(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力貯蔵装置においては、2個以上のモジュール電池が左右方向、前後方向、上下方向等に配列される。しかし、特許文献1のように正極ポールが一方の隔壁を貫通し負極ポールが他方の隔壁を貫通する場合は、2個以上のモジュール電池の配列によっては、一方のモジュール電池及び他方のモジュール電池の間隙で一方のモジュール電池及び他方のモジュール電池に配線を結合する作業が行われる。このため、電力貯蔵装置の組み立てが容易ではない。
【0005】
このことを回避するためには、2個以上のストリング群を直線的に配列することをやめ、2個以上のストリング群の配列が折り返しを伴うようにすることが考えられる。しかし、2個以上のストリング群の配列が折り返しを伴う場合は、一方のストリング群及び他方のストリング群の間に短絡回路が形成されやすく、電力貯蔵装置の安全性が低下しやすい。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決するためになされる。本発明の目的は、電力貯蔵装置の安全性の向上及び組み立ての容易さを両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電力貯蔵装置に向けられる。
【0008】
本発明の第1の局面においては、2個以上のモジュール電池及び配線が設けられる。2個以上のモジュール電池が配列され配線により接続される。
【0009】
2個以上のモジュール電池の各々は、箱、セル集合体、正極ブス及び負極ブスを備える。
【0010】
箱の内部に収容空間が形成される。箱は、第1の側壁、第2の側壁及び第3の側壁を備える。第1の側壁の外面は、第1の方向を向き、2個以上のモジュール電池の残りと対向しない。第2の側壁及び第3の側壁が第2の方向に離れる。第1の方向及び第2の方向が垂直をなす。
【0011】
セル集合体は、収容空間に収容される。セル集合体は、直列接続される2個以上のストリング群を備える。2個以上のストリング群が第2の方向に直線的に配列される。2個以上のストリング群の各々が並列接続される2個以上のストリングを備える。2個以上のストリングの各々が直列接続される2個以上のセルを備える。
【0012】
正極ブスが正極集電部、正極延長部及び正極貫通部を備える。正極集電部及び正極延長部が収容空間に収容される。正極集電部が第2の側壁の内面に沿う。正極延長部が第1の側壁の内面に沿う。正極貫通部が第1の側壁を貫通する。正極集電部、正極延長部、正極貫通部及び配線が導通する。
【0013】
負極ブスが負極集電部、負極延長部及び負極貫通部を備える。負極集電部及び負極延長部が収容空間に収容される。負極集電部が第3の側壁の内面に沿う。負極延長部が第1の側壁の内面に沿う。負極貫通部が第1の側壁を貫通する。負極集電部、負極延長部、負極貫通部及び配線が導通する。
【0014】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。
【0015】
本発明の第2の局面においては、2個以上のモジュール電池の各々が正極位置決め機構及び負極位置決め機構を備える。正極集電部が定位置より鉛直方向下方へ移動することが正極位置決め機構により規制される。負極集電部が定位置より鉛直方向下方へ移動することが負極位置決め機構により規制される。
【0016】
本発明の第3の局面は、本発明の第1又は第2の局面にさらなる事項を付加する。
【0017】
本発明の第3の局面においては、箱に引き出し孔が形成される。セル集合体が並列ブスを備える。並列ブスが2個以上のストリングを並列接続する。2個以上のモジュール電池の各々が正極電圧の計測線、負極電圧の計測線及び中間電圧の計測線を備える。正極電圧の計測線は、正極集電部に接続される。負極電圧の計測線は、負極集電部に接続される。中間電圧の計測線は、並列ブスに接続される。正極電圧の計測線、負極電圧の計測線及び中間電圧の計測線は、引き出し孔を経由して箱の外部に引き出される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の局面によれば、一方のストリング群及び他方のストリング群の間に短絡回路が形成されにくい。電力貯蔵装置の安全性が向上する。モジュール電池への配線の結合が残りのモジュール電池に妨げられない。電力貯蔵装置の組み立てが容易になる。
【0019】
本発明の第2の局面によれば、正極ブス及び負極ブスが定位置より鉛直方向下方に移動しない。モジュール電池の構造が安定する。
