特許第6127075号(P6127075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6127075-バックアップバッテリ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6127075
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】バックアップバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170424BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20170424BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20170424BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   H02J7/00 B
   H02J9/06 120
   H02J7/02 X
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H01M10/48 Z
   H02J7/00 Y
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-19577(P2015-19577)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-39772(P2016-39772A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】103126703
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】顔 維廷
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−042752(JP,A)
【文献】 特開2006−153663(JP,A)
【文献】 特開2002−118983(JP,A)
【文献】 特開2009−112180(JP,A)
【文献】 特開2014−054141(JP,A)
【文献】 特表2014−517983(JP,A)
【文献】 国際公開第02/050927(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0274280(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0113959(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0033692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
H02J 7/02
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセル、
コンピュータプログラムを保存する記憶媒体、および
前記コンピュータプログラムを実行して、前記バッテリーセルの動作状態を監視し、前記バッテリーセルの動作状態に応じて、1つ以上の出力信号を選択的に生成するプロセッサを含み、
180日の期間が過ぎ、且つ前記バッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の70%より低いとき、前記プロセッサは、前記バッテリーセルの開放電圧、自己放電率、およびインピーダンス値を校正する、バックアップバッテリ。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記バッテリーセルの使用可能な容量がその最大電池容量の80%以下であるように設定し、前記バッテリーセルがその最大充電量の70%に充電されたとき、前記プロセッサは、フルチャージ指示信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項3】
前記バッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の30%以下のとき、前記プロセッサは、第1レベル信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項4】
前記バッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の50%以下のとき、前記プロセッサは、第2レベル信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項5】
前記バッテリーセルが5年以上使用されているとき、前記プロセッサは、第3レベル信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項6】
前記バッテリーセルの電圧、電流、または温度が許容値より大きいとき、前記プロセッサは、一時障害信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項7】
前記バッテリーセルに接続されたヒューズが溶けたとき、前記プロセッサは、固定障害信号を出力する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項8】
前記バッテリーセルは、電力をシステムエンドに提供し、
前記プロセッサが前記システムエンドからパワーダウン信号を受信したとき、前記プロセッサは、前記バッテリーセルを制御して、前記電力を提供するのを停止させる請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【請求項9】
