(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記しごき部は、前記エネルギー吸収部に対して相対移動不能に構成された第1しごき部と、前記エネルギー吸収部に対して離間方向へ移動可能に構成された第2しごき部と、を含んで構成され、
前記第2しごき部が切替機構に連結されて、前記第2しごき部の前記エネルギー吸収部に対する離間方向への移動が阻止されており、前記切替機構が作動することで前記第2しごき部の前記エネルギー吸収部に対する離間方向への移動が許容される請求項1又は請求項2に記載のウェビング巻取装置
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記リトラクタでは、上述したように、線材が巻き回された収容軸がボビン(スプール)と平行に配置されているため、リトラクタの体格が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、体格の大型化を抑制できるウェビング巻取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のウェビング巻取装置は、ウェビングが引出されることで引出方向へ回転されるスプールと、前記スプールの軸心に沿って延在され、一端部が前記スプールに一体回転可能に係合されると共に、捩れ変形可能に構成された第1エネルギー吸収部材と、前記第1エネルギー吸収部材の他端部に一体回転可能に係合され、車両急減速時及び前記スプールが急激に引出方向へ回転した時の少なくも一方の時に作動して前記第1エネルギー吸収部材の引出方向への回転を阻止するロック機構と、前記スプールと同軸上に配置され、前記スプールが前記ロック機構に対して引出方向へ相対回転されることで前記スプールに連結されて前記スプールと共に引出方向へ回転される回転体と、長尺状の線材により構成され、一端部が前記回転体に係止されると共に、当該一端部から他端部に亘って前記回転体の外周部に巻き付けられた第2エネルギー吸収部材と、前記第2エネルギー吸収部材の一部を構成し、前記回転体の外周部から前記回転体の径方向外側へ引出されると共に、前記回転体の引出方向への回転時に前記回転体の径方向外側に配置されたしごき部によってしごかれて変形するエネルギー吸収部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載のウェビング巻取装置では、スプールの軸心に沿って第1エネルギー吸収部材が延在されている。この第1エネルギー吸収部材の一端部はスプールに一体回転可能に係合されており、第1エネルギー吸収部材の他端部には、ロック機構が一体回転可能に係合されている。これにより、スプール及びロック機構は第1エネルギー吸収部材を介して一体回転可能に連結されている。そして、車両急減速時及びスプールが急激に引出方向へ回転した時の少なくも一方の時にロック機構が作動して、第1エネルギー吸収部材の引出方向への回転が阻止される。これにより、スプールの引出方向への回転も阻止されるため、車両の緊急時におけるウェビングによる乗員に対する拘束力を向上できる。
【0009】
そして、ロック機構が作動した状態で、スプールに作用する引出方向への回転力が第1エネルギー吸収部材の機械的強度を上回ると、第1エネルギー吸収部材が捩れ変形する。したがって、第1のフォースリミッタ荷重(第1エネルギー吸収部材における耐捩れ変形荷重)以上でのスプールの引出方向への回転が許容されて、ウェビングの引張りに供される乗員の運動エネルギーを第1エネルギー吸収部材によって吸収できる。
【0010】
ここで、ウェビング巻取装置は回転体を備えており、回転体はスプールと同軸上に配置されている。この回転体には、長尺状の線材により構成された第2エネルギー吸収部材の一端部が係止されており、第2エネルギー吸収部材が、その一端部から他端部に亘って回転体の外周部に巻き付けられている。
【0011】
さらに、第2エネルギー吸収部材の一部がエネルギー吸収部とされており、エネルギー吸収部は回転体の外周部から回転体の径方向外側へ引出されている。そして、スプールがロック機構に対して引出方向への相対回転したとき(つまり、第1エネルギー吸収部が捩れ変形したとき)に、回転体がスプールに連結されてスプールと共に引出方向へ回転される。このときには、第2エネルギー吸収部材のエネルギー吸収部がしごき部によってしごかれて変形する。これにより、第2のフォースリミッタ荷重(第1エネルギー吸収部材における耐捩れ変形荷重と第2エネルギー吸収部材における耐変形荷重との合計)以上でのスプールの引出方向への回転が許容されて、ウェビングの引張りに供される乗員の運動エネルギーを第1エネルギー吸収部材及び第2エネルギー吸収部材によって吸収できる。
【0012】
以上請求項1に記載の発明では、上述のように、第2エネルギー吸収部材におけるエネルギー吸収部を除く大半が、スプールと同軸上に配置された回転体の外周部に沿って配置されるため、回転体がスプールと平行に配置された場合と比べて、ウェビング巻取装置の大型化を抑制できる。
【0013】
