(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
細孔(すなわち、自由体積又は空隙)を有する重合体粒子が提供される。重合体粒子は、その重合体粒子の細孔中に吸着された活性剤を貯蔵する及び/又は送達するために使用することができる。重合体粒子は疎水性である傾向があり、疎水性活性剤との使用に適している。反応混合物及びその反応混合物から重合体粒子を形成する方法も提供される。
【0010】
第1の態様では、反応混合物が提供される。反応混合物は、重合体粒子を提供するために使用され得る。反応混合物は、1)連続相と、2)その連続相中の分散相と、を含む。連続相は、水及び水中に溶解した多糖類を含有する。分散相は、a)単量体混合物、及びb)ポリ(プロピレングリコール)を含む。単量体混合物は、i)疎水性であり、かつエチレン性不飽和基を有する、第1の単量体、及びii)ポリ(アルキレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートであり、かつ第1の単量体と混和性である、第2の単量体を含有する。ポリ(プロピレングリコール)は、少なくとも500g/モルの重量平均分子量を有し、第1の単量体及び第2の単量体と混和性である。
【0011】
連続相は水性媒体であり、水及び水中に溶解した多糖類を含有する。連続相は、典型的に分散相内での重合体粒子の重合に好適な粘性を提供するよう処方される。連続相の粘性が低すぎる場合、好適な形(例えば、ビーズ)を有する重合体粒子が形成されないであろう。しかしながら、連続相の粘性が高すぎると、連続相内で分散相を形成するのに必要なせん断力を提供することが困難であり得る。
【0012】
好適な多糖類は水に可溶性のものである。多糖類の量は多くの場合、多糖類の溶解度、及び多糖類を含有する連続相の粘性に基づく。多糖類の量は通常、それが連続相中に完全に溶解されるように選択される。多くの実施形態では、連続相は、水及び溶解した多糖類のみを含有する。
【0013】
連続相は、その連続相の総重量に基づいて最大50重量%の多糖類を含有し得る。例えば、連続相は、最大40重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の多糖類を含有し得る。連続相は典型的には、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%の多糖類を含む。ある実施形態では、連続相は、その連続相の総重量に基づいて5〜50重量%、5〜40重量%、10〜40重量%、5〜30重量%、10〜30重量%、5〜25重量%、10〜25重量%、又は15〜25重量%の多糖類を含有する。
【0014】
多糖類は例えば、水溶性デンプン又は水溶性セルロースであり得る。好適な水溶性デンプン及び水溶性セルロースは多くの場合、室温(すなわち、20〜25℃)で2重量%の水溶液について6〜10センチポアズの範囲内の粘性を有する。水溶性デンプンは通常、デンプンの部分的な酸加水分解により調製される。水溶性デンプンの例としては、例えば、Roquette(Lestrem,France)からの商品名LYCOATで市販されているものが挙げられる。水溶性セルロースの例としては、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース)、及びカルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
反応混合物は、連続相中に分散相を含む。分散相は典型的に、連続相内の液滴の形態であり、単量体混合物及びポリプロピレングリコールの両方を含む。各液滴内で単量体混合物が重合して、重合体粒子を形成する。ポリプロピレングリコールは、重合体粒子内に部分的に封入されるポロゲンとして作用する。ポリプロピレングリコールは重合性基を有さないので、この材料は重合体粒子の形成後に除去され得る。先に封入されたポリプロピレングリコールが除去されたとき、細孔(すなわち、空隙体積又は自由体積)が作られる。
【0016】
分散相の単量体混合物は、少なくとも2つの単量体を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「単量体」は重合性基を有する反応体を言う。第1の単量体は、典型的に単一の重合性基を有する。第2の単量体は、2つの重合性基を有する。重合性基はエチレン性不飽和基であり、典型的に式H
2C=CR
1−(CO)−の一価の基である(メタ)アクリロイル基であり、ここで、R
1は水素又はメチルであり、(CO)は酸素及び炭素が二重結合により結合されたカルボニル基を示す。多くの実施形態では、単量体混合物中の全ての単量体は、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する。本明細書中で使用されるとき、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレート単量体の両方を含む。エチレン性不飽和基をフリーラジカル重合にかけて、重合体粒子を形成する。
【0017】
第1の単量体は連続相中でごくわずかな溶解度しか有さず、(メタ)アクリロイル基等の単一の重合性基を有する。ある好適な第1の単量体は、式(I)のものを含む。
CH
2=CR
2−(CO)−O−Y−R
3
(I)
この式では、基R
2は水素又はメチルである。多くの実施形態では、R
2は水素である。基Yは、一重結合のアルキレン、オキシアルキレン、又はポリ(オキシアルキレン)である。基R
