユニット4に対して被せているだけなので固定されていない。外側部材3が内側部材2及び冷却ユニット4の位置決め及び方向付けをしている。
内側部材2、外側部材3、及び冷却ユニット4は、相互に固定されていないので、相互に着脱可能である。更に言うと、内側部材2の壁部5、陳列部6及び通風路7を形成する各部材は相互に着脱可能である。
従来のショーケースは、移動作業に際して分解せずに作業を行っていたので、大容積を有するショーケースを移動させる必要があった。大容積を有するショーケースを移動させるには、作業者が安全性に対して強く留意する必要があり、移動作業に係る作業時間も長くなることが多い。
これに対して、ショーケース1は内側部材2、外側部材3、及び冷却ユニット4が相互に着脱可能であるので、大容積を有するショーケースを移動させる必要が無い。すなわち、ショーケース1は、各部材が相互に着脱自在であることによって、移動作業に係る安全性の向上、作業時間の短縮を図ることができる。
【0021】
ガラス板及び金属製の枠体を備える従来のショーケースにおいて、陳列する商品の購買意欲を惹起させるには、透明なガラスを通して内部の商品を見せる方法、又は、別領域に立て看板等を設置する方法、陳列される商品の広告等を接着剤によってガラス板に貼付する方法等があった。
なお、ガラス板に接着剤によって広告等を貼付する場合、別の商品を陳列する際には剥がす作業が必要となるだけでなく、接着剤及び広告の一部がガラス板表面に残存してしまうことがあった。つまり、商品入替えに係る作業効率が低かった。
【0022】
本発明に係るショーケースは、外側部材の外面が所定の情報を表示する表示部を有するのが好ましい。表示部としては、例えば外側部材表面に設けた印刷、表面に貼り付けられた表示部材、表面に被せた表示部材等を挙げることができる。表示部が表示する所定の情報としては、例えば陳列部に陳列される商品の名称及び商標、製造者の名称及び商標、商品の購買意欲を惹起させる意匠及び広告等を挙げることができる。外側部材の外面が表示部を有することによって、商品の購入検討者に対して外側部材の前方から陳列された商品を視認させる場合だけでなく、ショーケースの側方及び後方からでも商品名等を知らしめ、購買意欲も高めることができる。したがって、表示部によって、所定の情報をより多く表示することができるようになる。
また、ショーケース1においては、外側部材3が着脱自在であるので、陳列される商品を別の商品に入れ替える場合は、新たに陳列される商品に関する情報を表示する表示部を設けて成る外側部材とそれまで装着されていた外側部材3とを交換するだけで良い。よって、商品入替えに係る作業効率の向上を図ることができる。
【0023】
本発明に係るショーケースは、内側部材と外側部材との間に介設される断熱部材を備えているのが好ましい。断熱部材19を備えたショーケース100を
図2に示す。断熱部材19以外の部材は
図1に示したショーケース1と同一部材を用いているので、同一の参照符号を付すと共に詳細な説明は省略する。断熱部材19は、内側部材2における壁部5の外面と外側部材3の内面との間に設けられている。ショーケース100が断熱部材19を備えることによって、内側部材2内を循環する冷気が外気温に影響を受け難くなるので、ショーケース100の冷却効率が向上する。
なお、断熱部材19は内側部材2及び外側部材3に対して着脱自在であっても良く、内側部材2の外面又は外側部材3の内面に固定的に装着されていても良い。
【0024】
(2)内側部材、外側部材及び断熱部材の材料
ここで、上記内側部材2、外側部材3及び断熱部材の各材料について説明する。
内側部材2の材料は、内部に空隙を有する樹脂製材料又は耐水性紙製材料であるのが好ましい。具体的には、内部に空隙を有する樹脂製材料として、合成樹脂であるのが好ましく、例えばポリプロピレン製及びポリカーボネート製の段ボール、並びに、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリ塩化ビニルフォーム、及び硬質ポリスチレンフォーム等の硬質発泡樹脂成形体等挙げることができる。また、内部に空隙を有する耐水性紙製材料としては、耐水又は撥水の表面処理を施した段ボール紙、及び、耐水性又は撥水性を有する樹脂材料を含浸させた段ボール紙等を挙げることができる。
内側部材2の材料としては、特に樹脂製段ボール、いわゆるプラスチック段ボールが好ましい。該プラスチック段ボールは、内部に空隙を有している。樹脂に含まれる空隙は、独立気泡型であっても良く、連続気泡型であっても良い。空隙が連続気泡型である場合は、空隙が一定方向に沿って連続するストロー構造を採用することができる。
ストロー構造を有するプラスチック段ボールを採用する場合、プラスチック段ボールの折曲部位及び断面等で空隙を潰す又は埋める等してシール加工を施すことが好ましい。シール加工によって、空気の流れを防ぎ、内側部材2の断熱効果を向上させることができる。
