(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127054
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】針安全デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/32 510P
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-533897(P2014-533897)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公表番号】特表2014-528304(P2014-528304A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012069627
(87)【国際公開番号】WO2013050475
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】11184100.3
(32)【優先日】2011年10月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・スレメン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ウォード
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0160675(US,A1)
【文献】
米国特許第5104385(US,A)
【文献】
特表2008−528225(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0060897(US,A1)
【文献】
米国特許第5137521(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戻り止め(3.6)を有する複数の弾性アーム(3.3)を含むニードル・ハブ(3)と;
遠位先端(2.1)を有する針(2)と;
ニードル・ハブ(3)に嵌め込み式に連結されたニードルシールド(4)とを備え、ニードルシールド(4)は、弾性アーム(3.3)上の戻り止め(3.6)と係合するように適合された複数の軸方向のスロット(4.5)を含み、戻り止め(3.6)は、スロット(4.5)内で軸方向に可動であり、ニードルシールド(4)は、分離壁(4.7)によってスロット(4.5)から分離された複数の溝(4.6)を含み、溝(4.6)は、戻り止め(3.6)と係合するように適合され;
ここで、ニードル・ハブ(3)は、弾性アーム(3.3)が偏向したときに、戻り止め(3.6)を受けるように適合された凹部(3.7)を含み、
ニードルシールド(4)がニードル・ハブ(3)に対して第1の位置にあるとき、ニードルシールド(4)は、針(2)の遠位先端(2.1)を覆い、かつ戻り止め(3.6)は、スロット(4.5)内で係合され、
ニードルシールド(4)がニードル・ハブ(3)に対して第2の位置にあるとき、針(2)の遠位先端(2.1)は、ニードルシールド(4)内の開口部(4.3)を通って突出し、かつ戻り止め(3.6)は、スロット(4.5)内で係合され、
ニードルシールド(4)がニードル・ハブ(3)に対して第3の位置にあるとき、ニードルシールド(4)は、針(2)の遠位先端(2.1)を覆い、かつ戻り止め(3.6)は、溝(4.6)内で係合され、
第3の位置では、戻り止め(3.6)は、分離壁(4.7)に当接し、そしてニードル・ハブ(3)に対するニードルシールド(4)の近位方向の移動を防止するように適合される、針安全デバイス(1)。
【請求項2】
戻り止め(3.6)は、近位傾斜表面(3.10)を含む、請求項1に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項3】
分離壁(4.7)は、戻り止め(3.6)の近位傾斜表面(3.10)と係合するよう
に適合された遠位傾斜表面(4.9)を有する、請求項2に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項4】
分離壁(4.7)の遠位傾斜表面(4.9)と戻り止め(3.6)の近位傾斜表面(3.10)との係合により、弾性アーム(3.3)が半径方向に偏向する、請求項3に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項5】
分離壁(4.7)は、第3の位置で戻り止め(3.6)に当接するように適合された近位当接表面(4.10)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項6】
ニードル・ハブ(3)に対して第1の位置および第3の位置に向かってニードルシールド(4)を付勢するばね(5)をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項7】
破断可能なウェブ(3.9)によってニードル・ハブ(3)に連結されたカラー(3.8)をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項8】
ニードルシールド(4)は、ウェブ(3.9)と係合するように適合された近位端部分(4.8)を含む、請求項7に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項9】
ニードルシールド(4)が第1の位置から第2の位置に移動しているとき、近位端部分(4.8)は、ウェブ(3.9)を破断する、請求項8に記載の針安全デバイス(1)。
【請求項10】
近位端部分(4.8)は、カラー(3.8)と係合するためのラッチを含む、請求項8に記載の針安全デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
