(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体通信網の基地局を介した第1通信経路と無線LANの中継装置を介した第2通信経路とを切り替えて通信可能な通信端末装置の通信ポリシー情報を管理するシステムであって、
前記第1通信経路及び前記第2通信経路を切り替えて通信可能な複数の通信エリアそれぞれについて、前記移動体通信網の基地局を介した第1通信経路の通信品質のデータを、前記移動体通信網の通信管理データベースから取得する手段と、
前記複数の通信エリアそれぞれについて、前記移動体通信網の通信管理データベースから取得した第1通信経路の通信品質のデータに基づいて、前記通信端末装置で第1通信経路よりも第2通信経路を優先的に使用するオフロード優先エリアに該当するか否かを識別するオフロード優先エリア識別情報を設定する手段と、
前記複数の通信エリアのいずれかに在圏して該通信エリア内の無線LANの中継装置を検知した通信端末装置から、該通信端末装置が在圏する通信エリアを識別可能なエリア識別情報を、該無線LANの中継装置を介して受信する手段と、
前記無線LANの中継装置を介して前記通信端末装置から前記エリア識別情報を受信したとき、該通信端末装置が在圏する通信エリアに対応する前記オフロード優先エリア識別情報を、該無線LANの中継装置を介して該通信端末装置に送信する手段と、を備えることを特徴とするシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの一例を示す概略構成図である。本実施形態の通信システムにおいて、通信端末装置10は、セルラー通信機能と無線LAN通信機能とを有する携帯電話機やスマートフォンなどの通信端末装置である。通信端末装置10は、セルラー方式の移動体通信網の基地局60を介した第1通信経路(以下「セルラー通信経路」という。)と、無線LANの中継装置(以下「アクセスポイント」という。)20を介した第2通信経路(以下「無線LAN経路」という。)とを切り替えて通信することができる。例えば、通信端末装置10は、ファストフード店や駅構内などに設けられたアクセスポイント20の無線通信可能エリア20A内に位置するとき、アクセスポイント20を介して通信ネットワークに接続することができる。
【0009】
アクセスポイント20は、通信端末装置10と無線通信可能なWi−Fi(登録商標)などの無線LANの中継装置であり、バックボーンネットワーク30及びゲートウェイ(GW)35を介して、認証処理装置としての認証サーバ40、ポリシー管理装置としてのポリシーサーバ50、外部の通信ネットワークとしてのインターネット90等に接続されている。
【0010】
また、アクセスポイント20は、例えばIEEE802.11の規格に準拠したWi−Fiなどの無線LANの無線通信方式により、無線通信可能エリア20A内の通信端末装置10と無線通信し、通信端末装置10と通信ネットワークとの間の通信を中継することができる。
【0011】
通信端末装置10は、マクロセルやスモールセルなどの移動体通信(以下「セルラー通信」ともいう。)の通信エリア60A内に在圏するとき、第3世代(3G)、LTE(Long Term Evolution)、LTE−Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)などの規格に準拠したセルラー通信のマクロセル基地局やスモールセル基地局などの基地局60を介して通信ネットワークに接続することができる。基地局60は、通信端末装置10と無線通信可能な中継装置であり、コアネットワーク70及びゲートウェイ(GW)75を介して、各種サーバやインターネット90等に接続されている。
【0012】
なお、
図1では、1台の通信端末装置10について図示しているが、通信端末装置10は2台以上であってもよい。また、本実施形態の通信端末装置10は、前記第1通信経路と第2通信経路とを切り替えて通信可能なものであれば、ノートパソコンなどのパソコン装置、ゲーム機、タブレット端末、デジタルカメラ、プリンタ、書籍閲覧端末等の、通信機能を有する装置であってもよい。また、本実施形態の通信端末装置10は、ネットワーク連携可能な家電(例えば、TV、冷蔵庫、録画機器)、時計や眼鏡などのウェアラブルデバイス、体重計や血圧計及びその他医療機器、ロボット等の、通信機能を有する装置であってもよい。
【0013】
認証サーバ40は、通信サービスに加入している加入者の各種情報が格納された加入者データベース(DB)45が接続された、例えばRADIUS(Remote Authentication Dial In User Service)サーバである。認証サーバ40は、加入者データベース45に格納されている情報を参照して、通信端末装置10から通信ネットワークに接続するときのWISPr(Wireless Internet Service Provider Roaming)認証やEAP(Extensible Authentication Protocol)認証などによるユーザ認証処理を行うサーバである。認証サーバ40は、ゲートウェイ(GW)35を介してポリシーサーバ50と通信する機能を有する。また、認証サーバ40は、バックボーンネットワーク30及びゲートウェイ(GW)35を介してアクセスポイント20と通信する機能や、そのアクセスポイント20を介して通信端末装置10と通信する機能を有する。なお、認証サーバ40は、加入者データベース45や加入者情報サーバに格納されている加入者の通信契約プランに関する情報を参照して、通信端末装置10から無線LANのアクセスポイント20を介した通信ネットワークに接続するときの認証処理を行ってもよい。
【0014】