【0020】
本発明の第3の局面によれば、ストリング群の電圧が正確に計測される。セルの故障が精度よく検出される。
【0021】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(電力貯蔵装置の概略)
図1の模式図は、電力貯蔵装置の望ましい実施の形態を示す。
【0024】
図1に示されるように、電力貯蔵装置1000は、筐体1020、40個のモジュール電池1021、第1の配線1022及び第2の配線1023を備える。
【0025】
電力貯蔵装置1000が備えるモジュール電池1021の数が増減されてもよい。一般的に言って、電力貯蔵装置1000は、2個以上のモジュール電池1021を備える。
【0026】
40個のモジュール電池1021の配列は、直方格子をなす。40個のモジュール電池1021は、左右方向DH1に4列に配列され、前後方向DH2に2列に配列され、上下方向DVに5段に配列される。左右方向DH1及び前後方向DH2は、水平方向である。上下方向DVは、鉛直方向である。左右方向DH1、前後方向DH2及び上下方向DVは、互いに垂直をなす。40個のモジュール電池1021の配列が直方格子以外の格子をなしてもよい。左右方向DH1の配列数、前後方向DH2の配列数及び上下方向DVの配列数の全部又は一部が増減されてもよい。
【0027】
上下方向DVの下から1段目の8個のモジュール電池1021、上下方向DVの下から2段目の8個のモジュール電池1021及び上下方向DVの下から3段目であって前後方向DH2の前から1列目の4個のモジュール電池1021は、第1の配線1022により直列接続される。上下方向DVの下から3段目であって前後方向DH2の前から2列目の4個のモジュール電池1021、上下方向DVの下から4段目の8個のモジュール電池1021及び上下方向DVの下から5段目の8個のモジュール電池1021は、第2の配線1023により直列接続される。モジュール電池1021の直列数が増減されてもよい。40個のモジュール電池1021の全部又は一部が並列接続されてもよい。
【0028】
電力貯蔵装置1000がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。例えば、電力貯蔵装置1000が電力機器、制御機器、空調機器等を備えてもよい。電力機器は、例えば、交直変換器(PCS)、変圧器、電圧センサー、電流センサー等である。
【0029】
筐体1020の内部には、筐体内空間1040が形成される。40個のモジュール電池1021、第1の配線1022及び第2の配線1023は、筐体内空間1040に収容される。
【0030】
電力貯蔵装置1000が電力を吸収する場合は、電力貯蔵装置1000の外部からモジュール電池1021へ第1の配線1022又は第2の配線1023を経由して電力が供給され、モジュール電池1021が充電される。電力貯蔵装置1000が電力を放出する場合は、モジュール電池1021が放電させられ、モジュール電池1021から電力貯蔵装置1000の外部へ第1の配線1022又は第2の配線1023を経由して電力が供給される。
【0031】
(電力貯蔵装置の使用例)
図2の模式図は、電力貯蔵装置の使用例を示す。
【0032】
図2に示されるように、電力貯蔵装置1000は、電力系統9000に接続され、停電の防止、電力の需給の調整等に使用される。
【0033】
(モジュール電池の概略)
図3の模式図は、モジュール電池の斜視図である。
図4の模式図は、モジュール電池の鉛直断面図である。
図5から
図8までの模式図は、モジュール電池の水平断面図である。
図5から
図8までは、後述の正極ブスの付属物、負極ブスの付属物、砂及びヒーターが取り除かれた状態を示す。
図5から
図8までは、それぞれ、モジュール電池の右前、左前、右後及び左後を示す。
【0034】
図3から
図8までに示されるように、40個のモジュール電池1021の各々は、箱1060、セル集合体1061、正極ブス1062、負極ブス1063、正極ブスバー1064、負極ブスバー1065、砂1066及びヒーター1067を備える。
【0035】
箱1060は、真空断熱容器1080及び大気断熱蓋1081を備える。真空断熱容器1080は、直方体に近い形状を有し、第1の側壁1100、第2の側壁1101、第3の側壁1102、第4の側壁1103及び底壁1104を備える。第1の側壁1100及び第4の側壁1103は、収容空間1200を挟んで対向する。第2の側壁1101及び第3の側壁1102は、収容空間1200を挟んで対向する。大気断熱蓋1081は、天壁1120及び庇1121を備える。