前記プロセッサは、発光ダイオードを制御し、前記出力信号に応じて閃光信号を生成する請求項1に記載のバックアップバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップバッテリに関し、特に、システムの信頼性を向上させるスマートバックアップバッテリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型のシステムでは、バックアップバッテリは、システムの交流(AC)電源が停電したときにバックアップ電力を提供することができる、シンプルな無停電電源(UPS)として用いられる。しかしながら、バックアップバッテリは、フルチャージされた状態で保たれ、且つ高温環境において動作されるため、一般のバッテリーの電池寿命より短い電池寿命を有する。従って、どのように高い信頼性を有し、長時間使用できる新たなバックアップバッテリを設計者が設計するかが重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
システムの信頼性を向上させるスマートバックアップバッテリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
望ましい実施形態では、本発明は、バッテリーセル、記憶媒体、およびプロセッサを含むバックアップバッテリを対象にしている。記憶媒体は、コンピュータプログラムを保存するように構成される。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行して、バッテリーセルの動作状態を監視する。プロセッサは、バッテリーセルの動作状態に応じて、1つ以上の出力信号を選択的に生成する。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、バッテリーセルの使用可能な容量がその最大電池容量の80%以下となるように設定し、バッテリーセルがその最大充電量の70%に充電されたとき、プロセッサは、フルチャージ指示信号を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の30%以下のとき、プロセッサは、第1レベル信号を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の50%以下のとき、プロセッサは、第2レベル信号を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルが5年以上使用されているとき、プロセッサは、第3レベル信号を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルの電圧、電流、または温度が許容値より大きいとき、プロセッサは、一時障害信号を出力する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルに接続されたヒューズが溶けたとき、プロセッサは、固定障害信号を出力する。いくつかの実施形態では、180日の期間が過ぎ、且つバッテリーセルの残り電荷量がその最大充電量の70%より低いとき、プロセッサは、バッテリーセルの開放電圧、自己放電率、およびインピーダンス値を校正する。いくつかの実施形態では、バッテリーセルは、電力をシステムエンドに提供し、プロセッサがシステムエンドからパワーダウン信号を受信したとき、プロセッサは、バッテリーセルを制御して、電力を提供するのを停止させる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、発光ダイオードを制御し、出力信号に応じて閃光信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面とともに以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解できる。
図1】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの図である。
図2】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの図である。
図3】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの充電プロセスのフローチャートである。
図4A】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの放電プロセスのフローチャートである。
図4B】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの放電プロセスのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの校正プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態の目的、特徴、および利点を示すために、本発明の実施形態および図が以下に詳述される。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係るバックアップバッテリ100の図である。バックアップバッテリ100は、大型のシステムまたはポイントオブセールス(POS)システムに応用され、バックアップ電力を提供するのに用いられることができる。図1に示されるように、バックアップバッテリ100は、バッテリーセル110、記憶媒体120、およびプロセッサ130を含む。バッテリーセル110は、直列接続された複数の蓄電素子を含むことができ、一般的なバッテリー充電またはバッテリー放電の機能を実行するのに用いられることができる。記憶媒体120は、コンピュータプログラムを保存するレジスタまたはメモリであることができる。プロセッサ130は、記憶媒体120のコンピュータプログラムを実行し、バッテリーセル110の動作状態を監視することができる。プロセッサ130は、バッテリーセル110の動作状態に応じて、1つ以上の出力信号SEを選択的に生成することができるため、バックアップバッテリ100に接続されたシステムは、出力信号SEに応じて、バッテリーセル110の動作状態の情報を得ることができる。