3は炭素環状基又はヘテロ環状基である。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「アルキレン」は、アルカンのラジカルであり、直鎖、分枝状、環状、二環状の基、又はそれらの組み合わせを含む、二価の基を指す。本明細書中で使用されるとき、用語「オキシアルキレン」は、アルキレン基に直接結合したオキシ基である二価の基を指す。本明細書中で使用されるとき、用語「ポリ(オキシアルキレン)」は、多数のオキシアルキレン基を有する二価の基を指す。好適なYアルキレン及びオキシアルキレン基は典型的に、1〜20個の炭素原子、1〜16個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。好適なポリ(オキシアルキレン)基は典型的に、2〜20個の炭素原子、2〜16個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、又は2〜4個の炭素原子を有する。
【0019】
炭素環状R
3基は単一の環を有し得、又は融合環若しくは二環状環等の多数の環を有し得る。各環は飽和、部分的に不飽和、又は不飽和であってよい。各環の炭素は、アルキル基で置換されても置換されなくてもよい。炭素環状基は多くの場合、5〜12個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、又は6〜10個の炭素原子を有する。炭素環状環の例としては、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソボルニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
ヘテロ環状R
3基は、単一の環、又は融合環若しくは二環状環等の多数の環を有し得る。各環は飽和、部分的に不飽和、又は不飽和であってよい。ヘテロ環状基は、酸素、窒素、又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する。ヘテロ環状基は多くの場合、3〜10個の炭素原子及び1〜3個のへテロ原子、3〜6個の炭素原子及び1〜2個のへテロ原子、又は3〜5個の炭素原子及び1〜2個のへテロ原子を有する。ヘテロ環状環の例としては、テトラヒドロフルフリルが挙げられるが、これに限定されない。
【0021】
第1の単量体としての使用のための式(I)の例示的な単量体としては、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート(商品名SR339及びSR340でSartomerから市販)、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート(商品名SR285及びSR203でSartomerから市販)、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート(商品名CD421及びCD421AでSartomerから市販)、及びエトキシル化ノニルフェノールアクリレート(商品名SR504、CD613、及びCD612でSartomerから市販)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
単量体混合物中の第2の単量体は、(メタ)アクリロイル基等の2つの重合性基を有する。この単量体は通常、ごくわずかな水溶性しか有さず、及び/又は水分散性である。第2の単量体は単量体混合物中の第1の単量体と混和性であり、典型的には式(II)のものである。
CH
2=CR
4−(CO)−O−[C
kH
2k−O]
n−(CO)−CR
4=CH
2
(II)
式(II)では、基R
4は水素又はメチルであり、変数kは2又は3のいずれかに等しく、変数nは少なくとも1に等しい整数である。ある実施形態では、変数nは、20以下、16以下、12以下、又は10以下の整数である。単量体のアルキレンオキシド部分(すなわち、基−[C
kH
2k−O]
n−)の数平均分子量は多くの場合、2000g/モル以下、1200g/モル以下、1000g/モル以下、800g/モル以下、600g/モル以下、400g/モル以下、又は200g/モル以下である。
【0023】
式(II)の好適な単量体は、エチレングリコールジメタクレートについて商品名SR206、ジエチレングリコールジメタクリレートについてSR231、トリエチレングリコールジメタクリレートについてSR205、テトラエチレングリコールジメタクリレートについてSR206、ポリエチレングリコールジメタクリレートについてSR210及びSR210A、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレートについてSR259、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレートについてSR603及びSR344、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレートについてSR252及びSR610、ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレートについてSR740、並びにプロピレングリコール(400)ジメタクリレートについてSR644でSartomer(Exton、PA、USA)から市販されている。
【0024】