加入者データベース45に格納されている情報は、例えば、利用者識別情報(利用者ID)、パスワード、加入者識別情報、氏名や住所などの利用者情報、利用可能なサービスに関する情報、通信契約プランに関する情報、使用している通信端末装置の情報などである。
【0015】
ポリシーサーバ50は、複数の通信端末装置10の通信ポリシー情報を管理するサーバである。通信ポリシー情報は、例えば、後述のオフロード優先エリアのフラグ情報(0/1)、通信端末装置10内にある通信制御機能を持つアプリケーションの各設定値(接続閾値、切断閾値、認証タイムアウト値等)などである。ポリシーサーバ50は、アクセスポイント20を介した通信端末装置10と通信ネットワークとの無線LAN通信に関する通信ポリシー情報が格納されたポリシーデータベース(DB)55が接続されている。このポリシーサーバ50とポリシーデータベース55とを用いてポリシー管理システムが構成されている。ポリシーサーバ50は、ゲートウェイ(GW)35を介して認証サーバ40と通信する機能を有する。また、ポリシーサーバ50は、バックボーンネットワーク30及びゲートウェイ(GW)35を介してアクセスポイント20と通信する機能や、そのアクセスポイント20を介して通信端末装置10と通信する機能を有する。
【0016】
ポリシーサーバ50は、移動体通信網の複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて取得されたセルラー通信経路の通信品質(例えばスループット)のデータを記憶するポリシーデータベース55が接続されている。ポリシーデータベース55は、例えば移動体通信網における複数の通信エリアそれぞれを識別するエリア識別情報毎に、セルラー通信経路の通信品質(例えば、スループット)のデータを定期的に(例えば毎日)集約して保存する。ここで、エリア識別情報は、例えば、セルラー方式の移動体通信網における通信エリアであるセルを識別するセルIDである。なお、ポリシーデータベース55は、複数の通信エリア(例えばセル)それぞれのスループット等の通信品質のデータを、移動体通信網の通信管理データベース65から取得して保存してもよい。また、複数の通信エリアそれぞれのスループット等の通信品質のデータはポリシーサーバ50が取得してポリシーデータベース55に保存してもよい。
【0017】
通信管理データベース65は、移動体通信事業者のネットワーク部門のデータベースであり、通信基地局60を介したセルラー通信における複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて、エリア識別情報(例えばセルID)、位置情報(緯度及び経度)、セルラー通信のスループットなどの通信品質などを記憶している。通信管理データベース65とポリシーデータベース55とは、例えば有線の通信回線などを介して接続され、定期的に又は任意のタイミングに互いにデータを送受信可能に構成されている。
【0018】
また、ポリシーサーバ50は、ポリシーデータベース55に集約して保存されているセルラー通信の通信品質(例えばスループット)のデータと、予め定めた閾値あるいは任意のポリシーとに基づき、エリア識別情報毎に、通信端末装置10がセルラー通信経路及び無線LAN経路のうち優先的に使用する通信経路を指定する優先経路情報を設定し、ポリシーデータベース55に保存する機能も有する。この優先経路情報は、例えば、複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれがアクセスポイント20を介して優先的に無線LAN通信を行うエリア(以下、「オフロード優先エリア」という。)に該当するか否かを識別可能なフラグ情報(1:オフロード優先エリアに該当する,0:オフロード優先エリアに該当しない)であってもよい。
【0019】
前記優先経路情報は、例えば、複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて、セルラー通信の通信品質(例えばスループット)のデータに重み係数を掛けた値と予め設定した閾値とを比較し、その比較結果に基づいて設定してもよい。例えば、セルラー通信経路のスループット[Mbps]に予め設定した重み係数(ウェイト:w)を掛けた値が所定の閾値よりも小さい場合に、無線LAN経路を優先的に使用するように優先経路情報(オフロード優先エリア)を設定する。なお、重み係数(w)の設定値や閾値は各種条件などに応じてポリシーサーバ50のオペレータや管理者が変更してもよい。
【0020】
前記優先経路情報は、複数の時間帯(例えば、昼間の時間帯及び夜間の時間帯)それぞれについて互いに異ならせるように設定してもよい。また、前記複数の通信エリア(例えばセル)それぞれにおけるイベント開催の有無に応じて前記優先経路情報を異ならせるように設定してもよい。例えば、イベントが開催されている通信エリア及び時間帯については無線LAN経路を優先的に使用するように優先経路情報(オフロード優先エリア)を設定し、イベントが開催されていない通信エリア及び時間帯についてはセルラー通信経路を優先的に使用するように優先経路情報を設定してもよい。また、前記優先経路情報は、通信エリア内の特定の地域について異ならせるように設定してもよい。例えば、通信エリア内で通信品質が局所的に高い地域又は低い地域に対応する優先経路情報を、当該セル内の他の地域に対応する優先経路情報と異ならせてもよい。
【0021】
また、通信端末装置10による通信に対する複数種類の通信契約プランそれぞれについて前記優先経路情報を異ならせるように設定し、通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)と通信端末装置の通信契約プランの組み合わせに対応する優先経路情報を通信端末装置10に送信してもよい。例えば、セルラー通信経路について定額で利用可能な毎月のインターネット通信のデータ通信容量の上限値が5GB及び10GBに設定されている通信契約プランがある場合には、次にように優先経路情報を設定する。5GB/月の通信契約プランについては無線LAN経路を優先的に使用するように優先経路情報(オフロード優先エリア)を設定し、一方、10GB/月の通信契約プランについてはセルラー通信経路を優先的に使用するように優先経路情報を設定する。