【0009】
図2は、本発明の実施形態に係るバックアップバッテリ200の図である。図2は、より詳細にバックアップバッテリ200のインナー構造を更に詳述する。図2の実施形態では、バックアップバッテリ200は、バッテリーセル110、記憶媒体120、およびプロセッサ130、充電スイッチ140、放電スイッチ150、検出抵抗器160、およびヒューズ170を含む。バッテリーセル110、記憶媒体120、およびプロセッサ130は、図1の実施形態に説明されている。充電スイッチ140と放電スイッチ150の各々は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)で実行されることができる。プロセッサ130は、充電スイッチ140と放電スイッチ150を切り換えることでバックアップバッテリ200の電源モードを制御する。プロセッサ130は、検出抵抗器160の電圧および電流を監視することによって、バッテリーセル110の電圧および電流の情報を更に得る。ヒューズ170は、バッテリーセル110が過大な電流をローディングし、破損されることから防ぐように構成される。いくつかの実施形態では、バックアップバッテリ200は、環境温度を検出する温度計(図示されていない)を更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、バックアップバッテリ200は、システムエンド220に接続される。システムエンド220は、大型のシステムまたはPOSシステムであることができる。通常、システムエンド220は、AC電力供給源230によって供給される。AC電力供給源230に電源遮断の事態が起った場合、バックアップバッテリ200は、バックアップ電力をシステムエンド220に供給し、最終のデータ保存のために用いられる。より具体的に言えば、バックアップバッテリ200の正出力端子TPと負出力端子TNは、共にシステムエンド220に接続されるため、これらの端子は、それらの間にバックアップ出力電圧差を提供する。また、バックアップバッテリ200のデータ伝送端末DATAとクロック伝送端末CLKもシステムエンド200に接続され、システムエンド220は、これらの伝送端末によって信号コンテンツをバックアップバッテリ200と通信し、交換することができる。システムエンド220は、通常、高温で密閉された環境に置かれるため、使用されていないバックアップバッテリ200は、常にフルパワー状態に保たれ、この環境条件は、バックアップバッテリ200の使用時間を短縮させ易い。上述の問題を解決するために、本発明は、バックアップバッテリ200のプロセッサ130が自動的にバッテリーセル110に関連して出力信号SEを出力するようにさせるスマートな設計を提供する。これにより、システムエンド220は、出力信号SEを分析し、バッテリーセル110の動作状態の情報を得ることができる。バッテリーセル110が老化している、または容量が不十分である場合、システムエンド220は、そのことを知らせ、事前に必要な準備をする。いくつかの実施形態では、プロセッサ130は、表示装置に更に接続され、表示装置は、出力信号SEに応じてバッテリーセルの動作状態の情報を表示する。もう1つの実施形態では、プロセッサ130は、発光ダイオード(LED)180を制御し、出力信号SEに応じて閃光信号を生成する。操作者は、表示装置またはLEDに表示されたメッセージを読むことでバックアップバッテリ200が修理または交換を必要とするかどうかを知ることができる。
【0011】
以下の実施形態は、プロセッサ130によって出力される種々の出力信号SEを説明している。理解すべきは、本実施形態は単に例示的なものであり、本発明に限定されるものではないことである。
【0012】
プロセッサ130の出力信号SEは、フルチャージ信号、第1レベル信号、第2レベル信号、第3レベル信号、一時障害信号、および固定障害信号を含む。安全マージンを増加させるために、バッテリーセル110は、ダウングレードされて用いられることができ、プロセッサ130は、バッテリーセル110の使用可能な容量がその最大電池容量の80%以下となるように設定することができる。例えば、バッテリーセル110が2800mAh(ミリアンペア時)の最大電池容量を有する場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110の使用可能な容量を2200mAh(2200/2800=78.6%<80%)に設定することができる。言い換えれば、バッテリーセル110の最大充電量は、2800mAhでなく、2200mAhとなる。バッテリーセル110がその最大充電量の70%に充電されたとき、プロセッサ130は、フルチャージ指示信号を出力する。この70%のフルチャージ指示は、バックアップバッテリ200が従来の電池と同様に、その最大充電量の95%に充電されることから防ぐことができる。このため、本発明のバックアップバッテリ200は、より長い使用時間を有することができる。