プラスチック段ボールは、紙製の段ボールに比べて、材料の硬度が高いので折曲し難いことがある。プラスチック段ボールの折曲部位において、空隙を潰すことによって、折曲が容易になる。
外側部材3は、特に限定はされないが、内側部材2と同様の材料であっても良い。なお、外側部材3の外面に上記表示部を設ける場合は、耐水性又は撥水性を有する材料であって、種々の情報を印刷等によって外面表面に転写可能である材料であるのが好ましい。また、表示部を設ける場合は、種々の情報を表示部に転写した後に耐水処理又は撥水処理を施すこともできる。外気に曝される外側部材3と、内部を冷気が循環する内側部材2との温度差によって外側部材3の表面に結露が発生する可能性がある。したがって、表示部を設ける場合に、外側部材3の材料が耐水性又は撥水性を有していることにより、例えば商品に関する情報等を表示する表示部が結露に起因する濡れによる変形、破損等を生じない又は生じ難くなるので好ましい。
上記断熱部材の材料としては、断熱効果を有する限り特に限定はされないが、例えばポリウレタン、発泡フェノール樹脂、発泡ポリスチレン、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、及びコルク材等を挙げることができる。
【0025】
従来のショーケースは、ガラス板の壁部材、金属製の枠体及び冷却ユニット等が一体であった。各部材の重量も大きく、かつ各部材が一体的に固定されていたので、従来のショーケースの移動作業は作業効率が低かった。更に、従来のショーケースのガラス板に障害物が接触することによって、ガラス板に引っかき傷、擦り傷、ヒビ又は破損等が生じることがあった。ガラス板に一旦破損等が生じてしまうと、ショーケース自体を交換する方法、又は、専門知識を有する作業者がショーケースを分解して破損等が生じたガラス板を交換する方法を取らざるを得なかった。
これに対して、
図1に示すショーケース1は、従来のガラス板及び金属製の枠体に比べて、内側部材2及び外側部材3が重量の小さい材料によって形成されているので、ショーケース1の移動作業を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。また、内側部材2及び外側部材3は、従来のガラス板に比べて引っかき傷、擦り傷、ヒビ等が目立ち難い。更に、内側部材2及び外側部材3は相互に着脱自在であるので、仮に破損等が生じても、破損等が生じた部材のみを容易に交換することができる。よって、ショーケース1は、障害物等に接触しても容易に使用不能に陥ることがない。
【0026】
特に、内側部材2の材料が合成樹脂である場合は、内側部材2に汚れ、結露等が付着しても、拭き取り又は洗浄等によって付着物を除去可能である。しかも合成樹脂製であれば耐久性を有するので、設置、撤去、移動の一連の作業を複数回に亘って実行可能であり、材料削減に寄与する。
【0027】
ここで、外側部材の変形例を
図3に示す。
図3に示す外側部材31は、開口部10と、通気用開口部11と、第2通気用開口部111と、吸収部材20とを有する。開口部10及び通気用開口部11の説明は上述したので省略する。
第2通気用開口部111は、外側部材31の内側に配置される冷却ユニットの排気口からの排気が当たる位置に設けられる開口部である。吸収部材20は、第2通気用開口部111を覆う部材である。吸収部材20は、少なくとも水を吸収可能である。吸収部材20としては、吸収性及び速乾性を有していることが好ましく、例えば不織布等を挙げることができる。
なお、外側部材31の内側に配置される冷却ユニットは、排気口が複数箇所に設けられ、通気用開口部11だけではなく、他にも通気用の開口部が必要な冷却ユニットである。また、第2通気用開口部111が開口する位置にしか排気口を有していない冷却ユニットを用いる場合は、開口部11は不要であるので省いても良い。更に、
図1及び
図2に示した外側部材3に代えて、本変形例を適用する場合は、第2通気用開口部111を設けること無く、上記開口部11を覆う吸収部材を外側部材の側面に取り付ければ良い。これにより、第2通気用開口部111の機能を開口部11が兼ねることになる。
ショーケースの使用時に外側部材31表面に結露が生じる可能性がある。生じた結露を吸収部材20で吸収することができる。また、結露を吸収した吸収部材20に対して、第2通気用開口部111を通して冷却ユニットからの暖かい排気が当たる。これにより、吸収部材20に吸収されていた結露を乾燥させることができる。
第2通気用開口部111は、冷却ユニットの構造、及び必要な排気量に応じて複数箇所に設けることができる。
図3に示す外側部材31においては、4つの側面全てに第2通気用開口部111が設けられている。
