特許第6127044号(P6127044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127044
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】電気機械方式取り外し可能把握装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 45/07 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   A47J45/07 A
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-519600(P2014-519600)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-522690(P2014-522690A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2012051575
(87)【国際公開番号】WO2013007927
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】1156378
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセリン ボウネル
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル モンジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ ルイ エラダ
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−528871(JP,A)
【文献】 特開2011−079070(JP,A)
【文献】 特開2008−061861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 45/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品調理容器(24)用の取り外し可能把握装置(1)であって、把握体(7)と、調理容器(24)に対して接続および接続解除が可能な固定手段と、電気エネルギー発生源(6)とを備える取り外し可能把握装置(1)において、
− 前記電気エネルギー発生源(6)から電源が供給される電気機械装置(5、5a、5b、5c)であって、機械装置を作動させて、それにより、該機械装置の少なくとも一部を移動させるように構成された電気機械装置(5、5a、5b、5c)と、
− 前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)の運転および停止を制御するための制御手段(4、12、22、56)と
− 前記固定手段を閉位置にロックするためのロック手段(21)であって、前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)で形成されるロック手段(21)と、
− 前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)により駆動され前記固定手段を作動させるように成された駆動装置(3)と
を備え、
前記固定手段が、コレットを形成する2つの爪(2a、2b)を備え、前記2つの爪(2a、2b)のうちの少なくとも1つの爪(2a)が、前記把握体(7)に対して可動の可動爪(2a)であり、前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)により駆動され、および、
前記駆動装置(3)が、電気モーター(5)により回転駆動されるねじ付きロッド(8)と、前記可動爪(2a)に固設され、前記ねじ付きロッド(8)が噛合するねじ付き穴を具備した可動要素(9)とを備え、前記ねじ付きロッド(8)の回転が、前記ねじ付きロッド(8)に沿った前記可動要素(9)の平行移動および前記可動爪(2a)の平行移動を発生させる、ことを特徴とする取り外し可能把握装置(1)。
【請求項2】
前記機械装置が前記固定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項3】
前記把握体(7)から分離可能であり前記機械装置を含む取り外し可能モジュール(35)を備え、前記把握体(7)は、前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)および前記電気エネルギー発生源(6)を備えることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項4】
前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)が電気モーター(5)を備えることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項5】
前記可動要素(9)の前記ねじ付きロッド(8)および前記ねじ付き穴が、0.65mmないし0.85mmのピッチを有することを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項6】
前記ロック手段(21)が、前記可動爪(2a)のロックが解除される休止状態と前記可動爪(2a)をロックする作動状態との間で切り換わることができる電磁石を備えることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項7】
前記ロック手段(21)が、ケージ(14)内で可動な2つの挟み爪(13a、13b)を備え、前記2つの挟み爪(13a、13b)が、直角方向に前記可動爪(2a)を延長するアーム(15)の両側に配設され、前記ケージ(14)が、開放位置と、前記ロック手段(21)が閉位置で前記可動爪(2a)を固定するロック位置との間で前記可動爪(2a)の前記アーム(15)に沿って可動であることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項8】