ある実施形態では、単量体混合物中の唯一の単量体は、第1の単量体及び第2の単量体である。任意の好適な量の第1の単量体及び第2の単量体が使用され得る。単量体混合物は多くの場合、その単量体混合物の総重量に基づいて、10〜90重量%の第1の単量体と、10〜90重量%の第2の単量体と、を含有する。例えば、分散相は、単量体混合物の総重量に基づいて、20〜80重量%の第1の単量体及び20〜80重量%の第2の単量体、25〜75重量%の第1の単量体及び25〜75重量%の第2の単量体、30〜70重量%の第1の単量体及び30〜70重量%の第2の単量体、又は40〜60重量%の第1の単量体及び40〜60重量%の第2の単量体を含有し得る。
【0025】
より剛性を有する重合体粒子を提供するために、少なくとも3つの重合性基を有する第3の単量体を単量体混合物に加えてもよい。重合性基は典型的に、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基である。多くの実施形態では、第3の単量体は、3つの(メタ)アクリロイル基を有する。この単量体は通常、ごくわずかな水溶性しか有さず、及び/又は水分散性である。
【0026】
好適な第3の単量体としては、エトキシル化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR9035で市販)及びエトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR415で市販)等のエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名SR492で市販)及びプロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerから商品名CD501で市販)等のプロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerから商品名SR368及びSR368Dで市販)等のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、並びにプロポキシル化(3)グリセロールトリアクリレート(Sartomerから商品名SR9020及びSR9020HPで市販)等のプロポキシル化グリセリルトリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
第3の単量体が単量体混合物中に存在するとき、任意の好適な量の第1の単量体、第2の単量体、及び第3の単量体を使用することができる。この単量体混合物は多くの場合、その単量体混合物の総重量に基づいて、10〜89重量%の第1の単量体と、10〜89重量%の第2の単量体と、1〜20重量%の第3の単量体と、を含有する。例えば、単量体混合物は、10〜85重量%の第1の単量体と、10〜85重量%の第2の単量体と、5〜20重量%の第3の単量体と、を含有することができる。他の実施例では、単量体混合物は、20〜75重量%の第1の単量体と、20〜75重量%の第2の単量体と、5〜20重量%の第3の単量体と、を含有する。更に他の実施例では、単量体混合物は、30〜65重量%の第1の単量体と、30〜65重量%の第2の単量体と、5〜20重量%の第3の単量体と、を含有する。更に他の実施例では、単量体混合物は、40〜65重量%の第1の単量体と、30〜55重量%の第2の単量体と、5〜20重量%の第3の単量体と、を含有する。
【0028】
単量体混合物に加えて、分散相はポリ(プロピレングリコール)を含有する。ポリ(プロピレングリコール)は分散相内の単量体混合物中で可溶性であるが、連続相中ではごくわずかな溶解度しか有さない。ポリ(プロピレングリコール)は、重合体粒子中に細孔(例えば、空隙体積又は自由体積)を提供するために重合後に除去され得るポロゲンとして機能する。このポリ(プロピレングリコール)は重合性基を有さず(すなわち、それは単量体ではない)、かつ通常は、分散相内で形成する重合体粒子に共有結合されない。
【0029】
任意の好適な分子量のポリ(プロピレングリコール)をポロゲンとして使用することができる。分子量は、重合体粒子中に形成される細孔の大きさに影響し得る。すなわち、細孔の大きさは、ポリ(プロピレングリコール)の分子量に伴って増大する傾向がある。重量平均分子量は多くの場合、少なくとも500g/モル、少なくとも800g/モル、又は少なくとも1000g/モルである。ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量は、最大10,000g/モル、又はそれ以上であり得る。使用を容易にするために、室温で液体であるポリ(プロピレングリコール)が選択されることが多い。最大約4000g/モル又は5000g/モルの重量平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)は、室温で液体である傾向がある。室温で液体でないポリ(プロピレングリコール)は、アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、又はイソ−プロパノール)等の好適な有機溶媒中に初めに溶解される場合に使用することができる。ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量は多くの場合、500〜10,000g/モルの範囲内、1000〜10,000g/モルの範囲内、1000〜8000g/モルの範囲内、1000〜5000g/モルの範囲内、1000〜4000g/モルの範囲内である。
【0030】