【0022】
ポリシーサーバ50は、例えば認証サーバ40や通信端末装置10などの外部装置からの問い合わせを受けて、要求された通信ポリシー情報を提供する機能も有する。提供対象の通信ポリシー情報は、例えば、前記オフロード優先エリアに該当するか否かを識別するフラグ情報(1,0)などの優先経路情報である。
【0023】
ポリシーサーバ50は、通信ポリシー情報のほか、通信端末装置10におけるアクセスポイント20を介した無線LAN経路の通信の通信品質(例えばスループット)を測定するときの測定条件である通信品質測定条件を管理する測定条件管理装置としての機能も有する。また、ポリシーサーバ50は、通信端末装置10から受信した無線LAN経路の通信品質(例えばスループット)の測定結果に基づいて前記優先経路情報などの通信ポリシー情報や通信品質測定条件を変更し、その変更された優先経路情報などの通信ポリシー情報や無線LAN経路の通信品質測定条件を、アクセスポイント20又は基地局60を介して通信端末装置10に送信してもよい。
【0024】
通信端末装置10は、ポリシーデータベース55に格納されている前記優先経路情報などの通信ポリシー情報や無線LAN経路の通信品質測定条件を所定のタイミングにダウンロードし、通信端末装置10に保存されている通信ポリシー情報や無線LAN経路の通信品質測定条件を更新してもよい。
【0025】
通信品質測定条件は、例えば、無線LAN経路の通信品質が測定された測定済みのアクセスポイント20の識別情報と通信品質の測定日時とを含む測定履歴が通信端末装置10内に保持される場合に、その保持される測定履歴の最大件数又は保持期間である。また、通信品質測定条件は、通信品質測定時に通信端末装置10からアップロードされるデータのサイズや、通信品質測定時に通信端末装置10へダウンロードされるデータのサイズを含んでもよい。また、通信品質測定条件は、通信品質測定用のデータが通信端末装置10からアップロードされてから当該データに対する応答が通信端末装置10で受信されるときのタイムアウト値を含んでもよい。
【0026】
通信ポリシー情報は、例えば、接続が許可又は禁止されたアクセスポイント20の1台ごとにユニークに設定されたアクセスポイント識別情報(例えば、BSSID:Basic Service Set Identifier)又は、そのアクセスポイント20の種類を識別可能なアクセスポイント種別情報(例えば、ESSID:Extended Service Set Identifier )を含んでもよい。また、通信ポリシー情報は、通信端末装置10からアクセスポイント20への接続が許可又は禁止された時間帯、アクセスポイント20を介した通信経路確立処理時のタイムアウト時間、アクセスポイント20を介した通信に必要とされる通信品質としてのスループット(通信速度)の閾値(下限値)などを含んでもよい。
【0027】
認証サーバ40、加入者データベース45、ポリシーサーバ50、ポリシーデータベース55及び通信管理データベース65はそれぞれ、例えば単一のコンピュータ装置で構成したり複数のコンピュータ装置を組み合わせて構成したりすることができ、予め組み込まれた所定のプログラムが実行されることにより、各種処理や制御を実行することができる。また、認証サーバ40及び加入者データベース45を1台のコンピュータ装置で構成し、ポリシーサーバ50及びポリシーデータベース55を1台のコンピュータ装置で構成してもよい。また、認証サーバ40、加入者データベース45、ポリシーサーバ50及びポリシーデータベース55を1台のコンピュータ装置で構成してもよい。
【0028】
本実施形態において、ポリシーサーバ50及びポリシーデータベース55はそれぞれ、所定のプログラムが実行されることにより、次のような各手段としての機能を実現可能である。
【0029】
例えば、ポリシーサーバ50は、所定のプログラムが実行されることにより、次の(A501)〜(A502)の各手段として機能する。
(A501)複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて、セルラー通信経路の通信品質(例えばスループット)のデータに基づいて、セルラー通信経路及び無線LAN経路のうち通信端末装置10で優先的に使用する通信経路を指定する優先経路情報を設定する手段。
(A502)通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)60Aを識別可能な情報を通信端末装置10から受信したとき、その通信エリア(例えばセル)60Aに対応する優先経路情報を通信端末装置10に送信する手段。
【0030】
また、ポリシーデータベース55は、所定のプログラムが実行されることにより、次の(A510)〜(A512)の各手段として機能する。
(A510)セルラー通信経路及び無線LAN経路を切り替えて通信可能な複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて、セルラー通信経路の通信品質(例えばスループット)のデータを取得する手段。
(A511)複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについてセルラー通信経路の通信品質(例えばスループット)のデータを記憶する手段。