選択された用量の薬剤を含む薬剤送達デバイス(たとえば、ペン注射器、シリンジ、自動注射器など)は、薬剤を患者に投与するための周知のデバイスである。使用前後に送達デバイスの針を覆うための安全デバイスもまた周知である。典型的には、安全デバイスのニードルシールドは、医療用針を囲むように手動または自動で移動される。最適にサイズ設定され機能する安全デバイスを開発するために、様々な試みがなされている。しかし、依然として最適な安全ニードル・アセンブリが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、誤って針を穿刺し負傷する危険性を最小限に抑え、安全に取り扱え、薬剤が送達される前後に針の安全をもたらす改良された安全ニードル・アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
例示的な実施形態では、針安全デバイスが、戻り止め(detent)を有する複数の弾性アームを含むニードル・ハブと、遠位先端を有する針と、ニードル・ハブに嵌め込み式に連結されたニードルシールドとを備える。ニードルシールドは、弾性アーム上の戻り止めと係合するように適合された複数の軸方向のスロットを含み、戻り止めは、スロット内で軸方向に可動である。ニードルシールドは、分離壁によってスロットから分離された複数の溝を含み、これらの溝は、戻り止めと係合するように適合される。ニードルシールドがニードル・ハブに対して第1の位置にあるとき、ニードルシールドは、針の遠位先端を覆い、戻り止めは、スロット内で係合される。ニードルシールドがニードル・ハブに対して第2の位置にあるとき、針の遠位先端は、ニードルシールド内の開口部を通って突出し、戻り止めは、スロット内で係合される。ニードルシールドがニードル・ハブに対して第3の位置にあるとき、ニードルシールドは、針の遠位先端を覆い、戻り止めは、溝内で係合される。第3の位置では、戻り止めは、分離壁に当接し、ニードル・ハブに対するニードルシールドの近位方向の移動を防止するように適合される。
【0004】
例示的な実施形態では、ニードル・ハブは、アームが偏向したとき戻り止めを受けるように適合された凹部を含む。戻り止めは、近位傾斜表面を含み、分離壁は、戻り止めの近位傾斜表面と係合するように適合された遠位傾斜表面を有する。分離壁の遠位傾斜表面と戻り止めの近位傾斜表面の係合により、アームが半径方向に偏向する。
【0005】
例示的な実施形態では、分離壁は、第3の位置で戻り止めに当接するように適合された近位当接表面を有する。
【0006】
例示的な実施形態では、針安全デバイスは、第1の位置および第3の位置に向かってニードル・ハブに対してニードルシールドを付勢するばねをさらに備える。
【0007】
例示的な実施形態では、針安全デバイスは、破断可能なウェブ(breakable webs)によってニードル・ハブに連結されたカラーをさらに備える。ニードルシールドは、それらのウェブと係合するように適合された近位端部分を含む。ニードルシールドが第1の位置から第2の位置に移動しているとき、この近位端部分は、ウェブを破断する。この近位端部分は、カラーに係合するためのラッチ(latch)を含む。
【0008】
本発明の他の適用可能性の範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示してはいるが、当業者にはこの詳細な説明から本発明の精神および範囲内で様々な変更および修正が明らかになるので、例として与えられているにすぎないことを理解されたい。
【0009】
本発明は、以下に与えられている詳細な説明、および例示のために与えられているにすぎず、したがって本発明を限定しない添付の図面から、より十分に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本体、ニードルシールド、および圧縮ばねを備える針安全デバイスの例示的な実施形態の分解斜視図である。
【
図2A】初期位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2B】初期位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図3A】送達位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図3B】送達位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4A】ロックされた位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図4B】ロックされた位置にある針安全デバイスの例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
対応する部分は、すべての図において同じ符号でマークされている。
【0012】
図1から
図4Bは、本発明による針安全デバイス1の例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態では、針安全デバイス1は、ニードル・ハブ3と、ニードル・ハブ3に連結された針2と、ニードル・ハブ3に嵌め込み式に連結されたニードルシールド4と、ニードル・ハブ3に付勢力を加える圧縮ばね5とを含む。針安全デバイス1は、薬剤送達デバイス(たとえば、シリンジ、ペン注射器、自動注射器など)に着脱可能にカップリングされても、送達デバイスと一体に形成されてもよい。
【0013】
針安全デバイス1は、薬剤の注射前後に針2の遠位先端2.1を覆うことによって、誤って針を穿刺し負傷する危険性を低減するように働く。
【0014】
図1は、本発明による針安全デバイス1の例示的な実施形態の分解斜視図を示す。安全デバイス1は、送達デバイスにカップリングされるように適合されたニードル・ハブ3を含む。たとえば、ニードル・ハブ3は、送達デバイスにカップリングするために、ねじ山、スナップ嵌め、バヨネット嵌め、摩擦嵌めなどを含むことができる。他の例示的な実施形態では、ニードル・ハブ3は、送達デバイスと一体成形されてもよい。ニードル・ハブ3は、実質的に中空の円筒として形作られても、送達デバイスにカップリングするように適合される任意の他の形状であってもよい。
【0015】
針2は、遠位先端2.1がニードル・ハブ3の遠位面3.1を超えて遠位に延びるようにニードル・ハブ3にカップリングされてもよい。針2の近位先端は、遠位面3.1の近位に延び、送達デバイス内の薬剤の容器のセプタムを穿孔するように適合されてもよい。