分散相は、最大50重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有することができる。より多くの量のポリ(プロピレングリコール)が使用される場合、分散相中に含まれる単量体混合物の量は、均一に形作られる重合体粒子を形成するには不十分であり得る。多くの実施形態では、分散相は、その分散相の総重量に基づいて、最大45重量%、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、又は最大25重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有することができる。分散相は典型的に、少なくとも5重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。より少ない量のポリ(プロピレングリコール)が使用される場合、生ずる重合体粒子の有孔率は不十分であり得る。すなわち、その重合体粒子の空隙容量は、有効な量の活性剤を吸着する、及び送達するのに不十分であり得る。分散相は典型的に、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有することができる。ある実施形態では、分散相は、その分散相の総重量に基づいて、5〜50重量%、10〜50重量%、10〜40重量%、10〜30重量%、20〜50重量%、20〜40重量%、又は20〜30重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。
【0031】
ある実施形態では、分散相は、その分散相の総重量に基づいて、50〜90重量%の単量体混合物及び10〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)、60〜90重量%の単量体混合物及び10〜40重量%のポリ(プロピレングリコール)、50〜80重量%の単量体混合物及び20〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)、又は60〜80重量%の単量体混合物及び20〜40重量%のポリ(プロピレングリコール)を含有する。
【0032】
単量体混合物及びポリ(プロピレングリコール)に加えて、分散相は多くの場合、単量体混合物のフリーラジカル重合のための反応開始剤を含有する。本分野において既知の任意の好適な反応開始剤を使用することができる。反応開始剤は、熱反応開始剤、光反応開始剤、又はその両方であってよい。使用される特定の反応開始剤は多くの場合、分散相中でのその溶解度に基づいて選択される。反応開始剤は多くの場合、単量体混合物の重量に基づいて、0.1〜5重量%、0.1〜3重量%、0.1〜2重量%、又は0.1〜1重量%の濃度で使用される。
【0033】
熱反応開始剤が反応混合物に添加されると、重合体粒子は室温(すなわち、20〜25℃)で又は高温で形成され得る。重合に必要な温度は多くの場合、使用される特定の熱反応開始剤によって決まる。熱反応開始剤の例としては、有機過酸化物又はアゾ化合物が挙げられる。
【0034】
光反応開始剤が反応混合物に添加されると、重合体粒子は化学放射の適用により形成され得る。好適な化学放射としては、赤外線領域、可視領域、紫外線領域、又はそれらの組み合わせの領域での電磁放射線が挙げられる。
【0035】
紫外線領域において好適な光反応開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、及びアニソインメチルエーテル等の置換ベンゾインアルキルエーテル)、フェノン(例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、及び2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換α−ケトール)、ホスフィンオキシド、重合体光反応開始剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
市販の光反応開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR 1173で市販)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商標名DAROCUR 4265で市販)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE651で市販)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 1800で市販)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 1700で市販)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 907で市販)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 184で市販)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 369で市販)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 819で市販)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例えば、BASF(Charlotte、NC)から商品名LUCIRIN TPO−Lで市販)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF(Charlotte、NC)から商品名LUCIRIN TPOで市販)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
反応混合物は典型的に、界面活性剤を含まない。界面活性剤の存在は、連続相において単量体の溶解度を増大させる傾向がある。これは分散相内の重合体粒子の形成に有害であり得る。