もう1つの実施形態は、70%のフルチャージ指示は、80%または60%のフルチャージ指示と置き換えることができ、同様のレベルの効果も得ることができる。プロセッサ130は、内蔵カウンタを含むことができる。バッテリーセル100が5年以上使用されている(またはバッテリーセル110が工場から出荷されて5年を超えている)とカウンタが示したとき、プロセッサ130は、第3レベル信号(レベル3)を出力する。プロセッサ130は、バッテリーセル110の残り電荷量を更に監視することができる。バッテリーセル110の残り電荷量がその最大充電量の50%以下のとき、プロセッサ130は、第2レベル信号(レベル2)を出力する。また、バッテリーセル110の残り電荷量がその最大充電量の30%以下のとき、プロセッサ130は、第1レベル信号(レベル1)を出力する。上述のレベル信号は、操作者にバッテリーセル110の安全条件を知らせるように用いられる。高いレベルから低いレベルの優先順序は、第1レベル信号、第2レベル信号と、第3レベル信号である。例えば、プロセッサ130が第1レベル信号を出力した場合、バッテリーセ
ル110の残り電荷量は、システムエンド220が最終のデータ保存のプロセスを実行するのに十分でなく、操作者は、即時にバックアップバッテリ200を置き換えてデータロスを避けるようにしなければならないということを意味する。一方、バッテリーセル110の電圧、電流、または温度が許容値より大きいとき、プロセッサ130は、一時障害信号を出力し、バックアップバッテリ200が回復をする間、使用を一時中止しなければならないことを示す。バッテリーセル110に接続されたヒューズ170が溶けたとき、プロセッサ130は、固定障害信号を出力し、バックアップバッテリ200が破損されて再使用不可となっていることを示す。バッテリー状態および出力信号を監視する上述のステップは、適切なコンピュータプログラムコードを記憶媒体120内に書き込み、そのコンピュータプログラムコードをプロセッサ130で実行することによって行われることができる。もう1つの実施形態では、記憶媒体120、プロセッサ130、およびコンピュータプログラムコードは、特定の組合せ論理回路とシーケンス回路で実施される。
【0013】
いくつかの実施形態では、LED180は、表1のように異なる出力信号SEを表示する。
【表1】
【0014】
もう1つの実施形態では、システムエンド220は、表2に示されるように異なる出力信号SEを表示する。
【表2】
【0015】
図3は、本発明の実施形態に係るバックアップバッテリ200の充電プロセスのフローチャートである。まず、ステップS302では、バックアップバッテリ200は、システムエンド220に接続される。ステップS304では、システムエンド220は、データ伝送端末DATAによって信号を伝送し、バックアップバッテリ200が通信可能であるかどうかをチェックする。可能な場合、ステップS306では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200にプリチャージプロセスを行う。次に、ステップS308では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200に通常の充電プロセスを行い、データ伝送端末DATAによって、バックアップバッテリ200との通信を続行する(例えば、システムエンド220は、システム信号SIをバックアップバッテリ200に送信することができ、バックアップバッテリ200は、1つ以上の出力信号SEをシステムエンド220に送信して互いに通信することができる)。ステップS310では、システムエンド220は、一時障害信号がバックアップバッテリ200から受信されたかどうかをチェックする。受信される場合、ステップS312では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200への充電を一時的に停止し、手順は、ステップS308に戻る。受信されない場合、ステップS314では、システムエンド220は、固定障害信号がバックアップバッテリ200から受信されたかどうかチェックする。受信される場合、ステップS318では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200が破損されて再使用不可であるかどうかを判定する。受信されない場合、ステップS320では、システムエンド220は、フルチャージ指示信号がバックアップバッテリ200から受信されたかどうかをチェックする。受信されない場合、手順は、ステップS308に戻る。受信される場合、ステップS322では、システムエンド220は、充電プロセスが完了したかを判定する。一方、仮にステップS304でシステムエンド220がバックアップバッテリ200が通信不能であると判定した場合、ステップS324では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200に起動プロセスを行う。次に、ステップS326では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200が通信可能であるかどう
かを再チェックする。可能である場合、手順はステップS306に進む。可能でない場合、ステップS328では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200が待機時間よりも長い期間、通信不能であったかどうかをチェックする。通信不能でなかった場合、手順は、ステップS324に戻る。通信不能であった場合、ステップS318では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200が破損されて再使用不可であるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、システムエンド220およびバックアップバッテリ200は、無停電電源システムを形成し、システムエンド220は、コンピュータプログラムコードを保存するシステム記憶媒体と、プログラムを実行するシステムプロセッサを更に含んで、本発明の各ステップを行う。