前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)が、前記コレットが開位置にある休止状態と、前記コレットを閉位置に保持する作動状態との間で切り換わることができる電磁石(5a)を備えることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項9】
前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)が、コレットを形成する2つの爪(2a、2b)の一方に連結されたピストン(47)を含む電気シリンダー(5b)を備え、前記2つの爪(2a、2b)が、前記コレットが閉位置にある後退状態と、前記コレットが開位置にある展開状態との間で可動であることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項10】
前記電気機械装置(5、5a、5b、5c)が、遠心要素(36)の回転を発生させるサーボモーター(5c)を備え、遠心要素(36)が、コレットを形成する前記2つの爪(2a、2b)の移動を発生させることを特徴とする請求項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項11】
前記制御手段(4、12、22、56)が、前記調理容器(24)に触れてあるいは容器のごく近傍に取り外し可能把握装置(1)が存在することを検出するためのセンサー(22)を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項12】
前記取り外し可能把握装置(1)の外部の電気装置に電源を供給するため、または前記取り外し可能把握装置(1)の外部電源を経由して前記電気エネルギー発生源(6)を再充電するために、前記電気エネルギー発生源(6)に接続された電磁接続手段を備えることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項13】
前記電磁接続手段が、前記把握体(7)内に形成される空洞(58)を囲む2次誘導コイル(57)を備え、前記空洞(58)内に、再充電ベース(34)上に設けられた1次誘導コイルが挿入されるようになることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【請求項14】
物理的パラメーターの測定手段、データ表示手段(39)、容器照明手段(40)、および/または前記電気エネルギー発生源(6)から電源が供給される無線通信手段を備えることを特徴とする請求項1から1のいずれか一項に記載の取り外し可能把握装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調理容器用の取り外し可能把握装置に関する。
【背景技術】
【0002】
取り外し可能把握装置、すなわち取り外し可能な取っ手は、鍋またはフライパンのような調理器具を把握するのに用いられる。取り外し可能把握装置は、調理器具を使用する際、その調理器具に一時的に固定し、かつそれの保管を容易にするために調理器具から外すこともできる。
【0003】
側壁を備える調理容器用の取り外し可能把握装置を開示する特許文献1が知られている。把握装置はコレットを形成する2つの爪を備え、そのうちの可動爪は、開位置と、コレットを形成する2つの爪が調理器具の側壁を挟むような閉位置との間で他方の爪に対し平行移動することができる。把握装置は、コレットを形成する爪を開位置と閉位置との間で移動させるよう成された移動手段も備える。移動手段は、遠隔位置と、把握体の内部に格納された位置との間で旋回可能に把握体上に取り付けられるレバーを備える。ロッドを形成するブレードはレバーと可動爪の間を延び、ユーザーが手動でレバーが旋回させると可動爪を平行移動させるよう成されている。レバーを遠隔位置から格納位置まで旋回させるためには、ユーザーは比較的大きな力をそれに与える必要がある。さらに、把握装置のロックを解除するためには、ユーザーはロック解除ボタンを押すとともにレバーが離れるようレバーを締め付けないようにする必要がある。この操作は、ロック解除のため一方の手でロック解除ボタンを押し、もう一方の手で取っ手を保持するためにユーザーは両手を使わなければならず、実用的ではない。
【0004】
さらに、先行技術のそのような取り外し可能取っ手では、たとえば野菜の混合のようなその他の機能を提供することができない。ユーザーは、調理容器内で野菜を混合する場合には、ミキサーなど追加の道具を用意する必要があり、それにより道具を整頓する際の保管およびスペースに関する問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0769263号明細書
【特許文献2】欧州特許第1991098号明細書
【特許文献3】欧州特許第2007260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明は、これらの欠点を解決し、より使いやすく、より安全で、多機能であり、スペースの問題を解決することが可能な取り外し可能把握装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、食品調理容器用の取り外し可能把握装置であって、把握体と、調理容器に対して接続および接続解除が可能な固定手段と、電気エネルギー発生源とを備える取り外し可能把握装置に関する。
【0008】
本発明によれば、取り外し可能把握装置は、
− エネルギー発生源から電源が供給され電気装置(の少なくとも一部)を作動させるように成された電気機械装置と、
− 電気機械装置の運転および停止を制御するための制御手段と
を備える。
【0009】
したがって本発明は、使用がより容易で、コレットを形成する爪を以前より少ない力で作動させることができる取り外し可能把握装置を提供する。それらの開閉は自動で行われる。コレットを形成する爪と調理容器の側壁との間のあそびが少なくなる。したがって安全性が向上する。また、本取り外し可能把握装置は、先行技術による取っ手では不可能な追加的機能も有することができるので、調理に対し支援を提供することができる。本取り外し可能把握装置の多機能性により、複数の調理道具を使わなくとも一台だけで足りるため、道具の保管の際、スペースを節約することができる。
【0010】