(A512)複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについてセルラー通信経路の通信品質(例えばスループット)のデータに基づいて設定した優先経路情報を記憶する手段。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る通信端末装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の通信端末装置10は、主制御部110と無線通信部111とベースバンド処理部112と音入出力部113と表示部114と操作手段としての操作部115とを備える。また、通信端末装置10は、装置本体に対して着脱可能な加入者情報記憶媒体であるICモジュールとしてのUSIM15が装着されている。
【0032】
主制御部110は、MPU(Micro Processing Unit)やRAM、ROM等からなる記憶装置を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、ベースバンド処理部112等の各部を制御したり、ソフトウェア構成上のネイティブプラットフォーム環境やアプリケーション実行環境を構築したり、各種処理を実行したりする。
【0033】
上記記憶装置は、通信ポリシー情報を記憶する記憶手段、通信品質が測定された測定済みのアクセスポイント20の識別情報と通信品質の測定日時とを含む測定履歴を記憶する記憶手段、及び、通信ポリシー情報の変更に用いられる無線LAN経路の通信品質を測定するときの通信品質測定条件を記憶する記憶手段の各記憶手段としての機能を有する。
【0034】
主制御部110の記憶装置は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを有する。この記憶装置は、各部での処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶装置は、ドライバプログラムとして、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式を実行する通信ドライバプログラム、操作部115を制御する入力デバイスドライバプログラム、表示部114を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶装置は、オペレーティングシステムプログラムとして、例えば、Android(登録商標)OS、iOS(登録商標)等の基本OSや、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式での認証等を行う接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶装置は、アプリケーションプログラムとして、ウェブ認証を行う認証プログラム、時間を計時する計時プログラム、ウェブページを取得及び表示するウェブブラウザプログラム、電子メールを送信及び受信する電子メールプログラム、無線LANのアクセスポイント20との間の通信品質を測定する通信品質測定プログラム等を記憶する。また、記憶装置は、各種のテキストデータ、映像データ、画像データ等を記憶したり、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶したりしてもよい。また、記憶装置は、無線LANのアクセスポイント20に接続するための各種情報や通信品質測定条件等を記憶している。
【0035】
無線通信部111は、無線LANのアクセスポイント20を介して通信する無線LAN通信手段及びセルラー通信の基地局60を介して通信する移動体通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器,高周波増幅器、アンテナなどにより構成されている。無線通信部111は、アクセスポイント20との間でIEEE802.11等の所定の通信方式により無線通信するための高周波信号処理を実行したり、基地局60との間で3GやLTEなどの所定の通信方式により無線通信するための高周波信号処理を実行したりする。
【0036】
ベースバンド処理部112は、他の携帯電話機等の通信端末装置や各種サーバとの間で音声通信やデータ送受信の通信を行うためのデジタル処理を実行する。このベースバンド処理部112と上記無線通信部111との間はD/A変換器やA/D変換器を介して接続されている。
【0037】
音入出力部113は、マイク、スピーカ、音信号処理部等で構成されている。マイクから出力されるアナログの音声信号は、音信号処理部でデジタル信号に変換され、主制御部110やベースバンド処理部112等に送られる。スピーカは、音信号処理部でデジタル信号から変換されたアナログ信号が入力され、通話中の音声を出力したり、メールの着信音、電話の呼び出し音、音楽などを出力したりする。なお、スピーカは、通話中の音声を聞くための受話器用スピーカ(レシーバ)と、着信音や音楽などを出力する外部出力用スピーカとを別々に設けて構成してもいいし、これらの受話器用スピーカ及び外部出力用スピーカを兼用するように一つのスピーカで構成してもよい。
【0038】
表示部114は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等で構成され、主制御部110からの指令に基づいて各種画像を表示する。例えば、表示部114は、Wi−Fi等の無線LAN接続の状況を示す画像を表示するようにしてもよい。
【0039】
操作部115は、表示部114に組み込まれたタッチパネルや、各種の操作キーやボタン、電源ON/OFF手段としての電源スイッチなどで構成されている。この操作部115は、利用者が、通信端末装置10の本体電源をON/OFFしたり、通話開始、終話、メニュー選択、画面切り換え等を指示したり、情報を入力したりするときに用いられる。
【0040】