請求項2に記載のウェビング巻取装置は、請求項1に記載のウェビング巻取装置において、前記スプールには、前記スプールと前記回転体とを連結する連結部材を収容する収容部が形成され、前記回転体が、筒状に形成され且つ前記収容部に対して前記スプールの径方向外側に配置されている。
【0014】
請求項2に記載のウェビング巻取装置では、スプールに収容部が形成されており、当該収容に、スプールと回転体とを連結する連結部材が収容されている。そして、回転体が、筒状に形成されて、収容部に対してスプールの径方向外側に配置されている。これにより、スプールの軸方向におけるウェビング巻取装置の大型化を抑制できる。
【0015】
請求項3に記載のウェビング巻取装置は、請求項1又は請求項2に記載のウェビング巻取装置において、前記しごき部は、前記エネルギー吸収部に対して相対移動不能に構成された第1しごき部と、前記エネルギー吸収部に対して離間方向へ移動可能に構成された第2しごき部と、を含んで構成され、前記第2しごき部が切替機構に連結されて、前記第2しごき部の前記エネルギー吸収部に対する離間方向への移動が阻止されており、前記切替機構が作動することで前記第2しごき部の前記エネルギー吸収部に対する離間方向への移動が許容される。
【0016】
請求項3に記載のウェビング巻取装置では、しごき部が第1しごき部及び第2しごき部を有している。第1しごき部は第2エネルギー吸収部材のエネルギー吸収部に対して相対移動不能に構成されており、第2しごき部はエネルギー吸収部に対して離間方向へ移動可能に構成されている。そして、第2しごき部は切替機構に連結されて、第2しごき部のエネルギー吸収部に対する離間方向への移動が阻止されている。これにより、エネルギー吸収部を第1しごき部及び第2しごき部によってしごいて変形させることができる。一方、切替機構が作動すると、第2しごき部のエネルギー吸収部に対する離間方向への移動が許容されるようになっている。これにより、エネルギー吸収部を第1しごき部のみによってしごいて変形させることができる。したがって、第2のフォースリミッタ荷重を低荷重に切り替えることができる。
【0017】
請求項4に記載のウェビング巻取装置は、請求項3に記載のウェビング巻取装置において、前記第2しごき部は、前記エネルギー吸収部に対して離間方向へスライド可能に構成されたスライダに形成され、前記切替機構は、前記スライダに係合され、前記スライダの前記エネルギー吸収部に対する離間方向への移動を阻止するピストンと、前記スライダが挿入されたシリンダと、前記シリンダと連通され、作動することで前記シリンダにガスを供給して、前記ピストンをシリンダに沿って移動させて前記ピストンと前記スライダとの係合状態を解除させるガス発生器と、を含んで構成されている。
【0018】
請求項4に記載のウェビング巻取装置では、第2しごき部がスライダに形成されており、ピストンはシリンダ内に挿入されている。また、スライダが切替機構のピストンに係合されて、スライダのエネルギー吸収部に対する離間方向への移動が阻止されている。そして、ガス発生器が作動することでシリンダにガスが供給されて、ピストンがシリンダに沿って移動されて、ピストンとスライダとの係合状態が解除される。これにより、スライダをエネルギー吸収部から瞬時に離間させて、第2のフォースリミッタ荷重を低荷重に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載のウェビング巻取装置によれば、ウェビング巻取装置における体格の大型化を抑制できる。
【0020】
請求項2に記載のウェビング巻取装置によれば、スプールの軸方向におけるウェビング巻取装置の大型化を抑制できる。
【0021】
請求項3に記載のウェビング巻取装置によれば、第2のフォースリミッタ荷重を低荷重に切り替えることができる。
【0022】
請求項4に記載のウェビング巻取装置によれば、スライダをエネルギー吸収部から瞬時に離間させて、第2のフォースリミッタ荷重を低荷重に切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るウェビング巻取装置10は、車体に固定されるフレーム12と、フレーム12の内側に配置されたスプール20と、「第1エネルギー吸収部材」としてのトーションシャフト40と、を含んで構成されている。また、ウェビング巻取装置10は、ロック機構50、センサ機構60(
図2参照)、エネルギー吸収機構70、及び切替機構100を備えている。以下、それぞれの構成について説明する。
【0025】
(フレーム12について)
フレーム12は、フレーム本体14と側板16とを含んで構成されている。フレーム本体14は、車体に固定される板状の背板14Aを備えている。この背板14Aの幅方向一端(
図1の矢印C方向側の端)から側板14Bが略直角に延出されている。また、フレーム本体14は、背板14Aの上部(
図1の矢印E方向側の部分)と対向する連結片14Cを備えており、連結片14Cは、側板14Bの先端における上部から延出されている。この連結片14Cの先端部には、第1取付片14Dが形成されており、第1取付片14Dは側板14Bと対向するように背板14A側へ屈曲されている。さらに、背板14Aの幅方向他端からは第2取付片14Eが略直角に延出されており、第2取付片14Eは側板14Bと対向して配置されている。この第2取付片14Eの延出長さは側板14Bの延出長さよりも短く設定されており、第2取付片14Eは第1取付片14Dと面一に配置されている。