本発明のその他の特徴および長所は、完全に非限定的例として示し添付の図面を参照して行う以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による、開位置における取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図2】本発明の一実施形態による、閉位置における取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図3】可動爪のロック手段を備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図4】本発明の別の実施形態による、開位置の電磁石を備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図5】閉位置におけるこの別実施形態による取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図6】接点を具備する取り外し可能把握装置の斜視図である。
図7】1次誘導コイルを備える再充電底部上の再充電位置に2次誘導コイルを具備する取り外し可能把握装置を示す図である。
図8】調理器具上への把握装置の設置を検出するためのセンサーを備える取り外し可能把握装置を示す図である。
図9】位置決めセンサーの詳細を示す図である。
図10】本発明の別の実施形態によるシリンダーを備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図11】本発明の別の実施形態によるサーボモーターを備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図12】開位置におけるサーボモーターおよび可動爪の上面略図である。
図13】閉位置におけるサーボモーターおよび可動爪の上面略図である。
図14】本発明の別の実施形態による取り外し可能モジュールを備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図15】表示スクリーンを備える取り外し可能把握装置の上面図である。
図16】ダイオードを備える取り外し可能把握装置の上面図である。
図17】容器上に固定され、持ち上げ位置における蓋持ち上げ手段を備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図18】持ち上げ位置における蓋持ち上げ手段を有するこの取り外し可能把握装置の斜視図である。
図19】容器上に固定され、休止位置における蓋持ち上げ手段を備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図20】休止位置における蓋持ち上げ手段を有するこの取り外し可能把握装置の斜視図である。
図21】クリーニングブラシを備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図22】可動爪が把握体の可動前部で形成され、前記可動爪が閉位置にある、取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図23】可動爪が開位置にあるこの取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
図24】ロック手段として電磁石を備える取り外し可能把握装置の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
取り外し可能把握装置1は、把握体7と、調理容器24に対して接続および接続解除が可能な固定手段と、電気エネルギー発生源6とを備える。取り外し可能把握装置1は、エネルギー発生源6から電源が供給され機械装置を作動させるように成された電気機械装置5、5a、5b、5cと、電気機械装置5、5a、5b、5cの運転および停止を制御するための制御手段4、12、22、56とを備える。
【0013】
固定手段は、たとえば以下で説明するような手動または電動のコレットタイプの可動爪を備えることができる。変形形態においては、固定手段は、取り外し可能把握手段1に固設され調理容器24の側壁25上に設けられた孔に挿入されるように成されたフックを備えことができる。また、たとえばねじ−ナットシステムのような他の固定手段も可能である。
【0014】
機械装置は固定手段を備えるのが好ましい。取り外し可能把握手段1は、電気機械装置5、5a、5b、5cにより駆動され固定手段を作動させるように成された駆動装置3を備える。
【0015】
固定手段は、コレットを形成する2つの爪2a、2bであって、少なくとも一方が他方に対して可動であり駆動装置3によって駆動される、爪を備えることができる。固定手段は、調理容器24の側壁25、または側壁25に固設されたクランプなど容器の他の部分、に固定することができる。
【0016】
図1は、本発明の可能な一実施形態による、開位置における取り外し可能把握装置1の長手方向断面図である。
【0017】
この実施形態においては、機械手段は固定手段を備える。固定手段は、コレットを形成する2つの爪2a、2bであって、開位置と、コレットを形成する2つの爪2a、2bが調理器具すなわち調理容器24の側壁25を挟むように成された閉位置との間で相互に平行移動が可能である、爪を備える。取り外し可能把握装置1はまた、コレットを形成する爪2a、2bの少なくとも一方を移動させるための駆動装置3、駆動装置3を駆動するための電気機械装置5、5a、5b、5c、電気機械装置5、5a、5b、5cに電源を供給するための電気エネルギー発生源6、および電気機械装置5、5a、5b、5cを制御するための制御手段4、12、22、56を備える。
【0018】
取り外し可能把握装置1は、駆動装置3、電気エネルギー発生源6および制御手段4、12、22、56が格納される取っ手を形成する把握体7を備える。把握体7は長形を有し、長手方向(X)に延びる。
【0019】
コレットを形成する2つの爪2a、2bは取り外し可能把握装置1の前端に配設され、電気エネルギー発生源6は取り外し可能把握装置1の後端の近傍に配設される。制御手段4、12、22、56、電気機械装置5、5a、5b、5cおよび駆動装置3は、コレットを形成する2つの爪2a、2bと電気エネルギー発生源6との間に配設される。その他の配置も可能である。電気機械装置5、5a、5b、5c、駆動装置3、コレットを形成する2つの爪2a、2bおよび電気エネルギー発生源6は、長手方向(X)にほぼ一列に並び、ユーザーが調理容器を持ち上げる際把握することができる充分に長形のコンパクトな取っ手を提供する。