【0038】
反応混合物は多くの場合、少なくとも10%の分散相と、最大90重量%の連続相と、を含む。ある実施形態では、反応混合物は10〜50重量%の分散相及び50〜90重量%の連続相、10〜40重量%の分散相及び60〜90重量%の連続相、10〜30重量%の分散相及び70〜90重量%の連続相を含有する。
【0039】
重合体粒子を調製するために、分散相の液滴が連続相中に形成される。分散相の構成成分は、連続相への添加前に混合されることが多い。例えば、単量体混合物、反応開始剤、及びポリ(プロピレングリコール)は共に配合することができ、その後、この配合した組成物を連続相に添加することができる。生ずる反応混合物は多くの場合、高せん断下で混合されて、微小エマルジョンを形成する。分散相液滴の大きさは、せん断力の量又は混合速度により制御され得る。液滴の大きさは、重合前に光学顕微鏡下に混合物のサンプルを設置することにより決定することができる。任意の所望の液滴の大きさが使用され得るが、平均液滴直径は多くの場合、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、又は5μm未満である。例えば、平均液滴直径は、1〜200μm、1〜100μm、5〜100μm、5〜50μm、5〜25μm、又は5〜10μmの範囲内であり得る。
【0040】
光反応開始剤が使用される場合、反応混合物は、所望の化学放射が貫通することができる厚みになるように、非反応性表面上に広げられることが多い。反応混合物は、液滴の融合を引き起こさない方法を用いて広げられる。例えば、反応混合物は押し出し方法を用いて形成され得る。多くの場合、化学放射は電磁スペクトルの紫外線領域内である。紫外線が反応混合物層の上部表面からのみ適用される場合、層の厚みは最大約10mmであり得る。反応混合物層が上部表面及び下部表面の両方から紫外線に露出される場合、その厚みは最大約20mm等、より大きくてもよい。単量体混合物を反応させ、重合体粒子を形成するのに十分な時間、反応混合物を化学放射にかける。反応混合物層は、化学放射源の強度及びその反応混合物層の厚みにより、多くの場合、5分以内、10分以内、20分以内、30分以内、45分以内、又は1時間以内に重合される。
【0041】
熱反応開始剤が使用される場合、液滴は反応混合物を混合し続ける間に重合され得る。あるいは、反応混合物は、任意の所望の厚みになるように非反応性表面上に広げられ得る。反応混合物層は、上部表面から、下部表面から、又は両方から加熱されて、重合体粒子を形成し得る。その厚みは多くの場合、紫外線等の化学放射の使用を伴うその使用に相当するよう選択される。
【0042】
多くの実施形態では、光反応開始剤は、より低い温度が重合に使用され得るので、熱反応開始剤より好ましい。すなわち、紫外線等の化学放射の使用は、熱反応開始剤での使用に必要とされる温度に感受性であり得る反応混合物の様々な構成成分の分解を最小限にするために使用することができる。更に、熱反応開始剤の使用に通常関連する温度は、連続相と分散相との間の反応混合物の様々な構成成分の溶解度を不必要に変える可能性がある。
【0043】
重合反応中、単量体混合物は、連続相中に懸濁された分散相液滴内で反応する。重合が進むにつれ、分散相中に含まれるポリ(プロピレングリコール)は重合体粒子内に部分的に封入される。ポリ(プロピレングリコール)のいくらかの部分が連鎖移動反応によって重合体粒子に共有結合され得ることが可能であるが、ポロゲンが重合体粒子に結合されていないことが好ましい。
【0044】
重合体粒子が形成された後、それらは連続相から分離され得る。任意の好適な分離方法を使用することができる。例えば、連続相の粘性を低下させるためには、多くの場合、水が添加される。重合体粒子は、デカンテーション、ろ過、又は遠心分離により分離することができる。重合体粒子は、水中にそれらを懸濁し、デカンテーション、ろ過、又は遠心分離により再びそれらを回収することにより、更に洗浄することができる。
【0045】
重合体粒子はその後、ポリ(プロピレングリコール)ポロゲンを除去するために、1回以上の洗浄工程にかけられ得る。ポロゲンを除去するために好適な溶媒には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、及びエタノール、n−プロパノール、又はイソ−プロパノール等のアルコールが挙げられる。別の言い方をすると、ポロゲンは溶媒抽出方法を用いて重合体粒子から除去される。ポロゲンが重合体粒子中で存在していたところに、細孔が作製される。重合体粒子の平均直径は、ポロゲンを除去すると減少する。ある実施形態では、平均粒子サイズはポロゲンの除去で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%減少する。
【0046】
多くの実施形態では、ポロゲンの除去後に生ずる重合体粒子は、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、又は5μm未満の平均直径を有する。例えば、重合体粒子は、1〜200μm、1〜100μm、5〜100μm、5〜50μm、5〜25μm、又は5〜10μmの範囲内の平均直径を有し得る。
【0047】
ポロゲンの除去後に生ずる重合体粒子は、通常、活性剤の吸着に好適である。重合体粒子を形成するために使用される単量体混合物中に含まれる単量体の疎水性の性質のために、その重合体粒子は疎水性活性剤の吸着に特に好適である。すなわち、重合体粒子は典型的には疎水性であり、容易に疎水性活性剤を吸着する傾向がある。
【0048】
