【文献】
PRIME Porject,PRIME Technology Whitepaper PHY, MAC and Convergence layers v1.0,2008年,URL,http://www.prime-alliance.org/wp-content/uploads/2013/03/MAC_Spec_white_paper_1_0_080721.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
限定のためではなく例示の目的のため本発明を説明する。
PRIME特徴
【0025】
図1は、フレーム構造101において用いられるPRIME規格を図示する。PRIMEは、時間を媒体アクセス制御(MAC)フレーム内で分割する。現在のPRIME仕様では、各フレーム101は、565.248ms継続する。「ベースノード」は、各フレームの初めにビーコンシンボル102を送信する。これは、それら自体のビーコンを送信するため、ノードを切り替えるためビーコンスロットも割り当てる。ビーコン送信の後、全てのPRIMEノードがアクセスを争い得る、共有されるコンテンション期間(SCP)103が続く。フレームが、ベースノードが個別のノードに排他的に割り当てられ得る、任意のコンテンションフリー期間(CFP)104も含み得る。ベースノードは、CFP期間104を空のままにもすることに留意されたい。
【0026】
PRIME規格の2つの他の態様は、他のPLC規格との共存に関連する:(1)PRIMEノードが、それがビジーである場合、確かめるチャネルをどのように感知するか、及び(2)ノードがチャネルへのアクセスを有したときのPRIME送信の性質。2つ目の態様を、PRIME規格における物理的プロトコルデータユニット(PPDU)201を図示する
図2に関連して説明する。各PPDU201は、2.048msで42kHzから90kHzまでの周波数を掃引するチャープシーケンスである、プリアンブル202で開始する。プリアンブル202の後、PRIMEヘッダー203及びペイロード204が続く。ヘッダー203及びペイロード204はいずれも、
図3に示すPRIME OFDMシンボルパラメータを用いるOFDM送信である。PRIMEシンボルは、トーン間に約0.5kHzのスペーシングがある、周波数ドメインにおいて差動的に変調された97トーンを含む。
S−FSK特徴
【0027】
S−FSK規格は、CenelecA帯域内の2つのキャリアを規定する。(CENELEC:(フランス語:Comite Europeen de Normalisation Electrotechnique)は、欧州電気標準化委員会である)。各ビットは、マーク又はスペースキャリアを300、600、1200又は2400bpsのボーレートで送信することにより搬送される。この説明のため、Linkyプロファイルが用いられ、これら2つのキャリアは、0.5%の公差で、63.3及び74kHzであり、ボーレートは2400bpsである。
【0028】
PRIMEネットワークとは異なり、S−FSKネットワークは、周期的ビーコンと同期化されない。しかし、各PPDUの始め(S−FSKフレームとして知られる)は、AC主サイクルのゼロクロスと同期化される(ヨーロッパでは20ms周期)。更に、各S−FSK PPDU構造401は
図4に示すように、2バイトのプリアンブル402及び2バイトのスタートフレームデリミタ―(SFD)403を備えた45バイト長である。2400bpsのボーレートで、PPDU期間長は150msであり、プリアンブル期間は6.667msである。
変更なしのPRIME及びS−FSKの共存
【0029】
以下の分析は、既存のPRIME及びS−FSK規格の可能な共存の考察である。
PRIMEネットワークでのS−FSK送信の効果
【0030】
S−FSK送信は、PRIME信号へのナローバンド干渉を生じさせ得る。干渉の程度を