第2通気用開口部111の大きさは、特に限定されないが、例えば側面の幅方向にできる限り大きくするのが良い。また、吸収部材20の大きさは、特に限定されないが、例えば第2通気用開口部111よりも若干大きめに設定し、第2通気用開口部111の周辺部位において外側部材31に対して接着することができ、他の方法によって第2通気用開口部111を覆うように形成しても良い。なお、吸収部材20は、外側部材31の側面全体を覆うように設けることが好ましい。
【0028】
(3)ショーケースの設置方法及び撤去方法
次に、上記ショーケース1の設置方法及び撤去方法について、
図4〜
図14を参照しつつ説明する。なお、
図4〜
図14における各部材に付記した矢印は、各折曲部位の折曲方向及び各部材の変位方向を示している。また、各部材中に示した破線は折曲部位である。
先ず、
図1に示したショーケース1の内側部材2及び外側部材3は、折畳み可能である。つまり、ショーケース1を設置する前の状態、又はショーケース1を撤去した後の状態においては、内側部材2及び外側部材3は折畳んだ状態で保管することができる。
【0029】
図4(A)は、折畳まれて成る外側部材3の前面を示す概略図である。また、
図4(B)は、折畳まれて成る外側部材3の後面を示す概略図である。外側部材3は、ショーケース1を設置したときの側方面と成る面が、奥行方向の略中央部において高さ方向に沿って折曲可能となっている。これにより、
図4に示すように、外側部材3は、その側方面と成る面が内側に折込まれるようにして折畳まれる。
【0030】
図5及び
図6は、外側部材3の組立工程を示す概略図である。
【0031】
外側部材3を組立てるには、先ず
図5(A)に示すように、折畳まれて成る外側部材3の後面を前面から離れる方向に変位させる。これにより、内側に折込まれるようにして折畳まれていた外側部材3の側方面の折曲状態が解除される。
次いで、
図5(B)に示すように、外側部材3の側方面の上方縁部を内側に折曲する。これにより、外側部材3の前面、側方面及び後面が断面矩形状を成す筒状体を形成する。
更に、
図5(C)に示すように、前面から上方に延在する部位を、外側部材3の上部を覆蓋するように折曲する。これにより、筒状であった外側部材3の前面、側方面及び後面に対して蓋状の上面が形成される。
次に、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、外側部材3の上面の一部に設けられたスリットに対して、後面から突出する係止片を挿入することによって、外側部材3の上面が係止される。これにより、外側部材3が上面によって覆蓋された状態をショーケース1の撤去時まで維持することができるので、内側部材2内を循環する冷気が外側部材3の開口部10以外から漏出し難くなる。
以上により、外側部材3の展開工程が完了し、
図6(C)に示すように内側部材2及び冷却ユニット4に組付け可能な状態となる。
【0032】
図7(A)は、折畳まれて成る内側部材2における壁部5の前面を示す概略図である。また、
図7(B)は、折畳まれて成る壁部5の後面を示す概略図である。壁部5は、ショーケース1を設置したときの側方面と成る面が、奥行方向の略中央部において高さ方向に沿って折曲可能となっている。これにより、
図7に示すように、壁部5は、その側方面と成る面が内側に折込まれるようにして折畳まれる。なお、壁部5の上面及び底面と成る部位には、組立てたときに上面及び底面が開放状態とならないように、面ファスナVが取付けられている。
【0033】
図8(A)は、壁部5と共に通風路7を形成する仕切り板71が展開された状態を示す概略図である。また、
図8(B)は、陳列部6が展開された状態を示す概略図である。仕切り板71及び陳列部6はそれぞれ板状部材である。また、仕切り板71及び陳列部6の一部には、壁部5に対するそれぞれの位置及び姿勢を維持可能なように面ファスナVが取付けられている。なお、壁部5を箱状に組立てたときに内面と成る面には、仕切り板71及び陳列部6の面ファスナVが係合可能な面ファスナ(図示せず)が取付けられている。
【0034】
図9〜
図13は、内側部材2を形成する各部材の作製工程及び内側部材2の組立工程を示す概略図である。
【0035】
内側部材2の組立ては、壁部5、陳列部6及び仕切り板71をそれぞれ展開、折曲及び組立てた後に、相互に組付けることにより達成される。
仕切り板71を作製するには、
図9(A)に示すように、先ず断面略コの字状に折曲されることにより、仕切り板71の概形を成形する。次いで、
図9(B)に示すように、仕切り板71の各縁辺部を適宜に折曲することにより、壁部5内に仕切り板71が配置されたときに配置箇所からズレ難くなる突出片を形成することができる。以上により、仕切り板71の作製工程が完了し、
図9(C)に示すように壁部5内に配置可能な状態となる。
続いて、壁部5を組立てるには、先ず
図10(A)に示すように、折畳まれて成る壁部5の後面を前面から離れる方向に変位させる。これにより、内側に折込まれるようにして折畳まれていた壁部5の側方面の折曲状態が解除される。次いで、