【0036】
セル集合体1061は、4×n×p個のセル及び必要な配線の集合体である。
【0037】
セル集合体1061は、n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_n及びm個の並列ブス1145_1,1145_2,・・・,1145_mを備える。モジュール電池1021の各々が備えるストリング群の数nは、2以上である。モジュール電池1021の各々が備えるストリング群の数nが1であってもよい。並列ブスの数mは、ストリング群の数nに応じて増減される。
【0038】
n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの各々は、p個のストリング1160を備える。n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの各々が備えるストリング1160の数pは、2以上である。
【0039】
n×p個のストリング1160の各々は、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182、第4のセル1183、第1のヒューズ1184、第2のヒューズ1185、第1のセル接続子1186、第2のセル接続子1187及び第3のセル接続子1188を備える。セルの数が増減されてもよい。一般的に言って、n×p個のストリング1160の各々は、2個以上のセルを備える。
【0040】
箱1060の内部には、収容空間1200が形成される。セル集合体1061、正極ブス1062の主要部、負極ブス1063の主要部、砂1066及びヒーター1067は、収容空間1200に収容される。正極ブスバー1064及び負極ブスバー1065は、箱1060の外部にある。
【0041】
モジュール電池1021が充電される場合は、正極ブスバー1064からモジュール電池1021の内部を経由して負極ブスバー1065へ充電電流が流れ、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182及び第4のセル1183が充電される。モジュール電池1021が放電させられる場合は、負極ブスバー1065からモジュール電池1021の内部を経由して正極ブスバー1064へ放電電流が流れ、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182及び第4のセル1183が放電させられる。
【0042】
第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182及び第4のセル1183の各々は、ナトリウム−硫黄電池である。モジュール電池1021が充電される場合及び放電させられる場合は、収容空間1200の温度がヒーター1067によりナトリウム−硫黄電池が動作する温度に調整される。例えば、収容空間1200の温度が約300℃に調整される。ナトリウム−硫黄電池が他の種類の二次電池に置き換えられてもよい。
【0043】
(側壁の配置)
図1に示されるように、前後方向DH2の前から1列目の20個のモジュール電池1021の各々の第1の側壁1100の外面1301は、前後方向DH2の前方を向き、残りの39個のモジュール電池1021と対向しない。前後方向DH2の前から2列目の20個のモジュール電池1021の各々の第1の側壁1100の外面1301は、前後方向DH2の後方を向き、残りの39個のモジュール電池1021と対向しない。このため、モジュール電池1021の第1の側壁1100の外面1301には容易に到達できる。
【0044】
図3から
図8までに示されるように、第2の側壁1101及び第3の側壁1102は、左右方向DH1(モジュール電池1021の幅方向)に離れる。
【0045】
(セル、ストリング及びストリング群の配列)
図4から
図8までに示されるように、n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nは、左右方向DH1(モジュール電池1021の幅方向)に直線的に配列される。n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの配列が左右反転されてもよい。n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの配列が直線的であって折り返しを伴わない場合は、直線的でなく折り返しを伴う場合と比較して、一のストリング群及び他のストリング群の間に短絡回路が形成されにくく、電力貯蔵装置1000の安全性が向上する。