図5に図示する。曲線501は、PRIME信号(1Vrms)のみが存在するときのレシーバでの高速フーリエ変換(FFT)出力を示す。予期されるように、FFT出力は、42〜90kHzで周波数がフラットである。他の3つの曲線は、S−FSK信号からの、更に、1Vrmsで正規化された、最小(502)、平均(503)及び最大(504)FFT出力エネルギーを示す。変動は、FFT出力エネルギーが、或るシンボルにおいてS−FSKトランスミッタによって送信される実際のビット、及びPRIMEシンボルの始めに対するそれらの相対的な位相に依存するために生じる。例示の曲線は、全ての可能な値を考慮する。
【0031】
S−FSK及びPRIME信号が同じエネルギーで受信されるとき、約61kHzから約75kHzまでPRIMEに極度の干渉がある。これは、各トーンにおいて信号対干渉比に対し、5dBの粗な閾値を置くことにより得られる。これはPRIMEの最低符号化レートに対する動作SNRである。S−FSK送信のマーク及びスペース周波数に対応する2つのピーク間に起こるPRIME送信内の幾つかのトーンは、深刻な影響は受けないかもしれない。しかし、周波数差動符号化では、それらも除かれる必要がある。もちろん、S−FSK信号強度は、PRIME信号とは異なる得、これに対応して、PRIMEトーンの異なる数は、S−FSKによる提供を受ける可能性がある。表1は、種々の相対的な信号強度に対し影響を受けるトーンの数を列挙する。S−FSK信号がPRIME信号を5dB上回る場合、これは、PRIME通信に深刻な影響を与えるであろうことは明らかである。
【表1】
【0032】
全てのOFDMシステム
と同様、PRIMEは、幾らかの固有の耐ナローバンド干渉を有する。主として、これは、ナローバンド干渉を検出すること及びトーンを消去するか、又はトーン毎(又はサブバンド毎)ノイズ変動推定を用いることによりソフト情報の「確実性」を暗示的に低減するかのいずれかによって達成される。しかし、トーンのロスが性能に影響を与えることが明らかである。上記表1に基づいて、PRIMEは、PRIME送信を最大で5dB上回るS−FSK干渉に耐えることができると考えられる。
S−FSKネットワークでのPRIME送信の効果
【0033】
等しいエネルギーのPRIME信号が近くで送信され、S−FSK信号と干渉するとき、S−FSKレシーバにより見られる有効ノイズエネルギーを推定するためシミュレーションが行われた。多数のPRIMEシンボルが、ランダムに生成され、エネルギーに対し正規化され、スペース及びマークトーンシンボルと相関された。その結果生じるノイズ分布が
図6に示されている。興味深いことに、マークトーン(63kHz)601は、スペーストーンより2dB高いノイズを受ける(602)。また、マークトーン(601)のノイズ分布は、まったくガウス分布ではない。しかし、これはマーク及びスペース周波数に又はPRIMEサンプリング周波数に部分的な変動がある場合、変わり得ることに留意されたい。
【0034】
最も重要なことには、S−FSKレシーバによって見られるEb/N0は、両方のトーンに対し約27dBである。その結果生じる性能を推定するため、S−FSK規格から抽出される、表2の2列目を参照する。S−FSKは、順方向エラー補正を有さないため、S−FSKフレームは、約300ビットのいずれかがエラーにある場合、エラーにある。信頼性の高い通信を達成するため、目標ビット誤り率(BER)は、0.1%より小さくなるべきであると考えられ、これは、標準のノンコヒーレントFSKレシーバに基づいて少なくとも12dB Eb/N0を必要とする。これは表2の仕様より5dB良好である。(表2のEb/N0制限は、ガイドラインとして機能すべきであることに留意されたい。これらは理論的に達成される結果を少なくとも3dB上回る。)
【表2】
【0035】
上述の分析は、コヒーレントなマッチドフィルタの出力で有効ノイズを測定するため、幾分楽観的であることに留意されたい。実用のレシーバは、ノンコヒーレントな手法を実装し得、その場合、それらの有効Eb/N0が単に平均ノイズエネルギーに対する平均受信信号エネルギーによって決まり、これは、