【0016】
図4A図4Bは、本発明の実施形態に係るバックアップバッテリの放電プロセスのフローチャートである。まず、ステップS402では、バックアップバッテリ200は、放電を始める。この時、バックアップバッテリ200はシステムエンド220に接続されていなければならない。ステップS404では、バックアップバッテリ200のプロセッサは、AC電力供給源230が存在し、正常に機能するかどうかをチェックする。正常に機能する場合、ステップS406では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200に充電プロセスを行う。充電プロセスは、図3の実施形態で説明されている。正常に機能しない場合、ステップS408では、プロセッサ130は、バッテリーセル110の残り電荷量が0%以上であるかどうかをチェックする。0%以上でない場合、ステップS410では、プロセッサ130は、バックアップバッテリ200が使用可能でないことをシステムエンド220に知らせる。0%以上である場合、ステップS412では、プロセッサ130は、パワーダウン信号がシステムエンド220から受信されたかどうかをチェックする。0%以上である場合、ステップS406では、プロセッサ130は、バッテリーセル110を制御して、電力を提供するのを停止させ、システムエンド220は、充電プロセスをバックアップバッテリ200に行う。0%以上でない場合、ステップS414では、プロセッサ130は、データ伝送端末DATAによって、システムエンド220と通信をする(例えば、システムエンド220は、システム信号SIをバックアップバッテリ200に送信することができ、バックアップバッテリ200は、1つ以上の出力信号SEをシステムエンド220に送信して互いに通信することができる)。いくつかの実施形態では、システムエンド220がバックアップバッテリ200の電力を用いて最終のデータ保存プロセスを完了したとき、システムエンド220は、パワーダウン信号をバックアップバッテリ200に送信し、放電プロセスを停止させる。次いで、バックアップバッテリ200は、充電状態に回復することができる。ステップS416では、システムエンド220は、一時障害信号または固定障害信号がバックアップバッテリ200から受信されたかどうかチェックする。一時障害信号が受信される場合、ステップS418では、シス
テムエンド220は、バックアップバッテリ200を制御し、放電を一時的に停止し、手順は、ステップS414に戻る。固定障害信号が受信された場合、ステップS420では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200が破損されて再使用不可であるかどうかを判定する。異常信号が受信されなかった場合、ステップS422では、システムエンド220は、第1レベル信号、第2レベル信号、または第3レベル信号がバックアップバッテリ200から受信されたかどうかをチェックする。第2レベル信号または第3レベル信号が受信された場合、またはどのレベル信号も受信されなかった場合、これは、バッテリーセル110が正常であるか、老化しているか、または充電量が不十分であるが、使用可能であるということを意味しており、その手順は、ステップS414に戻る。第1レベル信号が受信された場合、バックアップバッテリ200の残り電荷量が最終のデータ保存のプロセスを完了するのに十分でないことを示しており、ステップS424では、システムエンド220は、バックアップバッテリ200を電源遮断する。
【0017】
図5は、本発明の実施形態に係るバックアップバッテリ200の校正プロセスのフローチャートである。まず、ステップS502では、バックアップバッテリ200のプロセッサ130は、定期校正プロセスを始める。ステップS504では、プロセッサ130は、180日の期間が過ぎ、且つバッテリーセル110の残り電荷量がその最大充電量の70%より低いかどうかチェックする。例えば、プロセッサ130の内蔵カウンタは、180日の期間をカウントすることができる。70%より低くない場合、ステップS506では、プロセッサ130は、定期校正プロセスを停止する。70%より低い場合、ステップS508では、プロセッサ130は、バッテリーセル110の使用時間に応じてバッテリーセル110の開放電圧を校正する。いくつかの実施形態では、バッテリーセル110の使用時間が比較的長い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110の開放電圧を低下させることができ、バッテリーセル110の使用時間が比較的短い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110の開放電圧を上昇させることができる。使用時間と開放電圧との関係は、記憶媒体120に保存される第1のデータベースによって定めることができる。次に、ステップS510では、プロセッサ130は、環境温度に応じてバッテリーセル110の自己放電率を校正する。いくつかの実施形態では、環境温度が比較的高い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110の自己放電率を上昇させることができ、環境温度が比較的低い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110の自己放電率を低下させることができる。