【0046】
n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの各々において、ストリング1160は前後方向DH2(モジュール電池1021の奥行方向)に配列される。
【0047】
ストリング1160の各々において、第1のヒューズ1184、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182、第4のセル1183及び第2のヒューズ1185は、左右方向DH1に配列される。
【0048】
第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182及び第4のセル1183の各々は、円筒セルであり、円筒軸1310を有し、鉛直に立てられる。円筒軸1310は、上下方向DVに伸びる。
【0049】
(正極ブスの構造及び配置)
図9の模式図は、正極ブスの斜視図である。
図10の模式図は、正極ブス及びその付属物の側面図である。
【0050】
図9及び
図10に示されるように、正極ブス1062は、正極集電板1220、正極延長板1221及び正極ポール1222を備える。
【0051】
正極集電板1220及び正極延長板1221は、連続する。正極集電板1220及び正極延長板1221は、直角に曲げられた1個の板形状の構造物を構成し、電気的に導通する。正極集電板1220及び正極延長板1221が2個以上の構造物の結合品であってもよい。
【0052】
正極集電板1220及び正極延長板1221が板形状を有することは、正極ブス1062の電気抵抗の低下に寄与する。しかし、正極集電板1220及び正極延長板1221が板形状を有しない形状物に置き換えられてもよい。例えば、正極集電板1220及び正極延長板1221が棒形状、管形状等を有する形状物に置き換えられてもよい。
【0053】
正極ポール1222は、収容空間1200において正極延長板1221に結合され、箱1060の外部において正極ブスバー1064に結合される。正極ポール1222及び正極延長板1221は、電気的に導通する。正極ポール1222及び正極ブスバー1064は、電気的に導通する。
【0054】
正極ポール1222がポール形状を有することは、正極ブス1062を経由する熱の出入りの抑制に寄与する。しかし、正極ポール1222がポール形状を有しない形状物に置き換えられてもよい。例えば、正極ポール1222が板形状を有する形状物に置き換えられてもよい。
【0055】
図3及び
図5に示されるように、正極ブスバー1064は、第1の側壁1100の外面1301の近傍に露出する。正極ブスバー1064には、第1の配線1022又は第2の配線1023が結合される。正極ブスバー1064を介さずに正極ポール1222及び第1の配線1022が箱1060の外部において直結されてもよく正極ポール1222及び第2の配線1023が箱1060の外部において直結されてもよい。
【0056】
図4、
図5及び
図7に示されるように、正極集電板1220及び正極延長板1221は、収容空間1200に収容される。正極ポール1222は、第1の側壁1100を貫通する。正極集電板1220は、第2の側壁1101の内面1302に沿う。正極集電板1220は、第2の側壁1101の内面1302及びセル集合体1061の隙間に第2の側壁1101の内面1302に平行となるように配置される。正極延長板1221は、第1の側壁1100の内面1300に沿う。正極延長板1221は、第1の側壁1100の内面1300及びセル集合体1061の隙間に第1の側壁1100の内面1300と平行になるように配置される。
【0057】
図9及び
図10に示されるように、正極ポール1222は、正極延長板1221の下端1730寄りに結合される。正極集電板1220の前端1731は、正極延長板1221に接続され、上下方向DVに伸びる。正極集電板1220の後端1732は、上下方向DVから傾斜した方向に伸びる。正極集電板1220の前後方向DH2の長さは、上端1733寄りにおいて長く、下端1734寄りにおいて短い。これにより、正極集電板1220を収容空間1200に収容する作業が容易になる。
【0058】
(負極ブスの構造及び配置)
図11の模式図は、負極ブスの斜視図である。
図12の模式図は、負極ブス及びその付属物の側面図である。
【0059】
図11及び
図12に示されるように、負極ブス1063は、負極集電板1260、負極延長板1261及び負極ポール1262を備える。