図5からわずか10〜15dB程度であると思われる。これらの楽観的な仮定でさえ、S−FSKネットワークは、S−FSK送信を最大15dB上回る、PRIME送信からの干渉に耐えることができる。
S−FSKとの共存を促進するPRIMEプロファイル
【0036】
これ以降の説明は、S−FSK信号との共存を促進し得る、可能なPRIMEプロファイル(即ち、PRIMEネットワークオペレーションに対する変更が小さい)を考慮する。実装のみの手法(即ち、PRIME規格に対する変更はないが、認証に対する変更がある)及びPRIME規格が変化する。
実装のみの手法
【0037】
PRIMEモデムへの実装拡張は、以下に述べるようにS−FSKネットワークとの共存を拡張し得る。
【0038】
実装手法1 S−FSKに対するPRIMEレシーバ耐性:PRIME準拠レシーバが、S−FSK干渉が存在する際にうまく動作することを確実にするため認証テストが導入され得る。シミュレーションは、約−5dBの信号対干渉比(SIR)で良好な性能が達成可能であるべきであることを示す。
【0039】
実装手法2 拡張されたチャネル感知:チャネルがS−FSK送信でビジーであることをPRIMEノードが感知する場合、S−FSK送信との衝突を避けることができる。これは、マーク及びスペース周波数ロケーションにおけるエネルギーのための感知モードを付加することにより成され得る。
【0040】
実装手法3 ベースノードスケジューリング:PRIMEベースノードは、他方のネットワークによるS−FSK送信のための衝突のないスロットをとっておくためにPRIMEフレームにおいて利用可能なコンテンションフリー期間(CFP)を用いることができる。この実装において、PRIMEベースノードは、PRIMEフレームの一部をコンテンションフリー期間としてリザーブするが、PRIMEベースノードは、これらのリザーブされたスロットをそれの関連するPRIMEトランスミッタのいずれにも割り当てない。場合によっては、S−FSKネットワークにおけるノードは、これらのリザーブされたスロットを用いることができる。しかし、この実装は更に、リザーブされたスロット(及びPRIMEビーコンスロット内又はSCP内においてリザーブされた他方の部分ではない)を用いるためにS−FSKノードに合図するための何らかの方式を必要とし得ることに留意されたい。各S−FSK送信は150ms継続するため、リザーブされたCFPは、少なくとも同じだけ長いはずである。これは、実際のPRIME送信に利用可能な時間の低減になり、従って、PRIMEスループットを低減する。この実装を可能にするための手法を以下に述べる。
【0041】
まず最初に、ベースノードがS−FSK及びPRIME両方をサポートするデュアルモードデバイスである場合、ベースノードは、S−FSK通信の間、S−FSKのみのためのリザーブされたCFPスロットを開始することができる。デュアルモードベースノードは更に、それがマスタースレーブモードで通信するデバイスも同様となることを確実にし得る。
【0042】
第2に、他のデバイスがリザーブされていない送信を開始しないようにするため、ベースノードは、有効なS−FSKデータを送信することなく不定期なS−FSKプリアンブル及びSFDを送信することができる。これらの送信は合計で4バイト(又は13.3ms)のみしか占めず、PRIMEに対し小さな時間ドメインインパルス性干渉のみを表し得る。チャネルを感知する一方で、S−FSKノードは、S−FSKプリアンブル及びヘッダーデータを観察し得、そのためそのチャネルが次の150msの間ビジーであると推定し得る。
PRIME規格変更
【0043】
PRIME規格への拡張は、以下に述べるようにS−FSKネットワークとの共存を促進し得る。
【0044】
規格拡張1 序シーケンスを用いるチャネルリザーブ:この手法は、チャネルリザベーションの序シーケンスを