【0026】
側板16は、略矩形板状に形成されると共に、第1取付片14D及び第2取付片14Eと平行に配置されて、後述するボディ72を介して第1取付片14D及び第2取付片14Eに固定されている。この側板16には、円形状の配置孔16Aが形成されており、配置孔16Aの内周全体にはラチェット歯16B(内歯)が形成されている。
【0027】
(スプール20について)
スプール20は、略円筒形状に形成されて、背板14Aの幅方向を軸方向としてフレーム12の内側に配置されると共に、フレーム12に間接的に回転可能に支持されている。また、スプール20には、長尺帯状に形成されたウェビング30の長手方向一端部(基端部)が連結固定されている。そして、スプール20が巻取方向(
図1の矢印Aの方向)へ回転されることで、ウェビング30が自身の基端側からスプール20の外周部に層状に巻取られ、ウェビング30の長手方向他端部(先端部)側を引張ることで、スプール20が引出方向(
図1の矢印Bの方向)へ回転されて、ウェビング30がスプール20から引出されるように構成されている。
【0028】
図2に示されるように、スプール20の軸心部には、貫通孔22が貫通形成されている。そして、貫通孔22におけるスプール20の軸方向一端側(
図2の矢印C方向側)の部分には、従来周知のプリテンショナ機構32を構成するピニオン34の支持軸34Aが一体回転可能に嵌入されている。
図3に示されるように、ピニオン34の一端側には、ピニオン歯34Bが形成されており、ピニオン歯34Bはスプール20に対してスプール20の軸方向一方側(
図3の矢印C方向側)に配置されている。また、ピニオン34の一端部34Cは、プリテンショナ機構32よりもスプール20の軸方向一方側に突出されて、付勢機構36(
図2参照)の内部に配置されている。この付勢機構36は渦巻きばね(図示省略)を備えている。そして、渦巻きばねの渦巻き方向内側端がピニオン34の一端部34Cに固定されて、渦巻きばねの渦巻き方向外側端部は側板14B(フレーム12)に連結されており、渦巻きばねがスプール20を巻取方向側へ付勢している。
【0029】
図2に示されるように、スプール20の貫通孔22の内周部には、ピニオン34の支持軸34Aと隣接する位置において、後述するトーションシャフト40と係合する被係合部22Aが形成されており、被係合部22Aの内周部はスプール20の軸方向から見てスプライン状に形成されている。さらに、スプール20の軸方向他端部には、後述するFLロックパウル26を収容するための「収容部」としてのパウル収容部24が形成されている。このパウル収容部24は、貫通孔22に対してスプール20の径方向外側に配置されると共に、スプール20の径方向外側へ開放されている(
図3参照)。
【0030】
図1に示されるように、パウル収容部24内には、「連結部材」としてのFLロックパウル26が移動可能に収容されている。このFLロックパウル26は略三角形板状に形成されている。また、FLロックパウル26の一端部には、円柱状の誘導軸26Aが一体に形成されている。この誘導軸26Aは、スプール20の軸方向他方側(
図1の矢印D方向側)へ突出されて、後述するロックベース52の誘導溝52Cの一端部に移動可能に挿入されている(
図2参照)。また、
図3及び
図5にも示されるように、FLロックパウル26の一端部には、外周部において、ラチェット歯26Bが形成されている。そして、FLロックパウル26がスプール20のパウル収容部24内に収容された状態では、ラチェット歯26Bがパウル収容部24から露出されている(
図3参照)。
【0031】
(トーションシャフト40について)
図2に示されるように、トーションシャフト40は、スプール20と同軸上に配置されて、貫通孔22内に挿入されている。このトーションシャフト40の一端部(
図2の矢印C方向側の端部)には、第1係合部42が形成されている。この第1係合部42の外周部はスプライン状(詳しくは
図1参照)に形成されており、第1係合部42がスプール20の被係合部22Aに嵌入かつ係合されている。これにより、トーションシャフト40がスプール20に一体回転可能に係合されている。一方、トーションシャフト40の他端部は、スプール20に対してスプール20の軸方向他方側へ突出されて、後述するセンサ機構60のセンサカバー62に回転可能に支持されている。
【0032】
また、トーションシャフト40の他端側の部分には、後述するロック機構50のロックベース52と係合される第2係合部44が形成されている。この第2係合部44は、スプール20のパウル収容部24よりもスプール20の軸方向他方側に配置されており、第2係合部44の外周部がスプライン状(詳しくは
図1参照)に形成されている。さらに、トーションシャフト40における第1係合部42と第2係合部44との間の部分が第1エネルギー吸収部46とされており、第1エネルギー吸収部46は、断面円形を成すシャフト状に形成されている。そして、詳細については後述するが、第1エネルギー吸収部46が捩れ変形することで、ウェビング30の引張りに供される乗員の運動エネルギーを第1エネルギー吸収部46が吸収するように構成されている。