【0020】
図1から図3の例においては、固定手段は、長手方向(X)において把握体7に対し平行移動が可能なただ1つの可動爪2aと、把握体7に固設された固定爪2bとを備える。可動爪2aは、容器24の側壁25の内表面と接触している内部接触表面を有する爪である。変形形態においては、コレットを形成する2つの爪2a、2bは長手方向(X)および反対方向に移動可能である。
【0021】
把握装置は、調理道具(鍋、フライパン、オーブン皿、…)タイプであり、通常、底部およびスカートと呼ばれる側壁25を含む調理容器24に、取り外し可能な方法で固定される。側壁25は、注ぎ口を形成する湾曲縁26をその上部に持つことができる。以下の例は、外側に湾曲した縁26を備える側壁25を示す。固定爪2bは把握体7で形成される。より正確には、把握体7は、容器24の側壁25の外表面と接触するよう成された前部接触表面17を備える。前部接触表面17は、側壁25の外表面、より正確には、調理容器24の湾曲縁26の外表面の形状の相補形を有する。より具体的には、前部接触表面17は、把握体7の内部側に湾曲した部分19により延長された平面部分18を有する。把握体7の材質はベークライトとするのが好ましい。取り外し可能取っ手1が調理容器24に固定される際、それは調理容器24の側壁25の接平面に対しほぼ直角である。可動爪2aは、側壁25の内表面、より正確には、調理容器24の湾曲縁26の内表面の形状の相補形を有する。
【0022】
変形形態においては、取り外し可能把握装置1の、コレットを形成する2つの爪2a、2bは、湾曲縁がない直線側壁上に固定されるようにすることができる。
【0023】
可動爪2aは、把握体7内に設けられたスライドウェイ27内を滑動するアーム15により延長される。アーム15は長手軸方向(X)に延びる。アームは扁平形を有する。
【0024】
電気機械装置5、5a、5b、5cは、たとえば電気モーター5、電磁石5a、サーボモーター5c、空圧シリンダー、または電気シリンダー5bを備えることができる。
【0025】
好ましくは、電気機械装置5、5a、5b、5cは、図1から図3に示すように、電気エネルギー発生源6から電流が供給され回転駆動されるシャフト20を有する電気モーター5である。電気モーター5は減速ギアを備えるのがより好ましい。電気モーター5の回転速度は少なくとも340rpmであり、好ましくは360rpmである。モーターのトルクは少なくとも80mN/mであり、好ましくは100mN/mである。
【0026】
駆動装置3は、開位置と閉位置の間の可動爪2aの平行運動を駆動するため、電気モーター5の回転運動を、可動爪2aに固設された第2伝達手段9に伝達するよう成された第1伝達手段8を備える。
【0027】
可能な変形形態によれば、第1伝達手段8は、電気モーター5により回転駆動されるねじ付きロッド8を備える。第2伝達手段9は、ねじ付きロッド8が螺入されるねじ付き穴を具備する可動要素9を備える。ねじ付きロッド8の回転により、これに沿った可動要素9の平行移動が生じ、その結果、開位置と閉位置との間での可動爪2aの移動が生じる。ねじ付きロッド8はウォームギアとすることができる。ねじ付きロッド8は電気モーター5のシャフト20に連結される。ねじ付きロッド8、シャフト20、およびコレットを形成する可動爪2a、2bはほぼ長手軸方向(X)に一列に配置される。ねじ付きロッド8は回転においては可動であるが、平行移動においては不動である。
【0028】
可動要素9のねじ付きロッド8およびねじ付き穴は、可動爪2aが閉位置にある時、この可動爪の移動を阻止するため、0.65mmないし0.85mmのピッチを有する。好ましくはピッチは0.75mmとする。
【0029】
例として、ねじ付きロッド8に沿った可動要素9の10mmの横方向移動量に対応して、閉位置と開位置の間の可動爪2aの行程が10mmの場合、モーターの速度は360rpmであり、可動要素36のねじ付きロッド8およびねじ付き穴のピッチは0.75mmである。この構成により、可動爪2aが閉位置にある時、それの移動を効果的に阻止することができる。可動要素9はたとえばナットとすることができる。
【0030】
変形形態においては、駆動装置3は、ギアシステム(ピニオン/ラックまたはテーパー歯車、円筒形歯車)、ボールシステム(ボールねじ)、プーリー、ベルト、スプロケット、チェーン、摩擦伝動、またはクランクシャフト/カムを備えることができる。
【0031】
可動爪2aはたとえばステンレス製とすることができる。可動爪2aは、スライドを形成し把握体7の内部にて延伸する直線のアーム15により延長される。このアーム15は、可動爪2aの閉位置と開位置の間の把握体7の中に設けられたハウジング27内を滑動する。第2伝達手段9、より正確には可動要素9はこのアーム15に固設される。図1から図3の例においては、可動要素9はアーム15に固定される。
【0032】
第2伝達手段9は、可動爪2aの開きを制限するため把握体7上に設けられたカウンターストッパー11と接触するようになるストッパー10を備える。図1から図3の例においては、可動要素9上にストッパー10が設けられ、それの側表面により形成される。可動要素9は全体として円筒形を有し、その前部側表面は環状形を有する。同様に把握体7のカウンターストッパー11は円筒形を有する。カウンターストッパー11はねじ付きロッド8の前端の近傍に位置決めされ、それを囲む。可動爪2aの開位置はカウンターストッパー11がストッパー10と接触することにより制限される。可動爪2aの閉位置は、それ自体も固定爪2bと接触する調理容器24の側壁25に可動爪2aが接触することにより制限される。
【0033】
図3においては、可動爪2aのアーム15は、取り外し可能把握装置1のほぼ中央まで延びる。
【0034】