特に興味深い、ある活性剤は、生物学的に活性な剤である。本明細書中で使用されるとき、用語「生物学的に活性な剤」は、例えば、細菌又はその他の微生物、植物、魚類、昆虫、又は哺乳類等の生物系に対してある既知の効果を有する化合物を言う。生物活性剤は、生物系の代謝に影響を及ぼす等の、生物系に影響を及ぼす目的で添加される。生物学的に活性な剤の例としては、薬物、除草剤、殺虫剤、抗菌剤、殺菌剤及び防腐剤、局所麻酔剤、収れん剤、抗真菌剤(すなわち、抗かび剤)、抗細菌剤、成長因子、薬草抽出物、酸化防止剤、ステロイド若しくはその他の抗炎症剤、創傷治癒を促進する化合物、血管拡張剤、剥離剤、酵素、タンパク質、炭水化物等が挙げられるが、これらに限定されない。更に他の生物活性剤には、人工日焼け剤、日焼け加速剤、皮膚をなめらかにする剤、皮膚引き締め剤、抗しわ剤、皮膚修復剤、かゆみ止め剤、育毛剤、抗ニキビ剤、脱毛剤、うおのめ除去剤、たこ除去剤、いぼ除去剤、日焼け止め剤、虫除け剤、防臭剤及び発汗抑制剤、染毛剤又は脱色剤、並びに抗ふけ剤が挙げられる。本分野において既知の任意のその他の好適な生物学的に活性な剤を使用することができる。ある特定の実施形態では、活性剤は、除草剤、殺虫剤、又は抗かび剤である。
【0049】
ポロゲンが除去されたら、活性剤を重合体粒子内に吸着させるために、任意の好適な方法を使用することができる。ある実施形態では、活性剤は液体であり、活性剤を吸着するために重合体粒子をその液体と混合する。他の実施形態では、活性剤は好適な有機溶媒中に溶解され、重合体粒子は生ずる溶液に曝露される。有機溶媒は通常、その有機溶媒が重合体粒子を溶解しないように選択される。有機溶媒が使用されるとき、活性剤に加えて、少なくともいくらかの有機溶媒が、重合体粒子に吸着され得る。
【0050】
活性剤が有機溶媒中に溶解されるとき、その濃度は通常、好適な量の活性剤の重合体粒子上への吸着に必要とされる時間を短くするために可能な限り大きいよう選択される。吸着される活性剤の量及び吸着に必要とされる時間は多くの場合、例えば、重合体粒子を形成するのに使用される単量体の組成、重合体粒子の剛性(例えば、架橋結合の量)、及び重合体粒子に対する活性剤の適合性によって決まる。吸着時間は多くの場合、24時間未満、18時間未満、12時間未満、8時間未満、4時間未満、2時間未満、1時間未満、30分未満、15分未満、又は5分未満である。吸着後、粒子は典型的には、デカンテーション、ろ過、又は遠心分離により、活性剤を含有する溶液から分離される。
【0051】
重合体粒子は、疎水性活性剤の貯蔵のために特に有効である。例えば疎水性除草剤、疎水性殺虫剤、疎水性抗かび剤、又はそれらの混合物等の液体形態の疎水性活性剤と接触するとき、疎水性活性剤は重合体粒子に容易に吸収され得る。別の言い方をすると、重合体粒子はスポンジのように機能して、疎水性活性剤を吸着する。
【0052】
吸着される活性剤の量は、吸着後の重合体粒子(すなわち、重合体粒子+吸着された活性剤)の総重量に基づいて、最大50重量%であり得る。吸着後のある例示的な重合体粒子では、活性剤の量は、最大40重量%、最大30重量%、25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%であり得る。吸着後のある重合体粒子は、1〜50重量%の活性剤、5〜50重量%の活性剤、1〜40重量%の活性剤、5〜40重量%の活性剤、10〜40重量%の活性剤、又は20〜40重量%の活性剤を含有する。
【0053】
吸着された活性剤を伴う重合体粒子は、水中に懸濁されることができる。ある実施形態では、活性剤は疎水性であり、重合体粒子から水中へ抽出されない。懸濁物は、ローションの形態であることができる。懸濁物(例えば、ローション)は、吸着された活性剤を伴う、最大50重量%の重合体粒子を含有し得る。例えば、懸濁物は、吸着された活性剤を伴う、最大40重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、又は最大10重量%の重合体粒子を含有することができる。
【0054】
活性剤は、重合体粒子に共有結合されていない。好適な拡散制御条件下では、活性剤は重合体粒子から放出され得る。放出は完全、又はほとんど完全であり得る(例えば、90%超、95%超、98%超、99%超完全)。
【0055】
反応混合物、重合体粒子、重合体粒子の作製方法、及び重合体粒子を含有する懸濁物を含む様々な項目が提供される。
【0056】
項目1は、1)連続相と、2)その連続相中の分散相と、を含む反応混合物である。連続相は、水及び水中に溶解した多糖類を含有する。分散相は、a)単量体混合物、及びb)ポリ(プロピレングリコール)を含む。単量体混合物は、i)疎水性であり、かつエチレン性不飽和基を有する、第1の単量体、及びii)ポリ(アルキレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートであり、かつ第1の単量体と混和性である、第2の単量体を含有する。ポリ(プロピレングリコール)は、少なくとも500g/モルの重量平均分子量を有し、第1の単量体及び第2の単量体と混和性である。
【0057】
項目2は、連続相が、連続相の総重量に基づいて10〜30重量%の多糖類を含む、項目1に記載の反応混合物である。
【0058】
項目3は、反応混合物が、反応混合物の総重量に基づいて10〜50重量%の分散相を含む、項目1又は2に記載の反応混合物である。
【0059】
項目4は、単量体混合物が、単量体混合物の総重量に基づいて、10〜90重量%の第1の単量体と、10〜90重量%の第2の単量体と、を含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の反応混合物である。