図7に示すようにすべてのPRIME PPDUに付加することにより機能する。この改変で、PRIMEノードは、PRIME及びS−FSK送信(上記の実装手法2参照)両方のためのチャネルを感知し、そのチャネルがフリーの場合にのみ両方から送信し得る。そのチャネルが本当にフリーである場合、PRIMEノードは、常にAC主ゼロクロス(S−FSKのように)で開始し、S−FSKプリアンブル及びSFDで始まる、改変されたPPDUを送信する。PRIMEレシーバノードは、それらが理解又はデコードし得ないS−FSK序部を無視し、その送信をS−FSKパケットとして扱う。しかし、S−FSKレシーバノードは、その序部をデコードし、その存在を、送信されている有効S−FSKフレームがあることを意味すると解釈する。S−FSKレシーバノードが、予期されるS−FSKフレームをデコードしようとするとき、そのデータが実際はPRIME PPDUであるため、高確率のCRCエラーがあるであろう。たとえそれがそのデータをデコードすることができなくても、S−FSKレシーバノードは、ヘッダー及びSFDがあるため、まだ別のS−FSKノードが送信していると考え、従って、一時的にそれ自体の送信を保留し得、チャネル感知に戻り得る。
【0045】
規格拡張2 周波数ノッチング:PRIME規格は、PRIMEキャリアが、例えば、42〜60kHz、60〜75kHz、及び75〜90kHz帯域のサブバンドに分割されるプロファイルを規定するように改定され得る。60〜75kHzサブバンドは、
図5に図示するように、S−FSK帯域におけるマーク及びスペースキャリアに部分的に重なる。PRIMEデータは、現在のPRIMEヘッダー及びデータ構造を用いて第1及び第3のサブバンド(即ち、S−FSK帯域の外側)で通信され得る。第3のサブバンドのためパイロットトーンが付加され得る。中間サブバンドが用いられる方式への幾つかの可能な変形は以下を含む。
【0046】
中間サブバンドにおいてゼロを送信し、第1及び第3のサブバンドからのスピルオーバーを低減するためウィンドイング(windowing)を用いる。これは、S−FSKデバイスに対する干渉を最小化し得る。
【0047】
チャネル感知がその帯域においてアクティブS−FSK送信を明らかにしない場合にのみデータを送信する。これを行うための1つの可能な方式は、第2のサブバンドが使用中であるかどうかを示すヘッダーと共に、第1及び第3のサブバンドにおいてのみプリアンブル及びヘッダーを送信することである。この便宜的な手法はスループットを拡張し得る。個別の符号化も第3のサブバンドで成され得る。もちろん、この手法は、PRIME PPDUの中間のS−FSK送信冒頭に対する耐性はないであろう。
【0048】
たとえノッチされたキャリアで送信されるデータがない場合でも、
図5に示すように、他方のキャリアの幾つかはまだS−FSKキャリアからのスピルオーバーによる影響を受け得ることに留意する必要がある。キャリアノッチングからの利得を定量化するために更なる分析を用いることができる。
【0049】
規格拡張3 ROBOモード:共存課題のための1つの問題は、PRIME通信が、S−FSK送信の長い周波数ドメイン尾部(tail)により影響を受けることである。これらは、全てのPRIMEトーンでノイズフロアとして現れる。PRIMEに一層ロバストな通信モードを付加することにより、この尾部がある場合でも信頼性が達成できる。
PRIMEとの共存を促進するためのS−FSK変更
【0050】
S−FSKは既にインストールされたベースを有するため、これらの既存の/従来のデバイスを著しく変更することはできないであろうと考えられる。共存を促進し得る1つの拡張は、S−FSKトーンの長い周波数ドメイン尾部を切り落とすフィルタの利用である。具体的には、60〜75kHz帯域を超えるエミッションをカットオフするために何らかのフィルタリングがS−FSK送信に組み込まれる場合、PRIMEレシーバに対する影響は緩和され得る。
PRIME及びS−FSKデバイスの共存に関する結論
【0051】
PRIME及びS−FSK規格の現在の状態で、共存は可能であるが、いくらか制限される。PRIMEデバイスは、S−FSKデバイスからの干渉がPRIME信号を5dB又はそれより小さく上回る場合にのみ動作し得る。S−FSKデバイスは、PRIME送信に対しわずかにより影響を受けないが、S−FSK送信でもそれらを約10〜15dB上回るPRIME送信のみ許容し得る。その干渉源がトランスミッタよりレシーバに近く配置され得るとすると、これらの厳しい干渉の両方が実用において生じ得ることに留意されたい。