また、通信端末装置10は、位置情報取得手段としてのGPS(Global Positioning System)部117、撮像手段としてのカメラ部118、センサー部119、電源供給手段としての電源供給部120、図示しない時計部等も備えている。
【0041】
GPS部117は、GPS受信モジュールやGPSアンテナ等で構成され、地球の周りに配置されている複数のGPS衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて通信端末装置10が位置する緯度、経度及び高度のデータを算出する。
【0042】
カメラ部118は、レンズや撮像デバイス等で構成され、人物や風景等を撮影する時に用いられる。撮像デバイスとしては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOSカメラを用いることができる。
【0043】
センサー部119は、加速度センサー及び/又は地磁気センサー等で構成されている。加速度センサーは、1軸の加速度センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の加速度センサーであってもよい。また、地磁気センサーも、1軸の地磁気センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の地磁気センサーであってもよい。このセンサー部119の出力に基づいて、通信端末装置10の位置、向き、姿勢及び動きを示すデータを算出することができる。また、センサー部119の出力に基づいて、所定高度における基準位置から利用者の通信端末装置10が移動したときの加速度データや地磁気データの時間変化の情報である履歴情報から、通信端末装置10が位置している高度、角度等を示すデータを算出することができる。
【0044】
電源供給部120は、充電可能なバッテリー、バッテリーから各部に所定電圧の電力を供給する電力供給回路、バッテリーを充電する充電回路などを備えている。時計部はクロック回路等で構成され、正確な日時を計数し、各種情報の更新処理等のための時刻情報を生成する。
【0045】
本実施形態において、通信端末装置10の主制御部110は、所定のプログラムが実行されることにより、他の無線通信部111などと協働して次のような各手段としての機能を実現可能である。
例えば、通信端末装置10の主制御部110は、所定のプログラムが実行されることにより、次の(A101)〜(A105)の各手段として機能することができる。
(A101)ポリシー管理システム5のポリシーサーバ50に、通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)60Aを識別可能な情報であるエリア識別情報(例えばセルID)を送信する手段。
(A102)セルラー通信経路及び無線LAN経路のうち通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)60Aについて優先的に使用するように設定された通信経路を指定する優先経路情報(例えば、オフロード優先エリアに該当するか否かの情報)を、ポリシー管理システム5のポリシーサーバ50から受信する手段。
(A103)ポリシー管理システム5のポリシーサーバ50から受信した優先経路情報に基づいて、セルラー通信経路又は無線LAN経路を選択して通信を行う手段。
(A104)アクセスポイント20との接続処理が完了した後、アクセスポイント20を介した無線LAN経路の通信についてWISPr認証方式のユーザ認証処理を行う手段。
(A105)前記WISPr認証方式による認証処理に伴って無線LAN経路の通信を行ったときの通信品質(例えばスループット)を測定する手段。
【0046】
なお、上記(A101)において、ポリシー管理システム5のポリシーサーバ50に、通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)60Aのエリア識別情報(例えばセルID)とともに、通信端末装置10の現在位置情報(例えばGPSの緯度・経度情報)や通信契約プランの情報を送信してもよい。この場合、ポリシー管理システム5のポリシーサーバ50は、エリア識別情報(例えばセルID)と通信エリア(例えばセル)内の特定の地域と通信契約プランとの様々な組み合わせごとに、通信品質のデータに基づいて前記優先経路情報を設定してポリシーデータベース55に保存しておく。そして、ポリシーサーバ50は、通信端末装置10から受信したエリア識別情報(例えばセルID)、現在位置情報(例えばGPSの緯度・経度情報)及び通信契約プランの情報に基づいて、それらの組み合わせに対応する優先経路情報をポリシーデータベース55から取得して通信端末装置10に送信する。
【0047】
アクセスポイント20は、例えば、制御部と、所定の通信方式で通信端末装置10と無線LAN通信を行う第1の通信部と、コアネットワーク30及びゲートウェイ(GW)35を介して各種サーバ40、50やインターネット90上の各種サーバと通信する第2の通信部とを備える。制御部は、例えばMPUやRAM、ROM等からなる記憶装置を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、上記通信部等の各部を制御することができる。
【0048】
本実施形態において、アクセスポイント20の制御部は、所定のプログラムが実行されることにより、他の通信部などと協働して次のような各手段としての機能を実現可能である。
例えば、アクセスポイント20の制御部は、所定のプログラムが実行されることにより、次の(A201)〜(A213)の各手段として機能する。
(A201)通信端末装置10からプローブ要求、認証要求及びアソシエーション要求を受信する手段。
(A202)アソシエーション要求に基づいて、アクセスポイント20(自身)を識別可能なアクセスポイント識別情報を含むポリシー確認要求をポリシーサーバ50に送信する手段。