【0033】
(ロック機構50について)
図1に示されるように、ロック機構50は、ロックベース52とロックプレート54とを含んで構成されている。
図3にも示されるように、ロックベース52は略円筒形状に形成されて、スプール20に対してスプール20の軸方向他方側に配置されている。また、ロックベース52には、略円筒状の円筒軸52Aが一体に形成されており、円筒軸52Aは、ロックベース52と同軸上に配置されると共に、ロックベース52からスプール20側へ突出されている。さらに、ロックベース52の軸心部には、被係合孔52Bが形成されており、被係合孔52Bはロックベース52の軸方向から見てスプライン状に形成されている(
図3参照)。そして、被係合孔52B内にトーションシャフト40の第2係合部44が嵌入かつ係合されて、ロックベース52(ロック機構50)とトーションシャフト40とが一体回転可能に係合されている。また、この状態では、ロックベース52が、スプール20のパウル収容部24に対してスプール20の軸方向他方側に隣接して配置されている(
図2参照)。
【0034】
さらに、ロックベース52には、前述したFLロックパウル26を誘導(ガイド)するための誘導溝52C(
図3参照)が形成されている。この誘導溝52Cは、スプール20の軸方向から見て略S字形状に形成されると共に、スプール20側へ開放されており、FLロックパウル26の誘導軸26Aが誘導溝52Cの一端部に移動可能に挿入されている。
【0035】
そして、スプール20がロックベース52に対して引出方向へ相対回転することで、FLロックパウル26の誘導軸26Aが誘導溝52Cの一端部から他端部へ移動するようになっている。また、このときには、FLロックパウル26がスプール20の径方向外側へ移動して、後述するロックリング80のラチェット歯80BにFLロックパウル26のラチェット歯26Bが噛合するようになっている(
図5及び
図6参照)。
【0036】
図1に示されるように、ロックプレート54は、略矩形板状に形成されて、ロックベース52内に移動可能に配置されている。なお、ロックベース52に対してスプール20の軸方向他方側には、板状のプレートカバー56が設けられており、ロックプレート54におけるロックベース52の軸方向他方側(
図1の矢印D方向側)への移動がプレートカバー56によって制限されている。また、ロックプレート54の一端部には、円柱状の案内突起54Aが一体に形成されており、案内突起54Aは、ロックプレート54からスプール20とは反対側へ突出されている。この案内突起54Aは、プレートカバー56に形成された孔部56A内に挿入されると共に、後述するセンサ機構60を構成するVギヤ64の案内溝64A内に移動可能に挿入されている(
図2参照)。さらに、ロックプレート54の一端部には、ラチェット歯54Bが形成されており、ラチェット歯54Bは、前述したフレーム12における側板16のラチェット歯16Bに噛合可能に構成されている。
【0037】
(センサ機構60について)
図2に示されるように、センサ機構60は、フレーム12に対してスプール20の軸方向他方側に配置されている。センサ機構60はセンサカバー62を備えており、センサカバー62は、フレーム12側へ開放された略箱形状に形成されて、フレーム12に連結されている。また、センサカバー62内には、略円盤状のVギヤ64が設けられている。Vギヤ64は、スプール20と同軸上に配置されて、トーションシャフト40の他端部に回転可能に支持されている。このVギヤ64には、案内溝64Aが形成されており、案内溝64A内にロックプレート54の案内突起54Aが移動可能に挿入されている。
【0038】
このセンサ機構60は、車両の急減速時及びスプール20が急激に引出方向へ回転した時の少なくも一方の時に作動するようになっている。さらに、センサ機構60の作動時には、Vギヤ64の引出方向への回転が制限されて、スプール20(ロックベース52)がVギヤ64に対して引出方向へ相対回転されるようになっている。そして、ロックベース52がVギヤ64に対して引出方向へ相対回転すると、ロックプレート54の案内突起54AがVギヤ64の案内溝64A内を移動することで、ロックプレート54がロックベース52の径方向外側へ移動して、ロックプレート54のラチェット歯54Bがフレーム12のラチェット歯16Bに噛合するように構成されている。
【0039】
(エネルギー吸収機構70について)
図2に示されるように、エネルギー吸収機構70は、フレーム12とセンサ機構60との間に設けられている。そして、
図1に示されるように、エネルギー吸収機構70は、ボディ72と、「回転体」としてのロックリング80と、スライダ86と、「第2エネルギー吸収部材」としてのワイヤ90と、を含んで構成されている。
【0040】
ボディ72は、フレーム12側へ開放された略直方体箱状に形成されて、フレーム12の第1取付片14D及び第2取付片14Eに固定されている。また、ボディ72の底壁72Aには、前述したフレーム12の側板16がスプール20の軸方向他方側から締結固定されている。