取り外し可能把握装置1は、固定手段を閉位置でロックするためのロック手段21を備える。この例においては、固定手段は2つの爪2a、2bを備える。ロック手段21により可動爪2aを閉位置にロックすることができる。挟まれた調理道具の中には大きな負荷がかかるので、可動爪2aがたとえば閉位置にある時、ロック手段21により、それが離れることを完璧に防止することができる。ロック手段21により、取り外し可能把握装置1の安全化をはかることができる。またロック手段21により、ねじ付きロッド8のピッチを大きくすること、すなわち可動爪2aの閉動作時間(またはねじ付きロッドの回転速度)を少なくすること、および締め付けトルクを増すことが可能になる。したがってねじ付きロッド8ではなくロック手段21により安全機能がもたらされる。
【0035】
可能な変形形態においては、ロック手段21は、把握体7の中において、長手方向(X)において開放位置と、それらが可動爪2aをその閉位置で固定するロック位置との間で平行移動可能で取り付けられる。
【0036】
ロック手段21は、挟み手段13a、13b、および挟み手段13a、13bが収納されるケージ14を備える。ケージ14は可動爪2aを囲む。2つの挟み爪13a、13bは可動爪2aのアーム15の両側に配設され、挟み動作により可動爪2aを固定するよう成されている。ケージ14は可動爪2aのアーム15の端部の近傍に位置決めされる。鋏み手段13a、13bは、回動自在にケージ14内に取り付けられるシリンダーとすることができる。ケージ14は開放位置からロック位置まで長手方向(X)に移動することができる。ロック手段21は機械で作動する。ロック手段21は、把握体上に配置されたボタンをユーザーが押すと作動する。
【0037】
別の変形形態によれば、ロック手段21は、固定手段を閉位置でロックするための電気機械的固定手段5、5a、5b、5cで形成される。
【0038】
可能な実施例においては、取り外し可能把握装置1は、電気エネルギー発生源6から電源が供給される電気機械装置、および電気エネルギー発生源6(図示せず)から電源が供給される電磁石で形成されたロック手段21を備える。電磁石は取り外し可能把握装置1の後端の近傍に配設される。電磁石は、可動爪2aに固設された、より正確には、アーム15の端部に固定された金属板と協動する。可動爪2aが閉位置にある時、電磁石は、板を引き寄せ電磁石に押圧するよう作動し、その結果、可動爪2aは閉位置でロックされる。電磁石は、可動爪2aのロックが解除される休止状態と、電磁石が可動爪2aをロックする作動状態との間で切り換わることができる。
【0039】
図24に示す別の変形形態においては、ロック手段21は、電気エネルギー発生源6から電源が供給される電磁石で形成され、取り外し可能把握装置1は、たとえば特許文献2において記載されているような機械的固定手段を備える。他の機械的固定手段も使用可能である。
【0040】
対面する固定爪2bに対し可動爪2aを移動させるために、ボディー7に対し長手方向61に平行移動可能に取り付けられるスライド60と、第1および第2旋回ロッド62、63が用いられる。第2ロッドは可動爪2aに直接作用する。反転可能なようにボディー7に取り付けられた操作ボタン64により第2ロッド63が駆動され、その結果、終端に爪2aがあるロッド66の開口部を通る爪65を経由してローラーチェーン60、62、63が駆動される。特許文献3にはさらに詳しい説明がある。
【0041】
電磁石は取り外し可能把握装置1の後端の近傍に配設される。それは、可動爪2aに固設された金属板28と協動する。より正確には、金属板28はアーム59に固定され、アーム自体もスライドに連結されている。可動爪2aが閉位置にある時、電磁石は、板28を引き寄せ電磁石に押圧するよう作動し、その結果、可動爪2aは閉位置でロックされる。電磁石は、可動爪2aのロックが解除される休止状態と、電磁石が可動爪2aをロックする作動状態との間で切り換わることができる。
【0042】
変形形態においては、ロック手段21はナックルジョイントすなわち反転不可ホイールを備えることができる。
【0043】
制御手段4、12、22、56は、図6に示し、把握体7の外部からアクセス可能な制御ボタン56と、制御ボタン56および電気機械装置5.5a、5b、5cに接続された電子回路(図示せず)とを備える。図1から図3の例においては、制御ボタン56は取り外し可能把握装置1の下に配設される。ユーザーが制御ボタンを押すと、電子回路に信号が送信され、電子回路は電気モーター5の回転を制御する。
【0044】
制御手段4、12、22、56は、把握体7の外部からアクセス可能であって電気モーター5の回転方向を手動で選択するためのスイッチ12を備えることができる。
【0045】
第一回転方向は可動爪2aの開動作専用である。その反対の第二回転方向は可動爪2aの閉動作専用である。たとえばスイッチ12により可動爪2aの閉動作専用の回転方向があらかじめ選択されている時には、制御ボタン56を押すことにより、この回転方向への電気モーター5の回転および可動爪2aの閉動作が生じる。
【0046】
図15の例では、制御手段4、12、22、56は2つのスイッチ12を備える。各スイッチ12は取り外し可能把握装置1の側壁のうちの1つの上に配設される。
【0047】
変形形態においては、図8および図9に示すように、制御手段4、12、22、56は、調理容器24に触れてあるいは調理容器のごく近傍に取り外し可能把握装置1が存在することを検出するためのセンサー22を備えることができる。センサー22は、可動アーム41に接続されたスイッチ22を備える。アーム41は、取り外し可能把握装置1が調理容器24上に位置決めされていない時の非作動位置(図8)と、取り外し可能把握装置1が調理容器24上に位置決めされている時の作動位置(図9)との間で、把握体7の中に設けられたスリット23内を平行移動可能な端部の一方に突起42を備える。突起42はほぼ長手方向(X)に平行移動可能である。スリット23は固定爪2bの湾曲部分19の延長部内に配設される。固定爪2bが調理容器24の側壁25と接触すると、湾曲縁26の端部が、突起42を取り外し可能把握装置1の後部側に移動させながら、スリット23内に挿入されるようになる。これによりスイッチ22側へのアーム41の移動が発生し、アーム41は、スイッチ22上に設けられたボタン43を押圧するようになる。その時、スイッチ22はその作動位置にあり、信号を電気回路に送信し、回路は調理容器24上への取り外し可能把握装置1の設置を検出する。ユーザーが制御スイッチ4、12、22、56を起動することにより、可動爪2aの閉動作を可能にする回転方向への電気モーター5の回転が発生する。