【0060】
負極集電板1260及び負極延長板1261は、連続する。負極集電板1260及び負極延長板1261は、直角に曲げられた1個の板形状の部品を構成し、電気的に導通する。負極集電板1260及び負極延長板1261が2個以上の部品の結合物であってもよい。
【0061】
負極集電板1260及び負極延長板1261が板形状を有することは、負極ブス1063の電気抵抗の低下に寄与する。しかし、負極集電板1260及び負極延長板1261が板形状を有しない形状物に置き換えられてもよい。例えば、負極集電板1260及び負極延長板1261が棒形状、管形状等を有する形状物に置き換えられてもよい。
【0062】
負極ポール1262は、収容空間1200において負極延長板1261に結合され、箱1060の外部において負極ブスバー1065に結合される。負極ポール1262及び負極延長板1261は、電気的に導通する。負極ポール1262及び負極ブスバー1065は電気的に導通する。
【0063】
負極ポール1262がポール形状を有することは、負極ブス1063を経由する熱の出入りの抑制に寄与する。しかし、負極ポール1262がポール形状を有しない形状物に置き換えられてもよい。例えば、負極ポール1262が板形状を有する形状物に置き換えられてもよい。
【0064】
図3及び
図6に示されるように、負極ブスバー1065は、第1の側壁1100の外面1301の近傍に露出する。負極ブスバー1065には、第1の配線1022又は第2の配線1023が結合される。負極ブスバー1065を介さずに負極ポール1262及び第1の配線1022が箱1060の外部に置いて直結されてもよく負極ポール1262及び第2の配線1023が箱1060の外部において直結されてもよい。
【0065】
図4、
図6及び
図8に示されるように、負極集電板1260及び負極延長板1261は、収容空間1200に収容される。負極ポール1262は、第1の側壁1100を貫通する。
【0066】
負極集電板1260は、第3の側壁1102の内面1304に沿う。負極集電板1260は、第3の側壁1102の内面1304及びセル集合体1061の隙間に第3の側壁1102の内面1304に平行となるように配置される。負極延長板1261は、第1の側壁1100の内面1300に沿う。負極延長板1261は、第1の側壁1100の内面1300及びセル集合体1061の隙間に第1の側壁1100の内面1300と平行になるように配置される。
【0067】
図11及び
図12に示されるように、負極ポール1262は、負極延長板1261の下端1735寄りに結合される。負極集電板1260の前端1736は、負極延長板1261に接続され、上下方向DVに伸びる。負極集電板1260の後端1737は、上下方向DVから傾斜した方向に伸びる。負極集電板1260の前後方向DH2の長さは、上端1738寄りにおいて長く、下端1739寄りにおいて短い。これにより、負極集電板1260を収容空間1200に収容する作業が容易になる。
【0068】
(組み立ての容易さ)
図1に示されるように、第1の側壁1100の外面1301は、残りの39個のモジュール電池1021と対向しない。このため、第1の側壁1100の外面1301の近傍に露出する正極ブスバー1064及び負極ブスバー1065に第1の配線1022又は第2の配線1023が結合される場合は、モジュール電池1021への第1の配線1022又は第2の配線1023の結合が残りの39個のモジュール電池1021に妨げられず、電力貯蔵装置1000の組み立てが容易になる。
【0069】
(正極ブスの付属物)
図10に示されるように、正極ブス1062には、正極絶縁体1240、位置決め金具1241及びリベット1242が付属する。
【0070】
正極絶縁体1240は、内面被覆用のマイカ板1360、外面被覆用のマイカ板1361、ポール被覆用のマイカ板1362及びスペーサー用のマイカ板1363を備える。正極ブス1062の内面の大部分は内面被覆用のマイカ板1360に覆われる。正極ブス1062の外面の大部分は外面被覆用のマイカ板1361に覆われる。内面被覆用のマイカ板1360及び外面被覆用のマイカ板1361は、リベット1242により結合される。スペーサー用のマイカ板1363は、正極ブス1062の切り欠き1370の位置に配置される。正極ブス1062の切り欠き1370の位置においては、内面被覆用のマイカ板1360及び外面被覆用のマイカ板1361は、スペーサー用のマイカ板1363を挟んでリベット1242により結合される。
【0071】
(負極ブスの付属物)