【0041】
ボディ72の略中央部には、スプール20の軸方向他方側へ開放された凹部74が形成されている。この凹部74は、スプール20の軸方向から見て略円形状に形成されると共に、スプール20と同軸上に配置されている。また、凹部74の底壁74Aには、円形状の配置孔74Bが貫通形成されており、配置孔74Bはスプール20と同軸上に配置されている。そして、配置孔74B及び凹部74内にスプール20のパウル収容部24が配置されている。
【0042】
また、凹部74の底壁74Aには、その上部において、一対のしごき柱76,78が一体に形成されている。このしごき柱76,78は、柱状に形成されて、底壁74Aからスプール20の軸方向他方側へ突出されると共に、配置孔74Bの周方向に互いに離間して配置されている。また、
図5に示されるように、しごき柱76,78の外周部には、「しごき部」としての第1しごき部76A,78Aが形成されており、第1しごき部76A,78Aはスプール20の軸方向から見て上側へ凸となるように湾曲されている。さらに、
図4に示されるように、凹部74の側壁における上部には、後述するスライダ86が配置される連通孔74Cが形成されており、連通孔74Cによって凹部74内とボディ72内とが連通されている。
【0043】
さらに、
図1に示されるように、ボディ72の上部には、フレーム12とは反対側の部分において、後述する切替機構100のガスジェネレータ110を収容するためのガスジェネレータ収容部79が一体に形成されている。このガスジェネレータ収容部79は、略有底円筒状に形成されて、軸方向を側板14Bの延在方向(
図1の矢印G方向及びH方向)にして配置されている。
【0044】
ロックリング80は、略円筒状に形成されて、スプール20と同軸上に配置されている。また、ロックリング80は、ボディ72の凹部74内においてボディ72に回転可能に支持されると共に、スプール20のパウル収容部24に対してスプール20の径方向外側に配置されている。さらに、ロックリング80の外周部には、ロックリング80の軸方向一端部(
図1の矢印C方向側端部)において、リング状のフランジ部80Aが一体に形成されており、フランジ部80Aは、ボディ72の凹部74の内周面と対向して配置されている。そして、前述した一対のしごき柱76,78がフランジ部80Aに対してロックリング80の径方向外側に配置されている。
【0045】
また、ロックリング80の内周部には、ロックリング80の軸方向一端側の部分において、ラチェット歯80B(内歯)が形成されており、ラチェット歯80Bはロックリング80の全周に亘って形成されている。また、ラチェット歯80Bは、前述したFLロックパウル26のラチェット歯26Bと噛合可能に構成されている。具体的には、前述したようにスプール20がロックベース52に対して引出方向へ相対回転することで、FLロックパウル26がスプール20の径方向外側へ移動して、FLロックパウル26のラチェット歯26Bがロックリング80のラチェット歯80Bに噛合するようになっている(
図5及び
図6参照)。これにより、FLロックパウル26の作動時には、ロックリング80とスプール20とがFLロックパウル26によって連結されて、ロックリング80がスプール20と共に引出方向へ回転するように構成されている。
【0046】
さらに、ロックリング80の軸方向他端部には、後述するワイヤ90の係止フック92を係止するための係止溝82が形成されており、係止溝82は、ロックリング80の軸方向他方側へ開口されたスリット状に形成されている。また、ロックリング80の外周部は、後述するワイヤ90が巻き付けられるワイヤ取付面84とされており、ワイヤ取付面84は、ボディ72の凹部74の内周面と対向して配置されると共に、スプール20の軸方向から見てスプール20の外周部と同心円状を成している。
【0047】
スライダ86は、長手方向を上下方向(
図1の矢印E方向及び矢印F方向)とした略矩形柱状に形成されている。また、
図5にも示されるように、スライダ86は、ロックリング80の上側において、ボディ72内に収容されると共に、上下方向にスライド可能にボディ72の底壁72Aに支持されている。
【0048】
また、スライダ86の下端面(
図1及び
図5の矢印F方向側の面)は、「しごき部」としての第2しごき部86Aとされており、第2しごき部86Aは、スプール20の軸方向から見て、下側へ凸となる略円弧状に湾曲されている。さらに、スライダ86の下端部には、ボディ72の底壁72A側の部分において、ストッパ突起86Bが一体に形成されており、ストッパ突起86Bはスライダ86の第2しごき部86Aに対して下側へ突出されている。
【0049】
そして、
図5に示されるように、スライダ86の上端面が、後述するピストン108の先端部(他端部)における下面に当接(係合)されて、スライダ86の上側への移動が阻止されている。また、スライダ86の第2しごき部86Aが一対のしごき柱76,78間に配置されている(以下、この位置を「初期位置」という)。
【0050】
ワイヤ90は、長尺状の線材により構成されて、ロックリング80のワイヤ取付面84に取付けられている。具体的には、