【0048】
変形形態においては、スイッチ22を起動することにより、ユーザーが介入しなくとも可動爪2aの自動閉動作が行われる。
【0049】
別の可能な実施形態によれば、取り外し可能把握装置1は、図14に示すように、把握体7から分離可能な取り外し可能モジュール35を備える。取り外し可能モジュール35は、機械装置および駆動装置3を含む。この例においては、機械装置は、コレットを形成する爪2a、2bを含む固定手段を備える。把握体7は、電気モーター5と、エネルギー発生源6とを備える。駆動装置3は取り外し可能な方法で電気モーター5に接続することができる。より正確には、ねじ付きロッド8が取り外し可能な方法で電気モーター5のシャフト20に接続可能である。ねじ付きロッド8は、電気モーター5のシャフト20を収納するようになされたハウジング46を、その後端に備える。取り外し可能モジュール35は把握体7の前面上に嵌合することができる。取り外し可能モジュール35は把握体7に対し簡単な方法で脱着可能である。したがって、コレットを形成する爪2a、2bを備える取り外し可能モジュール35が把握体7から取り外されると、たとえば掃除機能など締め付け機能とは別の機能を内蔵する相補的取り外し可能モジュール35’を接続することが可能である。
【0050】
図14は、回転ブラシ45を含む機械装置を備える相補的取り外し可能モジュール35’を例として示す図である。回転ブラシ45はその端部のうちの一方においてシャフト44に連結される。相補的取り外し可能モジュール35’が把握体7に嵌合されると、相補的取り外し可能モジュール35’のシャフト44上に設けられたハウジング46が電気モーター5のシャフト20を収納する。こうして回転ブラシ45は電気モーター5により駆動することができる。
【0051】
変形形態においては、ブラシは、食品を撹拌、粉砕、または混合するための撹拌器に置き換えることができる。
【0052】
したがってモジュール35、35’のこの取り外し可能性により、把握装置1は、たとえば調理容器の清掃、食品の撹拌、混合、粉砕などの追加機能を提供することができる。
【0053】
図4および図5に示す別の実施形態によれば、電気機械装置5、5a、5b、5cは電磁石5aを備える。電磁石5aは、コレットが開位置にある休止状態と、それがコレットを閉位置に作動状態との間で切り換わることができる。
【0054】
前出実施形態における場合と同様、可動爪2aは、把握体7内に設けられたスライドウェイ27内を滑動するアーム15により延長される。アーム15は長手軸方向(X)に延び、可動爪2aとは反対側のその端部に金属板28を備える。金属板28は長手方向(X)に対しほぼ直角な面内を延びる。金属板28は強磁性体素材で構成することができる。それは、電磁石5aおよびストッパー30により部分的に画定されるハウジング29内を長手方向(X)に平行移動することが可能である。ハウジング29の幅は、固定爪2bに対する可動爪2aの移動距離に相当する。
【0055】
可動爪2aが開位置にあり(図4)、かつユーザーが制御手段を押すと、電磁石5aは、金属板28を引き寄せ自身に押圧するよう作動する。可動爪2aは閉位置に戻る(図5)。
【0056】
反対に、可動爪2aがその開位置にある時にユーザーが制御手段を押すと。電磁石5aは作動解除になる。電磁場が切断され、金属板28には引張り力がかからなくなる。すると可動爪2aはハウジング29内を長手方向(X)に自在に移動することができる。可動爪2aは、取り外し可能把握装置1を長手方向(X)および調理容器24とは反対の方向に若干移動させることにより、開くことができる。
【0057】
前出実施形態の場合と同様、駆動装置3、電気エネルギー発生源6および制御手段(字図示せず)は把握体7の中に収納される。
【0058】
図10に示す別の可能な実施形態によれば、電気機械装置5、5a、5b、5cは、コレットが閉位置にある後退状態(図10)と、コレットが開位置になる展開状態との間で可能なピストン47を含む電気シリンダー5bを備える。ピストン47は結合部品48を経由して可動爪2aのアーム15に連接される。アーム15および結合部品48は駆動装置3を形成する。ピストン47は平行移動方向(X)に平行移動が可能である。
【0059】
図11に示す別の可能な実施形態によれば、電気機械装置5、5a、5b、5cは、遠心要素36の回転を発生させるサーボモーター5cを備える。軸49を中心とする遠心要素36の回転運動は、可動爪2aに固設された、より正確には可動爪2aのアーム15に固設されたパッド38の長手方向に(X)に沿った横方向移動を発生する。遠心要素36、パッド38、およびアーム15は駆動装置3を形成する。遠心要素36はパッド38を収納するためのスリット48を備える。遠心要素36は、パッド38がスリット48から抜き取られる可動爪2aの開位置(図12)と、パッド38がスリット48内に嵌め込まれる可動爪2aの閉位置(図13)との間で回動移動可能である。スリット48は円弧状の曲線形状を有する。バッド38がスリット48内に嵌め込まれると、可動爪2aおよびアーム15はサーボモーター5c側への平行移動を行う。可動爪2aは固定爪2b側に引き寄せられる。
【0060】
電気エネルギー発生源6は再充電可能な電気エネルギー発生源(蓄電池またはスーパーキャパシタ)、あるいは1または複数の電池を備えることができる。たとえば、蓄電池は3.6ボルトの電圧および780ミリアンペア時の容量を有することが可能である。電気エネルギーは、調理容器24の底部上に配設された導電要素を使用する誘導により、誘導プレート上に回収することができる。
【0061】
再充電可能な電気エネルギー発生源を使用する場合、取り外し可能把握装置1は、再充電可能な電気エネルギー発生源の電流再充電が行えるようにするための電磁接続手段を備える。「電磁接続手段」とは、電気方式または磁気方式とすることができる手段を意味する。
【0062】
電磁接続手段は、図6に示すように、「ジャック」型のコンセント31を備えることができる。このコンセント31は取り外し可能把握装置1の把握体7上に配設される。コンセントは把握体7の側壁上に配設することができる。コンセント31は、取り外し可能把握装置1のコンセント31に挿入されるように成された「ジャック」型のプラグを備える電源コードを介して、エネルギー発生源、たとえば主電源に接続することが可能である。