【0052】
一層良好なスケジューリング及び感知、義務的な高性能レシーバ、及び同様のものを含む実装改良がこの状況を改善し得る。特に、スケジューリングは、PRIMEベースノードがS−FSKデバイスの送信回数を制御する又はそれに影響を与えることができる場合、助けとなり得る。
【0053】
PRIME規格に対するシンプルな改変は、時分割(チャネルリザーブシーケンス)による、かつ周波数ドメイン(キャリアノッチング)における、衝突を避ける助けとなり得る。
G3特徴
【0054】
G3仕様も、PRIME PPDU(
図2)に類似するPPDU構造を備えた、PHY(物理層)においてOFDMを用いる。しかし、PHYレベルで、2つの規格間の1つの違いは、G3が、640マイクロ秒の長さで(スケーリングされた)ベースシーケンスの9.5回の反復から成る一層長いプリアンブルを用いることである。
図8は、プリアンブル802及びヘッダー/データセグメント803を含むG3 PPDU801を図示する。PRIMEプリアンブルは、G3ベースシーケンスより3.2倍長いが、PRIMEプリアンブルは、全体的なG3の反復されるプリアンブルの長さの約3分の1のみである。
【0055】
PRIMEとG3の間の2つ目の違いは、G3がビーコンなしネットワークを用いることである。G3デバイスは、ルーティングが、ネイバーディスカバリーに基づくノード毎である、分散化ネットワークにおいて動作する。従って、PRIME(
図1参照)とは異なり、G3は、フレーム毎に送信されるべきビーコンを必要としない。
【0056】
PRIMEプリアンブルの相対的な短さ、及びフレーム構造の違いを、以下に述べるようにPRIME及びG3規格間の共存を達成するために用いることができる。
PRIME及びG3の共存
【0057】
本明細書に開示するPRIME及びG3ネットワーク間の共存を達成するための手法には2つある。第1の手法は、PRIMEプリアンブルをプレフィックスとしてG3 PPDUに付加することを含む。これは、2つの規格間の基本的な共存を確実にし得る。第2の手法は、PRIMEフレームにおけるG3送信に対し時間スロットをリザーブすることを含む。これは、2つの規格間チャネルの時分割を強いることにより高性能を確実にし得る。
PRIME及び/又はG3 PPDUへのプレフィックスの付加
【0058】
現在定義されているようなPRIME及びG3のための共存課題は、PRIME及びG3は、互いの送信を感知して、それに応じて衝突を避けるためにバックオフすることができないことである。これは各技術が、チャネル占有を示すために異なるシグネチャーシーケンス(プリアンブル)を用いるためである。これは、以下の方法の一つによって対処され得る。
【0059】
PRIME及びG3 PPDU両方に共通の「使用中の帯域」プリアンブルを付加する。PRIME及びG3デバイスはいずれも、この新たに定義されたプリアンブルを感知することができ、そのチャネルで送信が識別された場合バックオフし得る。この改変は、PRIME及びG3仕様両方に及び既存の仕様準拠デバイスに変更を必要とし得る。
【0060】
一層短いPRIMEプリアンブルをプレフィックスとしてG3プリアンブルに付加する。これは、G3送信のために
図9に示すPPDU構造901をもたらし得る。改変されたG3 PPDU901は、PRIMEプリアンブルプレフィックス902、及び規格G3プリアンブル802、及びヘッダー/データセグメント803を含む。PRIMEプリアンブルは、250kHzのサンプリング周波数で定義されるが、G3トランスミッタが400kHzクロックで動き続け得るように、それを400kHzまでリサンプルすることは容易であろう。
図9で提案するこの変更(即ち、PRIMEプリアンブルがプレフィックスとしてG3 PPDU構造に付加される)で、チャネルコンテンションにおいて以下の挙動が想起され得る。