図5に示されるように、ワイヤ90の長手方向一端部には、略U字形状に屈曲された係止フック92が形成されており、係止フック92の屈曲部がロックリング80の係止溝82内に挿入されて、係止フック92が係止溝82に係止されている。そして、ワイヤ90は、係止フック92(一端部)からワイヤ取付面84上に沿って巻取方向へ延びて、係止フック92(一端部)から長手方向他端部に亘ってワイヤ取付面84に巻き付けられている(詳しくは
図1参照)。また、ワイヤ取付面84にワイヤ90が巻き付けられた状態では、ワイヤ90が、ロックリング80の軸方向に沿って層状に配置されており、ワイヤ90の長手方向他端は開放されている。これにより、ワイヤ90がワイヤ取付面84と凹部74の内周面との間に配置されている。
【0051】
さらに、ワイヤ取付面84に巻き付けられたワイヤ90の一部が、ワイヤ取付面84からロックリング80の径方向外側へ引き出されて、一対のしごき柱76,78の第1しごき部76A,78Aとスライダ86の第2しごき部86Aとの間を通過するように屈曲されている。この引き出された部分は「エネルギー吸収部」としての第2エネルギー吸収部94とされており、第2エネルギー吸収部94は、第1しごき部76A,78A及び第2しごき部86Aに当接されて、スプール20の軸方向から見て略M字形状に屈曲されている。また、この状態では、
図4に示されるように、スプール20の軸方向(
図4の矢印C方向及び矢印D方向)においてストッパ突起86Bとワイヤ90とがオーバーラップしており、ワイヤ90におけるロックリング80の軸方向他方側(
図4の矢印D方向側)への移動がストッパ突起86Bによって制限されている。
【0052】
そして、
図5に示されるように、ロックリング80が引出方向(
図5の矢印B方向)へ回転することで、一対の第1しごき部76A,78A及び第2しごき部86Aによってワイヤ90の第2エネルギー吸収部94がしごかれて変形するようになっている。したがって、詳細については後述するが、エネルギー吸収機構70が作動するときには、ワイヤ90の第2エネルギー吸収部94がしごかれて変形すること及びトーションシャフト40の第1エネルギー吸収部46が捩れ変形することで、ウェビング30の引張りに供される乗員の運動エネルギーを第1エネルギー吸収部46及び第2エネルギー吸収部94が吸収するように構成されている。
【0053】
なお、ワイヤ90の第2エネルギー吸収部94はワイヤ取付面84からロックリング80の径方向外側へ引き出されて一対のしごき柱76,78に掛けられているため、ワイヤ90にはワイヤ90の長手方向に沿う引張荷重が作用している。このため、ロックリング80が引出方向へ回転するときには、一対のしごき柱76,78及びスライダ86によってしごかれたワイヤ90は、再びワイヤ取付面84上に巻き付けられるように構成されている。
【0054】
(切替機構100について)
図1に示されるように、切替機構100は、シリンダ102と、ピストン108と、「ガス発生器」としてのガスジェネレータ110と、を含んで構成されている。
【0055】
シリンダ102は、ロックリング80の上側においてボディ72に収容されている。また、シリンダ102は、略矩形筒状に形成されると共に、軸方向をボディ72のガスジェネレータ収容部79の軸方向と平行にして配置されている。さらに、シリンダ102の一端部(
図1の矢印H方向側端部)には、略筒状の筒状部104が一体に設けられおり、筒状部104は、シリンダ102からボディ72のガスジェネレータ収容部79側(スプール20の軸方向他方側)へ突出されて、シリンダ102内とガスジェネレータ収容部79内とを連通している。なお、シリンダ102に対してフレーム12側には、略矩形板状のサポートプレート106が設けられており、サポートプレート106は板厚方向をスプール20の軸方向にしてボディ72に締結固定されている。これにより、シリンダ102のフレーム12側への移動がサポートプレート106によって制限されている。
【0056】
ピストン108は、シリンダ102の軸方向を長手方向にした略直方体ブロック状に形成されている。このピストン108の一端部(
図1の矢印H方向側端部)には、略立方体状のベース部108Aが一体に形成されており、ベース部108Aはシリンダ102内にシールされた状態で挿入されている。そして、後述するガスジェネレータ110が作動することによってシリンダ102内にガスが供給されて、ピストン108がシリンダ102の他端側(
図1の矢印G方向側)へ移動するように構成されている。
【0057】
また、ピストン108の長手方向中間部には、切替用凹部108Bが形成されており、切替用凹部108Bはスプール20の軸方向一方側(サポートプレート106側)へ開放された凹状に形成されると共に、上下方向(
図1の矢印E方向及び矢印F方向)に貫通されている。
【0058】
そして、
図6に示されるように、ピストン108がシリンダ102の他端側へ移動してピストン108の切替用凹部108Bがスライダ86の上側に配置されたときには、ワイヤ90からスライダ86に作用する上側への押圧力によってスライダ86が初期位置から上側(