(A203)アクセスポイント20(自身)に対する通信ポリシー情報又はその通信ポリシー情報に基づいて判定されたアクセスポイント20(自身)への接続可否情報を含むポリシー確認応答を、ポリシーサーバ50から受信する手段。
(A204)前記ポリシー確認応答に含まれる通信ポリシー情報又は接続可否情報を含むアソシエーション応答を、通信端末装置10に送信する手段。
(A205)通信端末装置10にプローブ応答及び認証応答を送信する手段。
(A206)通信ポリシー情報を記憶する手段。
(A207)ポリシーサーバ50から更新対象の通信ポリシー情報を受信し、前記記憶している通信ポリシー情報を更新する手段。
(A208)通信端末装置10から受信したアソシエーション要求に基づいて、アクセスポイント20(自身)に対する通信ポリシー情報を検索して取得する手段。
(A209)アクセスポイント20(自身)に対する通信ポリシー情報に基づいて、アクセスポイント20(自身)への接続可否を判定する手段。
(A210)アクセスポイント20(自身)に対する通信ポリシー情報又はその通信ポリシー情報に基づいて判定したアクセスポイント20(自身)への接続可否情報とを含むアソシエーション応答を、通信端末装置10に送信する手段。
(A211)通信端末装置10と協働して、通信端末装置10とアクセスポイント20との間の通信品質を測定する手段。
(A212)通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)のエリア識別情報(例えばセルID)を通信端末装置10から受信してポリシーサーバ50に送信する手段。
(A213)通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)のエリア識別情報(例えばセルID)に対応する優先経路情報(例えば、オフロード優先エリアに該当するか否かの情報)をポリシーサーバ50から受信して通信端末装置10に送信する手段。
【0049】
図3は、本実施形態の通信システムにおいて通信端末装置10とアクセスポイント20との接続に成功する場合の無線LAN通信の接続制御の一例を示すシーケンス図である。
なお、以下の
図3及び後述の
図4における動作シーケンスは、主制御部110の記憶装置等に記憶されているプログラムに基づいて、主に主制御部110等により、無線通信部111、ベースバンド処理部112、アクセスポイント20、ゲートウェイ35及び認証サーバ40と協働して実行される。
【0050】
図3において、ポリシーデータベース55では、セルラー方式の移動体通信網におけるエリア識別情報(例えばセルID)毎のスループットデータを定期的に(例えば毎日)集約して保存する(ステップS001)。ポリシーサーバ50は、エリア識別情報(例えばセルID)毎に、データベース55に保存されているスループットデータに基づいて優先経路情報(例えば、オフロード優先エリアに該当するか否かの情報)を設定し(ステップS002)、ポリシーデータベース55に保存する(ステップS003)。
【0051】
なお、
図3及び後述の
図4の例では、エリア識別情報(例えばセルID)毎に、スループットデータを定期的に集約して保存し、そのスループットデータに基づいて優先経路情報を設定しているが、スループットデータに代えて他の通信品質のデータを用いてもよい。
【0052】
通信端末装置10において、無線LANのアクセスポイント20が検知されると、主制御部110は、記憶装置に記憶されているリストを参照し、接続対象のネットワークのアクセスポイント種別情報であるESSIDを一つ取得し、そのESSIDを含むプローブ要求をブロードキャストする(ステップS101)。
【0053】
通信端末装置10からプローブ要求を受信すると、アクセスポイント20は、プローブ要求に含まれるESSIDが自身のESSIDと同じであれば、通信端末装置10にプローブ応答を返信する(ステップS102)。プローブ応答には、アクセスポイント20のアクセスポイント識別情報であるBSSID、暗号方式、認証方式、通信速度等のパラメータが含まれる。
【0054】
アクセスポイント20からプローブ応答を受信しなければ、通信端末装置10は、記憶装置から他のESSIDを一つ取得し、そのESSIDを含むプローブ要求をブロードキャストする。一方、アクセスポイント20からプローブ応答を受信すると、通信端末装置10は、プローブ応答に含まれるアクセスポイント識別情報であるBSSID、及び対応するESSIDを、記憶装置に格納する。
【0055】
次に、通信端末装置10は、プローブ応答を受信した後、自身のMAC(Media Access Control)アドレスの情報を含む認証要求をアクセスポイント20に送信する(ステップS103)。アクセスポイント20は、所定のアルゴリズムを用いて通信端末装置10を認証するか否かを決定し、その認証の結果を含む認証応答を返信する(ステップS104)。この認証は、例えば通信端末装置10のMACアドレスを識別子として行われる。
【0056】
次に、通信端末装置10は、アクセスポイント20により認証されたことを確認した後、アクセスポイント20にアソシエーション(接続)要求を送信する(ステップS105)。アソシエーション要求には、アクセスポイント20のESSID、サポートレート、ポーリング利用要否等のパラメータが含まれる。アクセスポイント20は、通信端末装置10のMACアドレスが認証したMACアドレスであり、通信端末装置10から受信したアソシエーション要求に含まれるパラメータがすべて自身に対応していることを確認した後、接続許可する旨の情報を含むアソシエーション応答を通信端末装置10に送信する(ステップS106)。
【0057】