プレフィックスを備えた改変されたG3送信に対するPRIMEデバイス応答
【0061】
既に展開されているものを含み、PRIMEデバイス、G3 PPDUプレフィックスで送信されたPRIMEプリアンブルを感知する。PRIMEデバイスは、ヘッダーをデコードしようとし、高確率で失敗すると思われる。しかし、PRIMEデバイスは、そのチャネルをビジーであるとして扱い、進行中のG3送信と干渉しないようにバックオフし得、これは、PRIMEデバイスにデコードされていないPRIME送信として現れ得る。
【0062】
また、進歩的なPRIMEデバイスは、そのデバイスがそのようなオペレーションが可能である場合、G3プリアンブル及びヘッダーを更にデコードし得る。進歩的なPRIMEデバイスは、その後G3送信に起因してそのチャネルがどのくらい長くビジーであるか正確に決定し得る。
PRIME送信に対するG3デバイス応答
【0063】
G3デバイスは、PRIMEプリアンブルを受け取り得、G3プリアンブルを検出しようとし得、この試みは失敗し得る。一実施例において、G3デバイスは、最も長いPRIMEヘッダー期間チャネルがビジーであると推定すべきである。代替の実施例において、G3プリアンブルがPRIME PPDUに付加され得る。G3レシーバは、G3プリアンブル(現在のG3から変更なし)を、単にスキャンし得、その後、それらは、G3 PPDUに対してのみ有効ヘッダーをパスし、PRIME PPDUに対しバックオフし得る。
【0064】
また、幾つかの進歩的なG3デバイスは、PRIMEヘッダーをデコードし得、PRIME送信に起因してそのチャネルがどのくらい長くビジーであるか正確に決定し得る。
PRIME PPDUにおけるG3送信のための時間リザーブ
【0065】
プリアンブルプレフィックシングは、PRIME及びG3デバイスが互いの送信を感知して、それに応じて衝突を避けるためにバックオフすることを可能にすることにより、PRIME及びG3間の基本的な共存を確実にする。しかし、この性能は、2つの規格及び規格準拠ネットワーク間の更なる調整で更に拡張され得る。これを行うための一つの方式は、PRIMEフレーム構造を利用することである。
【0066】
PRIMEベースノードは、電気的近傍にあるG3デバイスの存在を感知することができると仮定される。ベースノードは機能的に近傍にある電力ライン通信規格の全てを用いてメーターを読む必要があるコンセントレータであるため、これは現実的ではない。例えば、異なるユーティリティは、同じ地理的エリアにある個別のコンセントレータでは動かない可能性がある。PRIMEベースノードが、G3デバイスが近くにあることを知っている場合、PRIMEベースノードは、PRIMEフレームのCFP(コンテンションフリー期間)を用いてG3送信に衝突のない(collision-free)スロットを提供することができる。これを達成するため、コンセントレータはフレームの一部がコンテンションフリーであるべきことを表明するが、利用可能なスロットをPRIMEノードのいずれにも与えない。その代わりに、このスロットは、G3ノードからの送信のために利用可能なまま残される。PRIME共有されるコンテンション期間の間、PRIME及びG3ノードはいずれもアクセスを争い得る。この同じ手法は、更に下記の方式で用いることもできる。
【0067】
PRIMEベースノードが、利用可能なCFPをG3ノードにブロードキャストする方法も有する場合、G3ノードは、この知識を用いることができ、PRIME共有されるコンテンション期間の間、PRIMEノードと争わない。
【0068】
代替として、PRIMEベースノードは、非常に小さなPRIMEペイロードを有し、どの既存のPRIMEノードにもアドレスされていないジャミングPPDUを送信することができる。このジャミングPPDUが、共有されるコンテンション期間及びビーコン期間の始めの直ぐ前に送信される場合、プリアンブルを受け取るG3ノードは、G3ヘッダーをデコードしようとするが失敗するであろう。G3ノードはその後、比較的長い時間、場合によっては、可能な限り最も長いG3パケットの期間の間、バックオフし得る。この手法で、ネットワークは、相互運用性を達成するためにデバイスを必ずしも改変する必要なく、PRIME及びG3送信間のほぼ完全な時分割を達成し得る。