図12に示されるように、負極ブス1063には、負極絶縁体1280、位置決め金具1281及びリベット1282が付属する。
【0072】
負極絶縁体1280は、内面被覆用のマイカ板1400、外面被覆用のマイカ板1401、ポール被覆用のマイカ板1402及びスペーサー用のマイカ板1403を備える。負極ブス1063の内面の大部分は内面被覆用のマイカ板1400により覆われる。負極ブス1063の外面の大部分は、外面被覆用のマイカ板1401により覆われる。内面被覆用のマイカ板1400及び外面被覆用のマイカ板1401は、リベット1282により結合される。スペーサー用のマイカ板1403は、負極ブス1063の切り欠き1410の位置に配置される。負極ブス1063の切り欠き1410の位置においては、内面被覆用のマイカ板1400及び外面被覆用のマイカ板1401は、スペーサー用のマイカ板1403を挟んでリベット1282により結合される。
【0073】
(ストリング間の接続)
図13の回路図は、モジュール電池を示す。
【0074】
図9、
図10及び
図13に示されるように、正極集電板1220は、p個の接続端子1320を備える。p個の接続端子1320は、正極集電板1220の上端1733にある。
図11、
図12及び
図13に示されるように、負極集電板1260は、p個の接続端子1340を備える。p個の接続端子1340は、負極集電板1260の上端1738にある。
【0075】
図13に示されるように、最も正極側の第1のストリング群1142_1に属するp個のストリング1160の各々の正極端1500は、p個の接続端子1320のいずれかに結合される。第1のストリング群1142_1に属するp個のストリング1160の各々の負極端1521は、第1の並列ブス1145_1に結合される。第1のストリング群1142_1に属するp個のストリング1160は正極集電板1220及び第1の並列ブス1145_1により並列接続され、第1のブロックが構成される。第1のブロックに電流が流れる場合は、第1のストリング群1142_1に属するp個のストリング1160に分かれて電流が流れる。
【0076】
整数iが2以上n−1以下である場合に、第iのストリング群1142_iに属するp個のストリング1160の各々の正極端1500は、第i−1の並列ブス1145_i−1に結合される。第iのストリング群1142_iに属するp個のストリング1160の各々の負極端1521は、第iの並列ブス1145_iに結合される。第iのストリング群1142_iに属するp個のストリング1160は第i−1の並列ブス1145_i−1及び第iの並列ブス1145_iにより並列接続され、第iのブロックが構成される。第iのブロックに電流が流れる場合は、第iのストリング群1142_iに属するp個のストリング1160に分かれて電流が流れる。
【0077】
最も負極側の第nのストリング群1142_nに属するp個のストリング1160の各々の正極端1500は、第mの並列ブス1145_mに結合される。第nのストリング群1142_nに属するp個のストリング1160の各々の負極端1521は、p個の接続端子1340のいずれかに電気的に結合される。第nのストリング群1142_nに属するp個のストリング1160は第mの並列ブス1145_m及び負極集電板1260により並列接続され、第nのブロックが構成される。第nのブロックに電流が流れる場合は、第nのストリング群1142_nに属するp個のストリング1160に分かれて電流が流れる。
【0078】
(ストリング内の接続)
図4から
図8までに示されるように、ストリング1160の各々においては、第1のヒューズ1184、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182、第4のセル1183及び第2のヒューズ1185が直列接続される。第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182及び第4のセル1183は、第1のセル接続子1186、第2のセル接続子1187及び第3のセル接続子1188により直列接続される。第1のセル接続子1186、第2のセル接続子1187及び第3のセル接続子1188の全部又は一部が省略され、セルの負極端子及びセルの正極端子が直結されてもよい。セルの直列数が増減されてもよい。第1のヒューズ1184及び第2のヒューズ1185の両方又は片方が省略されてもよい。
【0079】
ストリング1160に電流が流れる場合は、第1のヒューズ1184、第1のセル1180、第2のセル1181、第3のセル1182、第4のセル1183及び第2のヒューズ1185に電流が流れる。