環境温度と自己放電率との関係は、記憶媒体120に保存される第2のデータベースによって定めることができる。次に、ステップS512では、プロセッサ130は、環境温度とバッテリーセル110の残り電荷量に応じてバッテリーセル110のインピーダンス値を校正する。いくつかの実施形態では、環境温度が比較的低い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110のインピーダンス値を上昇させることができ、環境温度が比較的高い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110のインピーダンス値を低下させることができる。また、バッテリーセル110の残り電荷量が比較的高い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110のインピーダンス値を低下させ
ることができ、バッテリーセル110の残り電荷量が比較的低い場合、プロセッサ130は、バッテリーセル110のインピーダンス値を上昇させることができる。環境温度、残り電荷量、およびインピーダンス値との間の関係は、記憶媒体120に保存される第3のデータベースによって定めることができる。最後に、ステップS514では、プロセッサ130は、内蔵カウンタをリセットし、180日の期間のカウントを再開し、ステップS516では、プロセッサ130は、システムエンド220に知らせ、充電プロセスを行う。上述の校正プロセスは、約半年毎に行われることができ、バッテリーセル110の関連パラメータが許容範囲内に保持されるようにすることができる。
【0018】
本発明は、その自身の状態に応じてそのバッテリー状態の情報をシステムエンドに自動的に出力できるスマートバックアップバッテリを提供する。従って、システムエンドとオペレーターは、動作状態を理解し、バックアップバッテリが老化しているか、またはその通常の使用時間を超えていて正常に機能できないというリスクを減少することができる。また、上述の充電、放電、および校正プロセスを行うことによって、バックアップバッテリは、その使用時間の間、良好に監視され、良好な性能に維持される。
【0019】
注意すべきは、上述のパラメータは、本発明に限定されるものではない。設計者は、異なる要求に応じてこれらの設定または値を調整することができる。本発明のバックアップバッテリは、図1図5の構成に限定されるものではないということが理解されている。本発明は、単に図1図5の任意の1つ以上の実施形態の任意の1つ以上の特徴を含むことができる。言い換えれば、図に示された全ての図が本発明のバックアップバッテリに実施されるものではないとうことである。
【0020】
本発明の方法、または特定の態様またはその部分は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMS、ハードドライブ、または任意の他のコンピュータ読取可能記憶媒体などの有形的表現媒体に具現化されるプログラムコード(即ち、実行可能命令)の形式を取ることができ、プログラムコードがコンピュータなどの機械によってローディングされて実行されたとき、機械は、前記方法を実践する装置となる。前記方法は、光ファイバーによって、電線またはケーブルなどのいくつかの伝送媒体に伝送されるプログラムコードの形式で、または任意の他の伝送の形式で具現化されることもでき、プログラムコードがコンピュータなどの機械によって受け取られ、ローディングされて実行されたとき、機械は、前記方法を実践する装置となる。汎用プロセッサに実施されたとき、プログラムコードは、プロセッサと組み合わさり、特定用途向け論理回路に類似して動作する特有の装置を提供する。
【0021】
明細書における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が優先度、序列、又は順序を示唆するものではなく、むしろ、単に2つ以上の特徴、要素、項目等を区別するためのラベルとして使用している。クレーム要素を変えるための、請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が、1つのクレーム要素を他のクレーム要素と比較して優先度、序列、又は順序、もしくは方法を実施する行為の時間的順序を示唆するものではなく、むしろ、単にクレーム要素を区別するために、特定の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する他の要素から区別するためのラベルとして(だけ、序数詞を)使用している。
【0022】
以上、実施例を示して本発明を説明しているが、当業者は、本発明の思想と技術的範囲から逸脱しない種々の修正及び変更を行い得る。実施形態および実施例は、例示的なものであるに過ぎず、本発明の範囲は、以下の請求項及びその均等のものによって規定されて保護される。
【符号の説明】
【0023】
100、200 バックアップバッテリ
110 バッテリーセル
120 記憶媒体
130 プロセッサ
140 充電スイッチ
150 放電スイッチ
160 検出抵抗器
170 ヒューズ
180 発光ダイオード
220 システムエンド
230 AC電力供給源
DATA データ伝送端末
CLK クロック伝送端末
SE 出力信号
SI システム信号
TP バックアップバッテリの正出力端子
TN バックアップバッテリの負出力端子

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5