【0060】
項目5は、単量体混合物が、少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する第3の単量体を更に含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の反応混合物である。
【0061】
項目6は、分散相が、単量体混合物の総重量に基づいて、10〜89重量%の第1の単量体と、10〜89重量%の第2の単量体と、1〜20重量%の第3の単量体と、を含む、項目5に記載の反応混合物である。
【0062】
項目7は、分散相が、分散相の総重量に基づいて、50〜90重量%の単量体混合物と、10〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)と、を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の反応混合物である。
【0063】
項目8は、ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量が500〜10,000g/モルの範囲内である、項目1〜7のいずれか一項に記載の反応混合物である。
【0064】
項目9は、重合体粒子の作製方法である。本方法は、a)単量体混合物、及びb)ポリ(プロピレングリコール)を含有する配合組成物を調製するステップを含む。単量体混合物は、i)疎水性であり、かつエチレン性不飽和基を有する、第1の単量体、及びii)ポリ(アルキレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートであり、かつ第1の単量体と混和性である、第2の単量体を含有する。ポリ(プロピレングリコール)は、少なくとも500g/モルの重量平均分子量を有し、第1の単量体及び第2の単量体と混和性である。本方法は、水及び水中に溶解した多糖類を含有する連続相中にその配合組成物を分散させることにより、反応混合物を形成するステップを更に含む。本方法は、反応混合物内で単量体混合物を硬化して、ポリ(プロピレングリコール)を含有する重合体粒子を形成するステップと、その後、重合体粒子からポリ(プロピレングリコール)を除去して、重合体粒子内に細孔を形成するステップと、を更に含む。
【0065】
項目10は、重合体粒子の自由体積内に疎水性活性剤を吸着して、活性剤含有重合体粒子を形成するステップを更に含む、項目9に記載の方法である。
【0066】
項目11は、水性媒体中に活性剤含有重合体粒子を懸濁するステップを更に含む、項目10に記載の方法である。
【0067】
項目12は、その活性剤が生物学的に活性である、項目10又は11に記載の方法である。
【0068】
項目13は、反応混合物が、反応混合物の総重量に基づいて10〜50重量%の分散相を含む、項目9〜12のいずれか一項に記載の方法である。
【0069】
項目14は、単量体混合物が、単量体混合物の総重量に基づいて、10〜90重量%の第1の単量体と、10〜90重量%の第2の単量体と、を含む、項目9〜13のいずれか一項に記載の方法である。
【0070】
項目15は、単量体混合物が、少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する第3の単量体を更に含む、項目9〜14のいずれか一項に記載の方法である。
【0071】
項目16は、分散相が、単量体混合物の総重量に基づいて、10〜89重量%の第1の単量体と、10〜89重量%の第2の単量体と、1〜20重量%の第3の単量体と、を含む、項目15に記載の方法である。
【0072】
項目17は、分散相が、分散相の総重量に基づいて、50〜90重量%の単量体混合物と、10〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)と、を含む、項目9〜16のいずれか1項に記載の方法である。
【0073】
項目18は、ポリ(プロピレングリコール)の重量平均分子量が500〜10,000g/モルの範囲内である、項目9〜17のいずれか1項に記載の方法である。
【0074】
項目19は、連続相が、連続相の総重量に基づいて10〜30重量%の多糖類を含む、項目9〜18のいずれか1項に記載の方法である。
【0075】
項目20は、i)疎水性であり、かつエチレン性不飽和基を有する、第1の単量体、及びii)ポリ(アルキレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートであり、かつ第1の単量体と混和性である、第2の単量体を含有する単量体混合物の反応生成物を含む、重合体粒子である。本重合体粒子は、ポリ(プロピレングリコール)又は疎水性活性剤を包含する細孔を有する。
【0076】
項目21は、疎水性活性剤が生物学的に活性である、項目20に記載の重合体粒子である。
【0077】
項目22は、重合体粒子が、重合体粒子の総重量に基づいて10〜50重量%のポリ(プロピレングリコール)又は疎水性活性剤を含む、項目20又は21に記載の重合体粒子である。
【0078】
項目23は、重合体粒子の平均直径が1〜200μmの範囲内である、項目20〜22のいずれか一項に記載の重合体粒子である。
【0079】
項目24は、重合体粒子の平均直径が5〜20μmの範囲内である、項目20〜23のいずれか一項に記載の重合体粒子である。
【0080】
項目25は、水及び懸濁物の総重量に基づいて最大50重量%の重合体粒子を含む、懸濁物である。本重合体粒子は、i)疎水性であり、かつエチレン性不飽和基を有する、第1の単量体、及びii)ポリ(アルキレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートであり、かつ第1の単量体と混和性である、第2の単量体を含有する、単量体混合物の反応生成物を含む。本重合体粒子は、疎水性活性剤を包含する細孔を有する。