PRIME及びG3デバイスの共存に関する結論
【0069】
PRIME及びG3は、Cenelec−A帯域における電力ライン通信のための最も有名なナローバンドOFDM規格の2つである。基本的な共存は、2.048msのPRIMEプリアンブルをプレフィックスとしてG3 PPDUに単に付加することにより達成できる。これはG3オーバーヘッドの最小の増加をもたらし得るが、G3性能に影響を与えるべきではない。PRIMEベースノードは、PRIMEフレームにコンテンションフリー期間をつくることにより、共存を改善し得るが、これらのスロットを如何なるPRIMEノードへも割り当てないようにする。これは、G3ノードがPRIMEからの干渉の恐れなく送信することができるスロットをつくり得る。この関係は、PRIMEベースノードが、コンテンションフリー割り当てに関する情報をG3ノードに搬送する有効G3パケットを構築することができる場合、更に拡張され得る。この能力に必要とされる唯一な変更は、PHYを変えることなく、異なる制御パケットをG3に付加することであり得る。
例示のシステム
【0070】
図10は、変圧器1004を用いて結合される中電圧(MV)ライン1002及び低電圧ライン(LV)1003を用いる、電力ライン通信(PLC)ネットワーク1001の高レベルブロック図である。図示した例では、ベースノード及びモデムなどの多数のデバイスが、PLCネットワーク1001を用いて通信する。これらのデバイスは、PRIME、S−FSK、又はG3規格などの異なる規格を用いて通信する。単一のMVライン1002又はLVライン1003が、異なる規格からの信号を搬送し得る。上述のように、同じラインを用いる多数の技術又は規格の存在は、1つ又は複数の技術又は規格を用いたデバイスにおける干渉及び劣化した性能となり得る。
【0071】
PLCネットワーク1001において、ベースノード1005は、PRIME規格下で動作する。PRIMEベースノード1005は、例えば、MV/LVライン1002/1003のため、メーター1007とデータを交換するPRIMEモデム1006と通信する。ベースノード1008は、S−FSK又はG3などの異なる(即ち、非PRIME)規格下で、これもMV/LVライン1002/1003を用いてPLCネットワーク1001で、動作する。S−FSK又はG3ベースノード1008は、対応するS−FSK又はG3モデム1009と通信して、メーター1010などのデバイスとデータを交換する。ベースノード1008及びモデム1009は、S−FSK又はG3規格のいずれか(又は両方の規格)を用い得るが、
図10では単に例示を簡潔にするために同じデバイスに示されることが理解されるであろう。また、任意の数の付加的なモデム1012がLVライン1003に結合されてもよい。モデム1012は、ベースノードと通信するため及びデバイス1013とのデータ交換を促進するため、PRIME、S−FSK、又はG3規格に準拠し得る。
【0072】
ベースノード1005及び/又はベースノード1008は、MVライン1002に結合されるように示されているが、代替としてベースノード1011で図示するようにLVライン1003に結合されてもよい。ベースノード1005、1008、1011は、例えば、コンセントレータ又はネットワークのマスターとして機能する他のデバイス又は通信技術であり得る。また、デバイス1007、1010、1013は、ユーティリティ・メーターに限定されないが、例えば、ホームエリア ネットワーク、アクセスポイント、基地局、ピコセル/フェムトセル、電気自動車充電ステーション、又は同様のものを含む、ベースノードとデータを交換することが有利となるか又は必要とする任意のデバイスを含み得ることが理解されるであろう。
【0073】