【0016】
例示的な実施形態では、ニードル・ハブ3は、ニードル・ハブ3の側壁3.4内に一体化された2つの弾性アーム3.3を含む。弾性アーム3.3の遠位端3.5は、ニードル・ハブ3に対して半径方向に偏向することが可能である。各遠位端3.5は、ニードル・ハブ3の側壁3.4の円周を超える戻り止め3.6を含む。ニードル・ハブ3の遠位面3.1は、アーム3.3の遠位端3.5に隣接して位置する(たとえば、遠位面3.1の周縁部3.2内に形成された)2つの凹部3.7を含み、これらの凹部は、アーム3.3が半径方向に偏向されたときアーム3.3の遠位端3.5を受けるように適合される。アーム3.3がニードル・ハブ3の長手方向軸xに向かって半径方向に偏向されたとき、戻り止め3.6は、側壁3.4と実質的に同じ平面内にあることができる。
【0017】
例示的な実施形態では、ニードル・ハブ3は、ニードル・ハブ3に連結されたカラー3.8を備える。カラー3.8は、環状要素、または環状要素の一部であってよい。カラー3.8は、1つまたはそれ以上の連結用ウェブ3.9によってニードル・ハブ3の側壁3.4に連結されてもよい。ウェブ3.9は、カラー3.8を破断しニードル・ハブ3から離すための所定の破断点を画定することができる。
【0018】
例示的な実施形態では、ニードルシールド4は、ニードル・ハブ3に嵌め込み式にカップリングされる。ニードルシールド4の遠位壁4.2は、(たとえば、注射中に)針2が通過することを可能にするための開口部4.3を含む。ニードルシールド4の側壁4.4は、ニードル・ハブ3のアーム3.3と係合するように適合される軸方向のスロット4.5を有することができる。各スロット4.5は、アーム3.3上のそれぞれの戻り止め3.6と係合することができ、戻り止め3.6は、ニードルシールド4がニードル・ハブ3に対して移動するときスロット4.5内で軸方向に可動とすることができる。戻り止め3.6とスロット4.5の係合により、ニードルシールド4のニードル・ハブ3に対する回転を防止することができる。スロット4.5のそれぞれは、ニードルシールド4内で、それぞれのスロット4.5の近位に配置され、戻り止め3.6を受けるように設計された溝4.6を伴う。各スロット4.5、および対応する溝4.6は、分離壁4.7によって分離されてもよい。
【0019】
例示的な実施形態では、ニードルシールド4の近位端部分4.8は、カラー3.8と側壁4.4の間の空間6内に嵌め込まれるように適合されてもよい。
【0020】
例示的な実施形態では、圧縮ばね5は、遠位ではニードルシールド4の遠位端4.2内に、また近位ではニードル・ハブ3の遠位面3.1内に置かれる。
【0021】
図2Aおよび
図2Bは、ニードルシールド4がニードル・ハブ3に対して第1の伸長位置にある初期状態(たとえば、使用前)にある針安全デバイス1を示す。第1の位置では、針2の遠位先端2.1がニードルシールド4によって完全に覆われる。アーム3.3上の戻り止め3.6は、スロット4.5内で係合され、スロット4.5の近位端に位置する。例示的な実施形態では、圧縮ばね5には、予め応力を加え、ニードルシールド4の近位端を、連結用ウェブ3.9を破断するには十分でない力でカラー3.8に押し付けてもよい。ばね5には予め応力が加えられるので、戻り止め3.6は分離壁4.7に当接することができ、これは、ニードルシールド4がニードル・ハブ3に対して遠位に移動するのを防止する。
【0022】
図2Bにおける例示的な実施形態に示されているように、戻り止め3.6は、近位傾斜表面3.10を含むことができ、分離壁4.7は、戻り止め3.6の近位傾斜表面3.10に係合するように適合された遠位傾斜表面4.9を含むことができる。さらに、シールド4の近位端部分4.8は、カラー3.8に係合するように適合されたラッチを含むことができる。
【0023】
図3Aおよび
図3Bは、ニードルシールド4がニードル・ハブ3に対して第2の後退位置にある中間状態(たとえば、針安全デバイス1が注射部位に押し付けられる注射中)にある針安全デバイス1を示す。近位に向かう力がニードルシールド4に加えられたとき、ニードルシールド4は、ニードル・ハブ3に対して近位に移動し、ニードルシールド4の近位端部分4.8にウェブ3.9を破断させ、カラー3.8をニードル・ハブ3から分離する。ニードルシールド4が第2の位置に達したとき、針の遠位先端2.1がニードルシールド4の遠位の開口部4.3を通って突出する。さらに、第2の位置では、戻り止め3.6は、スロット4.5内で遠位に移動してから、圧縮ばね5および/またはスロット4.5の遠位端によって停止される。
【0024】
図4Aおよび
図4Bは、ニードルシールド4がニードル・ハブ3に対して第3の伸長位置にある最終状態(たとえば、注射後、針安全デバイス1が注射部位から除去された後)にある針安全デバイス1を示す。針安全デバイス1が注射部位から除去されたとき、各戻り止め3.6が分離壁4.7に当たるまで、ばね5がニードルシールド4をニードル・ハブに対して強制的に遠位に移動させる。戻り止め3.6が分離壁4.7と係合するとき、戻り止め3.6の近位傾斜表面3.10が分離壁4.7の遠位傾斜表面と係合し、それによりアーム3.3が軸xに向かって半径方向に偏向する。戻り止め3.6が分離壁4.7を飛び越したとき、アーム3.3は、その偏向していない位置に戻り、戻り止め3.6が溝4.6内で固定される。
【0025】
第3の位置では、ニードルシールド4が針2の遠位先端2.1を覆うので、針安全デバイス1は、針安全状態(needle−safe)である。また、戻り止め3.6が分離壁4.7の当接面に当接するので、ニードルシールド4は、ニードル・ハブ3に対して近位に移動することができない。
【0026】
当業者なら、本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなしに、本明細書に記載の装置、方法および/またはシステム、ならびに実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または除去)を加えることができ、本発明は、そのような修正、ならびにその均等物のいずれか、およびすべてを包含することを理解するであろう。