【0081】
項目26は、疎水性活性剤が生物学的に活性な剤である、項目25に記載の懸濁物である。
【0082】
項目27は、疎水性活性剤が、除草剤、殺虫剤、又は抗かび剤である、項目25又は26に記載の懸濁物である。
【実施例】
【0083】
特に指示がない限り、実施例中で使用される全ての化学物質はSigma−Aldrich Corp.(Saint Louis、MO)から得ることができる。
【0084】
【表1】
【0085】
(実施例1)
単量体SR 339(5g)及びSR 6030(5g)をPPG(4.3g)及びIRGACURE 819(20mg)と混合した。この混合物を約40〜50℃の弱火の上で20分間激しく攪拌した。その後、混合物を190gの20重量% HPMC水溶液に添加した。混合物を20分間せん断混合した。その後、混合物を100μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上に薄く広げた。そのようなフィルムは、商品名ST 500でDuPont(Wilmington、DE、US)から市販されている。硬化反応混合物の表面から約15cm(6インチ)のところに置かれた(Upland、CA、USAのUVP,LLCから得られた)100ワット、長波長のBLACK RAY UVランプを使用して、15〜20分間紫外光で、混合物を硬化した。
【0086】
その後、硬化した混合物を過剰の水(400mL)中に分散させ、30分間振騰し、(Eppendorf、Germanyから得られた)EPPENDORF 5810 R遠心分離器で3000rpmにて遠心分離した。HPMCを含有する上清を除去し、生ずる重合体粒子をその後、2回目のすすぎのために50mLの水中に再懸濁し、遠心分離した。この後、その重合体粒子を50mLのイソプロピルアルコール中に懸濁し、20分間振騰した。これによりPPGが抽出され、重合体粒子中に空隙(すなわち、細孔又は自由体積)を残した。次いで重合体粒子を300rmpで30分間遠心分離し、上清を捨てた。重合体粒子中の空隙の容量(すなわち、細孔の容量)は除去されたPPGの体積に等しかった。
【0087】
図1は、PPGの除去前の重合体粒子の500倍拡大の走査型電子顕微鏡写真である。
図2は、PPGの除去後の重合体粒子の500倍拡大の走査型電子顕微鏡写真である。
図3は、PPGの除去後の重合体粒子の5000倍拡大の走査型電子顕微鏡写真である。
【0088】
(実施例2)
単量体SR 339(4g)及びSR 368(3g)及びSR 206(1g)をPPG(4.3g)及びIRGACURE 819(20mg)と混合した。混合物を約40〜50℃の弱火上で20分間激しく攪拌した。この混合物をその後、190gの20重量% HPMC水溶液に添加した。混合物を20分間せん断混合した。その後、混合物を100μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上に薄く広げた。硬化材料の表面から約15cmのところに置かれた(Upland、CA、USAのUVP,LLCから得られた)100ワット、長波長のBLACK RAY UVランプを使用して、15〜20分間紫外光で、混合物を硬化した。
【0089】
その後、硬化した混合物を過剰の水(400mL)中に分散させ、30分間振騰し、EPPENDORF 5810 R遠心分離器で3000rpmにて遠心分離した。HPMCを含有する上清を除去し、生ずる重合体粒子をその後、2回目のすすぎのために50mLの水中に再懸濁し、遠心分離した。この後、その重合体粒子を50mLのイソプロピルアルコール中に懸濁し、20分間振騰した。これによりPPGが抽出され、重合体粒子中に空隙(すなわち、細孔又は自由体積)を残した。次いで重合体粒子を300rmpで30分間遠心分離し、上清を捨てた。重合体粒子中の空隙の体積(すなわち、細孔又は自由体積)は除去されたPPGの体積に等しかった。
【0090】
(実施例3)
実施例1で説明されるように調製された重合体粒子(1g)を液体DEET(0.2g)と混合した。液体DEETは重合体粒子に完全に吸着された。吸着後、重合体粒子は17重量%のDEETを含有していた。
【0091】
吸着したDEETを有する重合体粒子を水(3g)と合わせて、ローションを形成させた。次いでこのローションをアセトンで抽出し、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)により分析した。DEETの抽出は100%であった。
【0092】
より具体的には、100mgのローションを10mLのアセトンと混合した。その混合物を機械的手首動作振騰器上で20時間振騰し、次いで遠心分離した(6000rpmで10分間)。必要に応じてサンプルを更に希釈して、DEETの校正曲線の応答範囲内にした。Hewlett Packardから市販されているシステム(Model HP6890)を用いて電子衝突モードで操作して、GC−MS分析を行った。サンプルを30mのAGILENT J&W DB−5MS 122−5532毛細管を用いて分離した。カラム温度は、10℃/分の線形速度で40℃(1分間の保持時間)から310℃まで上昇し、最終保持時間は5分間であった。ヘリウムを1.5mL/分の一定流速で担体気体として使用した。サンプルの大きさは10μLであった。インジェクタを40:1の分割比で操作し、250℃まで加熱した。DEETの保持時間は15.1分であった。