【0063】
電磁接続手段は、図6に示すように、再充電可能電気エネルギー発生源に接続された2つの電気接続端子32a、32bを備えることができる。図6の取り外し可能把握装置1は、コンセント31に加えて電気接続端子32a、32bを備える。電気接続端子32a、32bは、電気エネルギー発生源6の再充電が電流で行えるよう再充電ベース上に設けられた2つの電気接続端子に、取り外し可能な方法で接続可能である。電気接続端子32a、32bは取り外し可能把握装置1の後部に配設される。電気接続端子32a、32bは接続パッドまたは接点とすることができる。取り外し可能把握装置1は、再充電ベースが水平支持体上に置かれた時、ほぼ垂直になるか垂直に対し傾斜するよう再充電ベース上に置くことができる。再充電ベースは、エネルギー発生源、たとえば主電源(たとえば230V)に接続される。
【0064】
変形形態においては、電磁接続手段は、図7に示すように、再充電可能電気エネルギー発生源に接続された2次誘導コイル57を備えることができる。2次誘導コイル57は、把握体7の中に形成された空洞58であって、取っ手が再充電位置にある時、再充電ベース34上に設けられた1次誘導コイル33が挿入されるようになる空洞、を囲む。これにより取り外し可能把握装置1の防水性を向上させることができる。
【0065】
可能な実施形態によれば、機械装置は固定手段以外の手段を備えることができる。それは、電気機械装置に駆動されるシャフトに連結された回転ブラシ、あるいはたとえば食品を撹拌、粉砕、または混合するための撹拌器を備えることができる。この実施形態においては、取り外し可能把握装置1は、手動または電気機械的に作動することができる固定手段を備える。
【0066】
可能な実施形態(図示せず)によれば、電気機械装置は、ねじ付きロッド8により回転駆動されるカムを備えることができる。カムはねじ付きロッド8に固設され、かつねじ付きロッド8の前端の近傍に配設される。カムは把握体7内に設けられたハウジング内に収納される。ハウジングは把握体7の上面により外部に開口する。カムは、カムがハウジングの内部に収納される休止位置と、カムが取り外し可能把握装置1の上面から突出する作動位置との間で可動になるよう、電気モーター5により回転駆動される。休止位置では、カムの主軸は取り外し可能把握装置1の水平面に対しほぼ平行である。作動位置では、カムの主軸は取り外し可能把握装置1の水平面に対しほぼ直角であり、かつ水平支持体上に置かれた調理容器24に取り外し可能把握装置1が固定された時には上方を向く。この作動位置では、カムは取り外し可能把握装置1の上面から突出し、それにより、調理容器24上に置かれた蓋の縁を多少持ち上げることができるので、調理容器24内で食品が加熱される時には蒸気の流量を調節することが可能になる。
【0067】
変形形態においては、電気機械装置は、ねじ付きロッド8によって回転駆動されるスプロケットを備えることができるが、ねじ付きロッド自体も、電気モーター5(図示せず)によって駆動される。スプロケットはねじ付きロッド8に固設され、かつねじ付きロッド8の前端の近傍に配設される。スプロケットは、把握体7内に設けられたハウジング内に収納される。ハウジングは把握体7の上面により外部に開口する。スプロケットは、蓋の上に配設されたラックを駆動するよう、電気モーター5により回転駆動される。ラックは、調理容器24の底部内に配置された食品(たとえばピューレ、ベジタブルハッシュ、スープ)を撹拌することができる羽根を回転駆動する。
【0068】
変形形態においては、図17から図20で示すように、取り外し可能把握装置1は、容器24上に置かれた蓋51を持ち上げることを可能にする持ち上げ手段50を備えることができる。図17は、容器24上に固定され、持ち上げ位置における持ち上げ手段50を備える取り外し可能把握装置1の長手方向断面図である。図19は、容器24上に固定された取り外し可能把握装置1の長手方向断面図である。持ち上げ手段50は休止位置にある。
【0069】
持ち上げ手段50は、モーターおよび駆動装置(図示せず)によって作動する2つのピストン52を備える。爪2a、2bを駆動することができるこのモーターおよび電気機械装置5、5a、5b、5cにはエネルギー発生源6から電源が供給される。ピストン52は、それらが把握体7内に(完全にあるいはほとんど)戻っている休止位置(図19および図20)と、それらが把握体7の上面37上で上面に対しほぼ直角に突出する持ち上げ位置(図17および図18)との間を、長手方向(X)に対し直角な方向に平行移動することができる。
【0070】
ピストン52は爪2a、2nの近傍に位置決めされ、かつ把握装置の前縁に沿って、長手方向(X)に対し直角な方向に一列に並ぶ。
【0071】
把握装置1は側壁25の上部にて容器24の側壁を挟む。図19に示すように、ピストン52が休止(後退)位置にある時、蓋51は、蓋と把握装置1との間の隙間が少なくなるようにするため、ピストンに載架しかつ可動爪2aを覆うよう形成される。蓋51は、ピストン52が支えられるようになる外周への載架縁53を備える。
【0072】
ピストン52は、それらが持ち上げ位置にある時(図17図18)には、蓋51の載架縁53に接触した状態にあり、かつそれを上方に押圧するので、蓋51と把握装置1の可動爪2aとの間には空間54が形成される。その結果、蓋51と容器24の上縁との間に空間が形成され、蒸気が通ることができる。
【0073】
変形形態においては、機械装置は持ち上げ手段50を備える。持ち上げ手段50は駆動装置3により駆動され、駆動装置自体も電気機械装置5、5a、5b、5c(図示せず)により駆動される。固定手段は手動で作動する。
【0074】
図21に示す実施形態によれば、機械装置は、電気モーター5により回転駆動されるシャフト44を含むブラシ45を備えることができる。それは、ブラシ45と、固定手段の可動爪2aを駆動する駆動装置3とを同時に駆動する。ブラシ45はたとえば容器24のような調理器具を清掃するのに用いることができる。したがって取り外し可能把握装置1は、他の道具を使用しなくともよい多機能取っ手となる。
【0075】