【0080】
(ブスの性質)
正極ブス1062、m個の並列ブス1145_1,1145_2,・・・,1145_m、負極ブス1063、正極ブスバー1064、負極ブスバー1065等のブスは、低い電気抵抗、高い機械的強度及び高い耐熱性を持つ配線構造物であり、典型的には板形状又は棒形状を持つ。ただし、ブスの全部又は一部が他の種類の配線構造物に置き換えられてもよい。例えば、ブスの全部又は一部がケーブルに置き換えられてもよい。
【0081】
ブスは、望ましくは金属又は合金からなり、さらに望ましくはアルミニウム合金からなる。
【0082】
ストリング1160及びブスの接続並びにブス同士の結合は、溶接、かしめ、ねじ止め等のナトリウム−硫黄電池が動作する高温に耐える方法で行われる。これにより、ストリング1160及びブスが電気的に導通し、ブス同士が電気的に導通する。
【0083】
(位置決め)
図14の模式図は、正極位置決め機構の断面図である。
図15の模式図は、負極位置決め機構の断面図である。
【0084】
図14に示されるように、正極位置決め機構1580は、位置決め金具1241及びひっかけ部1600からなる。位置決め金具1241は、鉤形状を有し、箱1060に設けられるひっかけ部1600にひっかけられる。位置決め金具1241は、正極ブス1062の切り欠き1370の位置において外面被覆用のマイカ板1361にリベット1242により結合される。これにより、正極集電板1220が定位置より鉛直方向下方へ移動することが規制される。
【0085】
図15に示されるように、負極位置決め機構1620は、位置決め金具1281及びひっかけ部1640からなる。位置決め金具1281は、鉤形状を有し、箱1060に設けられるひっかけ部1640にひっかけられる。位置決め金具1281は、負極ブス1063の切り欠き1410の位置において外面被覆用のマイカ板1401にリベット1282により結合される。これにより、負極集電板1260が定位置より鉛直方向下方へ移動することが規制される。
【0086】
正極位置決め機構1580及び負極位置決め機構1620により、モジュール電池1021の構造が安定する。正極位置決め機構1580及び負極位置決め機構1620の両方又は片方が同等の機能を有する他の機構に置き換えられてもよい。
【0087】
(電圧の計測線)
図9に示されるように、正極集電板1220は、正極電圧の計測端子1321を備える。正極電圧の計測端子1321は、正極集電板1220の上端1733にある。
図11に示されるように、負極集電板1260は、負極電圧の計測端子1341を備える。負極電圧の計測端子1341は、負極集電板1260の上端1738にある。
図7及び
図8に示されるように、並列ブス1145_1,・・・,1145_m−1,1145_mは、それぞれ、中間電圧の計測端子1681_1,・・・,1681_m−1,1681_mを備える。
【0088】
箱1060には、引き出し孔1700が形成される。
【0089】
正極電圧の計測線1720は、正極電圧の計測端子1321に電気的に接続される。中間電圧の計測線1722_1,・・・,1722_m−1,1722_mは、それぞれ、中間電圧の計測端子1681_1,・・・,1681_m−1,1681_mに電気的に接続される。負極電圧の計測線1724は、負極電圧の計測端子1341に電気的に接続される。
【0090】
正極電圧の計測線1720、中間電圧の計測線1722_1,・・・,1722_m−1,1722_m及び負極電圧の計測線1724は、引き出し孔1700を経由して箱1060の外部に引き出される。正極電圧の計測線1720、中間電圧の計測線1722_1,・・・,1722_m−1,1722_m及び負極電圧の計測線1724は、n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの電圧を計測するために用いられる。
【0091】
正極電圧の計測端子1321、中間電圧の計測端子1681_1,・・・,1681_m−1,1681_m及び負極電圧の計測端子1341は、収容空間1200にある。これにより、n個のストリング群1142_1,1142_2,・・・,1142_nの電圧が正確に計測され、セルの故障が精度よく検出される。
【0092】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。したがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。