図6の矢印E方向側)へスライドして、スライダ86がピストン108の切替用凹部108B内に挿入されるようになっている。これにより、この状態のときには、ワイヤ90が、一対のしごき柱76,78の第1しごき部76A,78Aのみによってしごかれて変形するようになっている。
【0059】
図1に示されるように、ガスジェネレータ110は、略円柱状に形成されており、ボディ72のガスジェネレータ収容部79内に収容されている。このガスジェネレータ110は、車両の制御装置(図示省略)に電気的に接続されている。そして、制御装置の制御によってガスジェネレータ110が作動すると、ガスジェネレータ110がガスを発生すると共に、当該ガスがシリンダ102内に供給されて、ピストン108がシリンダ102の他端側へ移動するように構成されている。
【0060】
また、制御装置は、図示しない体格検出手段と電気的に接続されており、体格検出手段は、例えば、荷重センサやベルトセンサやシートポジションセンサ等によって、座席に着座した乗員の体格を検出するようになっている。具体的には、荷重センサが、車両の座席に作用する荷重を検出して、検出された荷重によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。また、ベルトセンサが、スプール20からのウェビング30の引出量を検出して、検出された引出量によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。さらに、シートポジションセンサは、車両の座席の前後方向へのスライド位置を検出する位置検出センサや車室に設けられたカメラサンサによって構成されており、シートポジションセンサで検出された座席の位置によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。
【0061】
さらに、制御装置は、図示しない衝突検出手段と電気的に接続されている。衝突検出手段は、例えば、車両の加速度(特に急減速)を検知する加速度センサや車両前方の障害物までの距離を検出する距離センサ等によって、車両の衝突を予知する。また、予め定められた基準値以上の衝突加速度を加速度センサが検知することで、車両が衝突したことを衝突検出手段が検出するように構成されている。
【0062】
そして、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段からの信号に基づいて、車両が衝突したと判定した場合に、制御装置により切替機構100のガスジェネレータ110が作動するように構成されている。
【0063】
次に本実施の形態における作用及び効果について説明する。
【0064】
まず、ウェビング30の先端側を引張ることで、ウェビング30がスプール20から引出されて乗員の身体に装着される。
【0065】
(ロック機構50の作動について)
ウェビング30が乗員の身体に装着された状態で、車両が急減速した時及びスプール20が急激に引出方向へ回転した時の少なくも一方の時には、Vギヤ64の引出方向への回転が制限されて、スプール20(ロックベース52)がVギヤ64に対して引出方向へ相対回転される。このときには、ロックプレート54の案内突起54AがVギヤ64の案内溝64A内を移動することで、ロックプレート54がロックベース52の径方向外側へ移動して、ロックプレート54のラチェット歯54Bがフレーム12のラチェット歯16Bに噛合する。このため、ロックベース52の引出方向への回転が阻止されて、トーションシャフト40及びスプール20の引出方向への回転が阻止される。これにより、スプール20からのウェビング30の引出しが制限されて、車両前方へ移動しようとする乗員の身体がウェビング30によって拘束される。その結果、乗員の身体をウェビング30によって拘束できる。
【0066】
(トーションシャフト40によるエネルギー吸収について)
上記のようにロック機構50が作動した状態で、乗員の身体が更に大きな力でウェビング30を引張ることでスプール20の引出方向への回転力がトーションシャフト40の第1エネルギー吸収部46の耐捩れ荷重(耐変形荷重)を上回ると、第1エネルギー吸収部46が捩れ変形する。これにより、第1のフォースリミッタ荷重(第1エネルギー吸収部46を捩れ変形させるための荷重)以上でのスプール20の引出方向への回転が許容されると共に、ウェビング30の引張りに供される乗員の運動エネルギーが第1エネルギー吸収部46によって吸収される。その結果、ウェビング30による乗員の胸部への負荷(負担)を軽減できる。
【0067】
(エネルギー吸収機構70の作動について)
トーションシャフト40の第1エネルギー吸収部46が捩れ変形することで、スプール20がロック機構50(ロックベース52)に対して引出方向へ相対回転する。スプール20がロックベース52に対して引出方向へ相対回転するときには、スプール20に設けられたFLロックパウル26の誘導軸26Aが誘導溝52Cの一端部から他端部へ移動して、FLロックパウル26がスプール20の径方向外側へ移動する。これにより、FLロックパウル26のラチェット歯26Bがロックリング80のラチェット歯80Bに噛合して、ロックリング80とスプール20とがFLロックパウル26によって連結される(