上述のように、PRIMEベースノード1005及びS−FSK/G3ベースノード1008による同時送信は、更なる調整又は改変がないと、相互干渉及びシステム劣化を生じさせ易い。本明細書に開示する改変及び適合は、2つの(又はそれ以上の)PCL技術がネットワーク1001で共存することを可能にする。これは、ユーティリティ提供者が自身のネットワークを、1つの技術から別のものへ更新又は変換することを可能にし得る。また、これは、異なるユーティリティ提供者間で又は自由化されたユーティリティ環境で共有されるMV/LVラインでの異なる技術の利用を可能にし得る。
【0074】
一実施例において、PRIMEベースノード1005は、ネットワーク1001上のS−FSKデバイスの存在を検出し及び少なくとも5dBの信号対干渉比(SIR)を維持する。代替として、PRIMEベースノード1005は、チャネルがS−FSK送信でビジーであるときを検出し得、及びその後、チャネルがクリアになるまで送信をバックオフする。PRIMEベースノード1005は、S−FSKのためのマーク及びスペース周波数ロケーションを監視することによりS−FSK送信を識別し得る。別の実施例において、PRIMEベースノード1005は、PRIMEフレームの一部をコンテンションフリー期間(CFP)として示すことにより、送信を予定し得る。このCFPのモデム1006又は幾つかの他のPRIMEデバイスへの割り当ての代わりに、S−FSK/G3ベースノード1008又はS−FSK/G3モデム1009がこの期間の間送信できるようにする。
【0075】
更なる実施例において、PRIMEベースノード1008は、プリアンブル及びSFDなど、S−FSKチャネルリザーブ シーケンスを、PRIME PPDUの始めに付加し得る。S−FSKベースノード1008及びS−FSKモデム1009は、このシーケンスを検出し得、それらが別のS−FSKデバイスが送信し得ると仮定するため、バックオフし得る。
【0076】
PRIMEベースノード1005及びモデム1006によって周波数ノッチングも用いられ得る。予期されるS−FSK帯域を上回る及び下回るサブバンドにおいてのみ送信することにより、如何なるデータも同時S−FSK送信からのを受けることはない。S−FSK送信の長い周波数ドメイン尾部のため、PRIMEベースノード1005及びモデム1006は、その送信に一層ロバストな符号化を用いて、S−FSK信号尾部によりつくられる「ノイズ」を補償し得る。
【0077】
PRIMEデバイス1005、1006、及びG3デバイス1008、1009は、それらのそれぞれのPPDUで共通の「使用中の帯域」プリアンブルを用いることにより相互干渉を避け得る。他方のデバイスは、プリアンブルを検出し得、バックオフし得る。代替として、G3デバイス1008、1009は、PRIMEプリアンブルをプレフィックスとしてG3 PPDUに付加し得る。その結果、PRIMEデバイス1005、1006は、PRIMEプリアンブルを感知し得、チャネルをビジーとして認識し得、それにより、G3デバイスを送信することを可能にする。
【0078】
別の実施例において、PRIMEベースノード1005は、PRIMEモデム1006又は任意の他のアクティブPRIMEデバイスにアドレスされていないジャミングPPDUを送信し得る。このジャミングPPDUは、最少ペイロードを有し得る。G3デバイス1008、1009は、PPDUを検出するが、それをデコードすることができない。その結果、G3デバイスは、別のG3送信と解釈されるものが継続できるようにバックオフし得る。このバックオフ期間の間、PRIMEデバイスは、干渉なく送信することができる。
【0079】
以上の説明及び関連する図面において提示した教示の恩恵を有する当業者であれば、本発明の多くの改変及び他の実施例を思いつくであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施例に限定されないことを理解されたい。本明細書において特定の用語を用いたが、これらは、一般的でかつ説明的な意味で用いられており、限定を意図するものではない。