以上のS101〜S106の処理により、通信ネットワークレベルで、通信端末装置10からアクセスポイント接続を介した無線LAN通信によるネットワーク接続の通信経路が確立される。この状態では、通信端末装置10は、バックボーンネットワーク30を介して認証サーバ40やポリシーサーバ50との間でデータフレームの送受信が可能になる。しかしながら、この時点ではまだ、ユーザが認証サーバ40により認証されておらず、アプリケーションのレベルで接続が完了していないため、ゲートウェイ35を介してインターネット90等に接続することができない。
【0058】
次に、通信端末装置10は、アクセスポイント20を介して認証サーバ40と通信することによりユーザ認証を行う(ステップS107)。例えば、HTTP通信により所定URLのログインページを介して、ユーザIDとパスワードとBSSIDとを含む認証要求をアクセスポイント20に送信する。なお、BSSIDは、通信端末装置10から送信する認証要求に含めずに、アクセスポイント20が認証サーバ40に転送する認証要求に付加するようにしてもよい。通信端末装置10から認証要求を受信すると、アクセスポイント20は、その認証要求をゲートウェイ35を介して認証サーバ40に送信する。アクセスポイント20から認証要求を受信すると、認証サーバ40は、認証要求に含まれるユーザIDとパスワードとについて加入者データベース45を参照してユーザ認証を行う。このユーザ認証は、認証要求を送信してきた通信端末装置10の利用者が、上記ESSIDに対応するアクセスポイントを介した無線LAN通信を利用可能な利用者として予め登録された利用者であるかを確認する認証である。ユーザ認証に成功した場合には、認証サーバ40は、ユーザ認証結果に基づいて、ゲートウェイ35を介してアクセスポイント20に認証応答を送信する。例えば、ユーザ認証が成功した場合、認証サーバ40は、認証処理に成功した旨を示す認証応答を、ゲートウェイ35を介してアクセスポイント20に送信する。そして、アクセスポイント20は、認証サーバ40から受信した認証応答を通信端末装置10に送信する。
【0059】
通信端末装置10は、アクセスポイント20から上記認証応答を受信すると、通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)のエリア識別情報(例えばセルID)を含む取得要求を、アクセスポイント20を介してポリシーサーバ50に送信する(ステップS108)。以下、通信端末装置10が在圏する通信エリアを適宜「在圏エリア」といい、その在圏エリアのエリア識別情報を適宜「在圏エリア識別情報」という。また、ポリシーサーバ50に送信する取得要求は、通信端末装置10の現在位置情報(経度及び緯度)及び通信契約プランの少なくとも一方の情報を含んでもよい。
【0060】
上記在圏エリア識別情報を含む取得要求を受信したポリシーサーバ50では、受信した在圏エリア識別情報に対応する優先経路情報(例えば、オフロード優先エリアに該当するか否かの情報)についてポリシーデータベース55を参照し、その参照結果をアクセスポイント20を介して通信端末装置10に送信する(ステップS109)。
図3の例では、通信端末装置10から受信した在圏エリア識別情報に対応する優先経路情報として、在圏エリアがオフロード優先エリアに該当する旨のフラグ情報:1を通信端末装置10に送信している。
【0061】
ポリシーサーバ50から在圏エリア識別情報に対応する優先経路情報(オフロード優先エリアに該当する旨のフラグ情報:1)を受信すると、通信端末装置10は、ポリシーサーバ50との通信時の通信データと予め設定された所定の測定条件とに基づいて、アクセスポイント20を介した無線LAN通信の通信品質(例えば、スループット(通信速度))の測定値を算出して保存する(ステップS110)。そして、この無線LAN通信の通信品質の測定値と、通信ポリシー情報である前述の通信品質の閾値とに基づいて、アクセスポイント20への接続処理の継続/中止を判定する(ステップS111)。例えば、通信品質としてのスループットの測定値が所定のスループット閾値以上の場合(高スループットAPの場合)はアクセスポイント20への接続処理が継続され、スループットの測定値がスループット閾値よりも小さい場合(高スループットAPでない場合)はアクセスポイント20への接続処理が中止される。
【0062】
なお、上記無線LAN通信の通信品質(例えばスループット)の測定結果は、通信端末装置10内の記憶装置に保存され、当該記憶装置に保存されている通信ポリシー情報の変更に用いることができる。また、通信端末装置10内の記憶装置に保存された無線LAN通信の通信品質(例えばスループット)の測定結果は、上記ステップS109で通信端末装置10からポリシーサーバ50にアップロードしてポリシーサーバ50で管理されている優先経路情報などの通信ポリシー情報の変更に用いることができる。
【0063】
次に、通信端末装置10は、上記通信品質の測定値と所定の閾値とに基づいてアクセスポイント20への接続処理を継続すると判定した場合、アプリケーションのレベルにおけるインターネット90への接続に優先的に使用される通信経路(以下「ネットワーク接続のデフォルト通信経路」という。)を、基地局60を介するセルラー通信経路(第1の通信経路)から、アクセスポイント20を介する無線LAN経路(第2の通信経路)に切り替える(ステップS112)。これにより、通信端末装置10は、アクセスポイント20を介した無線LAN通信の通信経路を優先的に使用したインターネット90との通信が開始される(ステップS113)。
【0064】
図4は、本実施形態の通信システムにおいて通信端末装置10とアクセスポイント20との接続を中止する場合の無線LAN通信の接続制御の一例を示すシーケンス図である。なお、この動作シーケンスのうち、ステップS001〜S003,S201〜S209については、