図5参照)。したがって、ロックリング80がスプール20と一体に引出方向へ回転可能になる。
【0068】
そして、スプール20の引出方向への回転力がトーションシャフト40の第1エネルギー吸収部46の耐捩れ荷重(耐変形荷重)及びワイヤ90の第2エネルギー吸収部94の耐変形荷重を上回ると、ロックリング80が引出方向(
図5の矢印B方向)へ回転する。つまり、ワイヤ90の第2エネルギー吸収部94が、一対のしごき柱76,78における第1しごき部76A,78A及びスライダ86の第2しごき部86Aによってしごかれて変形する。これにより、第2のフォースリミッタ荷重(第1エネルギー吸収部46を捩れ変形させるための荷重とワイヤ90の第2エネルギー吸収部94をしごいて変形させる荷重との合計)以上でのスプール20の引出方向への回転が許容されると共に、ウェビング30の引張りに供される乗員の運動エネルギーが第1エネルギー吸収部46及び第2エネルギー吸収部94によって吸収される。
【0069】
(切替機構100の作動について)
切替機構100は、車両の制御装置によって作動されるようになっている。また、制御装置は、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値以上であるか否かを判定すると共に、衝突検出手段からの信号に基づいて、車両が衝突したか否かを判定している。そして、乗員の体格が予め定められた基準値以上であると制御装置が判定した場合では、ガスジェネレータ110は作動しないため、
図5に示されるようにスライダ86が初期位置に配置された状態でスライダ86の第2しごき部86Aがワイヤ90の第2エネルギー吸収部94を下側へ押圧している。したがって、乗員の体格が予め定められた基準値以上である場合には、上述した第2のフォースリミッタ荷重以上でのスプール20の引出方向への回転が許容される。
【0070】
一方、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段の信号に基づいて、車両が衝突したと判定した場合には、制御装置の制御によりガスジェネレータ110が作動する。
【0071】
ガスジェネレータ110が作動すると、ガスジェネレータ110からシリンダ102内にガスが供給される。シリンダ102内にガスが供給されると、ピストン108がシリンダ102の他端側へ移動する。これにより、
図6に示されるように、ガスジェネレータ110の作動によってピストン108がシリンダ102の他端側へ移動してピストン108の切替用凹部108Bがスライダ86の上側に配置される。そして、ピストン108の切替用凹部108Bがスライダ86の上側に配置されたときには、ワイヤ90からスライダ86に作用する上側への押圧力によってスライダ86が上側(第2エネルギー吸収部94に対して離間する方向)へスライドして、スライダ86がピストン108の切替用凹部108B内に挿入される。これにより、この状態のときには、ワイヤ90の第2エネルギー吸収部94が一対のしごき柱76,78のみによってしごかれて変形するため、第2のフォースリミッタ荷重が上述した荷重に対して低荷重に切替わる。したがって、乗員の体格が予め定められた基準値未満である場合には、低荷重に設定された第2のフォースリミッタ荷重以上でのスプール20の引出方向への回転が許容される。
【0072】
ここで、エネルギー吸収機構70のロックリング80はスプール20と同軸上に配置されている。このロックリング80には、ワイヤ90の係止フック92(一端部)が係止されており、ワイヤ90が、係止フック92からワイヤ90の他端部に亘ってロックリング80のワイヤ取付面84(外周部)に巻き付けられている。このため、ワイヤ90における第2エネルギー吸収部94を除く大半が、スプール20と同軸上に配置されたロックリング80のワイヤ取付面84に沿って配置されるため、ロックリング80がスプール20と平行に配置された場合と比べて、ウェビング巻取装置10における体格の大型化を抑制できる。
【0073】
また、ロックリング80は、略円筒状に形成されて、スプール20のパウル収容部24に対してスプール20の径方向外側に配置されている。これにより、スプール20の軸方向におけるウェビング巻取装置10の大型化を抑制できる。
【0074】
さらに、エネルギー吸収機構70は、しごき柱76,78に形成された第1しごき部76A,78Aと、スライダ86に形成された第2しごき部86Aと、を有している。そして、上述したように、切替機構100が作動することで、スライダ86(第2しごき部86A)が第2エネルギー吸収部94に対して離間方向へ移動される。これにより、スライダ86(第2しごき部86A)が移動することで、第2エネルギー吸収部94をしごいて変形させるための荷重が低くなるため、乗員の体格に応じて第2のフォースリミッタ荷重を切り替えることができる。
【0075】
さらに、上述したようにガスジェネレータ110が作用することで、スライダ86とピストン108との係合状態が解除されて、スライダ86の第2エネルギー吸収部94に対する離間方向への移動が許容される。これにより、スライダ86を第2エネルギー吸収部94から瞬時に離間させて、第2のフォースリミッタ荷重を切り替えることができる。