図10(B)〜
図10(D)に示すように、壁部5の側方面の下方縁部を内側に折曲し、更に壁部5の後面及び前面からそれぞれ下方に突出する部位を内側に折曲する。これにより、壁部5の前面、側方面及び後面が、断面矩形状を成す有底筒状体を形成する。なお、このとき壁部5の上部を上面によって覆蓋していないが、仕切り板71を壁部5内に配置可能であるのであれば、上面と成る部位を折曲して壁部5の上方を閉塞状態としても良い。以上により、壁部5の組立工程が完了し、仕切り板71を壁部5の内部に配置可能な状態となる。
陳列部6を作製するには、
図11(A)に示すように、板状体の各縁辺部を適宜に折曲する。これにより、陳列部6からの商品の落下防止を目的としたストッパがショーケース1の幅方向に形成されると共に、適宜に取付けられた面ファスナVが壁部5の内面に対して係止可能となる。以上により、陳列部6の作製工程が完了し、
図11(B)に示すように壁部5内に配置可能な状態となる。
【0036】
内側部材2を組立てるには、先ず
図12(A)に示すように、開放状態である壁部5の上方から仕切り板71を挿入する。このとき、仕切り板71の向きは、商品を陳列可能な領域が手前側に位置するように設定される。なお、仕切り板71の奥行方向及び幅方向の大きさは、壁部5内の奥行方向及び幅方向の大きさと略同一と成るように形成されているので、仕切り板71が壁部5内でガタつき難くなっている。この仕切り板71が配置されると、
図1(B)に示した冷気の流入口8及び流出口9が、壁部5と仕切り板71とにより形成される。
次いで、
図12(B)〜
図12(D)に示すように、上面と成る部位を折曲して壁部5の上方を覆蓋する。
更に、
図13(A)に示すように、陳列部6は、壁部5の前方開口部から挿入され、壁部5内の適宜の位置に面ファスナVによって固定される。
以上により、内側部材2の組立工程が完了し、
図13(B)に示すように外側部材3及び冷却ユニット4に組付け可能な状態となる。
【0037】
ショーケース1を組立てるには、先ず
図14(A)に示すように、内側部材2を冷却ユニット4に裁置する。このとき冷却ユニット4の向きは、吸入口17が前方に位置し、冷気の吐出口18が後方に位置するように設定される。
次いで、
図14(B)に示すように、外側部材3を内側部材2の上方から冷却ユニット4の下端まで被せるようにして配置する。このとき外側部材3の向きは、内側部材2における壁部5の前方開口部と外側部材3の開口部10とが連通し、かつ冷却ユニット4の通気口12と外側部材3の通気用開口部11とが連通するように設定される。
以上により、
図14(C)に示すようにショーケース1の組立工程が完了する。
【0038】
組立てられたショーケース1は適宜の設置領域に設置することができる。なお、ショーケース1を使用するには、陳列部6に適宜の商品を陳列し、冷却ユニット4に通電して内側部材2内に冷気を循環させれば良い。
また、ショーケース1の撤去は、ショーケース1の組立工程を逆に実行して内側部材2及び外側部材3を折畳むことによって達成される。
【0039】
ガラス板が壁部材でかつ金属製の枠体を備える従来のショーケースは、折畳むことができない。したがって、従来のショーケースの設置前及び撤去後は、大きな保管領域が必要であった。
これに対して、ショーケース1は、内側部材2及び外側部材3が折畳み可能である。したがって、ショーケース1の設置前及び撤去後は、内側部材2及び外側部材3を折畳むことによって、ショーケース1の保管領域の縮小を図ることができる。
更に、内側部材2及び外側部材3はガラス及び金属等の材料を含んでいないので、軽量である。よって、折畳み作業及び折畳まれた状態を解除する組立作業を容易に実行することができ、作業効率が高い。更に、内側部材2及び外側部材3はその材料により吸湿しないので、設置作業、移動作業、及び撤去作業の作業効率が低下し難い又は低下しない。
【0040】
上述したように、本発明の一実施形態であるショーケース1は組立作業及び撤去作業が容易であり、軽量であるので、繰り返しショーケースの組立作業及び撤去作業が必要となる販売形態に有用である。例えば販売促進のための催しを、複数の領域で、短期間毎に、複数回に亘って開催する場合等は、数日間毎にショーケースの設置、商品の陳列、及び撤去が必要となることがある。この場合、例えばショーケース1を用いることによって、ショーケース1の設置作業及び撤去作業、並びに、ショーケース1を撤去した後に別領域に移動する際の移動作業がそれぞれ容易にかつ迅速に実行可能である。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により、本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。また、各部材を折畳むための折曲部位及び各部材同士の固定形態等は、とくに制限されない。