図3に示されるステップS001〜S003,S101〜S109と同様であるので、それらの説明を省略する。
図4の例では、ポリシーサーバ50から通信端末装置10に、通信端末装置10の在圏する在圏エリアの在圏エリア識別情報に対応する優先経路情報として、在圏セルがオフロード優先エリアに該当しない旨のフラグ情報:0が送信されている。
【0065】
オフロード優先エリアに該当しない旨の優先経路情報を受信すると、通信端末装置10は、アクセスポイント20を介した無線LAN通信の通信品質(例えばスループット)の測定値の算出・保存は行わず、アクセスポイント20への接続処理を中止する(ステップS210)。そして、通信端末装置10は、アクセスポイント20への接続処理を中止するための切断要求をアクセスポイント20に送信する(ステップS211)。すると、上記ネットワーク接続のデフォルト通信経路は、基地局60を介するセルラー通信の通信経路に維持され、アクセスポイント20を介する無線LAN通信へ切り替えられない。従って、通信端末装置10を操作するユーザから見た場合、アプリケーションのレベルでのネットワーク接続が切断されることがなく、そのネットワーク接続を継続して利用することができるので、通信端末装置10の操作性及び利便性が向上する。
【0066】
以上、本実施形態によれば、移動体通信網の複数の通信エリア(例えばセル)60Aそれぞれについて、セルラー通信経路の通信品質のデータを取得し、その通信品質のデータに基づいて、優先的に無線LAN通信を行うオフロード優先エリアに該当するか否かを評価し、通信端末装置10で優先的に使用する通信経路を指定する優先経路情報を設定している。この優先経路情報を通信端末装置10がダウンロードして用いることにより、通信端末装置10が通信ネットワークに接続して通信するときの通信品質(例えばスループット)を向上させるとともに各通信経路の通信トラフィックを軽減できるように、通信エリア(例えばセル)ごとにセルラー通信経路と無線LAN経路との切り替えを通信品質に応じて適切に制御することができる。しかも、上記セルラー通信経路の通信品質のデータの取得、上記オフロード優先エリアに該当するか否かの評価及び上記優先経路情報の設定をポリシーサーバ50が行っているので、通信端末装置10の負荷を増大させることがない。
【0067】
また、本実施形態によれば、通信端末装置10が在圏する通信エリア(例えばセル)60Aがオフロード優先エリアに該当する場合、すなわち、通信端末装置10で優先的に使用する通信経路が無線LAN経路である場合に、更に、アクセスポイント20を介した無線LAN通信の通信品質(例えばスループット)の測定値を算出している。そして、この通信品質の測定値と所定の閾値とに基づいて、アクセスポイント20への接続処理の継続/中止を判定することにより、アクセスポイント20への接続制御を最適化することができる。これにより、通信端末装置10が通信ネットワークに接続して通信するときの通信品質(例えばスループット)を更に向上させるともに通信トラフィックを更に軽減できる。
【0068】
特に、本実施形態によれば、上記セルラー通信経路の通信品質のデータを移動体通信網の通信管理データベース65のネットワーク情報から取得しているので、当該ネットワーク情報を無線LANのアクセスポイントへの接続制御に用いるAP接続制御情報として活用できる。また、通信端末装置10が測定したセルラー通信経路の通信品質のデータをポリシーサーバ50が取得する場合に比して、通信端末装置10の負荷の増大を抑制し、セルラー通信側のネットワークリソースを浪費することなく、ポリシーサーバ50がセルラー通信の通信品質データを取得することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、上記優先経路情報の設定に用いるセルラー通信の通信品質のデータに重み係数(ウェイト)を掛けたり、通信品質のデータと比較する閾値を変更したり、優先経路情報の設定に用いる通信ポリシー情報を変更したりすることにより、優先経路情報を動的に且つ任意に変更することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、アクセスポイント20を介して通信端末装置10と認証サーバ40との間で無線LAN通信を行っているときの通信品質(例えばスループット)の測定を、アクセスポイント20との接続処理が完了した後、そのアクセスポイント20を介した通信サービスの利用を開始する前に行っている。これにより、アクセスポイント20を介した通信サービスの利用を開始した後に、無線LAN通信の通信品質の測定を別途行う必要がないので、アクセスポイント20を介した通信サービスの利用への影響を抑えることができる。従って、通信端末装置10の利用者の体感や操作性に変化がなく、従来と同様な体感や操作性でアクセスポイント20を介した通信サービスを利用できる。
【0071】
なお、上記実施形態では、通信端末装置10がポリシーサーバ50との間で在圏エリア識別情報(例えばセルID)のアップロード及び優先経路情報のダウンロードを行っている通信時の通信データに基づいて、無線LAN通信の通信品質の測定値を算出しているが、通信サービスの利用を開始する前の他の通信時の通信データに基づいて、無線LAN通信の通信品質の測定値を算出してもよい。例えば、通信端末装置10で送受信されるデータ量が比較的多いWISPr認証方式のユーザ認証処理に伴って認証サーバ40との間で無線LAN経路の通信を行ったときの通信時の通信データに基づいて、無線LAN経路の通信品質を測定してもよい。
【0072】
また、本実施形態によれば、認証サーバ40から認証応答を受信するまで、セルラー通信の通信経路が維持されるため、認証処理に失敗した旨を示す認証エラーの認証応答を受信した場合でもネットワーク接続が切断されない。