変形形態においては、取り外し可能把握装置1は、取り外し可能把握装置1の外部の電気装置(図示せず)に電源を供給するため電気エネルギー発生源6に接続された2つの電気接続端子を備えることができる。2つ接続端子は取り外し可能把握装置1の前面上に配設され、かつ調理容器上に設けられた別の2つの接続端子に接続されるようになっている。外部電気装置はたとえば、調理容器の下に配設されそれを加熱するための電気抵抗、あるいは蓋に配設された撹拌器とすることができる。
【0076】
取り外し可能把握装置1は、図15に示すように、電気エネルギー発生源6から電源が供給されかつ電子回路に接続された表示手段39を備えることができる。これらの表示手段39は、特に電気エネルギー発生源6の駆動可能時間、時刻、調理の残り時間または調理容器の温度を表示できるよう、たとえば液晶画面を備えることができる。液晶画面は取り外し可能把握装置1の上面37上に配設される。
【0077】
取り外し可能把握装置1は、たとえば温度センサー、または調理容器24に入っている食品の重さを判定するための装置等の測定手段を備えることができる。温度または重さは液晶画面に表示することができる。取り外し可能把握装置1は時計およびタイマーを備えることができる。測定手段には電気エネルギー貯蔵手段6から電流が供給され、かつ電子回路に接続される。
【0078】
取り外し可能把握装置1は、基地局との情報の受信および/または送信を行うための無線通信手段を備えることができる。通信手段は、電気エネルギー発生源6から電源が供給され、電子回路に接続された無線周波数送信器および/または受信器を備えることができる。たとえば基地局は料理のレシピを取り外し可能把握装置1に送信することができる。それらは液晶画面に表示される。取り外し可能把握装置1は調理容器の温度を示す信号を基地局に送信することができる。
【0079】
取り外し可能把握装置1は、調理容器24内の食品を照明するために、たとえばダイオードのような照明手段40を備えることができる。照明手段40は取り外し可能把握装置1の上面37上およびそれの前部に配設される。照明手段40には電気エネルギー発生源6から電源が供給される。
【0080】
カードすなわち電子回路により、たとえば、モーターの回転方向、可動爪2aの締め付けの検出、取り外し可能把握装置1の状態(開/閉、作動可能時間、特定の問題)に関する情報の表示およびバッテリーの充電を管理することができる。
【0081】
可能な作動形態によれば、ユーザーは、調理器具または調理容器を使用する前に、開位置にある取っ手または取り外し可能把握装置1を、調理容器24の側壁25に横付けする。
【0082】
ユーザーが制御ボタン56を押すと、電気モーター5が起動し、ねじ付きロッド8を回転させる。可動要素すなわちナット9が移動し、可動爪2aすなわちフォークを駆動する。可動爪2aが保護容器に接触するようになると、モーターの過電流が検出され、回路に送信され、電気モーター5が停止する。
【0083】
調理器具の使用中にユーザーが取り外し可能把握装置1を手に取ると、ロック手段21(機械的安全)により可動爪2aの作動が阻止され、したがってたとえば調理容器24の移動中、可動爪の突発的開動作が阻止される。
【0084】
調理器具の使用後に制御ボタン56を押すことにより、電気モーター5が再起動し、可動爪2aを開く。電子回路は、この場合閉位置にある取っ手の状態を「認識している」ので、取っ手の開動作を行うことができる回転方向を起動させるために電気モーター5の回転方向を管理する。変形形態においては、ユーザーがスイッチ12を介して電気モーター5の回転方向を手動で選択することができる。
【0085】
エネルギー発生源6がバッテリーである場合、再充電ベース24により、使用後の取っ手を再充電することができる。
【0086】
変形形態においては、休止状態では、取り外し可能把握装置1は、たとえば復元ばねを使用することにより閉位置にある。制御ボタン56は可動爪2aを開くために用いられるのみである。制御ボタン56を押すのをやめると、可動爪2aはばねにより自動的に閉じる。
【0087】
図22および図23に示す可能な実施形態によれば、把握体7は可動爪2aを形成する可動前部55を備える。この可動前部55は、容器24の側壁25の外表面と接触するように成されている前部接触表面17を備える。固定爪2bは把握体7に固設されたアーム15により延長される。固定爪2bは、容器24の側壁25の内表面と接触するように成されている内部接触表面を備える。可動前部55は、爪2a、2bが容器24の側壁25を挟むことができる閉位置(図22)と、開位置(図22)の間を長手方向(X)に平行移動することができる。可動前部55は固定爪2bと把握体7の残りの部分との間において可動である。
【0088】
可動前部55は駆動装置3により駆動される。駆動装置3は、モーター5により回転駆動されるねじ付きロッド8、および可動前部55(可動爪2a)に固設され、かつねじ付きロッド8が螺入されるねじ付き穴を具備する可動要素9’を備える。ねじ付きロッド8が回転することにより、それに沿った可動要素9’の平行移動、および可動前部55の平行移動が発生する。モーター5には電気エネルギー発生源6から電源が供給される。モーター5の運転および停止を制御するために制御手段4、12、22、56が設けられる。図22および図23の例に示す取り外し可能把握装置1は、図1および図2の例の取り外し可能把握装置1に関して記述した特性を備えることができる。この取り外し可能把握装置1は、備える機械要素の点数が少ないので、駆動装置3の上方に空きの場所を設けることができ、可動爪2aを前端に有する取り外し可能把握装置1よりも破損しにくい。可動前部55は固定爪2bにより保護される。
【0089】
変形形態においては、制御手段4、12、22、56は、取り外し可能把握装置1を手で持っている時、固定手段の作動を防止する追加的安全装置4を備える。追加的安全装置4は、有利には把握体7の下に配設されるボタン4を備える。
ユーザーが取っ手を持つ際には、必然的に追加的安全装置4を作動させるので、固定手段の作動が阻止される。ボタン4は電源を切るスイッチに接続することができる。追加的安全装置4は「フェールセーフ」型の安全装置を形成する。
図1
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